ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 可哀想なこの世界線での勇者(笑)ですが、末路は決まってしまった様です。

 アンケートに御答え下さり有り難う御座います。





第40話:失せ者? 捜しに成功しました

.

 決定された優花に渡される仮面ライダーの力。

 

 何処と無く嬉しそうにする優花は、やはり可愛らしい女の子だとユートは少し笑みを浮かべてしまう。

 

 夕飯の後の深夜に優花がユートの部屋を訪ねてきたのは、勿論ながら約束通りユートに初めてを捧げる為であり、期待感と恐怖とが入り交じった表情だった。

 

「こ、今晩は優斗」

 

「今晩は、優花」

 

 優花は用意をされていたピンクの寝間着姿、雑魚寝をする男女共用な客室から抜けて来るのは、宮崎奈々と菅原妙子と玉井淳史……更には畑山愛子先生という見張りまで居ては難しかったに違いない。

 

「取り敢えず座ろうか」

 

「う、うん……」

 

 緊張で心臓もバクバクと普段より早鐘を打ち鳴らしており、顔も真っ赤になっている自信があった。

 

 顔だけでなくきっと全身の血が沸き立ち、真っ赤になっているに違いない。

 

 今夜、優花は何も知らない女の子から女に成る。

 

 ユートの槍が優花の中で鞘走り、熱いリビドーの塊を受け止める事に。

 

 初めては痛いだけだとも聞くし、怖いという感情は確かに感じていた。

 

 だがそれ以上に抱かれたいと、香織や雫が……ユエやシアやミレディが羨ましいと思ってもいたから。

 

 ベッドの上に座る。

 

 早速、始めるのだろうかと構えていたが、ユートは紅茶を淹れて優花の方へと差し出してきた。

 

「飲むと良い。緊張をしているみたいだからね」

 

「あ、うん」

 

 飲んでみると美味しい。

 

「僕は基本的に珈琲の方が好みだけどね」

 

「そうなの?」

 

「双子の兄は泥水とか抜かしてくれたがな」

 

「双子……ネギ・スプリングフィールドよね?」

 

「まぁね」

 

 よく考えたならばユートのステータスプレートは、名前の表記がユート・オガタ・スプリングフィールドであった。

 

 取り留めない話に花咲かせて緊張は解れ、笑顔での応答が出来る様になる。

 

 そして漸く覚悟が決まったのか、キュッとユートの服を掴み潤んだ瞳で見上げる様に見つめた。

 

 軽くキス。

 

 次に舌を入れたディープなキス、あからさまに風呂に入ったりシャワーを浴びたりしないのは、ユートも優花も部屋に来る前には済ませていたから。

 

 キスで舌を絡ませながら少しずつ触り、何十分かをそう過ごし優花がすっかりデキ上がった頃を見計らい決定的な行為に及んだ。

 

 絶叫と嬌声が入り交じり二時間くらい続く。

 

 優花はこれが初めてであるが故に、三発くらいで終わりにしたのである。

 

 それはいつもの事だ。

 

 負担が大きいから初めてでは手加減をする。

 

 ベッドの上にグッタリと俯せで肢体を投げ出して眠る優花、純白のシーツには点々とした赤い染み。

 

 そして秘部から溢れている液体が、優花の初めてを貪った証しとなっていた。

 

 最早、後戯に付いていく体力も無いらしい優花は、荒い息を吐きながらも眠りに就いている。

 

 優花の可愛らしいお尻を撫でると、ピクリと反応をしてくれるから面白い。

 

 とはいえ悪戯も程々に、ユートは布団を二人で被ると眠りに就いた。

 

 翌朝、恥ずかしそうに起きてきた優花が、朝の生理現象を口で鎮めてくれる。

 

 実に可愛らしくて遂々、一発分をハッスルしてしまったが、優花は何だか嬉しそうにしていた。

 

 もう少しで北山脈地帯へ到着をする訳で、ユートは優花だけでなく愛子先生やミレディやユエにシアに雫に香織と、8Pをやらかしてしまったのである。

 

 宮崎奈々と菅原妙子……それに玉井淳史を放置した侭で、ユートの個室に備え付けられたキングベッドに散らされた花々がぐったりと横たわる。

 

 再生力の高いユエでさえ気絶をしていた。

 

 それから暫くして目的地に辿り着く。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 その頃のハイリヒ王国の王宮内、天之河光輝が坂上龍太郎やその他の迷宮攻略を行うパーティで戦闘訓練をしていた。

 

 その中にハジメと恵里の姿は何処にも無く、それが天之河光輝をして苛立たせている様だ。

 

 レベルも漸く70にまで成り、以前と同程度に戦えるだけの実力は得ている。

 

 問題は技能が言語理解の他に無いという事。

 

 天之河光輝の技能は全てがユートの念能力により奪われており、ある意味では無能と成り果てていた。

 

 序でにレベルドレインによってレベルも1に戻り、天之河光輝はレベル70に成るのも相当な苦労をしたものでる。

 

 勘違いをされがちだが、彼はやるべき事をやるのに手間は惜しまない性格で、ある意味では勤勉だったから成長は早いのだ。

 

 しかも所謂、天性の才能を持つからか更に成長著しいのである。

 

 才能の無駄遣いも此処に極まれりという。

 

「南雲と恵里は今日も来ていないのか?」

 

「ん、そうだな」

 

 訓練も終わりを迎えて、天之河光輝は坂上龍太郎に苛立ち紛れに訊く。

 

「まったく、自分の我侭に恵里を付き合わせるとは」

 

「そ、そうだな……」

 

「恵里の付き合いが良いからといって毎日、連れ回すのは良くないだろう!」

 

「あ、ああ……」

 

 坂上龍太郎も脳筋ながら理解している事、ハジメと恵里は恋人だという事実。

 

 ハジメが自分自身の都合に付き合わせているのでは決して無く、恵里がハジメと付き合っているのだ。

 

 交際という意味で。

 

 それに日頃から坂上龍太郎は、『やる気の無い奴に何を言っても無駄』と嘯くのだが、今現在のハジメがやっているのは本人の技能を活かした事、錬成による恵里用のG3の製作及び、自らのG3の改良だった。

 

 無駄とは流石に言えない事をやっている。

 

 まぁ、あの依存症な母親から産まれただけあって、恵里もその気がやはりあるらしく、それが若さ故にか性欲に変換されていて事ある毎にヤっちゃってたりする訳だが……

 

 ハジメも魔物で造られた丸薬で強化され、男の象徴も巨大化と持続力が上がっているから何とかなるが、強化されているのは恵里も同じ事で、時間さえ有ればベッドの上でだけではなくトイレ、風呂場、柱の陰、岩場の陰など場所を選ばずにヤっていた。

 

『ね、ハジメ君。其処って空き部屋なんだよ』

 

『そ、そうなんだ……」

 

『だから、シよ?』

 

 何が『だから』なのかは理解不能だが、魔物の丸薬を飲んでから恵里は性欲が弥増しているらしい。

 

 空き部屋に引き摺り込まれたハジメは、ズボンからまだ柔らかい分身を取り出され、恵里のヌメッとして温かい口内に呑み込まれてしまうのだった。

 

 ハジメ自身も若いから、ちょっとした刺激と恵里の淫靡な雰囲気に中てられ、すぐに元気一杯となる。

 

 そうなれば恵里からすればしめたもの、ガチガチになったハジメの分身を自らの胎内に沈めてしまう。

 

 後はハジメがイクまで、そして恵里がイクまで互いに求め合うまでだ。

 

 ハジメだって男だから、それ自体は嫌いじゃないから誘われればヤっている。

 

 寧ろ自らが求める事すらあったし、ユートから貰った【異物排除】の魔導具が無くば、いつ妊娠していてもおかしくなかったとか。

 

 この魔導具のお陰で所構わず発情が出来ていた。

 

「漸く完成したよ」

 

「意外と早かったね」

 

「まぁ、一度は造った物な訳だからね。それに貰った生成魔法が良い働きをしてくれたんだよ」

 

「G3のアーティファクト化計画だっけ?」

 

「うん。今まではちょっとした硬い鎧でしかなかったんだけど、生成魔法の力と僕の派生技能を組み合わせたら、とんでもないくらい強化されちゃったんだ」

 

 四つの人型が佇む中で、ハジメは恵里と共に満足気な表情をしていた。

 

「クウガをモデルにして造られたG1。G3の改良型なG3ーX。G3の量産試作型っぽいG3マイルド。本来なら装着が危険なG4……G2以外のGシリーズが完成だよ!」

 

 尚、G5は無い。

 

 ハジメが纏う予定なのが仮面ライダーG3ーX。

 

 恵里が仮面ライダーG3マイルド。

 

 G1とG4は取り敢えず予定が無かった。

 

「って、恵里? どうしてズボンのチャックを降ろすのかな?」

 

「御祝いに口でして上げようかと思って」

 

「今までも普通にしていたよね? 口もアソコもお尻も全部を使ってるよね?」

 

「やん、照れちゃうな」

 

 羞じらう恵里だったが、既にロックオン済み。

 

 この後、思い切り搾り取られるハジメであった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 G3マイルドを渡され、ハジメと昼間っからヤれてウキウキな恵里だが……

 

「うっ!?」

 

 背後から誰かに口を塞がれて、人影の無い場所へと引き込まれ押し倒された。

 

 見た覚えは無いがどうも騎士らしく、それらしい服で腰に剣を提げている。

 

 はぁはぁと荒い息を吐きながら、恵里の服を乱暴に引き裂いてしまう。

 

「んんっ!?」

 

 年齢の割に小さな乳房が露わとなり、涙目で騎士を睨み付ける恵里。

 

「お、お前が悪いんだ! そんな幼い風貌の癖に色気を振り撒きやがって!」

 

 とんだ冤罪もあったものだと思うが、名も知らない騎士はガチャガチャと腰のベルトを外してズボンを降ろし、外気に晒された分身が硬くなっていく。

 

「んんんっっ!」

 

「心配しなくてもすぐ天国に連れて行ってやるさ」

 

 手慣れていない辺り童貞だろう、若さ故の過ちとか言われても許されない。

 

 本当に童貞の様で前戯は疎か、雰囲気作りにキスをする事さえ無く下着に手を掛けてきた。

 

「ガブッ!」

 

「っ! いてーな!」

 

 噛み付いてやったら平手打ちをされる。

 

「っ! ふん、お前のその粗チンで女を感じさせられる訳が無いだろ?」

 

「粗、粗チンだとぉ!?」

 

 因みに、騎士の分身は決して小さい訳ではない。

 

 一応は平均値というか、だいたい一五cmくらいであろうか? 対して比ぶる対象は今現在のハジメだ。

 

 約二五cm。

 

 本来のハジメだと騎士とどっこいどっこいだろう、然しユート謹製の丸薬を飲んだ影響が肉体の端々に顕れており、アッチの方まで強化されていた。

 

 ユートが意図的にそうしたのか、或いは単純に副作用みたいなのもかはハジメにも恵里にも判らないが、恵里も強化が成されていた辺り、意図したものではないのかも知れない。

 

「それにボクは彼氏以外に挿入れさせる気は無いよ」

 

「なにぃ……」

 

 バクッ!

 

 言い募る事が出来ず騎士はその場から消えた。

 

「フフ、御苦労様。食事の味は美味しかったのかな? ベノスネーカー」

 

 ベノスネーカー。

 

 ミラーモンスターと呼ばれる一種、スネーカーの名の通り蛇型をしている。

 

 仮面ライダー王蛇の契約モンスターであり、紫色が主体のコブラ型モンスターで可成り狂暴なタイプだ。

 

 勿論、このベノスネーカーはユートが【至高と究極の聖魔獣】で創造した存在な為、それ程までに狂暴という訳でもないのだけど、やはり気が荒い部分があるのは仕方がないだろう。

 

 恵里と契約をしていて、騎士を喰わせたのも恵里が殺った事。

 

 ユート謹製ミラーモンスターは契約者のエネルギーを糧にする為、取り分けて捕食をさせる必要性は無いのだが、こういう時に恵里は積極的に使っていた。

 

 また、オルクス大迷宮では魔物を喰わせている。

 

 中村恵里は歪んでいた。

 

 ハジメとの交際でマシになりはしたものの、人間を『食事』と言い切れる程度には歪みを保っている。

 

 ユートも知りながらこれを……仮面ライダー王蛇のカードデッキを渡した。

 

 美少女だからでは無く、とある理由から万が一での保険として……だ。

 

 中村恵里が天之河光輝に懸想していた頃、トータスに来た事で野心を刺激された彼女は、周囲に存在する天之河光輝の侍る女を排除しようと考えていた。

 

 好きな男を独り占めに、誰しも考える事だろう。

 

 天之河光輝みたいな外面はキラキラした男なら尚更な話、謂わばモテるのだから独り占めは難しいから。

 

 因みにだが、今現在での恵里は天之河光輝に全くの好意が存在しない。

 

 流石にオルクス大迷宮の事から千年の恋も醒めて、更には南雲ハジメに想いを移すイベントを経た為に。

 

 尚、居なくなった騎士に関しては特に騒ぎも起きたりせず、翌日以降も通常の騎士団運営だったらしい。

 

 居ても居なくても構わない人間だった様で、喰われた後も気にされる事などは無かった様である。

 

 そして遂に運命のー大迷宮攻略が始まった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 北山脈地帯に到着をしたユート一行、バスからゾロゾロと降りていく。

 

「それで、これからどうするんですか? 人海戦術には人数が足りませんし」

 

「先生、こんなだだっ広くて険しい山を当てなど無く捜し回りたいか?」

 

「えっと……」

 

 大自然の山脈を見遣り、タラリと汗を流す。

 

「遠慮したいですねぇ」

 

 あっという間に挫折してしまったらしい。

 

「それで? 人海戦術じゃないならどうするのよ」

 

「サーチャーをバラ撒くに決まっている」

 

 言うが早いかサーチャーを早速バラ撒いた。

 

 何やら小さな光が無数に浮いており、それがユートの命じる侭に飛翔する。

 

 空中にモニターが顕れ、ユートが仮想デバイスを操つると、サーチャーから送られてきた映像が表示されていく。

 

「こ、これは!?」

 

 優花は驚愕した。

 

「これ、まさか【魔法少女リリカルなのは】に出てくるサーチャーかよ?」

 

 玉井淳史は識っていたらしく、優花とはまた違った意味で驚きを露わにした。

 

(それにしても、ハジメをオタク呼ばわりする割にはコイツら、普通にアニメの知識が有るよな)

 

 結局、コイツらも観る事は観ているのだろう。

 

「玉井君、そのリリカルとかって何ですか?」

 

「【魔法少女リリカルなのは】ってアニメですよ! 高町なのはという小学生が主人公で、一部では魔砲とか呼ばれるパワー思考なんだけど、そんな女の子達が活躍をするんです。放映は二〇〇四年と二〇〇五年と二〇〇七年で三期までを、漫画で第四期のシリーズをやってる人気作品ですよ」

 

「は、はぁ……」

 

 熱く語られて引いてしまう愛子先生ではあったが、どうやらある程度は熱意も伝わったらしい。

 

(こりゃ、明らかに視聴をしていたな。しかも漫画も読んでいるみたいだし)

 

 素晴らしいまでに語った玉井淳史に、ユートは生暖かい視線を向けていた。

 

「識っているなら話は早いってもんだ。サーチャーで周囲を調べるだけの簡単な御仕事ってな」

 

 完全に手持ちぶさたとなってしまう同行者達。

 

 仕方ないから玉井淳史が【魔法少女リリカルなのは】を語り、愛子先生がそれを理解するまでに至る。

 

「見付けた」

 

「え? 何をですか?」

 

「戦闘の痕跡。比較的新しいものだが……何だろう、盾や剣が焦げているな」

 

 可成り状態が酷いのが、モニター越しにも判る。

 

「現場に急ぐぞ!」

 

 ユートが駆けると同時に雫が先駆け、ユエ、シア、香織、ミレディの順で一斉に駆け出した。

 

「ちょっと、待ってよ!」

 

 叫びながら優花も駆け出して、そんな後を追う様に宮崎奈々と菅原妙子と玉井淳史が走り出し、一番遅れて愛子先生が慌てて走る。

 

 だけど体力的にキツく、ユートとずっと居た雫達は全く疲労していないのに、優花達はもう肩で息を吐きつつヨロヨロ駆けていた。

 

「ゼハァ、ゼハァ! 何だよこの差は……」

 

「キツいよぉ」

 

「し、死にそう……」

 

 玉井淳史を筆頭に、宮崎奈々と菅原妙子は弱音を吐き始める。

 

 愛子先生は声を出す元気すら無くなっていた。

 

「ねぇ、ちょっと待って! 皆が疲れてしまっているのよ!」

 

「時間が惜しい。あの様子じゃ手遅れっぽいけどな」

 

「……う」

 

 人命が懸かっていると聞いては、疲れたから動けませんなどと言えやしない。

 

「仕方がないな」

 

 ヒョイ!

 

「キャッ!?」

 

「うひゃぁぁぁっ!?」

 

 ユートは優花と愛子先生をそれぞれ、肩へと乗せてから再び駆け出した。

 

 小柄とはいえ人間を二人も乗せているとは思えない速度、しかも軽々とそれを熟す膂力に驚愕を禁じ得ない優花と愛子先生。

 

「っていうか、何で二人は特別扱いを受けてんの?」

 

「差別反対……」

 

 宮崎奈々と菅原妙子が、ユートに抗議をしてくる。

 

「差別じゃなく区別だよ。二人は君らと違うOK?」

 

「どう違うのよ!?」

 

「そりゃ、ベッドで可愛がる関係?」

 

『『『ぶふっ!』』』

 

 一斉に吹き出した。

 

「ゆ、優斗!?」

 

「緒方君!」

 

 余りに決定的過ぎる科白で真っ赤な二人、特に優花は処女喪失したのが遂先頃の事なだけに恥ずかしい。

 

 否、それでなくとも閨事をバラされたら羞恥心から顔を上げられなかった。

 

「兎に角、先を急ぐ」

 

 最早、質問は許さないとばかりに駆け抜ける。

 

 取り敢えずその場所へと移動し、現場に着いて実際に手に取ってみた武具は、やはり黒々と焼け焦げているらしい。

 

「何なんだこれ?」

 

 玉井淳史が呻く様に呟いたのは益体も無い科白。

 

「何らかの高熱に晒されたんだろうな。下手すると竜のブレスとかかもね」

 

「りゅ、って! ドラゴンなんて居るのかよ!」

 

「そりゃ居るさ。竜人族という種族は竜と人のどちらでもあり、どちらにも成り切れない半端者とか云われているくらいだしな。竜という魔物が存在していないとおかしいだろ?」

 

「それは……まぁ」

 

 竜人族なんて竜が居るからこその概念だ。

 

 更に先へ進むとそこには争いの形跡が散見された。

 

 立ち折れた木や枝に踏みしめられた草木、折れた剣や飛び散る血痕もある。

 

 それらを発見する度に、愛子達の表情が強ばっていくし、堪えるのか顔色も悪くなる一方だった。

 

 暫くの間は争いの形跡を追っていくと、一番前方で索敵を担当するシアが光る何かを発見する。

 

「ユートさん、これってば冒険者さんのペンダントでしょうか?」

 

「遺留品かも知れないな。調べてみようか」

 

 シアからペンダントを受け取って汚れを落とすと、通常のペンダントではなくロケットと気付き、め金を外して中を見てみると女性の写真が入っていた。

 

「写真か。この世界は剣と魔法のファンタジーなのに時折、こういう科学の代物が出てくるよな。誰かしらの恋人……か?」

 

 大した手掛かりではないだろうが、錆びたり欠けたりといった風でもないし、最近の物だと思われたから回収はしておく。

 

 その後も遺品と呼ぶべき物は発見されたのだけど、全てを持って帰っても邪魔だろうし、身元特定に繋がりそうなのだけは取り敢えず回収しておく事に。

 

「おかしいな」

 

「……ん、どうしてか魔物に会わない」

 

 どれくらい探索したか、日もそろそろ暮れて野営の準備に入る時間に差し掛かっていたが、野生動物以外で生命反応が特には無く、魔物との遭遇も警戒していたが感知すらされない。

 

「戦闘痕から派手に襲われたみたいだが……」

 

「……既に引き上げた?」

 

「かも知れないな」

 

 ユエからの意見に頷く。

 

とはいえ位置的には八合目と九合目の間、未だ山は越えていないとは言え普通であれば雑魚くらいの魔物の一匹や二匹出てもおかしくない筈で、逆に不気味さを感じてしまうのも確か。

 

 暫く探索をしていたら、サーチャーが又もや異常のある場所を探し当てた。

 

 大規模に破壊された跡があったのだ。

 

 ユート達が急行したそこは大きな川、上流に小さい滝が見えて水量が多く流れもそれなりに激しい。

 

「途中で大きく抉れてる。横からレーザーか何かに抉り飛ばされた感じか」

 

「流石にレーザーとか無いでしょうよ」

 

 雫が否定する。

 

「まぁ、カメラくらいならまだしも……ね」

 

 カメラなら開発されてもおかしくないが、曲がり形にも魔法が存在するのに、一足飛びで光を集積させて放つ兵器が開発されるとは考えられない。

 

 それこそ、そういう知識と技術を持った転生者なり転移者が居なければ。

 

 例えばユーキみたいな。

 

「どうやらこの辺りで大規模な戦闘があった様だね。この足跡からするとそれなりに大型で、二足歩行する魔物だろうけど。そういえば山二つ向こうに越えたらブルタールってオーガっぽい魔物が居た。だけどこの抉れた地面からすると……何か別のも居た?」

 

 ブルタール……オーガの類いで、防御を大幅に引き上げる【金剛】の下位互換な【剛壁】という固有魔法を持っているし、基本的に群れを成して行動しているからそれなりには強敵だ。

 

 尚、【金剛】を魔物から簒奪しているから【剛壁】は要らない子である。

 

「川を下ってみるか」

 

 若しかしたら川を流された可能性もあると考慮し、ユートは下流に向かい川辺を下っていく。

 

 暫く進むと先程より立派な滝に出会す。

 

「ハァハァ……二人も抱えて元気よね」

 

 流石に疲れが出始めたのか雫の息が荒い。

 

「雫も抱えようか?」

 

「魅力的な提案だけれど、何処に抱えるのよ?」

 

 既に両肩には優花と愛子先生が居る。

 

「背中におんぶ」

 

「何だか絵面的に情けないから止めとくわ」

 

 想像したのか表情が引き攣っていた。

 

 両肩の二人と背中に張り付く雫の図……確かに酷い絵面になりそうだ。

 

 二人を抱えながら軽快に滝の横の崖を降りて行き、滝壺付近へと着地をする。

 

 滝によくある清涼な風、それが一日中探索に明け暮れ疲れた心身を優しく癒してくれた。

 

「うん? 人の気配か……風じゃなく水と土、滝の向こう側の洞穴か……ユエ」

 

「……ん、了解」

 

 両手が塞がるユートに代わって魔法を使う。

 

「【波城】、【風壁】」

 

 滝と滝壺の水が真っ二つに割れ、飛び散る水滴は風の壁によって払われた。

 

 水系魔法の【波城】と、風系魔法の【風壁】、これは高圧縮した水の壁を作る複合魔法である。

 

 詠唱をせず陣も無しに、二つの属性の魔法を同時に応用して行使、愛子先生はユエの能力を知っていたから驚かないけど、優花達は驚愕に目を見開きつつ口をポカンと開けていた。

 

「今、詠唱無しで?」

 

「陣も出ないし……」

 

「無詠唱なんてなよくある技術だろ?」

 

 宮崎奈々と菅原妙子……二人の言葉にユートは呆れながら言う。

 

 斯く言うユートも通常は詠唱したり魔法陣を現出させたり、割と普通な魔法の使い方をしていた。

 

「さて、行くぞ。ユエなら一日中でも保つがな」

 

 【閃姫】故に恒星にして数個分のエネルギー強度と量を扱えるタンクを使えるユエは、魔法の効果を幾らでも持続が可能となってはいるけど、だからといって無駄に時間を過ごす意味は全く無い。

 

 僅かな光しかないから、ライティングで光を生み出し洞窟内を進むと、空洞となる開けた場所に来た。

 

「見付けた」

 

 金髪の青年……二十代といった処か、端正な顔立ちから育ちは良さそうだ。

 

「貴族っぽいからコイツがイルワの言ってたボンクラ……ウィル・クデタか」

 

 当たりを引いたらしい。

 

「それにしてもボンクラってのは酷いわね」

 

 雫が苦笑いをしながらも呟くと……

 

「ボンクラさ。ギルド支部長の命令とはいえ冒険者が護衛をした。結果、アイツは生きている。アイツを護った冒険者は力及ばず死んだろうが、護衛対象は生き残らせた。優秀だったのは間違いないな」

 

 忌々しそうに応えた。

 

 人格面は判らないけど、少なくとも冒険者としては有能だ、死なすには惜しいと思える程度には。

 

 実力は兎も角、冒険者の度量は黒のなんちゃらとは比べ物にもなるまい。

 

「こんなボンクラを護る為に死すべきじゃあるまい、勿体無い話だよなホント」

 

 ユートはウィル・クデタらしき青年の襟首を掴み、億劫そうに手を振り被るとパパパパパパパパンッ! 往復ビンタを喰らわせた。

 

「い、痛い? いったい、何なんですか!?」

 

「お前は、クデタ伯爵家のウィル・クデタで間違いはないな?」

 

「……へ? 貴方は?」

 

 パン! ビンタをする。

 

「疾く答えろ! 然もなくばビンタを続けるぞ」

 

「ヒッ! そ、そうです! 私はクデタ伯爵家の三男であるウィル・クデタ! 貴方はいったい?」

 

「イルワ・チャングの依頼でお前を捜しに来た冒険者……ユート・オガタ・スプリングフィールドだ」

 

「イルワさんが、私を? そうですか。あの人が……また借りができてしまったようだ。あの、貴方も有難う御座います。イルワさんから依頼を受けるなんて、余程の凄腕なのですね」

 

 何処か尊敬を含む眼差しを向けてくるウィルだが、どうやら往復ビンタを喰らった件は気にしてはいないらしい。

 

 少なくとも、男爵家だというオーク貴族(プーム・ミン)より人としての度量は上の様だ。

 

 ウィル・クデタは自分達に起きた出来事を話す。

 

「私達は教えられた今日の日付からすると五日前に、ユートさん達と同じ山道に入り五合目の少し上の辺りでしたか突然、一〇体もの巨躯な魔物のブルタールと遭遇しました。そんな数と戦闘は出来ませんからね、私達は撤退をしましたが、ブルタールの数がどんどん増えていき、気が付いたら六合目辺りの川でしたよ。ブルタールの群れに囲まれてしまい、包囲網を脱出する為に、盾役と軽戦士だった彼らが犠牲になってしまいました。私達は追い立てられながら、大きな川に出た其処で……うう……」

 

 ウィル・クデタは思い出したのか震え始める。

 

「絶望が現れたのです……あの漆黒の竜!」

 

 その漆黒の竜はウィル達が川沿いに出て来た瞬間、特大のブレスを吐き出してきて、その攻撃でウィルは吹き飛ばされ川に転落をしてしまい流される。

 

 アップアップしながらも見た限り、そのブレスにより一人が跡形もなく消え、残りの二人もブルタールと漆黒の竜に挟撃されていたのだという。

 

 その後ウィルはといえば……流される侭に滝壺へと落ち、偶然に見付けたこの洞窟に身を隠したとか。

 

 ウィルはグジグジと泣き始めるが、ユートからすれば忌々しい限りだ。

 

 恐らくベテラン冒険者な彼らは、ウィル・クデタなる素人さえ居なければ最低でも半分は生き残れた可能性が高い。

 

 聞く限りでは漆黒の竜に出会ったのはそれなりに後だから、上手く身を隠せたら犠牲者を出す事も無く、彼らは逃げおおせたかも知れないのだ。

 

 無論、可能性は可能性、上手く逃げ切れずに死んだ可能性もある。

 

「兎に角、フューレンへと急いで戻るぞ。ウィル・クデタ……アンタには彼らの代わりに情報を伝える義務が有るからな!」

 

 ウィル・クデタの嘆き、そんなものは考慮に値しないのだと、ユートはウィル・クデタを立ち上がらせて洞窟を出るのだった。

 

 

.




 ハジメ達の出番を作ったら予定を大幅に超過して、ティオ戦に入る事すら出来ませんでした……

 正確には恵里の出番となっていますけど。



勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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