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「あれ?」
雫は何故か元の姿に戻っている上に何故だか、ユートから横抱きにされていた。
「へ? ゆ、優斗?」
「何だい? 僕の可愛い雫姫」
「はい? ひ、姫って……雫姫って……」
何だかユートがおかしいと気付く雫だったが、横抱きは云わばお姫様抱っこという体勢。
心地好くて温かくて顔を赤らめてしまう。
確かにこんな理想を夢見た事はあったのだが、まさかこんな風に叶うとか思わない。
「雫姫様、ゆう君に抱っこされて羨ましいかな、かな」
「か、香織!?」
知り合いというか親友に視られていた事に恥ずかしくて顔から火が出そう。
「……雫姫が恥ずかしそう」
「ユエさん!?」
よく周りを見たら香織やユエだけではなくて、ティオやシアや鈴まで一緒に要るし何より全員が『雫姫』呼びに違和感を感じていないみたいだ。
(どうなってんの!?)
雫は訳が解らなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「はれ? 何で私、ベッドの上で下着姿になっているのかな?」
香織は自身の格好とベッドの上という状況から首を傾げるしかない。
「香織」
「あ、ゆう君……そっか! 今からシちゃうんだ。それで半裸でベッドの上なのかな?」
「白崎さん」
「ふぇ!?」
何故かハジメが居た。
しかもユートと同じくな格好からして今から、ハジメも御愉しみという事になる。
「え、でも……」
確かユートの【閃姫】はユート以外と睦み合う事を赦されず、万が一にでもヤろうとしたならば下半身のJr.がピチュン! してしまう筈。
実際に天之河光輝はそうなった。
「っていうか、言いますか! 私ってば男の子を二人相手にどうヤるの?」
答えは上のお口と下のお口で前から後ろから、ズッコンバッコンと!?
想像したら真っ赤になってしまう。
「さぁ、香織」
「白崎さん」
「ゆ、ゆう君……南雲君……」
そしてめくるめく倒錯の世界へ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……ユート」
「綺麗だよ、我が妃ユエ」
玉座に座るユートと膝に座るユエ。
吸血鬼族の城内、ユートが王となりユエはその王妃という形で二人は愛し合う。
頬に触れて顔を自分に向けさせると唇を重ね、事ある毎に愛を確かめていた。
城内には仲間達が居て愉しい日々を過ごしていけたし、妹みたいな――背は向こうが高いけど――シアと百合百合しい行為をしながらユートに抱かれるのも嬉しい。
姉みたいなティオの御胸に吸い付くのも良く、香織と雫のコンビと戯れても愉しかった。
何なら御胸が大して変わらない鈴と一緒に抱かれても良いだろう。
「おや、とんでもない場面に来てしまった様だね私の可愛いアレーティア」
「……お、叔父様!? リンディード叔父様!」
真っ赤ななるユエ。
何故なら今はちょっとイチャイチャしているというレベルではなく、ドレスのスカートにより隠されているから直には見えていないだろうけど、ユートと玉座にて絶賛合体中だったりするから。
敬愛するリンディード叔父様に真っ最中なのを視られてしまい、思わずという感じにお腹へ力を入れてしまったからかユートが欲望を吐き出す。
それ故に更に恥ずかしい。
「まぁ、少し待っているから身綺麗にしてきてくれると私としては助かるね」
「……は、はい」
消え入りそうな声で返事をしたユエはてとてと早足に歩いて浴場へ、小一時間くらいで中までも綺麗に洗い流してから戻ってきた。
「それで叔父様、御用件は?」
一応、ユートが吸血鬼族の国の国王となってはいるものの、本来はユエ――アレーティアが女王に成るべきだったのを無理繰りでユートに譲位して自身は第一王妃の座を獲得している。
なので立場的にユエは副王とも云う事であり、ユートと共に政務に勤しんでいた。
だからこそ少しでも時間が空いたら所構わずにヤっている訳だが……
「それで、宰相との話し合いが必須かと」
「……ん、ティオを呼ぶ」
この国の宰相はティオ・クラルス、クラルスの才媛たる彼女も王妃の一人――第六王妃として迎えており且つ宰相に据えた。
「次に騎士団の……」
「……騎士団長の雫と副団長のシアを呼ぶから少し待ってて叔父様」
騎士団長には第二王妃の八重樫 雫、補佐役たる副団長には獣人族の英雄のシア・ハウリアを第四王妃に据えつつ置いている。
「それで予算に関して」
「……ん、香織の領分」
経済産業省に経済産業大臣にして第三王妃である白崎香織。
「つきましては、魔法省から人を派遣したいと考えております」
「……宮廷魔術師のミレディに相談する」
ミレディ・ライセンはユエすら越える魔法の才を見込まれ、第五王妃に迎えつつも魔法省のトッブ兼宮廷魔術師に。
「一時の清涼剤に~って、鈴の扱いよ!」
第七王妃であり宮廷道化師の谷本 鈴が扇を手に舞いを踊る。
「何と言うか、宮廷道化師は兎も角として重要な部署が陛下の王妃様方で埋まっているね」
話し合いには第一王妃のユエを除く六人の名が普通に挙がっていた。
また、国営レストラン【ウィステリア】を営む園部優花はユートの愛人でもあり、国家諜報省の責任者――部下に深淵卿――にもなっている。
ユエの主導でこの国はユートに征服されていたりする為、リンディードは可愛いアレーティアが求めるならとアホ兄と義姉の追放に動いた。
ユエはそんな叔父様に感謝しつつ、国の要職にも就いて貰ったのである。
更には虎視眈々と王妃の座を狙う義娘ミュウとその母レミア、立場的に視るとレミアは側室という愛人より上で王妃より下の立ち位置を確保し、『あらあら、ウフフ』とユートを優しく癒していて以外と侮れない。
(……ん、幸せ。私は
ユエは今の幸せを噛み締めていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あ、母様!」
「シア」
シアは自分に顔立ちが似た女性に話し掛ける、それに応えたモナ・ハウリア――即ちシアの母。
「今日は父様と母様、私とユートさんでWデートを愉しむんですぅ!」
この日の為に毎日の根回しをしてきたシアは、兎にも角にも大変な毎日であったと云う。
他の娘達に今日を遠慮して貰う為に仕事などを手伝ったし、暫くはユートの傍に侍る事も出来なかったから肉体的にも精神的にもキツかった。
だけど遂にこの日を迎えたのだ。
肉体労働しながらもユートに甘えられないというWパンチも、今日という日の為の試練だったと思えたからこそ頑張れたのである。
ルンルン気分で恋人繋ぎにしている手。
既に肢体を赦しているとはいえ、こうしていると初心な恋人っぽくてシアは嬉しかった。
シアが大好きな父様――カム・ハウリアと母様――モナ・ハウリアと共に、愛しているユートとの逢瀬はちょっとした夢でもあったのだ。
「パパ~!」
「って、ミュウちゃん!?」
何故かレミアの娘のミュウが凸してくる。
「ミュウちゃん、どうしたんですか? 今日は私がユートさんを独占する約束でしたよね!?」
これはミュウもレミアから聴かされていた筈、レミアは今は亡き夫との間にミュウという四歳の娘が居るが、ミュウがユートに懐いていたのに加えてレミア本人がユートにトキメキクライシスだったらしくて、数年振りの恋に目覚めてしまったから……さぁ大変。
大人の魅力と母性がジョグレス進化したかの様なレミアの攻勢に、ユートもちょっとたじたじとなってしまっていたのだから。
そんなレミアから引き離す意味もあった。
ミュウの事は妹みたいに思っているシアだが、いつかミュウにユートが奪われそうな気がして恐れてもいたし、美しいレミアの娘だからには将来の美貌は約束されたも同然な上に、きっとミュウがヤれる年齢――一二年くらい後でも三十代であるレミアと母娘でなんてプレイが可能。
同じく兎人族な事もあり美貌の母モナ・ハウリアを持つシアだったけど、まさか不倫をさせるなんてのはユートの倫理的に不可能だ。
(父様を殺れば?)
一瞬だけ不埒な考えを持つと、危機察知能力に長けた種族だからか? カムがビクッと肩を震わせて僅かにだが愛娘から距離を取る。
まぁ、確かに不倫はNGなユートだったりするが未亡人には手を出すだろうから。
「良いじゃない」
「母様?」
「いつかシアがユート君の子を授かった時には、貴女も夫婦の間に子供を挟んで手を繋ぐの」
「ユ、ユートさんとの子供……」
自分が子を成すという事に顔が熱くなり赤らめてしまう、それと同時に妄想をしているのは若い証しなのかも知れない。
「だからミュウちゃんを連れて行って予行演習も良いのではないかしら?」
「予行演習ですか?」
シアは思う。
(良いかもしれませんね)
ウサミミをキュンキュンさせながら。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ティオは落ち着いた様子で里を見回した。
「ヴェンリ、妾に御茶をくれぬかのぅ」
「はい、姫様」
ヴェンリはティオの乳母、その絆は母と子にも近いものがある。
「皆はどうしておる?」
「御館様はミュウ様とまったり寛いでいらっしゃいますよ。他の皆様はそれぞれに得意な分野でのトレーニングや御勉強を」
「成程の。では妾も御茶を飲み終えたら主殿の所へと行ってみようか」
「はい、御館様も喜ばれましょう」
言うまでも無く、ヴェンリが語る『御館様』とはユートの事を指していた。
「そういえば父上と母上は?」
「ミュウちゃんに爺バカをするハルガ様をオルナ様が追い回していますね」
「さ、左様か」
ミュウは飽く迄もレミアの娘ではあるのだが、胸も大きくて包容力のあるティオに母親にも近い親近感を持ち、シアには実の姉にも似たシンパシーを感じているという。
それ故にかティオがまだ子を成していないので代わりというのは失礼だが、ミュウを孫みたいにハルガ・クラルスは可愛がっていた。
オルナ・クラルスはそんなハルガを押さえ付けるのに苦労をしているとか。
「ほんに、父上も懲りぬのう」
「そうで御座いますね」
幸せを噛み締めながらティオはヴェンリの淹れてくれた御茶を飲んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
鈴はユートとヤっていた。
嬌声を上げてひたすらに抱かれ、時には御奉仕とばかりにお口で……など、胸では活躍が出来ないから口の技を磨いている。
こうしてユートとの性に溺れるのが幸せだったから、いつまでもヤっていたいくらいに幸せを感じていたから。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「とまぁ、こんな感じだな」
「鈴が何だか可成り大雑把じゃないか?」
「知らんよ。大迷宮のリソースが間に合わなかったんじゃないか?」
「世知辛い理由だね、優雅兄」
目の前のユートに似た青年、名前は緒方優雅というユートにとっては産まれて来れなかった兄、そういう認識な『もう一人の僕』である。
まぁ、何処かの『
本来、優雅はユート――緒方優斗の魂の相克と成るべき存在として誕生した。
アテナの黄金聖闘士の双子座が事実上の双子であったり、或いは何らかの形でもう一人の自分が形勢されていたりする……過去の双児宮で双子座のカインとアベルを見た鳳凰星座の一輝からして、『又も呪われた星座だと云うのか!?』と驚愕をしてしまう程だ。
ユートの先代に当たる双子座のサガは事実上の双子であり、海皇ポセイドンの海闘士たる海龍のカノンとして相対をしてきたけど、それ以外にも
サガは二重人格としてもう一人のサガとも云うべき存在が居た。
教皇たるシオンを殺害し射手座のアイオロスを反逆者に仕立て上げ、聖域を一三年間にも渡って支配してきた偽教皇こそが裏サガである。
尤も、裏サガはとある存在により植え付けられた――云わば生来の双子のカノンとは違い後付けされた人格なのだが……
優雅は前々世のユートと一卵性の双子として生を受ける筈だったけど、ユートは生きていたのに優雅は死産という有り様で母親の緒方容子は酷く嘆き哀しんだもの。
では形勢されていた筈の魂はどうなったのか?
その答えはユートに融合をした……だ。
ユートはつまり生まれつき二人分の――延いては二回の人生を記憶を蝕まれる事無く生きた存在と同じだけの魂を持っていた。
生有るモノは魂の昇華を行う。
仮に最初の生がゾウリムシだったとして、その生を全うすれば次の生は更に進化した生命として生まれ変わるだろう。
一番に大変なのが人間みたいな知的生命体というか霊長類というか、つまりはそういう存在にまで生まれた場合となる。
仮に前の生が獅子だったとして、肉を喰らう為に草食獣を殺すのは罪足り得ないであろうけど、人間として生まれたからには同族を殺すのは疎か無闇に他の生き物を殺しても咎となり、魂の昇華の妨げになってしまうという事。
故にこそ生きているだけでマイナスを喰らい、二回分の魂が二回の人生で獲られない。
それこそ百回を生まれ直しても果たして足りるか否や、ユートは人間としての前世を未だに持たない最初の人生でそれを手に入れていた。
とはいえ、ユートの魂は這い寄る混沌の一欠片であるが故に神性を帯びているけど。
双子の魂は二通り、一つはそれぞれに魂が宿った場合で、二つ目は既に宿った魂が引き裂かれて双子の各々へと宿った場合。
ユートと優雅は前者に当たる。
つまりユートは確かに這い寄る混沌の一欠片であるが、一方の優雅の魂は紛れも無い人間の魂である上にとある人物の転生した存在でもあった。
更に云えばその前世は余りにも罪深いが故に、転生による魂の昇華は殆んどされていない。
優雅は意識を持ってから前世の記憶を持ち合わせなかったが、今は
「それで、どうする心算だ?」
「暫くは視て愉しませて貰うよ」
「それは構わんが、試練の夢に溺れてくれるな。昇華魔法を得られなくなるからな」
「勿の論だね」
ユートは優雅にヒラヒラと手を振りながらその場を去るのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「兄さん、朝ですよ。ほら、起きて下さい」
朝っぱらから可愛らしい声が朝日に目を焼く中で聴こえてくる。
ユートは目も開かずに声の方へ腕を伸とばし、十字を組んでそれを引き寄せた。
「キャッ!?」
首後ろに両腕を廻されてホールドされてしまったが故に、小さな……そして可成り可愛い声を上げた少女らしき子が胸元に収容される。
ユートを『兄さん』と呼んだからには妹なのは確定、更にそんな呼び方をしてい妹であるのなら緒方白亜であろう。
「に、兄さん……」
「御早う、白亜」
「お、御早う御座います……兄さん」
目を開くと顔を真っ赤にさせた白亜の顔がすぐ目の前に在る。
薄いという程ではないが豊満とも云えないくらいの胸がユートの身体に押し付けられている為、羞恥心が働いているのは間違いないのであろうが同時に白亜は悦びをも感じていた。
形の良い胸は押し潰されていて、ユートは妹の胸にそこはかとなく気持ち良さを覚える。
とはいえ、今のユートの下半身のJr.がおっきをしているのはそれが理由では決して無い。
「兄さん、おっきしてる……」
「白亜の胸が押し付けられているのは無関係だからな?」
「あ、朝ですからね」
何故かスリスリとズボンの上からであるとはいえ白亜の白魚みたいな指が、ユートの下半身に在るJr.をナデナデしてきていた。
白亜は実妹であるが何故かユートに異性としての愛情を懐いていた……とはハルケギニア時代に聞いて知っているが、少なくとも前々世ではこんな痴態を行った事など無かった筈。
「白亜?」
「兄さん……」
ハルケギニア時代には裸で寝ていたユートも、前々世では普通に寝間着を着て寝ていたからだろうか? 今現在のユートも寝間着を着ていたから良かったと思う。
「パンツが汚れてしまうんだが……」
「構いません、私が洗います」
「白亜、お前なぁ」
結局は射精を促されてしまって、ユートの穿いていたパンツというかトランクスは白亜によって回収されていき……こっそり覗いたら濡れた部位に鼻を近付けてクンカクンカと嗅いでいた。
それは妹が実兄に行うには普通ならドン引きな光景であったと云う。
更に色々とやらかしていたのは視ない振りをして階段を降りた。
この夢の設定上はユートは緒方優斗(一七)という感じで、五月が過ぎているから誕生日も終わった高校二年生らしくて、通うのはユートが前々世で通っていた公立高校の普通科である。
「御早う御座います優斗様」
三つ指を付いて御辞儀しながら朝の挨拶をしてきたのは、御三どんをしていたのか和装ながらも大正情緒な服装の狼摩白夜。
「御早う、白夜」
一つ歳下な白夜は高校一年生。
だけど前々世で白夜が御三どんを宗家で行った事は終ぞ無く、然しながら【闘神都市】世界にて再会した白夜は【闘神の館】でしてくれていた。
「朝餉は御用意しております。朝稽古をしたなら戴きましょう」
「判った」
古流剣術の道場である緒方家では朝稽古の為に朝早く起きる。
ユートは宗家の【刀舞術】の稽古をしつつも、狼摩家の【鉄扇術】や八雲家の【双刀術】の稽古も余念無く行う。
どうして態々、こんな三つもの技を磨いているのか? それはユートが【刀舞術】だけには限界を感じたから狼摩家の【鉄扇術】を白夜から教わったのが経緯。
更に両方の武器を扱うべく二刀流を修めるべく八雲家の【双刀術】を、八雲家の長女の八雲白迦から習う事にした。
何故か白夜も白迦も嬉しそうに教えてくれたのだが、後にユートへの好意からそうしたのだとは教えて貰っている。
朝稽古を終えて朝餉の時間となったのだけど、両親に祖父母に白亜と御三どんをしていた白夜までは百歩譲って良しとするが……
「これは?」
其処には分家の長女達がズラリ勢揃い。
八雲白迦もそうだし他にも居た。
(まぁ、幸せな夢を演出してるんだろうけどな。分家の長女が全員集合とかねぇ……」
この分ならある意味で高校も期待出来そうで、ニヤリと口角を吊り上げつつ朝餉を摂った。
ユートは高校へ向かい、白亜は小学校へ。
そう、恐るべき事にユートと白亜は五歳差だからユートが高校二年生の時分は白亜が小学六年生であり、見た目が高校生っぽかったからユートも勘違いをしていたのだ。
「あの見た目でランドセルを背負うとか、何だか微妙に犯罪チックな気がするよな」
尚、分家の長女らは小さくても中学二年生だから余り違和感は無い。
「御早う、ユート君」
「マリー?」
それは長い金髪女性でマルローネという名前、【マリーのアトリエ~ザールブルグの錬金術士~】の主人公であり、アカデミー始まって以来の落ち零れとして四年間の学業では卒業が叶わず、五年間もの留年をしてしまった未だに破られざる
記録保持者だった。
「あ、ユート君! 御早う」
「シアもか……御早う、二人共」
マリーの隣に居たのはシア・ドナースターク、ドナースターク家という商家に産まれた娘さんで生まれながら身体が弱く、原典のゲームに於いてはマリーがエリキシル剤を造って治した。
(見た目は二〇歳時の二人だよな)
とは云っても先の白亜の例もあったのだから、ちょっと油断が出来ないのも確か。
「あ、フレアさんの喫茶店にアイテムを卸さなきゃだった! じゃあね?」
「あ、待ってよマリー! もう、それじゃあね? 御勉強を頑張ってねユート君」
駆けて行く二人。
「フレアの喫茶店? 確かに暖簾分けみたいな形でフレアは喫茶店の独立営業をしていたが……」
ディオ・シェンクの一人娘のフレア・シェンク
は父親が【飛翔亭】という酒場を経営しており、ゲーム内では偶にフレアがカウンターに立っている様子が見られる。
この夢世界では【飛翔亭・喫茶シェンク】として居酒屋の【飛翔亭】とは別に経営中らしくて、
美人店長としてフレアの店は中々の繁盛振りをしている様で、大学生で錬金術を専行して学んでいるマルローネの小遣い稼ぎに依頼を出していた。
尚、飛翔亭の依頼は一種の契約制で依頼が欲しければ専属契約をする必要がある。
ユートが夢世界の設定を視てみたら自身も確かに契約していた。
「学校帰りに寄るか」
ユートが【ザールブルグの錬金術士シリーズ】な世界に行った際、フレアの家のシェンク家にて世話になったのもあるけど、某・元槍騎士には悪いが興味をたっぷりと惹いて喰っちゃった。
その後も【リリーのアトリエ】や【エリーのアトリエ】は疎か、【ヴィオラートのアトリエ】や【ユーディーのアトリエ】、【黄昏シリーズ】や【不思議シリーズ】や【アーランドシリーズ】の【閃姫】達は当然として、他の【閃姫】達とまで出逢うのだが……
【アスラクライン】、【AYAKASHI】、【神楽シリーズ】、【リリカルなのは】、【闘神都市】は云うに及ばずだ。
「やほー」
「あむ……か」
長い亜麻色の髪の毛の少女、高校生ではあるが肉体的には幼さが残っている彼女は胸は当然ながら殆んど無い、そんな卯月あむは天才的な子役として芸能活動をしてきたが、基本的に常に演じる事を余儀無くされてきた為にか本当の自分を見て貰いたいという欲求を持っていた。
ユートの傍では飾らない演じない自分で居られるからと、護衛依頼を受けて来た際に懐いてきたのも今はそれこそ懐かしいと云えるだろう。
見た目に幼いあむも年齢がそぐわない訳ではないから、当然ながらユートとは肉体関係を持っているのだけど、あむ本人の希望から彼女が通っていた高校で行われた演劇対決に力を貸して欲しいと頼まれ、それを手伝った事により当時の2ーBの女子の何人かとも仲好くベッドインしていた。
ユートが頼られた理由は演劇対決の理由となった男子――恐らく本来の主人公――が大失敗をして学校を追放され、まとめ役の少女――葵 未来だけではまとめ切れなくなった為。
卯月あむとまとめ役の葵 未来もそうなのだが、咲守素子と鈴原 空と桃井葉子と秋穂もみじという【閃姫】となった娘は、本来の主人公のヒロインであったらしいとはユーキから聞いた。
他にも何人かは【閃姫】になったけど、基本的にはヤっただけで関係が終わっている。
2ーB担任の坂本加奈子まで【閃姫】になったのは吃驚な話だったが、微妙に焦りを感じていた処に流されたとはいえユートと肉体関係を持って、『もうこの人に付いていく』と決意したらしい。
一頻り会話をした後は抑々にして学校が違うのに加え、あむは仕事で学校に行く予定が無いからと別れてしまった。
「あ、父様!」
「クオ……ン?」
長い黒髪に独特な民俗衣装の美しい娘は文字通りにユートの娘、然しながら本来ならば別の男が父親となる筈だった少女――クオン。
「【閃姫】しか居ない筈じゃなかったか?」
この夢世界には基本的に【閃姫】しか居ない、例外的に両親と祖父母は家に居たがそれに関しては夢世界の『幸福な夢』の為には、前々世に於ける両親と祖父母も必要とされたのだろう。
この夢世界はそんな『幸福』に逃げ込み溺れるか否かを問われるのだと考えられる。
ユートは単純にちょっと遊ぼうと思っているに過ぎず、決して溺れたりはしないから問題も無いのだけれど……
この場には居ない優雅は思う。
(あの勇者(笑)君は駄目だろうな)
天之河光輝は恐らく幼馴染みをユートに奪われたりせず、何ならユートの【閃姫】となっているユエ、シア、ティオを解放させた天之河光輝
(ま、抜け出せないならせめてその幸せな夢を視ながら溺死しろや)
助ける気など一切無い優雅であった。
それは兎も角、ユートは近親相姦を推奨している訳ではないからクオンが愛娘とはいえ【閃姫】でもないのに居るのはどうなのか? とか考えていると、クオンは苦笑いをしながらその答えを自らが口にする。
「
「うん?」
【うたわれるもの】自体は識らなかったけど、ハルケギニア時代にユーキから放浪期を越えてから後に教わった。
そしてユートは【うたわれるもの】の世界にも行っており、ヤマユラでハクオロを主とした者達とも出逢っていた。
ヒロイン関連はハクオロと分けた感じとなり、本来のメインヒロインのエルルゥはハクオロへと向かい、アルルゥはハクオロを父と慕うのは変わらなかったけどユートと結ばれている。
肝心なユズハはユートと。
故にユートが関わった【うたわれるもの】では
【偽りの仮面】の時代、クオンはユートの娘として産まれて活動をしていた。
ハクオロも封印こそされていたが原典程では無かったからクオンも普通に会う事が出来た為に、ユートとオボロだけでなくハクオロも『父様』と呼んで慕っていたのだ。
尚、トゥスクル国の初代
目の前のクオンは本来の世界線での彼女らしいけど、見た目には全く違いが判らないくらい同一人物にしか見えなかったと云う。
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本当は夢世界は終わる予定でしたが、時間が厳しかったので切りました。
だから少し短いいのです。
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる