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「多分、これだな」
「若しかして仕掛け扉?」
「そうだ。でないとおかしいからね」
入口だと明言しながら、壁しか無い訳だから。
例の看板の有った場所、其処を基点に大迷宮の入口を捜していたが、それらしき窪みを見付けていた。
「入る前に変身しようか。ライセンでは魔力が分解されるから、一〇倍の強度で使わないといけないけど、仮面ライダーなら普通に使えるからね」
「成程」
雫は頷く。
特に魔法に頼りがちであるユエと香織、うんうんと頻りに頷いていた。
ユートの造った仮面ライダーの特性、魔力を変質させた別のエネルギーとする為に、魔力を分解するなどのデメリットを受けない。
AMFやアンティナイトといった、魔力や念力などを阻害する物は当たり前に出てくる為、別のエネルギーと化したら? と考えて組み込んだものだ。
目論見通りにAMF内でも魔法は使えた。
霊力や
「サソードゼクター」
《STAND BY》
地中からサソードゼクターが飛び出してきた。
「……サガーク」
フヨフヨと飛翔してくるサガーク。
「ザビーゼクター!」
ジョウントを通り空からシアの手に、ザビーゼクターが納まった。
香織は腰にジョーカードライバーを顕現させると、カードホルダーから一枚のカードを取り出す。
ユートはグリスの変身を解除していた為に、改めてネオディケイドライバーを腰に顕現させた。
準備をすませた五人は、その言葉を一斉に叫ぶ。
『変身!』
サソードヤイバーの鍔部に対し、サソードゼクターを合着させると……
《HENSHIN!》
サソードヤイバーを手にした左手を基点にアーマーが徐々に構築されていき、雫が仮面ライダーサソード・マスクドフォームの姿へと変わった。
ユエの腰にベルトとなって合着されたサガークの、右側に付いているスロットへジャコーダーをセットして引き抜く。
《HENSHIN!》
生き物というより機械的な音声で喋るサガークは、【運命の鎧】とも呼ばれるキバ系列最初期型サガを、ユエの小さな肉体に纏わせていき、大人サイズに伸びたユエの身長と共に、何処か女性的ラインのインナーを着てる仮面ライダーサガに変身をした。
シアは左手首のライダーブレスに、ザビーゼクターを合着させる。
《HENSHIN!》
左手首から装甲が構築、仮面ライダーザビー・マスクドフォームに変身した。
香織が持つカードとは、エヒトの使徒たるリューンを封じてるハートスートのカテゴリーA、【CHANGE】RYUNのカードだ。
普通なら種族名として、【CHANGE】APOSTLEでも良さそうだが、普通に名前で表示をされていた。
これは早い話が元のカードを【CHANGE】CHALICE、この様に書いてあるに等しかった。
この【CHANGE】RYUNを、ドライバーの中央に設置されたハート型で、緑色をしたスリットにスラッシュ。
《CHANGE!》
水のエフェクト付きによるモーフィングによって、今回は使徒リューンではなく仮面ライダーリューンとしての姿になる。
とはいっても独創性が低いユートは、仮面ライダーカリスの色違いに創造をした聖魔獣リューン。
聖魔獣の名前はリューンを封印してから決めた。
全体的に白で、アーマーなどが銀色、複眼は緑色のカリスだと思えば正解だ。
そしてユートはいつもの通り、ディケイドの絵柄が描かれたライダーカードをネオディケイドライバーへと装填……
《KAMEN RIDE》
ガシャン! とバックルを閉じる。
《DECADE!》
一八ものシルエットが顕れて、素体のディケイドへと一つになっていく。
緑色の複眼に黒のインナーにマゼンタカラーで左右非対称のアーマーという、仮面ライダーディケイドの姿に変わるユート。
「良し、皆……行くぞ!」
「ええ!」
「うん!」
「……ん、判った」
「ハイですぅ!」
ユートの言葉に返事をしながら、ライセン大迷宮を進み始める一行だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
始めの第一歩。
行き成り真っ暗闇の中、仕掛け扉な石壁がクルリと回って仕舞ったその瞬間、僅かな風切り音と共に……
「矢か」
全く光を反射しない様に小細工をした漆黒の矢が、侵入者を排除せんと無数に飛来してきていた。
受けてもダメージの一つも負わないが、黙って受けてやる義理も無い。
ソードモードのライドブッカーで切り払う。
闇の中でも関係無く見えている証明、ユート自身は夜目が利くのだとしても、実は聖魔獣の能力の一つに暗視が常備されていた。
よって、香織と雫の二人にもちゃんと見えてたし、ユエもシアも見えている。
一本の金属から削り出した造りで、二〇本もの艶の無い黒い矢が無造作に地面へと散らばり、最後の矢が地面に叩き落とされて再び辺りには静寂が戻った。
「艶消しか。これなら僅かな光でも反射はしないな」
拾った矢を観察すると、落ちていた矢も含めて自分のアイテムストレージに。
「あれ? 持ってくんだ」
「要らないけどね」
アザンチウム鉱石製ならまだしも、この矢の材質ではゴミにも等しい。
周囲の壁がぼんやりと光ると辺りを照らし出す。
一〇m四方の部屋内で、奥へと真っ直ぐに整備された通路が伸び、部屋の中央には石版が設置されてる。
外の看板と同じく丸い、女の子文字で……
【ビビった? ねぇ、ビビっちゃた? チビってたりして、ニヤニヤ】
【それとも怪我した? 若しかして誰か死んじゃった? ……ぶふっ】
「『ニヤニヤ』とか『ぶふっ』の部分が、深堀りされて強調してある辺りから、ひたすらにウザいな」
全員が一致した意見で、一斉に頷いている。
「パーティで踏み込んで、万が一にも誰かが死んでいたら、生き残りは怒髪天を衝く勢いで怒り狂うわね」
雫の目は笑ってない。
「本当にお茶目さんかな、かな?」
香織など背後にスタンドが顕れていた。
「ですぅ!」
「……ぶっ飛ばしたい」
怒り心頭で叫ぶシアと、静かに怒りを露わとしているユエ、全員が仮面ライダーだから表情こそ見えてはいないが、苛立ちは誰もが持っている事であろう。
「このっ、ですぅ!」
ブンブンゴガンッ!
ラケーテンフォルム相当の突撃モードなアイゼンⅡにて、シアが石板を破壊してやると下に何やら文字が掘られていた。
【ざんね〜ん♪ この石板は一定時間経つと自動修復するよぉ〜。プークスクス!!】
「ムッキ〜ッッ! 潰す、絶対的にぶっ潰して磨り潰してやるですぅっっ!」
余りの腹立たしさに興奮して絶叫をするシア。
「シアの奴、見事に迷宮の造り主を喜ばせる行動を取っているよな〜」
「仕方がないわよあれは」
ユートの呟きに雫が頭を振りながら言う。
兎に角、こうしていても始まらないとばかりに一行は大迷宮を進んだ。
「魔物が出ないな」
「ですぅ、オルクス大迷宮張りの魔物を想像していたんですけど……」
今ならある程度であればハウリア波をぶっ放して、魔物をぶちのめすくらいも可能だが、修業を始めて間もない頃は地獄だった。
ユートが【魔獣創造】で再現した魔獣の蹴り兎を、何とか一匹を斃したかと思えば、次から次に矢継ぎ早で出してきたデスマーチ。
聖魔獣ではなく飽く迄も魔獣なのは、きっとユートの優しさなのだろう。
激しく間違った優しさに思うシアだったが……
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
道なりに通路を進むと、ちょっとばかり広大な空間に出る。
階段や通路や奥へと続く入口が規則性も何も無く、ごちゃごちゃに繋がり合っていて、それはブロックを適当に組んで造られた様な場所であったと云う。
一階から伸びている階段が三階の通路に繋がっていたかと思ったら、その三階はと云えば通路が緩やかなスロープで、一階の通路に繋がっていたりする。
二階では階段の先が何も無い、単なるの壁に過ぎなかったりと、凄まじいまでに滅茶苦茶だった。
「随分と迷宮らしい場所、迷わす為には何だってやるみたいな迷宮だよ」
「……ん、本当に迷いそうになる」
ユートの吐く感想にユエが頷いた。
「ふん、流石は腹の奥底まで腐った奴の迷宮ですぅ。この滅茶苦茶具合が奴の心を表してるんですよ!」
「まぁ、でもな。ミレディの人格は生まれてから随分と経って形成されたから」
やはり怒り心頭ウサギに苦笑しつつ、ユーキ情報として得ていたミレディに関する情報を口にする。
「ミレディ・ライセンは、ライセン大渓谷周辺を領地とするライセン伯爵家に生まれた娘だ。父親は彼女の情操教育は施さず神代魔法を扱う装置みたいに接していたらしい」
「……神代魔法を扱う装置というと?」
「離れていても浮かして、渓谷に落とせる重力魔法。万が一に罪人が暴れても、危険無く処刑が出来るって寸法さ」
「な、何よそれ……」
「ミレディさんが可哀想過ぎるよ!」
ミレディの境遇には多分に同情的になる雫と香織。
「情操教育をしなかったのは淡々と、毎日連日に亘って処刑を繰り返すから精神が壊れかねないからだな。優しさからじゃなく、装置が壊れると勿体無いから」
「益々酷いよ!」
ミレディ・ライセンとはある時期まで、自分の境遇にすら興味を持たない子供であったが故に、香織からの言葉は当時だと響く事も無かったであろう。
「そんなミレディに楔を打ち込んだのがベル」
彼女の破天荒過ぎる行動に心乱され、少しずつだが心を形成していくミレディだったが、契機というのはいつか必ず訪れる。
ベルは父のライセン伯爵に捕らわれ、大峡谷へと落とされてしまった。
父親の言葉を無視して、ミレディはベルを捜すべく峡谷へと降り、ベルの死を以てある意味で完成する。
父親は神代魔法は惜しいが仕方がない……と言い、“無謀”にも余りに愚かしい事を命じた。
ミレディを処分せよと。
出来る筈が無いと何故、気付けなかったのか?
所詮はライセンの名が無くば何も出来ぬ無能故か。
ミレディは“ベルの様に笑い”ながら言った。
『廃棄処分? やれるもんならやってみればぁ?』
「当然ながら処分されたのは父親の方。オスカー・オルクスとの出逢いの数年前の話らしい、ライセン伯爵家が全滅したのは」
『願わくば……人が自由な意思の下に生きられる世界になりますように』
「ベルの遺言は【解放者】のキャッチコピーになり、だから映像でもオスカー・オルクスが言っていた」
「……確かに」
ユエも聞いている。
「そしてライセン大迷宮だけど、多分だが最初に攻略をするべき迷宮なんじゃないかと推測してる」
「どういう事?」
「先ず、魔物が出ない」
「? だから?」
ユートの言葉の根拠が解らない雫、香織もやっぱり理解に苦しむらしい。
「つまり、この大迷宮では魔物の心配をせず純粋に、迷宮攻略が可能なんだよ。トラップはキツいかも知れないが、それで死ぬのなら神代魔法を得るに足りないという事だね。【解放者】の目的は偽神エヒトルジュエを殺す意志を持ってて、それに足る力を持ち合わせる者に、
「成程……他は?」
「大迷宮の中には幾つかの【証】が無いと入れない、そんなのが有るのは【ハルツィナ大迷宮】でも判っているよな? だから明確な順番も有ると考えたんだ」
「確かにそうね。順番が無いなら【証】は要らない。【ハルツィナ大迷宮】は、七つの内で五番目に攻略をするべきって事?」
「早くても……な」
【証】は四つが必要で、再生魔法も必須となるのだけど、【メルジーネの証】と共に再生魔法を修得すれば同時に得られる。
勿論、これはどの大迷宮にどの神代魔法が存在するかを知っていればこそ。
下手をすれば最後回しになりかねない。
「次にミレディ・ライセンはゴーレムに魂を固着し、今も尚在り続けている事」
「そうなの?」
「数千年も生きてるんだ、凄いお婆ちゃんだね」
驚く雫は良いとしても、香織は少しズレていた。
ロリBBAなユエが胡乱な瞳で【凍柩】を放たんとするのを、シアが羽交い締めにして止めていたり。
「恐らくは見極めの為に、当時は【解放者】のリーダーだったミレディが残ったんだろう」
全員じゃなかった理由は判らないが、取り敢えずはミレディがわざわざ残った理由は見極めだと思う。
「それにこうやって呑気に話せるのは、この大迷宮に魔物が居ないからだしね。そういう意味でも最初に入る大迷宮なんだろうさ」
「そうかも」
何ならこの場でえちぃをしても構わないくらいに、トラップが無い場所は静寂に満ちていた。
「ま、どれも事前知識が無いと至れない答えだよ」
原典知識。
少しだがユートはそれをユーキから得ている。
「さぁ、進もうか」
ユートの呼び掛けに全員が頷いて進んだ。
迷宮探索の基礎中の基礎となるのがマッピングだ。
ユートが常々言っている『情報とは力也』、『未知こそが真の敵』というのも裏付けられる。
マッピング情報無しとはやはり迷宮ではキツい。
とはいえこの複雑な構造の迷宮で、正確にマップを作成出来るとも思えない。
だけどユートはステイタス・ウィンドウの【
フルスペックでないと、この機能の恩恵に与れないのだが、これを使った場合は3Dマップが展開され、更には最短距離を走らせてくれる攻略情報付き。
まぁ、トラップに関しては存在だけを報せる機能である為に、実際に見てみない事には判らない。
「躱せぇっ!」
丸鋸が壁や床を走る罠、躱せない程の速度や隙間ではないし、そもそもにしてその気になったら……
「おらぁっ! ですぅ!」
破壊も可能である。
壁は緑光石とは明らかに異なる鉱物で、薄青い光を放っているから物は試しに【鑑定】スキルを使ってみると、【リン鉱石】であると表示をされた。
『空気に触れると薄い青に発光する』てある。
暗闇だった最初の部屋、恐らくは何らかの処置をする事で、最初は発光しない様にしてあったのだろう。
「っ! Panzer hindernis……展開!」
直感、第六感とか云えるナニかに従いユートは雫と香織とユエとシアを近くに置き、真正ベルカ式の術式でバリア系防御魔法をとして黒い多面体を展開する。
その直後に、ユート達の頭上からギロチンの如く刃が射出されると、高速振動をしているらしくバターでも切るみたいに床に食い込んでいった。
直撃コースだった刃は、防御魔法に弾かれている。
ユートは舌打ちをして、他は全員が硬直していた。
「完全な物理トラップか。しかも二重に張られていたから気付けないとかな〜、マッピングシステムも完璧じゃない訳だし……」
この場のトラップが既に発動していた為、同じ場所に仕掛けられたトラップに気付けなかったユート。
「はぅあぅあ〜、し、死ぬかと思いましたぁ〜」
「……ん、私は死なない。でも痛いのは嫌」
「今のって魔法よね?」
「うん。【リリカルなのは】でヴィータちゃんが使っていたよね。あれは深紅だった気がするけど」
四人は漸く危機が去ったと知り、口々に息を吐き出しながら喋る。
「僕の魔力光は闇色だからだよ」
仮面ライダーに変身した際には、出来る限り他の力は使わない心算だったが、思わず使ってしまった。
「屈辱に思う前に自分自身の未熟を憂うべきだよな」
そして同じミスはしない様にするべきだ。
更に進んで行き左折をした一行。
「うぅ〜ん、何か嫌な予感がしますぅ。何と言うか、私のウサミミにビンビンと来るんですよぉ」
進む階段の中程まで進んだ頃に突然、シアがそんなことを言い出した。
シアのウサミミがピンッと立ち、忙しなく右に左にと動いているけど、彼女の天職は占術師だし某か感じている可能性もある。
「階段系トラップとなると……スロープか!」
ユートはすぐに雫と香織を脇に、右手にシアを掴んでユエを背負うと飛翔。
その本当に直後だった、ガコンと嫌な音が響いたかと思うと、行き成り階段から段差が消えていた。
傾斜が可成りのキツさな下り階段だったのだけど、階段の段差が思った通りに引っ込んでいて、スロープになっているではないか。
更には地面に小さな無数の穴が空き、タールらしき潤滑液が溢れ出していた。
「……フラグウサギ」
「わ、私の所為ですかぁ? 私が悪いんですぅ?」
「否、ナイスアシストだ。お陰で回避が出来た」
責めるユエの言葉に泣きっ面なシア、だけどユートからすればトラップに気付く切っ掛けである。
地面に降りて優しく撫でてやると、シアは照れ照れと肢体をクネクネさせた。
見た目はザビーだけど。
見た目はザビーだけど!
大事な事だから二回言いました的だが、シュールに過ぎる光景にサソードな姿の雫もカリスっぽい姿をした香織も苦笑い。
カサカサそんな嫌な音を立てる何かが存在するのに気付き、全員が階下を視てみれば夥しい数の蠍が蠢いているのが見えた。
体長は一〇cmくらい、謂わば普通の蠍だろう。
脅威は感じないのだが、何だか在り方がGっぽいからだろうか? 生理的嫌悪感は圧倒的に勝る。
ユートが翔べてないと、あんな蠍の海に飛び込んでいたかと思い、皆が全身に鳥肌が立ってしまった。
「嫌がらせにも程がある」
ユートの科白に全員で頷いており、ちょっと下を見たくたいからと天井の方を見遣れば、発光する文字が在るのに気が付いて読む。
【彼等に致死性の毒はありません】
【でも麻痺はします】
【存分に可愛いこの子達と添い寝を堪能して下さい、プギャー!!】
どうやらリン鉱石の比重を高くして書いた文字らしいのだが、薄暗い空間ではこの薄青い光が滅多矢鱈に目立つ事この上ない。
此処に落ちた者達は蠍に全身を這い回られながら、麻痺する身体を必死扱いて動かし、正しく藁にも縋る思いで手を伸ばすだろう。
そして発見をするのだ、こんな戯けた文字を。
黙り込む女性陣。
「余り相手にはするなよ。今はトラップ回避を喜べ」
「……ん、助かった」
「うう、ミレディめぇ!」
「遊びが好きみたいね」
「ちょっと巫山戯過ぎかな……かな?」
兎に角、横穴に入っていたユート達は先に進む。
「シアの【選択未来】……あれが何度も使えればいいんだけどね」
「うっ、練習はしているのですが……」
それはシアの固有魔法であり、仮定の先の未来を垣間見れるというものだが、一日に一回しか使用が出来ない制約付き、魔力消費め多大な為に余り使えたものではない固有魔法である。
とはいっても【閃姫契約】は済ませ、恒星が数個分の膨大なるエネルギーを扱えるし、練習次第では連続使用も可能かも知れない。
「仕方ないか。戻るよりもこの横穴を行くぞ」
「……ん」
「ハイですぅ」
「了解」
「行こう、皆!」
この先、視るも嫌らしいトラップが色々と有ると、少しウザいなと感じながらもリン鉱石の照らす通路、それをユート達はゆっくりと歩いて行く。
「面倒なトラップが多い。その割には嫌がらせレベルの蠍くらいしか居ない」
「確かに最初に入る大迷宮って感じよね」
まともに戦う魔物なぞ、オルクス大迷宮の表層部に於ける最上層の雑魚レベルも居らず、ユート達は始終をトラップ回避だけに注視が出来ていた。
この後も次から次へと、面倒臭いトラップが。
天井がまるっと落ちてくるトラップ、その後に有った石板の文字ときたら……
【ぷぷー、焦ってやんの、ダッサ〜い】
だったりしてシアがキレていたし。
特にスイッチを押したでもなく発動するトラップ。
定番な大玉スロープで、避ける事が出来ない大きさだったり。
シアが轟天モードにしたアイゼンⅡで破壊をしようとしたが、それはちょっと長さ的に振り回せないし、ユートが止めて先ずファイナルアタックライドによるディメンジョンキック。
第二陣を感知していたからシアには、ハウリア波を撃たせて破砕してやった。
まんま、かめはめ波だ。
「にしても金属製な上に、溶解性の液体をバラ撒いてくる大玉とか、直に触らなくて良かったと心底思う」
「ですぅ……」
そして入った場所から走り込み、出口を抜けた先に地面は無かった。
下にはヤバそうな液体を湛えたプール。
頭上からは溶解液を撒き散らす金属玉が降り注ぎ、プールへとドボンドボンと落ちていく。
それは煙を吹き出しながら沈殿していった。
「殺す気満々だな!」
飛べるのが嬉しいくらい殺意に満ちたトラップ群、それを抜けた先には長方形の奥行きがある大きな部屋となっている。
壁の両サイドには無数の窪み、その中に騎士甲冑を纏う数mばかりの像が立ち並んでおり、大剣や大盾を装備する如何にも騎士ですと謂わんばかりに屹立をしていた。
部屋の一番奥には大きな階段が、そしてその先には祭壇の様なな場所が有って奥の壁に荘厳なる扉
祭壇の上に、菱形の黄色い水晶の様な何かが設置をされていた。
「漸っとミレディの住処に到着したのかな? 周りの騎士甲冑は……きっと動き出すんだろうな」
「……大丈夫、御約束は守られる」
「それって襲われるって事ですよね? 全然大丈夫くないですよ?」
「優斗、どうする?」
口々に話すユエとシア、雫が話し掛ける頃には中央まで進んで、御約束は確かに守られたのである。
ガコン! と。
「やっぱりな」
「……ん」
騎士達の眼の部分がギンッと光り輝く。
金属の擦れる音を立てながら、窪みから五〇体もの騎士達が抜け出てきた。
「全員、下がれ。こいつらは僕が叩き潰すから」
「でも?」
「下がれ!」
「りょ、了解よ」
再び強く言われて雫は頷くしかない。
全員が部屋の始まりまで下がったのを感じ取って、ユートはディケイドの変身を解除する。
「ゆう君!?」
香織が驚く。
「
ユートの紡ぐ言葉に従う様に、まるでジョウントを抜けてくるゼクターの如く顕現をした緋色の騎神。
それはユートがある世界で斃し、魔王化の呪いを解いた際に自らが【起動者】となり手にした力。
【緋のテスタ=ロッサ】であったと云う。
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リリカルなのはで出そうとしている設定です。
実はありふれと軌跡と、どちらをやろうかと迷った末に此方を書いたので……
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる