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メルジーネ海底遺跡。
海人族と吸血族のハーフとして生を受け神代魔法をも操るメイル・メルジーネが造ったとされる大迷宮、勿論だがミレディならある程度の情報は持っているのだろうが、流石に攻略本を見ながら攻略をする気は無いユートは普通にミレディを置いて攻略に乗り出す。
一応だが攻略の証の使い方は聞いたけど。
「月明かりを特定の場所でグリューエンの攻略の証を翳す……ね。ゲームみたいな設定ではあるが、ナイズ・グリューエンはロマンチストなのかな? 中々に趣のある設定だ」
「ふむ、なればやはり大迷宮の攻略には順番というのが有りそうよの」
「ああ、少なくともメルジーネ海底遺跡に入るにはグリューエン大火山から攻略しないといけない訳だし、ハルツィナ樹海は四つの証が鍵の一つになるからな」
月を眺めながらユートとティオが語り合う。
キャンピングバスたるオプティマスプライムは再びヨットパーツを装着、キャンピングヨットとなってユート達は大海を航っていた。
ティオがユートの隣に居るのは他の娘が遠慮をしてくれたから、今まではミュウの世話係を任されていてイチャイチャと出来ずにいたのだけど、ミュウは母親の許で待つ事になっている。
つまりは役目から解放されたのだ。
頬を朱に染めてユートの方へ科垂れ掛かっているティオの姿が、まるで恋する乙女の如く見える
のはきっと見間違いではあるまい。
「ようやっとこうして寄り添えるの」
「本当に良かったのか? 見ての通り僕は浮気者とかいうレベルじゃないぞ。この世界だけで見ても何人の娘と閨を共にしたものか」
「フフ、強き雄が群れを作る時に雌が複数居るのに何の蟠りがあろうか。妾も群れに迎え入れて貰えるなら本望というものじゃよ」
勇ましくも麗しい黄金の竜眼も潤んだ瞳となっており、今までに雄の唇を一度も赦した事が無いティオの艶々した唇が近付きユートの唇とゆっくり重なり合う。
僅か数秒に過ぎない重なりはすぐに離れるが、今度はユートからティオにキスをした。
「んっ、激しいのじゃ……」
目を閉じて軽く開いていた口の中へユートの舌の侵入を赦し、グチュグチュと唾液が混ざり合いながらティオの舌と絡み蹂躙されている。
本当に出逢ってまだ一ヶ月と経たないにせよ、長い時間を御預けされてきただけに望みが叶って涙を流すティオ、蹂躙されるだけでは足りないと自らも舌を積極的に絡ませていった。
ソッと片目を開けてユートの下半身を視れば、あの夜の時みたいに確り屹立している。
求めてくれているのだと嬉しく思い、手を伸ばして白魚の様な指をユートの下半身の屹立をした部位へ絡めた。
(妾をもっと求めてたもれ、妾を貴方のモノに……妾の全てを征服して欲しいのじゃ!)
ティオが仲間になるまでは一番だったシアよりも大きな胸を鷲掴みに、然しながら乱暴にするのではなく優しく包み込む様な揉み方に御腹の奥深く……赤ちゃんを育てる部分がジュンと燃え上がるが如く熱くなってくる。
月明かりに照らされながら二つの影はゆっくりとしつつ、だけれど激しく重なり合って男の影が女の影の上に覆い被さった。
暫くの間、波に揺れるのとはまた違った揺れがヨットを揺らしていく。
清涼とした夜の月の下、熱いマグマの如く睦み合う男女を見守る者は居なかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝、女の顔をして朝餉を食すティオに全員が苦笑いを浮かべるしかない。
まさか、部屋に戻らず外で始めてしまうなんて予測は……ついたが本当にデッキの方でヤるとは思わなかったのだ。
ホクホクと朝餉を食べているティオは出逢った当初から美女ではあったが、何故か今は何処かしら艶の様なナニかが見て取れる気がする。
「うん、どうしたのじゃ?」
「あ、何でも無いわ」
雫が代表して首を横に振った。
実は雫、覗き見をしていて自分の御股を濡らしてしまったので恥ずかしそう。
「フフ、漸く主殿の寵愛を戴けたのじゃ。これからは雫達とも閨を共にする事もあろうからのぉ。妾は特に気にしておらんよ」
「き、気付かれてるし……」
穴があったら入りたい気分だった。
「さて、今宵は例場所に着く。メルジーネ海底遺跡の攻略をするんだ、各人は確りと体調を整えておいてくれ」
『『『『了解!』』』』
昼寝するも良し、読書するのも良しだ。
「……ユートはどうする?」
「メタルクラスタホッパープログライズキーってのを作製する予定だ、ユエ」
「……メタルクラスタホッパー?」
「ああ。白夜……僕の【閃姫】の一人なんだけど、彼女の記憶からするとシャイニングアサルトホッパーより強力なゼロワンの中間フォームだよ」
「……ん? 中間フォームって?」
「初期には無い仮面ライダーも居たんだが、大概は持っている初期フォームと最強フォームの中間に位置する強化フォームだな」
仮面ライダー龍騎や仮面ライダーカブトには無かったし、仮面ライダーキバもフォームチェンジは兎も角として――ドガバキはテレビ放映に出てない為――中間フォームは無い。
仮面ライダーディケイドもコンプリートフォームという最強フォームだけ、中間フォームに位置するフォームというのは無かった。
「仮面ライダークウガならアメイジングマイティだし、仮面ライダーアギトならバーニングフォームがそれに当たる。仮面ライダーブレイドならジャックフォーム、仮面ライダー響鬼なら響鬼・紅だろう。仮面ライダー電王はクライマックスフォームもライナーフォームも最強フォームといえそうだからな……」
飽く迄もイマジンが戦っていたクライマックスフォームと良太郎自身が戦うライナーフォーム、どちらも最強フォームと云えるとユート的には考えている。
「アメイジングマイティって、確かまともに出たのは一回だけじゃなかった?」
「雫、それを言ったらアルティメットフォームなんて最終回前に数分間だけだぞ」
「そうだけどね」
仮面ライダークウガはテレビ長編が久方振りという事もありまた特殊だろう。
メタルクラスタホッパープログライズキーを造るにせよ、流石に『造ろう』→一分後に『完成だ!』という訳にはいかない。
だからといって数日も掛かったりはしないのだろうが、それなりの時間はどうしたって必要になってくるから今までは造ってなかった。
半日以上の暇な時間が有れば女の子と愉しい事をしていたのもあるが……
「ねぇ、優斗」
「どうした、雫?」
解散したと思ったら赤い頬をした雫が部屋の方まで付いてきていた。
「大迷宮を攻略したら……さ。ティオさんみたいにして欲しいなって」
「ティオみたいに?」
「その~、外で夜中に」
「青姦がしたいと?」
「その、月下の海でってのも何だか良さそうっていうかロマンチストかなって……」
見れば真っ赤になっている辺り、恥ずかしい事を要求している自覚は充分にあるらしい。
「雫がしたいなら構わないが?」
「う、うん……」
頷くと走って行ってしまった。
ティオが初めての痛みの後に気持ち良さそうな顔でヤっていたのを観て、雫としては自分の中の女が疼いてしまったのだろう。
「さて、造るか」
メタルクラスタホッパープログライズキーの謂わばガワは簡単に造れるが、問題は中身となるであろう聖魔獣ゼロワン素体の強化パーツ。
当たり前だが単純に聖魔獣を創って終わりなんて話には決してならない、そもそもがそれぞれの仮面ライダーで造り方は違うのだから。
ゼロワンドライバーは起動の為の機器であり、聖魔獣ゼロワンが量子化して入るデバイス。
このゼロワン素体にプログライズキーに容れた強化パーツが装着され、仮面ライダーゼロワンに変身が完了をする事になる訳である。
当然ながらメタルクラスタホッパープログライズキーも、メタルクラスタホッパーの強化パーツをプログライズキーに設置しておき、ドライバーで喚起されたらゼロワン素体と合着させるのだ。
つまりはドライバーの中の聖魔獣ゼロワンへと装着する強化パーツを造る必要があった。
それに強化パーツにはそれぞれプログライズキーに合わせた能力を持たせ、魔導具みたいな働きをする鎧として機能させねばならない。
フリージングベアープログライズキーならば、両手から吹雪を出せる機能だろう。
白夜の記憶から視た仮面ライダーゼロワン・メタルクラスタホッパーは、小さな飛蝗が形を成した群体みたいなもので攻撃や防御に使っているという印象だった。
「はぐれ……否、メタルキング鋼を使うか」
素材も相当に気を遣う。
実際の素材が判らないからには見た目に似ていて使える物、それを使って出来得る限り似せて造るより他にないのだ。
メタルキング鋼は死んだメタルキングを魔力で絞り液体化して地面へと消えない様にした物で、作り方はメタスラ鋼やはぐれメタル鋼と特に変わった事はしない。
問題はメタルキングはそんなに生息しているという訳ではないから、捜すのも可成り手間を掛ける必要があるという事だろう。
しかもあの形で素早いしパルプンテやベギラマ処か、個体によってはベギラゴンを使ってくるのまで居て中々に手強い。
淘汰されず強くなったスライムが灼熱の炎を使ってくる様なものだ。
まぁ、それでも結構な量を保有している。
記憶にあるメタルクラスタホッパーの鎧を造る為に必要な物をピックアップ、当然だが素材としてのランクが高い物を吟味してから使う。
アトリエシリーズでも初期のは兎も角として、後のシリーズでは素材にランクが有った。
ランクが低くてもやり方次第でランクを高める手段もあるし、ランクが低いからといって素材を捨てたりはしていない。
「だいたいの素材は吟味終了、後はメタルクラスタホッパーの鎧を構築しないとな」
見た感じでは形状記憶液体金属か何かであり、恐らく相転位か何かの技術が使われている。
相転位ならPS装甲という物が存在しているし、ユートもユーキから造り方を聞いていた。
あれは無重力空間でないと造れないらしいが、メタルクラスタホッパープログライズキーを造ったらしい人間は、そんな空間で造ったなんていう描写は無いから此方は可能な筈。
別に本物を造る必要も無いし。
それにユートは一から科学技術を構築まで出来ないが、既に在る技術を応用して別の技術として転換する事は可能だ。
錬金術や【創成】を応用していけばメタルクラスタホッパーの鎧を構築も出来る。
仮令、それが紛い物だとしても。
こうして順調? に造り上げていくが、やはり例のあれには間に合わなかったりする。
取り敢えず切りが良い処で作業は終了してしまったユートは、夕餉まではティオとのイチャイチャで今まで構わなかった分を補充。
夕餉を摂った後は日が完全に落ちて月明かりが海を照らす時間帯を待つ。
当然ながらミレディから予め聞いていた場所、座標に待機をした上で……だ。
のんびり座って待っている間は雫が隣に座っていたり、ユエが背中に貼り付いていたりとやはりイチャイチャとしていた。
「そろそろ時間か」
ユートはグリューエン大火山で手にした証を、アイテムストレージから取り出すとグッタリしながら寝ている【閃姫】を起こす。
太陽が水平線の向こう側へと消えてしまって、その代わりにと月が輝きを放ち始めた。
中々に洒落たペンダント、サークル内に女性がランタンを掲げている姿がデザインされており、ランタンの部分だけがくり抜かれ穴が空いているのだが、ミレディ曰くこの穴に月の光を満たすとメルジーネ海底遺跡への入口が開くのだとか。
ユートが太陽光を反射して放つ優しい月光へとペンダントを翳すと変化が現れる。
「はわぁ、ランタンに光が溜まっていきますぅ。凄く綺麗ですねぇ」
「ホントに不思議ね。穴が空いているのに」
シアがうっとり見つめながら感嘆の声を上げ、それに同調する香織も瞳を輝かせている。
普通の感覚を持った女の子が普通に綺麗な物へ目を輝かせる、鈴やユエやティオ……況してや雫なんかは頬を朱に染めて目が離せずにいた。
ランタンが少しずつ月の光を吸収する様に底の方から光を溜め始めており、穴空きの部分が光で塞がっていく光景は小さいながら女の子達の心を鷲掴みにしているらしい。
「ふ~む、どうやらこの場所に何らかの仕掛けが成されておるのやも知れぬな?」
ティオが推測を述べるがきっと正解だろうと、ユートも魔導具と思われるそれを興味深く観察していると、ランタンに光を溜め切ったペンダントが全体に光を帯びていく。
ランタンから一直線に光を放って海面のとある場所を指し示していた。
「……とっても粋な演出。オスカーやミレディとは大違い」
「重力魔法なんかとは違って幻想的だな」
ミレディが云うにはおもろい所も有るには有るけど、ちょっとお堅い性格で好きだと言ってくれる女の子――一〇歳以上離れてる――に困ってしまう青年だという事だが、『月の光に導かれて』というロマンチック感が溢れる道標にはユートとて感嘆の声を上げてしまうくらい遊び心がある。
特にミレディの【ライセン大迷宮】の入口に在る『御出でませ』を知っているシアは、ユートと同じくで感動が滅茶苦茶に深かった。
とはいえ、ペンダント内のランタンが何時まで光を放っているのか判らない、感激していたら消えてしまいました……では困るから導きに従って、キャンピングヨット航行させる。
「ちょっと待って!」
「どうした、雫?」
「ヨットでどうやって海底に向かうのよ?」
「メルジーネ海底遺跡と云うからには海底に有るのは判り切ってる。ヨットだからヨットの侭だとは思ってくれるなよ」
ユートはキャンピングヨットに命じる。
「オプティマスプライム、潜航モードへトランスフォーム!」
特に返事も無いが形状を変えていくオプティマスプライム、鋭角的になり水が漏れてこない様なバリアが張られたオプティマスプライム・ヨットモードがダイバーモードにトランスフォームをしたのだった。
「まぁ、確かに名前からして海底に有るって判るんだもんね……」
ちょっと恥ずかしそうに呟く雫。
夜間の漆黒の海、海上はまだ月明かりで明るかったのだが、証の導きに従って潜行したら真っ暗闇になってしまう。
そんな中を潜水モードとなったオプティマスプライムのライトと、ペンダントの放っている光だけが漆黒の闇を切り裂いていた。
「それにしても、ダイバーモードだったかな? バリアを張って普通に潜っちゃうなんて吃驚しちゃったよね、雫ちゃん」
「そうね、確かにバリアを張ってるから海水が入ってこないんだろうけど……潜る為と海底の水圧に負けない様に鋭角的になっただけとか、驚くしかない仕様よね」
香織と雫は感嘆というより呆れている。
解せぬ……と首を傾げるユート。
「海底の岩壁地帯か」
無数の歪つな岩壁がまるで山脈の如くに連なっており、オプティマスプライムが近寄っていってペンダントの光が海底の岩石の一点に当たると、鈍くて低い正しく重低音を響かせながら海底震動が発生を始めた。
岩壁の一部が扉の様に真っ二つに裂けて左右に開き出したのだ、その先は光を拒む真なる闇だと云わんばかりに真っ暗。
「これじゃ、普通に捜しても見つからないよな。運良く見付けるなんて無理だわこりゃ」
現在、大迷宮と人間族に伝わっているのは僅かに三つだけでしかなく、有名なオルクス大迷宮とライセン大迷宮、そしてハルツィナ樹海に存在しているとされる大迷宮だけ。
だけど恐らく反逆者のファミリーネームだかを冠した地に有る、ユートは元々からそういう風に考えて図書館でハジメと調べていた。
そして反逆者の名前を冠する地は七ヶ所が存在しており、七大迷宮との数の一致から場所だけは把握をしていたのである。
正確には神山の【バーン大迷宮】は【神山】としか呼ばれない為にその名前を冠してはおらず、グリューエンと呼ばれる地名が二ヶ所も重複して存在していたのだが……
グリューエンの名前は大砂漠と大火山の二ヶ所が有ったからどちらなのか判らなかったのだが、これに関してはミレディから教えられたからグリューエン大火山がそうだと判明した。
メルジーネ海底遺跡の入口を見付ける難解さ、これでは口伝など途切れても仕方がない。
グリューエンの大迷宮は名前を冠してる土地が二ヶ所だし、シュネー雪原は魔人国領だから確かめ様が無かったのだろう、神山に反逆者の大迷宮が存在するなど伝承に残せる訳もなかったし。
ユートはオプティマスプライムを海底の割れ目へと侵入させていく。
既にペンダントのランタンは光が半分程度にまで減って光の放出を止めており、この暗い海底を照らしているのはオプティマスプライムに備え付けられたライトだけ。
「ふむ、海底遺跡と聞いた時から思っておったのだが……そもそも我らはだいばーもーどなる代物が有るから往けるが、そうでなければ迷宮に入る事も出来なさそうじゃなぁ」
「……強力な結界でも使えないと無理」
ティオの言葉にユエが頷いて言う。
「メルジーネ海底遺跡にはグリューエン大火山を攻略しないと来れん、つまり空間魔法を覚えてないと入れないっていう前提が有ったんだろう」
「ああ、つまりは入るのに空間魔法を利用するのがセオリーなのね」
ユートは空間魔法前提の場所だからこそ順番がこうなったと考え、それに賛成をする雫も頷きながら言った。
ゆったり深く潜行しながら自分達みたいな代物――潜水形態とも云うオプティマスプライムが無い場合の攻略方法について考察している。
「幻想的な入口だったから感動したけど、普通に考えたら超一流な魔法の使い手がそれこそ何人も居ないと此処に入るのも侭ならなかったよね」
香織も追従した。
気を引き締め直したユート達は海底の様子に対し更に注意を払う。
そうした瞬間に鈍い音と震動が。
「何だ!?」
「……んっ!」
「ひゃあっ!」
「何なのじゃっ!?」
「キャアアッ!」
「くぅっ!」
「あわわっ!」
横殴りの衝撃が船体を襲って一気にある方向へと流され始めたのだ。
ユートの声を皮切りにユエが、シアが、ティオが、香織が、雫が、鈴が声を上げる。
オプティマスプライムがグルグルと回るけど、この程度でどうにかなる程に柔ではない。
すぐにもオートバランサーや慣性制御システムが働き安定をさせた。
「この激流は何処に続いているんだろうな?」
目を回している皆を見ながら呟くユート。
外の様子を観察すると緑光石の明かりが洞窟内の暗闇を払拭し、内部全体を視る事が出来るだけの視界を確保している。
洞窟内を流れる巨大な円状の激しい奔流に捕まっているらしく、オプティマスプライムの制御をしながら流されるが侭に進むとレーダーが無数の物体を捉えた。
「どうやら何かが近付いてるね、大迷宮内なだけに魔物なんだろうが……」
幾つか使わない様に封印した技能を解放したら多分だが判るだろうが、あれはイージーになり過ぎるきらいがあるからこそ封印したのだ。
実際、あれは使うと手放せなくなる。
そんな訳でユートは自身で今現在にえるであろう技能のみを使う。
「飛び魚か? まぁ、飛び魚モドキっつ話だろうけどな。喰らえよ!」
オプティマスプライムはトランスフォーマーであるからには、きちんと戦闘能力も持たされているので取り敢えず魚雷をぶっ放す。
飛び出してきた飛び魚モドキが次々と粉砕されていき、バラバラになってその屍を大量に晒して海の藻屑と化していた。
「うわぁ、まるで死んだ魚の目みたいですぅ」
「シアよ、韜晦するのはよすのじゃ。ハッキリ言うて正しく死んだ魚よ」
「はう~、オプティマスプライムさんはえげつないですぅ」
風情の欠片も無い。
幾らか進んだが何故か似た景色に戻るのを腑に落ちないとして調べるユート。
「これは……洞窟が円環状になっているみたいだ。だとしたら某か仕掛けがあるな」
詳しい事をミレディから聞いている訳ではないから、【解放者】のリーダーが居るからといって攻略が楽になるとはいかない。
攻略情報が無いのだから。
「仕掛け?」
「そうだよ、雫。七大迷宮は別に入り込んだ者を殺したい訳でも閉じ込めたい訳でもない。攻略をするのならやってみろと困らせたいに過ぎない」
「まぁ、意地悪と言えばそうだけど……ね」
「という事は、何らかの方法さえ見付ければ必ず攻略は叶う様に造られている」
「確かに……」
「とはいえ、このメルジーネ海底遺跡はグリューエン大火山を攻略した事が大前提。ハルツィナ樹海も攻略そのものは指定していなかったが再生の力……再生魔法だけは指定してきたからそれには何らかの意味が有る筈。そしてこの遺跡は空間魔法かグリューエンの証のいずれかを必須としているんだろうな」
推測だが間違いではない筈だ。
「……ユートはどっちだと思ってる?」
「少なくとも、この洞窟のギミックにはグリューエンの証だろうな」
「……どうして?」
「ユエ、例えばオルクス大迷宮だとオルクスの証を手に入れない限り他の重要な部屋には入れなかったろ?」
「……ん」
ユートの言葉に頷くユエ。
「あれは生成魔法無しでは余り意味を成さないからというのもあるけど、確実に生成魔法の入手とオスカー・オルクスのメッセージを見て貰う為に
仕掛けたんだろう」
「……つまり?」
「単に入る為だけに使うとも思えないし、何よりこいつを見ろ」
「……光が残ってる」
「まだギミックを解除する役割が残されているって証拠だよ」
取り敢えずキャンピングヨットバージョンたるオプティマスプライムをもう一周させる事にし、何かの手掛かりが無いかを全員で捜してみる事にして動き始めた。
「あ、あれかな?」
香織が見付けたメルジーネの紋章。
この円環洞窟の数ヶ所に約五〇cm程度の大きさな【メルジーネの紋章】が刻まれている場所を発見、【メルジーネの紋章】とは五芒星の頂点の一つから中央に向かい線が伸びてその中央に三日月状な文様が有るというもの。
それが先程に香織が見付けたモノを含め五ヶ所に存在する事になる。
「五芒星の紋章に五ヶ所の目印、光を残しているペンダントとなれば……ね」
首から下げたペンダントを取り出したユート、オプティマスプライムの窓越しに翳してやったら案の定というかペンダントが反応。
一直線にランタンから光が伸びると、紋章に当たってそれが一気に輝き出す。
「魔法でこの場に来る人達は大変だよね、直ぐに気が付けないと魔力が保たないかな」
苦笑いを香織は浮かべて言った。
「確かに、グリューエン大火山の時とはまた違うギリギリまで頑張っていかないと死にかねない」
ユートが頷く。
魔法での維持は当然ながら精神力とかMPとかゲーム的に云われてるモノを消費してしまうし、それだけでなくスタミナや先とは違う意味合いでの精神がガリガリと削られてしまう。
そうなるとやはり魔法で……というのは香織の言うのは間違いではなかった。
ユートは紋章へランタンの光を注ぐ。
二ヶ所目、三ヶ所目、四ヶ所目と同じく紋章にランタンの光を注ぎ、最後の紋章の場所にやって来た頃にはランタンに溜まっていた光も後す処は一回分程度の量となっていた。
「やるぞ、皆」
全員が頷いたのを確認してペンダントを翳し、最後の紋章に光を注ぐと円環の洞窟から轟音を鳴り響かせながら先に進む道が開かれ、壁は真っ二つに分かたれる。
オプティマスプライムを奥へ進めると真下へと通じる水路が有った。
その侭、路なりに進めて往くと突如として浮遊感――エレベーターに乗った時みたいな感覚があったかと思えば落下する。
「なにぃ?」
「うきゃぁぁああっ!?」
「あう~っ!」
「……んっ!」
「ひゃっ、ですぅ!?」
「ぬあっ?」
「はわわ~!」
ユートが、雫が、香織が、ユエが、シアが、ティオが、鈴が悲鳴をそれぞれに上げていた。
「チィッ!」
ユートは舌打ちをして鈴を抱き締める。
「オプティマスプライム、テスラドライブでホバリングだ!」
特に応える声は無いが、オプティマスプライムは言われた通り航行に使っていたテスラドライブ
を飛行というか浮遊に切り換えた。
フワッとした感覚から成功と判る。
「大丈夫か、鈴?」
「う、うん……鈴は大丈夫だよ」
鈴本人はそうは言いながらいまいち顔色は良くなくて、無理矢理に踠いてユートから距離を取る様に雫の方へと向かう。
「ふむ、鈴よ……そなた……」
ティオには何やら心当たりがあるらしい。
静かになって外を改めて視ると先程までと打って変わって海中ではなく空洞、取り敢えずは周囲に魔物の気配なかったしユート一行は船外に出てみる事にした。
外は大きな半球状の空間であり、ふと見上げてみれば天井には大きな穴が空いていて原理は不明ながら水面が揺蕩っていて、水滴の一つも落ちる事は無く波が打っていた。
どうやらオプティマスプライムは彼処から降りてきたらしい。
「海底遺跡というか洞窟みたいだな。こっからが本番という事かね?」
「……ん、全部水中でなくて良かった」
今までのショートカットの事を考えてユートはオプティマスプライムを仕舞い、洞窟の奥に見えている路へ進もうとメンバー全員を促した直後……
「水幕結界!」
ユートが右腕を天へ掲げながら叫び高密度の水が障壁となり全員を覆う。
その瞬間に頭上から圧縮された水流がユート達に襲い掛かってきた。
ユエがよく使う【破断】と同じタイプ、若しも直撃をすれば人体など容易く穿つものである。
ユートの使った水幕結界は同じ属性であるのを利用して水のレーザーを巻き取り、その侭で往なしてしまったから即席でしかない障壁ながら全く揺るがず受け止めた。
【危険感知】スキルから使った障壁、鈴を除く全員が心得たものでこの奇襲にユエもシアも雫も香織もティオも動揺してない。
そう、鈴を除いて……だ。
結界師顔負けの結界。
(鈴、ゆう君にとって要る?)
それは余りの衝撃だった。
「鈴ちゃん、平気?」
「う、うん」
突然きた攻撃にどうして良いのか解らなかった鈴は、思わず大きく離れ様としてしまい躓いてしまい香織が抱き抱えたのだが、ユートは躊躇いもしないで結界を展開している。
「ごめんね、カオリン」
「気にしないで良いよ、私だって最初はこんなんだったんだから」
「うん……」
普段ならセクハラの一つもしていそうな癖に、グリューエンの時も先程も自分醜態を晒した事に落ち込んでいた。
実際、香織が言った様にオルクス大迷宮では雫も香織も愛子先生も基本はこうで、移動砲台に過ぎなかったとはいえ戦争を経験していたユエなら未だしも、シアだって似た様なものでしかなかったのが経験を積んで今が在る。
ティオも戦いの経験なら有るし、数百年の生は決して伊達ではないのだ。
仲間になったばかりの鈴は謂わば、香織や雫やシアが通った道を進んでいるに過ぎないのだが、役に立ててないのではないか? などと考えてしまうと表情が暗くなるのであった。
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原作では香織の悩みが鈴になった感じです。
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる