ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 これで暫く皆大好き勇者(笑)様は出番無し。





第五章:解放者
第59話:各々の道を往く者達


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「皆、行ってしまったのか?」

 

「ああ。香織も雫も鈴も緒方とな。それに恵里も南雲と一緒に城を出た」

 

「そうか……」

 

 今は少し落ち着いたのか見た目はイケメンだが頭脳は御都合解釈、勇者(笑)天之河光輝は窓から外を眺めながら坂上龍太郎と会話をする。

 

「鈴まで居なくなったのか。しかも恵里がどうして南雲と?」

 

「鈴はお前の傍に居たくないそうだぜ」

 

「俺の……傍に?」

 

「香織をレ○プしようとしたお前に愛想を尽かしたって処だろ」

 

「っ! 違う、香織と俺は恋人で!」

 

「まだ言ってんのかよ! いい加減にしろよな、光輝と香織が付き合っていた事実は無いだろ! そもそも雫から聞いたが、香織は南雲の事が好きだったってよ」

 

「なっ!?」

 

「けど、檜山の莫迦がやらかして奈落に落ちちまってよ……生き残る為にも緒方に護って貰う必要があった。奈落の魔物は二〇階層に降りたばかりだったレベルじゃ、戦闘職な雫でさえ一撃で死に掛けるって話だったからな。緒方が護らないと三人は確実に生きて返れなかった。まぁ、それで香織は緒方に気を移したんだろうな」

 

 実際には何度も何度も抱かれ続けて嫌でも何でも笑顔を振り撒き、『私は貴方に抱かれて幸せです』みたいに自分を騙してきたのが事実になったのが正しい。

 

 元々はユートを苦手にしていた香織。

 

 理由は遠藤真実をユートが助けた際の暴力行為にあるが、当時は好きになったばかりのハジメのやり方を見ていただけに余計に苦手意識を持ってしまっていた。

 

 だけどユートみたいなやり方も確かに必要であると感じ、魔物を相手に必死に護ってくれているのを見ると少しだけ苦手意識が薄れる。

 

 更には雫だ。

 

 知ってはいたが雫はそもそも剣より可愛らしい小物を持ちたく、動物のお人形なんかが好きだったし胴着なんかより可愛い洋服を着たい根っからの女の子、護るより護られたいお姫様気質。

 

 下に下にと降りるに従い魔物は強く狡猾になっていく中、剣は保険に持っていたけど特に揮ったりしないで大人しく護られながら頬を朱に染めていたのを間近で見ていた。

 

 そんな雫が抱かれる様になってから『好きよ、優斗が好きなの!』と本気で言いながら抱かれて幸せそうな表情を浮かべていたのだ。

 

 それを思えばユートの愛人も悪くないかも? とか考え始めてしまう。

 

 ユート自身はユエを、雫を、香織を、愛子先生を抱いて全く衰えない性欲を四人にぶつけていたから、今更ながら告白すらしていないハジメへの想いなど消し飛ばされていた。

 

 ハジメが嫌いになった訳じゃなく、ユートへの想いがハジメへの想いに勝り始めたのだ。

 

 最終的に香織はユートの傍を選ぶ。

 

「じゃあ、雫は何でだ?」

 

「本人に聞いたよ。あいつは向こうでも此方でも『御姉様』とか呼ばれていたよな」

 

「あ、ああ……」

 

 地球での急先鋒にして先駆者(パイオニア)となるのが実妹、天之河美月であるだけにちょっと居た堪れない気分になるけど。

 

「だけどよ、雫自身は誰かを護るより護られたいってのが本当なんだとさ」

 

「俺が居ただろう!」

 

「確かに光輝は雫に会った時、護ってやるとか言っていたけどな……結局はそれが果たされていなかったって事らしいぜ」

 

「そんな事!」

 

「雫が小学生時代に受けてたイジメ、あれはお前が原因だった上に根本的な解決はされてなかったらしいな。覚えはねーか?」

 

「……無いな」

 

 既に実情を知る坂上龍太郎は目を見開く。

 

「本気で言ってんのかよ?」

 

「ああ、特に無かった筈だ」

 

 これは雫が見限る訳だと頭を抱えたくなってしまう坂上龍太郎。

 

「あいつはイジメを受けていたのを光輝に相談したよな?」

 

「されたな」

 

「で、お前はどうした?」

 

「勿論、仲違いは良くないから彼女らに言った。雫をイジメないようにってな」

 

 一言を言い含めたくらいでイジメが無くなるのなら、そもそもそいつらだって初めからイジメなんてしてはいないだろう。

 

「だけど雫からまた相談されたろう?」

 

「よく知っているな。確かにされたが、俺がきちんと言ったんだからイジメなんてもうしている筈がないんだ。雫の勘違いさ」

 

 そうして見過ごした結果がアレだ。

 

 天之河光輝は自らの正しさに酔っている。

 

 究極的に正しい自分が言ったからにはイジメは無くなった筈であり、それを否定する意見など耳を貸す価値すら無い……と無意識に耳を閉ざす。

 

 だから二度目の救済など有り得ないと考えるし決してやりはしないのだ。

 

 その必要性を感じていないからこそ。

 

 これが天之河光輝の限界。

 

 柔軟性が欠如していて自らが信じた事を神聖視すらしており、他者の言葉に左右されないといえば聞こえは良さそうだがつまり、他人の意見など聞く気が無いという。

 

 自分の意見こそが究極的に正しくてそれに反するのは全てが悪で仮令、教師の言葉ですら自分と反目すれば間違いだと考える。

 

 天之河光輝は見たいものしか見ないし聞きたい事しか聞かないという。

 

 だからあのイジメも――俺が雫の為に彼女らへと意見をした、だからイジメをしなくなった筈だから雫を俺は護った。雫がまだイジメられるとか言っているけど有り得ない。

 

 そんな短絡化された思考により、()()()()()()()()()イジメが収まったという事になったのである。

 

 坂上龍太郎は思った。

 

(スンマセン、光輝の親父さん御袋さん。それに美月も済まねぇ。ひょっとしたら俺は光輝を連れて帰れねぇかも知れねー)

 

 それは諦念であったと云う。

 

 そして天之河光輝は喪ったモノが大き過ぎたのか却って、丸っきり自慰後の賢者タイムみたいな心境に一時的ではあろうが陥っていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 リリアーナはユートから贈られたパソコンを、部屋の中で起動をする。

 

 魔力を電気変換する魔導式を使ったコンバーターが有る為に、パソコンを使う為の電気くらいはリリアーナが一人だけでも賄えていた。

 

『初めましてだな』

 

「え? あの、貴方は?」

 

 モニタに映し出されたのは金色のマスクに鎧を纏う青い身体を持つ異形。

 

『俺はマグナモン。デジタルモンスター、略してデジモンと呼ばれる電子生命体だ。まぁ、こいつの喋る説明書だとでも思ってくれれば良いさ』

 

「えっと……そ、そうですか」

 

 電脳獣(デジタルモンスター)

 

 ユートが前々世でも好きだったそれは電脳世界(デジタルワールド)と現実世界を往き来して、様々な事件に小学生~高校生くらいの少年少女がパートナーデジモンと共に戦う物語。

 

 まぁ、【デジモンフロンティア】は主人公達がデジモンに進化するからパートナーは居なかったりするのだが……

 

 マグナモンもそんなデジモンの一体で、属性はフリー、進化レベルはアーマー体、種族は聖騎士型となっている。

 

 デジモンの属性は基本がワクチン種とデータ種とウィルス種、更にアーマー体とハイブリッド体という特殊なモノも存在していた。

 

 アーマー体とは古代デジタルワールドに於いて存在したデジメンタルを使う進化の方法の一つ、だけど永い時の流れの中に淘汰されてしまったものでもある。

 

 マグナモンはそのアーマー体、基本的に成熟期と変わらない能力にしかならないが【奇蹟のデジメンタル】や【運命のデジメンタル】は究極体にも匹敵する力を与えてくれた。

 

 所属はロイヤルナイツで、ネットワークセキュリティの最高峰でイグドラシルという神に等しい存在に仕えている。

 

 と言いながら、実際にはこのマグナモンは飽く迄もユートが神器である【魔獣創造】の禁手たる【至高と究極の聖魔獣】で創造した聖魔獣。

 

 本物と何ら変わりは無いがある意味で偽物でしかなく、【ハイスクールD×D】世界で神器を手にした際に初めて創造したのがロイヤルナイツで、

始祖のインペリアルドラモン・パラディンモードを除く一三体が創られている。

 

 リリアーナのパソコンに潜むマグナモンは謂わば水先案内人であると同時に、究極体にも匹敵する能力で彼女を護る護衛でもあった。

 

 元よりマグナモンはユートからそういう扱いを受ける事も多く、前にもとある女性の守護役を担わされている。

 

 因みにユートには普通のパートナーデジモンも居り、デジヴァイスの一種であるDーアークの中に仕舞った状態にしていた。

 

 嘗てアリス・マッコイの許に顕れた四聖獣からの遣いドーベルモン、消えつつあった彼のデータ――主に人格など――をサルベージして再構成した成長期デジモンのガジモン。

 

 ガジモンは元のドーベルモンに進化、ケルベルモンに超進化、ジンロウモードに変化して究極進化でアヌビモン、融合進化でプルートモンに。

 

 やはり冥府や冥界と関わるデジモンとなる。

 

 リリアーナは仮面ライダーに成って自分から戦う訳ではないお姫様、故に認識阻害や変身魔法などを使えば傍に居易いサイズのマグナモンを護衛として置いたのだ。

 

 マグナモンはオメガモンやアルファモンなど、況んやエグザモンみたいな巨体ではなくて精々が小柄な大人、姿そのものを変えてしまえば護衛としてとても優秀だった。

 

 事実として実際に別世界にて【OGATA】を展開した時、秘書を任せた女性――桜井穂波を護る仕事を確りとやってくれている。

 

 携帯型デバイスのDー3を持たせているから必要な時以外は待機させられるのも大きい。

 

 本来のDー3には無い機能ではあるが……

 

 この城で何かしら起きた場合の保険的な意味でマグナモンに任せた訳で、パソコンを奨めたのも半ば彼を護衛とする為であったと云う。

 

「という訳だ」

 

「成程、確かに神代魔法を持つ魔人族が襲撃して来たらメルド達だけでは危険ですね」

 

 説明を受けたリリアーナは納得した表情となり鈴を手にして鳴らす。

 

 チリンチリンと小気味良い音が鳴り響き暫くしたら扉がノックされた。

 

「メルドです、姫様」

 

「御入りなさい」

 

「はっ、失礼致します!」

 

 騎士団長をクビになり、リリアーナに直接雇われ近衛騎士に転身したメルド・ロギンス。

 

 彼を呼んだ鈴はアーティファクトらしい。

 

 何だかどっかの団長さんが彼を慕う女傑から渡された鈴っぽいが、あっちは正真正銘の単なる鈴であるのだと思われる。

 

「何か御用でしょうか?」

 

「ええ、貴方に面通しをしておきたい方が居りまして」

 

「面通し? それは新しく護衛を入れたという事でしょうか?」

 

「その通りですわ」

 

 ニコリと微笑むリリアーナは確かなお姫様としての可憐さが滲み溢れていた。

 

「マグナモン、出て来れますね?」

 

『ああ、Dー3でリアライズしてくれればな」

 

 リリアーナは言われた通りにDー3を翳してやりマグナモンをリアライズする。

 

《REALIZE!》

 

 小さな四角いモニタが光を放ち、顕れた人影はその真の姿を露わとしていく。

 

「なっ!?」

 

 金色の鎧兜に青い身体に尻尾、しかも行き成り顕れたとあっては亜人族が忍び込んだと誤解をしても責められまい。

 

「初めましてだな、メルド・ロギンス。俺の名前はマグナモン。優斗が用意したリリアーナ姫への護衛だ」

 

「何? ユートが……だと?」

 

 マグナモンの言葉に驚愕してしまう。

 

「そうだ。だが、お前達の本分を侵す事は此方の望む処ではない。俺は飽く迄も緊急時に於いての備えだからな」

 

「つまり俺達、近衛騎士が用済みとなった訳では無いと?」

 

「そうだ。俺は見ての通りに人間とは言い難い姿をしているしな」

 

「成程……な」

 

 確かに通常の護衛は人間であるメルド達こそが向いているだろう、それはメルド・ロギンスをしてそう思わせるには充分に過ぎた。

 

「了解した。普段の護衛は俺達に任せて貰おう。だが危急の際には任せて良いんだな?」

 

「ああ、任せて貰おう。ロイヤルナイツが一人たるマグナモンの名に於いて護って見せるさ」

 

 種族を越えて二人は拳を合わせる。

 

 メルド・ロギンスとマグナモン、リリアーナの守護騎士として日向から日陰から動く者同士として解り合った瞬間だったと云う。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 愛子先生が王都にまで戻ってきた。

 

 正確には愛子先生率いる一行が……というべきであり、共に動いていたメンバーも当然ながら一緒に戻ってきている。

 

 その為に永山パーティは大いに喜んだ。

 

 何しろ、既に半壊していた神の使徒(笑)だったのが更に人数を減らすわ、勇者(笑)は役立たずで竿も立たなくなっているわで最早、戦闘集団としては機能していないと云えるのだから。

 

 ギリギリで坂上龍太郎が仮面ライダークローズチャージに、遠藤浩介が仮面ライダーシノビに成れるから何とかいけそうだが……

 

 玉井淳史、宮崎奈々、菅原妙子、清水利幸、園部優花という五人が戻ってきただけで可成り違ってくる筈。

 

 畑山愛子先生は非戦系天職だから戦えないけどこれで戦力補充だと、永山重吾は胸を撫で下ろす気分で六人の帰還を喜んでいた。

 

「……は?」

 

 先ず、清水利幸が戦えないという余りにも無慈悲な宣告を受けるまでは……だが。

 

「ど、どういう事ですか!?」

 

 愛子先生は哀しそうに説明をする。

 

「つまり、清水は俺達を裏切って魔人族側に付こうとして緒方に計画を潰された?」

 

 教える必要は無かった気もするが清水利幸が力を喪っており、その経緯を伝えるにはどうしても言わない訳にはいかなかったのだ。

 

「力を喪ってって、やっぱり光輝が技能を喪っていたのは緒方が原因かよ」

 

 坂上龍太郎は得心がいったらしい。

 

「清水、何だって裏切ったんだ!?」

 

 戦力の補充を期待していたからか永山重吾の科白には険が含まれていた。

 

「既に清水君は充分過ぎる罰を受けていますからこれ以上は責めないで下さい」

 

「だ、だけど!」

 

「私も至らなかったんです」

 

 とはいえ、一教師が生徒の全てに目を向けるなど土台不可能な事である。

 

 清水利幸は伏せた侭で喋らない。

 

 裏切りを働き、愛子先生を殺し掛け、ユートに殺されて、愛子先生の慈悲で生き返ったが技能は言語理解しか無くなり、レベルも1に戻ってしまった上に初期値より遥かに、それこそハジメの初期値より低い数値になってしまった。

 

 勇者がどうのという話ですら無くなったのだから喋る気にもならないのである。

 

「それにしても、アンタ達も何だか意気消沈しているみたいね?」

 

「うっ、まぁな」

 

 優花からの問いに苦い口調となる。

 

 互いの情報交換に努めたらどちらも芳しくない状況であり、どちらにもユートが関わっていたのが改めて理解出来た。

 

「結局、良くも悪くもアイツが関わるのか」

 

「悪く関わったのは清水や天之河に問題があったからでしょ!」

 

 半眼で永山重吾を睨み付けながら優花が言い、それが正しいと理解していたからか永山重吾は黙り込んでしまう。

 

 実際、身内扱いな浩介は仮面ライダーシノビのツールを貰えたくらいだし。

 

 ユートは愛子先生も優花も他のメンバーも知っている通り簡単に人間を殺せる感性を持ってはいるが、逆に味方に対しては優しいを通り越して甘い対応をする場合もある。

 

「緒方はマジに教会を信じてねーんだな」

 

 話を聞いたらどうやら神代魔法を得る旅というのは共通認識らしく、坂上龍太郎は親友があっさりと信じた教会をユートは全く信じず独自に帰る手段を得ようとしている事に驚く。

 

「後は仮面ライダーの力……あれが有ったら魔人族との戦争も少しは楽になるんだがな」

 

「少しは楽とかそんなレベルじゃないわよ」

 

「どういう事だ?」

 

「仮にパンチ力が低いクウガでもステータスプレートの筋力に合わせると5000くらいにはなるって、それよりも低い仮面ライダーであっても最低限3000を越すらしいわ」

 

「俺らとは桁違いかよ」

 

 雫みたいに得意分野が1000を越す場合などあるが、今現在での永山重吾達のステータス値はまだ三桁台であった。

 

 それでも三〇年は頑張ってレベルを上げていたメルド・ロギンス元騎士団長、今やそんな彼を遥かに凌駕しているのも事実ではある。

 

 何しろ彼のステータス値は高くて300を少し越したくらいなのだから。

 

 まぁ、彼もハジメが贈ったG4で概算ではあるものの、原典みたいに仮面ライダークウガを越えるのは無理でも2000くらいの筋力ならば使える筈だった。

 

 流石に強化魔法を付与していてもオリジナルの仮面ライダーG4程ではない。

 

 優花としてはコイツらをすぐにも見捨てたい処だったが、ユートが信頼していると思われる人物――遠藤浩介の存在が引き留める。

 

 ユートが浩介と仲良しだったのを優花は知っていたし、この場に彼を残して行ったのなら少なくとも完全に見放した訳ではあるまい。

 

 まさか、まだ喰ってない吉野真央や辻 綾子を喰う為に見放していないとは思えないし。

 

 そんな理由だったらちょっと嫌かも。

 

 その後もそこそこな情報交換をしてから優花はキッパリと言う。

 

「兎に角、天之河は私達に近付けないで」

 

「お、応」

 

 いずれにせよ、強姦魔と化した天之河光輝には近付きたくもなかったからだし、その意図を流石に理解したのか坂上龍太郎も頷いた。

 

「処で、園部は仮面ライダーに成ったらしいけど力は借りれるのか?」

 

「一応、クラスメイトを見殺しにする心算なんて無いわよ。でも天之河が近付いて来たら国を出ていくから気を付けなさい」

 

「わ、判った」

 

 暫定リーダーな永山重吾は皆の安全を守る為にも了承をするしかない。

 

「そういや何のライダーなんだ?」

 

「仮面ライダーキバーラ」

 

「キバーラって、仮面ライダーディケイド劇場版に出てきた光 夏海がキバーラと変身する?」

 

「優斗がディケイドだから……ね」

 

 仮面ライダーディケイドのヒロイン役にも等しい光 夏海、そんな彼女が変身したのがつまりは件の仮面ライダーキバーラ。

 

 キバット族でキバットバットⅢ世の妹らしいからキバットバットⅡ世の娘か?

 

 どうやって子作りしているのかとか、そもそも母親はいったい誰なのか……とかのツッコミをしてはいけないのであろう。

 

 尚、ユートのキバーラはキバットバットⅢ世の実妹的にキバットバットⅡ世の因子を予め分けてから創造をしている。

 

 だからユートのキバットバットⅡ世は間違いなくキバットバットⅢ世とキバーラの父親だ。

 

 そしてユートの創ったキバット族はユートが造った【闇のキバの鎧】、【黄金のキバの鎧】、【姫騎士のキバの鎧】の管理をしている。

 

 因みに【姫騎士のキバの鎧】はキバーラの事であり、特に名前が無かったからそれらしく付けたものだったりする。

 

 仮面ライダーキバーラが姫騎士って感じだから良くないか? みたいな感じだ。

 

 更に云えば原典で人工モンスターだったサガークは【運命の鎧】を管理し、今はユエが使用しているというのが現状であったと云う。

 

 まぁ、全部がユートの神器――【魔獣創造】の禁手たる【至高と究極の聖魔獣】で創造した人工モンスターな訳だが……

 

「助かるよ。浩介と龍太郎が仮面ライダーに成れるんだが、他にも成れる南雲と中村は城を出てしまった。谷口も緒方に付いて行ったからな」

 

「南雲と恵里? それに鈴もって……」

 

 恵里や鈴とヤったのか? 何て思った優花。

 

「谷口は即断即決なのかね。中村はずっと前から仮面ライダーに成れたみたいだがな」

 

 それを黙っていたのが不満なのだろう。

 

「多分、中村は切札にしておく心算だったんだ。敵を騙すなら先ず味方から、人の口に戸は建てられないだろ? 実際、天之河に邪魔されなきゃあ上手く魔人族を斃せていたんだからな」

 

「浩介……」

 

 浩介が恵里を庇う様に言ったのを驚く永山重吾だったが……

 

「遠藤、居たの?」

 

「居たよ! ずっと園部の目の前に!」

 

 優花は遠藤浩介が()()()のに驚いていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 赤銅色の世界だと【グリューエン大砂漠】とは正しくそう表現する以外にない場所、赤銅色をした砂はそれ自体が微細な粒子で、常に一定方向から吹く風で舞い上がった砂が大気の色すら砂と同じ赤銅色に染め上げており、全てに於いて見渡す限り一色となっている。

 

 砂漠には大小様々な砂丘というものがそれこそ無数に存在し、その表面は風に煽られて常日頃から波立っていた。

 

 表面の模様や砂丘の形が刻一刻と変わっていく様相は、まるで砂丘全体が生きているのだと表現したくなる程である。

 

 燦々と照る太陽、そんな灼熱のエネルギーを溜め込かんだ砂の大地が苛烈とも取れる程な熱気を放っており、外気は四〇度を軽く超えているだろうと思われ、舞い散る砂と合わせて旅の道としては最低最悪の環境だろう。

 

 普通ならば。

 

 外の過酷な環境など知るかと言わんばかりに突き進む白い乗り物、魔力を電気に変換した上で動く駆動八輪なキャンピングバスが砂埃を後方へと巻き上げながら爆走をしていた。

 

 そう、ユートの一行はグリューエン大砂漠を往く真っ最中である。

 

 キャンピングバスに乗っての悠々自適な旅路であり、バスも自動操縦的にAI制御がされているから某かトラブらない限り問題は無い。

 

「う、うわぁ……」

 

 黒黒金金白の髪の毛の持ち主がマッパで男へと縋り付き、蕩けた表情で嬌声を上げながら全身を汗で濡らしていた。

 

 鈴は真っ赤になりながらペタンと女の子座りをしつつ、モジモジと内股を擦る様な仕草をしながらそれを見つめている。

 

 ユートが雫、香織、ユエ、ミレディ、シアという五人の美少女と絡み合うという情景を。

 

 因みにティオはミュウを寝かし付ける役に涙を流していたとか。

 

 そんな御乱交を見せ付けられては、初心な鈴をして発情致してしまうのは仕方がない。

 

 感覚的に真綿で首を絞められたかの様な発情の仕方をしていて、左手がほんのりとした脹らみへ向かい、右手が男の到達点とも云える茂みの奥へと向かっていた。

 

 良い具合に発情していた鈴はいつの間にか近付いていたユートに喰われ、目が覚めたら翌日の昼になっていて驚愕してしまう。

 

 鈴の性感帯開発記はどうやら順調な様だ。

 

 キッチンに立つのはシアと香織。

 

 シアと香織が基本的におさんどんをしてくれるのは有り難く、余り炊事をしないユートからしたら感謝の極みというもの。

 

 とはいえ、ユートは別に料理が出来ない訳では決して無かったりする。

 

 実際に料理関係の世界でそれなりに評価される程度にはやれるし、間違っても暗黒料理人だったり米を洗剤で研いだりはしない。

 

 流石にチート転生万歳な人々みたく5つ星レストランのシェフ並とかではないけど、少なくとも

料理漫画である程度には活躍が出来る程度には。

 

「という訳で偶にはゆう君の御料理も食べてみたいかな」

 

「……メンドイ」

 

「本当にやりたがらないね、ゆう君ってば」

 

「そうですよね」

 

 香織もシアも呆れてしまう。

 

「判ったよ、一品だけメインディッシュを作る。それで良いだろう?」

 

 已む無しと瞑目しながら言うと、香織もシアも手を合わせて喜んだ。

 

 前々世では親の脛齧りだった頃は母親や祖母が御飯を作ってくれたし、家を出て三流大学に通う大学生や社会人だった頃には妹の白亜や分家筋の長女達が甲斐甲斐しくも世話を焼いてくれた。

 

 ハルケギニア時代はそもそも下級の子爵位とはいえ貴族だったから、メイドが何人も揃えられていて炊事洗濯掃除などは彼女らの仕事だったし、シエスタが専属になってからは余計にする必要性など無くなっている。

 

 今生では三歳までは従姉のネカネが世話をしてくれて、四歳から五歳までは京都の近衛家で生活をしていたから問題も無く、京都を出てから後はアメリカはアーカムシティで覇道家の世話になっており、魔法世界ではシエスタを招喚していたから身の回りの世話役を任せていた。

 

 早い話が碌に自分でやらなかったのだ、その所為か余り家事をやりたがらない。

 

 ユートは材料をデンと出して下処理を済ませ、そしていよいよ料理を開始した。

 

「って、それ……何だか見覚えがあるけど?」

 

 全長が約一〇mくらいで脚を八本も持つ獰猛そうな爬虫類である。

 

「ガララワニって生物」

 

「ガララワニ? 確か【トリコ】の序盤に出てきた一kgが二〇万円とかいう?」

 

「こいつは充分に成熟しているからその程度には値が付くだろうね」

 

「そんなのを何処で手に入れたのかな?」

 

「そりゃ……【トリコ】の世界でだが」

 

「ですよねぇ!?」

 

 当たり前な事をとばかりに答えられた。

 

 転生者だったり異世界転移者だったりするのは香織も知らされたし、それならば【トリコ】世界へユートが行っていてもおかしくない。

 

 その日は美味しいステーキが食べられて雫達は

満足感に充たされていたが、香織は美味しかったけどやっぱりやり切れない何かを感じたとか。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 暫くは特に何も無い日々だったが、更に進んだら遂にトラブルらしきに出逢ってしまう。

 

「あれは……サンドワームって処か?」

 

 見た目は巨大な蚯蚓。

 

「誰かが襲われてるな。ガラベーヤっぽい服装なのは砂漠故にか……」

 

「ガラベーヤ?」

 

「エジプトの民族衣装だよ」

 

 フード付きの外套を羽織っているのは砂漠だからだと判るし襲われているのも理解が出来るが、知能が低い砂蚯蚓が未だに獲物を喰わず周りを廻っているだけなのが気に掛かる。

 

「えっと、やっぱり助けないの……かな? あのね……ゆう君が助けないなら私も約束通り動かないよ? ホントだよ!」

 

 涙を浮かべながら言う科白ではない。

 

 ユートは香織の目尻に浮かんだ涙を人差し指で拭うと、本人の目の前で口許まで濡れた指を持っていきそれをペロリと舐めた。

 

「な、何を!?」

 

 カーッと香織は顔に血が上るのを感じる。

 

 恥ずかしくて……それに少し怖くてオロオロと瞳を右往左往させてしまう。

 

 ユートは身内に甘いくらいで優しくて、敵にはとことんまで苛烈で、無関係な人間には特に何も感じない。

 

 それが白崎香織の知る緒方優斗だから。

 

「僕は正義の味方じゃない。だけど人間の自由と尊厳を護る……仮面ライダーだ!」

 

 本物とは云えない、オリジンでは決して無い、そもそもがユートの原典は別に在る。

 

 それでも今、此処に立つ緒方優斗はそれを名乗るだけの闘いをしてきた心算だ。

 

「そうだね、自由な意志の下に」

 

 ミレディが頷く。

 

《ZEROーONE DRIVER!》

 

 ユートはゼロワンドライバーを装着。

 

 合わせてミレディもエイムズ・ショットライザーを腰に装着した。

 

 そして二人は揃ってプログライズキーのライズスターターを押す。

 

《JUMP!》

 

《BULLET!》

 

 ユートはオーソライザーにプログライズキーを認証させた。

 

《AUTHORIZE》

 

「変身!」

 

 ライジングホッパープログライズキーを展開してライズスロットへと装填してやる。

 

《PROGRIZE. TOBIAGARIZE RISING HOPPER!》

 

 黄色い飛蝗型をしたライダモデルと一つになりユートは、仮面ライダーゼロワン・ライジングホッパーに成った。

 

《A JUMP TO THE SKY TURNS TO A RIDER KICK》

 

 一方のミレディもライズスロットへシューティングウルフプログライズキーの装填をして展開――これは原典では何故かやらない正しい変身方法。

 

《AUTHORIZE……KAMEN RIDER KAMEN RIDER KAMEN RIDER KAMEN RIDER》

 

「変身!」

 

《SHOT RIZE!》

 

 SKダンガーが放たれてUターンし、ミレディがそれを正拳突きにするとライダモデルが解放されて身体をスーツとアーマーが鎧う。

 

《SHOOTING WOLF. THE ELEVATION INCREASES AS THE BULLET IS FIRED》

 

 青色を主体とする左右非対称なアーマーを纏う青い複眼を持つ、仮面ライダーバルカン・シューティングウルフと成ったミレディ。

 

「お前を止められるのは唯一人、僕だ!」

 

()()エヒトルジュエをぶっ潰す!」

 

 変身した二人はバスを出て砂蚯蚓の所へ。

 

「あらあら、出遅れたわね」

 

「わ、私はそんな心算じゃなかったんだけど」

 

 雫の言葉に呟く香織。

 

「……何? あの仮面ライダーは……」

 

 鈴には見覚えが無い。

 

「ユートさん、ミレディちゃん……置いて行かれてしまったですぅ」

 

「此処で活躍して、主殿に貫いて欲しかったのじゃがのぉ」

 

 残念そうなシアとティオではあるが、ティオのそれは性的な我欲に塗れていた。

 

「……仕方がないから待つ」

 

 ユエはキャンピングバスが進むに任せる。

 

 あっという間に辿り着くゼロワンとバルカンの二人は、地上の魔物など相手にもならないとばかりにソッコーで打ちのめしてしまった。

 

「どうやら病にでも罹患したみたいだな」

 

「そだね。うん、この症状ならミレディちゃんが知ってるよ」

 

「そうなのか?」

 

「昔に聞いた覚えがあるのさ。ナッちゃんがその為の薬を作っていたらしいしね」

 

「ナイズ・グリューエンがな。つまり、この病はグリューエン大砂漠特有の病だと?」

 

 フードを取り払い露わとなる青年の顔、二十台という若さは人間族なら見た侭の年齢であろう。

 

 顔は苦しそうに歪められ大量の汗が浮かんでいて呼吸も荒く脈も早い。服越しに触れてさえ判るくらい全身からは高熱を発していた。

 

 強烈な圧力が内部から掛かっているのかと思える程に血管が浮き出ており、目鼻の粘膜から出血もしているとか異常な状態は単なる日射病や風邪という訳では決してあるまい。

 

 ミレディは首を横に振る。

 

「違う。これは魔物の固有魔法、まぁ、この辺りの魔物が使う固有魔法だから間違いじゃないんだけどね……」

 

 厄介な病だが、それだけに数千年も前から謂わば特効薬も存在していると云う魔物の固有魔法を原因とする病。

 

「魔力の過剰活性と体外への排出が出来なくなるって病気……だよ。ナっちゃんの嫁たるスーシャ・リブ・ドゥミバルの妹で、ある意味ではもう一人の妹のユンファ・リブ・ドゥミバルって娘が罹患していたらしいんだ」

 

 痛々しい表情をしながらミレディは青年を診て言うのであった。

 

 

.




 新章に突入ですが、つまりはアニメ第一期を越えたという意味でもあります。

 そろそろ他のも書かないと……


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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