闘いは続いてます。
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ユートはホッパーゼクターを外し変身解除してしまい、天之河光輝には目も呉れず坂上龍太郎の方へと歩み寄る。
その際に天之河から離れたホッパーゼクターの方は回収し、アイテムストレージ内へとさっさと収納してしまった。
後はゼクトバックルだが、どうせバックルだけではもう何も出来やしないから後回し。
「今回はこれで許すが次は無い、親友を殺されたくないなら命懸けで止めるんだな」
「わ、判ったぜ」
最早、用は無いとばかりに離れた。
「ま、待て!」
「光輝、もうヤメロ! 敵わないのが判らない程じゃないだろ?」
「放せ、龍太郎! 俺は……俺は!」
その瞳は濁りに濁っていた。
「いい加減にするんだな。【神音】は超振動を与えて対象を塵にしてしまう攻撃。一応は死なない様にライダーのアーマーやスーツだけに狙いを絞ったが、それでも余波で吐血するダメージを受けたんだからな」
「俺はまだ敗けてない! だからホッパーゼクターを返せ!」
「意識を僅かにでも途絶えさせた時点で敗けてるのは確定だろうが。お前はそんな程度の事すらも理解が出来ないのか?」
「黙れ、黙れ、黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
ヒステリックに怒鳴る天之河光輝はポケットをまさぐり、其処から一つの小さな機器を取り出してスイッチを押した。
《ZIーO!》
「それは!」
「ハハハ! 変身!」
お腹辺りに持っていくとモーフィングタイムとばかりに変化。
《ANOTHER TIME!》
殆んど白で構成されて白眼を剥き歯も剥き出しな仮面、はっきり云えば醜悪なヒトガタのパロディでしかなく悍ましいにも程がある怪人が出来上がった瞬間である。
《ZIーO!》
「見たか、これぞ仮面ライダージオウ! 時の王者……つまり俺は勇者にして王者、勇者王だ!」
ドガァァァァンッッ!
「ゴハァァァッ!?」
行き成り蹴り飛ばされた。
「ちょっ、緒方!?」
慌てる坂上龍太郎だったけどユートがジロリと天之河光輝を視る目は蔑むモノ。
「お前が、勇者(笑)如きが勇者王を名乗るな! 凱達の勇気が穢れるわ!」
結局は何処の世界線から来たのか判らなかったのだが、記憶喪失だった卯都木 命を囲ったりもしたから余計に赦せない。
ハルケギニア時代の最終決戦直前に顕れたのがプロトJアーク、その中に呉越同舟と云わんばかりに卯都木 命とオリジナルのアベル。
まぁ、オリジナルとはいっても赤の星の指導者ではなくソール11遊星主のパルス・アベルで、オリジナルの意味はパスキューマシンによるコピー体ではないという意味だ。
尚、どちらも性的に戴きました。
だからこそ気分が悪い訳で、イラッとして思わず蹴った……反省も後悔もしていないという。
「ぐっ、よくも! この仮面ライダージオウを傷付けるなど!」
「黙れ、アナザーライダーが!」
ユートはキッパリと言い放つ。
「アナザーライダー?」
「仮面ライダーWならドーパント、仮面ライダー剣ならアンデッド、仮面ライダー鎧武であるならインベス。つまりは仮面ライダーの敵の怪人枠という訳だよ」
近いのはドーパントやゾディアーツ、機器を使って怪人に変態をするタイプであろうか?
「実際、音声もアナザータイムとか言っていたろうが!」
「違う! 俺こそ時の王者! 最高最善の王者となる存在!」
「お前が成れるのは文字通り、最低最悪の魔王そのものだよ……変身っ!」
《KAMEN RIDE DECADE!》
カードをマゼンタカラーのバックルを持っているネオディケイドライバーに装填、サイドハンドルを押し込んでバックルを元の位置に戻したら、ディケイドのライダークレストが浮かび上がって変身を開始する。
「全てのアナザーライダーの力を統べし、裏のライダーの王……ではあるがな。それなら僕は全ての仮面ライダーを破壊し繋ぐ者……仮面ライダーディケイドとして相手してやる」
「ディケイド……だと?」
「少なくとも、お前みたいな怪人枠じゃないさ。正真正銘の仮面ライダーの一人だからな」
とはいえ、ユートが仮面ライダーディケイドの力を獲た経緯が邪神たる這い寄る混沌ナイアルラトホテップの神力を、イチ様とナツ様の神力により喚起させた上でフィルタリングをし、ナイアルラトホテップの神格に覚醒しない様にした訳だからある意味では怪人と大差無い。
「巫座戯るなぁぁぁっ!」
《AGITΩ!》
オドロオドロしい音声と共にモーフィングして緑を主体とするアナザーアギトに。
見た目は木野 薫のアナザーアギトに近い。
尚、これを受けてか木野アギトは正式名称として【仮面ライダーアナザーアギト】と差別化。
目の前のアナザーアギトは別物である。
クラッシャーの部位がむき出しの歯だし。
「アギトにはアギトだ、変身」
《KAMEN RIDE .AGITΩ!》
アナザーアギトに対抗して仮面ライダーディケイドアギトに変身した。
違いはベルトのみで姿形は仮面ライダーアギトのグランドフォーム。
「はっ! たぁっ!」
「く、くそ!」
どうやら初めからアナザーライダーの力を持ち合わせているらしいが、此方は此方で仮面ライダーの力を持ち合わせている。
「そのあからさまなアナザーアギトの姿、それで仮面ライダーの心算とか草生えるな?」
「煩い、黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「悔しけりゃ、正式な仮面ライダーに成ってみせたらどうだ?」
狼摩百夜から聞いた話では、一応だがアナザーウォッチで変身をしても正式な仮面ライダーに成れる可能性は有るとか無いとか、とはいってみても仮面ライダーシノビに成れる筈の青年が普通にアナザーシノビと化した辺り眉唾らしいが……
因みにアナザーアギトが唯一、仮面ライダーアギトに変身したが、それは飽く迄も津上翔一から奪ったアギトの力をライドウォッチにした物を埋め込まれたからに過ぎない。
「己れ!」
《GAIM!》
仮面ライダー鎧武とは似ても似つかぬオドロオドロしい姿、やはり歯が剥き出しになった鎧武者というか落ち武者っぽい姿。
「殺れ!」
亀裂からインベスっぽいナニかを召喚したが、ヘルヘイムに繋がるのか?
《KAMEN RIDE GAIM!》
一方のユートは仮面ライダーディケイド鎧武に姿を変えて挑む。
《ORANGE ARMS HANAMICHI ON STAGE!》
「鎧武には鎧武ってな」
使っているのはライドブッカーのソードモードであり、インベスっぽいナニかを次から次へと撫で斬りにしていく。
「ほら次はお前だ!」
「ぐっ、このぉっ! 俺はこれでも八重樫流を習っているんだぞ!」
「それがどうした? 【緒方逸真流】を御座敷剣法と一緒にするなよ!」
流石に雫がカチンときたらしいが、空気を読んで文句を言い出さない。
一応、八重樫流も実践剣術の流れを汲むもので御座敷剣法とか呼ばれたくはなかった。
まぁ、まともに実戦で使ったのはトータスに来てからが初めてだけど。
「何故だ!」
「何がだ?」
「仮面ライダーディケイドなら知っている。だがあれはディケイドまでの九人、ディケイドを含めて一〇人の仮面ライダーに変身する筈だろう! 何でディケイド以降の仮面ライダーに変身しているんだよ!」
「そんな事か」
何を言い出すかと思えば益体も無い。
「よくドライバーを視ろよ」
「? 色が違う……」
ディケイドライバーのバックルは白色なのに対して、このネオディケイドライバーはマゼンタというピンクに近い色である。
「ネオディケイドライバー。一八個のライダークレストが刻まれている事からも判るだろうに」
確かにライダークレストの数は一八個。
「仮面ライダーディケイドは平成一期を駆け抜けて後、平成二期をも駆け抜けて変身が可能となったって訳だ。モノホンの仮面ライダーディケイドである門矢 士が……な」
「莫迦な、数が合わない! 鎧武以降のライダーも居る計算になるぞ!」
「そうだな、アナザーライダーに合わせるだけでは芸が無い。魅せてやるよ」
ユートはサイドハンドルを引いてマゼンタカラーのバックルを九〇度回転、ライドブッカーの中から一枚のカードを取り出して装填する。
《KAMEN RIDE GHOST! LET's GO KAKUGO GO GO GO GHOST! GO GO GO GO!》
飛翔しているパーカーを纏って、ユートの姿が仮面ライダーゴーストに変化をした。
「な、何だ? ソイツは……」
「仮面ライダーゴースト。現在放映中の仮面ライダードライブの後番、つまりは来年の秋に放映される予定の仮面ライダーだよ」
ニヤリと口角を吊り上げるが、仮面の所為で見えている筈もない。
頭のフードを外して素顔が露わにして……
《GANGAN SABER!》
ガンガンセイバーを喚び出すと駆けた。
未だにアナザー鎧武な天之河光輝は手持ちの剣で対応をするが、剣士としての地力が違っていては敵う筈もなく圧されてしまう。
「なぁ、雫よぉ」
「どうしたのよ、龍太郎?」
「光輝の奴、いつの間にあんな仮面ライダーに関して詳しくなったんだろうな……」
「え、そういえばそうね。光輝は子供向けヒーロー番組なんて興味が無かったし」
天之河光輝にとってヒーローとは天之河完治を指しており、特撮のヒーローなんて彼からしたならば虚飾に溢れた偽物に過ぎなかった。
にも拘らず、今の天之河光輝は仮面ライダーの知識を至極当然の如く引き出している。
「少なくともキックホッパーの時はそこまで詳しくなかったわ。まるでアナザージオウになってから急に知識を得た感じよね」
考え難いがそうとしか思えなかったという。
ユートの攻撃に対処が出来ない天之河光輝は、少しずつ後ろに下がってしまっていた。
「くっ!」
揮われる【緒方逸真流】の剣技……否、刀舞には対処しようにもヒラヒラ動かれて全く打ち合いにもなっていない。
《FOURZE!》
「今度はアナザーフォーゼか」
「アナザーと呼ぶな!」
仮面ライダーフォーゼのパロディとしか思えない醜悪な姿、アナザーフォーゼに変身をしてきた天之河光輝にやれやれだぜ……とばかりな態度。
「いちいち面倒臭いな。それならこれだ」
カードを装填されてブォーンという音を鳴らす機器、それはまるでディケイドの顔を思わせる様なデザインをしてモニタ部分の左右に【21】の意匠が刻まれている。
ケータッチと呼ばれる仮面ライダーディケイドの強化用アイテム、とはいえこれは本来の物とは違いが存在していた。
《KEITOUCH TWENTY ONE!》
ユートは指で液晶の中のライダークレストへと順次触れていく。
《W OOO FOURZE WIZARD GAIM DRIVE GHOST EX-AID BUILD ZI-O ZERO-ONE……FINAL KAMEN RIDE DECADE! COMPLETE TWENTY ONE!》
それは仮面ライダーディケイド・コンプリートフォーム21……緑だった複眼はマゼンタに変化をしていたし、顔も黒を基調に銀色の線が引かれた感じの配色となっていた。
ヒストリーオーナメントは本来だと平成一期のみだが、此方は平成二期のヒストリーオーナメントも最強フォームの絵柄で存在していて、中央部にグランドジオウ、右側には平成一期ライダー、左側には平成二期ライダーとなっている。
背中には裏打ちまでマゼンタカラーのマントを羽織っているのだが、其処には平成一号と二号の仮面ライダー、FAR、FFRで総計が七〇枚のカード
が貼り付くキワモノっぽさで、何とクウガ・ライジングアルティメットまで網羅していて本来での変身者からして
何故か頭が一段増えて仮面ライダーゼロツーのカードとなっている。
(((((ダサッ!)))))
当人と天之河光輝を除く全員の一致した思いはとても辛辣だった。
「仮面ライダーディケイド・コンプリートフォーム21……ってな」
「な、何だと?」
天之河光輝の中の仮面ライダー知識は鎧武まででしかなく、アナザージオウを仮面ライダージオウだと思い込む残念仕様。
《FOURZE……KAMEN RIDE COSMIC!》
喚び出されるのは本人ではなく虚像に過ぎないのだがその力は本物との大差は無い、そして仮面ライダーフォーゼ・コズミックステイツとは即ちフォーゼの最強フォーム。
ユートはファイナルアタックのカードを取り出して、ケータッチをバックルにした代わり右腰に装着したバックル部分にそれを装填してやる。
その動きをトレースする仮面ライダーフォーゼ・コズミックステイツ。
《FINAL ATTACK RIDE FO FO FO FOURZE!》
フォーゼはバリズンソード、ディケイドに成っているユートはライドブッカーのソードモード。
「おりゃぁぁぁっ!」
「グハァァァァァアアアッ!?」
斬撃をクロスした攻撃に晒されて吹き飛ばされるアナザーフォーゼは、ゴロゴロと転がりながらアナザージオウに戻ってしまう。
「クソが!」
《W!》
「ふん、今度はアナザーWか」
やはり醜悪な仮面ライダーWのパロディ的な姿をしたアナザーW。
《W……KAMEN RIDE XTREME!》
顕れたのは仮面ライダーW・サイクロン/ジョーカーエクストリーム、赤い複眼で緑が右側に黒が左側に中央を銀色といった配色をしたWの最強フォームだ。
《FINAL ATTACK RIDE DOU DOU DOU W!》
ディケイドとWがそれぞれにライドブッカーソードモードとプリズムソードを持ち、各々が縦一文字に斬撃を振り下ろしてやる。
「ウギャァァァァァァアアッ!」
吹き飛ぶアナザーW。
「ふむ、やっぱりコンプリートフォームの必殺技は大味になり易いな」
基本的にはディケイドの隣に最強フォームに成った仮面ライダーが立ち、動きをトレースしながら必殺技を一緒に放つのである。
だからどうしても大味になった。
(こうなると、ディエンドライバーの召喚ってのは便利だよな……)
実はディエンドライバーというかネオディエンドライバーはユーキが持っている。
別にユートみたいにユーキが内から溢れる力を具現化したみたいな話ではなく、ネオディケイドライバーの機構はユートの物からだいたいが理解出来たし、何よりも【ジオウの世界】には関わりを持った為に海東大樹が持つネオディエンドライバーを調べる機会があったらしく造った。
正確にはユーキが直に関わったのは【ビルドの世界】だが、世界が一つになってしまった現象で二〇〇〇年~二〇一九年までの仮面ライダー達が
ある意味で一堂に会する世界となり、その侭関わりを持ったのが正しい。
とはいえ、一部は過去にアナザーライダーが現れた影響から歴史が目茶苦茶になったとか。
行き成り桐生戦兎と万丈龍我がツナギーズとやらのファンになったり……
それは兎も角、天之河光輝がまた懲りもしないで変態――もう変身と呼びたくない――をする。
《DENーO!》
「今度はアナザー電王か? 懲りないな本当に頭が良いのか疑うね」
御勉強は出来るタイプ。
顕れたのは何か目が長い電王のパロディ。
ユートは本来のケータッチのカードを装填……
《DENーO……KAMEN RIDE LINER!》
電王のライダーズクレストに触れて【F】と書かれた部位に触れ、仮面ライダー電王ライナーフォームが姿を顕したらすぐにFARカード装填。
《FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DENーO!》
やはりディケイドなユートはライドブッカーソードモードで、電王ライナーフォームはデンカメンソードを揮って攻撃。
「W電車斬り!」
「ガハァァァァッ!?」
変態しても即対応する仮面ライダーの最強フォームで対処してしまう。
「くそ、何故だ! どうして手も足も出ずにやられてしまう!?」
「決まっている。お前は徒に変態を繰り返しているだけ、そもそも使い熟していないのにその姿になってどうする? 況してや天之河が識っているかは知らんが、ディケイドコンプリートフォームは初めての変身で門矢 士はオーガ、リュウガ、ダークカブトをあっという間に屠っているんだぞ。僕でも同じ事くらいは出来る。続けて僕のターンってやつだ」
《KUUGA……KAMEN RIDE ULTIMATE!》
顕れたのは仮面ライダークウガ・アルティメットフォーム、赤い複眼バージョンだから小野寺ユウスケではあるまい。
《FINAL ATTACK RIDE KU KU KU KUUGA!》
「でりゃぁぁぁあああっ!」
仮面ライダークウガ・アルティメットフォームと共にアルティメットキック。
「グハァァァッ!」
《AGITΩ……KAMEN RIDE SHINING!》
「ドロー! ファイナルアタックライド!」
《FINAL ATTACK RIDE A A A AGITΩ!》
「おりゃぁぁっ!」
「ギャァァァァァァァアアアッ!」
ライドブッカーソードモードとシャイニングカリバーによる斬撃。
《RYUKI……KAMEN RIDE SURVIVE!》
「ドロー! ファイナルアタックライド!」
《FINAL ATTACK RIDE RYU RYU RYU RYUKI!》
「はぁぁっ!」
「グギャァァァァアアッ!」
仮面ライダー龍騎サバイブがドラグバイザーツヴァイのソードモードで、ユートのディケイドは相変わらずライドブッカーソードモードで焔を纏った斬撃クロス。
《FAIZ……KAMEN RIDE BLUSTER!》
「ドロー! ファイナルアタックライド!」
《FINAL ATTACK RIDE FA FA FA FAIZ!》
「どりゃぁぁぁっ!」
「ぎゃびりぃぃぃぃんっっ!」
ライドブッカーガンモードと、仮面ライダーファイズ・ブラスターフォームのファイズブラスターによるWシュート。
「何で『ずっと俺のターン』をやってんだ?」
余りにも常軌を逸する行為に茫然となってしまう坂上龍太郎。
更にケータッチを操作しようとするユートに対して、流石に拙いと思ったのか雫が慌ててそんな行動を止めに入る。
「もうやめて、優斗!」
「HA☆NA☆SE!」
「とっくに光輝の精神的ライフは〇よ! もう勝負は着いたのよ!」
それはもう、本当にとっくの疾うに。
「チッ、雫に免じてこのくらいにしてやる」
どうやらまだ足りなかったらしく、舌打ちをしながら天之河光輝に近付いていつの間にか転がり落ちるアナザージオウのウォッチを拾う。
「悪夢の王の一欠片よ 世界の戒め解き放たれし凍れる黒き虚ろの刃よ 我が力 我が身と成りて共に滅びの道を歩まん 神々の魂すらも打ち砕き……【
「なっ、ラグナブレードって!?」
「消え失せろ!」
斬っ!
ユートが神滅斬によりアナザーウォッチを斬り捨てると完全にそれは消滅した。
「これで良しだな」
虚無の刃を消して呟く。
そしてユートは天之河光輝を一瞥して次に坂上を視ながら言った。
「今回は生かしておく。スクラッシュドライバーを渡したばかりだしな。だけどこんな事が続く様なら間違いなく殺すから、それが嫌なら命懸けでその莫迦を止めるんだな」
「お、応……」
冷や汗を流しながら頷く坂上龍太郎。
「ああ、香織」
「何かな、龍太郎君?」
「後で光輝の治療を頼めないか?」
「……仕方がないかな、判ったよ」
スッゴく厭そうな顔で言われて頬を引き攣らせてしまうが、辻 綾子の治療魔法の腕前ではこんなダメージは癒せないと判断する。
「た、頼むぜ」
肩に天之河光輝を抱えて出て行った。
それを見届けて訓練所から食堂へ向かう一同は非常に疲れた表情である。
それはそうであろう、我らが勇者たる天之河光輝が真面目に勇者(笑)になっているのだから。
これでは先行き不安しかない。
しかも単なる無能錬成師と当初は目されていた筈のハジメ、それが仮面ライダーG3ーXを造り上げる快挙を成し遂げた上に仮面ライダーアギトへと変身する力を得たが、天之河光輝により断絶する危機に陥っている現状を永山パーティリーダーの永山重吾は重く見ている。
「ねぇ、優斗?」
「どうした雫?」
「何だか後半戦はグダグダだったんだけどさぁ……変身→攻撃→変身→攻撃って感じで」
「そうだな」
はっきり云って勇者(笑)が莫迦過ぎた。
「彼奴はどうやら知識を直接的に叩き込まれていたらしい。だけどそれで戦える程に甘い筈も無いんだよ仮面ライダーは。小野寺ユウスケとかベルトを得て簡単に戦っている様に見えるから甘くみたんだろうが、実際にそんな簡単にいく訳もないんだからな」
恐らくはアナザージオウウォッチを起動させたと同時に、何処までかは知らないがジオウ関連と後は
「実感が篭ってるわね?」
「ドラクエⅣは知っているか?」
「ええ、一応は」
「第3章:武器屋トルネコ……あれって基本的にはレイクナバの町の武器屋でアルバイトをしながら【破邪の剣】を売却しに来る客を待ち、首尾よく売却されたら売り払わず資金を貯めて自分で買って旅に出るのがジャスティスだ」
「まぁ、一人旅だし武器くらいは良いのが欲しいわよね」
「処が現実では破邪の剣を売りに来る客なんかが居る訳も無く、ある程度の資金が出来たらそれなりの装備品を買って旅立つ。そもそも破邪の剣は序盤ではそれなりの武器、わざわざレイクナバなんて端っこの田舎町じゃなくエンドールとかで売るだろうし、何よりもエンドールとレイクナバを結ぶ道は橋が落ちていて売りに来る客なんて居る筈も無いからね」
「ああ、そうよねぇ」
大きな港町という体でもないレイクナバの町でそんな労力を払ってまで、破邪の剣を売却しに来る暇人がそうそう居たりはしない。
「結果、独り切りで銅の剣を振り回してモンスターに集られ死亡。ゲームはバランス問題もあるから一通りの武具さえ装備して、ちょっとずつ戦わせて……一回戦ったら家に泊まって快復してを繰り返して独りでもやれるんだが、そもそもが怪我を一泊で治せる訳も無いからな。
「あ、行ったんだ……ドラクエⅣの世界に」
「奴を勇者と呼ぶなと言ったろ? 勇者を見知った物としては、あれを勇者と呼びたくない」
それは切実な話だったと云う。
まぁ、余り関係が無い話だが……
ユートがドラクエ世界を巡る順番はⅢ→ロト紋→紋継ぐ→Ⅰ→Ⅱ→Ⅵ→Ⅳ→Ⅴ→ダイ大→Ⅶ→Ⅷ→Ⅸ→ⅩⅠ→というのが正しい。
Ⅹはそれ自体を経験していなかった。
「勇者ユウリが天空の勇者として戦った世界は、勇者イザが勇者として戦った世界の未来だったからね。僕は嘗てグレイスと呼ばれた国の地下で眠りに就き、コーミズ村の地下で褐色肌の姉妹により目覚めた」
「マーニャとミネア……」
実は座標だけ見るとグレイス城とコーミズ村は割と合致している。
尚、ミネアは転生の秘儀を以て転生をしていた【閃姫】ターニアであったと云う。
「そんな訳でⅣの世界のトルネコを見に行ったら丁度、フルボッコにされて死んでいたのを見付けてしまってね。導かれし者って何だったのかとか思ってしまった程だよ」
「それは……また……」
「慣れないレベル1の商人が戦闘したらそうなる訳だな。天之河も慣れない仮面ライダーっていうかアナザーライダーに変態しても碌に戦える筈が無かったのさ」
だから知識も経験も実力も全てに於いて格上であるユートには簡単に斃された。
「僕の場合は闘い方を理解しているしきちんとした訓練に実戦経験という裏打ち、更には何度も使っている慣れもあるからやれていたんだ」
ユートがネタに走る事が出来る程度には慣れていた訳である。
「結局、数を出しても意味が無いのね」
「だから雫には剣、しかも刀に近い形状をしてあるサソードヤイバーを使うサソードを渡した」
「有り難う」
相当に解り易い力を渡してくれたのだと理解して雫としては助かった。
「ん? おい、確か香織は天之河の治療に行ったんだったな?」
「え、ええ……」
「坂上はどうした?」
ユートの質問に……
「俺がどうかしたか?」
当の本人が答えた。
「どうして食堂に居る?」
「え いや……光輝が目ぇ覚ましたら何か食わしてやろうかと思ってよ」
どうやら食料を求めて来たらしい。
「チィッ、なら今は二人だけか!」
「優斗? どうしたのよ!」
「香織が襲われている」
「はぁ? 誰に……まさか!」
「天之河に決まっているだろう!」
ユートは食堂を飛び出した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
少し遡って……
「やめて、光輝君!」
天之河光輝にベッドの上に押し倒された香織は叫ぶが、全く取り合わない梨の礫とはこの事かと云わんばかりな態度。
気絶していた天之河光輝に治癒魔法を掛けていたら、行き成り起き上がってきたかと思えば手首を握り締めて力任せに香織をベッドへ叩き付けるかの如く倒したのだ。
「香織、俺とお前は恋人なのにどうして浮気をしたんだ!?」
「な、何を言ってるのかな? そんな事実は一秒足りとも無かったでしょ! 光輝君と私は幼馴染みというだけで一度もお付き合いをした覚えは無いよ! どうしたのいったい?」
「大丈夫だよ香織、俺はそれを咎めはしても怒ったりはしないから。仕方が無かったんだよな? 緒方にあんなダンジョンでの生死を懸けて肉体関係を結ばされたんだもんな。だから俺がちゃんと上書きをして上げるよ」
「違う! 確かに最初はそうだった! だけど私は自ら肢体を差し出していたんだよ! それに……元々、私が好きだったのは光輝君じゃない!」
「そんな筈があるか!」
「ヒッ!?」
それは顔芸の如くで思わず息を呑む。
「わ、私が好きだったのは南雲君だよ! 今は違うけど、今はゆう君と居るのを愉しいと思ってはいるけど……決して光輝君じゃない!」
一気に言い切ると信じられないという顔で見てくる天之河光輝。
「南雲? 選りに選ってオタクで無能でしかも、遂には魔人族に魂を売った裏切者だぞ!」
「仮面ライダーアギトに成ったのがどうして裏切者になるのかな? それならアナザージオウに成った光輝君はどうなの?」
「アナザーじゃない! 仮面ライダージオウ! 俺は時の勇者王なんだ!」
あんな仮面ライダーの醜悪なパロディーの姿を本気で仮面ライダーとか言っている天之河光輝、それはもう既に狂気の域に達していた。
「大丈夫、大丈夫だ。俺は緒方よりよっぽど巧いんだ。だからすぐに俺無しじゃ居られないくらいに気持ち良くしてやるよ香織」
ビリィッ! 文字通り絹を引き裂く様な音と共に露わとなる香織の秘密の洞窟。
今までに視たのも掻き分けて潜り込んで来たのもユートのみの場所。
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁああっ!」
嘗て、オルクス大迷宮にてユートが下ろして視た時には叫ばなかった香織が、天之河光輝により引き裂かれたら
「そうだ、緒方みたいなヘタレが香織を前に勃つ訳が無いんだ。つまり香織はまだ処女! 今すぐ俺が香織の初めてを貰って上げるよ!」
よく天之河光輝を『悪意は無い』とか『人間の性善説を信じている』とか云われているけれど、それはきっと全くの勘違いなのだろう。
見たいものしか見ず、己れの発言は一〇〇%が正しいと信じ、自分こそが正義で、自分の考えは否定すべき部分がないと考えている。
正しく御都合解釈の超究極体。
普段は言わない『南雲はオタク』という科白も原典に於いてバッチリ言っている辺り、悪意が無いなど有り得ないのがよく解る発言だった。
そして、雫の一件もこう考えられる。
正しい自分が彼女らに言った以上はイジメなんて無くなる筈であり、ならば雫は単なる思い込みやイジメられていた弊害で穿った見方をしているに過ぎない……と。
正義で否定されない自分の言葉で一度解決したからには、二度も同じ事をする必要性を感じないのが天之河光輝。
それがエゴに包まれたらこうなる典型。
香織はまだ処女である……と、既にユートだけでなく香織自身も認めているのに本気で思っているのだから始末に負えない。
「さぁ、往くよ」
ピチュン!
「「え?」」
香織と天之河光輝、同時に二人の声が響く。
「ウギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアッッ!」
刹那、股間を押さえながら天之河光輝は有らん限りの絶叫を上げるのであった。
.
本当の意味で次回は旅立ちます。
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる