ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 戦争? とは何だったのか?





第91話:ありふれた戦後処理

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 戦争という名の蹂躙が終わりを告げる。

 

 その最後の一撃を決めたのは矢張りユートで、仮面ライダーゼロツーの必殺技を騎士団長であるクゼリー・レイルにぶつけて斃したのだ。

 

 蹴りに吹き飛ばされたクゼリーはいっそ哀れですらあるであろう。

 

 騎士団長を囚われた王国騎士達、そして参戦をしていた神殿騎士達は割と早々に逃げていた。

 

 ミレディ・ライセンが曰く……

 

『ミレディちゃんが現役の頃の聖光教会はもっと精強だったんだけどな~』

 

 それこそ神代魔法の使い手とガチれるくらい、抑々にして亜人族も当時は獣人族と呼ばれ力強い存在だった筈が、そんな事は無かったと謂わんばかりに弱体化が著しい。

 

 そしてクゼリー・レイル騎士団長は下手をしたら『くっころ』な状態で、リリィがユートと睦み合っているのを見せ付けられていた。

 

 素っ裸で大の字の磔状態だから胸も大事な部位も丸見え、せめてもの救い? は大事な部位には陰毛が多少ながら生えているくらいか。

 

 とはいえ、恥ずかしい液体がじんわりと溢れて太股を伝い床にポタポタと零していて顔が紅い――のは主たる王族のリリィがユートに対する御奉仕に余念が無いのが原因だろう。

 

 存外とむっつりなのか、リリィの御奉仕を視ては顔を紅く染めながらも目を逸らさない。

 

 結果、ユートの槍がリリィの鞘に納まるのも確り視てしまったクゼリーは息も荒く『姫様、スゴい……あんな……嘘……』と呟いていた。

 

 クゼリーは恐らく未経験なのだろう、寧ろ男のモノも視た事が無いからユートのJr.を視て驚愕したのだ。

 

 強壮たる【C】の神氣で呪われたユートのJr.の長さ太さ硬さに。

 

 そういう意味では一周りは歳が違うリリィに遅れを取ったとも云える。

 

 長めの金髪は真ん中よりやや左側で分けて真っ直ぐに降ろしており、怜悧な目元とキリッと引き締められた眉と確かな美女なクゼリー・レイル、敵としてユートに相対したからこんな扱いを受けているが、本来の世界線ではリリィの近衛騎士隊長の筈だったのがどうしてこうなった?

 

 二七歳にして未だに処女である。

 

 近衛騎士隊長という地位に在るからには簡単に男を作れる環境には無く、幼い頃や駆け出しだった頃は修業修業の毎日であったろう。

 

 それでも彼氏持ちは勿論、婚姻して寿引退した女性騎士だっているけどクゼリーはそんな暇が有るなら修業に当てた。

 

 故にリリィの近衛騎士隊長や現王国騎士団長を務められるだけの腕前なのだ。

 

 だからこそユートは侮らず舐めプもしないで、クゼリー・レイル騎士団長に対しては本気を以て仮面ライダーゼロツーの力を使って斃した。

 

 ユートは天之河光輝みたいなタイプには辛辣に塩対応をするが、メルドやクゼリーみたいなタイプにはそれ相応の配慮くらいはする。

 

 まぁ、戦争をして勝てばこうして捕虜にして辱しめるのはいつも通りだが……

 

 抑々にしてユートはエロゲ的な陵辱とか強姦に苦手意識を持っているが、敵対者に対しては逆に嗜虐的な意識で寧ろ陵辱をしている。

 

 古代ベルカ時代の戦争の最中も女性の兵士とか騎士や魔導師は可成りの数が居たものだったが、敵対した国の女騎士や女魔導師などぶっとばしたら戦利品扱いで御持ち帰りをしていた。

 

 但し、闘わない……闘えない民からの略奪などは厳に戒めており、自軍の者がやった場合は死を以て償わせているくらいだ。

 

 勿論、自軍の者が敵女性騎士や女性魔導師などを略取した場合は好きにヤらせる。

 

 リリカルな世界なだけに闘う女性は多いからか割と好き勝手が出来るそちらを狙う訳だったし、当時のアシュリアーナ真皇国軍は民からの略奪は一切しないで、敵をぶっ倒してから捕虜にしてしまい好きにヤっていた。

 

 モラルが低い? これは必要悪だ。

 

 だいたいにして敵に情けを掛ける理由も無く、最終的には殺すか犯すかの違いでしかない。

 

「御早う御座います、ユート」

 

「お、御早う……」

 

 亜麻色の髪の毛の美少女と黒髪の美少女が扉を開けて入って来た。

 

「あらあら、御愉しみの最中でしたか」

 

「……」

 

 リルベルト・ル・ビジュー・アシュリアーナとラルジェント・ル・ビジュー・アシュリアーナ、アシュリアーナ真皇国の第一皇妃とその双子の姉に当たる皇族である。

 

 性格はリルベルトの場合だと前世とそれ程には変わらないが、どうにもラルジェントは内向的な性格になってしまったらしい。

 

 仕方がない、リルベルトはユートとの契約から生まれて僅か数年で記憶を取り戻したのに対し、ラルジェントは一二年の歳月を経てしまったから記憶を持たない頃の人格が固定されていた。

 

 既に六百年を越えて生きるが、今も未通の身で妹の政務を手伝っているのが現状だ。

 

 何となれば寧ろ妹と義弟の性の交流に交じり、二人を気持ち良くしてもくれているけど何故だか不意に、こういう場面を視れば真っ赤になってしまうラルジェント。

 

 性には関心を持っていてユートとリルベルトの情事を手伝って、すぐには手も洗わず寝室で自慰に耽るのが楽しみの一つであり、二百年くらいはリルベルトのイク顔を思い出してヤっていたりするのだが、この四百年はリルベルトの立場に自分を置き換えてヤっている辺りユートに好意は懐いているらしい。

 

 とはいえ、ラルジェントの恋愛遍歴は実は無いに等しいからどうすれば良いのかいまいち判らないのである。

 

 実際に前世のラルジェントはリルベルトの前の聖王女、恋愛なんて出来る立場には普通に無かったのに加えて何と無く御気に入りは居たのだが、それはリルベルトの息子――つまりは甥だったからどうにもならない上に、割とすぐ十一使徒の一人エリアード・ジーンに囚われてリルベルトの息子も普通に大切な女と結婚してしまった。

 

 甥に助けられはしたけど命は喪ってしまって、ユートとの契約をしない侭に『紅の王』の呪いに括られていた関係から、リルベルトとユートによる契約に引っ張られて古代ベルカのとある王国の小さな公国に双子の姉妹として転生を果たした。

 

 一二歳まで本当に小さな少女の人格の侭。

 

「で、冒頭の科白からして交ざりに来たって訳じゃ無さそうだか?」

 

「ええ、これからのトータスでの計画の変更は有りませんね? という確認ですよ」

 

「無いな。取り敢えずリルとラルはこの大陸の隣――気候から南を攻めてみるか? その辺りからを調査してみてイケるなら入植させてくれ」

 

「判りました。それから例のアレも準備を進めれば良いですね?」

 

「ああ、頼む。ラルも頼んだ」

 

「ええ、勿論」

 

 リリィもクゼリーも何事か解らない会話が続いていて首を傾げていた。

 

「あの、ユートさん」

 

「どうした?」

 

「あの方はリルベルト真皇妃殿下ですよね?」

 

「そうだよ」

 

 ユートが目で促す。

 

「これは申し遅れましたわ、ハイリヒ王国の第一王女様ですね。私はアシュリアーナ真皇国の第一皇妃リルベルト・ル・ビジュー・アシュリアーナと申します」

 

「アシュリアーナ真皇国の宰相ラルジェント・ル・ビジュー・アシュリアーナですわ」

 

 流石は前世も今生も王族だった事もあり見事な礼を以て挨拶をした。

 

「あ、ハイリヒ王国の第一王女リリアーナ・S・B・ハイリヒですわ。此方で繋がれているのが、私の元近衛騎士にして現王国騎士団長たるクゼリー・レイル。私共々、恥ずかしい格好を晒しておりますがユートさんの所為ですから」

 

「それは解っています。私も一六歳の時分に戴かれましたもの」

 

 出逢いにして再会は一二歳の時、それから数えて四年後にリルベルトはユートに喰われた。

 

 勿論、同意の上である。

 

「それで、確認は済んだけど交ざるか?」

 

「これから動きたいのでまたの機会に」

 

 リルベルトはニコリと断った。

 

「ラルは?」

 

「処女の私が交ざる訳もありません」

 

「そりゃ、そうだね」

 

 ラルジェントの場合はリルベルトの契約に牽かれて不老長寿と化しただけ、せめて後四年くらい歳月を重ねたらその気にもなれたかも知れない、だけど一二歳まで普通に暮らして四年では矢張り足りなかったのだ。

 

 日本で成人年齢である二〇歳まで精神が育てば良かったが、不老化により精神の成熟前に成長が止まってしまったのである。

 

 結果、六百年間を一六歳の精神の侭に生きたから未だにユートに抱かれていない。

 

 それでも生きているからにはゆっくりと成熟に向かってはいるし、ラルジェントも覚悟を完了はしていない訳では無かった。

 

 とはいえ、前世に於ける甥との逢瀬を考えると中々に上手くはいかないもので……

 

 何しろラルジェントを誘った男が彼女の生きた年数から初めてだったらしいし、二千年の歳月を少なくとも在り続けた結果としたら確かにちょっとアレかも知れない。

 

 リルベルトとラルジェントが部屋を辞した後、リリィにクゼリーを嬲らせ、焦らしに焦らしてから自ら『欲しい』と言わせ『戴きます』をした。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 クゼリーが堕ちたから次はルルアリア・S・B・ハイリヒ元王妃。

 

 単純に次代が王位に就いたなら身分は王族として遇されるが、彼女の場合はエリヒドの崩御だけでなく戦争時にリリィの投降により王太子と云えるランデルが担ぎ上げられ、戦争に敗北をした為にランデルも王子では無くなっているから彼女も太后の座には居られなくなった。

 

「ルルアリア、貴女には選べる道が二つあるな。一つは元王妃として潔く敗戦国の王族らしく火炙りになる事。斬首でも構わないがね」

 

「随分と残酷ですのね」

 

「普通だろ」

 

「娘の恋人なのでしょう? まさかバイアス殿との婚約を反故にするなんて思いもしませんでしたけど……」

 

「それが?」

 

「恋人の母親をそんな死刑に処するなんて……とは考えませんの?」

 

「僕は身内には甘いくらいに優しく接するけど、他人で敵対者には辛口が当たり前でね」

 

「……それでこうして私を椅子に座らせ後ろ手から拘束しているのですか」

 

 序でに足首は椅子の前肢に括っていた。

 

「でもまさか、火炙りと斬首を選べだなんて何と残酷な二択なのですか?」

 

「どんな二択だよ! 火炙りか斬首となり王族の最後の務めを果たすか、若しくはって二択だ」

 

「む、それで? もう一つは生き残れる選択という事ですか?」

 

「恥辱に耐えれば……ね」

 

「恥辱……」

 

 ルルアリアがナニを想像したのか丸判りな感じに頬を朱に染める。

 

 三三歳――数えで三四歳とはいえまだ若いと云えるからには性的に枯れてないし、最低でも一一年前には今は亡きエリヒド王とヤっているのだ。

 

 その根拠はランデルの一〇歳という今の年齢であり、仕込みから出産まで基本が十月十日と考えれば解り易い筈である。

 

 勿論、エリヒド王は珍しく側室を持たない王であるから性欲はルルアリアが解消するしかない、少なくとも三十路に入るまではエリヒド王本人の元気からヤっていたのではなかろうか?

 

 実際には判らないが、だからといってルルアリアに訊くのはセクハラっぽいからちょっとアレだしな……とか考えたが、今からセクハラをガッツリとヤる気満々なのに阿保かと自嘲をする。

 

 要するに聞きたくないだけだ。

 

 これから自分のモノにしようとしている女の、他の男との閨での睦み愛ってやつを。

 

(クックッ、度し難いな)

 

 【閃姫】達に対する独占欲は自覚もしてたが、まさか未だに自分のモノですらない女にまで懐くとは、正しく度し難いと自分自身を嘲る様に嗤ってしまうユート。

 

(まぁ、ルルアリアはリリィの母親だけあってか顔立ちは瓜二つとまではいかなくても似てるし、リリィが大人に成熟したらこうなるって見本みたいなもんだからな。リリィと同じ感覚に引っ張られたってのも在るんだろうけど……)

 

 ルルアリアは年齢的に女盛りで顔立ちも美しく何より、母親だからこそリリィと似ているのだからユートとしても未亡人となった今なら欲するだけの欲を懐きもする。

 

 地球には母娘丼などという爛れた言葉もエロ的な意味で存在するのだし。

 

「何と無くは理解しました。私はエリヒドに操を立てたいのですが……」

 

「死ねば転生するまでは立てられるぞ? どうせ転生したら普通は記憶を喪うから前世を覚えてなんていないだろうしな」

 

「死にたくはないですね。ランデルやリリアーナの成長も見たいですから……って、そういえば! ランデルはどうなるのですか?」

 

 リリィは早期に降伏した上にユートの女的扱いだから心配は要らないが、今回の戦争で祭り上げられていたランデルはどうなるのか?

 

「勿論、斬首」

 

「嗚呼!」

 

 気絶したくなるくらい衝撃を受けた。

 

「と言いたいが、リリィから頼み込まれたから命だけは助けてやらないでもない」

 

「……と、言いますと?」

 

「具体的にはランデルのポークビッツをちょん切って生涯を小さな邸に幽閉される」

 

「っ!?」

 

「序でにこの短剣で刺す」

 

 ユートが取り出した短剣に吃驚しながら……

 

「死んじゃいます!」

 

 猛抗議をしてきた。

 

「これは不能の短剣。刺しても痛くも痒くも無いけど遺伝子が死ぬ。早い話がちょん切ってしまわなくても二度と勃ち上がらなくなるし、赤ちゃんの素――エリヒドがルルアリアの胎内に出していた白い粘液とそれに含まれるモノが生成されなくなるから、刺されたら二度と子供を作れなくなってしまう素晴らしい短剣だ」

 

 射精をしても出るモノが出なくなる悪魔の如く魔導具、それでも快感を感じなくなる訳ではないからちょん切ってしまうのである。

 

 尚、遺伝子的に死ぬから複製品も造れない。

 

 子作りは疎か二度と性的快楽を与えない上での幽閉監禁、事務的に朝餉を喰らいトイレを済ましてボーッとしているだけの生活から夕餉を喰らい風呂を済ませて寝るだけの人生。

 

 愉しみも無く生きているだけの暮らしを百年近くやる羽目になったランデル、自害も呪によって阻害されるし自我崩壊も赦されない。

 

 命を奪わずとも遺伝子を駆逐する手法ではあるのだが……

 

「仮にランデルの子が成されずとも貴方がリリィを……となれば同じでは?」

 

「僕の子供は非常にデキ難い。リリィとの回数的に先ず孕まないだろうね。仮令、孕んだとしてもその子がハイリヒの王位を継ぐ事は無いしな」

 

「……そうですか。ではハイリヒ王国は誰が継ぐのですか? まさか無くす訳ではありませんよね」

 

「アインハルト・ストラトス」

 

「アインハルト・ストラトス?」

 

「嘗て、古代ベルカの時代に僕が闘ったシュトゥラの覇王――クラウス・G・S・イングヴァルトの子孫で、ハイディ・アインハルト()ストラトス()・イングヴァルトという少女に任せる」

 

 今更、アインハルトに覇王国の復興なんて夢は持っていないだろうけど、最近の彼女は色々と煮詰まっている感じがしているから試しに国を動かす立場になって貰うのもアリかと考えていた為、ハイリヒ王国の事はその試金石に丁度良かった。

 

 一応、覇王の子孫として恥ずかしく無い程度に帝王学を学ばせてはいたし、格闘仲間達を宰相や騎士として就かせればある程度は国を動かせるとは思うのもあり、ユートとしてはアインハルトにこの事を打診してみる心算である。

 

 とはいえ、まだ一七歳の身だからラルジェントを仮の宰相として就ける必要があるだろう。

 

 真皇国に宰相は他にも居るし、ラルジェントが育ててきた連中だから国の舵取りに問題も無い。

 

 それに軍事関係にヴィヴィオ……というよりは、その中に在る複製元であるオリヴィエ・ゼーゲブレヒトを就ける。

 

 原典とは違って【まつろわぬ神】として降臨をしたオリヴィエは、嘗てまだ幼いアインハルトが【まつろわぬクラウス】に憑かれた様に憑依し、ユートに敗れた後もヴィヴィオの中に残ってしまって緒方優雅みたいな感覚で出てこれた。

 

 皮肉にも双子座の星聖衣に相応しい二重人格に成ってしまったのだ。

 

 原典――【魔法少女リリカルなのはVivid】を識るなら判るだろうが、オリヴィエはシュトゥラで軍事関係の職に就いていたから問題無く動ける。

 

 因みにヴィヴィオには何とゲーマドライバーと主人公の宝生永夢が使う【マイティアクションX】のガシャットと【マイティブラザーズXX】のガシャットを与えていた。

 

 理由は中のオリヴィエにあり、ゲーマドライバーを使って【マイティブラザーズXX】ガシャットで仮面ライダーエグゼイド・マイティブラザーズXXに変身をしたら、オリヴィエがもう一人の自分として出てこれるからである。

 

 ユートはネオディケイドライバーでディケイドに変身すれば、普通に仮面ライダーエグゼイドに成れるから此方をヴィヴィオに譲った形だった。

 

 まぁ、ディケイドエグゼイドだけど。

 

「少女……ですか?」

 

「一七歳のな」

 

「国を動かすには足りないと思いますが」

 

「別に失敗しても構わん。経験を積ませて復興したシュトゥラ覇王領国の覇王に成るも良しだし、この侭で格闘技のプロに成るも良しだからね」

 

 単純に将来の道を増やす為の経験値稼ぎの為、ハイリヒ王国をテストケースにするだけ。

 

「あの、それで失敗をされるのは元王妃としては嬉しく無いんですけど……」

 

「どうせ亡びる筈だった国が生き延びるんだから喜べば?」

 

「失敗したら亡びます!」

 

「ラルジェント……六百年を宰相として生きてきた者を付けるから大丈夫だろ」

 

「ろく!?」

 

 軍事も政治・経済も充分なフォローをするから今は素人のアインハルトも、経験値を積んでいっていずれは舵取りを自ら行える筈だ。

 

「国に関しては解りました。では私のもう一つの恥辱に耐える処遇とは?」

 

「理解してるだろうに。新たなる権力者の情婦、性奴隷とか肉奴隷とも呼ばれるな」

 

「矢張りですか……」

 

 解ってはいても口に出すのと出さないのとでは随分と違うもの。

 

「通常は萌衣奴と呼ばれる性行為をする為に仕えるメイドにするんだが、元王妃様がメイドの真似事なんて出来ないだろうからな。性奴隷と呼ぶしか無いんだよね」

 

「メイド?」

 

「萌えると言っても判らんか。兎に角、男の目を愉しませる衣に身を包む奴隷だな」

 

 だから萌衣奴(メイド)

 

「ルルアリアの場合は本当に何も出来ないから、やれるのは精々が綺麗な衣服を身に纏って閨での行為に耽るくらいだろう」

 

「そ、それは……」

 

 ルルアリアは王妃であって政治家でも軍人でもないし、政治や経済を回したり軍務に就いたりなど一切が出来ず、王族ならば他の王家との折衝など出来そうな仕事も有ったのだろうけど今はもうそんな王族ですらない。

 

 それにルルアリア・S・B・ハイリヒとして、王妃の立場で行っていた事は優雅に御茶を飲んで御菓子を摘まむ、王候貴族子女としては極当たり前にしていた事をしていたに過ぎない。

 

 抑々にして、国王の妻たる王妃の一番の仕事は約一〇年前には完全に果たしている。

 

 即ち後継ぎを産むという仕事を……だ。

 

 一四年前はリリィが女の子だったから最悪では無かっただけで、完全に果たしたとは云い難かったかも知れないけど一〇年前にランデルを産んだ時点で仕事は完了である。

 

 それも全てが無駄に終わったが……

 

 なのでルルアリアに出来る事は結局、ベッドの上にてユートの前でスカートをたくし上げて股を開く事くらいしか無かった。

 

 子を成すでもなく只菅(ひたすら)にユートの性欲を受け止めるだけの捌け口として。

 

 役割も無いそれは惨めな生。

 

 死ぬよりマシでしかないと割り切らなければ、ルルアリアはいずれ壊れてしまうであろう。

 

 ユートに戦争をする切っ掛けを作った国となれば仕方がないのかも知れない、せめて恵里"の処遇に不満を言わなければ或いはこうはならなかったのだろうが。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ユートは取り敢えずルルアリアに関しての話を終わらせ、今度はリリィを連れて行って母娘丼でも喰わせて貰おうと愉しみにしておく。

 

 今はまだヤっていない。

 

「アインハルト」

 

「兄様!」

 

 アインハルトはこの世界の地球に居てユートの仕事を引き継ぎ、暗殺家業みたいな事――殺してはいないけど――をヴィヴィオやほむらと行っていたのだが、戦争をするべくユートが動いたから一緒にやって来た。

 

 勿論、美晴の所には代わりが入っている。

 

「あの、何でしょうか?」

 

「ちょっと国を動かしてみないか?」

 

「………………は?」

 

 余りにも行き成り過ぎてかアインハルトは呆けてしまう。

 

「ハイリヒ王国はリリィ――リリアーナ王女が退いたし、ランデル元王子やルルアリア元王妃に国政を動かす資格が無い。つまり無政府状態になっているから誰かしらハイリヒ王国を動かさないといけないんだが、それをやってみないかと訊いているんだよ」

 

「わ、私が!?」

 

「そうだ、アインハルトが……だ」

 

「な、何故ですか!?」

 

「特に大した理由は無いが……感傷みたいなもんだと思ってくれ」

 

「か、感傷……ですか……」

 

「クラウスの国でオリヴィエが居て僕らが居て、リッドが居てクロが居る……そんな光景は最早見られないけど、だけどそれに近いものであるならば見られる……だろ?」

 

「私の国でヴィヴィオさんが居て兄様やほむらさんやシュテルさんが居て、ジークさんが居てクロが居る……ですか」

 

「どうだ?」

 

「兄様はそうした方が嬉しいですか?」

 

「どちらかと言えばね。でもやるやらないに関して強制はしないから好きに選ぶと良い」

 

「若しも私が断った場合はいったいどなたに頼むのでしょう?」

 

「その場合は暫くラルに丸投げをするか、或いは紫天ファミリーに頼むさ」

 

「ラルジェントさんに……」

 

 少し嫉妬がある。

 

 当時の覇王のクラウスは男性だったから気にはしなかったが、今のクラウスの記憶を受け継いでいたアインハルトは女の子。

 

 ユートが拓いたアシュリアーナ真皇国の宰相として辣腕を揮い、第一真皇妃リルベルトの補佐をしてユートは助けてきた実質的な第四真皇妃。

 

 勿論、本当に真皇妃だった訳ではないのだから閨に呼ばれたりはしていない。

 

 それに興味が無い訳でもなかった。

 

 シュトゥラ覇王国はとっくに亡びてしまって、ベルカの関係では最後の【ゆりかごの聖王】を讃えて【聖王女】オリヴィエ・ゼーゲブレヒトを謂わば御神体とした聖王教会が発足した程度。

 

 聖王連合国が復興した訳でもない。

 

「今のアインハルトは出逢って間もない頃とか、君がやんちゃしていた一二歳の頃から随分と成長をした。一二歳の頃にリーチを伸ばす武装形態を執っていたけど今はその時の姿と被るな。立派にレディーとして育った訳だし覇王クラウスではない覇王アインハルトを見てみたい」

 

「う……」

 

 確かにやんちゃをしていた頃から使っていた、武装形態という大人モードはイメージ的にだいたい今くらいの姿であり最早、武装形態はバリアジャケットというか騎士甲冑の装着という意味しか持たない。

 

 それに身体が大人モードと同じになったからには黄金星聖衣も纏うのに支障は無くなっており、ユートの趣味とも云える仮面ライダーに変身する事にも慣れつつある。

 

 仮面ライダーファイズやカイザやデルタという古代ベルカ時代の騎士達、記憶に在ったアレにもアインハルトは少し憧憬を持っていた。

 

 そういう意味ではユートとヴィヴィオが扱った仮面ライダーエグゼイド・ダブルアクションゲーマー、これはこの二人やユーキみたいなタイプの人間でないと使い熟せないと聞く。

 

 ユートには優雅が、ユーキにはジョゼットが、そしてヴィヴィオにはオリヴィエという二つ以上の人格を持つが故に、マイティブラザーズXXガシャットを扱えるのだから。

 

 殊更に仮面ライダーエグゼイド・ダブルアクションゲーマーに成りたい訳では無かったのだが、自分の中にクラウスが残っていれば使えたのだろうか? と考えてしまう。

 

「あの、御願いを聞いて貰えるなら……頑張ってみようかと思います!」

 

「御願い?」

 

 いつもは白い肌なアインハルトの頬が真っ赤になっていた。

 

「私、一七歳です」

 

「そうだな」

 

「兄様が言った様に武装形態で使っていた姿に成りました」

 

「そうだな」

 

「……そろそろ兄様にお似合いな背丈です」

 

「そういう話か」

 

 益々以て紅くなってしまうアインハルトだが、ヴィヴィオはプクッと膨れっ面。

 

「アインハルトさん、抜け駆けです!」

 

「御免なさい、ヴィヴィオさん。でも兄様は私にクラウスの影を視ているからはっきり言わないとなあなあにされそうでしたから」

 

「それは……私もですね。ユート兄ちゃんは私の中のオリヴィエに遠慮がちですから」

 

「序でに言うとジークさんもですね。当代のエレミアだったヴィルフリッドとユートさんの子孫、しかも【閃姫】なのですから当然ながら彼女も今の時代に生きていますしね」

 

 アインハルトもまさかクラウスの時代に於ける『黒のエレミア』、ヴィルフリッド・エレミアと直に会う日が来るとは思わなかった。

 

「やれやれだ、他の連中もそうだったけど本当に君らは出逢いが無いんだよな」

 

 【特別】な関係に成れるだけの印象の強い出逢いが特に無く、寧ろそんな出逢いはユートが唯一みたいな感じだから困ったもの。

 

 それは【無印】の頃から共に居た高町なのは、フェイト・テスタロッサ、八神はやて、アリサ・バニングス、月村すずかといった面々も同じ。

 

(【魔法少女リリカルなのは】に於けるヒロインの男との出逢い確率を舐めてたな。ユーノでさえヒロインを誰一人として堕とせなかった……って、本来の道筋でも友達レベルでしかなかったか)

 

 エイミィ・リミエッタと結婚をしたクロノを除けば、ユーノ・スクライアが同年代で唯一の男だった事を鑑みれば普通はなのはとそうなっていてもおかしくないが、何を血迷ったかユーノは遺跡発掘や無限書庫の司書長に邁進をしていた上に、なのははヴィヴィオの義母となってフェイトとのハウスシェアで同居――最早、同棲というか何と云うか……ヴィヴィオという娘にママ力の高いなのはと単身赴任をするフェイトの図である。

 

 完全に家族となっていた。

 

(実は描写されなかっただけで、溜まった性欲とかなのはとフェイトがベッドの上で普通にレズって解消してたりしてな?)

 

 凄く有り得そうな話に頭を抱える。

 

「あの、兄様?」

 

「判った、約束もあるから受け容れよう」

 

「ほ、本当に!?」

 

「嘘を言ってどうなるよ」

 

 アインハルトとはクラウスを挟んでの縁が確かにあったし、その縁がそれだけ絆として育まれたのならば是非も有るまい。

 

「あ、それはズルいですよ! ユート兄ちゃん、私は? ヴィヴィオも成りたいです!」

 

「好きにしろ」

 

 【リリカルなのは】で出逢った娘が全員、そうなる訳では無いけれど矢張り確率が高過ぎた。

 

「そういえば、コンボイに二千人くらい連れて来ましたが兄様の指示なんですよね?」

 

「ああ、間違いない」

 

「そんなにハイリヒ王国で使うのですか? 割合はファーマーが数百人は居ましたけど」

 

「ハイリヒ王国には作農師の天職持ちが居るし、必要とはされないだろうさ」

 

「では?」

 

「二千人はリルベルトを筆頭にした開拓団だよ。この大陸の南に在る大陸を開拓して領国を興す為の足掛かりにする」

 

「……それは侵略では?」

 

「大丈夫。この大陸以外に知的生命体は居ない」

 

「なっ!?」

 

 ユートはアインハルトとヴィヴィオに自分の考えを伝える。

 

「どういう事ですか?」

 

「この大陸の端の端、其処には既に滅びたとされる種族が少数ながら暮らしている。エヒトルジュエが彼らを見逃したというより寧ろ見付けられないのでは? と考えている」

 

「その根拠は?」

 

「ユエが居るだろ?」

 

「ダークキバの方ですよね」

 

「彼女はエヒトルジュエの依代――天職が神子なんだが、三百年間を封印されていたユエが見付けられていない。奴は神域で大陸を俯瞰しているみたいだが、どうやら死角も可成り在るみたいだよ。恐らく奴の眼はこの大陸の外にまでは及ばない」

 

「確かに言われてみればそう感じますが」

 

 ティオの一族である竜人族は五百年前に襲撃を受けて、両親も殺害された上に遺体を磔られ晒されたのだと云う。

 

 それ以来、クラルス主体のティオの一族の者は大陸の端に居を移したのだとか。

 

 その後は捨て置かれた感じだが、エヒトルジュエの眼が届かなかったのでは? と考えたのは、ユエの天職の在り方から何故か封印された彼女に手出ししていない事にある。

 

 手出ししていないのではなく見付けられなかったのが正しいと感じたのは、オルクス大迷宮にて見付けた()()()()()()()からだった。

 

 本来の手順を無視して開けたら見付けた訳で、明らかにユエ由来のアイテムだからいずれは話さなければなるまい。

 

 そのアイテムの情報から割り出したのだ。

 

「幾つか前に滞在した世界のとある頭のイカれた科学者が言っていた……らしい」

 

 ユートは右腕を天に掲げて人差し指を伸ばした形で呟く……それは『お婆ちゃんが言っていた』みたいな体で。

 

「有史以来、数多の英雄が人類支配を成し得なかったのは人の数がその手に余るからだ! だったら支配可能なまでに減らせば良い……と」

 

「減らせば良いって……」

 

「エヒトルジュエは正しくそれをしたのだろう、他の大陸の人間を攫って変成魔法により種族そのものを変質させた。勿論だが失敗して死なせた者も数多く居たんだろうがね。何万年も前だったから人類の人数自体もそう多くなかった筈だろう、だからこの大陸に一極集中させられた」

 

「それがこの大陸だったのは?」

 

「女神ウーア・アルト」

 

「女神ウーア・アルト?」

 

「彼女との決戦の地が大樹ウーア・アルトの在る恐らく中央大陸なんだろうが、験担ぎに近いのかも知れないな……この地を支配領域にしたんだ」

 

 他の大陸に支配の眼を伸ばせないならばっさりと切り捨てる、仮に生き残りの人間が居たにしても村を作る事が出来る程では無くて絶滅したのではないだろうか?

 

 何しろ数万年間、他の大陸から誰かしらが来た様な話がこの大陸には無かった。

 

 地球の大航海時代を鑑みても他の大陸を捜そうと船団を組織、接触をしてきていてもおかしくは無い筈なのに全く記述が見当たらない。

 

 本当に支配可能なまでに減らされてこの大陸にのみ知的生命体が住むのであろう。

 

「奴の眼が向かないなら丁度良い、僕らで開拓をして実効支配をすれば自動的にその地は僕らの物で構わないだろ? まさか、歴史的に見てこの地は我々のモノである……とか莫迦を言い出す輩も居ないだろうし」

 

「まぁ、自分のモノと主張するなら人員を配置しておけという話ですしね」

 

 他の大陸の開拓予定に加えてこの大陸に於いてハイリヒ王国だけではなく、亜人族達の住んでるフェアベルゲンもユートは手に入れたも同然だから確実に侵略をしているのかも知れない。

 

 だけど罪悪感など皆無。

 

 何故ならエヒトルジュエがやらかしたとはいえ召喚して、この地にユートを引き込んだのだから可能性として考えて当たり前であり当然の報いを受けたに過ぎないのだから。

 

 ユートは正義の味方ではない。

 

 当たり前の欲望を持つ人間である……故にこそ、安易に喚ぶべきではなかった。

 

 

.




 ユートは寧ろ正義を叩いていたりも。


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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