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グランドジオウの色違いな2Pカラーとして造られた仮面ライダーグレイテストシンオウと成ったユートは、自身の身体を鎧うアーマーに刻まれた銀色のライダーレリーフに触れる。
《AGITΩ!》
すると顕れたのは仮面ライダーアギト・シャイニングフォームが使う双剣状態のシャイニングカリバーにて、一足跳びに木野 薫が変身をしていた仮面ライダーアナザーアギトに似た風貌にして、アナザーアギトそのものたるソイツに斬り掛かると斜め十字に裂いた。
余りにも一瞬であるが故にマグナモンですらも反応が出来ない。
アナザーアギトはノイズを残して消滅。
「殖やされても困るからな」
アギトは一人ではないとはタイムジャッカーのスォルツの言葉であったか、アナザーアギトにはゾンビかキョンシーか噛み付いた相手をアナザーアギトに換える能力を持つ。
近場の誰かを噛んでアナザーアギトを増殖されても面倒臭いだけだから真っ先に斃した。
「む、無駄だ!」
無かった事にする歴史改変でアナザーアギトを再び顕現させようとする天之河だが……
「な、にぃ!?」
一向に顕れないから焦りを覚えて叫ぶ。
「無駄と言いたいのは此方だ」
「な、何だと!?」
「今は仮面ライダーグレイテストシンオウに成っちゃいるが、本質的に僕は仮面ライダーディケイドなんだよ」
「だから何だ!」
「仮面ライダーディケイドは世界の破壊者として九つのリ・イマジネーションな平成第一期仮面ライダーの世界を巡り、多くの仮面ライダーやその世界の怪人枠と出逢ったり闘った。そして怪人枠の中には【ブレイドの世界】のアンデッドみたいに不死で殺せない存在、【響鬼の世界】の魔化魍みたいに鬼の『浄めの音』でないと斃せない存在なんかも居た」
アンデッドは本来なら死に至るレベルで痛め付けてやり、バックルが開いた状態になって封印のカードで封じるしかない。
魔化魍は鬼達――その世界の仮面ライダーが使う『浄めの音』によってのみ斃せる。
「だけど仮面ライダーディケイドはそのルールを逸脱、アンデッドも魔化魍も普通に斃してしまったんだ。正にルールの破壊者だよな?」
「まさか……」
「世界の破壊者としての力で斃されたからには、アナザーライダーの死を無かった事には出来ん。再び召喚する事は出来るだろうがな」
因みに、アナザーウォッチのルールとなる例のオリジナルの力が無いと斃せないというあれとて破壊は可能だが、ネオディケイドなユートであれば第一期だけでなく第二期の平成仮面ライダーにも成れるからそれで普通に斃せてしまう。
尚、ユートは勘違いをしているが……ジオウⅡやグランドジオウは普通にアナザーライダーを斃す力を持っていたりする。
「糞っ!」
《AGITΩ》
アナザーアギトを再び召喚する天之河光輝ではあるが、ユートもシャイニングカリバーでアナザーアギトを又もや斬り裂いた。
『ウギャァァァッ!?』
アナザーアギトはノイズとなり消える。
「ああっ!」
元々、天之河光輝では大した数を召喚が出来なかったらしいからこうして潰され、アナザーライダーを再召喚するとなると可成りコストが嵩む様である。
とはいえ、再召喚を繰り返させるのも面倒である事には違いない。
「アナザーライダーを斃せ」
「はい! ですぅ!」
パチンと指を鳴らすといの一番に仮面ライダーザビー・マスクドフォーム――シアがアイゼンⅡを片手に返事をして、アナザーカブトに向かって駆け出すと大きく振り被る。
「おっしゃぁぁ、どりゃぁぁですぅ!」
バキャン! とけたたましい音を響かせながらブッ飛ぶアナザーカブト。
起き上がったアナザーカブトはクロックアップによる高速移動を開始。
「キャストオフ!」
《CAST OFF CHANGE WASP!》
開かれていくマスクドアーマーが一気に弾け飛ぶと、近付いてきていたアナザーカブトを目掛けて一斉に襲う形になった。
「クロックアップですぅ!」
《CLOCK UP!》
腰のゼクトバックルに付いたトレーススイッチをスライドさせて高速移動。
アナザーカブトもクロックアップをしたものの既にシアは準備も万端に整っていた。
「クロックアップが遅いんですよ! ゼクターニードルマシンガンですぅ!」
左腕のザビーゼクターは雀蜂をモチーフにしている為、その尻尾部分の針もまた武器と成り得る訳でシアはそれを連続射出。
『アガァァァァァッ!』
諸に喰らったアナザーカブトが悲鳴を上げているのを横目に、シアは再びザビーゼクターを操作してやる。
「再びおっしゃぁぁ、どりゃぁぁですぅ!」
ヘッド部を巨大化したアイゼンⅡで殴ってやり、アナザーカブトがブッ飛ぶ先にはグレイテストシンオウたるユートの姿。
「よく意図を察した、でかしたぞシア!」
《KABUTO!》
仮面ライダーカブトのライダーレリーフに触ると音声が響き、レリーフからニュルッと顕れたのはパーフェクトゼクター。
「ダークザビーゼクター!」
瞬時に装着されるのは黒を基調とした雀蜂型、ダークザビーゼクターである。
黄色のスイッチを押す。
《THEBEE POWER》
「ハイパースティング!」
パーフェクトゼクターのソードモードで放たれる一撃、それはアナザーカブトの心臓部を抉り出して貫き通した。
爆発四散するアナザーカブトはやはり破壊者たるユートの一撃がトドメな為か、天之河が歴史を改変して無かった事にしようにも出来ない。
「くっ!?」
悔しがる天之河を視てミレディはニンマリと笑みを浮かべて……
「征っくよ、ユー君」
ショットライザーをベルトから外すと、照準をアナザー鎧武に合わせトリガーを引いてやる。
所詮は魂など持たないNPCに等しいアナザーライダー故か、大した動きも出来ずにミレディ=仮面ライダーバルカンの銃撃を喰らう。
「アハハハ! やっぱ気持ち良いよこれ!」
何だかミレディが急性トリガーハッピーと化しているみたいだが、エヒトの勇者(笑)が放ってきた敵を撃つのが愉しいのであろう……きっと。
「ほいさ!」
重力操作でアナザー鎧武をユートの方へと放り投げるミレディ、恐らくヤり切ったという笑顔でも浮かべているかも知れない。
《GAIM!》
仮面ライダー鎧武のライダーレリーフに触れ、
火縄大橙DJ銃を召喚して更に無双セイバーと合着させると……
「火縄大橙無双斬!」
予めロックシードは装填されていたので一気に必殺技を放った。
『ギィィヤァァァァッ!』
真っ二つとなりアナザー鎧武は爆散した。
「次は私だよ!」
言うが早いか香織――仮面ライダーリューンは、三枚のカードを取り出してラウズしていく。
《FLOAT》
《DRILL》
《TORNADO》
仮面ライダーカリスならお馴染みのコンボを極めるその三枚。
《SPINING DANCE!》
グルグル風を竜巻を纏いながら回って浮くと、身体をドリルの如く回転しつつアナザーブレイドを蹴り上げた。
「ゆう君!」
その目的は誉めて貰う為と不純ではあるけど、ハジメと絆を結べない侭に処女を喪失した香織にはもうユートだけなのだから仕方無い。
吹き飛んだアナザーブレイドに対し……
《BLADE!》
仮面ライダーブレイドのライダーレリーフへ触って重醒剣キングラウザーを召喚したユートは、五枚のカードを模したエネルギーの膜に向かって
キングラウザーを振り下ろす。
「どりゃっ!」
剣撃がそれを通過して増幅されアナザーブレイドを縦一文字に斬り裂いた。
『ギャァァァァッ!』
アナザーキバと闘っていた仮面ライダーサガであるユエも、皆に続けとフエッスルをサガークに咥えさせてやる。
「……女王の判決を言い渡す」
《WAKE……UP……》
仮面ライダーサガたるユエがジャコーダーを構えると周囲が闇に包まれ、キバの紋章が暗闇となった空へと浮かび上がった。
ユエはアナザーキバにビュートモードとなったジャコーダーを突き刺す。
『がっ!?』
「……死だ」
ジャンプしてキバの紋章を潜り抜け着地して、アナザーキバを宙吊りに拘束。
増幅された魔皇力を送り込んだ。
爆発こそしたが非殺傷設定であったから死ぬ事も無く大空を舞う、
《KIVA!》
ザンバットソードを召喚。
「はぁぁぁっ!」
斬撃を飛ばしてトドメを刺すユート。
アナザーキバは再び爆発してしまい、今度こそその生命を喪うのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
最後にアナザービルドもクローズチャージである坂上龍太郎にぶっ飛ばされ、フルボトルバスターを手にしたユートによりトドメを刺されてしまって爆散する。
折角、召喚をしたアナザーライダー達が遂には全滅の憂き目に遭って天之河光輝は地団駄を踏んで悔しがっていた。
「糞っ! 何故だっっ!?」
「あん?」
突然の絶叫に訝しい表情となるユートだけど、天之河光輝の絶叫の対象は別に居る。
「香織、雫、鈴、龍太郎! 何故、緒方に味方をするんだ!? 俺達は幼馴染みじゃないか!」
「何だ、単なる泣き言か……詰まらん」
それが聴こえたのか、天之河光輝がユートの方をキッと睨み付けてくるが何処吹く風だ。
「光輝、貴方は今更それを言わせたいの?」
「……雫?」
「あんたはやり過ぎたのよ。私や香織や鈴だけじゃないわ、龍太郎だってもう光輝を庇えないの。優斗に味方する理由は優斗の方が正しいからよ」
「莫迦な!」
有り得ないと云わんばかりの天之河光輝だが、既に香織も鈴も顔を明後日の方へ逸らしていた。
まぁ、どちらかと云えばユートが正しいというだけでしかないのは雫も言いながら理解していた訳だし、ユートも正義の味方の心算が無いのだから正しいとか言われても困る。
天之河光輝は真っ向から否定していた。
「アナザージオウとか怪物に成ってまであんたは
何がしたいのよ!?」
「仮面ライダーだ! 俺は怪物なんかじゃない!
正義のヒーローで勇者の俺こそが正しいのであって、緒方なんかあんな卑怯な力が無けりゃ単なる無能な錬成師じゃないか!」
「どの口が言うのやら」
ユートとしては呆れる他ない。
卑怯な力とは仮面ライダーの力であろうけど、自分は当たり前に使いながら他人を詰る根性など最早、支離滅裂になっているとしか思えないくらいに阿保な事を宣う。
「いい加減にして! そもそもあんたは仮面ライダーなんて観た事すら無いでしょうが!」
天之河光輝にとってのヒーローというのは即ち祖父――弁護士の天之河完治の事を意味していて、仮面ライダーやメタルヒーローやウルトラマンやスーパー戦隊に子供達が夢中になっている中で、どうして
そもそもがユートが足りない部分こそユーキの力を頼むが、だいたいは自らの力を用いて用立てて仮面ライダーなどの力を獲ているのに対して、天之河光輝の場合は仮面ライダーキックホッパーから始まりアナザージオウⅡに至るまで他人任せでしかなく、勇者(笑)の天職ですらエヒトルジュエなる神(笑)からの貰いモノ。
貰った力を上手く使うのと力に振り回されているのは意味が違うし、ユートがどうかは別にして明らかに天之河光輝は後者である。
天職の勇者(笑)だけでも一杯一杯だったのに、仮面ライダーキックホッパーやアナザージオウを使い熟せる筈も無く、そもそも怪人枠でしかないアナザージオウはエゴが前面に出てしまう。
まぁ、天之河光輝は本人が元々にしてエゴの塊だったから大して違いは無かったかもだが……
「雫っ!」
「光輝、あんたってさ……昔っからそうよね」
「な、何がだよ?」
「いつだって御都合解釈。そうよ、私がイジメを受けていた時だって! あんたに助けを求めたらあんたがした事と言えば『雫ちゃんと仲良くして欲しい』とか何とか言っただけ。アフターケアも無くて私は陰で余計に陰湿なイジメに遭ったわ。それを言ったら『あの子達は良い子だよ』だの、『雫の勘違い』だの、挙げ句の果てには『仲良くしろ』? 巫座戯ないで! 誰がイジメをしてきた連中と仲良くしたいものですか!」
雫の慟哭に仮面ライダークローズチャージたる坂上龍太郎は、『あちゃ!』と頭に右手を添えながら天を仰いでしまう。
その話題は比較的に天之河光輝が落ち着いていた所謂、意味は違うが『賢者タイム』だった時に挙げていたが見事に首を傾げていたもの。
『きっと悪気は無かった』、『皆、良い子達だよ?』、『話せば判る』と言うばかり。
「私はあんたに出逢ったばかりの頃は私を女の子にしてくれる『王子様』になってくれるかも……ってさ、勝手な期待を懐いていた事だってあったんだけど……バッカみたいよね。あんたの無駄に良い容姿と『雫ちゃんのも、俺が守って上げるよ』って甘ったるい科白に逆上せてたんだから……」
坂上龍太郎の時とは迫力が違って後退りすらしてしまう天之河光輝。
守ってくれる、甘えさせてくれる……女の子で居ても良いのかも知れないと期待した雫は物の見事に裏切られた形だ。
確かに勝手な期待を押し付けて勝手に失望しただけ、そう云われてしまえば雫も決して否定などする事は出来ないにせよ……である。
今でこそ艶やかな黒髪を伸ばしポニーテールに結わい付け、端からは『クールな美少女剣士』みたいな評価を得て香織と並び立つ雫ではあるが、昔は短く刈った髪の毛に服装も地味でしかなかった上に女の子らしい話題にも付いてはいけない。
それというのも雫の顔立ちが可愛い系でなく、美人系だったから子供だった頃は変に悪目立ちをしてしまったのが原因、当然ながら長じればそれは立派な女の武器足り得るけど。
実はそれを気にして二人だけの夜に少し聴いてみた――『私、昔は髪の毛が短くってね。優斗の好きなポニテじゃなかったのよ』……と。
『それはそれで悪くないね。幼馴染みだったなら是非とも見てみたかったよ』
その答えに思わず熱く燃えて盛った。
まぁ、当時は正しく餓鬼に過ぎなかったであろう天之河光輝に女の機微など解らないし、つまりは解決に導くだけの知恵など有る筈も無い。
四年生に上がって香織と同じクラスになれて、彼女が傍に居てくれたから心折られずに平静になって暮らせたのである。
「きっと私も悪いのよね。私はいつも中途半端、あんたを突き放す事が出来なかったわ」
「し、雫……?」
いつしか雫は天之河光輝には頼らなくなって、その傍らでこいつが無意味にトラブった際にいつもフォローに回り、ハジメが天之河光輝に諭すという名目で詰った時にも『御免なさいね、光輝に悪気は無いのよ』とかこっそり耳打ちしていた。
「光輝、あんたさ……前に教室で南雲君に言った事があったわね」
「な、何を?」
「『いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりはいられないんだから』だったかしら? だったら言って上げる。いつまでも私や香織の優しさに甘えるのはどうかと思うわよ。私達だって光輝に構ってばかりはいられないんだから」
「っ!?」
言葉のブーメランとはこの事だろう。
「お、緒方なら良いのかよ!?」
「良いに決まってる」
「何故だ!?」
「私、優斗の愛人だもの」
数秒間――固まる天之河光輝。
「あ、愛人だと?」
「あのね、優斗の周りを見なさいよ」
言われて見回すと仮面ライダーが一杯。
「この仮面ライダーは龍太郎を除いて女の子よ、そして全員が愛人という立場だわ」
「なっ! それて良いのかよ!? つまり緒方は女性をコレクションにしているんじゃないか!」
「昔のあんたと何が違うのよ?」
「俺は皆をコレクションだなんて!」
「思ってなくても視るからにそうでしょうが! 優斗だって別にコレクションだなんて思ってはいないわよ! 女好きで強欲で割と嫉妬深いだけ、女の子を養えて蔑視しなくて全員を愛せるんなら問題も無いわね」
「雫……やっぱり洗脳……」
「しつこい! くどいのよ、あんたは! 自分が気に入らなくて理性的に判断が出来なくなったら取り敢えず洗脳とか、気持ちが悪いわ!」
「っっ!?」
最早それは弾劾であったと云う。
「か、香織……」
「ねぇ、光輝君。女の子は乱暴にされて悦ぶなんて普通は無いんだよ?」
「っ!」
レ○プ未遂を許さないという断固たる科白に、天之河光輝は絶句をするしかなかっと云う。
仮面ライダーリューン、カリスと変わらない姿をしているだけに恐怖すら募った。
違いは色と女性らしい体型くらい。
「鈴……」
顔を逸らすだけなのは鈴が基本的に事なかれであるからだろう。
「光輝、はっきり言うわ。この場の私や香織や鈴はあんたに惹かれたなんて事は無いのよ」
「っ!? どういう……」
「簡単よ。あんたの上辺しか知らない娘達ならばキャーキャーと言うでしょう。でもあんたを知れば知る程にあんたに惹かれなくなるのよ。あんたが抱いたっていうメイドや女性騎士も今や光輝が歴史改変しなけりゃ付いては来ない」
「ぐっ!」
まるで黒田 光ルートな伊藤 誠みたいに。
「もういい加減で楽になりなさい光輝」
必殺技祭りだぁぁぁあああっっ!
仮面ライダーサソードのライダースラッシュが斬り刻み、仮面ライダーリューンのスピニングダンスが極り、仮面ライダータイガのクリスタルブレイクに引き摺られて爪を突き立てられ、仮面ライダーサガのスネーキングデスブレイクにより貫かれて、仮面ライダーリュウガのドラゴンライダーキックに蹴られ、仮面ライダーザビーのライダースティングに打ち抜かれ、仮面ライダークローズチャージのスクラップブレイクを極められて、非殺傷設定とは思えないくらいにズタズタでボロボロにされてしまう。
《ALL TWENTY TIME BREAK!》
更にだめ押しであると謂わんばかりに上空へとアナザージオウⅡを蹴り上げ、平成仮面ライダー
の全てを放映順に召喚をしたユート。
正しくオール二〇周年記念必殺キックが炸裂、トドメは仮面ライダーグレイテストシンオウによる蹴りで〆。
「ぐわはぁぁぁぁぁぁっっ!?」
大爆発して吹き飛んだがカトレアと違って間違いなく生きており、天之河光輝の変身が解除されて地面へと落ちるアナザージオウⅡウォッチ。
グシャッ!
ユートはそれを踏み潰した。
これにより改変された歴史は元通りになったらしく国王のエリヒド達も気が付く。
非殺傷な必殺技という矛盾した攻撃で死ぬ程の痛みを受けながら死ねず、泡を吹きながら気絶をした天之河光輝は取り敢えず医務室に寝かせる事で放置をした。
回復させてやる必要も無いからだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝になりベッドの上で目を覚ましたユートの隣には、リリアーナとヘリーナとニアの三人が未だに疲弊からか眠っていた。
ずっと不安感と闘っていただけに安堵が欲しいという気持ちも理解出来たし、他の【閃姫】達も快く? 譲ってくれたのだそうな。
取り敢えずユートも三人を気遣ってか優先的に可愛がってやったものである。
「さてと、家族会といきますか」
ちょっとムラッとキタからもう一発ずつ三人を抱いてから朝食を摂った。
朝食後に全員を集める。
「始めるぞ」
「これは……何?」
この場にはウルの町に居た畑山愛子先生を含む優花達、愛ちゃん護衛隊も戻って来て生き残りのクラスメイトが集まっていた。
勿論、天之河光輝も。
ユートはリリカルっぽい仮想ボードと空中へと投影されたモニタを出し、それを操作していたのを優花に訊かれて口を開く。
「漸く次元通信の準備が終わったんで僕が態々、仮面ライダーWファング/ジョーカーに変身をして地球とトータスを疑似的に繋ぐんじゃなくて、直に会話が可能な様に出来たって訳だよ」
「そんな事が!」
「此方には魔導を、向こうには科学を修めた者が揃っているんだから出来ない事は余り無い」
現在は謂わばチューニング中であった。
「よし、無事に繋がったな」
ヴン! という音と共に映し出されるのは懐かしい向こう側の景色であり、長くて青い髪の毛をポニーテールにした見た目に幼い少女。
『『『『タバサァァァッ!?』』』』
全員ではないが【ゼロの使い魔】を見知っていた者達が声を揃えて絶叫をする。
「やぁ、兄貴。顔を見るのは久方振りだねぇ? 仮面ライダーWに成って判ってはいたんだけど、取り敢えず元気そうで何よりだよ」
「そっちも壮健で何よりだ。向こうはどうだ? 一番に飛び出しそうな連中とか」
「抑えるのに苦労したよ。リル王妃に説得して貰えて助かったさ。勿論、ラル王姉殿下もね」
「まぁ、直接的に会える場所に居るんだからな。リルからの返事は?」
「その時になったら来てくれる手筈さ」
「了解した」
重要な申し送りも終わっていよいよだ。
「マイエンジェル! 漸く会えた!」
「お、お父さん……」
いの一番に顔を出してきたのは白崎智一であり
天使呼びが恥ずかしい香織、一応は前回で疑似的に会話くらいはさせたのだがやはり足りなかったらしい。
取り敢えず全員に思い思いな会話を楽しませてやるユートだが、天之河光輝は遠くでそれを見せられているだけでしかなかった。
ユートが天之河光輝に気遣う理由など全く無いのだから当然であろう。
「それじゃ、此方で起きた事に付いて話そうか。先ず僕は帰る為に必要な七つの鍵の内の四つを手に入れる事に成功した」
「おお! 神代魔法だったか、つまりは半分を越えたんだね」
南雲 愁が嬉しそうに言い、他の家族達も何処と無く嬉しそうにしている。
「だけど事ある毎に邪魔をされていて困った事に遅れ気味だよ。本当はもっと早く動きたいんだけどな……」
「邪魔を? 魔人族という奴かい?」
「否、天之河光輝」
バーーン! とか擬音が付きそうな暴露に頬を引き攣らせる天之河夫妻と天之河美月。
「ど、どういう事ですか? 何だか最後通諜を突き付けられたと聞きますが!?」
天之河美弥が慌てて訊いてくる。
「アナザージオウⅡという怪人に成って歴史改変を仕出かしてね、お陰で四つ目の神代魔法を獲てから王宮に蜻蛉返りだよ」
「アナザージオウⅡ?」
「邪神から貰ったらしい。前にもアナザージオウに成って要らん事をしてくれたしな」
天之河聖治と天之河美弥は頭を抱える。
「弁護士だったとかいう天之河完治はどうやら、弁護士としては一流でも祖父としては駄目だったみたいだね。本当に必要な事を教えるのを後回しにした挙げ句、教える前に死んだから天之河光輝は歪みまくっているんだよ」
天之河完治は幼い天之河光輝にはまだ早いだろうと、自分の仕事などの綺麗な部分だけを教えて
汚ない部分を教えていなかった。
綺麗事をほざくばかりであり清濁併せ呑むという度量を持たないのだ。
「緒方! お爺さんを悪く言うな!」
「言うさ! お前という失敗作を世に放ったんだからな!」
「しっ!?」
余りの暴言に絶句する天之河光輝。
「そもそも、弁護士は正義でも何でも無いだろ」
「な、何だと!?」
「それなりな大金を受け取り、依頼を遂行するのが弁護士の仕事だ」
依頼内容とかにも依るのだが……
「相談くらいなら一万円で初回無料なんて事務所も増えてるが、着手金に報酬に日当に実費などでん十万と支払わないといけない。それは天之河の祖父も同じで決して無報酬で弁護士なんかしてはいない。食ってかないといけないからな」
「そ、そんな事くらい判ってる!」
多分だが将来設計に弁護士も有るのであろう、その手の知識くらいは得ていたらしい。
「勿論、一口に弁護士と言ったって様々な仕事が存在する訳だが……正直、テレビの情報だけで判断したら犯罪者の罪を軽くするのに腐心する仕事というイメージがある」
「な、なにぃ!?」
所詮は一例でしかないのだが、会社の法律的なあれこれを調べたりする仕事なんかはテレビなどで拡散される情報ではなく、基本的に弁護士やら検事やらが動いた云々がメディアに載るのは裁判によるもので、大概は重犯罪者だったりするから一般的な弁護士のイメージはそれに沿うかも。
「何人も殺した殺人犯を意訳すれば『頭がおかしいから殺しても仕方がない、だから罪を軽くして上げないと可哀想だろう』って話だ」
「っ!?」
飽く迄もニュースになった裁判を観た際の謂わば極論、ユート自身は弁護士や検事の仕事を実際に見知っているからそんな風に考えていない。
とはいえ、ニュースで裁判関連を観ればそんな感じに弁護士が仕事をしている訳で、恐らくだけど天之河完治が天之河光輝へと伝えなかった闇の一つではなかろうか?
被害者遺族の心を無視してでも死刑を求刑された殺人犯を減刑、最低でも無期懲役にするのに使われる言い訳がユートの言った『頭がおかしい』というか、精神的にあれやこれやという一般的には『仕方がなかった』という判断となる。
勿論ながら病院で精神鑑定もするが……
求刑通りにならなかったら被害者遺族は遺憾であるだろうし、単純にニュースだけで弁護士を観た場合は寧ろ悪党である。
「【仮面ライダー龍騎】の仮面ライダーゾルダに変身する北岡秀一弁護士――彼も重犯罪者を減刑にさせては大金をせしめていたしな」
「っ!? そ、そんなのとお爺さんを一緒くたにするな! お爺さんは……お爺さんは……」
本人は不服に思っていた様だが、あの浅倉 威も無罪にこそならなかったが減刑には成功していた北岡秀一の手腕は、正しく被害者遺族からしたなら悪党弁護士に他ならない。
兎に角、ユートは天之河光輝など見ずモニタの向こうの天之河聖治と天之河美弥に顔を向ける。
「これ以上、彼奴が邪魔をするなら今回は坂上が頑張ったから保留にしたが、今度こそ殺処分にさせて貰うから」
「「っ!」」
平然と抹殺宣言をしてくるユートに驚愕を通り越してしまう。
「ま、待って下さい! クラスメイトを殺すなんて駄目ですよ!」
やはりと云うか愛子先生が待ったを掛けるが、ユートとしては言いたい事もあった。
「これは愛子先生を早く彼方に還す為に必要な事なんだから邪魔をしないで欲しいね」
「わ、私ですか?」
「トータスに召喚されて半年を過ぎてしまった。愛子先生は学校をある意味で無断欠勤半年になっている訳だが、まだ学校に愛子先生の籍って残っているのかな?」
「あ゛……」
今までトータスを生き抜く事にかまけていて、そこら辺に全く無頓着だったのに気が付いてしまった愛子先生は、愕然となりながら両手を床に付いて四つん這いで茫然自失となる。
「異世界に召喚されました……なんて、事実だとしても学校が信じるかな? 否、信じる信じないという以前に色々な軋轢を躱す為の羊にされるんじゃないかね?」
「スケープゴート……ね」
ユートの言いたい事を雫が答えた。
「それなのに天之河が邪魔をしてまた遅れたよ。それなのに許せと? 聖母を通り越して頭がイカれてると思われるぞ。そいつは生きている限りは僕の邪魔をするだろうしな」
だからこその最後通諜だったのだから。
.
別に弁護士に隔意は無いですよ?
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
-
性犯罪者となる