ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 思ったより早く書けた、ライセン大迷宮は次です。





第30話:祝え! スマ・ラヴ生誕の刻である

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 オバチャン――キャサリンさんなる受付嬢から受け取ったマップ、もう地図というよりガイドブックとか呼べる代物でブルックの町を散策している五人。

 

 最早、慣れたが男の視線が可成り鬱陶しいものの、キャサリンさんのマップで散策自体は快適だった。

 

「此処が【マサカの宿】、マップではお勧めだと書かれているが……」

 

 天職:書士なキャサリンさん、そのマップはお金も取れるレベルなだけに信頼を寄せている。

 

 紹介文には割高だけど、食事が美味くて風呂を完備しているとあった。

 

(どんな『まさか』がある宿なんだろうな?)

 

 尚、宿の名前は経営者のファミリーネームであり、『まさか』な出来事が起きる【マサカの宿】という訳では決して無い! 筈?

 

 だけどユートは知らなかった、【マサカの宿】では本当に『まさか』の出来事が起きるとは(笑)……

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 【マサカの宿】の中は、一階が食堂になっているらしく、軽く見たら男女複数の人間が食事をしている。

 

 ユート達が入るとまるでお約束の如く、香織と雫とユエとシアに視線が集まってきたが、相手にしていられないと視線を無視して、カウンターへと向かった。

 

 一五歳くらいだろうか、それなりに可愛らしい少女が現れて、にこやかな営業スマイルで口を開く。

 

「マサカの宿へようこそ、いらっしゃいませーっ! 本日はお泊りでしょうか? それとも、お食事だけをなさいますか?」

 

「宿泊の刻! じゃなく、このガイドブック見て来たんだけど、記載されている通りで良いのかな?」

 

 オバチャンの特製の地図を少女が見て、『成程』と合点がいった様に頷いた。

 

「ああ、キャサリンさんの紹介ですね。はい、確かに書いてある通りです。何泊のご予定でしょうか?」

 

「一泊食事付き、あと風呂の方も頼むな」

 

「はい。お風呂は一五分で百ルタになりますね。この時間帯が空いてますが?」

 

 少女が時間帯表を見せてくると、なるべくゆっくり浸かりたい気分だったし、男女で分けるとして二時間くらいは確保したい。

 

「二時間くらい欲しいな」

 

「えっ、二時間も!?」

 

 驚愕する少女だったが、ユートも精神的には日本人だから譲れない。

 

 純英国人な兄は鴉の行水レベルだったが……

 

「え〜と、それでお部屋はどうなさいますか? 取り敢えず二人部屋と三人部屋が空いてますけど」

 

 朱に染まる頬で好奇心が含まれた瞳、そういうのが気になるお年頃な少女なのだろうが、食堂に居る客達まで聞き耳を立てているのはどうかと思う。

 

 美少女が四人となれば、可成り目立つとは思っていたのだが、やはりこの四人容姿は相当らしい。

 

 学校の【二大女神】に加えて吸血姫と兎人族の娘、しかもユエはエロリ吸血姫で幼い容貌に妖艶さを併せ持ち、シアはユエでは持ち得ないスタイル抜群な肢体という別の意味でエロい。

 

 男共の視線を釘付けにするには充分過ぎた。

 

「両方を頼む」

 

「へ?」

 

「両方だよ。五人居るのは判るだろうに」

 

「そ、そうですが……」

 

「今日はシアを可愛がってやる心算でね。三人には悪いが今夜は遠慮して貰う」

 

「……仕方がない」

 

「そりゃ……ね」

 

「やっぱり一生の想い出になるから」

 

 ユエは静かに瞑目して、雫と香織は顔が紅い。

 

 シアが真っ赤になって、更には三人の美少女の科白によって周囲がざわつき、少女も頬を赤らめている。

 男共は世の絶望であると暗い表情を浮かべており、モテの格差に泣いてさえいる様に思えた。

 

 宿屋の看板娘? は顔を真っ赤にしてチラチラと、シアとユートを交互に見つめている辺り興味津々。

 

「ユ、ユートさん。はい、私の処女を貰って下さい! 今宵はユートさんに全部の初めてを捧げますぅ!」

 

「声がでかい!」

 

「はうっ!」

 

 口走った事の恥ずかしさから口を閉じるシアだが、もう遅いとばかりに男共の鼻から赤いモノが噴出しており、女性連れだった野郎はビンタを喰らっていた。

 

 厨房の奥から少女の両親と思しき女性と男性までが出て来て、温かな視線にて此方を注目している。

 

 きっと御主人辺りが……『昨夜はお楽しみでしたね』とか言うのだろう。

 

 まぁ、愉しむんだけど。

 

「騒がせたな。さっき言った通りで頼む」

 

「す、凄い……あんな人と二人っ切りで御部屋に? はっ、マサカ御風呂を二時間も使うのはそういう事だと云うのね!? お互いの身体で洗いっこするんだ! そ、それから……全部の初めてって事は? お口もアソコも後ろも……な、何てアブノーマルなっ!?」

 

 少女は妄想の中に浸ってしまい、それを見かねてしまった女将さんらしき女性がズルズルと少女奥に引きずって行く。

 

 そんな少女代わりに父親らしき男性が、手早く五人の宿泊の手続きを行った。

「うちの娘がすみません」

 

 理解の色が宿った瞳で、頭を下げられてしまう。

 

「あ、汚れた布団はその侭で構いませんから」

 

 要らん事を言われた。

 

 これ以上は男共のパトスを刺激し過ぎ、暴発の恐れもあるからとさっさと部屋へと行かせて貰う。

 

 暴発していそうなのは、【マサカの宿】の看板娘ちゃんも同じだけど。

 

(あの娘、さっきの会話をオカズに今夜は独り遊びでもするのかね?)

 

 ユートも要らん事を考えながら部屋に入り、風呂の時間までは軽く睡眠を取る事にした。

 

「ユートさん、もう御風呂の時間ですよ?」

 

 今宵は三人共が遠慮し、別室で眠る事になる。

 

 シアは今宵だけは新妻の如く振る舞えるのだ。

 

 白い肌だが紅くなった顔でユートを起こしてるが、起きたらつまりヤるべき事をヤる訳で、やはり羞恥心は刺激されていた。

 

「うん、時間か。シア」

 

「は、ひ!」

 

 ビクンと震えつつ背筋を伸ばすシアに、ユートは思わず苦笑いを浮かべる。

 

「そう緊張するな。風呂前にアイゼンⅡを渡してくれないか?」

 

「アイゼンをですぅ?」

 

「ちょっと改造をな」

 

「は、はぁ……」

 

 首からチェーンで下げた待機状態のアイゼンⅡを、シアは要領の得ない表情で外すと手渡す。

 

「この待機モード以外では戦闘用、鉄槌モードと突撃モードと轟天モードの三種が有るな?」

 

「ハイですぅ」

 

 グラーフアイゼンで云うハンマーフォルム、ラケーテンフォルム、ギガントフォルムの三種類だ。

 

 ギガントフォルムを轟天と呼ぶのは、このフォルムでの攻撃に『轟天爆砕』と叫ぶから。

 

「これに黄金モードを追加してみようかなとね」

 

「黄金モードですぅ?」

 

「ゴルディオンハンマーって訳だ。クックッ、自分が重力魔法を渡す前に重力系を使われたとして、いったいどんな気持ちだろうな? ミレディ・ライセンは」

 

「……?」

 

 どうやら意地悪を兼ねてパワーアップさせる心算だと理解し、シアはユートを微妙な表情でみつめる。

 

 アイゼンⅡにどんな機能を付け足すか、容量的にも後一つが精一杯な為にちょっとした二者択一に悩み、どうせだからネタに走るかと【勇者王ガオガイガー】のゴルディオンハンマーを採用した。

 

 もう一つはヴィータが使うギガントとラケーテン、二つの機能を併せ持っている【ツェアシュテールングスフォルム】が候補に挙がっていたが、それだと面白味が無かったのと敵対者、エヒトの使徒を文字通りの光にしてやろうかと猟奇的な意味での選択。

 

 因みに、此方を選択した場合は破壊モードという名になっていた。

 

「時間、掛かりますか?」

 

「んにゃ、完成したモノを組み込むだけだから一分と掛からんよ」

 

 握り締めて光と共に足下を巡るベルカ式魔法陣。

 

 その色は闇色。

 

「はい、完成した」

 

「はやっ!」

 

 確かに渡して一分以内、【創成】を応用しているからユート以外は不可能な、既知外染みた速度である。

 

 【ゴルディオンハンマー】――正式名称は【グラビティ・ショックウェーブ・ジェネレイティング・ツール】とされ、世界一格好良いピコピコハンマー。

 

 作用対象へ強烈な重力波を浴びせ掛け、光速以上の速度により落下させる事で光子変換する兵器。

 

 要は『光になぁれ!』と言う通りの物だ。

 

「危険だから余り使う機会は無いが、必要な時は容赦無く使う様にな」

 

「了解ですぅ!」

 

 量産されてGの如く湧き出る使徒には、この上無い超兵器となるであろう。

 

「それじゃ、シア。風呂に行くか」

 

「は、ハイですぅ」

 

 やっぱり真っ赤になる。

 

 まぁ、普段から裸とは云わないまでも可成り肌を晒す服装だが、決して裸ではないと主張しているシアは羞恥心が普通にある。

 

 男と風呂に入るなんて、そんなシチュエーションが恥ずかしくない訳も無く、頬が朱に染まるのは女の子として当然の感情。

 

 風呂場でお互いに脱ぎ、ユートはシアの香織にも雫にも況してや、ユエに有ろう筈もないプルプル震える巨乳に癒され、シアはシアでユートの下半身に付いているモノの凶悪さに固唾を呑み、序でに脱いで初めて判る細身ながら筋肉が絞り込まれ付いている事実に、筋肉が好きな訳ではないが逞しさを視て、お腹が熱くなるのを感じていた。

 

 ユートの分身は邪神……強壮たる【C】が取り憑く夢幻心母に突入した際に、グッチョグチョな触手から襲撃を受け、全身を隈無く犯されてしまった結果としてある意味、生体改造を受けてしまったに等しくて、それが魂にまで染み付いていたが故に、転生をしても変わらない状態である。

 

 女を悦ばせる事に特化をした巨根は、何処ぞの超絶美形主人公かニトロ砲かと云わんばかりのデカさで、しかも処女なら兎も角としてこのデカさなのに、相手には苦痛を碌に与えず挿入する事が可能であり、射精も割かし自由自在なレベルでコントロール出来る為、余程に早く相手が絶頂に至らない限り同時に絶頂する事も可能。

 

 更に精液に女を興奮させる成分が混ざっているらしくて、イケばイク程に相手は性的な興奮状態を維持されてしまい、気絶してしまうまで肉体を使ってしまうらしい。

 

 その量もエロゲの主人公レベルで、一回で子宮内を圧迫してしまうとか。

 

 また、その癖に子胤として見ると貧弱なのかデキ難い体質であった。

 

 本当に子供が欲しいなら一ヶ月間、飲まず食わず眠らずヤり抜いて射精を続ける必要があるくらいに。

 

 尚、ハルケギニア時代にユートの子供が何としてでも欲しかったガリア王国の王女、イザベラ・マルテス・ド・ガリアはそれを実践して見事に後継者となるであろう子を身籠った。

 

 戦いに行けば死ぬかも知れず、そうなれば何処ぞのガリア国内に於ける貴族のボンボンに抱かれねばならない上に、吐き気を催す事に子胤を受け容れて産まねばならなくなる。

 

 それが嫌で頑張った。

 

 それは最早、狂気の沙汰とも云えるであろう。

 

 実際、邪神戦役に於いてユートは二年間も帰っては来ず、妊娠して出産をしていなければ間違いなくそうなっていた流れだ。

 

 邪神戦役での英雄であるユートの子供だからこそ、寧ろ名誉や栄誉に拘りを持つ貴族を黙らせた。

 

 しかも、立派な後嗣たる男子だったからジョゼフは孫を王太子とする。

 

 第一王女たるイザベラと英雄ユートの子供であり、文句を付けそうな大公派は絶滅させられ、問題なんかも無かったらしい。

 

 それは兎も角として……様々な意味で性行為に特化したユートは無限リロードで精子が秒刻みに復活し、無限射精が出来てしまうから時間さえ有れば何人でも何発でもイケる。

 

 シアは肩を掴まれ抱き寄せられて、風呂に入る前にお互いを綺麗に洗いっこ。

 

 入ったら入ったで盛り上がる気分の侭、キスでそれを鎮めてあちこちを触り合っていた。

 

 そしていよいよシアの方も我慢の限界に達したら、風呂から上がって軽く拭いてから部屋に戻り、鍵を確り掛けた上で結界まで展開をしてベッドへ直行。

 

 シアの初めてを『戴きます』してしまった。

 

 初めてであるが故に行為は五発で終了、まだ慣れていないシアは三発目の絶頂を迎えて気絶する。

 

 他の二発は子宮ではない部分に放った。

 

 翌朝、ユートの腕の中で目を覚ましたシアは目覚めのキスをする。

 

 トロ〜ンと蕩けている瞳は魅力的で、朝勃ちしていたユートの分身が更に硬度を増した為、目覚めの一発をしてスッキリさせると、食堂で待つユエと雫と香織の三人に合流をして、宿屋をチェックアウト。

 

 ライセン大迷宮へと向かう前に買い物である。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 取り敢えずバラけて意味は無いし、全員で動く事になったのだが早速というか冒険者向きの店に向かう。

 

 普段着などの纏め買いが可能らしい。

 

 流石はキャサリンさんが勧めているだけあってか、品揃えは豊富、品質良質、機能的で実用的でありながら見た目も忘れずという、正しく期待を決して裏切らない良店である。

 

 だけど入店した途端……

 

「あらん、いらっしゃい。可愛い子達ねぇん。来てくれてお姉さん嬉しいぃわ、た〜ぷりとサービスをしちゃうわよぉ〜ん」

 

 化け物が居たのである。

 

 身長は二m強とかユートの本来の身長より一〇cm以上高く、全身にパンプアップでもされたのか如く、脹れ上がった筋肉という名の天然の鎧を纏う。

 

 ユートが細身のマッチョなら、此方はトランクスの第三形態超サイヤ人も斯くやなゴン太な筋肉だ。

 

 身近なら坂上龍太郎とか居るが、比べ物には決してならない程である。

 

 

 更にはすわっ劇画か? とか思うくらい濃ゆい顔、禿た頭頂部にはチョコンと一房の長い髪が生えてて、三つ編みに結わい付けられており、その先端をピンクのリボンで纏めている。

 

 彼? が動く度に全身の筋肉がピクピクと動いて、軋む音を立てつつ両手を頬の隣で組み、くねっくねっと吐き気を催すレベルにて動いていた。

 

 服装はシアのレベルで、ゴン太の腕と脚部と腹筋が丸見えの服装、香織の魂が抜け掛けるくらいに衝撃的な存在だったと云う。

 

 ユート以外は硬直した。

 

 香織は魂が抜ける寸前、シアはもう意識が飛び掛けてたし、ユエは奈落の魔物を越えた化物の出現に悲壮なる覚悟を決め、一戦を交える戦士の目をしている。

 

「……」

 

 雫は静かだ。

 

「あらあらぁ〜ん? どうしちゃったのかな四人共? 可愛い子がそんな顔してちゃだめよぉ〜ん。ほら、笑って笑って?」

 

 笑えねぇと言いたくなるのを堪える女性陣。

 

 凄まじいまでの笑顔で、身体をくねらせながら接近してくる化物に、遂に堪え切れなくなったユエは禁句を呟いていた。

 

「……貴方は人間?」

 

 ピシリと空気が凍って、化物が憤怒の表情から咆哮を上げる。

 

「どぅあ〜れが、伝説級の魔物すら裸足で逃げ出す、見ただけでSAN値直葬をされそうな化物だ、ゴラァァアアッッ!」

 

「……ご、ごめんなさい」

 

 ユエが恐怖から震えて、涙目になり後退っていた。

 

 シアはペタンと女の子座りで座り込み、少し下半身が冷たくなってしまう。

 

 香織は完全に魂が抜け、ユートが慌て積尸気転生波で繋がりを戻していた。

 

 そして雫は……

 

「……」

 

 実は立った侭で気絶中。

 

 ユエが、咄嗟に謝罪すると化物は再び笑顔? になって接客に勤しんでくる。

 

「良いのよ〜ん。それで、今日はどんな御品をお求めかしらぁ〜ん?」

 

 

「この娘の服を買いたい。丈夫で長持ちでデザイン的にも良さそうで、シア……この娘が今着ている服に近い物を頼む」

 

 平然とユートが注文し、化物はニコニコとへたり込んだシアを抱えて店の奥、彼? の領域へと連れて行ってしまった。

 

 結論だけ言うと化物……店長たるクリスタベル氏の見立ては見事としか言えないレベル。

 

 そもそも店の奥へ連れて行ったのも、シアが粗相をした事に気が付いたから、着替える場所を提供するという有り難い気遣いだ。

 

 

「いや〜、最初はどうなる事かと思いましたけど……意外に良い人でしたよね。クリスタベルさんは」

 

「……ん、人は見た目に寄らないもの」

 

「そ、そうだね」

 

「……」

 

 店を出た五人。

 

 シアとユエは絶賛して、香織も苦笑いをしつつ頷いているが、雫だけは未だに白目を剥いて気絶しておりユートに背負われていた。

 

「不意討ちで見たからか、一番ショックを受けたみたいだね」

 

「雫ちゃんの美意識からは対極だか……かな?」

 

 可愛いものが大好きで、実は香織より乙女チックなだけに、雫の脳が許容範囲を越えたのであろう。

 

 耐性は付いたから次なら大丈夫、それに行き成りの出会い頭でなければ普通に受け止めたと思われる。

 

 雫もそこまで柔ではないのだから。

 

「それに割と良い性格しているよ……な? 雫」

 

「ギクリ」

 

「雫ちゃん、口でギクリとか言う人は初めて見たよ」

 

 気絶は本当だったけど、ユートの背中で既に目覚めていながら、温もりを感じたくて気付いても寝た振りをしていた雫。

 

 ヤられて恋して乙女チック全開とか、雫の脳内葛藤で出した答えは歪である。

 

 だけど初めての相手に、雫は意味を見出だしたいと無意識に思い、ユートへの恋心に換えてしまったのは理解も出来た。

 

 所詮、恋心など無自覚な錯覚に過ぎないのだから、想いを持てばそれが恋だとも云える。

 

 仮に、本当に仮にレ○プされて堕ちたのだとして、それもまた恋なのだから。

 

 まだユートとの関係の方がマシであろうか?

 

 潤んだ瞳に朱に染まる頬でユートを見つめる雫は、確かな恋心に衝き動かされている様だし。

 

「優斗は平気だったの?」

 

「別にクリスタベルが僕に危害を加えた訳じゃ無し、あれが彼のスタンダードならそれで構わないからね」

 

「強心臓よね……」

 

「雫だって慣れりゃ問題も無いだろ。あれは出会い頭だったから驚いただけ」

 

「まぁね……」

 

 雫だって、普通にあれが失礼千万だとは理解する。

 

 だけど出会い頭に会って思わず気絶した、汗顔の至りとはこの事であろう。

 

 雑談しながら次は道具屋に回ろうと、一行が歩みを進め始めたら其処へ何人かの男がズラリと現れた。

 

 それは冒険者という風体の男が大半ではあるけど、その中には何故かどっかの店のエプロンをしている男も居る。

 

「宿屋に居た連中だな……それと冒険者ギルドに居たのも……か」

 

 ユートに覚えのある顔、【マサカの宿】で見た男共だと判断をし、更にギルドに居た男共も加わってた。

 

 いつの間にか数十人の男共に囲まれており、その内の一人が前に進み出る。

 

「ユエちゃんとシアちゃんとカオリちゃんとシズクちゃん……で名前は合っているよな?」

 

「……合ってる」

 

 訝しい表情となるユエ、亜人族なのに『ちゃん』とかで呼ばれて驚いた表情をするシア、自分の名前が出て小首を傾げている香織、そして呼び止められた理由を何と無く察した雫。

 

 ユエからの返答を聞き、男は後ろを振り返ると他の男共と頷いて、決死の覚悟でもした様な目でユエを、シアを、香織を、雫を見つめてきた。

 

 他の男連中も前に出て、誰かしらの前に出てくる。

 

 全員がまるで示し合わせたかの如く……

 

『『『『ユエちゃん、俺と付き合ってください!』』』』

 

『『『『シアちゃん! 俺の奴隷になれ!』』』』

 

『『『『カオリちゃん! 俺の嫁になって!』』』』

 

『『『『シズクちゃん! 俺をしばいて!』』』』

 

 何だか口説きに来たらしいが、各々で口説き文句が違うのは仕方がないとしてシアは亜人だからか。

 

 尚、奴隷の譲渡は主人の許可が必要となるのだが、宿でのやり取りからユートとシア仲が可成り良いのが周知されている。

 

 故に先ずは奴隷たるシアから落したら、主のユートも説得しやすいだろうと、そんな風に連中は思ったのかも知れない。

 

 対外的に奴隷としたが、シアは自由の身であるからユートに抱かれたのも己れの意志、何を言われようともシアの意志が揺らぐ事など有り得ないが、この連中はワンチャン有りとでも思っている様だ。

 

 告白を受けた四人は……

 

「……シア、香織、道具屋は此方」

 

「あ、はい。一軒で全部揃うと良いですね」

 

「でも大概はゆう君が用意するんだよね? 道具屋で何か入り用なのかな?」

 

 何事も無かったかの如くスルーし歩みを再開する。

 

「優斗、食料はどういったのを買うのかしら?」

 

「折角、料理担当が二人も居るんだ。調理から出来る野菜や肉類を買おうか」

 

 雫もスルー、ユートと共に食料品店へと向かった。

 

「ちょっ、ちょっと待ってくれ! 返事は!? 返事を聞かせてくれよ!」

 

「……断る」

 

「御断りですぅ」

 

「スッゴく嫌かな」

 

「莫迦じゃないの? 何で私にはMが来るのよ!」

 

 それは正しく一刀両断であったと云う。

 

『『『『ゲフッ!』』』』

 

 (いにしえ)の言葉でアウト・オブ・眼中だった訳で、殆んどの男が崩れ落ちてしまう。

 

 とはいえ、やはり諦めの悪い莫迦が悪足掻きをしたくなる程度に四人が美少女だった為、そういう莫迦が実力行使に出てきた。

 

「俺のモノにならないってんなら、力尽くででも俺のモノにしてやるぜっ!」

 

 アホで莫迦な男の雄叫びを聞き、他の男共の眼光も意味無く光を宿していた。

 

 ユエ達を逃さない様に、複数で取り囲むとジリジリ迫って来る。

 

 所謂、ルパンダイブにてユエへと飛び掛かってきた男だったが……

 

「漢女になるが良い」

 

 呟くユート。

 

 ドパン!

 

「ハウッ!?」

 

 手にした黒と赤を基調としたモーゼルカスタム……暴君の魔銃とも言われている自動式拳銃クトゥグアで男の“尊厳”を破砕した。

 

 ビクンビクンと股間から血を流しつつ痙攣する男、これが同じ男のする所業かと戦慄を覚える周囲。

 

「ユエもシアも香織も雫も……全員が僕のモノでね、無理矢理えちぃとかするんなら二度とヤれなくしてやる。もう一度言う、『漢女になるが良い!』……とな」

 

「……成程、良い手段」

 

 懲りずにまた襲いに来た莫迦に対し……

 

「……【凍柩】」

 

 水系統上級魔法で凍らせてしまう。

 

「お、俺は本気なんだ! 本気でユエちゃんが!」

 

 ニコリと男を魅了してしまう笑顔を浮かべ、何故か極一部のみの氷を溶かす。

 

「へ? どうして股間だけ溶かしたんだ?」

 

 その時、男は先程の男の末路を思い出してしまう。

 

「ま、まさか……そんな、まさか……嘘……だよね? ユエちゃん」

 

「……狙い撃つ!」

 

 風の礫を放つ魔法が股間に向けて放たれた。

 

「アバババババババババババババッッ!」

 

 軈て、永遠に続くかと思われた悪魔の集中砲火は、男の意識の喪失と同時に終わりを告げた。

 

一撃で意識を失わせずに、確実にダメージを蓄積させる風の魔法、それを正しく神業の如く“股間”へ放ったのである。

 

 ユエは指鉄砲を形作った人差し指の先を、フッ! と吹き払い置き土産にあの言葉を残した。

 

「……漢女になるが良い」

 

 その後も数人が男としての死を迎えて、第二第三のクリスタベル……謂わば後のマリアベルちゃん達が、誕生した瞬間であった。

 

『Happy Birthday!』

 

 鴻上社長の祝福が聴こえてきそうな程に。

 

 そしてユートとユエに、『股間スマッシャー』という二つ名が付いてしまい、これが後に冒険者ギルドを通し王都にまで名が轟き、男の冒険者連中を震え上がらせる事となる。

 

 スマッシュ・ラヴァーズ……略してスマ・ラブと、ユートは兎も角としてユエは原典通りに呼ばれる様になってしまうのだった。

 

 戦慄と恐怖と絶望を残してオルクス大迷宮に戻り、天蓋付きのベッドでシアも含めた四人もの美少女を、ユートはたっぷりと可愛がってやり、翌朝早くに迷宮を出てからライセン大峡谷へと向かう。

 

 そして遂に第二の大迷宮……【ライセン大迷宮】に足を踏み入れるのだった。

 

 

.

 




 ユートとユエが目出度くスマ・ラブに……


 

勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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