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他の生徒は兎も角としてユートは、目を閉じる事も無く敢えて見開いて全てを視ていた。
ユートの目は緒方優斗としての人生を半ばで終え、嘗て転生をする際に下級神【純白の天魔王なのは】に
(成程、この転移現象って通常の魔法じゃないな)
術式の解析など朝飯前と言っても良かった。
騒然とする無数の気配、周囲を見渡せばクラスメイトと畑山愛子先生の姿。
そして目の前に在るのは巨大な壁画。
一〇mはあるであろう、壁画には後光を背負っている長い金髪、薄ら笑いを浮かべた中性的な顔立ちをした人物が描かれていた。
正直、気色悪い。
その背景には草原や湖、山々が描かれていてそれらをまるで包み込むかの如く彼の人物は、両手を広げているという構図である。
美術的に観ればきっと美しい壁画なのだろう。
だけどユートから視ると気色悪さが先立ち、笑みも薄ら笑いにしか見えないという、目を逸らしたくなってしまう絵でしかない。
(広間みたいだな。しかもクラスメイト全員が普通に余る可成りの広さだ)
大理石っぽい光沢を放つ滑らかさ、そんな白い石造りの建築物は彫刻が彫られた巨大な柱に支えられて、ドーム状の天井な大聖堂というべき場所か?
最奥にある台座の様な、一段高くなった場所の上に居るみたいで、ユートの傍に園部優花と愉快な仲間達が立ち尽くしている。
特に怪我も無いらしく、確り自分の脚で立っていたのは何よりだ。
見る限りクラスメイトに欠員は無く、あの時に教室に居た生徒は皆がこの状況に巻き込まれたらしい。
(ハジメは呆然としているみたいだな。無理も無い、両親がアレだから知識は有るんだろうが、現実にコレとなれば言葉も無いか)
ハジメの近くに白崎香織と八重樫 雫、その序でに天之河光輝と坂上龍太郎。
見知った顔は全く欠ける事無くこの場に居る。
周囲を見るとこの状況の説明を出来そうな連中が、この台座を取り囲む様にして立っていた。
(コイツらが召喚の実行者という事か? 若しくは、その意志を受けて迎えにでも来たのかね?)
連中は全員が白地に金の刺繍がされた法衣らしき、服装を身に纏って傍らには先端が扇状に広がってて、円環の代わりに円盤が数枚吊り下げられた錫杖の様な物を置いている。
その中の一人は特に豪奢で煌びやかな法衣を纏い、縦に長くて細かい意匠をした烏帽子っぽい物を被る、正に老齢という皺くちゃな人物が歩み出て来た。
とはいえ、老いて益々といった感じに覇気を出し、熟達した僧を思わせる雰囲気を醸し出している。
老人は手に持った錫杖を鳴らしながら、外見に合う落ち着いた声で此方へ話し掛けて来た。
「ようこそ我らがトータスへお出で下さいました……勇者様と同胞の皆様方」
(やはりそう来るか)
本当に御多分に漏れず、まんまな科白であろう。
「歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、皆様方には宜しくお願い致しますぞ」
イシュタル・ランゴバルドと名乗る彼は、好々爺然とした微笑みをユートというか勇者に見せた。
(勇者ってやっぱり彼奴、天之河光輝辺りだろうな)
遥か前世の昔にユートもDQ世界の一つで、勇者と呼ばれた事も確かにありはしたが、今現在はそういう職務には全く縁が無かったし、何より勇者というか魔王と呼ばれた方が座り良い。
神殺しの魔王だし。
だいたいにしてこの手の召喚勇者は昨今だと単なる踏み台な事も多いから、ユート的には御免被る。
場所は移り、可成りデカいテーブルが幾つも並んだ大広間に通されていた。
そして煌びやかな作りな部屋、素人の目にも豪華にして絢爛な調度品や飾られている絵画、きっと晩餐会でも行う場所なのだろう。
上座に近い方に畑山愛子と天之河光輝達の四人が、後はその取り巻き順に適当に座っており、よく見ればハジメは最後方に居た。
尚、ユートは八重樫 雫と園部優花の間である。
全員が着席するとカートを押しながらメイドさん達が入って来て香りが立つ紅茶っぽい……恐らく紅茶に間違いないと思う飲み物をテーブルに並べた
クラスの男子が色めき立つくらい、美人なメイドがズラリと並んでいる様は、目の保養にはなりそうだ。
状況が状況ではあるが、思春期男子の欲望というものは健在で、男子生徒の大半がメイド達を凝視しており、当然ながら面白くない女子達の視線は氷河期かと叫びたくなる冷いモノを宿していた。
「お、緒方は凝視したりはしないの?」
「ん? 両隣を美少女に囲まれてるのに必要か?」
「なっ!?」
「ちょっと?」
言われた園部優花だけでなく、飛び火した八重樫 雫も思わず赤くなる。
そもそもにしてユートは職業メイドに余り興味などは無く、そういうのは人形を鑑賞する程度の気分だ。
全員に飲み物が行き渡るのを確認し、イシュタルが訥々と話しを始めた。
「さて、貴殿方に於いては嘸や混乱をしている事でしょうから、最初から説明をさせて頂きます。先ずは私の話をお聞き下され」
聞くまでも無い身勝手極まる内容だった。
要約するとこうだ。
この世界はトータスと呼ばれており、トータスには大きく分けて三つの種族が存在しているという。
人間族、魔人族、亜人族……この三種族で亜人族は所謂、獣の特徴を宿す獣人とエルフなどを一緒くたにしている様だ。
人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしいが、どうやら人間族と魔人族は数百年にも亘り戦争をしているとか。
まぁ、よくある話だ。
地球でも単なる肌の色の差で戦争が出来るのだし、種族自体が違えばそりゃあ争いも起きるのだろう。
魔人族は数こそ人間族に及ばないが、個人の持つ力は相当に大きいらしい。
故に力の差を数で対抗していたそうで、戦力の方は拮抗し大規模な戦争はここ数十年間起きていのだが、最近は異常な事態が多発しているのだと云う。
魔人族の魔物の使役。
魔物というのは、通常の野生動物が魔力を取り入れ変質した異形。
だがこの世界の人々も、正確な魔物の生体に関しては判明してない様だ。
判るのはそれぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく、強力で凶悪な害獣であると云う事くらい。
今までは力に差は在れ、数で拮抗させていた戦力だったのに、魔物の使役により数のアドバンテージが崩されてしまった。
こうなると人間族は不利になってしまい、いずれは滅亡も必至となっている。
「貴殿方を召喚したのは、我々が崇め奉る聖教教会の唯一神……エヒト様です。エヒト様は悟られたのでしょう、この侭では人間族は滅ぶのだと。それを回避する為に勇者様を喚ばれた。貴殿方の世界はトータスの世界より上位にあり、例外無く強力な力を持っている筈なのです。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。人間族を救い給う勇者様方を送ると。是非その御力を発揮し、エヒト様の御意志の下で魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」
イシュタルは恍惚とした表情を浮かべ、神託を聞いた時の事を思い出しているのだろうが、正直に云うと爺さんのあんな顔は見たくもなかった。
(キモいな。爺さんのあの表情といい、あの気色悪い信仰といい最悪なんだが)
思わず眉根を顰めてしまう程、胡散臭くてキナ臭い話をされているのだし。
そこを畑山愛子先生が、立ち上がって猛然と抗議をしてくれた。
「巫山戯ないで下さい! 結局はこの子達に戦争をさせようって事でしょう! そんなのは許しませんよ! 先生は絶対に許しませんとも! 私達を早く帰して下さい! 生徒達の御家族も心配している筈です! 貴方達のしている事はただの誘拐、犯罪ですよっ!」
栗色ショートボブな髪、身長は一五〇cm程度にしかなくて、大人の女性というよりプリティでキュアっキュアな女子中学生。
綺麗というより可愛い、学校のマスコット的な扱いを生徒からされているが、年齢は二五歳になる。
一七歳な高校生から見れば八歳も差があるお姉さんながら、男女共に彼女の事は口煩い妹みたいに接しているらしい。
愛ちゃんと愛称で呼ばれ親しまれているのだけど、やはり彼女はそう呼ばれると直ぐに怒る。
本人としては威厳のある教師を目指してるらしく、現状での扱いは正に真逆と云うしかないからだ。
今回も理不尽に召喚された理由に怒り、立ち上がったのだろうけど皆からは、『また愛ちゃんが頑張っている』などと、ほんわかした気持ちになるのだ。
イシュタルに食って掛かる畑山愛子先生を眺めていたのだが、イシュタルの紡ぐ言葉に凍り付く事に。
「気持ちは御察しします。然し……あなた方の帰還は現状では不可能なのです」
シン……とこの場に静寂が満ち、重く冷たい空気が辺りを支配していた。
ユートとハジメ以外は、何を言われたのか理解が出来ない表情で、言った本人たるイシュタルを見遣る。
「ふ、不可能って……ど、どういう事なんですか!? 喚べたのなら普通は帰せる筈でしょう!」
畑山愛子先生が、思わずイシュタル教皇に対し激昂をしていた。
「先程も言った様に、貴殿方を召喚したのは我らが神エヒト様です。我々人間に異世界に干渉する様な魔法は使えませんから、貴殿方が帰還を出来るかどうかもエヒト様の御意思次第という事ですな」
「そ、そんな……」
畑山愛子先生呆然となり椅子に腰を落とす。
周りの生徒達も黙っていられず騒ぎ始めた。
「おいおい、嘘だろ!? 帰れないって何だよ!」
「嫌よ! 何でも良いから帰してよ!」
「戦争なんて冗談じゃねぇぞ! 巫山戯んなよな!」
「どうして、何で……?」
最早パニックに陥ってしまう生徒達。
ユートからしたら本当によく有りそうなテンプレに過ぎず、『力を貸せ』とか『召喚する手段は有るが、送還方法は無い!』だとか召喚モノあるあるだった。
最悪なのは召喚者を奴隷扱いするとか、巫山戯るのも大概にしろと言いたくなるくらいの話。
尚、このタイプもユートは普通に跳ね返したけど、ソウ・ユウトが見事にハマってしまっていた。
生徒達が狼狽える中で、教皇シオン張りに『狼狽えるな小僧共!』をやりたくなるのを堪え、イシュタルが此方を静かに観察しているのを逆に観察をする。
イシュタルの眼の奥に、明らかな侮蔑が込められているような気がしたけど、これまでの言動やエヒトを語る気色悪い表情から考えてみれば、恐らく『エヒト様に選ばれておいてなぜ喜べないのか』なんて考えているのであろう。
異世界人がエヒトなんて神を、信仰してある筈が無いだろうに解らないのか、まさか異世界もエヒトが創ったと、アホな事を考えているからだろうか?
いい加減で話を此方側に持ってくるべく、パニックが全く収まらない中にて、ユートが動こうとしたけど天之河光輝が立ち上がり、目前のテーブルをバンッ! と両手で叩いた。
それなりにけたたましい音が鳴り、パニックで騒いでいた生徒達が黙り込む。
「皆! 今ここでごねて、イシュタルさんに文句を言っても始まらない。彼にだってこればかりはどうしようもないんだぞ。俺は……俺は戦おうと思っている。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って放っておくなんて俺には出来ないよ! それに人間を救う為に召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。イシュタルさん? どうでしょうか?」
「ふむ、確かにそうですな……エヒト様も救世主様の願いを無碍にしますまい」
「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」
「ええ、その通りですな。ざっと、この世界の人間族と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えて良いでしょう」
「うん、それなら大丈夫。俺は戦う! 人々を救い、皆が家に帰れる様に。俺がこのトータスも皆も救ってみせるさ!」
握り拳を作って宣言する天之河光輝、所謂イケメンフラッシュと共に無駄に歯がキランと光り輝く。
(チッ、出遅れた。これは拙い流れだな……)
行き成り話をぶった切れないから、話が終わるのを待っていたユートだけど、天之河光輝が先に話を始めてしまう。
「へへっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな……俺もやってやるぜ!」
「龍太郎……」
(何を感激してるんだか、脳筋だから自分の意見を持ってないだけだろうが!)
「今の処はそれしか無いわよね。気に食わないけれど……私もやるわ」
「雫……」
(気に食わないなら断れば良いだろうに)
「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」
「香織……」
(だ〜か〜ら、誰かに追従なんてするなよな!)
天之河光輝一派により、何だか賛同する流れというものが出来、クラスメイト達が次々と賛同していく。
畑山愛子先生はオロオロと狼狽え『ダメですよ〜』と涙目で訴えているけど、天之河光輝が無駄に大きなカリスマで作る流れの前では余りにも無力だった。
「何だか普通に皆が戦うって流れだが、天之河は本気でそんな莫迦を言っているのか?」
流れをぶった斬る言葉を向けるユートに、言われた本人は表情を変える事無く振り向いて口を開く。
「君は戦わないのか?」
「戦う戦わない以前の問題として、お前らは戦争をする意味を理解してるのか?」
「意味だって?」
「殺し合いだ。それなりに平穏な日本に暮らしてて、行き成り殺伐とした殺人がお前に、お前らに出来ると思ってるのか?」
「さ、殺人? それは言い過ぎだろう!」
ギョッとなる天之河光輝だけど、それでも持ち前の“御都合解釈”で反論。
「そうだぜ、臆病風に吹かれてんじゃねーよ」
檜山大介が追従する。
ユートが檜山大介を邪魔する事もあり、明らかに目の敵にしていたからだ。
流れはもう変わらない。
「そうか……」
ユートは立ち上がると、腕をビュッ! と横薙ぎに一閃……まではしないで、その途中で止めた。
「ヒッ!?」
天之河光輝が息を呑んだのも無理は無い。
その頭のすぐ其処には、紙一重で停まる重厚な刃金……明らかに真剣の太刀が有ったからだ。
「若しこれが実戦ならば、今頃は天之河の頭は斬れて死んでいただろうな」
「な、あ……」
「誰かを殺す意味を考え、誰かに殺される覚悟を決めるんだな。戦争をしたいと言うのなら……ね」
ユートは自らの左腕を伸ばすと、右手に持った太刀を振り下ろす。
斬っ!
「キャァァァァッ!?」
「イヤァァァァッ!」
「ヒィッ!」
女子を中心に悲鳴が上がるが、ユートは何処吹く風といった具合だ。
「こんな風になる可能性、それを解った上で言っているんだな?」
「な、な……」
ブシューッ! 大分、遅れて落ちた腕の切り口から赤い血液が噴出すると天之河光輝の顔をベッタリと濡らした。
「戦争をするってのは即ちこんな事が日常茶飯事に起きるって話だよ。部位欠損で済むならまだ御の字だ。場合によれば生命を呆気なく喪うんだからな」
「うう?」
ユートの言葉に呻くしか出来ない天之河光輝。
「莫迦! 何をやっているのよ!?」
「園部……」
「すぐに治療をしないと、こんなに血が!」
「ああ、心配は要らんよ」
落ちた腕を持ち上げて、ユートは左腕をくっ付ける様に傷口と傷口を合わせてやると……その時、不思議な事が起こった!
「え?」
「傷口の組織を破壊しない様に綺麗に斬ったからね、こうしてやれば普通にくっ付くって寸法だ」
念の為に【狩人×狩人】世界のマチが使う念能力、それにより腕を縫合しておけば完璧だろう。
「もう、莫迦よ! だからって斬る?」
「ま、心配してくれたのはありがとうな」
“左手で”園部優花の頭を撫でてやった。
これは動くのを確認させてやる為でもある。
「イシュタル・ランゴバルド教皇」
「な、何ですかな?」
「当然ながら衣食住を全員に保証するんだろうね?」
「は、はぁ。それは勿論、ハイリヒ王国とは話が付いておりまして、勇者様方にはそちらへと移って頂き、戦闘訓練をしながら恙無く生活をして頂きます」
「そ、なら良い。これだけ言ってパフォーマンスまでして尚、戦うんだってんなら好きにしたら良いさ」
チンという音が何故だか酷く大きく響いた。
「ハイリヒ王国と言ったがそれは?」
「この神殿はハイリヒ王国の国内に在る神山の頂上に造られており、麓には王国が広がっている訳ですな。創世神エヒト様の眷属たるシャルム・バーン王が建国された由緒正しき王国で、勇者様方の召喚がエヒト様より御神託成された日に、王国とは既に連携を取っておりますので、受け入れの準備も整っております」
訥々と語るイシュタル・ランゴバルド教皇。
最早、誰も何も言わないのはやはりアレが原因か、 余りにも衝撃的に過ぎて頭が回らないのだ。
全員が神殿の外へ移動、その光景を見てこの場所が少なくとも、日本の何処かという可能性は消える。
雲が下に見える高度で、なのに息苦しくも無い。
恐らく生活環境を魔法か何かで、調節をしているのだろうと考えられた。
太陽の光を反射してて、煌めく様な雲海と透き通る青空という、とても雄大な景色にクラスメイトだけでなく、畑山愛子先生までもが呆然と見蕩れていた。
満足気なイシュタル教皇に促されその先に進むと、柵に囲まれた円形の大きな白い台座が見えてくる。
大聖堂内で見た物と同じ素材だろう、美しい回廊を進みながら促される侭その台座に乗った。
見れば台座には、巨大な円形に幾何学模様を描いた魔法陣が刻まれている。
柵の向こう側は雲海で、落ちたら間違いなく命が無い為に、生徒達は中央へと身を寄せていた。
とはいっても初めて観る景観に興味は湧くらしく、周囲を皆がキョロキョロと見渡していると、呪文詠唱をイシュタル教皇が始めたらしく言葉を紡ぐ。
「彼の者へと至る道、信仰と共に開かれん【天道】」
簡単な呪文立ったけど、効果は確かに出たのだろう足元の魔法陣が輝き出し、ロープウェイの如く台座が動き出して地上へ向け斜めに下り始めた。
台座に刻まれた魔法陣、先程の詠唱はそれを起動する為のキーワード、恐らくそういう事なのであろう。
雲海を抜けると地上が見えてきた。
眼下に広がる大きな国、山肌からせり出す様に建築された巨大な城と、放射状に広がっている城下町。
ハイリヒ王国の王都という訳だろう、台座は王宮と空中回廊で繋がった高い塔の屋上に続いていらしく、其処へゆっくりと降りた。
未だに不安はあるのか、クラスメイト達は何も喋る事はなく、畑山愛子先生も視線を彷徨わせている。
それにチラチラとユートを見ているが、その中でもやはり腰に佩かれた太刀に目が往くらしい。
生徒が平然と危険物を出したのが気にならない筈もなく、しかも今まで気付かなかったからには持っていた訳もないのに、いつの間にか当たり前に腰に佩いていたのだから。
「国王に会うみたいだし、村正は仕舞っておくか」
“村正”と聞いて社会科の先生としては、聞き逃せなかったのか目を見開く。
一応、現代社会だけでなく歴史もイケるからだ。
畑山愛子先生に鑑定眼は無いが、本物ならいったい幾らの値が付くか知れない代物である。
消えた“村正”にまたも目を見開く畑山愛子先生、もう頭は一杯一杯だったしお腹も一杯だと頭を振る。
イシュタル教皇に促され移動を開始、ハイリヒ王国の中枢たる謁見の間にまで通された。
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勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる