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捕まって虜の身となり、両手首に手錠を掛けられた中村アナザー改め恵里アナザー。
「良い趣味してるよね、君ってさ」
犬が着けている様な首輪に警察官が使うのよりゴツい金属製の手錠、暗器対策にショーツやブラすら脱がさして薄いワイシャツに短いスカートという目の遣り場に困るエロティカルな格好をさせられた恵里アナザーは、ユートに流し目を送りながら嫌味の一つも口にする。
「女の子は小さな暗器くらい胎内に隠せるから、それを警戒するのはおかしくないだろう?」
リクは真っ赤になっていた。
何故なら暗器とやらを実際に隠していないかをユートが恵里アナザーの中を確認し、それを顔を逸らしたものの視てしまったからである。
「ま、処女じゃ流石に暗器は難しいな」
「フン」
容れられない訳でも無いが下手したら破りかねないし、暗殺者じゃあるまいし其処までやろうとは恵里アナザーも考えてはいない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
時間は遡る。
「それじゃ、こっから分かれましょう」
「うむ、妾達は右側を」
「私達、地球組は左側を行くわ」
仮面ライダーリュウガの姿なティオと仮面ライダーサソードの姿な雫、二人がそれぞれリーダーシップを執って敵となる死霊騎士やエヒトの使徒を討つべく分かれて動く。
雫は香織と鈴を伴ってから王都の左側を廻り、
ティオは反対側から右廻りでユエとシアの二人を連れて走っていた。
「さて、人手は幾ら有っても足りぬでな」
左腕に装着されてるブラックドラグバイザーを開くと、ティオは仮面で隠れていて判らないけど不敵な笑顔を浮かべつつVバックルへと装填されたカードデッキから一枚を引く。
《ADVENT!》
引かれたカードは黒い東洋龍に似た姿をしているドラゴン、その名をドラグブラッカーと云って主人公である仮面ライダー龍騎が契約をしている
ドラグレッダーの色違いみたいな存在。
【ADVENT】は召喚カードで、空間を割るかの様にドラグブラッカーが現実空間に顕れた。
「ドラグブラッカーよ、我らが敵の死霊騎士共を疾く滅せよ!」
命令に嘶くとドラグブラッカーはまるで嬉々として死霊騎士に黒い炎を吐き出す。
「ふっふっふ、歩が三つですぅ! 私も暴れちゃいますよ!」
仮面ライダーザビー・マスクドフォームであるシアは、本来のザビーには装着されていない武器――アイゼンⅡを振り回して死霊騎士の一体一体を打ちのめしていた。
仮面ライダーとはいえパワーという意味で云うと物足りないのがカブト系の仮面ライダーだが、装着変身者のシアは魔力を身体能力向上に極振りをしているみたいな状態で、化け物クラスのパワーを手に入れているに等しいのである。
「グラビティショックウェーブ!」
おまけに【勇者王ガオガイガー】が由来であるゴルディオンハンマーの技術が、その世界由来のヒロイン達によって再構築された再製技術を組み込まれており、見た目にはヴォルケンリッターの突撃隊長的な『紅の鉄騎』にして『鉄槌の騎士』ヴィータのグラーフアイゼンながら、その気になれば黄金に輝きを放ちながらゴルディオンハンマーとして使う事すら可能。
デバイス機能で魔力の釘を創り出し、ハンマーヘル&ハンマーヘブンまでも出来てしまう傍ら、光にしてしまう事だって出来る。
『グラビティショックウェーブ』なんていうのはその片鱗でしかなかった。
それ故にかシアはライダーフォームより寧ろ、パワーと防御が高めなマスクドフォームを愛用して使っている。
「数で来ても薙ぎ払うまでですぅ!」
仮面で判らない素顔はドヤっていた。
「……ん、五天龍」
仮面ライダーサガであるユエは一応の中・近接戦闘型武器のジャコーダーを持ってはいるけど、やはりその本領は膨大なる魔力を由来としている魔導士としての力。
雷龍が雷鳴の咆哮を上げる。
蒼龍が爆炎の咆哮を上げる。
嵐龍が暴風の咆哮を上げる。
石龍が土號の咆哮を上げる。
氷龍が氷霧の咆哮を上げる。
五属性の最上級と重力の同時行使複合型魔法、ミレディ・ライセンをして『あの才能がこの時代に居れば』と思わせる才能とセンスで産み出された魔法、それにユートとの【閃姫】契約によって使える様になった恒星が数個分ものエネルギーをMPに変換して無尽蔵に放てた。
しかも恒星とは云っても太陽系の太陽程度では決して無く、それの少なくとも数倍には達するであろうエネルギー量を誇る。
ユートには使えない【閃姫】だけに与えられる契約特典という訳だが、それは正しく魔法を使う者には垂涎ものの力であると云えるだろう。
仮面ライダーサガに遠距離攻撃は余り無いし、ユエは【サガの鎧】に対してユートが与えている『魔力増力』の付与が成されているが故に、魔法攻撃に特化をしていると云っても過言ではない。
更には変身機能を有していない量産型サガークを子機として、小さめ――中級魔法を使って敵を斃すなり牽制をするなり防御するなりしている。
これはマザーサガークからサガーク軍団を発する機能を搭載していた際、この子サガークが魔法を使えたら面白いと気付いたユートが予め付けていた能力だったが、残念ながらユエは先の大迷宮を攻略するまでは扱えなかった。
これはこの世界の技能に由来をしないスキルを取得していなかった為で、然しそれでもレベルが上昇をして能力値も上がっていってスキルの何たるかを理解するに及んだ今は使用が可能だ。
複数同時思考――マルチタスク。
【魔法少女リリカルなのは】に於いては使えて当然、使えなければ幾ら魔力値や
子サガークはある程度であれば自律稼働をするけど、自由自在に動かしたいのならマルチタスクが必要不可欠なスキルだった。
ユートもマルチタスクは使えるのだが、生憎とスキル覧に上がっている訳では無いからかいつものインストールカードで……とはいかなかったし、何よりユエが魔法使いとしての意地から自力での修得を望んでいたから任せてしまう。
取り敢えずユエがマルチタスクを扱えないからといって困る事態は無かったし、魔法の同時使用はマルチタスク無しでも可能だったから。
今のユエは子サガークを子機と見做している『征け、ファンネル!』が可能な状態。
マザーサガークから大量の子サガークを使うだけなら以前からやれたが、今はこうしてきちんと機能を扱える様になって御満悦だった。
「ふむ、順調であるの」
満足そうに頷くティオ、トータス組に死角無しであったと云う。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
雫と香織と鈴も死霊騎士を斃していた。
「やっぱり数が多いわね」
「王都に詰めていた騎士さんの約半数が恵里に殺されたみたいだから」
「エリリン……」
憂う理由は若干異なる様だ。
「とはいっても平行世界の恵里みたいだけれど、この世界線の恵里だって同様だった可能性が〇じゃなかったみたいね」
「うん」
此方側の恵里がハジメの恋人と成っている事を考えると香織は複雑な気分だ。
ユートに触られていない部位や舐められていない部位など最早無いと言っても過言ではないし、性欲が旺盛なユートを口や菊門や子宮にて何度も受け止めた身としては、ハジメを好きなのだとは口に出せないくらいに汚れ果てていた。
勿論、ユートに抱かれるのを今を以て嫌だとか汚ないとか思ってはいない。
寧ろ抱かれるのを心待ちにしている程な為に、自分も変わったんだなと考えていたけどハジメの恋人とか思うと矢張り複雑、怪奇なるは人間の心という事なのかも知れなかった。
カード型の仮面ライダーとしてリューンの力を利用している香織は、右腰のカードホルダーからプライムベスタと呼ばれるラウズカードを抜き取ると、リューンアローに装着されているバックルのスリットへとラウズする。
《TORNADO!》
竜巻が生じて数人の死霊騎士が巻き上げられ、まるでバラバラ死体の体で落ちて来た。
「ヒィッ! カオリンがおっかない!」
「ええ!? 別にバラバラにする気は無かったんだよ? 本当だからね!」
元よりアンデッドという不死の生物を相手にする力、柔い人間の肉体なんてバラバラになってしまうのも無理は無いのだろう。
そういう意味で云えば過剰戦力であるのだが、エヒトの使徒とエンカウントをしたら逆転されてしまうからには仕方がない。
雫達にしてみても流石にユートじゃあるまいし生身で奴らに抗えるとは思わなかった。
だが逆説的に仮面ライダーの力でなら使徒共を叩き伏せる事も可能と考えている。
「はぁぁっ!」
サソードヤイバーと八重樫流のコラボレーションが死霊騎士を屠っていった。
シアとは違い機敏な動きを必須とするからにはライダーフォームで闘う雫。
「ライダースラッシュ!」
《RIDER SLASH!》
「せやぁぁぁぁぁぁっ!」
雫は一回の必殺行動で一気に駆け抜けて数体の死霊騎士を斃すけど、矢張りというか斬れ過ぎてどの死霊騎士も鎧ごと真っ二つに。
《ADVENT!》
鈴の仮面ライダータイガは余り複数向けでは無いけど、単純にデストワイルダーを召喚して手数を増やす事は出来た。
「征って、デストワイルダー!」
咆哮を上げながら白虎を模したミラーモンスターのデストワイルダーが駆ける。
《STRIKE VENT!》
斧の形をしたデストバイザーにカードをベントすると、デストワイルダーの両腕を模した手甲爪たるデストクローが装着された。
ユートが与えたカードデッキと原典のカードデッキでは異なる点が有り、カードは本来だと一枚ずつ――王蛇は契約カードが三枚有ったみたいだけど――なのを全てが三枚と何処ぞのカードゲームみたいな枚数、鏡でも普通に変身は出来るが必須という訳ではないから空中に翳すだけで良いのと、本来なら存在しないカードも封入。
例えばタイガだとシュートベントに意味は無いから入って無いなどは兎も角、スティールベントやコンファインベントなどは入っていた。
因みに本来の仮面ライダータイガのカードは――【STRIKE VENT】【RETURN VENT】【ADVENT】【FREEZE VENT】【FINAL VENT】のみである。
鈴自身は使い熟しているとは云えないからか、余り本編に無いカードは使いたがらないが……
白虎型で初期設定では龍騎のライバル的な感じだった仮面ライダーの相棒だけに力強く、現在の鈴――仮面ライダータイガが装着しているのと同じ形の腕を振り回しては死霊騎士をなます斬りにしては口の中に死肉を入れていた。
「うわ、デストワイルダーが死霊騎士を食べちゃってるんだけど……」
「ミラーモンスターは元から人間を食べるけど、優斗はその設定を入れてないみたいに言ってなかったっけ?」
「確か龍騎系の仮面ライダーはブランクフォームをバリアジャケットや騎士甲冑みたく着込んで、契約したミラーモンスターの力を封入する形にしてあって、モンスターは契約者の魔力を少量だけ食べているみたいな感じだったよね」
正確に云うと騎士甲冑の技術にてエネルギーの固形化で構築されたアンダースーツやアーマー、それにモンスターのエネルギーをプラスする形で性能を大きく向上、武器はストライクベントにより出せる仕組みとなっているし、アドベントによりミラーモンスターを召喚するなど龍騎系仮面ライダーが可能な事は一通りが出来て、ミラーモンスターを養うエネルギーは自身の魔力を少量で済むのも教えた通り。
だけど別に魔物や人間を食わない訳ではなく、止めなければ敵であるなら食うだろう。
事実として恵里は自分を襲おうとした騎士を、契約モンスターであるベノスネーカーに喰わせていたりする。
まぁ、レ○プ魔死すべし慈悲は無い。
「御免なさい」
香織は流石に罪悪感が咎めるのか謝りながらも容赦無くぶっとばす。
リューンアローの威力は凄まじいばかりで敵の死霊騎士は貫通は疎か、当たった箇所が大きな穴となっているくらいだった。
騎士の耐久など一般人が10~20程度だったとして、良くても精々50~70といった処でしかないだろう。
攻撃を受ける事も織り込まねば上げ難い項目であれば仕方がない。
そして仮面ライダータイガは見た目相応に力の値が可成り高く、デストクローを装着した状態であれば人間はまな板の上の鯛でしかないからか、スパスパと切り裂かれてしまっていた。
「うう、ゆう君に精神を強化して貰っていなかったら吐いてたろうな~」
鈴にグロ耐性は余り無いが故に人間の肉体を切り刻む行為に愉快とはいかない。
女の子は毎月毎月で血を見なければならないからか、男より血に強い傾向にあるのかも知れないけど矢張り限度というものがある。
何処の世界に素人で輪切りや微塵切りに成った人間の遺体を視て、とても愉快痛快な気分になれる女の子が居るものか?
まぁ、玄人のレベルで慣れたら問題も無くなるのだろうが……
「使徒……って奴は居ないわね」
「Gみたいにワラワラと出てくるイメージがあっただけに意外だよ」
正確にはハルツィナ樹海のGがエヒトの使徒を模していただけだ。
「デストワイルダーも騎士ばかり斃しているし、若しかしたら居ないのかな?」
「優斗曰く、恵里はエヒトから使徒を借りていたらしいから此方でもそうしそうだけどね」
鈴はある程度の契約による繋がりを持っているデストワイルダーから得た情報を伝えるのだが、恵里アナザーの向こう側でやらかした事を鑑みると同じ事をやりそうだと雫は考えていた。
「リューンやノイントみたいな使徒……か。私達は直接的に闘って無いから判らないけど強いんだよね……やっぱり」
「そうね、香織は実際に力を使っているんだから判るんじゃないの?」
「そうだね」
数値だけを聞かされてもオール12000? それは凄いですね~としか思えないけど、香織は事実としてその力を使っていて身近に感じられるが故に実感をしていた。
「見て、あれ!」
鈴が指差しながら叫んだので雫と香織がそんな指先を辿ると……
「嘘、使徒!?」
「数百は居るよ雫ちゃん!」
夥しいまでの銀が空を覆っていた。
だけど次の瞬間……
『レッキングバースト!』
そんなお腹にまで響く声と共に光波熱線が放たれて使徒を呑み込んだ。
「あれ、ウルトラマン? ザラブ星人が化けてるニセトラマンっぽいけど……」
鈴は赤と銀と僅かな黒に彩られた数十mにも及ぶ巨人を見上げて呟いた。
兎に角、死霊騎士も動かなくなったから巨人が降り立った場所へ向かう三人だったが、空に更なる異変が起きて驚愕に目を見開く事になる。
「きょ、巨大な使徒?」
『ウオオオオオオオオオッ!』
それはリューンやノイントによく似たというかその者な容姿で、サイズだけがウルトラマンとも変わらない巨体と化した使徒。
異変は終わらない。
今度は暗く黒く沈んだ闇の化身が巨大な姿を以て出現したのだ。
「血を思わせる赤い縁取りに闇を思わせる漆黒の肉体、あ、紅の瞳に赤いエナジーコアらしきY字――あれってまさか闇の巨人ダークザギ!?」
それは『来訪者』と呼ばれる異星人の成れの果てが自らの破滅に追い落とした原因、光の巨人たるウルトラマンノアを模したウルティノイドザギと呼称される闇の巨人。
『邪悪なる暗黒破壊神』や『邪悪なる冥王』など二つ名を持つ。
「――ゆ、優斗?」
「ええっ? 雫ちゃん!?」
「シズシズぅ?」
ダークザギを見た雫が呟いた名前に香織と鈴は驚くより他に無い。
『デュアッ!』
光の巨人を思わせる構えを執るダークザギは、空を舞う光を放つ使徒に闘いを挑む。
それを端から視れば神に遣わされた光の使徒へ反逆心を持つ闇の化身が挑む様にも見えており、何も知り得ない民からすれば『光を正義』に捉えて『闇を悪』に見立てるであろう。
嘗て顕れた【根源的破滅天使ゾグ】を正真正銘の天使だと勘違いした様に。
「うわ、荒々しい……」
「まるでケダモノだよ~」
闘いを始めたウルティノイド・ザギらしき闇の巨人は荒々しく、ちょっと視ると男がか弱い女性を性的な乱暴でもしているかの如くで鈴はケダモノと称する程のものである。
『グガァァァァッ!』
『嗚呼ぁぁぁっ!』
ウルティノイド・ザギの闘い、それは余りにも余りで正義にはとても見えなかったという。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ユートは恵里やリクと和気藹々とはいかないだろうが、取り敢えずだけど雰囲気が険悪にはならない程度に話しをしていた。
「つまり、エヒトに渡りを付けたのがニャル子。確かに彼奴ならやりそうだな」
前の世界――原典により近い世界ではノイントが接触してきて向こうから話を持ってきた筈だが、流石にノイントは既に斃されて封印済みだったしエヒトが恵里に目を付ける場面も特に無くては、確かに向こうから接触をしてくる筈もない。
誰かしら渡りを付けなければエヒトの持っている戦力を得られないだろう。
彼奴は云ってみれば『ぬらりひょん』みたいな存在、いつの間にかぬらりくらりと傍に這い寄る光でも無く闇でも無く、だけどそのどちらでもある混沌たる者がナイアルラトホテップだ。
「今は繋がりは?」
「無いに等しい。エーアストと一部隊を借り受けただけだったしね」
エーアスト以外は名前など無いに等しいだけのリューンと変わらぬ存在、名付けられていないのではなく長過ぎて誰も覚えていない――何とそれは当の本人ですらも。
「だとすれば事件そのものは終わりか」
「ボクはどうなるのかな?」
恵里アナザーは隸属の首輪で逆らう事が出来なくなった為、仮令犯されても殺されても文句を言う事すら出来なくされている。
流石にそれは無いかも知れないが投獄の果てに処刑は有り得そうだ。
「心配しなくても隸属の首輪で縛ったからには、僕は君の主として使役する立場だから死なせたり投獄させたりはしないさ」
「光輝君辺りが騒ぎそうだけどね」
「奴もハイリヒ王国で莫迦を仕出かしているし、そこら辺を突つけば黙るしか無くなるだろ」
「何をやらかしたのさ?」
「時間改変に王国の征服」
「ハァ!?」
存外と碌でもない事を仕出かしていて驚愕するしかない恵里アナザー。
「本来なら断罪されるけど、勇者だからといった理由で放免されたんだよ」
「うわぁ……」
勿論、これは教会の横槍である。
勇者が未曾有の事件で捕縛されたとあっては、最前線での士気ががた落ちになるからと尤もらしい事を言っていたけど、要するに教会の延いてはエヒトの権威失墜を恐れての事だ。
ユートとしてはハジメと仲好くなって闇が薄れた恵里を視て安堵していたら、恵里アナザーが現れて闇を齎らしてくれた様なものだからある意味で赦せない、だからこそ隸属の首輪――しかも可愛らしいチョーカー型ではなくまんま犬が着けていそうな首輪その物な代物で縛った。
「死なせたり投獄させたりはしないって、ボクを護ってくれるんだ?」
「天之河への皮肉か? 隸属の首輪を嵌めたからには中村アナザーは僕のモノ、それを害するならそれは僕への宣戦布告に他ならないからね」
「わお、モノ扱いされちゃった♪」
リクとしては思う処が無いでもなかったけど、ユートと恵里アナザーの関係に首を突っ込むなら自分が恵里アナザーを引き取る覚悟が要るのだと理解しており、彼女も別にそれを嫌がっている訳でも無さそうだから沈黙を貫いた。
愛が足りないから哀で補った可愛くて可哀想な少女――中村恵里を称する言葉に足るだろう。
父親の愛を一身に受けて育ちながら母親からの哀に晒され、更には何処ぞから連れて来た母親の愛人による哀で親という意味を見失った。
死にたくなった時に救われて天之河光輝に愛を求めたが、最終的な結果は哀しいまでの哀を以て『うそつき』な光輝君に見切りを付け自爆する。
哀しいまでに愛を求めた少女――中村恵里。
「うん、判ったよ。貴方のモノになるから精々、ボクの事を愛して欲しいね。何番……何百番目かの愛人か愛奴かは知らないけど……さ」
だから唯一の『特別』にも複数から居るであろう『大切』にも成れないと理解をしていた訳で、同時に少なくとも『大事』にはして貰えるのだと女の勘みたいなモノが理解させてくれた。
少し前に自決したとはいえ又候、死にたくなんて無かったから『大事』にしてくれるならユートに愛を囁くのも、何なら股を開くのも苦にはならないであろうと考えているのだ。
元より今回の事件は本当に上手くいかなかったのか、単に天秤が向こうへ僅かに傾いていたからなのかを知りたかっただけであり、『うそつき』な天之河光輝を其処まで本気で欲していた訳では無かったのだから。
「っ? エーアストに関して何か知っている事は無いか?」
「は? 何かと言われても……真の神の使徒だって事くらいだよ。何千年か前に地上で【解放者】ってのと闘ったくらいは言っていたけど」
言われた意味が解らない。
「奴が目覚めた上に巨大化している」
「はい? 目覚めただけなら未だしも巨大化? 本気で意味が解んないよ!?」
だが然し、まるでユートの言葉を工程するかの様に空間に亀裂がピシピシと軽快な音を立てながら入り、パリーンッ! と何処かの研究所を守るバリアみたいに砕け散って巨体なエーアストが姿を顕すのだった。
「フリーザ軍の服とかアーマーじゃあるまいし、何で服や鎧や武器まで巨大化してるんだ?」
「魔力で編んだからでしょ!」
「ああ、騎士甲冑やバリアジャケットみたいな。確かに判で捺したみたいな同一個体だからって、服や鎧や武器まで何百万と用意なんてしていられないからね」
巨大化と共に戦闘力も上がった筈。
サイヤ人くらいの倍率なら一〇倍で大した事も無いが、下手したら百倍とかも有り得そうなのはビリビリと伝わる怒気? からも伝わる。
「ウルトラマンだって巨大な姿を人間サイズにまでダウンサイジングしたら、精々が仮面ライダーくらいの戦闘力になるからな……」
例えばミニ四駆なる玩具が在るが、あれだってフルサイズのレーシングカーとして造ったなら、普通にF1みたいな速度を出せるらしい。
「どうすんのさ?」
喋り方がユーキっぽいのに思わず笑みを浮かべてしまうが、すぐに使徒エーアスト・ジャンボを睨むとエボルトラスターを手にする。
「ノアで一気に極める!」
『待て、ちょっと落ち着け優斗!』
血迷うユートに優雅が声を掛けた。
『忘れたのか? 初めてティガに変身をした時のある意味で悲劇を!』
「そうだね、僕は闇が本領だ!」
ニヤリと口角を吊り上げたユートが天高く掲げるエボルトラスター、それは光では無く闇を放ってユートの姿を包み込んだ。
相手が光を掲げて神を僭称すると云うのなら、此方は闇で光を消し去る冥王と成ろう!
ユートの背後に二枚の光の翼が広がっており、同時に闇化していくユートを呑み込んだ。
本来ならウルトラマンノアになるユート専用の変身シークェンス、ウルトラマンネクサスの新なる姿を顕す為に光鷹翼でネクサスを進化させるというもので、ウルティノイド・ファウストを経てウルティノイド・メフィストへ、そしてその巨体はウルティノイド・ザギに姿を変えて降臨する。
即ち――ダークザギ。
『セヤァァッ!』
唯一、本来のダークザギと異なるのはその背中に存在しない筈の器官なノア――否、
抑々、ダークザギとかウルティノイド・ザギとか呼んではいるが、この個体はウルトラマンノアとして造られた石像が闇化した存在。
そうなると銀色の巨人が闇色の巨人に変化をしただけでしかなく、ダークザギというよりは寧ろダークノアと呼んで差し支えが無い。
実際、本来の【ウルトラマンネクサス】に於いてダークザギとは西条 凪が闇落ちして変身をした姿であり、ラスボスはダークルシフェルであったという裏事情が有るからユートのノアがザギ化したとしても特に問題も無かったりする。
闇に鮮血が滴るかの見た目は闇の巨人と呼ぶに相応しく、リクから視れば父親のウルトラマンべリアルを思い起こさずには居られない姿。
エンペラ星人との闘いが終わり異常なまでに力へと執着、プラズマスパークに手を出そうとして失敗した後にレイブラッドの力を受けて闇化し、幾度もウルトラマンゼロと闘って闘って闘って……その最期には自らの遺伝子を受け継ぐ事になった朝倉 陸――ウルトラマンジードに敗れて消えた。
『デアアアッ!』
『ガァァァッ!?』
鳩尾を殴り付けて浮かせたエーアストを両手を組んで下に打ち据える、まるで小規模ではあるが【ドラゴンボールZ~超武闘伝~】に於ける悟空のメテオスマッシュの如く。
光の天使を襲う闇の暴漢の図はハイリヒ王国の民衆からすれば噴飯物、王都の民は誰しもが悲鳴を上げて絶望の表情を浮かべていた。
ビリィッ! 魔力で編まれた服は防具にしても丈夫で上等な防御を誇るも、ウルトラマンの力を以てすれば破るなど容易く行える。
割と御立派な乳房が露わとなったが羞恥心など無いエーアストは闘い続けた。
ダークザギの闘い方はまるで野獣、餓えた獣が獲物を捕食しようとする前に弄ぶかの如く。
ビリビリィィィッ!
今度はスカートが破り取られた。
「何て情操教育に悪い闘い方を……」
真っ赤になりながらリクが呟く。
こうなるとペガに危険が及ばぬ様に影の奥深くに隠れさせたのはファインプレイか?
「って、パンツ穿いてない!?」
白い装束に銀色の鎧兜姿なエーアストだけど、ヘソ出しルックでミニスカなワルキューレっぽい格好、然してミニスカの下は穿いてなかったとか何というエロティカル!
よく視れば服も胸元で留めてこそいるがブラをしているとは思えないし、首回りと胸元に申し訳程度にアーマーが着けられていて、肩から二の腕は素肌を晒して肘から腕に掛けてアームを装着、腰から股や太股にはアーマーなどは無くて両腰にウェストアーマーが装着され、レッグアーマーがブーツの様に装着されている状態。
「い、否……きっとユートがミニスカートと一緒にパンツも剥ぎ取ったに違いない!」
言い訳をしているがエーアストの股座をガン見してしまった為、初心な反応をしつつ下半身のJr.に血流が集まるのを感じていた。
因みにユートも別段、エロティカルに走ろうとは考えていなかったからいい加減で斃さないと、本当に素っ裸に剥いてしまいそうだから取り敢えず一兆度の暗黒炎を纏う拳――ザギ・インフェルノを腹パンで打ち込み、成層圏にまでぶっ飛ばしてやって更にはスペシウム光線とは真逆の構えを執ると赤黒い光波熱線を放つ。
『ライトニング・ザギ!』
放たれた光波熱線が真っ直ぐにエーアストへと向かうが、流石に喰らう気にはなれないのか翼をはためかせ『分解』の固有魔法を漬かって相殺をしようと企む。
だが、巨大化で威力など上がっていたにも拘わらずウルトラマンノアVSダークザギによるぶつかり合い――ライトニング・ノアVSライトニング・ザギの時間にも及ばない一瞬の抵抗。
『嗚呼ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああっっ!?』
殺しては勿体無いので爆発四散してしまわない程度に抑えてはあるが、だからといって意識を保てる筈も無くてエーアスト気絶して墜ちた。
「汝を封印する!」
ユート――ウルトラマンザギはコモンブランクのラウズカードを投げ付けてエーアストを封印。
カードにエーアストが吸い込まれるとザギの手の内へと戻り、それをキャッチしてウルトラアイで強化された視力にて視るとスートは○の中に+が描かれた様な模様――ワイルドマークにカテゴリーがQとされていて【ABSORB】の効果。
剣系の仮面ライダーが中間フォームや最終フォームに強化する為のカードの一枚、【アブゾーブ・エーアスト】となってしまうのであった。
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作中、エーアストが穿いてない扱いをされますが原作ではきっと穿いています。
カラーのノイントを視ると限り無く穿いてない感じがしますが……
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
-
ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
-
取って付けた適当なヒロインと結ばれる
-
性犯罪者となる