ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 ゴキブリと運営による運対(笑)が再び……





第92話:ありふれた世界征服

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 玉座にはアインハルトが座っている。

 

 何だか目も据わっている気はするが、やっぱり自分が玉座に座るのに違和感があるのだろう。

 

 宮廷魔術師枠と宰相枠にラルジェント・ル・ビジュー・アシュリアーナが、宮廷武官という立ち位置にジークリンデ・エレミアが、その部下的な戦闘指導官にハヌスという小柄で紫の長い髪の毛を揺らす左目の下に泣き黒子な美少女が、取り敢えず何故かアインハルトの隣に苦笑いを浮かべるヴィヴィオ・ゼーゲブレヒトが座っていた。

 

「何故にヴィヴィオはアインハルトさんの伴侶みたいな場所に居るのでしょう?」

 

 一五歳相当なヴィヴィオも可成り大人モードに近い姿で魅力は有り、隣が男であるなら伴侶的な立ち位置も納得は出来るのだが……

 

 格好は長い金髪をストレートヘアに流してて、白いドレスでお姫様っぽい可憐な姿。

 

 一方のアインハルトは、碧銀色の長い髪の毛をポニーテールに結わい付けて嘗てクラウスの着ていた正装に近い服装、髪の毛がクラウスと同じ長さなら男装の麗人にも見えるけど胸の確かな脹らみが男装を否定していた。

 

 だけどまるで生まれ変わりの如く似た容貌から不思議な魅力に溢れ、傅く元々がハイリヒ王国の騎士やメイドや貴族はその圧倒的なまでの圧力に押し潰されそうになる程。

 

 正しく、フリーザ様に戦闘力を初宣告された者みたいになっていた。

 

 当然だろう、アインハルトは原典ではクラウスの想い出を持つ格闘家に過ぎなかっただろうが、この世界線の彼女は実戦経験を積んだ軍人にも等しい武人なのだから。

 

 格闘家と武人では同じ武を修めていても天地程の差を生じさせる。

 

 例えばの話だが、原典のアインハルトは『弱い王は屠るまで』と言っていたが果たして殺す事は出来ただろうか?

 

 恐らくは出来ない。

 

 幾らクラウスの記憶を持とうと殺す気概を持たない少女に過ぎず、ジークリンデ・エレミアみたいに壊す事を厭うみたいな感覚で決して敵に対してトドメは刺せないだろう。

 

 結果的に殺す可能性はあるにせよだ。

 

 格闘家は飽く迄もスポーツマン、武人は戦場(いくさば)で敵と闘い正真正銘に屠る者。

 

 問題は譜代の貴族や騎士。

 

 当然ながら行き成り王位に就いた新参を王と仰げる貴族は居ないし、騎士も自分が護るべき王族はハイリヒ王家の人間だと認識していた。

 

 はっきり言えば要らない子だ。

 

 ユートやハジメを無意味に無能と決め付けて、檜山大介の所為でユートを含む四人が奈落に落ちたのをユートが悪いと罵倒すらしていて、正しく()()()()の烙印を押されても仕方がない連中。

 

 騎士も大半が檜山大介に殺害された上に恵里"の『縛魂』に操られ、残っていたのは二線級の騎士か本当に強い騎士かのいずれかである。

 

 メルド・ロギンスは後者に当たる騎士であり、クゼリー・レイル騎士団長もそれだ。

 

 最初に発せられたのは脱・聖教教会。

 

 これには当然だが騎士も貴族も猛反発したが、エヒトルジュエとアルヴヘイトの事を話して尚も反発するなら正に要らない子、そんな貴族も騎士もアインハルトは排除をするだけだった。

 

 どうせハイリヒ譜代の貴族など殆んどが役立たずだし、権威争いにしか興味が無いのだから権威を剥奪して死罪とするのみ。

 

 これはユートの方針だからアインハルトは従う形で首切りをする。

 

 必要な人材はユートがアシュリアーナ真皇国から貸し出すし、何なら余っている貴族家に土地や役職を付けて送り出す心算だ。

 

 三男や四男には有り難い話だろう。

 

 アシュリアーナ真皇国の皇都はユニクロンで、内部には拡張された太陽系規模のインナースペースが存在し、地球型の惑星を幾つも内包しているから貴族自体は規模に対して少ないのだろうが、跡継ぎ以外の子供まで貴族の地位に在り続けさせるのは難しい。

 

 実力を示して騎士と成り、功績を以て貴族位を得る事は可能だから普通の世界に比べれば機会に恵まれているし、ユートが違う世界から持ち帰ったステータスを与える手段も在るから実は強いというだけの一般人や騎士はゴロゴロしている。

 

 レベル上限値無しのドラクエ風味スキル付き、()()だから完全にドラクエとはいかない。

 

 例えば職業はダーマ神殿に行きフォズ大神官に調べて貰うと就ける職業が判明するし、レベルが一定以上に到達をすれば転職をして違う職業にも就けるのだが、魔法やスキルというのを取得しておけば当然ながら転職後も扱えるというのは普通のダーマ神殿と変わらないけど、これには身体のレベルと職業レベルで分かれているといった具合に違いが有った。

 

 ドラクエⅢなら云わば身体レベルの変化が起きてしまい、遊び人がレベル二〇で賢者に転職をした場合は賢者のレベル一に成って一時的な弱体化を招いてしまう。

 

 まぁ、能力値が半分になるだけだから元のレベルまで数値が上がり難いが、レベル二〇から普通に上がっていく様になるので勇者以外のパーティの全員を転職なんて血迷わない限り問題は無い。

 

 ドラクエⅣとドラクエⅤに職業や転職は無くて、ドラクエⅥとドラクエⅦで復活した。

 

 フォズ大神官とはドラクエⅦの過去編に登場する少女の事である。

 

 このⅥ~Ⅶの職業は熟練度制で星の数が熟練度として目安となり、星を集め切ればマスターをしたと見なされて転職を勧める事になるのだ。

 

 尚、ドラクエⅧにはまた無くなってⅨ~Ⅹの方で復活を果たしてⅩⅠでは無くなった。

 

 職業次第でドラクエの呪文を契約可能となり、スキルはドラクエ以外からも存在する。

 

 飽く迄も()()なのだ。

 

 得られるスキルは様々だけど、活躍をしているとインストール・カードを買って自分のスキルを増やしたりも可能。

 

 勿論、カードはユートが造る。

 

 何故ならインストール・カードとはユートが扱える技能や魔法を術式化、それをカードという形に形成して造り上げたプログラムの実体化。

 

 これも実はある意味で念能力。

 

 念の修業もしないで、水見式で自分の系統も知らない時期に造り上げた念能力という訳だ。

 

 これを念能力だと指摘してきたのはマチという女性、彼女と闘う機会があって打ちのめした後で『戴きます』して念能力を【模倣の極致】により簒奪をして、インストール・カードに換えて返した時に指摘を受けたのである。

 

 また、寝た時にも指摘を受けた。

 

 ユートが相手に最高の快楽を与えるセ○クスのヤり方、これも操作系と強化系に属しているであろう念能力だ……と。

 

 まぁ、確かに(オーラ)を応用したヤり方。

 

 自身の氣を相手の氣と完全に同調させた上で、自分と相手の体内を同調した氣を随時廻らせる事により、肉体の全身をまるで性感帯の如く敏感にしてしまい更には互いが互いの快感を感じる事が出来てしまい、本来ならそれだとユートは死にかねないけど氣を廻らす事で心臓は強化されるからユーキみたいに死にはしないし、男と女の快感を御互いに感じ合うという究極の快楽は後の話だがあのエセルドレーダすら虜にした程。

 

 マチは女の絶頂でイク度にユートの射精による快感も強く感じて、連続の絶頂をしてしまう事にセ○クス依存性レベルに常習性を覚えてしまったものだから堪らない。

 

 しかもユートが絶頂で感じる射精の快感自体、氣を廻らす事で鋭敏化されている訳で……

 

 セ○クス自体は何度かシてるけどイキ狂うなんてのを初めて感じたのである。

 

 え、それはマチとヤった連中がヘタクソだっただけじゃないかって?

 

 知らんがな。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ラルジェントは本来なら開拓組として双子の妹のリルベルトと共に行く予定が、アインハルトに宰相として付けるべく予定は変更された。

 

 とはいえ、リルベルトも開拓組を率いるくらいは軽く熟せるから特に問題も無かろう。

 

 【神異】の二つ名は伊達ではないというべきなのか、彼女は魔導士として基本的には遠距離型も出来るだろうが、本気を出したら普通に殴る蹴るの格闘や武器を扱う近接戦闘にシフトする。

 

 彼女のラストバトルがソレだった。

 

 美晴の方にはユーキが仕事に就く事でフォローをするとして、ジークが此方に回ってきたからかアインハルトも嬉しそう。

 

 宮廷治療師としてフレイが入るけど彼女は堕ちて以降、神への信心を喪ったからか治療系が可成り弱くなっている。

 

 執念でユートを世界に喚び込み、大切な人の生き残れる世界線を構築する代わりに堕ちて魔女と成り果てた自分の肢体も心も全て譲渡する契約、過去へと航りフレイの『大切な人』が魔王化したのを権能で戻し、様々な邪魔をクリアして新しい世界線を構築する序でに【閃姫】を増やしたし、【閃姫】に成れない存在は別の契約を結んだ。

 

 戦闘指導官ハヌスもフレイと同じ世界に生きた存在である。

 

 フレイの姿は堕ちる前に巻き戻してはいたが、矢張り信心を喪った所為で治療系の魔法に支障が出たのは仕方がない。

 

 【閃姫】契約が不可能だったのは人型の龍であるライアスとリリア、ティオみたいな人間が竜の因子で変質した者の末裔は問題も無く契約が出来たけど、彼の二人は龍そのものが人の姿をしている存在だからか契約は出来なかった。

 

 無限の龍神オーフィスやまつろわぬ神アテナも【閃姫】契約が出来なかった為、予想はしていたから速やかに別の契約に切り換えたのだ。

 

 まつろわぬ神たる原初の女神アテナは仮契約の方で、本来のセ○クスして行う真の契約ではなかったのだけど。

 

 そんな宮廷治療師のフレイがこの場に居るのには勿論だが理由が有る、磔にされたランデル・S・B・ハイリヒ元王子が泣き喚きながら叫んでいる辺りから御察しだろう。

 

「嫌だぁぁぁぁぁっ! 何で僕がこんな目に遭わなきゃならないんだよぉぉぉぉっ!」

 

 アインハルトが王位に就いてから数日後の事、王都は元よりホルアド、ウル、ブルックなど国の領土となる町や中立商業都市フューレンやアンカジ公国などハイリヒ王国とは別の勢力になる所にも通達が出され、ランデルへの戦争責任といった名目で刑が執行される事となった。

 

「これが最後だからたっぷりと視ておけ」

 

 その磔られたランデルの目ので美しい少女らが薄く布地の少ないヒラヒラの服をその身に纏い、まるでエロさを前面に押し出すみたいな形で汗に濡れながら舞いを舞っている。

 

 端から視れば何らかの怪しい儀式にしか思えない光景だが、少女らはまだ一二歳程度の幼さを残した者達で何処か気品が感じられた。

 

 一番幼くてランデルと同い年、一番の年嵩でもリリィの同い年というのだから察せられよう。

 

 汗に濡れているから小さくとも自己主張が見られる胸の脹らみの先の色が判るくらいであるし、幾ら幼いとはいえそんな歳の近い娘らの淫らなる格好に、永山重吾のパーティは元より戻ってきていた愛子先生の護衛の玉井淳史、ひょっとしたら自分も似た刑を受けていたと聞かされた上で見学させられた清水幸利、他にも生き残りを保証された貴族家の嫡男や次男などが前屈みに……

 

 野村健太郎のそんな姿を見てジト目になりつつ――『サイッテー』と呟く辻 綾子、男子の姿を見てやはり『男って!』と呟く吉野真央などクラスの生き残り男子は株を最安値に落としている。

 

 叫びながらも淫らで艶やかな歳の近い少女達の半裸にも近い姿での舞いに、ランデルのポークビッツも勝手に反応をしてムクリと勃ち上がった。

 

 下半身に何も着けないランデルの惨めなそれは見物人の前で隠されもしない、

 

 年齢が年齢だから仕方ないのかも知れないが、皮被りなポークビッツにクラスメイトの女子達は兎も角、見物客として列席させられた生き残りの貴族家の女子らは失笑を禁じ得なかった様だ。

 

 舞っている少女達もあからさまではないにしても失笑しており、自身らが知る――知ってしまう事になった男のモノと比べれば無いにも等しいのだとそう考えずには居られなかった。

 

 抑々にして彼女達は辛うじて生き残れた貴族家の少女達、だけど本当に辛うじてだったから彼らは何とか罰則を軽くして欲しい。

 

 新しい王たるアインハルトは御飾りでこそ無いにせよ、重要な決め事はユートやラルジェントに頼っていたのと、ラルジェントもユートを上として見ている節があった事から彼らは自分の娘か、若い当主なら妹を、どちらも居ない場合は近似の血筋の分家から養女を取って送り込んできた。

 

 ハルケギニア時代に似た事をされていて慣れているユートは受け取り、ある程度の配慮を約束してやって貴族家当主を帰した後で全員の初めてを『戴きます』してやる。

 

 最初の一発は痛みに泣かされたが、二発目からは寧ろ余りの気持ちの良い快楽に蕩けさせられて虜になってしまった。

 

 こんな羞恥心を煽るばかりの衣服で舞えるのも上手くやれば、彼女らは後から御褒美をたっぷりと貰えるからである。

 

 アインハルトが短剣を手に前へ出ると刺し殺すのだと勘違いをしたのか、永山重吾のパーティにせよ貴族家にせよ悲鳴を上げた。

 

 因みに、天之河光輝は坂上龍太郎により押さえ込まれて邪魔は出来ない。

 

 当然と云うべきか、天之河光輝はユートの行った所業に怒りを訴えてきたし……

 

『君達の事はこれから俺が守るよ。だから緒方とは縁を切るんだ』

 

 などと宣ってアインハルトやヴィヴィオからはドン引きされていた。

 

 理由は幾つかあるのだが、先ずを以て二人より遥かに弱い天之河光輝がどうやって守るというのかという根本的な問題。

 

 流石にユート程ではないものの、二人の此方でのステータス表記に直した場合の筋力は少なくともノイントと同等かそれ以上、つまりは逆立ちをしてもアインハルトとヴィヴィオに天之河光輝は勝てないのである。

 

 それ処かヴィヴィオの原典初期値でさえ天之河光輝は越えていない。

 

 一応、本当に一応なのだが聖剣をぶっぱすれば初見でなら勝てるかもしれないが、二度目は間違いなく通用しないだろうからそれで仕留められなければ天之河光輝は詰む。

 

 それにヴィヴィオは……アインハルトもそうなのだが、ユートからの修業を受けた結果として原典に比べて相当に強い。

 

 早い段階で赤筋と白筋の効果を併せ持つピンク筋へと鍛え上げ、それを更に鍛えてきたからには細身に見えて触れば判るくらいに筋肉が付いているにも拘わらず、女性特有のしなやかさを決して失っていないのである。

 

 抱き締めるとそれがよく判るものだった。

 

「良い具合におっ勃てたな」

 

 そう言うとユートはアインハルトの手に黒い刃の短剣を差し出した。

 

「判るな?」

 

「はい、兄様」

 

 アインハルトはハイリヒ王国を征服した覇王として、前国王の血筋たるランデル・S・B・ハイリヒに刑を執行せねばならない。

 

「ヒッ!」

 

 生々しい刃の光沢にランデルが息を呑む。

 

「い、嫌だ……助けて……」

 

「それは兄様に楯突く前に言うべき科白でした、ランデル元王子……いざ御覚悟を!」

 

 サクッ! 左の胸元にあっさり吸い込まれていく漆黒の刃。

 

「ヒギィィィィ……あれ? 痛くない」

 

 フニャリ……とランデルのポークビッツが軟らかくなって萎え逝く。

 

「【不能の短剣】だ。刺されると男女問わず胤や卵を作り出す機能が死ぬ。お前のポークビッツなJr.は二度と勃ち上がりはしないだろう」

 

「……は?」

 

「序でに快楽中枢も死ぬからどれだけ弄ろうとも快感を感じなくなるし、複製――クローニングすら不可能となってしまう強力な概念兵装だ」

 

「そ、そんな……ハイリヒ王家の血が!?」

 

「ルルアリアはハイリヒ王家じゃないし、姉であるリリィが子を成す予定は皆無だから血筋は絶たれたって訳さ」

 

 ひょっとしたら多少はハイリヒ王家の血も入っているかも知れないが、これから先でルルアリアが男に抱かれるとしたら相手はユートであるし、孕む事は決して無いと言っても過言ではない。

 

 仮に万が一にも孕んだとしてもハイリヒ王国に関わる立場には無いだろう、とはいえ蔑ろにしたり不幸にしたりもしないだろうけど。

 

 まぁ、その場合は姉が父親の女とか意味不明な状態になってしまう上に姉のリリィまでが孕んだら厄介な関係が構築される。

 

 それは兎も角、本来なら仮に生殖機能を喪って精子の射精が不可能になっていても快楽中枢? とも呼ぶべき神経が有るからには射精されないだけで性的な快楽は得られ、絶頂にも導かれるのが普通だった。

 

 だけど【不能の短剣】はこの辺の機能も殺してしまう為、幾ら擦ろうが刺激を与えようが快感など感じる事は無くなってしまい、絶頂でイクなんて事も有り得なくなってしまうのだ。

 

 女性も完全に不感となるから挿入されても入った感触は有るが、それでグラインドされたとしても特に快楽には転じない。

 

 一番感じる部位も触れられなら感覚は有るが、剥こうと擦ろうと快感は感じないだろう。

 

 快楽快感となる部分だけがスッパリと殺され、他の部分では末梢神経まで生きている。

 

 こうなると可成り恐ろしい兵器だった。

 

 果たして過去に何人、何十人の男の♂が殺されてしまったのであろうか? そしてこれから何人の男の♂が抹殺されてしまうのだろうか?

 

「さて、役勃たずのポークビッツはもう要らないだろう? 切り落としてしまおうか」

 

 ユートが鋏を手にチョッキンチョッキンと鳴らしながら指を動かす。

 

「あの、兄様……それも私が?」

 

 流石にアインハルトも男のモノを断つというのは喜ばしくなかった。

 

「まぁ、アインハルトがポークビッツとはいえど男のモノを見つめるのは嬉しくないか。マチ」

 

「はいよ」

 

 モサッとした紫の髪の毛をポニーテールに結わい付けた一二歳くらいの少女が現れる。

 

 マチ・コマチネといえば知る人ぞ知るだろう、ユートが昔に確保していた【HUNTER×HUNTER】に登場する幻影旅団、通称は【蜘蛛】の最初期からのメンバーという古株であり原典では二四歳くらいだった様だが、今のこの姿では何故か明らかに一二歳程度にしか見えない。

 

 名前は勿論だがマチ・コマチネでありユートが前世――ハルケギニア時代に於いての異世界放浪期に【HUNTER×HUNTER】の世界に行った訳だが、其処では当然の如く念能力を修得している。

 

 ユートの場合は原典の人間とは違って異能力を扱う事に慣れ親しみ、【魔法への親和性】という転生特典が可成りファジーに拡大解釈をされていたらしく、寧ろ【異能への親和性】とも云うべきモノで魔法だけでなく超能力や霊能力や闘氣法といった技能にも長け、それが原因で小宇宙すらも修得してしまえたという経緯を持つ。

 

 その延長線上でチャクラやオーラの扱いすらもあっさりと修得、【NARUTO】な世界では忍者になるのに有利であったし【HUNTER×HUNTER】な世界では念の修得が異常に早く、他の異能力を扱ってきた経験が強く活きていて六性図をガン無視して全属性適性持ちでの特質系と、チートオリ主万歳の阿保みたいな能力だった。

 

 それでユートが作った【発】が何かと云えば、それは【模倣の極致(コピー&スティール)】という相手の能力を簒奪か文字通り模倣するモノ。

 

 一聞してみれば何処ぞの【盗賊の極意(スキルハンター)】っぽい【発】だが、条件やあれやこれやと違うモノであるのは間違いない。

 

 視る聴く触らせるという過程は必要が無いし、相手が死のうがどうしようが一度獲た能力が喪われたりしない、更に念能力だけではなく魔法とか霊能力や超能力や闘氣や小宇宙といった能力系のモノなら全てが対象となる。

 

 発動のトリガーはユートが自らの手で逝かせる事にあり、死んだ相手の魂魄へと干渉→掌握して情報を走査して能力の簒奪or模倣を行う。

 

 模倣の場合は能力が一段階下がるから意味が無くないか? と思うが、実は殺さなくてもこれは使えるから必要ではあったのだ。

 

 その方法は性的にイカせる事。

 

 この方法は女性にしか使えない――というよりは使いたくない――けど、死なせなくても良い手段は確保しておきたかった。

 

 便利だし、とある能力が念能力だと気付いてからは簒奪一辺倒でも良くなったが、矢張り無いと有るとでは選択の幅が違ってくる。

 

 更にユートが使う無自覚な【発】を併せる事で可成り恐ろしいモノに。

 

 【修得する切札(インストール・カード)】。

 

 自身が扱える能力を数式化してプログラミングしたモノをカードに具現化、使った人間に焼き付けて問答無用で修得させてしまう能力だ。

 

 直接的にはユートの役に立つ能力ではないが、誰かに対して確実な修得が可能な正しく切札となる念能力――オリジナル世界の場合は『輝威(トゥインクル)』――という事になる。

 

 数式化して具現化と言うは易しだが、余りにも複雑で普通に他の者がやろうとしても喩えばメラで一日中付きっきりで作業して何十年と掛かり、対費用効果がまるで無いから断念するしかない。

 

 ユートはそれを転生特典と併せて僅か数十秒でやれてしまう為、それこそ『魔法剣士に成りたいから火炎呪文を一通り使いたいわ!』とか雫が言ってきたら『オッケー』と了承をして数分後には

雫がメラ、メラミ、メラゾーマ、メラガイアーの四つを使える様に成っている事だろう。

 

 とはいえ、それは理論上の話。

 

 実際にインストール・カードは当人の脳の謂わば空き領域に焼き付ける為、全身を燃えるくらいの熱を襲うから負担もでかいので一日に一枚を使うのが良い。

 

 因みに何故か女の子は性的に熱くなる。

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

「で、この坊やのちっちゃいモノを切れ……と? そう言いたい訳?」

 

「頼めるか?」

 

「ま、嬢ちゃんには無理か」

 

 生々し過ぎて無理だろう。

 

「私はこんな(なり)だけどこれでも二十代までは生きていたし、盗みも殺しも相当にやらかしてきた……謂わば阿婆擦れってやつだからね」

 

 クスクスと笑うマチ。

 

「じゃ、やるよ」

 

 ピッと口先にて掴んだ念糸を投げ付けるとそれがランデルのポークビッツ、棒と袋を纏めて括り付けて引っ張った。

 

 プッ……

 

 音なんてしなかったのかも知れない程度の音、その瞬間に地に落ちたのはランデルのポークビッツなJr.であり、鋭利な刃物の如く切れ味故に痛みは感じなかったらしいが……

 

「アギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアッッ!?」

 

 数秒後には鮮血を噴き出し叫んだ。

 

「はい、完了。御代はいつも通りに振り込んで。あ、身体でもちゃんと払って貰うよ」

 

「判ってるよ」

 

 当たり前だがマチは無償では動かない。

 

 簡単な依頼でも円相場で数万円は取ってるし、難しい依頼なら数千万円は取られる。

 

 それにユートとの最初の逢瀬は闘いによるものだったが、その結果としてヤっちゃった訳だけど気に入られたらしい。

 

 少なくとも過去に自分とヤった男との経験など吹き飛ぶくらいには。

 

 尚、彼女とはリルベルトと同様の来世契約にて縁を繋いで再会をしている。

 

 流石にアーデルハイトと交わした再構成による契約は、彼女くらいなメリットが無いと交わすのも憚れるのだ。

 

「マチはあっちで美晴の手伝いを頼みたいんだ。報酬は向こうで支払ってくれる」

 

「了解したよ」

 

 美晴の仕事は政府要人などで腐れた人間の謂わば粛清――暗殺である。

 

 寧ろこれまでに任せていたほむらやシュテルに比べて適任、暗殺という手段や盗みという手段は嘗て幾らでもやってきたから。

 

 幻影旅団の一員として。

 

 そして勿論だが一般家庭に産まれた今生に於いて盗賊なんてしてないが、影と成りて悪を討つっぽい立ち位置で暗殺くらいはしている。

 

 依頼主は基本的にユートだし、暗殺ともなればそれこそ数千万円は支払われるから懐は暖かい。

 

「待つんだ!」

 

「は?」

 

「どうしてこんな酷い事を出来る!? ランデル王子は一〇歳の子供なんだぞ! 君もまだ小さいんだから緒方の命令なんて聞いちゃいけない!」

 

「……」

 

 マチはまるで路傍の石ころでも視るかの様な、そんな淡白な視線を言葉の主に向けた。

 

「ユート、誰? この勘違い君は」

 

「なっ!? 失礼だろう! 歳上に向かって何て口の聞き方をするんだ!」

 

 見た目が小さな少女に言われて怒鳴る。

 

「おい、坂上……」

 

「済まん、振り切られちまったんだ」

 

 やれやれと頭を掻きながら説明。

 

「それは勇者(笑)だ。エヒトルジュエに召喚されて沢山のスキルと初期値の高さにドヤっていながら今は足手纏い。まぁ、僕からしたら徹頭徹尾で足手纏いだったけどな」

 

「ああ、ユートの邪魔が趣味の勇者(笑)君」

 

「そうだ」

 

 これまた、当然だけどユートの状況は家族会で報告された内容をアシュリアーナ真皇国に報告わされている。

 

 マチはアシュリアーナ真皇国に所属をしている【閃姫】の一人、報告も普通に受けているのだから面白可笑しく天之河光輝=勇者(笑)についても聴かされていた。

 

 初めて出逢った時には非処女だったから契約が当時のユートでは叶わず、況してや幻影旅団を抜ける気も無かったし生きている内は団長から離れたいとも思わなかったマチは、団長の命を助けて貰う対価として色々とやらかしたのは扨置いて、【閃姫】契約は来世での再会で交わす事に。

 

 再会時はまだマチが一〇歳の時、ヴィヴィオ達の同級生として『ユート兄ちゃん』の話をされて気が付いたので紹介された。

 

 マチの望みは一二歳で契約をしてこの年齢にて固定、後は自由に前世までの肉体年齢にまで成長させるも戻すも可能とする事。

 

 暗殺がやり易くなるからだそうな。

 

 普段のマチは念糸縫合など医療関係に手を出しており、ユートの組織である【聖域】でも割かし重宝をされている。

 

 前世では幻影旅団と団長、今生ではアシュリアーナ真皇国とユートを家族としてみているマチ、一応だが両親も今は真皇国民だから問題も無い。

 

 少なくとも流星街に居た頃より遥かに恵まれていたと思われる。

 

「待て、無視をするな!」

 

「勘違い君、噛み付く相手は選びなよ」

 

「な、何だと!?」

 

「抑々、あんたはそこら辺の一般人に過ぎない。ユートとは身分からして違うのさ」

 

「同じクラスメイトなんだぞ!」

 

「異世界とはいえ王は王、それをクラスメイトとか言って同じ身分だと考えるとか勘違い君らしいとは思うけど……ねぇ」

 

 元より前世は盗賊なだけに自分より上は団長、クロロ・ルシルフルだけだったマチからしてみれば今現在はユートがその位置。

 

 転生してからは流石にクロロに執着も無いが、それはそれで想い出として残しているのもあって前世を多少なり引っ張り、ユートを幻影旅団の時のクロロの立ち位置と認識したのである。

 

 ピッと念糸を引く。

 

「がっ、ぐっ!?」

 

「余りオイタが過ぎると落とすよ?」

 

 何が? とは訊くまでも無い。

 

 見えない念糸に首を絞められて天之河光輝は掻き毟るが、どうにも出来ない侭で遂には意識を落とされてしまった。

 

「連れて行きなよ」

 

「うっ、判った」

 

 天之河光輝をまだ親友と思ってるからだろう、苦々しい表情で担ぎ上げつつも頷く。

 

 処刑は終わり、ランデルは生涯を小さな邸という名の牢獄に容れられてしまう。

 

 大した予算も組まれてないから餓えない程度の食事が朝晩と二回、そして小便に困るからとしてユートはランデルを【女体化】のインストール・カードで少女に変えた。

 

 この状態では尿道が壊されていないから便所に行くのに困らないが、数年後に孕まないのを良い事に邸の管理人により犯されてしまったとか。

 

 元は少年でもルルアリアの子でリリィの弟であるだけに、女体化をされたランデルはそれなりの

美少女として育っていたから。

 

 ユートには最早、どうでも良い報告だっただけに読んだ瞬間にはゴミ箱行きをした。

 

 ルルアリアはランデル処刑の夜には情婦としてユートに抱かれ、リリィとの母娘丼も確り喰われてしまうが快楽に病み付きとなったらしく数ヵ月も過ぎれば娘と同じ年齢にまで戻して貰った上で()()を捧げてしまう。

 

 メルド・ロギンスは再び騎士団長の座に就き、騎士団長だったクゼリー・レイルはユートの情婦兼騎士副団長となり、元の副団長は騎士団長補佐という立場に置かれる事となった。

 

 とはいえハイリヒ騎士団という枠組みの中での話であり、ユートが用意をしたジーク達が基本的に覇王アインハルトの近衛的な立場だ。

 

 ランデルの処刑から数日後にはリルベルトからの報告が上がり、矢張り他の大陸には人間らしき者達は存在していなかったとか。

 

 当然、本来は存在しない亜人など居る筈も無くて魔物か獣のみだったらしい

 

 計画の通りに港町を設置するべく動きながら、ファーマーが働ける環境を港町から離れた位置に村を作っておく。

 

 大事業として彼らは二千人から成る新大陸人となっていき、更に二千人ずつ移住をして大陸へと増えていったのだと云う。

 

 地球の美晴にはマチ・コマチネとヴィルフリッド・エレミアがコンビで手伝い、アインハルトとヴィヴィオが居なくなった分はコロナ・ティミルとリオ・ウェズリーが南雲家の手伝いに。

 

 そしてユート達は神代魔法とヴァンドゥル・シュネーの魂を求め、遂に魔人領に存在するであろう最後の大迷宮へ向かうのであった。

 

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 教会に関しては次回。


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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