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「諸君、兄貴の【閃姫】並びに候補者諸君! 今この時こそ、魂を燃やす時だ」
ユーキの呼び掛けに反応したのは、既に【閃姫】だったり将来はそうなりたい候補者達である。
「皆、兄貴の許へ行きたいかぁぁぁぁあっ!」
『『『『応っ!』』』』
ノリノリでやってしまうユーキに、集まった【閃姫】と候補者が悪ノリした。
「さて、兄貴の許へ行けるのは直に招喚されるボク、そして序でに三人分の空きが有るから、残り三人を決めたいと思う!」
やんやんやと騒ぐ辺り、ノリが良い連中である。
「という訳で、大じゃんけん大会だ!」
揉めるのは理解しているユーキは、初めから話し合いなんて投げ捨てていた。
そして始まるじゃんけん大会、勝利した三人が壇上へと上がる。
「ヴィクトリー!」
紅と翠の虹彩異色で長いブロンド、ヴィヴィオ・ゼーゲブレヒトが左腕を高らかに挙げてピースサイン。
「勝利のVです」
少し恥ずかしそうな表情なのは、長い碧銀の髪の毛をポニーテールに結わい付けた、左には青と右に紫の虹彩異色を持ちたる覇王っ子……アインハルト・ストラトス。
「勝ちました」
黒髪を三つ編みお下げにした眼鏡っ娘、暁美ほむらが小さく手を挙げる。
「まぁ、行ってもすぐには会えないけどね」
「ユーキ姉ちゃん、どういう事ですか?」
「遠隔招喚。兄貴は異世界トータスに居るんだけど、ボクらが行くのは彼方側の地球だからね」
「成程、理解しました」
頷くアインハルト。
「ほむほむはビヨンドライバーを持ってってね」
「ほむらです。取り敢えずは判りました」
暁美ほむらはカイザギアとビヨンドライバー、それに纏わるミライドウォッチを持っている。
仮面ライダーカイザであると同時に、仮面ライダーホムラでもあった。
役処はウォズながらも、彼らは通り名が仮面ライダーの名前であり、ほむらもそれに倣って仮面ライダーウォズではなくホムラと、そう名乗っている。
因みに、仮面ライダーゲイツの役割を果たしているのがシュテル、仮面ライダーシュテルとなっていた。
では、ツクヨミは?
答え、現状は居ません。
ユーキはビルドかカリスに成るし、ツクヨミ成分は特に不要との事。
「そういや、ジョーカードライバーを送ってくれって言われてたなぁ」
ジョーカードライバーというのは、仮面ライダー剣のジョーカーが腰に着けているジョーカーラウザー、それをドライバーとして造った物だ。
ユーキが。
カリスラウザーとの違いは色、ハート型のバックルが赤ではなく緑色。
腰に据えるとベルト部が左から伸びて右側に合着、待機音がその時点から鳴り響くので、【CHANGE】Aのラウズカードを真ん中に有るスリットにスラッシュ、ラウズすると変身をする。
要するにカリスラウザーとやる事は同じ、違いがあるとすればブレイバックルやギャレンバックルみたいにバックルとして、腰へと装着をする処だろうか。
「それじゃ、行っくよ〜! 魔法陣展開……遠隔招喚開始!」
「ああ、そうです。トリニティが可能かどうか実験をお願いしますね」
「ちょ、シュテル! 今更いうかな!? もう!」
シュテルからの要望は、叶える方向性で往くと返事はしておいた。
トリニティ。
仮面ライダージオウ・トリニティと同じく、つまり仮面ライダーシンオウ・トリニティへの強化変身だ。
ビヨンドライバーの持ち主たるほむらに、仮面ライダーゲイツ枠なシュテル、そして仮面ライダージオウ枠のユートがトリニティ用ライドウォッチを使えば、この形態に変身が可能。
こうしてミッドチルダから四人が居なくなる。
ユートが戻るまで四人も戻らないが、聖域や【OGATA】に関しては基本的に独立稼働しているから、トップとはいえユートが居なくても回るのだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「尾行を御苦労様だよな、優花」
「気付いてたんだ」
エヒトの使徒リューンとの闘いが終了、結界を解除したら優花の気配を感知したから誘導した。
「改めて久し振り」
「うん……」
何だか気も漫ろにユートを視たり、視線を彷徨わせたり忙しくしていた。
「話があるんじゃないか? 無いならさっさと戻りたいんだが」
「まっ! 待ってよ……」
ユートの服を掴みながら俯く優花は、何だか可成り気弱に感じてしまう。
「その、雫と……付き合ってるの?」
「んにゃ?」
「だ、だって……その……し、シたみたいな事を……言ってたし」
「セ○クスを?」
「ブッ! く、口に出して言うなぁぁぁぁっ!」
余程、恥ずかしかったのか真っ赤になり怒鳴る。
「シたかどうかならシた」
「っ! そっか……」
逃げる様に踵を返そうとする優花だが、そうはさせじと廻り込んだ。
「いっ!?」
捕まり押し倒されてしまった優花は、更に顔を紅く染めていたが瞳が潤んでいるのはさっきの答え故か。
「キスしたい」
「は? 雫を抱いたって言った舌の根も乾かない内に何言ってんのよ!」
「久し振りにキスしたい」
「ふ、巫山戯ないでよ!」
「巫山戯てないよ」
「じゃ、じゃあ雫はどうする訳?」
「問題は無い。僕は優花も雫も同時に相手をする」
「さ、最低……」
「うん、最低だよね」
「わ、判っていてどういう心算よ?」
不機嫌度MAXというかハザードオンというか……ヤベェ的なナニかが優花の瞳に宿っていた。。
「僕は女の子に対して決して誠実とは言えない」
「……そうね」
「だからこそ、余計な嘘は吐かない」
「……」
ジッとユートの目を見つめている、それは本当なのか判断が出来ないから。
「優花には僕が何歳くらいに見えてる?」
「え、と言われてもね……私と同じじゃないの?」
つまりは一七歳。
「実は数千歳とか言ったら信じる?」
「優斗が嘘を吐かないと云うのが本当なら、数千歳と言われて納得するわよ」
「やっぱり信じられない……かな? この世界では、初めて話すんだけどね」
「……聞きたい。キス……して良いから聞かせ……て……んっ!」
ソッコーで唇を奪う。
「もう、キスが好きなの? そういえば武器を貰った時もあんなキス……」
頬にする心算が目を閉じていたから間違えて唇に、恥ずかしくてあわあわしていた優花に、ユートは自ら唇を重ねた挙げ句に舌まで入れるディープなのをやらかしていた。
優花もユートを嫌っていない処か、好意を持っているからキスに拒絶反応を見せてはいない。
それにユートの話を聞いてみたかった。
特にまだ誰にも、雫にも香織にも話してはいないらしいそれを。
ユートは話した。
キスをしながら転生者の事や次元放浪の事、そして自分が持つネオディケイドライバーの事実など。
ユート自身は識らなかったが、不倶戴天の敵といえるニャル子がヒロインだとか云う【這いよれニャル子さん!】なる作品の最終巻にて、幾多の這い寄る混沌が説明されていた。
『終わりなき旅の途中の、すべてを破壊しすべてを繋ぐニャルラトホテプがいた』……と。
挿絵も影で隠されてはいたが、明らかにアウトコース真っ只中の姿で描かれていたと云う。
それ故にユートの内側に在る這い寄る混沌の力が、ネオディケイドライバーという形を執ったのだろう。
ディケイドライバーではなく『ネオ』なのが肝。
しかもオリジナルよりも便利になっていた。
各ライダーに変身をしなくても、アタックライドを発動出来たりするから。
「転生者って、何処の世界のラノベよ?」
流石に呆れる優花へと、ユートはキスをする。
「って、胸元にキスマークとか付けちゃ駄目よ!」
「嘘は吐かんよ。何なら、ネオディケイドライバーで変身して見せようか?」
「うぇ?」
ユートはネオディケイドライバーを顕現させると、左腰に佩かれたライドブッカーを開いてカード一枚を取り出す。
「変身!」
《KAMEN RIDE DECADE!》
マゼンタカラーで左右非対称のアーマー、緑の複眼を持つ悪魔とか呼ばれている仮面ライダーディケイドに姿を変えた。
「仮面ライダーWの時にも思ったけど、本当に変身が出来るのね」
「まぁね」
変身の解除に伴って肩を竦めるユート。
というより、普通に優花が仮面ライダーとか言っているのが吃驚である。
「仮面ライダーに詳しかったりするのか?」
「詳しくはないわ。単純に優斗が好きそうだったから調べただけよ」
プイッと真っ赤な顔を、ユートから逸らした。
「うわ、何? この可愛らしい生物……」
「か、かわっ!?」
再び唇を奪われた。
「んんっ! ん? うぐぅぅぅっ!」
ユートの腰に硬いナニかが有るのに気付いた為か、キスの抗議より此方の抗議をしたい処だ。
「仕方がないだろ? こんなに可愛い優花にのし掛かってるんだ。しかもキスをして接触過多だから硬くもなるだろう」
「ば、ばか! 早くどきなさいよ!」
興味無さそうに言うが、アレが雫を貫いたのだと思うと意識をしてしまうし、一人の女の子としては興味津々なのは仕方がない。
まぁ、ユートとしてみれば手折るのはまだ先と考えているし、今すぐどうこうしたい訳ではなかった。
問題は某・勇者(笑)辺りが雫や香織を喪ったから、自棄を起こしてレ○プに走ったら拙い点だったが……
(何とかなるかねぇ)
今の勇者(笑)なら優花でも対処は可能な筈。
優花に関してはゆっくりと心行くまで愉しみたい、だから焦らずちょっとずつ心に侵食して逝く心算だ。
だから今はキスまで。
もう少ししたらタッチもしていきたかった。
ユートがあっさりどいたのを訝しい表情で視る。
「……しないんだ?」
「嫌がられてまでヤる気は無いよ。強姦は好かないんでね……敵対者以外は」
最後にボソリと言ったのは聞こえなかったらしい。
「そう、雫や香織……それに愛ちゃん先生とはヤったんじゃないの?」
「命を護る対価としてね」
恋愛感情とか互いに無かったのだ、ヤるまでは間違いなく……だが。
今現在の雫はユートへと恋愛感情を持っているし、どうも愛子先生も怪しかったりする。
香織もプラスかマイナスかと訊かれればプラス。
割かし無理矢理なえっちだったが、乙女心とは斯くも複雑なものらしい。
「それとも、優花も迷宮で死にそうな目に遭って僕に肢体を差し出す?」
「……やめとくわ。流石に死にたくはないもの」
「懸命だ」
「ん……」
またキスをした。
英語で云うならディープなキスで、舌を絡め合って唾液が混ざり合う互いを求める口付けである。
水音を響かせながら何度も離れてはくっ付きを繰り返して、我慢の限界がくるまで堪能し尽くした。
キスから数分後だろう、漸く本当に離れたユートと名残惜しそうな優花。
「それじゃ、僕は行くよ」
「うん」
「いずれまた、運命の交叉路が交わる時に会おう」
「何よ、それ」
苦笑いしながら別れ。
ユートは次の行き先へと向かい、優花は手を小さく振って別れを惜しんだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
王宮に設えられた幾つかの部屋、その一つに男女の影が寄り添っている。
南雲ハジメと中村恵里、恋人として付き合い始めたばかりの、初々しさ全開なカップルだった。
何度か既に身体を重ねている二人だが、流石に今宵はそんな理由でこの場に居る訳ではない。
「漸く来たんだね」
「ああ、謁見の間でも会ってはいるけど久し振りだなハジメ。中村も」
「久し振り、優斗」
「久し振りだね、緒方君」
地球でも友人として付き合いがあり、共に南雲 愁や南雲 菫の下でアルバイトをする仲間、そして謂わばハジメとはオタク仲間でもあった。
ハジメの両親、南雲 愁はゲーム会社の社長で南雲 菫は人気少女漫画作家、ユートもプログラミングは出来るし、別の世界で漫画や小説を書いた経験を持つから、即戦力としてどちらからも重宝されたものだ。
因みに、漫画や小説を書いた経験がある世界とは、【エロマンガ先生】の世界である。
一応、ハルケギニアでも出版社を創設して出してはいたが……
「話は聞いているハジメ、仮面ライダーG3が完成したみたいだな」
「約束通りと言えるか微妙ではあるけどね」
仮面ライダーG3とは、パワードスーツを“装着”するタイプで、パワーアシストが付いた鎧を着込み、現代兵器で戦うのである。
当然ながらパワードスーツの部分は機械が詰め込まれており、ハジメが造った物が単なるフルプレートな鎧と変わらない物とは色々と違いがあった。
「流石にあれを完全再現とか求めてないさ」
「う、うん」
早速、仮面ライダーG3を装着したハジメを見て、ユートは至極満足そうに頷いている。
「良い出来だ。ハジメならやれると思っていたけど、想像以上に悪くないな」
誉められて照れるハジメだが、悪い気はしなかったから頭を掻いていた。
「これなら御褒美に相応しいだろうね」
そう言いながらカードを一枚渡してやる。
「これ、インストール・カードだよね? 【生成魔法】って?」
「オルクス大迷宮で手に入れた神代魔法の一つだ」
「「なっ!?」」
ユートから得た答えに、ハジメも恵里も驚愕をしてしまうのも無理は無い。
知識の上でならハジメも神代魔法を知っているが、生成魔法は初めて取得成功なモノに当たる。
「コイツが有ればより速く精密に、魔法の付与も自由自在にやれる筈さ」
「正に錬成師の為の魔法、これなら色々とイケる気がするよ、優斗!」
「七大迷宮とはどうやら、反逆者の烙印を押されてしまった解放者が造った迷宮らしく、表層の迷宮と別に真の大迷宮が存在してて、クリアをすると神代魔法が手に入る仕組みらしいね」
「す、凄いなそれ」
ハジメも恵里も驚愕を禁じ得ない。
「さ、問題はハジメの能力が弱い事だが……」
「それは?」
丸薬を取り出すユートに嫌な予感がする。
「これは魔物の血肉から、力の成分となる部分を分解抽出、再構成して造り出した錬金術のアイテムでね。食べたら苦しむけど能力が大幅に上がる。トータスの人間からすれば夢の道具。食べる食べないはハジメが決めろ。それと中村」
「え、はい?」
水を向けられ肩を震わせてしまう。
「君にもだ」
「ボ、ボク?」
「場合によっては中村が、ハジメのアキレス腱になりかねない。弱い侭では蹂躙され搾取るだけでしかないんだ、ならば強くならないといけないだろう?」
ソコまで言うと恵里が、ヒョイッと丸薬を手にした途端、口にい入れてしまってハジメが大慌て。
「え、恵里!?」
「ボクは、ハジメ君の足手纏いは嫌だ!」
ドクン!
「ぐっ!?」
「ああ、吐いて! 魔物の肉は毒物と同じなんだ! 内側から壊れて壊れて死んでしまう!」
「そんな失敗作を食わせる訳が無いだろうに」
一応、シミュレータ上で安全は確保してある。
「嗚呼っ!?」
中村恵里の内側から壊れて治り壊れて治る、小さな規模ながら繰り返されていく破壊と再生の円舞曲。
それはまるでエンドレスワルツの如く繰り返され、中村恵里という女の子を正に根本から変えていった。
背丈が僅かながら伸び、胸が増量されたのに合わせて腰に括れが、お尻も少しおおきくなっている。
顔立ちも未だに幼さを残しながら、整い方が綺麗な方面にシフトして童顔でありつつ色気を醸し出す。
解り易く云えば中村恵里の顔で、ユエみたいな妖艶な幼女的な色気を得た。
ハジメはそんな恵里を見て分身が力強く勃起する。
今ならちょっと街に出たらナンパが寄り付く筈。
「ボ、ボクは……?」
此処に『綺麗な中村恵里〈真〉』が爆現した。
その後、ハジメも丸薬を飲んだと云う。
同じ過程を踏んで身長が伸び、胸板が厚くなった上にシックスパックな腹筋。
目付きが多少なり鋭さを持ち、何処か色気が出ているのは愛嬌だろうか?
尚、見えていない部分で分身が肥大化していた為、勃起時に約一五cmだった分身は、今や二〇cmにもなっている。
ユートの三〇cm越えよりマシだし、既に『痛い』を経験した恵里なら受け容れるのも可能であろう。
「くっ、確かに死なないみたいだけど……滅茶苦茶、痛いよ?」
「それでステータスが上がって技能が増える。良かったじゃないか? 大迷宮で魔物にかぶり付くよりマシだと思うけどな」
「そりゃ、そうだけどさ」
南雲ハジメ
17歳 男
レベル:???
天職:錬成師
筋力:4300
体力:3200
耐性:3700
敏捷:5000
魔力:6100
魔耐:6020
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成][+圧縮錬成] 魔力操作 胃酸強化 雷撃 天歩[+空力][+縮地][+豪脚][+瞬光] 風爪 夜目 遠見 気配感知 魔力感知 熱源感知 気配遮断 毒耐性 麻痺耐性 石化耐性 恐慌耐性 傀儡耐性 魅了耐性 全属性耐性 先読 金剛 豪腕 威圧 念話 追跡 高速魔力回復 魔力変換[+体力][+治癒力] 限界突破 能力之扉 ??? 生成魔法 言語理解
中村恵里
17歳 女
レベル:???
天職:降霊術師
筋力:2300
体力:1500
耐性:3000
敏捷:2020
魔力:4800
魔耐:5080
技能:降霊術 魔力操作 胃酸強化 天歩[+空力][+縮地] 風爪 夜目 遠見 気配感知 魔力感知 熱源感知 気配遮断 毒耐性 麻痺耐性 石化耐性 恐慌耐性 傀儡耐性 魅了耐性 全属性耐性 先読 金剛 豪腕 威圧 念話 追跡 高速魔力回復 魔力変換[+体力][+治癒力] 言語理解
ハジメに比べて多少なり低いが、少なくとも恵里が勇者(笑)に敗ける事は無くなっている。
因みに、現在の勇者(笑)のステータス……
天之河光輝
17歳 男
レベル:1
天職:勇者
筋力:10
体力:5
耐性:5
敏捷:10
魔力:0
魔耐:5
技能:言語理解
レベルドレインにより、レベルとステータスの値が軒並み減り、技能もユートの【
天之河光輝は正真正銘の勇者(笑)と成ったのだ。
鍛え直せばステータス値は普通に増えるが、技能が戻る事など最早有り得ないから使えない存在である。
ユートからしたらユーキからの情報も加味した上、天之河光輝から技能を簒奪して+レベルドレインをしてやった。
何故だか裏切ってエヒト側に付くらしいのだけど、そのファクターが実は敵側に居ない事に、ユーキが気付いていなかったりする。
まぁ、邪魔にしかならない勇者(笑)なだけに排除も間違いではあるまい。
「そうだ、遅れたが言わせて貰う。おめでとう」
「えっと、ありがとう?」
「ほら、恋人が出来た事への言祝ぎだよ」
「あ、ああ!」
「それとも祝え! の方が良かったか?」
「……へ? 何それ?」
「ああ、この世界ではまだ未放映だもんなぁ」
ユートの世界ではほむらがこの役割だ。
尚、ユートも放映自体はまだ観ていない知識のみ、それは仮面ライダー01も同じ事だ。
「そういえば、中村の装備はハジメが造ったのか?」
「うん、一応だけどね」
「恋人の装備は自分がって拘りはあるか?」
「恵里の安全の為だから、無いには無いよ。出来たら自分でやりたいけどね」
「なら、今は甘えとけ」
ユートは闇色のローブを取り出して言う。
「これは?」
恵里は畳まれていたそれを広げ、単なるローブではなさそうなそれを見ながら質問をした。
「
「ヴァーサス?」
「Variable Support Systemの通称だよ」
「ヴァリアブル・サポート・システム……」
「昔、とある女の子から造り方を学んだんだけどね。僕は基本的に使わないから仕舞った侭、忘れていた物を可成り久方振りに出したって訳だ。それからTT、Trick Toolだ」
「トリック・ツール……」
「術師の中村なら杖型が良いだろう」
「あ、ありがとう」
「因みに銘はVSSの方が【
「う、うん」
渡された取扱い説明書、然しながら別の何かも一緒に渡される。
ハジメから隠す様に渡された辺り、内緒にしておけという意味だと理解した。
紫色で小さな長方形をしており、真ん中にコブラの意匠が金色でマーキングをされていて、カードが入っているデッキに見える。
「ソイツは保険だ」
「保険?」
「万が一、ハジメに与えた力が暴発したら止めてやってくれ。その為の力だし、仕事の対価でもある」
「わ、判ったよ」
使い方は当然ながら使えば理解が出来るし、わざわざ教える必要性は無い。
「どうしたのさ?」
「いや、
嘘ではない。
まぁ、ほぼ自動的に丈は調整されるけど。
ハジメが声を掛けてきたのは独占欲か? ちょっと恵里に近付き過ぎた。
「ハジメは生成魔法を練習して早い処、G3ーX完成を目指してくれ」
「うん、判っているさ」
「G3はマイルドに仕立て直して、中村に使わせてやれば無駄にもならない」
「そうだね」
「それから、アザンチウムとシュタル鉱石なども渡しておくから利用してくれ」
「ア、アザンチウム!」
トータスで一番硬いとされる鉱石で、単純にコーティングをしただけでも凄まじい効果を生み出す程。
オルクス大迷宮に於けるオスカー・オルクスの館、その封印されていた工房に眠っていた鉱石、ユートは既に視たから暗黒物質を織り込んで創れるし、ハジメに譲っても問題は無い。
「それから僕が行く前に、君らには教えておこう」
「「?」」
「この世界の神エヒト……その真実をね」
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次で第一章は終了です。
勇者(笑)な天之河の最後について
-
原作通り全てが終わって覚醒
-
ラストバトル前に覚醒
-
いっそ死亡する
-
取って付けた適当なヒロインと結ばれる
-
性犯罪者となる