ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 中々、進みません。





第39話:優花の悩み事と決断の刻

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 【水妖精の宿】に於ける宿泊施設、その一室で重なり合う二人分の人影。

 

 ベッドは白いシーツを乱しながらギシギシと軋む音を響かせており、人影の方はそれなりの時間を同じ形で保つが、暫く刻が経つと形を変えつつ再びギシギシとベッドを軋ませている。

 

 艶を含む甘い声が上がっていて、人影が形を変える直前には一際に大きな声を上げていた。

 

 始まってから数時間後、漸くベッド上での男女相撲が終了した為、二人は布団を腰の辺りまで掛けると、抱き締め合う様に腕を回してお互いが肌の温もりを感じつつ、女性の方は汗だくになりながら満足気で気だるい表情になり、頬を朱に染めて男の胸板に顔を擦り付けている真っ最中。

 

 男は終わってからも軽くコミュニケーションを……早い話が後戯と呼ばれているプレイ中である。

 

 こういうコミュニケーションは大切だと、必ずこうして抱いた女性の“全員”に行っていた。

 

 一対一でも一対複数人でも必ず……だ。

 

 荒い息を吐いていた女性――愛子先生は、相手の男――ユートを見上げながら膨れっ面となり口を開く。

 

「ああやって女の子を増やすんですね、優斗君は」

 

「今回みたいなのは滅多に無いよ。ユエは知っての通りだったし、シアの場合は対外的な奴隷としてでないと連れ歩けない。ミレディはライセンの名前から判るだろうが、嘗てオスカー・オルクスの仲間で【解放者】のリーダーだったのが、独りでゴーレムに魂を宿して生き永らえていたのを、先ずは勝利してミレディの立場を明確にしつつ肉体を与えてやったんだ」

 

「確かに聞きましたよ? ですけど……」

 

 不満そうな愛子先生だったが、自分が離れていた間に女の子が二人も増えて、ちょっとしたヤキモチといった処だろう。

 

 『先生として』と言いながらも、やはりオルクス大迷宮で抱かれ続けていたからか、すっかりユートへと執着が湧いているらしい。

 

「言っておくけど僕には、そもそもそんな相手がそれこそ何百人と居るよ?」

 

「ふぐぅ!?」

 

「最初の人生では知らないだけで許嫁はいたみたいだけど、ちゃんと付き合った恋人すら居なかった」

 

「そ、そうなんですか?」

 

「ハルケギニア時代からは貴族であったし、甲斐性さえあれば複数人でも娶る事は出来たからね、それこそ正妻を二人に側室をそれなりの人数、妾となると数えるのも億劫になるくらい」

 

「そんなに!? っていうか正妻が二人って?」

 

 驚愕に目を見開いてしまう愛子先生に、苦笑いを浮かべているユート。

 

「元々ド・オルニエール子爵家に僕は産まれたけど、ラ・ヴァリエール公爵家の次女カトレアと婚約をしてね。本人は病で療養の為にラ・フォンティーヌで一代限りの子爵位を与えられてくらしていたんだが、僕が病を治すのに奔走した結果として完治、婚約してラ・フォンティーヌを貰う予定になったんだ。だけど戦とかで戦功も有ったから最終的には大公に、だからラ・フォンティーヌ大公家をカトレアとの間に産まれた子供が嗣ぎ、ド・オルニエール子爵家を長年メイドをしていたけど騎士爵とか騎士候とか勲爵士と呼ばれているシュヴァリエになって、貴族になれたからシエスタという子が産んだ子供が嗣げる事になったんだよ」

 

 だから正妻が二人だ。

 

「そうだったんですね」

 

 頭がパンクしそうだが、それでも咀嚼をして自分の中で組み立てる。

 

 尚、最終的にラ・ヴァリエール公爵家に産まれた娘は四人となるが、三女たるルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールを除いた三人共、ユートが貰い受ける話となってしまい、ラ・ヴァリエール公爵家は四女カリンとユートの子供が嗣いだ。

 

 それは兎も角……

 

「今現在の人生でも僕は、始まりの世界たる再誕世界で近衛木乃香と結婚をして居るし、子供を成しただけの相手も何人居るんだよ。何より埼玉県麻帆良自治国は重婚がアリだったから」

 

「え゛?」

 

 自治国だけあり法律自体は基本的には日本のものを踏襲していたが、婚姻に関する法律は独自のものであったし、他にも幾つか違った法律も存在していた。

 

「そして僕は麻帆良自治国の所謂、王様みたいな立場だったからね」

 

「お、王様……ですか?」

 

「愛子先生にも理解が出来たかな? 今更ながら増えても変わらないんだよ」

 

「はふぅ……」

 

 最早、絶句するしかない愛子先生は思わず溜息を吐いてしまう。

 

 そんな姿も可愛らしく、ユートのムスコ様がムクリと元気良く勃ち上がって、愛子先生のお腹を圧迫。

 

「……あ」

 

 硬くなり天を衝くムスコに気付き、愛子先生は小さく吐息を漏らしつつ紅く頬を染めていた。

 

 再開される相撲大会で、今度こそ意識を失ってしまった愛子先生を、ユートは優しく撫でながら取り敢えずの眠りに就く。

 

 お悩みな優花。

 

 契約の下に、チェイスがデビッドの妹を此方へ呼び出す算段を考えたり。

 

 翌朝、朝食を摂ってから朝早くに北山脈地帯を目指す心算であるユート達の前には、何故か出立準備を整えた愛子先生と愛ちゃん護衛隊のメンバー。

 

 即ち……

 

 園部優花。

 

 宮崎奈々。

 

 菅原妙子。

 

 玉井淳史。

 

 そして護衛対象となってる愛子先生を含む五人だ。

 

「何で居るんだ?」

 

「私達も行きます」

 

 ムン! と薄い胸を張りながら答える愛子先生。

 

「あのさ、僕らは別に遊びに行くんじゃないんだよ。フューレンで受けた冒険者依頼の任務遂行の為だ」

 

「勿論、判ってますよ〜。昨日の夜にそれは聞きましたからね」

 

「依頼内容は不穏な北山脈地帯の調査に出た冒険者が行方不明で、その中に素人な貴族の三男坊が混ざっている為、ギルドと伯爵家の双方から捜索依頼が出た。一人は素人とはいっても、受けた冒険者はプロだったんだ。それが行方不明という事は潰滅したんだろう」

 

「うっ!」

 

 玉井淳史が怯む。

 

「当然だけどこの意味が解るよな? ランクは聞いてないが、恐らく最低であれ黒ランクの冒険者だろう。それが潰滅って事は相当に厄介な事が起きてるんだ。作農師の出る幕は無いし、優花達も僕の造った魔導具で底上げされた処で精々、三桁のステイタスだろ? せめて三つは四桁じゃないと話にもならない」

 

 ステイタスは筋力と体力と耐性と俊敏と魔力と魔耐の六項目、つまり半分くらいは四桁でないと駄目だと言っている。

 

 真なるオルクス大迷宮ではないし、ライセン大峡谷の魔物よりは強いにしても恐らく通常の相手ならば、それだけあれば足手纏いにならないと考えたのだ。

 

 飽く迄も足手纏いにはならない……と。

 

 はっきり言ってしまうと戦力には考えていない。

 

 勿論、身内ならライダーの力を与えても構わないのだが、この中で与えられるのは愛子先生のみであり、優花も一応は候補ではあるものの、まだ渡すには少しばかり足りていない。

 

 せめて初めてを捧げるのを躊躇わないくらい想いを持つか、若しくはもういっそ処女を捧げるか。

 

 そうなれば仮面ライダーは最低限でも数値が数千、ハウリア族に与えた量産型でも三千にはなる。

 

 余程の強敵か或いは数でもなければ充分な戦力。

 

 とはいえ、ユートが確かめてみた限りでも強化無しな素のステイタスであれ、筋力が六〇〇〇〇と高いという事が実は判明したし、雫達も仮面ライダーに変身すれば八千とか高い数値をプラスされるし、技能なども派生を増やしたりした。

 

 だからちょっと強い程度の魔物に後れは取らない。

 

 そしてそれは彼の冒険者のチームも同様な筈だが、其処へ冒険者に憧れるとか莫迦な貴族の素人が入り、恐らくはそれが原因で潰滅したのだと考えられる。

 

 素人を護りながらでは、本来の力を発揮も出来なかったろうし、何より脇目も振らずに逃げ出す事すらも出来なかったのである。

 

 貴族の糞餓鬼の所為で。

 

 分を弁えない愚か者による潰滅、更に云うなら此処にも五人ばかり居る。

 

 愛子先生も多少は抱かれて能力も上がっているが、そもそも戦闘訓練を受けてないから余り強くない。

 

「だいたいにして馬なんかでは追い付けないぞ」

 

「どういう事? まさか、走る方が迅いとか言うんじゃないわよね?」

 

 優花が訝し気に訊いてくるが……

 

「ある意味ではそうだな」

 

 アッサリと肯定した。

 

「僕の俊敏は七三〇〇〇、普通に馬よりも迅く走れるからなぁ」

 

「はぁ?」

 

 通常のステイタスプレートでは計れなかった数値、ユートはこの超量産型であるアーティファクトを改良してみたのだ。

 

 

ユート・オガタ・スプリングフィールド

 

レベル:???

 

???歳 男

 

天職:天魔真王

 

職業:冒険者 黒ランク

 

筋力:60000

 

体力:48000

 

耐性:42000

 

敏捷:73000

 

魔力:160000

 

魔耐:320000

 

技能:???

 

 

 

 これが判明したユートのステイタス、技能は多過ぎて表示が完全にバグっているらしくて、ユートが改良したステイタスプレートでもクエスチョンになるだけであったと云う。

 

 魔力がアホみたいな高さであり、それに伴い魔耐が高いのはカンピオーネとしての特性だと思われる。

 

 また、三万程度かと思ったら結構な数値の筋力。

 

 この分だと、アルティメットクウガの筋力も予想よりは高そうだ。

 

「な、何じゃこりゃ?」

 

 見せられたステイタスプレートの数値に、玉井淳史は頭を抱えてしまう。

 

 トータスの一般的な数値が10か其処ら、騎士団長だったメルドがあの年齢まで頑張った300程度で、玉井淳史も600とか叩き出して強いのだと思っていたのが、まさかの桁違いな数値である。

 

 それも百倍とか。

 

「どうなってんだよ!? レベルも判らないし……ってか、天職の天魔真王ってのは何なんだ!?」

 

「数値に関しては超々頑張った結果だな。天職は僕が真王だったからだろうが、天魔がどっから来たのかは僕も知らん。日本に第六天魔王なんてのも居たけど、僕はあれとは殆んど無関係だからなぁ」

 

「織田信長かよ……」

 

 そもそも天魔真王とは、別世界のユートが天魔王を討った際に得た称号。

 

 それが故にユートが判る道理は無い。

 

「魔力や魔耐はどうなってるんだ?」

 

「神を殺したからだな」

 

「は? 神殺しで魔力とかが上がるって、お前は何処のカンピオーネだよ!?」

 

「何処と言われてもな……この身は神殺しの魔王で、カンピオーネなのは間違いないんだよ」

 

「……マジ?」

 

 普通ならジョークの類いか単なる嘘吐き呼ばわり、然しながら数値が嘘である事を否定する。

 

 千や万すら越えて十万、三桁が精々な玉井淳史からしたら正に化け物と呼ぶしかなく、勇者(笑)ですらも一蹴した実力の裏付けにはなるものだった。

 

 まぁ、アルティメットなクウガもそうだから正しく化け物でしかない。

 

(っていうか、俺らの地球ってんな物騒だったのか? 神様が闊歩するとか)

 

 実に誤解である。

 

「そういや、仮面ライダーに成れるから神様も殺れたのか? 仮面ライダーWに成っていたし」

 

「んにゃ、仮面ライダーの力はもっと後で手に入れたんだよ」

 

 とはいっても、前世では仮面ライダーディケイドの力を得ていたし、あながち間違ってるとも云えない。

 

 だけど仮面ライダーWに限定すれば、可成り後になってから手に入れたという話に嘘は無かった。

 

「だいいち、仮面ライダーに成ったからって神を殺れる訳じゃないしな」

 

「そりゃそうか……」

 

 能力的には其処まで高い訳ではないのだ。

 

 尤も、エヒトの使徒より弱いにせよ戦えない程でもなかったが……

 

 必殺技なら当たりさえすれば、確実ではないが斃せるだけの火力がある筈。

 

「それで、走るんじゃないみたいだけど……」

 

「話を戻せばこういう事」

 

 ユートは優花の言葉に、アイテムストレージ内からマシンディケイダーを喚び出した。

 

「バ、バイクゥ?」

 

「という訳だ。確かに馬は人間よりは速いかも知れないが、流石にバイクには敵わないだろう? 況してや生物であるからには疲労もするだろうしね」

 

「バイクは反則でしょ」

 

「そうは言われてもな? ほら、仮面ライダーだからバイクは必須ってね」

 

 現在、放映中である筈の【仮面ライダードライブ】は主に車だけど。

 

「とはいっても、愛子先生はどうしても行きたい?」

 

「はい。えっと……昨晩にも言いましたが、清水君が行方不明となってから町でも捜索はしていましたが、一向に見付かりません」

 

 昨晩……と言った処で、愛子先生が紅くなる。

 

 睦み愛の後の後戯中に、農作業だけでなく清水幸利の捜索をしているのだと、割と素直に話していた。

 

 尚、睦み愛の真っ最中は頭の中が真っ白になって、腰を振るだけのおバカさんになる為に、そもそも会話が成立しなくなる。

 

 後戯中も際どくて敏感な部位をいじめられるから、途切れ途切れな嬌声混じりの報告だったが……

 

「清水……ね。確か闇術師だったか。実力はそれなりに有ったんだったよな?」

 

「ええ、だから攫われたとかは多分だけど無いわ」

 

 優花が質問に答える。

 

「序でに言えば寝込みを襲われたってのもねーな」

 

「室内は綺麗だったしね」

 

 玉井淳史と宮崎奈々が、優花の言葉に追従する様に情報を伝えてきた。

 

「だとしたら自発的に出て行った訳か。なら放って置けば良い、餓鬼じゃあるまいし……とはいかないか。僕の勘ではな」

 

「勘って何だよ?」

 

「神殺しの魔王は戦いに於ける勘が凄まじいんだよ」

 

「戦いって、神殺し!? え、あれってマジだったのかよ!?」

 

 まさかまさかのモノホン発言に驚きの玉井淳史。

 

 ほんの冗談の心算で――『俺らの地球ってヤベー』とか思っていたし、ユートがカンピオーネだとは思う筈もなかった。

 

「仕方がないか」

 

 ユートは此処に来た際にも乗ったキャンピングバスを出すと、慣れた手付きで内部の雑魚寝しか出来ない客室の準備をする。

 

「えっと……ゆ、緒方君? このミニバスは?」

 

「愛子先生達を連れて行けば良いんだろ? こいつなら皆が乗れるからね」

 

「は、はぁ……」

 

 促されて乗ったらやはり驚愕をしてしまう内部で、愛子先生も優花達も開いた口が塞がらない。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「雑魚寝……ね。香織達は二階や三階に個室を貰っているのよね?」

 

「そりゃ、彼女らは曲がり形にも【閃姫】だからな」

 

 やはり不満は有るもの、優花が文句を言ってきた。

 

「【閃姫】って言われてもピンとこないわ」

 

「恋人や細君や愛人の事。【閃妃】というのも有るんだが、此方はその世界にて正式に婚姻を結んだ乃至、緒方をそういう意味で名乗っている者の事だね」

 

「その世界って……優斗が転生者で違う世界出身なのは聞いていたけど、幾つも世界を回って奥さんも沢山って訳?」

 

「沢山って程じゃないな。例えば立場上、どうしても正式に婚姻しないといけない娘も居たんだ。例えば、アトリエ世界のシア・ドナースターク。再誕世界での近衛木乃香。ハルケギニアのカトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ」

 

「何か、全員を識っているんですけど……」

 

「まぁ、アニメやゲームや小説で聞く名前だしな」

 

「ホントなんだ。香織達からも聞いていたんだけど、つまりはこの世界も?」

 

「【ありふれた職業で世界最強】というタイトルで、ラノベとして描かれている世界観らしいね」

 

「ありふれたって事は……主人公は錬成師の南雲?」

 

「当たり。本来ならハジメがオルクス大迷宮で奈落に独り落ち、孤独と痛みに耐えながらユエと出逢ったって感じらしいな」

 

「……南雲は落ちなかったわね。代わりに優斗が落ちたって事かぁ」

 

「それで色々と変わった。ハジメなんか人格からして変わっていたみたいだし」

 

「判らないもんよね」

 

 優花は香織達よりは冷静に受け止めたが、それというのも香織と雫が既に受け容れていたからである。

 

「何はともあれ個室が欲しければ【閃姫】になる事、それが一番の早道なんじゃないかな」

 

「せ、【閃姫】にって……つまり優斗と?」

 

 それを意味する処を知るが故に、優花は真っ赤な顔になり口を噤んでしまう。

 

 吝かではないのだけど、見た目は如何にも遊んでいそうギャルっぽい風貌をしながら、実は純情で可憐な性格をしているだけに羞恥から動けなくなった。

 

「本当に可愛いよな優花。この侭、自分の部屋に攫ってしまいたくなるくらい。だからこそだ、偶然とはいえ仲好くなった君との仲はゆっくりと進めたかった」

 

 今更、優斗には恋愛なんて気持ちは懐けないけど、擬似的にそんな気分を味わってみたいと、そんな風に思う事くらいはある。

 

 その対象に選んだのが、【二大女神】と称されている娘達ではなく、園部優花であったという訳だ。

 

 出逢いは本当に偶然。

 

 それはそうであろう? ユートはこの世界の原典をタイトルからして識らず、故に主な登場人物とて誰が誰かも判らない。

 

 しかも実は違う世界との混淆世界。

 

 ユートはその混ざっていた世界観の中、テロリストや政治犯などを殺す仕事を政府筋から受けていた。

 

 敵は【大いなる絆】とか名乗る連中、他にもテロルは幾らでも起きている。

 

 尚、【ありふれた職業で世界最強】な世界自体からして、テロやクーデターなどが頻繁に起きていた。

 

 アフターでは、深淵卿がこれに立ち向かう事も……

 

 そんな刺々しい仕事帰りに寄った【ウィステリア】での食事、憩いの場という雰囲気を気に入って所謂、リピーターとなっていたのだが、その内にアルバイト的な感じで仕事をしていた優花がオーダーを取りに来たのが切っ掛け。

 

 同じ高校に通う事となったし、中間や期末考査では頭を悩ませている優花+αに勉強を教えてやった。

 

 それが今現在に繋がる訳だが、宮崎奈々と菅原妙子の二人はそうでもなかったのに対し、優花との仲に関しては割と縮まっていく。

 

 それでも決定的なナニかが無い侭、トータス召喚の日を迎えてしまった。

 

 初めての決定的なナニかはやはり、武器を造る対価として優花からしたキス。

 

 まぁ、本人は頬へする気だったのが勢い余ってか、唇へのファーストキスを捧げる羽目になった挙げ句、即セカンドキスをディープに奪われてしまった。

 

 最初のは本当に唇と唇を重ねただけの、すぐに離してしまったキスだったが、セカンドキスはユートから行き成りだったし、喋っていたから開いていた口の中に舌を捩じ込まれ、舌を絡め取られて混ざった唾液を嚥下させられてしまう。

 

 数秒とも数分とも付かない刻を、唇と唇を重ねた侭にまるで媚薬でも服用したかの様な気分を優花は味わっていた。

 

 ユートが奈落に落ちて、ヘルシャー帝国が動くまで再会は叶わず、暗鬱な感じだったのは間違いない。

 

 漸く会えたら雫と香織がユートと付き合っていて、何と無く愛子先生も怪しい感じがしたのは、やっぱり女の勘なのか?

 

「優斗が仮面ライダーW、雫が仮面ライダーサソードに成っていたわよね」

 

「ああ」

 

「香織も? それに他の、ユエさん達も……」

 

「仮面ライダーに成れる。その為のツールを渡しているからな。雫にはサソードヤイバー、香織はジョーカードライバーで、ユエにはサガーク、シアはライダーブレスとザビーゼクター、ミレディは暫定的にサイクロンライザーを渡したが、今は何も渡していないな」

 

 取り敢えず、エイムズ・ショットライザーを渡そうと考えているが……

 

 仮面ライダーバルカン、基本形態にシューティングウルフを、派生形態としてパンチングコングを使い、アサルトウルフに進化する二号ライダー枠。

 

「私も欲しいって言ったらくれるの?」

 

「基本的に【閃姫】にしか渡してない。拡散させたくはないからな」

 

「身内だけって事?」

 

「そうだね、キスくらいでは身内扱いは出来ないよ」

 

 意味は理解が出来るし、紅くなる優花は取り敢えず聞きたい事を訊ねる。

 

「仮面ライダーはステイタス的にどんな感じ?」

 

「現状、プレートに出ないから詳しくは判らないが、感覚的に低い数値で五千、高い数値なら八千〜一万って処だな」

 

「はぁ? それは桁違いね……私達の数値だと高くても四桁いかないのに」

 

 場合によっては五桁とか優花には有り得ない話で、彼女自身も数値は三桁止まりが精々だった。

 

 聞いた話では坂上龍太郎の筋力は四桁近いのだが、それでも届いていないという感じだとか。

 

 尚、雫はユートとの契約による強化無しで俊敏の値が四桁に届くし、勇者(笑)がレベルドレインされていなければ、全能力が四桁に成っている筈だった。

 

 因みにだが、勇者(笑)は必死にレベルを上げ直して何とか元の数値くらいには成ったが、最大限の100に到達しても本来なら成る筈の全1500には最早、成る事は無いであろう。

 

 今現在の勇者(笑)だと、レベルは60でしかなくて数値も最大値で700。

 

 一応、メルド・ロギンスの倍以上ではあるけれど、勇者(笑)としては大した事のない数値だった。

 

「其処まで数値が高いなら無敵なんじゃない?」

 

「そうでもない。ヒュドラって魔物がオルクス大迷宮の最奥に顕れるんだがな、コイツは通常の仮面ライダーだと互角がやっとだ」

 

「なっ!?」

 

「それに真の神の使徒……エヒトに召喚された勇者じゃなく、奴が造った人形は全数値が12000だ」

 

「ちょっ!」

 

「判るか? 勇者(笑)たる天之河が最大限に鍛えても理想値で全1500程度。限界突破を使って三倍にしても4500。終の奥義的な限界突破・覇潰で五倍になっても7500程度だ。しかも覇潰はウルトラマンと同程度しか保たないんじゃないか? 更には使い終われば極端に弱体化する。エヒトの使徒はそれこそ、十万とか百万とか出てきてもおかしくない。三分間では斃し切れる筈もないというより、一体を斃すだけですら不可能なんだよ」

 

「詰んでるじゃないの!」

 

「勇者(笑)が主軸ならな」

 

「……あ」

 

 最早、勇者(笑)は主軸や主役では決して無い。

 

 技能を一つも持っていない勇者(笑)は、G3ーXを装着したハジメには敵わない程度でしかなかった。

 

 当然の事ながら、秘密裏に仮面ライダーの力を渡された恵里には、敵う道理が有ろう筈もないのである。

 

「処で、限界突破の奥義なんて有ったんだ?」

 

「ああ、情報源が有るから判ったんだけどね」

 

「情報源?」

 

「原典知識持ち」

 

 ギョッとなる優花だが、香織と雫は既に通った道。

 

「さて、仮面ライダーが欲しいか?」

 

「正直、生き残りたいなら強くなるしかないのよね。でも人間の限界ではエヒトの使徒の一人すら越えられないなら……」

 

 優花は死にたくないし、敗けたくもなかったから。

 

「ゆ、優斗の女になれば、くれるのよね?」

 

 決意はしたけど恥ずかしいし、それにやはり怖いという思いもあった。

 

 初めては痛いというのは常識の範囲、それに自分の胎内に優斗のだとはいえ、男の肉の塊を捩じ込まれるのに恐怖を感じない筈もなかったし、羞恥が湧かない筈もないのである。

 

 一番、恥ずかしい部位を見せるのだから当然。

 

「ホント、可愛いよな……優花ってさ」

 

 天之河光輝の傍に在ったのもあるが、【二大女神】には美少女だと認識をしながらも、普段から食指が動かなかったにも拘わらず、優花には女の魅力というのを確かに感じてた優斗は、いつか壊れるくらいに抱き締めたいと思っていた。

 

(若しかして胃袋を掴まれたんだろうか?)

 

 シエスタにせよ、やはりユートは胃袋を掴むのが良いらしい。

 

「それなら今夜は優花の刻を貰おうか」

 

「う、うん……」

 

「さて、話は纏まったな。問題はどの仮面ライダーにするか……だが?」

 

「えっと、私の投擲が使える仮面ライダーとか?」

 

「ねーよ、そんなん」

 

 ガン! 凄まじい衝撃を喰らってしまう。

 

「短剣なら無くはないが、投げ武器じゃないんだよ。何よりあれって鎧武の派生形態だからな」

 

 仮面ライダー鎧武・イチゴアームズ、正確に云うならあれはイチゴクナイ。

 

 本来なら立派な投擲武器だったりするが、少なくとも仮面ライダー鎧武で投擲武器として使われた試しは無いと思う。

 

「何が良いかな?」

 

「私は詳しい訳じゃないから任せるわ」

 

「取り敢えず武器は以前に渡した【回帰の短剣】を使えば良いとして、メインは仮面ライダーの備え付けを使う感じか……」

 

 ユートはネオディケイドライバーを装着。

 

「何をするの?」

 

「今からカメンライドしていくから、気に入ったのが有れば申告をしてくれ」

 

「待って、カメンライドって確か主役ライダーにしか成れないわよね? そっから選ぶの?」

 

「あ、大丈夫。ディエンドの召喚みたいに変身が出来る仕様だから」

 

「そ、それは便利ね……」

 

 ネオディケイドライバーの“本来”のスペック的に考えて、門矢 士が使っているであろうそれとやはり機能に差違は在った。

 

 仮面ライダーディエンドの召喚、主役ライダーのみならずサブライダーや量産ライダーまで可能だけど、ユートのネオディケイドライバーは、それを召喚ではなく変身で可能とする。

 

「じゃ、始めるぞ」

 

「判ったわ」

 

 ネオディケイドライバーを展開、先ずは平成第一号仮面ライダーたるクウガ。

 

《KAMEN RIDE KUUGA》

 

「へぇ、ディケイドからじゃなくても直に変身が出来るのね」

 

 優花は成程と頷く。

 

《KAMEN RIDE AGITO》

 

 次は仮面ライダーアギトへと変身をした。

 

「あ、解除しなくても連続で変身出来るんだ?」

 

「そりゃね」

 

 いちいちディケイドへと戻る必要は無い。

 

《KAMEN RIDE G1》

 

「へ? クウガじゃない……わよね」

 

「仮面ライダーG1だね。仮面ライダーG3の前身、G2とは違って人型だから普通に変身出来る」

 

 そもそもG2は仮面ライダーとは呼ばないだろう。

 

「次は……」

 

《KAMEN RIDE G3》

 

 仮面ライダーG3。

 

《KAMEN RIDE G4》

 

《KAMEN RIDE ANOTHER AGITO》

 

 仮面ライダーG4から、仮面ライダーアナザーアギトと立て続けに変身。

 

 時間を掛けたが次から次に変身して、仮面ライダージオウまでの仮面ライダーに変身を続けるのだった。

 

 

.




 ユートの能力値は暫定的なもので、場合によっては変更も有り得ます。

 さて、優花はどれにするべきか……次話までに決めてしまわないと。


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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