ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 新年一回目です。





第35話:ミレディちゃんのへ〜んしん!

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 モットー・ユンケル氏の馬車とは別の馬車、性能は折り紙付きでユンケル氏の馬車が玩具みたいだ。

 

 正直、モットー・ユンケル氏は馬車に関しても食い付いてはいたが、シアでの失態からか恐くてユートに何も言えずにいた。

 

 護衛のユートは他の護衛と同じ馬車だから会話も侭ならないけど、ミレディはこの際だから謂わばユートの嫁と話そうと考える。

 

 ブルックの町から馬車で中立商業都市フューレン、其処までに掛かる日数とは約六日となっていた。

 

 太陽が昇る前に出発し、沈む前に野営の準備に入る事を繰り返す。

 

 それを既に三回繰り返しして、ユート達はフューレンまで残す処を三日の位置まで来ていた。

 

 ここまで特に何事も無く順調に進んでユート達は、隊の後方を預かっているが故に長閑なもの。

 

 今日も今日とてミレディは雫達と情報の擦り合わせを行い、必死にユート一行の彼是を憶えようとした。

 

 初日は雫らがトータスに召喚され、オルクス大迷宮に向かうまでの話を雫達がして、ミレディはライセンでベルに会ってから死に別れてしまい、オスカー・オルクスとの出逢いまで。

 

 二日目はオルクス大迷宮で奈落――真のオルクス大迷宮に落ち、ユートに初めてを捧げる契約をして護られながら、ユエとの出逢いや実際に初めてを捧げて、オスカー・オルクスの住処に辿り着くまでを。

 

 ミレディは【解放者】として、オスカー・オルクスやナイズ・グリューエンやメイル・メルジーナと出逢う旅路を話した。

 

 そして三日目……

 

 ライセン大迷宮に入り、ミレディと出逢うまでを語り尽くし、ユートとの性活の濃厚さを語る雫と香織とユエとシアの四人。

 

 真っ赤になりながらも、その気持ち良さにイカされ続け、余り自分達がユートを満足させていないのではないかという懸念。

 

 ミレディはヴァンドル・シュネーを名乗る男と出逢った事、ハルツィナ共和国でリューテュリスと出逢いラウス・バーンと出逢い、様々な事が起きたのを。

 

 更にミレディは一番気になる事を訊ねた。

 

「それで、君達のアレって何なのかな?」

 

「アレって……仮面ライダーに成る?」

 

「そう、それ。ユー君だって『通りすがりの仮面ライダーだ』とか言ってたし』

 

「えっと、何て言えば解り易いかしら?」

 

「この世界には無いしね」

 

 ミレディからの質問に、雫も説明の仕方をちょっと考えてしまうし、香織とて苦笑いを浮かべていた。

 

「私達の世界にはテレビっていうのが有るのよ」

 

「テレビ?」

 

「映像……と言っても判らないわよね。ああ、もう! 兎に角、架空の物語ってのが誰にでも観れるアーティファクトとでも思って」

 

「若しかして、オー君が造った現場を記録するアーティファクト?」

 

「っ!? あ、そう言えば……立体映像なオスカー・オルクスが説明をしてくれたわね。長々と反逆者であって反逆者じゃないとか、【解放者】についてとか」

 

「あれで物語を? 平和な世界なんだね」

 

「ちょっと違うけど、記録したモノを再生するというのは間違ってないか……」

 

 ミレディ的にはオスカーが延々と、某かの物語を語る姿が立体映像で映し出されるのを想像していた。

 

 全くの違うナニかだ。

 

「取り敢えず話を先に進めるわ。仮面ライダーという物語が在って、私達が変身していたのが仮面ライダーな訳ね。四〇年以上前に、【仮面ライダー】という始まりの物語が放映されてから爾来、【仮面ライダーV3】や【仮面ライダーX】や【仮面ライダーアマゾン】や【仮面ライダーストロンガー】や【仮面ライダー(新)】や【仮面ライダースーパー1】が放映されてきたのよ」

 

「随分と多いけど、どれが君達な訳?」

 

 何と無く理解したらしいミレディは、要するにその物語の仮面ライダーに実際に変身していると理解だけはしてくれる。

 

「どれも違うわ」

 

「ん? オリジナル?」

 

「いえ、放映された仮面ライダーに間違いないけど、今までに言ったのは次のも含めて【昭和仮面ライダー】の括りよ」

 

「【昭和】?」

 

「私達の国では象徴となる天皇陛下の在任中、一定の暦が使われるの。【明治】から始まって、【大正】、【昭和】、【平成】という具合に四回変わったわ」

 

 正確には元号自体はそれ以前からも使われてたが、明治維新から始まる歴史という意味では間違いない。

 

 尚、ユートが元の世界で死んでから六年後に当たる二〇一九年……平成天皇が存命中に天皇が代わって、元号は令和になって新たな【令和仮面ライダー】という括りが始まった。

 

「昭和は六四年間続いて、六四年目の途中から平成に変わった。【仮面ライダーZX】の一〇号ライダー祭りがあって、【仮面ライダーBLACK】が放映された。続編で【仮面ライダーBLACK RX】が放映、それ以降はテレビ放映されない形で、【真・仮面ライダー(序章)】、【仮面ライダーZO】に【仮面ライダーJ】にまで続いたけど、平成に製作されながら此処まで【昭和仮面ライダー】の括りよ。私達のは【平成仮面ライダー】に括られているのよ」

 

「本当に沢山だねぇ」

 

「【平成仮面ライダー】は更に多いわよ」

 

「はぇ?」

 

「平成第一号な【仮面ライダークウガ】以降は最低でも二人、多ければ一三人も新規に登場するから」

 

「はぁ?」

 

「しかも量産型的な意味で良ければ、同じのが一万人も居たりするわね」

 

「うわ〜、あのクソ野郎の狗が可愛く思える人数だ。総数は知らないんだけど」

 

 エヒトの使徒も量産型ではあるが、人数は一万人も居ないのだろう。

 

 少なくともミレディ達、【解放者】が知る限りは。

 

 早い話が総数を知らないのである、何故ならエヒトは当時だと【解放者】を追い詰めるのに、彼らが護るべきヒト種族を洗脳していたから。

 

 使うまでも無かった。

 

 ユートが相手にした使徒――リューンは、量産する過程での失敗作らしい。

 

 要するに必要スペックを満たさなかったのである。

 

 使徒共の基本スペックが全能力値が一二〇〇〇で、リューンを始めとする失敗作はそれより遥かに弱い。

 

 勇者(笑)が【限界突破・覇潰】を使えば対抗し得る程度のスペック、エヒトはそんな“不完全”なモノを失敗作と断じた様だ。

 

 まぁ、それでもこの世界の腕利きの能力から視て、桁違いなオーバースペックではあるのだが……

 

 少なくともメルド団長の二〇倍以上のステータス値だから、仮に彼が限界突破を使えても何ら意味を成さないのである。

 

 ユートの仮面ライダーは最低限が六〇〇〇前後で、元スペックが高い場合なら一五〇〇〇くらいにまではなっていた。

 

 【平成仮面ライダー】、これこそがユートの本領であろう。

 

 【昭和仮面ライダー】はディケイド以降から徐々に名前やらが出たし、実際に劇場版でも登場をしてて、リ・イマジネーションなら仮面ライダーアマゾンだって本編に登場済み。

 

 てつをだけどリ・イマジネーションな仮面ライダーBRACKとRXも。

 

 後は、仮面ライダーZXを主役に据えた漫画版。

 

 だけどやっぱり始まりは【仮面ライダークウガ】、死んだのが二〇一三年であり二五歳だったユートは、一九八八年生まれ。

 

 【仮面ライダークウガ】を放映時、一二歳であったからちびっこと呼ぶには少し薹が立っていたものの、【仮面ライダーフォーゼ】まで確り観てきた。

 

 雫は更に【平成仮面ライダー】のタイトル=主役の仮面ライダーの名前を挙げていく。

 

 【仮面ライダークウガ】〜【仮面ライダー鎧武】、今現在の放映されたモノ。

 

 尚、数ヶ月が過ぎた事で既に【仮面ライダードライブ】に変わっていたけど、それを雫が知る由などある筈もなかった。

 

 また、地球側でユーキが確り全話をCMカットした上に、最高画質で録画しているのは言うまでも無い。

 

 正に比翼の鳥にして連理の枝、ユートが欲する物を用意が出来るなら可能な限りはしてくれる。

 

「仮面ライダー龍騎ねぇ、一三人が何年か後に増えた……と? しかも擬似的なのを含めれば二人が増えてしまう訳だ」

 

 仮面ライダーの名を冠する事の無いオルタナティブとオルタナティブ・ゼロ、神崎士郎の造ったライダーデッキのデータを基にし、自らが造り上げた香川英行教授は、瞬間記憶能力を持つ一種の天才だった。

 

 神崎士郎のミラーワールドや仮面ライダーの資料、それを僅かな時間で盗み見て憶えたのだから。

 

 後は恐らく東條 悟が手に入れたタイガのデッキ、これも参考にしていたのは間違いないと思われる。

 

「そういえばミレディさんのは、どの仮面ライダーになるんだろ? 仮面ライダーは使徒と戦うのに必須とゆう君は言っていたよ」

 

「まぁ、ステータス値底上げになるからね。私も奈落で仮面ライダーサソードになってないと、あっさりと死んでいたのは実感をさせられたし」

 

「私も仮面ライダーリューンに成って、力が底上げをされたのは解るかな」

 

 はっきり言ってしまうと完成形たる使徒には若干、ステータス値が物足りないのだけど、本人が強くなればそれも加算される訳で、必殺技を当てれば普通に斃せるだけの力は有った。

 

「う〜ん、ミレディたんとしてはゼロワン系列が良いんだけどな」

 

「あ、やっぱり?」

 

 仮面ライダーゼロワン、ユートが変身したその姿に惚れたからこそ、オスカーやナイズとは仲が進まなくなったと云える。

 

 ならば、成れるならやっぱりゼロワン系列にと考えてもおかしくない。

 

「ゼロワン系列が良いならそうしよう」

 

「うわっ!? ユー君ってば聞いてたの?」

 

「偶々な。シアと香織には晩飯の準備を頼む」

 

「判りました」

 

「了解だよ」

 

 このパーティで食事を作る当番は無く、基本的にはシアと香織が協力をして作る事になっていた。

 

 ユートは今までの世界に幾つか、美食が主な所へと行った経験があるが故に、昔は出来ない訳ではないが極めて美味い訳でもない、そんな料理しか出来なかったし、そもそもは料理自体をやりたがらなかったが、そういう世界では仕方無くやっている内に、美味しい物を作れる腕前にはなる。

 

 その世界を出れば作らなくなるし、ユートの料理の腕前を知る人間は少ない。

 

 学園で料理バトルをする世界だったり、有り得ない程に食材が豊富な地球であったりする世界、新聞社が文化として美食を比較する世界、中学生が食堂経営をする親と共に暮らしながら料理バトルをする世界と、自分で料理しなくても済む世界が有ったが、幾つかはやるしかなかった。

 

 因みにだが、有り得ない程に食材が豊富な地球……其処で見付けた食材などはエリシオンで生態系を築いていたり、ユートの保有をする惑星型の機械生命体、ユニクロンの内部に創ったインナースペースで育てたりしており、その気になればいつでも食べられる。

 

 今現在、シアと香織が使う唐揚げ用の油もそれで、決して汚れず無制限に使える油だったり。

 

 当然ながら知識は有り、香織と雫はツッコミ待ちかと思った程だ。

 

 出来上がってきた料理はパーティで食する。

 

 他の護衛に御裾分け? しませんが何か?

 

 この日も特に何もない侭で野営の準備となった。

 

 冒険者達の食事関係とは即ち自腹である。

 

 周囲を警戒しながら食事を摂る為、商隊の人々としては一緒に食べても落ち着かないという事であろう、冒険者と別々に食べるのは暗黙のルールらしい。

 

 冒険者達も任務中は酷く簡易な食事で済ませてて、余り美味しいとは云えない燻製や硬いパンを水で飲み込む感じだ。

 

 凝った食事を準備するとそれだけで荷物が増えて、いざという時には邪魔になるからなのは当然の流れ。

 

 そんな侘しい食事をする代わりに、町に着いてから貰った報酬にて美味いものを腹一杯食べるというのがセオリーなのだと云う。

 

 だけどそんな事情なんてユート一行には無関係。

 

 そもそも護衛はユートが一人だけで受け、後方を進む馬車は単に付いて来ているだけのユートの連れで、いざとなれば護衛の真似事はするから、寄生パーティでもない雫達は確り料理を作って食べていた。

 

 ユートも当然ながら此方で食べていて、冒険者達は元よりモットー・ユンケル達すら羨む環境である。

 

 食材はユートが宝物庫から幾らでも出していたし、馬車の中は空間湾曲をした広々な部屋となっており、寝る時は脚を投げ出し謂わば大の字で眠れる程。

 

 まぁ、流石に護衛であるユートは其処までしない。

 

 だけど美少女が作る食事を美少女達と食べるなど、日照り続きな冒険者からしたら『巫山戯るな!』と叫びたくなる待遇。

 

 しかも日替わりで美少女による『あ〜ん』、涙無くしては語れないくらい悔しい思いをしていた。

 

 更には美少女の誰かしら護衛の代わりを任せつつ、明らかに馬車内では組んず解れつの『御愉しみ』だ。

 

 真夜中はユートが護衛をして、美少女達は眠りに就くけど所謂、ヤり疲れによる気絶後強制睡眠である。

 

 どんな護衛だと商隊から冒険者まで叫びたかった。

 

 自分達が硬いパンや干し肉を苦慮しながら食べている中で、美味しそうな温かい肉入りクリームシチューや柔らかい白パン、見るからに芳醇な香りが漂いそうなワインなど、シアと香織の女子力を存分に見せ付ける食事内容を見せ付けられるし、シアとイチャイチャしてどれだけ可愛がっているかを見せ付け、ユエとも身体をくっ付け合ったり、膝に乗せたりして可愛がって見せていた。

 

 勿論、純粋な人間にしか見えないミレディや香織や雫も同じく。

 

 そして夜中のアレだ。

 

 かといって護衛任務を蔑ろにしている訳でも無く、深夜の見張りと護衛は基本的にユートがやっている。

 

 つまり、それ以外は緊急時でない限り任務外。

 

 シアは御裾分けくらいしても良いのでは? と思わなくもないが、実質的には兎も角として対外的に奴隷の身分では、勝手な提案も当然ながら出来ない。

 

 冒険者達もユートに何か言えたりしないのだけど、それは初日に見せ付けられた仮面ライダークウガ・アルティメットフォームによる威容と、ユートから発せられた凄まじい殺気に怯えてしまっていたからだ。

 

 仮面ライダークウガに関しては、腰のベルトが特殊なスーツやアーマーを瞬間装着させる自作アーティファクトだと説明された為、あの異形は飽く迄も鎧兜の類いであり、化け物や怪物や魔物ではないとされた。

 

 事実として雫がサソードヤイバーとサソードゼクターを用い、仮面ライダーサソードに変身して見せて、鎧兜だと証明している。

 

 どう見ても人工物であるサソードヤイバーとサソードゼクター、アークルも同じく人工物ときては信じるしか無かったのだ。

 

 身体強化の魔法が掛かるパワーアシスト機能付き、高硬度な鎧兜による防御力などを持ち、それぞれ別に特殊能力を備えた魔導具、アーティファクトとなればモットー・ユンケルとしても目を輝かせたものだが、ユートの殺意に怯えて何も言えなかった。

 

 黒い複眼のアルティメットフォーム、それは原典の五代雄介が脳裏に視ていた破滅型のクウガ。

 

 聖なる泉が枯れ果てて、即ち人間としての優しさを喪った姿であり、【凄まじき戦士】にして【究極の闇】と成り果ててしまった、グロンギ一族のン・ダグバ・ゼバに等しい存在。

 

 勿論、本来のクウガでは無いにせよ原典の写し身、能力は普通に同じだった。

 

 あの凶悪なパイロキネシス……プラズマ化で発火させる超自然発火現象は特に恐怖の象徴足り得る。

 

 ユートとしては御裾分けを欲しいなら、確り自らが頼みに来た場合は考えなくもないのだが、物欲しそうな目を向けたからといって食わせてやる気なんかは、一切合切無いのだった。

 

 此方から譲歩をする理由など、そもそもにして何処にも無いのだから。

 

 其処へやって来る男。

 

「ああ、恥を忍んで頼みたいのだが……」

 

「何だ?」

 

「モチベーションを保つ為に食事を分けて頂けないか……と思ってな。勿論だが代金は支払わせて貰う」

 

 

 冒険者のリーダー格らしきガリティマが、遂に我慢の限界にきたのかユートへと頼みに来る。

 

「……シア」

 

「ですぅ?」

 

「連中にパンとクリームシチューを分けてやれ」

 

「はい、ですぅ!」

 

 使い捨ての皿にクリームシチューを盛り、白パンを添えてガリティマを含めて一四人の冒険者へと配って回った。

 

 その後はモットー・ユンケルからも請われ、食事を同じように分けてやる。

 

 冒険者達は貪る様に夕飯として食べた。

 

「うめぇ!」

 

「これが究極のメニューというものか?」

 

「正に至高のメニューだ」

 

「何たる、何たる!」

 

 静かに食えない連中だ。

 

「一人一食で八〇〇ルタ、一一二〇〇ルタになるぞ」

 

「了解した」

 

 ぼったくりではない。

 

 この世界の貨幣価値は、どうやら一ルタ=一円で良いみたいで、つまり一食で八〇〇円なら良心的だ。

 

 内容はクリームシチューにパンにワイン、御代わりは無しでの価格設定。

 

 外食したと思えばこんなものであろう。

 

 況してや、シアみたいなとんでもないレベルの美少女によそって貰えたので、正しく至福の刻と云えた。

 

 それから二日が経過し、道程が残す処は後一日程度になった頃、長閑な旅路を壊す愚かにして無粋に過ぎる襲撃者が現れる。

 

「敵襲です! 数はざっと百以上っ! 森の中から来ますぅ!」

 

 異変に最初に気が付いたのはシアだ。

 

 街道沿いの森の方へと、シアがウサミミを向けながらピコピコと動かしたら、ポケッとした表情を一気に引き締め警告を発した。

 

 その警告に冒険者達の間には一気に緊張感が走る。

 

 現在、通っている街道は森に隣接してはいるが其処まで危険な場所ではなく、大陸一を誇る商業都市へのルートな為に。道中の安全はそれなりに確保されているくらいだ。

 

 魔物に遭遇する話はよく聞くものの、その数も精々が二〇体前後でしかなく、余程に多くても四〇体程度が限度の筈である。

 

「くそっ、百以上だと? 最近、襲われた話を聞かなかったのは、勢力を溜め込んでいたからなのかよ? くそったれ! 街道の異変くらい調査しとけよな!」

 

 護衛隊のリーダーであるガリティマは、悪態を吐きながら苦い表情となる。

 

 商隊の護衛はユートを含めると全部で一五人。

 

 臨時に加えて香織と雫とユエとシアとミレディを含めて二〇人、この人数では商隊を無傷で守り切るというのは可成り難しい。

 

 戦争は数だと云われている通り、単純に物量で押し切られるからである。

 

 温厚の代名詞の兎人族であるシアを、普通に戦力として勘定をしているのは、ブルックの町にて【シアちゃんの奴隷になり隊】とか巫山戯た一部過激派による行動にぶちキレたシアが、その拳に強化のオーラを纏って、逐一と湧き出てくる変態達を吹き飛ばしたという出来事が、畏敬の念と共に冒険者達に知れ渡っているからだとか。

 

 ガリティマがもういっその事、部隊の大部分を足止めにしてでも商隊は逃がそうと考え始めたそんな時、考えを遮るようにユートの声が響いてくる。

 

「何かしら迷ってるなら、僕達が何とかしようか?」

 

「な、何?」

 

 余りにも気軽い口調で、まるで信じられない提案をしたユートに、ガリティマはその提案の意味を掴みあぐねてしまい、間抜けな声で聞き返してしまった。

 

「僕らが殲滅の為に前線に出るから、ガリティマ達は此方を抜けた魔物を斃してくれれば良い」

 

「な? い、いや、それは確かに……この侭では商隊を無傷で守るのは難しいのだがな。そんな事が本当に出来るのか? この辺りに出現する魔物はそれほど強いわけではないだろうが、数が百を越えていては……どうにもな」

 

「この商隊の護衛リーダーはガリティマ、アンタだ。アンタが決断をしないと、要らない犠牲が出るぞ?」

 

「くっ!」

 

「心配するな。僕は出来ない事を出来るとか抜かす程に見栄っ張りじゃない」

 

「……頼むぞ」

 

「ああ、任せろ」

 

 あの仮面ライダーの威容やユートの殺気、ガリティマはこれに賭ける事を決めたらしい。

 

「さて、僕の【閃姫】たる諸君! 漸く退屈から解き放たれる。敵は魔物が僅かに百匹か其処らでしかない訳だが、ちょっとした運動には丁度良いだろう」

 

 全員が苦笑い。

 

 相手が知性体なら煽りでしかない科白だ。

 

「シア、距離は?」

 

「そろそろ接敵ですぅ!」

 

「なら、来い! ガタックゼクター!」

 

 ブブブブブと羽根を震わせる様な音を響かせつつ、ジョウントから抜け出てきた蒼いクワガタ。

 

 右手に掴んだユートは、ゼクターベルトに。

 

「変身!」

 

《HENSHIN!》

 

 仮面ライダーガタック・マスクドフォームに。

 

「サソードゼクター!」

 

《STAND BY》

 

「ザビーゼクター!」

 

「……サガーク」

 

 それぞれに喚ぶ。

 

 香織は腰にジョーカードライバーを装着、カードを取り出して中央のスリットへとスラッシュ。

 

「変身!」

 

《HENSHIN!》

 

 雫はサソードヤイバーへとゼクターを嵌め込むと、仮面ライダーサソードの姿に変身をした。

 

「変身!」

 

《HENSHIN!》

 

 シアはザビーゼクターをライダーブレスへ合着し、黄金色を基調とした仮面ライダーザビーに。

 

「変身!」

 

《HENSHIN!》

 

 自らがベルトに変化したサガーク、その右側に空いたスロットへジャコーダーを差し込んで抜くユエは、仮面ライダーサガと成る。

 

「変身!」

 

《CHANGE!》

 

 スラッシュされた途端、水が霧の様に変化をするとモーフィング、仮面ライダーリューンに成る香織。

 

「あれ? ミレディちゃんは何にも無いよ……」

 

「これを使うと良い」

 

「これは?」

 

「取り敢えず造った間に合わせ、サイクロンライザーって名前だ。それにロッキングホッパーゼツメライズキーも渡しとく」

 

「えっと……」

 

「腰に据えればベルトになるから、装着したら使い方は頭にラーニングをされる筈だよ」

 

「わ、判ったよ」

 

 言われた通りにすると、確かに理解が出来た。

 

《ROCKING!》

 

 ライズスターターを押すと電子音声が響く。

 

 ロッキートビバッタを模したロストモデルが顕れ、ミレディはサイクロンライザーへゼツメライズキーを嵌め込み、赤いレバーを引いてやった。

 

《FIRST RIZE》

 

 ロストモデルを突き破りミレディと合着。

 

《ROCKING HOPPER!》

 

 深藍色の鎧と仮面に複眼はマゼンタの異形。

 

《BLAKE OVER》

 

 仮面ライダー1型。

 

 ユートは取り敢えずという感じに得た情報だけで、フォースライザーを基――本来は逆だろうが――にして作製したサイクロンライザーと、ロッキングホッパーゼツメライズキー。

 

 ミレディ・ライセンは、そんな不安定極まりいだろうベルトで、ゼロワン系列の仮面ライダーに成るのであった。

 

 

.




 実は劇場版は観れてないので情報が少ないのに……仮面ライダー1型を何故に出したのか?


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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