ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 残業三昧で遅れました。





第74話:花の蕾に約束を

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 大空を往くオプティマスプライム。

 

「はぁ? 神山のバーン大迷宮に行って来た? つまり魂魄魔法を得たの!?」

 

 いつの間にか大迷宮に挑み、そして魂魄魔法を得たらしいユートに雫が大声を上げる。

 

「ああ、攻略の証が二個有れば入れると聞いていたからね。さっさとクリアしてやった。ラウス・バーンプログライズキーも手に入ったよ」

 

「連れて行ってくれれば……」

 

「雫達が姿を消して気配の同化なんかが可能なら一人くらいは連れて行ったが?」

 

「……私は無理ね」

 

 見回したがシアですら首を横に振る。

 

 兎人族のウリはその隠密性だと云えるのだが、シアは修業の結果もあって存在密度が増したからだろう、現在のカム達みたいな隠密性を持っていないらしい。

 

 勿論、シアが本格的にそっち方面を鍛え直せば話は別なのだろうけど。

 

 尚、ユエだけは返事をする余裕が無くユートの上で腰を懸命な様子で振っていた。

 

 ハウリアというか兎人族の隠密性を考慮して、忍者っぽい量産型仮面ライダーな黒影トルーパーを与えた訳で、カム達はそれを見事に使い熟しているのは偶にオルクス大迷宮に行くけどその度に実感をしてしまう。

 

 仮面ライダー黒影は足軽か忍者かみたいな姿、明確な忍者仮面ライダーはシノビ系列くらいだったし、量産型が存在する黒影を選ぶのは寧ろ必然だと云えた。

 

 神山は聖教教会の本拠地、謂わば敵の懐に飛び込むにも等しいからには隠密性は必須である。

 

「処で今日は飽く迄も見学だからと言って居させているあの子、確か聖剣に宿る女神様でウーア・アルト……だったわよね。ちゃんと女の子になっているみたいだけど」

 

「ああ、男の肉体は天之河への嫌がらせで纏わせていたに過ぎないからな。天之河から離れたなら真の【女神の器】に容れても問題は無い」

 

「はっきりと嫌がらせと言うのね」

 

「嫌がらせだとも。彼奴を喜ばせて僕に何の益が有るんだよ?」

 

「まぁ、無いけどね」

 

 雫は溜息を吐いた。

 

「何だか着物が似合いそうな容姿よね」

 

「黒髪だし体型も日本人っぽいからな」

 

 長い黒髪にスレンダーだからその気になったら日本人と言い張れるウーア・アルト、彼女は前にユートと一種の契約を交わしている。

 

 若しも自分の正体にも気付かず無意味に聖剣を天之河光輝が手放した場合はユートに仕える事、そして今日のこの日に天之河光輝は愚かにも聖剣を賭けの材料にする事を良しとした。

 

 故に神樹の女神ウーア・アルトは晴れて今日、ユートの女の一人としてこの場に居る。

 

 薄く白い服を着て座りつつ紅い頬でモジモジと

内股となって此方を観るウーア・アルト、男女の営みは知識として有るけど実際にヤった経験など無かったから恥ずかしくも興味津々らしい。

 

 暫くしたらユエが真っ赤な顔で絶叫を上げながら弓形に背を反らす。

 

 ユートもそれに合わせる形でユエの胎内へと、熱い欲望の塊を吐き出すのだった。

 

「そう言えば光輝君だけトレーラー部分に放り込んだよね」

 

 香織が小首を傾げながら呟く。

 

「そうだな」

 

「どうして光輝君だけを客室の大部屋ですらないトレーラーに?」

 

「奴を客扱いすらしたくない。そもそも勝手に付いて来たがったんだ、どんな扱いをされても文句は言わさん」

 

 エリセンでミュウとレミアを降ろしたらその足でハルツィナ樹海へ向かい、大迷宮に挑む予定で動いていたユートだったが何故か天之河光輝が付いて来ると言い出したのだ。

 

 勇者の自分が神代魔法を得ればきっとユートより強くなれる……などと放言をして。

 

 そんな輩を連れて行ったのだとして何の役に立つものか、未だに勇者という天職が讃えられても当然だと思い込んでいる様だし、そんなものは全く勘違いも甚だしいというのに……だ。

 

「兎に角、渇かない程度に飢えない程度に保存食と水を与えて放置しておけば良いさ」

 

「優斗も大概よね……」

 

「アハハ」

 

 まともな食事すら出さないと宣言するユートに呆れる雫と苦笑いの香織。

 

「そんな事よりユエがくたばったから次は君らだと判ってる?」

 

「そうね、八重樫 雫……逝きます!」

 

「白崎香織も逝くよ!」

 

「何故に悲壮な決意で来るかな?」

 

 先程まで百合百合しく肢体を絡ませ合っていた雫と香織だったが、自分の番がきて嬉しくユートに向かったもののその反面でユエみたいに激しくイカされて気絶させられるのが理解出来ているからには、悲壮な決意を以て抱かれるのは致し方が無いのではなかろうか?

 

 僅かな時間に次々と陥落していく女の子達に、ユートは溜息を吐きながら欲望をぶち撒けた。

 

 飽きる事など無く何度も何度でも……とばかりに【閃姫】となった彼女らの胎内を焼くとその度に歓喜の絶叫を上げてくれる。

 

 ユート自身もそんなはしたない顔で絶頂をする彼女らを視ていると、更にムクムクと下半身のJr.が猛りを上げて元気爆発してくれた。

 

 尚、そんなユートの事など知らず天之河光輝はトレーラー内でボソボソと保存食を食べて飢えを凌いでいたと云う。

 

 扱いが勇者ではないと憤るが、文句があるなら連れては行かないと言われて黙るしかない。

 

 ユートは天之河光輝みたいなタイプが基本的には嫌いであり、似たタイプの人間とはやはり性格的に合わない場合が多かった。

 

 昔の双子の兄――ネギ・スプリングフィールドがそんなタイプに近かったからか、多少の隔意を持っていたのも事実であった訳だし。

 

 とはいえ、裏火星に行ってからは改善も成されていたから流石は主人公と思ったものである。

 

 逆に改善の余地が全く無かったタイプとしてはブルージャスティスなるチームを率いていた奴、リュートという名前だった彼は最終的にパーティが消滅して破滅へと驀地だった。

 

 パーティメンバーの男はユートのというよりは義弟の仲間の女性に殺られ、女は捕らえられた後で怨み骨髄な連中に散々犯された挙げ句の果てに自害か殺されたか、牢屋内で明らかに性的暴行を受けた状態で死んでいたらしい。

 

 状況だけならば犯されたショックによる自殺にも見えたのだが……

 

 自称正義が悪でしかなかった悪例であろうか、当然ながら天之河光輝レベルなリュートに対するユートの評価は極めて低く、〇を通り越して-の評価しか連中には付けていなかった。

 

「あ、始まっちゃった……」

 

「また唐突に始まったな、鈴」

 

「こればかりは仕方がないよ~。自分で制御とか出来る訳じゃあるまいし……ゆう君、悪いんだけどアレが欲しい」

 

「ほら」

 

「うん、有り難う」

 

 鈴が欲したのは□リエと生理痛用の薬、当たり前だがファンタジーな異世界であるトータスには生理用品など存在せず、ならばファンタジー世界の住人はどうやって生理を凌ぐのか問われれば、清潔な布を宛がうのがだいたいの共通認識だ。

 

 ハルケギニアやアトリエ世界やその他の世界、ファンタジーで生理用品が無い場所ではそれだった訳で、だからユートは生理用品を大量に購入をしていて必要に応じ【閃姫】達に与えていた。

 

 勿論、【閃姫】以外で与える場合がある。

 

 以前に訪れた世界では召喚されたは良かったのだが、この世界みたいに能力が紐付けされたりしていなかったからユート本人に力が無かったら詰んでいた……そんな世界で【閃姫】招喚はまだ出来ない状態だった事もあり奴隷を購入。

 

 見た目は日本人と西洋人で似てはいなかったが

姉妹で、本来なら年齢的に無理がありそうな妹を喰っちゃったけど、それは姉の方が始まってしまっていたのを血の臭いから気付いたから。

 

 仕方無く姉の方に□リエを使わせて妹の奉仕を見学させてやった。

 

 因みに妹はユートの守備範囲ギリギリな年齢、挿入が可成りキツかったのは否めない。

 

 ユートから□リエを貰った鈴はいそいそと手慣れた感じに使用をする。

 

 ユートの仲間になれて良かったと安堵してしまう瞬間が、まさかの□リエを使った時だというのは持っていた生理用品が切れて以来は布を使っていた鈴からすれば、天啓を得たにも等しい事だったのかも知れない。

 

 実際に雫と香織がどうやって凌いでいたのかを聞いた鈴は、背後にサンダーブレイクするくらいの衝撃が奔ったのだから。

 

 勿論、今はユエとシアとティオも手放せないと愛用をしているくらいだった。

 

 というか、一応はユエも初潮を済ませていたのをちょっとだけ驚いたユート。

 

 鈴が無理になったから飛ばして次のシアが受け持つ番、当然と云うかシアはティオに近い御胸様で先ずは御奉仕をするのであった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 海の町であるエリセンに到着後は直ぐミュウというかレミアの家に直行、既に騒ぎは納まっていたし歴史改変が消えたからか始めからなのか? 特に荒らされたりしていない様である。

 

 トレーラー内で保存食の食っちゃ寝をしていた

天之河光輝は捨て置き、ユート一行はレミア宅にて歓待を受けて魚料理を堪能した。

 

 マグナモンは変わらずリリアーナ王女の護衛に残し、坂上龍太郎と永山パーティは王宮で訓練をしながら待つ形になり、畑山愛子先生と護衛隊も下手に分散しては危険だからと王宮に居る。

 

 だからエリセンにはいつものパーティに加えて勇者(笑)のみが来ていた。

 

 本当は勇者(笑)も要らなかったが強硬に付いてきた訳で、厚かましいにも程があるとユートとしては御立腹だったりする。

 

 だからこそレミア宅には招かない。

 

 あの勇者(笑)の事だからレミアを見れば又もや『俺が守る』とか、不愉快極まりない寸劇をやりそうだったからきちんとレミアとの顔合わせすらもさせていなかった。

 

 何しろミュウを見れば『だいたい判った』的に理解も出来るだろうが、レミアは一児の母な未亡人としては若くて可成りの美女なのである。

 

 それこそ死んだ夫の後釜をエリセンの海人族の男共の誰もが狙うくらいには。

 

 下手したら人間族までもが……

 

 そして年齢は二五歳と三十路にすら達していない若さ、天之河光輝が見れば間違いなくコレクションに加えたくなるだろう。

 

 あの鬼畜は誰彼構わず……否、美人に限定をして誰彼構わず『俺が守る』と言い放つが実際に守った事は恐らくだが雫も含めてきっと皆無。

 

 誰も守れない勇者は正しく勇者(笑)だ。

 

 何だか段々と腹が立ってきたから奴が死んだら望みを叶えてやろう……と、昏い笑みを浮かべていたら流石にドン引きされてしまう。

 

(天之河、誰かを守りたいなら守らせてやるさ。そういう事を()()()()()()()()()()()人間に介入させて……な)

 

 ユートが嘗て介入した世界の一つにはそういう訳が解らない存在も居た。

 

(な~に、安心するが良いさ。お前が守りたがる美少女はた~くさん居る世界だからな)

 

 それも様々な属性でそれこそ何人も何人も救わねばならない女の子達が居る。

 

 きっと大喜びするであろう。

 

 守れれば……の話ではあるけど。

 

 ユートとてあれは面倒臭かったのを覚えてて、ヒロイン枠の娘らが美少女揃いだから頑張れたのだけど、そうでもなければ投げ出したくなる程であるのだから相当だった。

 

「あら、あなた」

 

 考え事をしつつユートが歩いていたらレミアに呼び止められる。

 

「レミア、ミュウが居ない場所での『あなた』は

やめて欲しいんだが……」

 

「あらあら、良いじゃないですか」

 

「ミュウの手前だから『あなた』呼びを黙認しているけど、自分に好意を持たない相手から呼ばれても嬉しくないんだよ」

 

「好意が無い訳ではありませんわ。これでも私とて今までに再婚を考えなかった訳ではありませんもの。只、今の私はミュウを優先していますわ。私の気持ちよりミュウがパパと呼んで懐くくらいの方なら、私もこの身を寄り添うのに否やはありませんから」

 

 愛した夫以外に自ら愛したいとは思えない、だからミュウが『パパ』と呼ぶ相手に身を任せるだけ……というレミア。

 

「ですからあなた、あなたなら私を御好きになさって構わないですわよ?」

 

 亡き夫以外で唯一受け容れる条件がミュウで、ユートはその条件をたった一人だけ満たした。

 

「とはいっても、私は嘗て一人の男性を――夫を愛し愛された身ですから……あなたに初めてを捧げるのは無理ですし、あの人を忘れたりも出来ないでしょうけど。正直、亡き夫に身を捧げた私で悦んで戴けるかは判りませんわ」

 

 ちょっと自虐的なレミアにユートは顔を近付けると……

 

「んっ!? むぅ~~っ!」

 

 自らの唇を重ねてレミアの口を塞ぐ。

 

「プハァッ! 何を為さるんですか!」

 

「手を出して構わないって言ったからキスしたんだけど、若しもレミアがそれを嫌だったなら謝るんだが……どうだ?」

 

「確かに言いましたし別に嫌ではありませんわ、でも突然過ぎますから吃驚したんです!」

 

「そうか。亡き夫に身を捧げていたから僕が愉しめないって懸念は要らない」

 

「……え?」

 

「僕は不倫こそしないが未亡人ならバッチコイ、実際に以前にも未亡人を抱いている」

 

「そうなのですか?」

 

「まぁ、旦那を殺したのはある意味で僕だったりするんだがな」

 

「ちょっ!?」

 

 何だかとんでもない事を言い出したユートに、流石の『あらあら、うふふ』なレミアも吃驚して目を見開いてしまう。

 

 それだと意図的に未亡人を作ってまで抱いた事になってしまうからだ。

 

「勘違いが無い様に言っておくけど、向こうが僕を殺しに来たのが切っ掛けだからな?」

 

「そうなのですか?」

 

「ああ、僕が疑似転生――っていうか転生の概念は理解出来るか?」

 

「えっと……」

 

 冥界なりあの世なりソウル・ソサエティなり、死後の世界が明確に存在して神々に管理を成されている世界ならまだしも、トータスはエヒトルジュエが遊び気分で神を僭称しているに過ぎない。

 

 だからこそ魂も僅かな時間で霧散してしまい、転生をする事も無いのであろう。

 

 だけど魂を保護する魔法――魂魄魔法が存在するのならば、そういう世界というかあの世を創造も出来るとユートとしては思うのだが、エヒトルジュエに創造する能力が欠如しているのか若しくは()()()()()考えが及ばないか。

 

 ユーキ経由で得た百夜からの情報では自分の魂を保護する神域とやらは創造しているらしいし、恐らくは後者が当たりであろうとユートはアレを嘲笑うしかなかった。

 

「転生というのは死んだ後の魂が新しく生を受ける事だけど、このトータスでは魂が僅かな時間で消えてしまう事から転生をする魂は無いか有っても記憶の保持に必要な部位は消失してるかな?」

 

「……つまり、あなたはその転生をしていると? それも何度も」

 

「そうだよ。通常転生で二回と疑似転生は幾度となくしているな」

 

 通常転生は肉体の死に伴う生まれ変わりの事、最初の緒方優斗としての死で日乃森なのはさんから転生特典を貰い、転生処置を受けてハルケギニア――【ゼロの使い魔】の世界へ転生をして更に、その世界での一五〇歳代の頃に再び死亡した後で

平賀才人が産まれたハルケギニアに通じる地球――【魔法先生ネギま!】や【聖闘士星矢】の他にも【型月】や【怪奇警察サイポリス】や【隠忍】など様々に入り混じる混淆世界に自ら転生した。

 

 疑似転生とは肉体は滅んでない状態で魂だけを一時的に切り離し、別の世界で母親の腹から産まれ生を受ける事で行われる転生の事である。

 

 通常転生との違いは疑似転生で人生を終えたら再び元の肉体――この場合はユート・スプリングフィールドの肉体に戻るという処にあった。

 

 例えば【八男って、それはないでしょう!】の世界へ疑似転生をした場合、ユート・フォン・ベンノ・バウマイスターとしてアルトゥル騎士爵とヨハンナの間に八男として誕生、本来の八男君であるヴェンデリンは誕生していないであろうし、元来の主人公である筈の一宮信吾もこの世界線では魂の交換による憑依転生が成される事も無く、普通に税込みで二五万くらいの給料を貰うだけの二流商社の社員で人生を終わった筈である。

 

 また、疑似転生とはいっても手に入れた物品はアイテムストレージへと仕舞えば持ち出せるし、【閃姫】との契約も普通に可能だから気に入った娘を籠絡しても良い。

 

 何らかの技術を得たら他世界でも扱える。

 

 きちんとメリットが有るからこそ疑似転生なんて面倒そうな事をしているのだ。

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

 頭の良いレミアは何と無くではあるのだろうが理解をしたらしく、ユートの説明に対しうんうんといちいち首肯をしている。

 

 そこら辺は某・勇者(笑)より遥かに説明をするのが楽だと思えたし、可愛らしい仕種からはとてもではないが一児の母とは思えない雰囲気を醸し出していた。

 

 それでいて先程のキスでは唇を奪われながらも慣れた感じは、見た事も無いレミアの亡き夫の影がチラホラと見え隠れをしている。

 

 きっと抱いたら抱いたでその亡き夫の色を見付けられるだろうが、然しながらユートは真っ白な

キャンバスに自分色を好き勝手に塗りたくるのも好きだけど、既に他人色が塗られたキャンバスを自分色に塗り直すのも割かし好みだ。

 

 塗りたくる真っ最中なのを押し退けて塗るのは好ましくない、だけどレミアや嘗ての世界に於けるアマーリエ義姉さんみたいに()()()()()()キャンバスになら何も問題は無い。

 

「ま、そんな訳で長男が自らの無能を棚に上げて僕を逆恨みしてさ。それで殺しに来たから謂わば

正当防衛ってやつだよ」

 

 実際には単なる自爆だったが……

 

「確かにそれならそうなりますね」

 

 レミアに言っていない真実としては王国側的には長男を廃してユートを立てる、長男が物分かりの良い態度なら男爵くらいにして領地の一部を与えるのも吝かではなかったが、とてもそんな風にはなりそうになかった処か何処ぞの財務卿の弟に唆されての自爆である。

 

 ユートは長男を助けようと思えば助けられたのだろうが、命を狙った人間を救ってやる程に甘い対応はしないから放置した。

 

 結果、長男は死亡する。

 

 当然だけどユート暗殺未遂犯の烙印を捺されて死んだ長男、家族である妻と二人の子供にもそれは波及をしてしまう。

 

 とはいっても、どうやらそこら辺は歴史通りの事だったらしいのは後で知った。

 

 違ったのは本来の主人公とユートの行動。

 

 すぐにアマーリエ義姉さんを保護してしまい、各種へ根回しをして合法的に彼女を自分の傍へと置いたのだ。

 

 二人の子供達の心配はしていたが流石に其処まではどうしようも無く、その後に何とか引き取る事で纏まったのは被害者たるユートが申し出たのもあるであろうし、何よりも僻地の開拓事業にはユートの力が必須であるからには御機嫌窺いといった意味もあった筈。

 

 何にせよユートはアマーリエ義姉さんが好ましかった訳で、自分のモノにする為には正しく手段を選ぶ心算すら無かった。

 

 結局はアルトゥルとアマデウス――前バウマイスター騎士爵と現ブライヒレーダー辺境伯の談合が行われて、アマーリエ義姉さんがユートの筆下ろしをする『あてがい女』として選ばれて彼女の方もそれを了承をしたし、ユートが態々手に入れた彼女を手放す気などあろう筈もなく妾にランクアップ? をしてもそれは当然の流れ。

 

 流石に立場上から側室には出来なかったけど、長男から女として視られず二七歳にして終わったと思っていたのが、ユートにより再び女として褥に就く事を存外と悦んでいた。

 

 元よりある意味で長男より仲好くしていたのも大きかったであろうが……

 

「子供を産んだ未亡人? レミアの魅力はそれで衰えたりしない処か寧ろ輝いてさえいるよ」

 

「あ、有り難う御座います……」

 

 今までにもその手の絡みは多々有ったのだが、レミア自身がその気にならなかった。

 

 だけどユートはミュウが懐いているのもあり、先のキスも驚きはしたけど嬉しくもあったのだ。

 

 他にも沢山の相手が居る事に目を瞑れば悪い気はしないレミアであった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 天之河光輝が乗るトレーラー部分を切り離し、仲間内でヨットモードなオプティマスプライムに乗って海にユラユラと揺られ、ワイワイとしながら美味しい夕餉を海の上で愉しんだ。

 

「光輝の事はあれで良かったの?」

 

 雫が訊いてくる。

 

「構わんだろ。どうせ食っちゃ寝を繰り返しているだけだったんだしな」

 

 トレーラー内に催眠導入剤入りのガスを充たして天之河光輝は眠らせた。

 

 こんな綺麗な夜空を観ながら海を揺られる船の上で、【閃姫】や【閃姫】ではないし正式なものには出来ないが御気に入りの女性とその娘との、謂わば船上逢瀬を愉しんでいるというのに間違いなく絡むと判っている勇者(笑)など、この場に呼ぶ訳が無いのである。

 

 はっきり場違いだと言いたい。

 

 ミュウを抱っこしながらレミアが凭れ掛かり、羨んだ【閃姫】が我先にと空いた場所で凭れ掛かって来るし、夕餉はレミアを中心にして基本的に調理担当のシアと香織が手伝って作ってくれた。

 

 又候(またぞろ)、行われる迷宮探索の為に英気を養うのは冒険者として間違っていない。

 

 そしてこの中に相手をするだけでも疲れるだろう天之河光輝を入れないのも、決して間違っていないとユートは自信を持って云える。

 

「そういえばゆう君、ビーファイターなんてのも造っていたんだね」

 

 鈴がニコニコと訊いてくる。

 

「ああ、識っていたのかビーファイター。アレは僕が初日に錬成の具合を確かめる為にと初日に造った試作品だよ。お陰で良い具合に派生技能が生えてきたんだが、それで作業は随分と楽になったから序でに全ビーコマンダーやコマンドボイサーやインセクトコマンダーまで造ってしまったよ。勿論、インセクトアーマーとかも並行してね」

 

「コマンドボイサーやインセクトコマンダーって事は、ビーファイターカブトに登場したビーファイターも変身可能なんだ?」

 

「ああ。流石に未だカブテリオスやクワガタイタンみたいな巨神兵は造って無いけど。ビートマシンやネオビートマシンもね」

 

「造っていたら見てみたかったな~♪」

 

 意外と特撮が好きなのだろうか?

 

 尚、造るのはメタルヒーローにしようと初めから考えていたのだが、理由は仮面ライダーに成るシステムは大量に造っていたし、ウルトラマンもティガとネクサスには変身出来ていた訳であり、スーパー戦隊もシンケンジャーには成れたから。

 

 まぁ、ガイファードなりシャンゼリオンなりに何なら超星神シリーズに成っても良かったのだがいまいちノらなかった。

 

 取り敢えずの実験の心算でブルービートを造ってみたらノってしまい、ジースタッグとレッドルに加えてカブトにクワガーにテントウまで造り、ヤンマ、ミン、ゲンジ、アゲハまで造り込んでしまったのである。

 

 とはいってもいつもの如くインセクトアーマーに関しては【至高と究極の聖魔獣】により創造をした聖魔獣、コマンダーや武装に関しては錬成を使って造り上げていた。

 

「へぇ、ちょっとやってみたいかも」

 

「せめて仮面ライダータイガを使い熟してから言って欲しいけどな」

 

「うぐっ!」

 

 最もな意見に口篭る鈴。

 

「ま、使うだけなら構わんか……ほら」

 

 鈴に渡されたのはコマンドボイサーとテントウのインプットカード、カブトとクワガーは男だから女性用でテントウと気を遣った形である。

 

 早速とばかりに鈴がコマンドボイサーにカードを挿入して……

 

「超重甲っ!」

 

 パワーワードを叫んだ。

 

 コマンドボイサーへと命令が届いて鈴の肉体をテントウのネオインセクトアーマーが鎧う。

 

 メタリックな紫色を基調としている名前の通り天道虫をモデルにしたビーファイターテントウ、鈴の身長が変化する訳ではないからちょっとだけ

不格好だが、背面に装備されたフィニッシュウェポンのテントウスピアーを出して振り回した。

 

「おお!」

 

 愉しんでいる様で何よりではあるのだが武器を室内で振り回すおバカな鈴に、ユートとしては頭が痛くなる気分であったと云う。

 

 順次、コマンドボイサーで遊んでる【閃姫】に呆れながらもユート自身、仮面ライダーに変身をするのが愉しいから気持ちは理解が出来る。

 

 ミュウも『超重甲』をしたがっていたのだが、流石に危ないからとレミアと一緒に止めた。

 

 ある程度なら身長を変えられるから鈴や香織や雫が『超重甲』しているものの、ミュウくらいに背が低いと流石に『超重甲』が不可能だったし。

 

 結局は気遣いは無駄になってビーファイターを全て出してしまう事に。

 

 折角だから写真を撮ろうと云う事で『重甲』と『超重甲』でビーファイター揃い踏み。

 

 とはいっても一〇人も居ないから飽く迄も通常のレギュラー陣だけ、インセクトメダルの戦士であるヤンマとゲンジとミンとアゲハは無しで。

 

 未だに遊ぶ面々からユートは抜け出す。

 

「やれやれ……アレはDXコマンドボイサーだとかDXビーコマンダーじゃないんだけどな」

 

 つまりは玩具ではないと言いたい。

 

 とはいえ止める心算も無いから心行くまで遊ばせておこうと思っていた。

 

 ミュウとレミアの二人がユートと座る。

 

「ミュウ、賢い君なら判っていると思う」

 

「……うん」

 

 今回こんなクルージングに繰り出したのは今後の闘いを鑑みて、ミュウとも離れねばならないと考えていたからであった。

 

 ミュウは聡いから何を言われるのか理解していたらしく、ギュッとユートの服を掴みながら然した騒がずに耳を傾けてくれている。

 

「ミュウ、約束しよう」

 

「約束?」

 

「僕は約束事や契約事に偽りは言わないし反故にもしない。若し僕が約束を破ったり契約違反をするとしたら、それは履行不可能になった場合と……契約した相手が裏切りを働いた場合だけだ」

 

「……うん」

 

 流石に履行が不可能になったら仕方がないから謝罪をするだろうし、相手が裏切ったら普通に敵でしかないから履行する必要も無い。

 

 とはいえ今までにユートがどうあっても履行が不可能……なんて約束自体した事が無かった。

 

 基本的に裏切りは嫌いだからそれをやらかした相手には容赦しない。

 

「だから約束……全てを終えたらもう一度、必ず君に会いに戻る。レミアと待っていて欲しい」

 

「……本当なの?」

 

「勿論だ。そしたら僕の居た世界に皆で行こう。きっと愉しいからさ」

 

「うん、約束……なの……」

 

 言っている事は聞き分けの良かったミュウではあるが、その瞳からはボロボロと大粒の涙が我知らず溢れ出していた。

 

 本当は行って欲しくないけど止められないのだと理解しているから、ミュウは青い瞳から涙を流しながらもパパに手を振る選択肢を自らに課したのである。

 

「行って……らっしゃい……なの……」

 

 パパの娘として恥ずかしくない様に。

 

 だけど……

 

「折角の娘との会話に……空気を読めないな」

 

 いつだって世界はこんな筈じゃ無かった事ばかりであるとは、何処の誰の科白であったのかは兎も角として異常は起きる。

 

「うゆ?」

 

「あなた?」

 

 ユートは空を見上げて恐い顔になった。

 

 雲が急速に溢れ出して月光は呑まれて消え失せてしまい、オプティマスプライムは凄まじい勢いで辺りを覆う濃霧に囲まれてしまう。

 

「優斗!」

 

「ゆう君!」

 

「……ユート!」

 

「ユートさん!」

 

「主殿!」

 

「ゆう君!」

 

「ユー君!」

 

 雫、香織、ユエ、シア、ティオ、鈴、ミレディが遊んでいた侭の姿で、異常事態を感知したのかすぐに飛び出してきた。

 

「チィッ! 皆、何が起きるか判らないんだ! 油断無く気を付けろ!」

 

 ビーコマンダーやコマンドボイサーで遊んでいたから全員がビーファイターで、ユートも適当に

ベルトを選んでツールを使って変身をする。

 

《ZEROーONE DRIVER!》

 

 選ばれたのはゼロワンドライバー。

 

《HYPER JUMP!》

 

 ユートが使うのはシャイニングアサルトホッパープログライズキーであり、アサルトグリップの赤いスイッチを押すといつもとは少し違う音声が響き渡りそれをゼロワンドライバーのオーソライザーで承認。

 

《OVER RIZE!》

 

 プログライズキーを展開させるとライダモデルが頭上に浮かぶ。

 

WARNING,WARNING. THIS IS NOT A TEST(警告、警告……これは訓練ではない)!》

 

 シャイニングアーキテクターを纏ったユートへと合着。

 

《HYBRID RIZE……SHINING ASSAULT HOPPRE!》

 

 その姿は仮面ライダーゼロワン・シャイニングホッパーに、青いアーマーが追加装着されたという感じだろうか?

 

《NO CHANCE OF SURVIVING THIS SHOT!》

 

「ミュウもレミアも離れるなよ」

 

「はいなの!」

 

「判りました、あなた」

 

 何が起きるのか判らない状況。

 

 因みにだが、天之河光輝の安全に関しては全く考慮に入れていない埒外扱いである。

 

「主殿、あれを見よ!」

 

「スーパーロボット並の巨体……」

 

 ティオ――ビーファイタークワガーが指を差した方向には三〇mクラスの巨体、然しながら人型ではなく何処と無くだが魚のシルエット。

 

「ク、鯨……かな?」

 

 香織――レッドルが呆然と呟く。

 

「魔物……じゃなさそうだな」

 

 仮面ライダーシャイニングアサルトホッパーなユートが【神秘の瞳】で視た限り、魔物と呼べる存在だとは到底思えないナニかを感じていた。

 

 寧ろ真逆の存在。

 

「クジラさん、助けてって」

 

「何? ミュウ……君は……巫女体質!」

 

 ミュウの科白は恐らく鯨からの声無き声。

 

 ユートは仮面の奥で目を見開いてしまうけど、恐らく幼いが故の純粋さからだろうがミュウには巫女体質が備わっているらしく、中でも神憑りに近い力を持ち合わせているのかも知れない。

 

 声無き声を聴く――卑弥呼みたいな存在は稀有であるし、長じても力を喪わない様にするには訓練をするしかない。

 

「助けて……か」

 

 ミュウにはいずれ神憑りの力を持つ【閃姫】たる太刀の媛巫女――清秋院恵那を紹介するべきかも知れないと考えつつ、並列思考で鯨の助力を請う声無き声に思いを馳せた。

 

 あの鯨は力こそ比べると大した事も無いけど、間違いなく光鷹翼に近いモノだ。

 

 つまり存在が見えていながらも観測されない、在りながら無いという矛盾を持つモノ――即ちそれは俗世間では神と称される。

 

 より正確に表すなら高位次元知性体、神とかよりは寧ろ此方の方が誤解も余り無くて良いのかも知れない。

 

 【スレイヤーズ】では赤竜神スィーフィードも魔王シャブラニグドゥも、いずれの属性であっても高位次元知性体に変わりはないのだから。

 

 そして突如、事態は大きく動く。

 

 ユートの目に映るのは時空間の乱れと静止が、まるで矛盾無くレッツらまぜまぜされる不可思議に過ぎる光景、レミアは掴めたがミュウは何故か自らが動くかの如く掴めない。

 

「ミュウッッ!」

 

 神憑り。

 

 しかも制御が利かない神憑り程に危険な事など無いと、嘗て清秋院恵那が自らの神刀たる天叢劍に乗っ取られたのを視て理解していた。

 

 嘗てアンドロメダの瞬が冥王ハーデスの依代となった事で解っている事。

 

(ああ、約束だ。必ず迎えに行ってやるさ!)

 

 ユートはレミアを抱き締めながらミュウへ再び約束を心の内で叫ぶのだった。

 

 

.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 漸くミレディとの出逢いの噺です。


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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