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魔力の過剰活性と魔力の自然排出が不可能だという状態に陥る魔物の固有魔法、それにより青年は夥しいまでのダメージを受けている。
「ミレディ、治療法は?」
「静因石と呼ばれる石を薬にした物を飲ませれば治る。実際、スーシャちゃんの妹ちゃんもそれで治ったって話だしね」
「今は持っているか?」
「いや、有る訳ないじゃん」
「それもそうか。ドレインタッチ!」
「へ?」
ユートが触れると魔力が吸収されていく。
「ライフドレインやレベルドレインじゃなくて魔力を吸収するタイプだからな。あの世界は改めて考えてもゾッとするよ」
ウィザードリィ世界は危険に満ちた世界だったと今も思うくらいだ。
ユートが関わったのは凶王の試練場から視ると千年くらい前で、そして凶王の試練場そのもの~ウィザードリィⅤに当たる部位。
前にユートが使った鳳龍核撃斬もあの世界に於いて、ショウという侍から習った鳳龍の剣技という技術である。
「さて、取り敢えずは落ち着いた筈だけどな」
魔力が過剰に活性化していて排出が出来ないにしても、マナドレインで魔力そのものをユートが吸収すれば一時的にでも症状は治まる筈。
排出が出来ないというのは飽く迄も自然排出が出来ないのであり、誰かが無理矢理に吸い出すのは不可能ではないらしい。
「この先は確かアンカジ公国だったな」
「へぇ、ミレディちゃんの時代だと大した町も無かったんだけどな」
「取り敢えずバスに運ぶか」
「助けるんだ?」
「……ミレディ、僕を誤解してないか?」
「誤解……ねぇ」
ジト目で視られたユートだが、昔に関わりを持った世界での義理の弟じゃあるまいし、ジト目は好物ではないので止めて欲しい処。
因みに彼はジト目と強気と眼鏡と赤面とツンデレがストライクゾーンらしく、パートナーとなった女の子は正しく全属性を兼ね備えたある意味で最高の相棒であったと云う。
尚、ユートはお姉さん属性が好みなので狐耳に尻尾の獣人な義理の姉と宜しくヤっていた。
「僕は別に見知らぬ誰かを助けない訳じゃない。例えば崖から落ちそうな誰かが居れば普通に助けるさ。まぁ、優先順位が有るから二人の内の一人しか助けられないなら男女の別が有れば女、知り合いと知らない人間なら知り合いという感じにはなるだろうがね」
「どっちも助けるとは言わないんだ」
「前提条件は
よく第三の選択肢的に『どちらも助ける』とかあるが、そもそもそれは前提条件を違えていると理解をしていないし、別に格好良くもなければ素晴らしくもない愚かでしかない答え。
何より、天之河っぽい答えでユート的には虫酸すら走るのであった。
(そういえば、あの
晩年の彼なら最早、そんな莫迦な答えなど出したりしないだろうが若かりし頃、子供先生だとか呼ばれていた頃なら間違いなくそうしたろう。
ユートがクイッと指を曲げると青年がフワッと浮き上がり、それをプカプカと浮かせた侭の状態で持ち運んでやる。
キャンピングバスに戻ってみると香織が複雑そうな表情で立っていた。
「どうした、香織?」
「あの、ゴメンね」
行き成り謝罪、その理由には察しが付く。
「どうにも君らは僕を誤解しているよな」
「ご、誤解?」
「どうせ意に沿まぬ事をやらせた……とか思っているんだろう?」
香織が躊躇いも無く頷く。
「あのさ、そんな薄情な人間に女の子が寄り付くと思うか? 天之河は面だけは良いから端から見ただけの連中は夢中になるんだろうが、香織と雫は天之河と恋人になりたいか?」
今度は二人して即座に首を横に振った。
「そういう事だよ」
ユートの【閃姫】に成った女の子達の大半は、救われたのが理由で堕ちている。
例えばハルケギニアでケティ・ド・ラ・ロッタとその専属メイドが二人、命や貞操の危機だったのを助けたのが切っ掛けで懐かれた。
ユーキも究極的にはそうだ。
勿論、単純に交流をして懇ろになった相手だって幾らでも居る訳だが……
「兎に角、気にする必要は無い。僕だってやりたくなけりゃやらん」
「う、うん……」
ほぅ……と頬を朱に染めながら頷く香織を見つめて雫は思う。
(こうやって堕ちていくのね。私も含めて)
今のユートは香織にとって理想的な男の子とでも云おうか、ハジメに見たそれよりずっと理想的で心臓はバクバクと高鳴るし、子宮がキューっと締め付ける様な痙攣をして男の槍を受け容れ易くする為の潤滑油で入口を潤していた。
肢体は熱くなって今すぐでもベッドへ連れ込まれたら、香織はまるで抵抗も出来ずにあっさりと受け容れるだろう。
ハジメが好きだった気持ちに嘘は無かったが、今の香織にどちらかを選べと言われたらユートを選ぶくらいに、現在は想いを募らせていた。
「どうしても気にするなら今晩にでも激しいのを頼もうか?」
「う、うん……」
(堕としのテクニック……というより光輝みたいに無意し)
ジャキン!
「ちょっ!?」
行き成りアタッシュカリバーを展開して雫の首筋へ刃を突き付けてきた。
「今、スッゴい不愉快な気分になったんだけど。雫はナニヲカンガエタノカナ、カナ?」
瞳にハイライトが浮かんでいないし顔に笑みを貼り付けていて怖い。
「な、何も考えていません!」
「なら良いが……」
どうやらアレと同じにされるのが魂の奥底から厭だったらしい。
「鈴、客室に布団を用意してくれ」
「あ、うん。了解だよ」
「シアは手伝いを」
「判りました」
取り敢えず危機は去ったにせよ、魔物の固有魔法の脅威が取り払われた訳では無いのだ。
目を覚ますまでは寝かせておくべきだろう。
「香織は僕らのと別に彼の食事を。粥が良い」
「うん、判ったよ」
「雫は香織の手伝いをしてくれ」
「了解」
ユートはプログライズキーを外し変身を解除すると、青年を再び念動力で浮かべると客室の方へと向かって歩く。
ミレディもショットライザーからプログライズキーを抜き取って変身解除。
「ふう……」
特に疲れた訳でも無かったが指示を受けた訳でもないし、同じく何も指示をされてないユエと共に待つ事にした。
「ユエちゃんのライダーシステムはまた別物だったよね?」
「……ん、そう。魔法を扱い易い様にとサガークを渡された」
「そっかそっか。確かにユエちゃんの魔法の才能は凄まじいもんねぇ。ミレディたんも教え甲斐ってのがあるよ」
実際、嘗ての時に【解放者】のメンバーの中にユエが居たら……とすら思う。
今現在のミレディはユエの師匠。
魔法の才能という意味では全属性適性を持っている上に、ミレディの重力魔法にさえユートを除けば一番の適性を示した。
この意味は大きい。
(重力魔法の真骨頂は星のエネルギーに干渉するという事。重力操作はその中でも一番難しい部分が顕在化されたが故にそう呼ばれてる)
その気になれば重力操作以外でも、地震を起こしたり火山を噴火させたり氷山を作ったりといった真似が可能。
(フフ、愉しみだよ)
ミレディはユエの未来に思いを馳せる。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
夕飯後は皆で風呂に入ってイチャイチャと愉しい事をヤっていた。
発見した青年は睡眠呪文――ラリホーマで眠らせた上で布団に放り込んでいる。
「明日にはアンカジ公国に着く。それまでに気が付いて事情も聴けるだろうから今夜は取り敢えず愉しもうか」
ティオは今日も残念賞。
実はティオへ一番に懐いているミュウ、だからどうあっても彼女がミュウを寝かし付けなければならなかった。
「えっと、ティオさんは良いのかな?」
「問題は無いよ。本当にその気ならミュウをエリセンに届けた後、一対一で数百年モノの処女を貰い受けるからね」
「数百年モノ……」
何だかワインみたいな言い方をされたけれど、それはある意味で処女を拗らせている。
「ティオさん、本当に処女なの?」
「雫が言いたい事も判るが、少なくとも本人からの申告はそうだよ」
嘘を吐いているとは思えなかったし、此処で仮に嘘を吐いてもヤれば判るから意味は無い。
ユートは【閃姫】にする以外で処女と非処女の区別に興味は無いし、だから非処女でも構わないとは言ったが本人は頑なに処女だと言う。
それならそれで構わない。
本当に男を知らない無垢で真白のキャンバスならば自分色に染めるまでだし、男を知る塗りたくられたキャンバスであるなら改めて自分色に染め直すだけなのだから。
ユートはどちらであっても愉しめる。
まだ大した回数を熟していない鈴は手加減されながらも息絶え絶え、それでも何発も絶頂させられて気持ち良さで満足気に目を閉じていた。
「ね、ゆう君」
「どうした? 足りなかったか?」
「いや、充分過ぎるから。じゃなくてさ、ゆう君は仮面ライダーに成れるよね」
「何を今更」
鈴の話に聞き入る香織達。
「他の特撮関連は成れないのかなって思って」
「他の特撮……スーパー戦隊、ウルトラマン、メタルヒーロー辺りか?」
「有名処だとそれらだね」
有名かそうでないかは別にして超星神グランセイザーなど、特撮モノは幾らか存在していて何なら王蛇な人が主人公を演じたシャンゼリオン何てのも存在している。
「
「ん? それだとスーパー戦隊やウルトラマンには成れるみたいだよ?」
「成れるぞ」
「え、マジに?」
「勿論だ」
どちらも機会に恵まれてハルケギニア時代に於ける異世界放浪期に、スーパー戦隊の世界やウルトラマンの世界に入り込んだ。
「スーパー戦隊は【侍戦隊シンケンジャー】だ。とはいえ、色は既存のシンケンジャーには無かったりするけどな」
「どゆ事?」
「やって見せた方が早いか」
ユートは立ち上がってバッと何かを剥ぎ取る様な仕草をすると、何故か白い着物っぼい服を着た状態となっていた。
何処ぞの超絶美形主人公様がよくやる瞬間的な着替え法である。
アイテムストレージには入ってないから久し振りに亜空間ポケットから出したのは、シンケンジャーが変身に使うショドウフォンだった。
「一筆奏上……はっ!」
書かれた文字は【闇】、それは銀色のスーツを身に纏い【闇】を顔に張り付ける戦士。
「シンケンシルバー、緒方優斗!」
追加戦士としては珍しくもない銀の戦士と成ったユート、シンケンシルバーは腰にシンケンマルを佩いて名乗りとポーズを決めた。
正確にはユートの場合の名乗りは殿や姫の後――『同じくシルバー、緒方優斗!』といった風になるのが普通なのだが……
「僕がハルケギニアに居た頃に起きた最後の闘いの後、次元の狭間に落ちて時空間を放浪する羽目に陥った。その際に行った世界の一つがつまりは【侍戦隊シンケンジャー】の世界」
「ふわぁ、本当に異世界転移したんだ」
「ある意味では君らもしているけどな」
「そういえばそうだよね」
地球からトータスへの召喚もまた転移に違いはないのである。
「さて、ウルトラマンだが……」
「あ、うん!」
「一応、ウルトラマンの世界に行ったんだとは思うんだが……なぁ」
「うん?」
ちょっと歯切れが悪いのにイラついたのか? 雫がおっぱいを背中に押し付けながら……
「一応って何よ?」
はっきりと問い正しに来た。
「む、鈴には出来ない事を!?」
「し、失礼な!」
豊かな胸を背中に『当ててんのよ』をするには鈴の胸は致命的に足りてなかった。
グイグイと柔らかな感触が押し付けられるのは中々に悪くなく、話の真っ最中でなければ雫の事を押し倒していただろう。
実際、その柔らかさに反比例する様にユートの分身は硬い槍と化しており、その先端を愛おしそうに撫でているミレディ。
「ほら、話が出来ない」
言われて仕方無く動きを停めた。
「僕が行った場所は古代の地球だったんだよ」
「古代の地球?」
「ああ、其処には幾らかの怪獣も居たんだ」
「か、怪獣!?」
「どうやら異星人が大量に持ち込んだらしくて、地球で怪獣が頻繁に現れた理由らしいな」
まぁ、その殆んどの怪獣は活動を停止していたから古代~現代まで生き延びた様だ。
「それで活動していた怪獣に追われていた女性を助けたんだが、その女性こそウルトラウーマンってやつだったんだよ」
「ウルトラマンじゃなくウルトラウーマン?」
「ああ……ウルトラウーマンアルフォンヌ。とはいえ人間体で地球を旅していたみたいだが」
尚、この頃はそもそもそんな呼び名すら無かったと思われる。
何しろ、最初にウルトラマンを名乗ったのが即ち初代ウルトラマンなのだから、ウルトラウーマンなんて存在すらしていなかった。
「何で変身ってか……」
「どうなのかね? ウルトラマン達の本来の姿は人間と変わらない方だったが、超人化してからは寧ろ仮の姿として使われている。メビウスやゼロ……ケンとマリーの間に産まれたタロウみたいな若いウルトラマンは超人の方の姿で産まれたんだろうしな」
「ケンとマリー? タロウの両親? ウルトラの父とウルトラの母?」
「うん? 知らなかったか」
「鈴は其処まで詳しい訳じゃないから」
まぁ、女の子なんだし特撮よりプリキュアみたいなのが好きかも知れない。
プリキュアもいい加減で息が長い作品であり、初代プリキュアから一〇年を過ぎている。
鈴が幼い頃にリアルタイムで観ていたとしても全くおかしくなかった。
「僕はアルフォンヌから聞いたんだ。彼女の本来の所属先は【銀十字軍】で、マリー隊長の下で働いていたってな」
光の国の【銀十字軍】といえばウルトラの母が長らく隊長を務める女性型ウルトラ戦士の花形的な部署、アルフォンヌも自身は治せないとはいえ回復系の能力を持っている。
因みに、エンペラ星人との闘いにて負傷をしたまだ大隊長ではなかった頃のウルトラマンケン、彼をマリーが介抱の主導した事により恋愛関係になったらしい。
尤も、アルフォンヌが存在する噺と特撮での噺は可成り矛盾を孕むから其処は怪しいが……
二万歳か其処らのウルトラマンと一四万歳だというウルトラの母、元の姿が地球人と変わらないなら寿命も大して違わなかった筈なのに一二万歳も離れているのは明らかにおかしい。
まぁ、そこら辺はどうでも良かった。
大人の事情で考えるな……感じろって事だ。
「勇気なら元の鬼に還るから『元身』だったし、隠忍だと『転身』だったからな。まぁ、姿を変えるから『変身』でも良いか。一番の万能な言葉だろうしね」
そもそもがスーパー戦隊の『○○チェンジ』は普通に『変身』という意味で通るし。
【侍戦隊シンケンジャー】は『一筆奏上』となっているけど、幾つか違うのも有るけど半分くらいはそうだった筈。
ユートも詳しくは覚えてないけど。
軽く思い出すと【恐竜戦隊ジュウレンジャー】は『ダイノバックラー!』、【五星戦隊ダイレンジャー】は『気力転身、オーラチェンジャー!』で惜しい、【忍者戦隊カクレンジャー】の場合は『スーパー変化、ドロンチェンジャー!』とか、あの頃は変身アイテムの名前が最後に来たからかそんな感じだった。
(ゴーカイジャーが『ゴーカイチェンジ』だったんだよな?)
でも次の【特命戦隊ゴーバスター】の掛け声が『レッツ、モーフィン』だったが……
「兎に角、アルフォンヌと出逢って世界が謂わば【ウルトラマンSTORY 0】の世界観だと判った。だからアルフォンヌが光の巨人――ウルトラ一族の一人だと聞いて取り敢えず提案してみた」
「提案って、どうせえちぃ提案よね?」
ジト目な雫だったが、ユートは嘗ての義弟の様なジト目が好物だったりはしない。
「まぁ、えちぃ提案なのは確かだ。内容は光の巨人に戻りたいか? だったからな」
「戻す?」
「そもそも、アルフォンヌが古代地球で人型の侭に怪獣から追われていたのは力を使い果たして、ウルトラウーマンに戻れなくなったからだから。ウルトラセブン達は異星人の干渉から地球を護るべく結界を張ったらしいが、アルフォンヌは連れ出せなかったんだろう」
「確かにそれなら縋りたくはなるか……」
ある意味でユートは悪辣である。
「で、アルフォンヌさんは受け容れたの?」
「凄く悩んでいたな。光の巨人に戻る術自体が、僕とのセ○クスを意味するしね」
「あ、潜在能力の開花!」
「そう。変身が出来なくなったとはいえ彼女の中の光が消滅した訳じゃない。ならば僕とヤっての潜在能力の開花なら光の巨人に戻せる。別途での対価も当然ながら戴くがな」
「対価?」
香織が訝しい表情となった。
「光の巨人に戻ったら人間体とウルトラウーマンとしての肉体、それを研究させて貰うっていうのが彼女に対する対価」
「あ、それでウルトラマンに?」
「まぁね。一週間ばかり共に過ごして覚悟を決めたアルフォンヌを抱いて……上手く光の巨人に戻れたから先ず光の巨人とさての肉体を色々と調べさせて貰った」
「うわ、何かエロエロしいよ? ユー君」
顔を紅く染めたミレディが言う。
「実際、人間サイズに成ったアルフォンヌをペタペタと触り捲ったからな。光の巨人だと性的には感じないらしいが、羞恥心が無くなる訳じゃないからか人間体になったアルフォンヌは可愛らしかったよ?」
反応が良かったのである。
「で、そのデータを基型に二人分の光の巨人の肉体を構築したんだ」
「二人分?」
「だから僕は二つのウルトラマンに成れる」
取り出した機器は確かにウルトラマン変身アイテム、一つは【スパークレンス】でウルトラマンティガに成るアイテムで、今一つは【エボルトラスター】というウルトラマンネクサスに変身する為のアイテムだった。
「どうしてティガとネクサスを選んだの?」
鈴としては首を傾げるしかない。
「特定の変身者に固定されていないから」
「へ? ネクサスはデュナミストが変わるから解るんだけど、ティガはマドカ・ダイゴしか変身をしなかったよね?」
「TVではな。でもティガはそもそも闇の巨人に成り果てた際はダイゴの先祖が変身していたし、ウルトラマンダイナ以降ではマドカ・ツバサとか古代人のアムイが変身している」
基本的にはマドカ・ダイゴだが……
尚、ユートが識らないニュージェネレーションではそれこそ他にも変身者が居る。
「ティガでは『誰でも光に成れる』ってマドカ・ダイゴ本人も言っていたからな」
「そうなんだ……」
取り敢えず鈴は納得する。
「そして造った石像ティガと石像ネクサスを取り込んで、これら変身アイテムを造って変身そのものは可能になったんだけどな」
とはいえ、最初に造ったウルトラマンティガの石像と一体化してスパークレンスを使い変身してみたは良かったのだが……
「僕の真属性が闇だからか、ティガダークに成ってしまったよ」
「「「うわぁ」」」
曲がり形にもウルトラマンを識っている三人は頬を引き攣らせてしまう。
「それ、どうやって解決したの?」
「更に三体の闇の巨人を造って野心ある人間へと力の誘惑を囁いた。大喜びで闇の巨人に変身したから奴らの闇を受け容れて光に変換したんだよ。名前はカミーラにダーラムにヒュドラ」
「「「うわぁ……」」」
意味を理解して再び三人は引き攣った。
ティガダークのマイナスにダーラムとヒュドラとカミーラのマイナスを受け容れてプラスに変換
をして、ティガトルネードからティガブラストを経てウルトラマンティガ・マルチタイプに。
わざと闇の巨人を暴れさせて光の巨人に成る為の生け贄にした訳で、やはり悪辣極まりない闇の戦士がピッタリなユートであったと云う。
「お陰でウルトラマンネクサスはラスボスであるダークザギっぽくは成らず、普通にウルトラマンノアとして変身が出来たんだよな。一分しか保てなかったし、後はネクサスに成ったけど」
ウルトラマンノアは凄まじい力を持っているだけに、ユートでも当時は一分間でエネルギーが尽きてしまう程だったらしい。
「ウルトラマンもいつか機会があれば変身をしてみるさ。再誕世界で両面宿儺之神が復活をした時みたいに……な」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝、眠らせていた彼が起きたと聞く。
取り敢えず意識こそ取り戻したが、未だ体内に状態異常を抱える青年は立つ事すらまともに出来ない有り様であった。
高い砂漠の気温も相俟ってか可成りの発汗をしていたから、脱水症状の危険もあったしちょっと混ぜ物をした水を飲ませてやる。
水一リットルに対し塩を三グラムに糖分を四〇グラム混ぜたのだ。
普通の水を飲ませるのは却って危ない。
青年は自分の使命を果たせない侭で倒れた事を思い出したのか、暢気にしている場合ではないと気を取り直してユート達に自己紹介をする。
「先ずは助けてくれた事に感謝の言葉を言わせて欲しい、本当に有り難う。あの侭死んでいたらと思うと……我が故国のアンカジまで終わってしまう処だった。私の名はビィズ・フォウワード・ゼンゲン。アンカジ公国の領主ランズィ・フォウワード・ゼンゲン公の息子だ」
「どうやらとんだ大物を拾ったらしいな。確か、アンカジはエリセンより運送される海産物の鮮度を極力落とさないまま運ぶ為の要所。その海産物の産出量は北大陸の八割を占めている。要するに北大陸に於ける一分野の食料供給でほぼ独占的な権限を持っているに等しい。アンカジのゼンゲン公爵はそこら辺の名目だけの貴族じゃあなくて、ハイリヒ王国の中でも信頼の厚い屈指の大貴族だってリリィも言っていたからな」
このグリューエン大砂漠を目指すと話した際に教えられた情報だ。
ビィズ・フォウワード・ゼンゲンもユート達の素性に加え、更には冒険者としてのランクを聞いて目を剥き驚愕を露わにする。
「何と、これは神の采配か! 非力な我らの為に女神を遣わして下さったのか!」
などと宣い天に祈り始めた。
エヒトが喚んだのは確かだが采配などでは決して無いし、寧ろそんな風に謂われるのは遺憾でしかないのだが言っても良くないだろう。
女神と云えば【豊穣の女神・愛子様】ではあるのだがこの場合、美少女で見るからに優しそうな雰囲気の香織の事を示すが、当の本人はよく解らないらしくキョトンとしている。
別に好きでもない男から『女神』とか呼ばれたくはないが、だからといって香織だけが『女神』なのは面白くないのか雫は不満そう。
鈴は自分はそんな柄じゃないからか特に何とも思わなかったらしい。
アンカジの人口は約二七万人。
今から数日ばかり前、アンカジの町で原因不明の高熱を発し倒れる人が続出をした。
突然、初日だけで凡そ三千人近くが意識不明に陥った上に、症状を訴える人が二万人にと一割に近い人数に上ったのだと云う。
「直ぐに医療院は飽和状態に、公共施設の全てを開放して医療関係者も総出で治療と原因究明に当たったのですが、進行を遅らせる事は何とか出来ても完治させる事は出来なかったのです」
「あれは通常の病じゃなく砂漠の魔物が使ってくる固有魔法だったからね。多分だけど水源が汚染されたんじゃないかな?」
「お嬢さんの言われる通りです」
ビィズ・フォウワード・ゼンゲン――ビィズは悔しそうに頷いた。
「僅か二日で死者すらも出た中で、我が国の薬師の一人が飲み水に『液体鑑定』を掛けたら水には魔力の暴走を促す毒素が含まれている事が判ったのです。直ちに調査チームが組まれ最悪の事態を想定つつも、アンカジのオアシスを調べさせたら案の定、オアシスそのものが汚染されていたという結果が出てしまいました」
当たり前の話だけどアンカジの様な砂漠のど真ん中にある国に於けるオアシスは生命線であり、その警備と維持管理は厳重に厳重を重ねてある訳だから、アンカジの警備を抜いてオアシスに毒素を流し込むなど不可能に近いくらいに、あらゆる対策が施されている筈。
「一体どうやって、そもそも誰がと調査チームも首を捻っていましたが、それよりも今重要なのは二日以上前からストックしてある分以外の使える水が無くなってしまったんです。汚染された水を飲んで感染してしまった患者を救う手立てが無いという状況となってしまいました」
「静因石は無いの? ミレディちゃんの知り合いがこの病を静因石で治した事があるわ」
「確かにあれは魔力の活性を鎮める効果を持っている特殊な鉱石、ですが静因石はこの砂漠のずっと北方にある岩石地帯か【グリューエン大火山】で少量の採取が可能な貴重な鉱石。粉末状にしたのを服用すれば体内の魔力を鎮める事も出来るのは知っていますが、北方の岩石地帯は遠過ぎるので往復には少なくとも一ヶ月以上掛かりますし、【グリューエン大火山】に入って静因石を採取して戻って来れそうな冒険者は既に病に倒れてしまっている。生半可な実力では【グリューエン大火山】を包み込む砂嵐すら突破が出来ない」
ミレディの言い分は理解するも、現段階に於いては最早不可能と言うしか無いらしい。
「しかも水に余裕が無いから仮に冒険者が居ても行く事が出来ないか」
「はい。だから自分が父の名代で救援要請に」
その救援要請にしても総人口が二七万人を抱えるアンカジ公国を一時的に潤すだけの水の運搬、【グリューエン大火山】という大迷宮に行って戻って来れるだけの実力者の手配など容易く出来る内容ではないだろう。
だからといって公国から要請を無視する事なんて出来ない、故に一度アンカジ公国に向かい現状を調査しようとするのが普通、然しながらそんな悠長な手続きを経てからでは丸で遅い。
だからこそ強権の発動が出来るゼンゲン公か、その代理を務める公子ビィズが直接救援要請をする必要があった。
「父上や母上や妹も既に感染していて、アンカジにストックしてあった静因石を服用する事で何とか持ち直したが衰弱も激しく、とても王国や近隣の町まで赴くことなど出来そうもなかった」
「だからアンタが出た訳か」
頷くビィズ。
「ウイルス性の病みたいな潜伏期間みたいなのがあるのか体質などの個人差かは判らないが、要は今になって発症したんだな。静因石の粉末とやらを飲まなかったのか?」
「家族が倒れて国が混乱し、救援は一刻を争うという状況に動揺していた様だ。私は万全を期して静因石を服用しておくべきだったのに。今、こうしている間にもアンカジの民は命を落としていっているというのに何て情けない!」
貴族としては珍しいタイプの様だからユートも手を貸すのは吝かではない。
きちんと
冒険者とは慈善事業ではないからそもそもにして無償奉仕など有り得ず、対価を確り支払わない者に貸す手は猫のモノすら無い。
天之河光輝辺りが聞けば間違いなく『巫座戯るな』と
何処ぞの魔術使いみたいになるのがオチでしかない、それが無償で働く者への
まぁ、あれでも勇者(笑)様だからそうはならないのであろうが……
正に
「あの、ゆう君……」
「やれやれ、治癒師な香織としてはやっぱり見ていられないのかな?」
「ご、ゴメン」
「謝らなくて良いさ。ビィズ殿、此方はアンカジを救う手立てが無くもない。きちんと対価を支払うなら【金】ランク冒険者として貴方の依頼を受けても構わないが如何?」
「ほ、本当に!?」
「ああ。とはいえ【金】ランクは高いぞ」
「アンカジ公国が救われるなら! 多少の高値であっても是非依頼をしたい」
「了解だ、その依頼……【金】ランク冒険者であるユート・オガタ・スプリングフィールドの名に於いて引き受けた!」
後ろで香織が嬉しそうにしているのを感じながらも、ユートはビィズ公子に仕事として引き受ける旨を伝えるのであった。
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ウルトラマンの噺は……っぽい噺として僅かに書いて放置してます。理由は単純にアルフォンヌが出てくる噺の本が無くなっていたから。
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる