ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 携帯電話が壊れて新規にしたけど、ガラケーの皮を被ったスマホの所為かスッゲー使い難いんですけど……





第42話:フューレン支部長との大交渉

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「それで、妾に訊きたい事とはいったい何かのぅ? スリーサイズですら答えてしんぜようぞ」

 

「スリーサイズは後回しで構わない」

 

「聞かないじゃなく後回しなんだ……」

 

 呆れる雫を他所にユートは会話を続ける。

 

 訊くのは確定である。

 

 ユートがしたい質問は早い話が北山脈地帯に溜まった魔物の事、この侭で放っては置けない以上は情報が欲しい。

 

「ふむ、妾が見た時には三千か四千は居ったがのぉ」

 

「よ、四千って! フューレンに来る時に出てきた魔物ですら二百には届かなかったのに!?」

 

 その数に戦慄を覚える雫が叫んでしまい、他もミレディみたいな経験者でもなければやはり青褪めた表情となる。

 

 ユエは判り難いがそれでも眉根を寄せていた。

 

「三千から四千……ね。どうやらその情報は古いみたいだね」

 

「どういう事じゃ?」

 

「今、サーチャーを向かわせてみたんだが……桁が一つ違うわこれ」

 

 サーチャーからの映像が空中にモニターで映される。

 

「あ、サーチャーか!」

 

 リリカルなのはが好きなのか、玉井淳史はすぐに対応していた。

 

 其処には夥しい数の魔物が所狭しと蠢く、正しく地獄に等しい様相が見て取れる。

 

「け、桁違いってあれは……」

 

「下手すると五万から六万だな」

 

 香織の科白にユートは概算だが大凡その数で答えた。

 

「こりゃ、また……大変な事になっちゃってるねぇ」

 

 ミレディは呑気なものだ。

 

「ど、どうしたら? あんな数がウルの町にまで来たら!」

 

「間違いなく呑み込まれるよな。ウルの町の最後……か」

 

「そんな呑気な!? だいたい不謹慎ですよ!」

 

 愛子先生はオロオロと狼狽えていたが、流石に彼女へ『狼狽えるな小娘!』とかはやらない。

 

 っていうか、やったらKY以外のなにものでも無いし。

 

「取り敢えず山を下りるか」

 

「ま、待って下さい!」

 

「こうか?」

 

 ユートがクルクルと見事な舞いを舞い始める。

 

「舞って下さいじゃありません! ユート殿ならあの魔物をどうにか出来ませんか?」

 

「あ、そうですよ! ドラゴンすら圧倒したゆ、緒方君なら!」

 

 ウィル・クデタの提案に愛子先生が希望を見出だす。

 

「こんな勾配がキツい場所で? 冗談言っちゃいけないな。平地なら兎も角、此処じゃ色々と零れ落ちるだけだぞ」

 

「出来ない……とは言わないんですね緒方君」

 

「意味の無い嘘は吐かないと以前にも言ったろ」

 

 ユートは基本的に女の子に対して誠実とはいえない、複数を侍らせる事を普通にやらかすくらいには不誠実である。

 

 だからこそ意味も無く悪意が有る嘘は吐かないし、必要だと思った事はしてもやった。

 

 それが一人だけを見ないで複数を侍る対価に近いし、願いを叶えるくらいはしてやりたい事でもある。

 

「此処に居ても余り意味は無いだろうね、だから早々に山を下りてウルの町に報せるべきじゃないのかな?」

 

 それは紛う事無き正論であり、愛子先生も無視は出来なかった。

 

「わ、判りました……」

 

 確かにこんな山中でやれる事は限られてくるし、ウィル・クデタは確保したのだから早く下山をするのは至極当然。

 

 寧ろ、数万の魔物が犇めく北山脈地帯に居続ける事の方が問題。

 

 愛子先生は素直に頷くより他になかったのである。

 

 ある程度まで下山をすると、停めてあるキャンピングバスの有る場所にまで辿り着く。

 

「これは? 馬車じゃないみたいですが……」

 

「魔動車。魔力を糧に走る車だ」

 

 ユートがハルケギニア時代に造った魔導具、魔動車や魔動単車というのが便利に使われていた。

 

 何しろ馬車よりずっと速い乗り物だし、国王陛下に献上したりヴァリエール公爵やグラモン元帥に渡したり、或いは貴族家に売却をしたりと大活躍だった。

 

 当然、ガリア王家やアルビオン王家や帝政ゲルマニアなど近場の国王や皇帝閣下に献上もする。

 

 それに格安で【魅惑の妖精亭】にも売っていた。

 

 技術力が上がった今なら、それらよりも上の性能を持たせられるのも当然だし、空間湾曲も当時より強く可能となっているからこのキャンピングバスみたいな高級ホテル並の内装にも出来た。

 

「まさか自動で走るなんて」

 

 科学が存在しない世界であるが故にか、やはり科学の産物に驚愕を禁じ得ないウィル・クデタ。

 

「部屋は来る前と殆んど変わらないから。玉井とウィル・クデタが右側、宮崎と菅原が左側を使う様にすれば良い」

 

「あれ、優花っちは?」

 

「個室に案内したが?」

 

「何でよ!?」

 

 宮崎奈々はかなり腹が立ってるけど、ユートからしたら当たり前。

 

「赤の他人な宮崎と自分の女である優花、どちらが優先されるかなんて普通に判るだろうに」

 

「お、女ぁ? 優花っちとヤっちゃった訳?」

 

「その通りだと言っておく」

 

 宮崎奈々は流石に羞恥からだろうか頬が紅くなる。

 

「元々が時間の問題だったんだ。ヤっていてもおかしくないだろ」

 

「そうかもだけど……」

 

「ちょっと優花が羨ましいかも」

 

 沢山の娘を侍らせるとはいえ、こうして大事にされるなら呑み込めるという事か、ちょっと憧れを懐く菅原妙子がやはり頬を朱に染めて呟いた。

 

 暫くは単純に路なりで走らせるだけだし、暇が出来たから取り敢えずヤる事にした。

 

「いや、別に構わないんだけど。私はあんたのお、女になったんだから……さ。だけど魔物があんなに降りようとしている中で呑気にって思うとね」

 

 やはり優花としては魔物が気になるのか難色を示す。

 

「僕は僕の考えに基づいて動いているからね、文句を言われても困ってしまうかな」

 

「それは……そうかもだけどさ」

 

「兎に角、やる事が無いんなら特に問題も無いだろ?」

 

「そりゃ、暇だけどね」

 

 運転手要らずな魔動車で人手は使わないし、食事の準備もシアと香織が居れば事足りた。

 

だからちょっと遠慮がちである。

 

 結局はヤってしまう辺り流されている優花、しかも雫とユエを交えてのレズプレイをさせられる。

 

 恥ずかしかったけどユートとの付き合いから、またヤらされるのは火を見るより明らかだから慣れるしか他無いだろう。

 

 ベッドの上で溜息を吐く。

 

 ウルの町はこのトータスで唯一のカレーを出す町、それが若しも無くなったら悲しかった。

 

「気持ち良くなかったか? 随分と喘いでいた様だったのに」

 

「き、気持ち良かったわよ! あんな風になるなんて思わなかったくらいには」

 

「そりゃ、頑張った甲斐もある」

 

「ゆ、優斗こそ……どうだったの? 私の口……とかさ」

 

「まぁ、テクニックという意味では辿々しいから余り」

 

「うっ!」

 

 これでも懸命になって舌を這わせたし、口の中に迎え容れて頑張ってはみたのだが……

 

「それでも一生懸命な優花を見ていたら興奮したよ」

 

「っ!? そ、そう」

 

 不意討ち過ぎて顔が紅くなるのを止められない、思わずにやけてしまうのを止められない。

 

「あ……」

 

 シャワーを浴びたばかりだった優花は、石鹸と本人の仄かな香りがミックスされてユートのリビドーを直撃していたのに加えて、先程の笑みはにやけていたというより喜びに満ち、優花の魅力を引き出す要因となっていた。

 

 そんな優花の唇をユートは奪わずには居られない。

 

 恋愛感情は最早、持てないかも知れないユートではあるけれど、好感や嫌悪感は普通に持ち合わせているが故に、園部優花をユートは好んで懐に容れたのだ。

 

 愛情はあるのだから。

 

 愛を籠めて愛情の迸りを放つ、精神的にも物理的にも凄まじく熱い一発を。

 

 それは実際に優花自身も味わっているのだから理解が出来た。

 

「ん、んんっ!」

 

 優花は実は陰で宮崎奈々と菅原妙子が覗いている――ユートは気付いているが――のも知らず唇を貪られ、逆に貪ってもいた。

 

(うわ、うわぁ! 優花っちが凄い事になってるよ~)

 

(蕩けた表情で……あんなに求めるんだ……凄過ぎる)

 

(見てよ、おっぱい! 優斗っちの手が優花っちのおっぱいを触ってるよ!)

 

(何も言わずにされるが侭って、受け容れてるんだ……)

 

 えっちぃのはダメとか思っても、やはり年頃の女の子なだけあって興味津々らしく、二人は太股同士をモジモジ擦り合わせながら優花のキスシーンをガン見していた。

 

 時折、ユートの手が優花の胸や太股を優しく触れていたり、更にはショーツ越しに大事な部位を人差し指で擦ったり、それを見ていて二人は息を呑んで熱くなる御股を激しくモジモジとさせた。

 

 流石にヤらないとは思うけど、始めてしまいそうな雰囲気で二人は固唾を飲んでしまう。

 

「ねぇ、優斗ぉ……もう一回……」

 

「場所を変えるか」

 

 ヤるなら覗きが居ない場所で、ユートは優花をお姫様抱っこして自身の部屋に運び、美味しく『戴きます』をさせて貰った。

 

 宮崎奈々と菅原妙子の二人は、改めてあの優花がユートとそういう仲に発展したのだと理解して、少し羨ましいと思ってしまった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「折角の空き時間。向こうと連絡をしようと思う」

 

 ウルの町まで一時間くらいで着く距離だったが、彼方側の様子もそろそろ知りたかったユート。

 

「そっか、優斗は地球と連絡が取れたわよね」

 

 雫はその手法も知っている。

 

「あ! じゃあ、お父さん達とも連絡が出来るのかな?」

 

「一旦はユーキと話してそれから日にちを決めて……という事になるだろうから、すぐにとはいかないんだけどな」

 

 それに白崎智一とはちょっとした喧嘩をしているし。

 

 八重樫家の面々は受け止めてくれたみたいだが、娘を『マイ・エンジェル』とか宣う親バカな彼、そんな彼が香織とセ○クスしましたと言われてキレない筈もない。

 

 ユーキの身体を借りて仮面ライダーWファング/ジョーカーの侭で戦い、当たり前だけど一撃で叩き潰してしまった。

 

 帰ったら一発くらい殴らせてやるけど、流石にユーキの肉体ではさせる心算など無いのである。

 

「彼方側では南雲家のアルバイトはユーキが、美晴のアシスタントをシュテルとほむらが担当しているんだが……」

 

「南雲家って……」

 

「そういやそんな話もしたわね。南雲君のお父さんの仕事?」

 

「両方」

 

「両方? 南雲君のお母さんもって事ね。どんな御仕事だっけ」

 

「少女漫画家。かなりの人気漫画なんだよな」

 

 南雲家の大黒柱たる愁はゲームクリエイターであり、自ら起業をしてゲームを作る会社の社長をしている。

 

 南雲 菫は人気少女漫画家として働くが、朝が滅法弱いという欠点を持っていて朝食を摂る事が滅多に無いと聞く。

 

 起業家や漫画家としては成功を納めながら、人としてはちょっとダメダメな処があるのが南雲家クオリティ。

 

 尚、南雲 愁は重度の厨二病を長く患っていたらしい。

 

 故にか、ユートの厨二病を擽る能力に拝んだものだった。

 

「そういや、最近では集団神隠しも世間から忘れられ掛けているらしいが、当時は『現代のメアリー・セレスト号事件』とか騒がれていたらしいぞ」

 

「それは……また……」

 

 雫が呆れているのは世間の事かメアリー・セレスト号の事か?

 

「それじゃ、ちょっと……な」

 

 ユートがダブルドライバーを腰に巻き付ける。

 

 同じ頃、ユーキの腰にダブルドライバーが顕現をした。

 

「聞こえてるかユーキ?」

 

〔兄貴? 何か用かな?〕

 

「取り敢えず報告。それと次の【家族会】はいつにする?」

 

〔報告……ね。ボクの方は順調に手伝いをしてるよ。愁さんはVRだヒャッホーとか、菫さんも愉しそうで何よりかな〕

 

「VR技術を渡すのか?」

 

〔AR技術もね。尤も、愁さん所の会社が一人勝ちは宜しくない。無いとは思うけど兄貴が経験をしたSAO事件を仕出かされても困るしさ〕

 

「余りにもオーバーテクノロジーは世間的にヤバいぞ?」

 

 【SAO事件】はユートが迷い込んだ世界で起きたVRゲームによる【デスゲーム化】で、【ソードアート・オンライン】というゲームに約一万人が閉じ込められてしまった事件を指す。

 

 また、AR技術は【オーディナル・スケール事件】であの世界に使われていた技術だ。

 

  色々とあった事件であったが、割とすぐに起きた【アリシゼーション事件】で上書きされてしまった

 

「ま、注意は怠らないでくれよ」

 

〔うん、判っているさ〕

 

 若干、マッドな気質があるユーキだけど常識を捨てている訳ではないのだから。

 

「それじゃ、報告会を再開しようか」

 

 ユートはユーキとの報告会を続けた。

 

 ユーキの声が聞こえない雫達からすれば、ユートが独り言を呟いているようにしか見えない光景である。

 

ダブルドライバーを外して通話を切ったユートは、手にしたそれを亜空間ポケット――アイテムストレージへと仕舞う。

 

 まだユートをよく知らないウィル・クデタは、そんな様子を見て目を見開いていた。

 

「そろそろウルの町に着く、雫は寝物語に頼んだ事をやっておいてくれ」

 

「了解よ」

 

「香織はシアとユエを連れて手分けをして結界石を町の周りに配置を頼むぞ」

 

「了解だよ」

 

「お任せあれ!」

 

「……ん、任せて」

 

 ウィル・クデタが知らない所で何やら決めていたらしいが……

 

「私達は?」

 

 寝物語に参加してはいたものの、優花は自身の役割を聞かされてはいなかった為にちょっと不安そうに訊ねてきた。

 

「先生と住民に呼び掛けをしてくれ。それは宮崎と菅原と玉井も同じくだ」

 

「判ったわ」

 

 一応の役割が有ってホッと胸を撫で下ろす優花達。

 

「あ、あの……私は?」

 

「僕とフューレン行きに決まっている」

 

「ぐっ!」

 

 ウィル・クデタをユートは戦力として全く考えていない。

 

 所詮、彼は護衛対象でしかないのだから危険に晒すのは論外でしかないが故に。

 

 早速、行動開始と相成った訳だが矢張というかウィル・クデタがごね始めた。

 

「やはりこんな時に私だけが安全な場所に行くのは……」

 

「お前に何かあれば依頼は失敗、クデタ伯爵家が報復に動いたらどうする心算だ?」

 

「家はそんな真似しません!」

 

「所詮は貴族だ。信用が出来る筈も無いな。お前を見れば正に貴族が服を着て歩いているみたいなのはよく解る。あのプーム・ミンとかいう男爵家のオーク貴族がそうだったみたいに……な」

 

「なっ!? ミン男爵家と同一視されるなんて、侮辱以外の何物でもありませんよ!」

 

「現にお前は依頼の失敗を全く考慮に入れず、此処に残るとか我侭を平然と抜かしているだろうに」

 

「うっ!?」

 

 どうやらミン男爵家はそれなりに有名らしいが、それは確実に悪名の方だった様である。

 

 然もありなん。

 

「そう思われたくなかったら言われた通り、フューレンに行くのが吉だと思うけど違うのか?」

 

「それは……然し……」

 

 否定は出来なかった。

 

「冒険者に依頼失敗をしろと平然と宣う、正しく貴族的な言動だと思ったんだけどね」

 

 侮辱……だけど正論である。

 

「兎に角、さっさとフューレンに行ってイルワ・チャングから報酬を貰う。それで晴れて此方も自由の身になれるからな」

 

 暗に邪魔者とか枷といわれて、落ち込んでしまう。

 

 勿論、フォローなどしない。

 

 ユートはウィル・クデタの後ろ襟を掴み、態とらしくベルカ式の闇色な魔法陣を展開させる。

 

 本来ならそんなモノは出さないのだが、今はウィル・クデタが居るから【魔力操作】的な真似はしない方が良かろうと考えた結果、魔法陣を使っての行使だった。

 

瞬間移動呪文(ルーラ)!」

 

 一度でも訪れた場所なら瞬間的に戻れるDQ由来の呪文。

 

 シリーズ次第で効果や消費MPも変わるが、ユートが行使したのはDQⅢ的な効果と消費だ。

 

 ユートが扱う呪文の殆んどが、DQⅢ由来のものだからである。

 

 その理由がユートの最初に疑似転生した世界が、DQⅢの上世界たるアリアハン王国だったから。

 

 勇者オルテガとその妻の間に生まれた勇者アレル、その双子の弟という立場であったと云う。

 

 尤も、ユートは生まれながらにして完成された【緒方逸真流】を体得した身であり、勇者流剣技を覚える心算が無かったからサボりにしか見えず、祖父から勘当されて家を出たから勇者と呼ばれる事は終ぞ無かったが……

 

 その後はランシール経由で経験値を積み、ダーマ神殿を目指して遊び人に転職後は再び経験値稼ぎに戦い、そして賢者に再転職して呪文の契約を済ませた。

 

 何故かそこら辺は【ダイ大】式だったのは笑ったが、オルテガの血筋に変わらないからか勇者しか使えない呪文も覚える事に成功。

 

 ユートはランシールでブルーオーブを手に入れており、次なる目標としてまだ滅んでいなかった彼の町で更にオーブを入手する。

 

 そして人伝にされていたイエローオーブも手にし、ジパングへと渡ってヤマタノオロチを撃破してヒミコの死を明かして、次代たるイヨと婚約をする事になった。

 

 パープルオーブをも手に都合、四つのオーブを手に入れてしまったユート、砂漠の国イシスで王女を虜にした挙げ句、ピラミッドに奉納された魔法の鍵や海の底に沈む最後の鍵すら手にしており、数年後の勇者アレルとそのパーティは苦労をする羽目に陥ったけど、ユートからしたら知った事でも無かったから放置する。

 

 戦士並の剣技、武闘家並の体術、賢者並の魔法、遊び人の技能や何故か商人の技能、勇者の呪文という有り得ない能力を持ち合わせるユートは、この世界の職業概念には無い【バトルマスター】、【パラディン】、【天地雷鳴師】、【ゴッドハンド】、【魔法戦士】、【スーパースター】などといったDQⅥ由来の職業すらをもモノにしていた。

 

 その後は当然ながらアレル達と争いが起きたが、ユートがオーブなどの宝物を、アレルが武闘家フォンの貞操を賭けて決闘をする事になったけど勿論、敗けるなどと有り得ない話でしかなかった。

 

 それは兎も角、ユートはルーラでフューレンの町の近くまで瞬時に移動をしてしまう。

 

 大都市だけあり並ぶ人間が多い中で、ユートは門まで歩いて来て門番に話し掛けた。

 

「冒険者ギルド・フューレン支部長イルワ・チャングの依頼にて、クデタ伯爵家が三男たるウィル・クデタを連れ戻った。急ぎ取り次ぎを御願いしたい」

 

 不審そうに門番がユートとウィル・クデタを交互に眺め、差し出された闇色のステータスプレートを見た後、一枚の紙――イルワ・チャングがユートに渡した依頼状を見て驚愕しながら、事の次第をイルワ・チャングに伝えに走る。

 

 依頼状は本物で、ステータスプレートには黒ランクを示す丸い点が有った為だ。

 

 それに貴族の子弟が絡むとあっては、一門兵がどうこうと出来る域を遥かに越えていた。

 

 秘書の男――確かドットだったか――が遣いとして現れ、ユートとウィル・クデタを支部長の元へ連れていく。

 

 すぐに支部長室に通されると、イルワ・チャングが喜色満面にて出迎えて来た。

 

「よく無事だったね、ウィル」

 

「イ、イルワさん。今回の事は申し訳ありませんでした。イルワさんが付けてくれたゲイルさん達を私は見殺しに……」

 

「いや、君だけでも無事だったのは不幸中の幸いだとも!」

 

 友人たるクデタ伯爵の息子なれば甥にも等しく、何かと気に掛けていたウィル・クデタが死ぬかも知れないと、彼が憔悴していたのをユートは知っている。

 

「ゲイルのパーティに感謝をしておくんだね。僕が行った処で死んでいたら意味が無かったし」

 

「勿論だとも! 君にも感謝しかないよ。約束通りの報酬は支払わせて貰うよ」

 

 前払いでランクは上がっていたけど、お金などは後払いだったから支払われる事となっていた。

 

「それと、ウルの町のギルド支部から先程連絡が来たのだが、あれは本当の事なのだね?」

 

「ああ。約六万の魔物がウルの町を目指して移動している」

 

「何という事だ! どうして?」

 

「首謀者は清水幸利。数ヶ月前に召喚された勇者の一味の一人で、恐らく魔人族に誘われて裏切ったんだろう」

 

「では、その目的は?」

 

「豊穣の女神と名が知られている畑山愛子、やはり召喚された一人ではあるが……ね」

 

「そして君もかい?」

 

「そうだよ」

 

「ハァ、何たる事態に……」

 

 頭が痛そうなイルワ・チャングを見ていたウィル・クデタだが、ハッとした様にユートへと向き直って叫ぶ。

 

「貴方なら何とか出来たんじゃありませんか?」

 

 まるで弾劾するが如く。

 

「出来たとして、それがどうしたっていうんだ? 僕の受けた仕事は飽く迄も『ウィル・クデタ本人か或いは最悪でも遺体か遺品を、このフューレンに持ち帰る事』であって、六万の魔物を相手に大太刀回りをする事じゃない。何より依頼に有る護衛対象を一番危険な町に残して? お前は冒険者の仕事を舐めてるのか!?」

 

「ううっ!?」

 

「今一度言うが、お前は冒険者に向かない。二度と冒険者に成りたいとか戯れ言を抜かすな! お前は精々、貴族家三男として政略結婚の駒にでも成るが良い。その方が安全だろうしな」

 

「そ、それは……」

 

「プーム・ミンみたいな男だったらハズレを掴まされた事になるんだろうが、基本的に貴族は余程の怠慢でない限り美男美女の集まりだからな。上手くすればユエ並の美少女しか居ない貴族家に婿養子に入り、其処を継ぐ立場にだって成れるんだし、命懸けの冒険者に成る意味は無いだろうに」

 

 本当にユエ級の美少女が居るかは判らないが、少なくともユエ――アレーティアは吸血鬼族の姫であり女王と成った訳で、それにリリアーナみたいな王女も居るのだから、余程のハズレな相手でもなければ大丈夫な筈だ。

 

 少なくともユートがハルケギニア時代、差し出された貴族の少女達は皆が美少女だった。

 

 まぁ、【閃姫】にした一部以外は流石にもう名前と顔が一致していないけど、少なくともハズレと呼べる不細工な娘は居なかった。

 

 とはいえ、借金をどうにかして欲しくて娘――本人の娘でなく傍系から養女にした場合もあり――を差し出すのに不細工を選ぶなど寧ろ戦争を仕掛ける気満々だと、そう思われても仕方がない所業ではあるのだが……

 

 尚、実はグラモン伯爵家からも最終戦争から数年後に娘が差し出された為、お金の都合をして上げた事もあったのだけど……

 

 名前はナルセーナ・ド・グラモンだったが、立場上はグラモン元帥の長男の愛人の娘だった。

 

 早い話が長男が数年前に妻以外に抱いた平民――但し魔法を扱えたから平民メイジ――が孕んだのを認知した形らしい。

 

 髪の毛の色が薄い青だったからガリア王家の御落胤か、その血筋を引くかいずれかだろう。

 

 少なくとも母親は茶髪だったから隔世遺伝、グラモン家の長男は自分にも母親にも似ていなかった彼女を、他の男の娘かも知れないナルセーナを我が子と認知して育てていたらしい。

 

 美談っぽくも聞こえるのだが、土系統魔法を扱えたからと魔法の力がそこそこ高く、ユートに差し出された時期にはラインに達していた程だったのもあるだろう。

 

 また、ナルセーナを見たユーキが転生者を疑った。

 

 理由はナルセーナであの容姿、ユーキはラノベで見知った存在だったらしく、聞き取り調査をした結果はシロであったと云う。

 

 恐らくはキャラクターだけ習合されたタイプだと結論付けた。

 

 ユーキからの進言と本人からの希望もあり、彼女も【閃姫】にしているから普通に当時から数年後のだいたい一七歳くらいの年齢で今現在もユートの許に居る。

 

 それは扨置き、ユートとしてはウィル・クデタが冒険者に向かないと本気で考えている。

 

 そもそもステータスが視ただけの概算でしかないが、恐ろしく低い数値でしかなかった。

 

 レベルも1で能力も碌すっぽ鍛えてないのが丸判りだったし、触った身体も鍛えてない人間のそれだ。

 

 これで冒険者とか何の冗談かと頭にくる。

 

 親切の押し売りだが、ウィル・クデタだけが死ぬならマシな方でしかなく、仲間を連れて行けば仲間も死ぬのである。

 

 嘗て関わった世界――四方世界と呼ばれた世界でビギナー戦士を党目としたパーティが行き成り殺害されてしまった挙げ句、メンバーである三人の少女達は敵対するゴブリンに殺される乃至は犯されるかされそうになっていた。

 

 ユートが冒険者としての知識を伝えようとしたのを面倒臭がって追放した為に、サポートを受けられなかったのもあったろう。

 

 まぁ、神官と魔術師と武道家の少女達はダメージこそ受けたがユートに助けられて事なきを得た。

 

 党目が選択を誤れば熟練の冒険者パーティでさえ全滅の憂き目に遭うのが普通、ウィル・クデタは決して冒険者になど成るべきではないと確信をしているユート。

 

 実力だけの問題ではなく、報連相の義務も怠りユートに数万の

魔物と戦うべきと宣う辺りがまた冒険者の資質を疑わせる要因となっている。

 

 ユートが冒険者としてフューレンに来た理由は仕事の完遂と、イルワ・チャングへの報告をするのと今後の事を相談する為でもあったのである。

 

 冒険者が仕事をするには、依頼が出され報酬が提示されランク上限が設定されて依頼状を提出して誰が関わるかをはっきりさせてから行われるのが常。

 

 稀に冒険者ギルドを通さず仕事を受ける場合もあるが、基本的にそれは自己責任の範疇としてギルドは一切合切の関与をしない。

 

 損しようが死のうが……だ。

 

 責任の所在も問題だった。

 

 ユートは様々な世界で冒険者をしている為、当然ながらランクは兎も角として能力はベテランと変わらない。

 

 それが唐突に起きた突発性のイベントなら未だしも、今回は時間が二日間くらいは空いている。

 

 魔物がウルの町に侵攻するのは二日後、つまり準備期間が充分に取れるのだから相談にイルワ・チャングを訪ねるのは当たり前。

 

 誰が好き好んで無償で数万もの魔物と戦うものか!

 

「先ずは報酬に関してだ」

 

「待って下さい! 町の危機だというのに報酬? 貴方は巫座戯ているのですか!」

 

「巫座戯てるのはお前だろうに、如何なる仕事も報酬有りきだというのに、そもそもイルワ・チャングもフューレンギルド支部長として決して安くない給金を獲ている筈だがな?」

 

 ユートがイルワ・チャングを見遣ると、当然と言わんばかりに首肯をして見せた。

 

「まったくこれだから貴族は! どうせ金に困った事なんか無いんだろうな? そういやプーム・ミンも百万ルタでシアを寄越せとか抜かしていたな」

 

「ぐっ!」

 

 図らずも自らがオーク貴族(プーム・ミン)と同じだと証明して、唸り声を上げるしか出来なかった。

 

「映像越しの概算だったんだが、雑魚でも真のオルクス大迷宮に於ける第一層、蹴り兎や二尾狼や爪熊とどっこいどっこいくらいだ。それを纏めているっぽい魔物だとベヒモス級か少し弱いくらいか」

 

「真のオルクス大迷宮とは?」

 

「オルクス大迷宮は表層の百層を抜けて初めて、本来の大迷宮へと歩を進める資格を得るんだ。僕は勇者一行の一人の腐れた行動で、偶然ながら落ちた先が真のオルクス大迷宮だったんでね。反逆者なるオスカー・オルクスの隠れ家に行ってしまったよ」

 

「な、何と!」

 

「まぁ、ベヒモスすら殺せない程度の人間じゃあ、第一層で死ぬのは雫が死に掛けてよく判ったよ」

 

「雫とは君と居た黒髪をポニーテールにした?」

 

「天職は剣士で能力も既にトータス準拠では一線級、それが悉く攻撃を避けられて一撃を喰らっただけで瀕死に追い込まれた」

 

「雑魚でそんなレベルかね?」

 

「つまり、金ランク銀ランク黒ランクを集めても果たして百匹を殺せるかどうか?」

 

 黒の何とかとやらを見た限り、百匹は於か半分も殺せそうにはなかったけど。

 

「報酬は雑魚を一匹で一万ルタ、率いる小ボス級を百万ルタかな」

 

「数万匹だから数億ルタ……か」

 

 青褪めてしまうイルワ・チャングだが、別にユートは絶望に叩き込む為に来たのではない。

 

「取り敢えず、雑魚も小ボスも一律で一万ルタにしてやるよ」

 

「それでも魔物数×一万ルタだ、数億ルタには変わらないよ」

 

「仮に六万匹なら六億ルタだから相当な出費だな」

 

「そ、そうだね……」

 

 ウィル・クデタは憤るものの、先程の様な反撃を受けたら何も言えなくなる為、黙って事の成り行きを視ているしかなかった。

 

「数万だから五万と数千匹って事にして、数千匹の魔物はサービスしてやるよ。だから五億ルタだ」

 

「それでも高いね」

 

「そうだな。僕はこれから教会……の上と喧嘩をする予定なんだが、その際にギルドが敵対せず味方となる約束をするなら半額にまで減らしても構わない」

 

「聖教教会……の上? まさか!」

 

「神とその使徒だ」

 

「何故……と訊いても?」

 

「知ればそれなりに背負うぞ? 巫座戯た神の一派との戦い」

 

「知らねば背負えないだろう?」

 

「成程な。まぁ、今は先程の話を約束してくれれば良い」

 

「……了解した。君とその一行には最大限の配慮を約束しよう」

 

 ウィル・クデタもドットも驚愕を露にしてしまう。

 

「後はそうだな、金ランクにしてくれたら五千万ルタをオマケだ」

 

「二億ルタか。ランクを上げるだけでそれなら悪くは無いかな? 数万もの魔物を潰せるなら確かに金ランクだろうしね」

 

 交渉を終えてガッチリと握手をしたユートとイルワ・チャング、其処には凶悪な笑顔が浮かんでいたと後に見ていた二人は語る。

 

 ユートは戦闘準備の為にウルの町までルーラで戻り、イルワ・チャングは二億ルタという大金を掻き集める仕事に掛かった。

 

 二日後……

 

「遠くに見えてきたな」

 

「魔物が七で大地が三?」

 

「それ処じゃ無いけどね」

 

 ユートの言葉に香織と雫が軽口を叩いている。

 

「作戦としては先ず、ユートさんが大型な攻撃で半分以下に減らすんでしたよね?」

 

「そうだよ、シア。君らの出番はその後になるな」

 

「……私やミレディも?」

 

「砲撃は後からで構わないさね。僕の実力をフューレンのイルワ・チャングに見せ付ける為だよ」

 

 ユートはサーチャーの映像を、フューレン支部でイルワ・チャングが観れる様にしてあるのだ。

 

 恐らくウィル・クデタやドットも観るだろうが構わない。

 

「妾も参戦するぞよ?」

 

「作戦通りにするなら構わない。ティオの実力、竜化無しでのそれを見せて貰おうか」

 

「フフ、任せよ!」

 

 流石に竜化はされても困る。

 

(実験その2、シュテルとほむらにはユーキを伝手に伝えてある。さぁ、Show Timeだ!)

 

 これからは始まるのは正しく、巫座戯たレベルの茶番劇。

 

 ユートは愛子先生の可愛らしい顔を見遣りつつも、茶番劇(ファルス)を始めるべく笑顔で口を開くのだった。

 

 

.

 

 




 漸く次で大決戦か。


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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