ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 前回程は待たせずに済みました。





第77話:フェアベルゲン領国

 

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「昨夜は御愉しみでしたね」

 

 ドラクエでも有名な科白を宣い凄いジト目な感じで雫が睨んでくる。

 

「応、愉しかったぞ」

 

「くっ、悪びれもしないし!」

 

「レミアとミレディを抱いて愉しくないなんて、それこそ二人に失礼ってもんだろうに」

 

「むぅ……」

 

「だいたい、聞き耳を立てていたなら入って来て混ざれば良かったんだ」

 

「あのね……ミレディさんは兎も角、レミアさんの邪魔をするのは野暮ってもんでしょ」

 

 レミアがいつしかユートに惹かれていたのは、雫だけでなく【閃姫】全員の共通した認識。

 

 最初こそミュウが『パパ』と慕う男性に対するポーズの心算だったのかも知れないのだろうが、実の『パパ』を知らないとはいえあそこまで心酔に近い慕い方にある意味で苛立ちこそあったのが本当の処、それが段々とポーズながら数年振りの男の温もりに触れている内に意識せざるを得なかったのだ。

 

 最初からマイナスとプラスが混在していた為、どちらに振り切れるもフラット――零になってしまうのもユートの行動次第、マルチエンディング的な状態だったのがレミアである。

 

 そして本当にちょっとずつちょっとずつ惹かれていったのが、決定的になったのは遂先頃の出来事だったのだからアレがトドメだったのだろう。

 

『続きを』

 

 それは正しくレミアにとって心底からの科白であったと云う、そして彼の事件を終えた昨夜には遂にユートと結ばれたレミアは雫が眠る姿を見た際に浮かべていたのは幸せそうな表情だった。

 

「レミアさんも前の旦那さんを考えてか素直にはなれなかったけど、優斗と出逢ってから少しずつだけど惹かれていたもの」

 

「それは……素直に嬉しいな」

 

 嫌われるより好かれた方が良い。

 

「あ、そうだわ」

 

「どうした?」

 

「ちょっと訊きたい事が有ったのよ」

 

「訊きたい事とは?」

 

「クロノ・トリガーって識ってる?」

 

「識ってる。有名人の三人が組んで製作をしたっていうゲームだからな」

 

 FFシリーズの坂口博信氏、DQシリーズでの堀井雄二氏、漫画家の鳥山 明氏がトリオを組んで製作したスクウェア発売のRPGだ。

 

 しかもそれ以外も可成りのドリームスタッフで製作されていたらしい。

 

「それが?」

 

「その続編は識ってる?」

 

「クロノ・クロスだな。識ってはいるしクリアもしたが、前々世の僕は頭が良かった訳では無いからストーリーが難解で、断片的にしか覚えていないな。それで?」

 

 嘆息してしまうのは嘗てを思い出したからか、クロノ・クロス自体を思い出したからか?

 

「クロノ・トリガーは刻を駆ける物語、クロノ・クロスは平行世界を往き来する物語だったわ」

 

「まぁ、そうだな。一〇年前のセルジュの生死を基点に二つに分岐した歴史をホームから移動して目の当たりにした主人公セルジュ。だからレナというヒロインが解り易く教えてくれるんだよな。ホームのレナはセルジュを当たり前に幼馴染みとして受け容れ、アナザーのレナはセルジュを死んだものとして受け止めていた」

 

「ええ、そうね」

 

「で? クロノ・クロスにまで言及したって事は平行世界に関してか?」

 

「まぁね……」

 

 ちょっと語り難そうな雫。

 

「【ありふれた職業で世界最強】というのが私達の世界なのは判ったけど、本来とは歴史? が違っているんでしょう?」

 

「そうだな」

 

 抑々にしてユートが居なくても混淆世界だからある程度の差違は有る訳だが、当然ながら雫が訊きたいのはそういう無関係な部分じゃない。

 

「例えばの話……よ。私結ばれたのは本来での歴史なら南雲君だったのよね?」

 

「そうらしいが?」

 

「あっさり答えてくれたわね。それにしてもまさかの南雲君かぁ……ひょっとしてスッゴく葛藤とかしたんじゃない?」

 

「した……らしいな。親友の好きな相手に好意を懐いて罪悪感が半端無かった様だね」

 

「そうでしょうね。他ならない私自身が若しそうなったら葛藤しちゃうもの」

 

 正しく本人だからこそ理解も出来た。

 

 今は相手こそ原典とは違うものの香織と謂わばシェアしている形だが、そうなった切っ掛けからして罪悪感とは縁遠いから葛藤はしない。

 

 何しろ生命の対価として香織と共に初めてを捧げて、その延長でユートに情を懐く様になってから好意に変わっていったのだから。

 

 香織はある種の強迫観念から『好きにならないといけない』みたいな感じからだったらしいが、それでも何ヵ月と身体を重ねていくにつれて感情も付いてきたみたいだ。

 

 尚、愛子先生は初めてを捧げた時点で生徒との情事の葛藤が凄まじく、なのに二度三度と身体を重ねたからかいつしか『好きだから仕方無い』と自分を騙す様にして心を守る内に、それが本当だと錯覚したのが事実と刷り代わった感じだろう。

 

 そういう意味では雫が一番に素直であったし、可愛らしい反応も一番に魅せてくれたもの。

 

「それに、メインヒロインは香織じゃあなくってユエさん」

 

「そうだね、前にも話したけどメインヒロインはユエだよ。寧ろ香織はフラれているらしいね」

 

「ああ、判る気がするわ。実際、優斗も言っていたものね。南雲君は香織の突撃に迷惑をしていたんだ……って」

 

「まぁね、ハジメは天之河や坂上に雫と香織も含めていっその事、異世界に召喚されれば良いのにってあの日に思っていたらしい。とはいえ、まさか自分も含めて教室内の全員が召喚されるとは露にも思わなかったろうけど」

 

 ユートの説明に汗をタラリと流す雫は苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

「わ、私もかぁ……」

 

 まぁ、四人組といっしょくたにされていたのだから無理もあるまい。

 

「だから思うんだけどユエさんが南雲君にとってメインヒロインという事は、ひょっとして今現在で優斗の傍に居るのって本来は皆が南雲君に侍るハーレム要員だったりするの? 正直、南雲君がハーレムを構築するってのがいまいち判んないんだけど……」

 

「今のハジメを見れば確かに考えられないよな、だけどハジメ・ラヴァーズに間違いは無い」

 

「ハジメ・ラヴァーズって……」

 

 謂わばハジメの恋人達。

 

「原典だと奈落に落ちたのはハジメ一人だけだ。命懸けでオルクス大迷宮を降りてユエを解放してからライセン大峡谷へ、其処でシアに出逢ったし

ウルの町の一件でティオと、フューレンの町での一件でミュウと出逢っているんだ。ミレディだけはゴーレムの侭で大迷宮に篭っていたがね」

 

「で、レミアさん……か」

 

 正確には香織が加わってレミアである。

 

「私はいつのタイミングで?」

 

「確か……次というか最後の氷雪洞窟で素直になれたみたいだな」

 

「そっか」

 

 何と無く知りたいと思っていた事が知れたから満足したらしい。

 

「あ、これからハルツィナ樹海の大迷宮よね? すぐに向かうのかしら?」

 

「否、その前にやっておきたい事が有るからね。一度はフェアベルゲンに寄る事になるな」

 

「そうなんだ。じゃあ、光輝は?」

 

「うん? 彼奴なら大迷宮の攻略時に出す予定。それ以外では居ても邪魔にしかならないからな」

 

「……」

 

 居ても居なくても毒にも薬にもならないならば未だしも、天之河光輝は居るだけで邪魔にしかならない毒という訳だ。

 

「本当は連れて行きたくも無いんだ」

 

 ユートからしたら最早、居なくなれば良いのにと思うレベルでウザかったという。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ハルツィナ樹海の入口にオプティマスプライムをトレーナーモードで待機、天之河光輝は睡眠薬で今も眠りこけているから放置の方向でユート達はフェアベルゲンへと向かう。

 

「またお前か」

 

「確かギル……だったか?」

 

 虎人族のギルは以前にもユートと遭遇をしているから顔見知りだ。

 

「そうだ。此処に来たという事は遂にハルツィナ樹海の大迷宮に挑むのか?」

 

「まぁね、必要な物と魔法が手に入ったからさ。ギルには悪いがその前にフェアベルゲンの方でも用事が有ってな。長老連中に会いたいから部下に先触れを出して貰えるか?」

 

「それは構わないが……」

 

 元よりユート達がこの地に戻るのは折り込み済みであり、特に森人族が長老のアルフレリック・ハイピストが孫娘たるアルテナ・ハイピストを送り込み、ある程度の仲を築き上げているのだからシアの存在こそ気になるもののフェアベルゲンに入る事を忌避はされまい。

 

「ザム」

 

「はい!」

 

 前にも長老であるアルフレリック・ハイピストらを呼びに行ったザム君、此処でも再び御遣いに行かされる事になった訳だ。

 

「なぁ、ギル」

 

「何だ?」

 

「まだシアに忌避感が有るのか?」

 

「我々は古くより掟として従って来たんだ。今更ながらそれを破る事に些かの抵抗は有るだろう」

 

「まぁ、掟は大切だよな。僕らも阿保らしいとは

思いつつ昔からの掟を守ったりしていたしね」

 

「そうなのか?」

 

「ああ。其処では女性は女性である事を捨てて、仮面を被らなければならない。万が一にも異性に仮面の下の素顔を見られたら……」

 

「見られたら?」

 

「見た相手を殺すか……愛するしかない」

 

「何じゃそりゃ!? 殺すのは兎も角としても、何故に愛するなんて話になる?」

 

「知らんよ。そういう掟なんだからな」

 

「いや、意味が解らん!」

 

「僕にもフェアベルゲンの掟、魔力持ちを処するとか意味が解らんよ」

 

「む!?」

 

「だけど掟は掟と従って来たんだろ?」

 

「それは……」

 

「抑々にしてそれが()()()()のだという事以外に明確な理由は?」

 

「な、に?」

 

 ギルは首を傾げてしまう。

 

「何やら面白そうな話をしておるな」

 

 ガサガサと草木を掻き分けてアルフレリックが護衛と共に現れた。

 

「アルフレリック、久し振りだ」

 

「うむ。アルテナは元気かね?」

 

「元気だよ。今はオルクス大迷宮の深奥で一種の花嫁修業をしているらしいし」

 

「ハハハハ、君に預けた甲斐はあったのかな? それで? 先ずは来訪の理由を聴こうか」

 

 片目を閉じた状態で杖を両手に持って地面へと突く森人族の長老、アルフレリック・ハイピストは早速とばかりに話を振てくる。

 

「実はそろそろ僕のトータスでの()も終わりに近付いてきてね」

 

「ほう?」

 

「生成魔法、重力魔法、空間魔法、再生魔法に加えて先日には魂魄魔法も獲た。残るはハルツィナ樹海の昇華魔法と氷雪洞窟の変成魔法のみだ」

 

「それは、また……残りは二つか。それでは此処には昇華魔法とやらを獲る為に?」

 

「主な目的はそうだよ」

 

「そういえばフェアベルゲンにも用が有るという話だったが?」

 

「ああ。エヒトが僕らを召喚した抑々の目的は、人間族を魔人族の脅威から救う為という建前だったんだが、ならばエヒトが言う様に仮に魔人族を滅ぼしたとして奴は本当に僕らを元の世界に還すと思うか?」

 

「無い……であろうな」

 

 ユートから嘗て聞いた真名エヒトルジュエは、享楽から地上で人間族と魔人族の戦争をやらせているらしく、折角の駒を魔人族との戦争だけで還してしまう筈が無い。

 

「ならば還さなかった勇者(笑)や僕らをエヒトルジュエはどう使うと思う? 否、魔人族を滅ぼした後の人間族はどう使われると考える?」

 

「それは……まさか!?」

 

「嘗て、数百年前にはエヒトルジュエの気に入らない政策をしたからと龍人族を滅ぼし、三百年前には王弟が気に入らない事をしたからと吸血種族を滅ぼした。そして今回の戦争で人間族か魔人族のどちらかが滅びたとして、()()()()は何処になるんだろうな?」

 

「我ら亜人族……か」

 

「イグザクトリー」

 

 アルフレリックにその言葉の意味は判らなかったけど、恐らく『正解』と言われたのであろうという事は理解が出来た。

 

「フェアベルゲンは霧により亜人族以外は森に惑わされるね。まぁ、僕には効かないんだけどな。だからハルツィナ樹海に引き篭れば問題は無いと思っているのかも知れないが、前にも言ったろうけど霧が邪魔なら樹海を焼けば問題も無くなる。神の狂信者共は信望する神に命じられたら手段を選ばないぞ?」

 

「む、うう……」

 

 この霧は亜人族に効かないが故に恐らくだが、数千年前にリューティリス・ハルツィナが仕掛けたものと思われる訳で、彼女が亡き後でも霧が引かないなら何らかの核が存在していて其処から力を引き出しているのだろう。

 

 その核の候補はウーア・アルト。

 

 女神ではなくハルツィナ樹海の枯れた大樹の方のウーア・アルトである。

 

 尤も、枯れているのは見せ掛けだけだというのは枯れていながら朽ちない大樹ウーア・アルトを見れば判るというもの。

 

「取り敢えず移動しないか? フェアベルゲンに入れたくないなら何処か落ち着ける場所……が樹海に有る訳も無いし、入口のオプティマスプライムにまで移動しても良いが」

 

「何、構わんよ。一応だがアルテナの婿殿という建前もあるしな」

 

 そういう意味ではアルフレリックはユートにとって義祖父となる訳であり、正式な婚姻関係ではないし結婚式だって挙げないけど間違いなく身内となっていた。

 

 アルフレリックがアルテナをユートに差し出したのは正しく英断、仮にユートが言った様な事が起きたとしても確実に兎人族と森人族だけは守られるであろう。

 

 フェアベルゲンにて長老会議が行われる場所――以前にも熊人族のジンがユートを襲って返り討ちに遭った建物に長老やユート一行が集まる。

 

 土人族の長老グゼと虎人族の長老ゼルは不愉快だと謂わんばかりの態度、熊人族の長老たるジンは決まりが悪そうな表情をしていた。

 

 翼人族のマオと狐人族のルアは中立的な立場を貫くが、マオの場合は記者魂からか可成りユートを興味深そうに見ている。

 

 森人族のアルフレリックのみは孫娘アルテナを差し出した関係からか、ユートに対しての当たりが可成り柔らかいものとなっていた。

 

 形は歪つでも義理の祖父と孫なれば。

 

「さて、話の続きをしようではないか」

 

 御茶と御茶請けが用意されてアルフレリックが一口を飲む、同じポットから出された御茶を一番に飲んだのは毒味の意味合いがある。

 

 ユートに毒物は効かないと聞かされていたからポーズみたいなものだし、仮に御茶に毒物を仕込まれずとも器に塗られていたら意味も無い。

 

 とはいえ、若し本当に毒を盛ったとしたならば犯人は黒幕も実行犯も纏めて処されるが……

 

(そういや、昔に行った世界で獣人と仲良くしたくない貴族が王に毒を盛ったよな。グラスに毒を塗って獣人側から贈られたワインに入っていたかの様にがなり散らしていたっけか)

 

 ユートが解決したら獣人側大使の妹さんに懐かれたのはある意味で当然の流れ――その事件の前に出逢っていて迷子だったのを助けたのも有るし――

だった訳だが、人の善し悪しを計れる魔眼持ちな可愛らしいお姫様にも好かれて押し掛け嫁に。

 

 世界神に改造して貰ったスマホでユーキへと確認したら、どうやら獣人大使の妹さんが懐き過ぎた事以外は原典的に規定路線だったらしい。

 

 基本的にユートは獣人とか好きな部類であり、意味無く排他だったり傲慢だったりしない限りは友好的に接するし、何ならエルフやケモミミ娘が【閃姫】に居たりもする。

 

 出逢った当初はまだ幼かった大使の妹さんも、数年後――彼女やお姫様より先に出逢った王の弟の公爵の娘がヤれる年齢になる頃には充分な年齢に成っていて、その子もユートの【閃姫】として受け容れたのだった。

 

 因みに、原典主人公はハーレムを築きこそしたけどユートとは違いファンタジー貴族を人生経由していない為、どうしても複数の嫁を貰う事には抵抗があったらしく――それでも九人も嫁が居る――どうしても二の足を踏んだ様である。

 

 ユートは金を稼ぎまくっていた事や貴族としての身分、転生前も実妹により牽制されていたから女の子との縁が実家の分家筋以外に無かったけど本当はモテていた事実、それらが総合されたのかハルケギニアでは正妻が二人――ド・オルニエール大公家とラ・フォンティーヌ侯爵家のそれぞれにシエスタとカトレアが正室として入った――以外に側室として貴族家から輿入れしたり、隣国の姫を孕ませるまでヤり続けたりしたしメイドや平民の女の子や、借金の形にと貴族から受け取って平民の愛人より下の扱いで閨係を受け持たされる事になった八歳~一六歳くらいの娘などあの頃だけでも百人を越えて性的な関係を持ったユートだけに原典主人公が手を出さなかった娘らも普通にヤっちゃっていた。

 

 本当に因みにだが、八歳~一〇歳の娘は数えで一二歳までは手出ししてはいない。

 

 ハルケギニアに年齢による法的区分は無いし、どうやらこのくらいの年齢でも貴族同士や平民同士は兎も角、貴族が平民に手を出すのなら普通にやらかすらしくて平然と送り込んで来たのだ。

 

 お陰様? でユートの性的倫理観はぶち壊れてしまって守備範囲が拡がった。

 

 元より合法ロリは好みだったのに糅てて加え、タバサやジョゼット(ユーキ)を相手にする関係から多少の幼い容姿に慣れてしまったのである。

 

 何しろミニマムなあの双子は年齢より明らかに幼い容貌なのだから。

 

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

「さて、アルフレリックとは少しだけ話したんだけど初めから話す……僕のトータスでの旅も終盤に差し掛かっている。実際にハルツィナ樹海の迷宮に挑めるだけの条件が揃った。四つの印に関しては既に五つ、再生の力もメルジーナ海底遺跡にて再生魔法を獲ている。神代魔法は残す処は二つ、それがハルツィナ樹海の昇華魔法と氷雪洞窟での変成魔法だ」

 

「確かに終盤だな。そしてハルツィナ樹海に在る神代魔法をも獲る訳か」

 

「そうだよ、アルフレリック。召喚された僕らが元居た世界に戻るには神代魔法を獲ないとならないだろう。エヒトルジュエも恐らくはそこら辺の力で召喚したんだろうし、ならば真逆の送還も同じく神代魔法を必要とするだろうからね」

 

 実際にはユートならディケイドの力でオーロラカーテンを出し、識る世界であるなら往き来する事が可能だったから神代魔法を獲る必要は無い。

 

 試した事があるけどディケイドの力の中には、どうしてか鳴滝が使っていたオーロラカーテンが存在しており、後から令和ライダーすら識っている狼摩百夜に聞いたらディケイドの門矢 士も普通に使っていたとの事。

 

 【仮面ライダージオウ】で殆んどレギュラーの扱いで現れ、オーロラカーテンを展開して世界間を往き来していたのだと云う。

 

 たがら仮面ライダーディケイドの能力を有するユートなら、このオーロラカーテンの力を扱えてもおかしくないらしい。

 

 とはいえど、それをすると下手をしたら地球の座標を知られてエヒトルジュエの干渉を赦してしまいかねなく、結局はアレを処する必要性があると考えたから取り敢えず神代魔法を獲る大迷宮廻りに精を出している。

 

「先程もアルフレリックには話したが、エヒトルジュエが僕らを還す事は無い。それ処か魔人族を滅ぼした後は亜人族へと矛先を向けるだろうね。仮に滅ぼされたのが人間族でも変わらない」

 

「なっ!? どうしてそうなる!」

 

 虎人族の長老ゼルが叫ぶ。

 

「僕の得た情報では亜人族とは嘗て、エヒトルジュエが人間族を攫って魔物の持つ因子を加えて造り出した人造生物の子孫だ。奴からしたら原種である人間族や成功作の魔人族に比べて失敗作たる君らを残したいとは思うまいよ」

 

「失敗作!? というか、エヒトルジュエに造られたとは何だ!?」

 

「まぁ、もう数万年は前だと云うから誰の記憶にも何処の記録にも無いんだろうがな。エヒトルジュエは自らを宿す肉体を造る為の実験で原種となる人間を幾人も攫い、先にも言った通り魔物の持つ因子を植え付けてキメラを造ったらしい」

 

「そ、それが我らの先祖……だと?」

 

「そうだ。だけど最初に造られた亜人族は魔法を扱えない失敗作、後に龍人族や吸血族や魔人族を造ったみたいだな」

 

 いずれも高い魔法への適性が在るから成功という事なのだろう。

 

「亜人族が昔から蔑視を受けるのはエヒトルジュエからすれば君らが失敗作だから。それにヒトは下を蔑ませれば安心感を持つからな、不満なんかは下を捌け口にすれば良いって話なんだろうさ」

 

 下に不満の捌け口が在れば上に態々突っ掛かったりしないし、魔法を扱えないから幾ら身体能力が高くても結局は狩り易い獲物と化してしまい、殺り易くて犯り易い。

 

「事実、君らは禁忌の掟がどうのとたった一人の兎人族の少女を寄って集って処する処すると騒ぎ立てていたな? 実に愉しそうだった」

 

「うっ!? ち、違う! 掟だから……」

 

 ゼルが言い訳をするが……

 

「大迷宮の攻略者には手を出すなというのも掟だった筈だけど君らは挙って無視をしていたよな、選りにも選って長老が自ら率先をして手出ししてきた上、やられたら逆恨みをして襲われても殺すなとか言うわ、ハウリアを殺すぜ! とか抜かすわと掟はどうした? な感じだったろうに」

 

「「うぐっ!」」

 

 ゼルだけでなく熊人族の長老ジン・バントンも二の句を告げなくなる。

 

 掟掟と言う割には長老衆の間で定められた掟をガン無視したジン・バントン、成程……確かめてみたいのは無理も無いけど試合をするというのならまだしも、行き成りバカ力に任せて殴り掛かったのはどうであろうか?

 

「前置きは長くなかったが、君らが置かれている立場は理解して貰えたかな?」

 

「この侭、我々も安穏とはしていられないと? いずれは対岸の火事だった人間族と魔人族の戦争が決着したら、次は僕らフェアベルゲンが渦中に巻き込まれる……かな?」

 

「そういう事だ」

 

 狐人族の長老ルアは理解をした。

 

「その場合に君が助けるのはハウリアと森人族、シア・ハウリアとアルテナを差し出した形だから君の身内扱いなのだね?」

 

「その通りだ。この場合は例えば崖っぷちで落ち掛ける森人族と熊人族が居たら、どちらを助けるかの二者択一なら悩むまでも無く森人族だよ」

 

「ふむ、若し僕ら狐人族からも女を差し出すと言ったなら助けて貰えるのかい?」

 

「優先度なんかはあるだろうが、選択肢で初めから外したりはしないだろうね」

 

 少なくとも『どちらを救いますか?』という、選択肢くらいは出てくる筈だ。

 

「君に亜人族に対する(わだかま)りは?」

 

「無いな」

 

 澱み無く即答だったと云う。

 

「今までの経験から向こう側による傲慢な態度だったり、或いは超が付く排他的だったりする事は屡々あったけどね。僕の方から突き放したりはしなかった心算だよ」

 

「それは重畳」

 

 ルアは満足そうに頷いた。

 

「それで、そんな話をするからには貴方に某かの意見があるのですか?」

 

 翼人族のマオが訊ねてくるのは良いのだけど、何故か彼女はペンにノートらしきを手にしている辺り、ユートはふと『マスゴミ』という褒められない単語が脳裏に浮かんだ。

 

 『マスゴミ』とはマスコミの中で特に対象者の

粗捜し、揚げ足取り、プライバシーの侵害、時には事実の捏造すらして『報道の自由』の意味を履き違えて振り翳す塵芥な記者である。

 

 そういえば一歩間違えれば『マスゴミ』に成りかねない生徒が、麻帆良女子中学校にてユートが副担任を務めた3ーAに居たなと思い出す。

 

「ある」

 

「それはどんな?」

 

「こういう場合は後ろ楯を得るのが良い」

 

「後ろ楯……? 話の流れからして貴方が後ろ楯になるという事?」

 

「正確には僕個人じゃない」

 

「と、言いますと?」

 

「僕は異世界でアシュリアーナ真皇国の真皇という座に就いている」

 

「アシュリアーナ真皇国?」

 

 耳慣れない言葉にマオだけでなくアルフレリックやジンにグゼにゼルも、首を傾げてしまうしか無い様で互いに顔を見合わせていた。

 

「アシュリアーナ真皇国とは僕がその昔に存在したアシュリアーナ公国の公女を娶り、公王という形で新たに興した国が大きくなって今現在の形にまで成った国だよ。僕の君主号は【真皇】だけど大概は昔の【真王】の方を使うね」

 

 ベルカではとある国の外れの小さな公国でしかなかったアシュリアーナ公国、双子の公女であった姉のラルジェント・ル・ビジューと妹のリルベルト・ル・ビジュー、然しながら姉のラルジェントは前世での経験からか引き篭りがちであったが故に、亡き公王から引き継いで国政はリルベルトが執り行っていた。

 

 別の異世界にてアシュリアーナ聖王国が聖王女

だった二人、ラルジェント・ル・ビジューは既に囚われの身で国政はリルベルト・ル・ビジューが執っていて、実は見た目からはそう見えないけど二児の母だった彼女は死ぬ前にユートとの取り引きに応じている。

 

 『最期まで息子達の行く末を見守りたい』と、死ねば出来なくなる事をしたいが故に。

 

 それに応じる対価として聖王女リルベルトは、来世の人生をユートへと委ねたのだった。

 

 先に消滅していたラルジェントまで紐付けされ双子として再誕したのは思いも寄らなかったが、折角だから姉妹としての生活も愉しませて貰っていたらしい。

 

 リルベルトがアシュリアーナ公国の第一公妃となり、公王として立ったユートを自らの転生後も持つ【神力魔導】を用いて隣に立ち闘った。

 

 その後は公国から王国となり、ユートが既に呼ばれていた【真王】の君主号からアシュリアーナ真王国としてベルカの諸王と肩を並べる。

 

 当時は聖王女といえば【ゆりかごの聖王】の座に就いたオリヴィエ・ゼーゲブレヒトを指していたから、アシュリアーナ聖王国の聖王女なんてのを名乗るのは憚られたらしいし、リルベルトの夫となったユートが真王なら真王妃で良かった。

 

 第二真王妃と第三真王妃としてシュテル・スタークと暁美ほむらが娶られ、更には愛人枠としてヴィルフリッド・エレミアがユートの傍に侍る。

 

 とはいえ、ベルカの乱世は互いに空を大地を汚す兵器を使っての滅し合いに等しくなった為に、ユートは真王国だけでなく竜王国など亡びた国の民を連れて離脱、当時から人が皆無な無人世界であった世界に入植して【アシュリアーナ真王国の領国】という形で治めていく。

 

 そうして統合されたのが現在の形に成っているアシュリアーナ真皇国であり、ユートは王の中の王的に君主号が【真皇】となるのであった。

 

 古代遺失物や質量兵器などと時空管理局からは呼ばれそうな物を平然と防衛兵器としている為、幾度と無く時空管理局の海側とは戦り合っているものの、敗けた事が無いから向こうもでかい声で非難も出来ない上に、時空管理局のトップである最高評議会がやらかしたが故に最早、説得力に欠けるからか何も言って来ない。

 

 そんな国のユートは国主。

 

「長老による議会制はその侭に、その上へ女王を置いて僕がその女王を娶る形を以て『アシュリアーナ真皇国フェアベルゲン領国』を成立させる事を提案する!」

 

『『『『『っ!?』』』』』

 

 それは長老衆だけでなく、雫達も聞いてはいなかったユートの国防プランであったと云う。

 

 

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 ifでのプランに近いです。

勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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