ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 最後の大迷宮とは何だったのか?





第94話:ありふれた量産型

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 フリュー・ハイピストが仲間に加わったけど、まさか連れ歩く訳にもいかないしオルクス大迷宮で暮らして貰うべく連れて行く。

 

「甘味に関しては月奈に頼めば幾らでも出してくれるが、くれぐれもその身がブクブクに太らない様にしてくれよ?」

 

「任せておくのじゃよ主様。ワシとて今の体型を崩して主様の興味を失いとうは無いしな」

 

 月奈が苦笑いをしていた。

 

 彼女は本来であるなら救世主として此処とは別の世界線の地球から、トータスとは異なる異世界へと神様? 経由で向かう筈だったのがエヒトの召喚による影響で時空に乱れが生じたのか此方側の世界線に移動してしまったのである。

 

 帰れば救世主として結局は異世界送りになり、地球に還しては貰えなくなる訳だ。

 

 とはいえ、フリューに甘味を提供するチートなアイテムは救世主となる報酬で与えられた物で、それを甘受しながら救世主にはなりたくないとは流石に言い難いであろう。

 

 三三歳で男の影も無く本さえ読めれば幸せだった月奈ではあるが恋愛モノだって読むし、自分をソコに当て嵌めて考えるくらいならしていたから今の状況をある意味で愉しんでいた。

 

 初めてをユートに捧げてからは時折にやって来るのを楽しみにし、来たら飛び切り美味しい御飯で迎えて夜はアイリーンやアルテナと共に閨へと引き込まれて快楽に溺れている。

 

 自慰をしないから自分ですらも知り得なかった快楽の壺、快楽点(けらくてん)を突かれて大きな声で喘ぎながら涙を流して悦び啼いたのは恥ずかしかった。

 

「さて、フェアベルゲンに向かうか」

 

 パルやミナやラナから受けた説明では魔人族による真の大迷宮への侵攻、魔物を操り警備をしていたフェアベルゲンの戦士達も歯が立たない。

 

 それに関してはハウリアにより蹂躙されたので問題も無く終わるが、それでも亜人族の警備兵や熊人族など攻撃力のある者ら向かってはみても、大きなダメージを負ってしまっていた。

 

 ハウリアは仮面ライダー黒影トルーパーという量産型ライダーを、ミナに至っては仮面ライダードレイクを使っていたからダメージは皆無。

 

 だけど魔人族や連中が操る魔物を相手に分散をさせ過ぎてしまい、まさかの帝国による連続攻勢で体勢が整わない侭に樹海へ火を掛けられ女子供をむざむざと攫われてしまったのである。

 

「樹海に関しては香織、キングフォームに成って再生魔法で修復を頼むぞ」

 

「任せて、ゆう君!」

 

 原典では檜山大介に刺されて生命の灯火が消えてしまい、ハジメ達の尽力によりノイントの肉体に宿る事で復活パワーアップを果たしていたが、此方の世界線では香織は生きているし何より既にノイントの力は得ていた。

 

「その前にフェアベルゲンに移動するぞ。折角、開かれているんだからな」

 

 樹海を元に戻すのはその後だ。

 

 フェアベルゲンの唯一の町とも云える亜人族の本拠地に着くと、少女や幼年の子供達が親許へと泣きながら駆けて行き抱き着いている。

 

 矢張り心細かったのだろう。

 

「済まぬな、迷惑を掛けた様だ。私の家出をしたバカ娘まで救って貰って助かった」

 

 フリューが攫われたと聞いて気が気でなかったらしいアルフレリックは、あからさまに安堵をしたという表情でユートに話し掛けて来た。

 

「フェアベルゲンは既に我が国の一部だからな。ならばこの国の民は我が国民だし助けるのは義務であり、君らは助けて貰う権利を有しているんだから気にしなくて良いさ」

 

「フッ、それでもだよ」

 

「それとフリューだが……」

 

「あの子に気に入られたか?」

 

「よく判ったな」

 

「あの子がハウリアの族長の娘と同様に魔力を持つ事は薄々と気付いておったよ。あの子は頭が良いから普段から使わぬ様に気遣っておったがの。じゃが、矢張り魔力持ちである事実は変わらぬからかいつからか家出をしたのだよ」

 

「偶にアルテナがアルフレリックの差配で甘味を運んでいたらしいが」

 

「それくらいしかしてやれなんだ」

 

 親としては苦渋に満ちた顔をしてはいるけど、長老としては本来なら処刑なり追放なりしなくてはならなかったのだ。

 

「それなら貰って構わないな?」

 

「あの子を頼む」

 

「頼まれた」

 

 元よりエルフは好きな方である。

 

 高慢ちきだと流石にアレだけど、仲良くしたいと歩み寄るエルフには普通に好感を持つ。

 

 というよりも余程の人間嫌いでもない限りは、エルフからユートに嫌悪を感じたりはしないのでフリューの警戒心の無さ、あれも実はエルフであるが故なのかも知れないと思っていた。

 

 森人族は元が人間族で云わばニセモノだけど、魔法を得る事で単なるニセモノから本物に寄り近付いた結果かも知れない、恐らくユートの固有な能力? エルフに好かれ易いが発動している。

 

 事実としてニセモノとはいえど森人族の少女達に接待されているユート、前とは違い可成り近くなった気がするから不思議だ。

 

 アルテナが身を売るに近い真似をした訳だが、それがフェアベルゲンの女王となる事になったのもあるだろう、森人族の少女達はそれなりにでも好感度が上がっているらしい。

 

「香織、再生魔法を」

 

「了解だよ!」

 

 フェアベルゲンにさえ着いてしまったら最早、戦闘痕など気にする必要など一切無い。

 

「【絶象】!」

 

 再生魔法の一つ【絶象】、それは嘗てメイル・メルジーネが行使していたあらゆるモノを再生する神代の魔法だ。

 

 リューンモードな今の香織は更にキングの力でノイントモード――姿は同じ――になって、激しく増大した白菫に銀のキラキラが混じった魔力光の魔力による【絶象】が無数の波紋となり駆け巡っていき、魔人族と人間族の手による破壊によって傷付いた大地に染み渡る。

 

 正確にはこの【絶象】は治療系の魔法ではなくて時間魔法、過ぎ去りし刻の流れを逆転させる事により相対的に傷を無かった事にしていた。

 

 当然、時間が経過すればする程に莫大な魔力を消耗してしまうだろう。

 

 再生魔法とは時間に干渉する過去再生の魔法、故にユエ達の再生魔法を基にした再生の力は魔力さえ有れば首を落とされても元に戻ったし、細胞がどれだけ酷使されてもテロメアが再生されるから歳を取る事も無い。

 

 絶妙なのは何故か処女膜の再生だけはされず、ユエに刻んだ初めての証しは確り残っている。

 

 喰っちゃったあの日に初めユエもその可能性に気付いて青褪めていたけど、実際に確認作業をしてみれば再生している時間の筈が未だに再生しておらず、ユエの許可を得て再び挿入をしてみたがすんなりと入って痛がる事も無かった。

 

 当然ながらユエはホッとしていたのは間違いないし、同じ魔法を持つフリューも処女膜が再生されたりはしない筈。

 

 若し同じ名前なだけの別物だったらフリューのスキルを簒奪した上で、ユエから得た方の再生を【修得之切札】で改めて与えれば良い。

 

 ユートはユエの許可を得て、彼女の【再生】を簒奪した上で再びそれを返してある。

 

 つまりユートはユエの【再生の力】を手に入れており、自分が使える状態にしているから念能力の【修得之切札】で数式化して与えられる状態になっていた。

 

 彼女のあれは魔力さえ有れば首ちょんぱすらも恐くなく、【閃姫】に与えない理由が全く以て見付からないと言っても良い程。

 

 因みにだが、雫や香織からの評判は上々だったのだけど理由はスキンケアが要らないからとか。

 

 魔力を持っていれば肌が再生されていつでも今の瑞々しい御肌を保てるし、雫は四歳児の頃から木刀を振り続けて出来ていた剣ダコがすっかりと無くなって柔らかな肌に戻っていた。

 

 ユートとしては剣ダコは未熟の証明でもあるのだが、雫が頑張ってきた証拠でもあるから寧ろ誇れば良いとは思う、だけれど女の子としては角質がボコボコに硬化した手は恥ずかしいらしい。

 

 まぁ、すっかり柔らかくなった雫の手で自分のJr.を扱いて貰うと心地好いから、ユートとしてもこれは存外に悪くはないと考えている。

 

 それは兎も角として、香織の使った【絶象】が樹海を再生させたのでユートも胸を撫で下ろす。

 

 尚、魔力を消耗するけど香織は全く疲れを感じたりはしていない。

 

 何故なら【閃姫】には有り余る恒星が数個分ものエネルギータンクを使えるから、何なら今すぐに地球の自然環境を全て古代にまで戻したとしても香織は余裕でやれるだろう。

 

 地球環境の再生――ある意味でヤベェ。

 

 フリューは小さくて『のじゃ』と言ってのけるエルフであり、この三属性はユートも充分に満足が出来るだけの破壊力を持っていた。

 

 オルクス大迷宮に篭る事になる訳だし大迷宮に行く前に味わいたいと思う。

 

「トワには悪いがフェアベルゲンの護りを頼む。それと並行して連中を鍛えてくれ」

 

「了解した」

 

 放浪の軍師とされるトワは頷く。

 

「大丈夫なのかね?」

 

「トワは強いから問題は無いよ。それとヘルシャー帝国や魔人族が又候、フェアベルゲンに攻めて来るかも知れないから闘える者を鍛えておかないとならないし、装備も渡さないとな」

 

「ふむ、確かにな」

 

 装備品に関してはフェアベルゲン軍とでも云える彼らに何を渡すべきか?

 

(獣人系は素手で闘うタイプが普通だろうから、妖精系に細剣や戦斧辺りかね?)

 

 森人族に細剣はディードリッドのイメージが強いからだろうし、土人族に戦斧はやはりギムとかのイメージが強いのだろう。

 

 熊人族や狼人族や虎人族が爪や牙以外で闘う姿は余り想像が出来ない、勿論別の異世界では普通に使っているのだがトータスの獣人は肉体派っぽいからだ。

 

(量産型ライダーのライオトルーパーか若しくはライドプレイヤー。ライオトルーパーには最低限の武器は付けてるが、ライドプレイヤーは武器を持つなら別口で得る必要があるな)

 

 基本的にライドプレイヤーに武器は無く、未だにユートがよく識らない原典でも武器に関しては仮面ライダー側から奪っていた。

 

 ライオトルーパーには剣と銃が一体型の武器を標準装備させているし、武器の事に思考を割かなくて良いのは決して悪い事ではない。

 

(仮面ライダーメイジは彼ら亜人族にとっては、魔法使いなだけに相性が最悪だしな)

 

 基本的に彼らは魔力が無いから。

 

 フェアベルゲンが襲われたからには防衛強化は必須事項となっているのだし、獣人系や妖精系の【閃姫】辺りを援軍としてフェアベルゲンへ常駐させるのも考えるべきだろう。

 

 例えば()()()()()()()()で【閃姫】に()()()()()()()ディードリッドとか。

 

 いずれにせよ、フェアベルゲンの彼ら自身こそが強くなり自らを守らねば始まらない。

 

「という訳で、どれを使いたい?」

 

「どれをと言われてもな」

 

「俺達にはどれが何やらさっぱりだ」

 

 ユートの質問に対し、アルフレリックとジンは互いに顔を見合わせてから答えてきた。

 

「疑似ライダーとか量産型ライダーと呼ばれている存在に変身するツール、此方の世界風に呼べばアーティファクトだとも云えるな」

 

「疑似?」

 

「量産?」

 

 翼人族のマオと狐人族のルアがそれぞれの手にライオットドライバーとクロニクルガシャット、疑似なり量産なりのツールを弄びながらユートからの説明を聴いていた。

 

「量産型とか疑似と呼ばれるのはオリジナルからコストダウンや機能のオミットで簡易化もされ、扱い易さやメンテナンス性を向上させた上で性能の画一化もされた仮面ライダー、或いはオリジナルの仮面ライダーに似せてあるけど非なる存在を云うんだよ。ライオトルーパーやライドプレイヤーや黒影トルーパーや仮面ライダーメイジなど、数が揃えられているのが量産型の特徴と言うなら特徴だね。まぁ、ライドプレイヤーは疑似ライダーの方にもカウントされるけど」

 

 ライドプレイヤーは公式には仮面ライダーではなく疑似ライダー、仮面ライダーっぽく変身をしてパッと素人見では仮面ライダーと思えなくも無いという存在の一種だ。

 

 例えば――魔進チェイサー、ゴルドラとシルバラの兄弟、ブラッドスタークといった連中。

 

 尚、変身者が同じチェイスとはいえ仮面ライダーマッハと同じシステムで変身する仮面ライダーチェイサーは、その名前が示している通り正規の仮面ライダーである。

 

 また、『白い魔法使い』とクレジットされているあれも一部非公式な媒体で仮面ライダーワイズマンと呼ばれ、一応は正規の仮面ライダーという扱いになっていた。

 

「疑似ライダーの代名詞がこれだ」

 

「これは?」

 

 小さく薄く黒い中央に丸く金色で紋様を描いている箱状の物、それは【仮面ライダー龍騎】に出てくるオルタナティブのカードデッキ。

 

「実はこいつも量産していてね」

 

 量産型オルタナティブ。

 

「他にも量産型G3であるG3マイルド」

 

 一応、G3マイルドもG3の一種であるからには仮面ライダー扱いになる筈である。

 

「とはいえ、仮面ライダーG3マイルドは変身じゃなく()()だからな」

 

 あれを着込むのや置場には難儀するだろうし、五〇着も有ったらどうにもならない。

 

 普通に量子化すれば変身対応も可能ではあるのだけど、ユートはそこら辺を様式美に少し拘りがあるからか余りやりたがらなかったりする。

 

 量産型仮面ライダーG3マイルド。

 

 量産型オルタナティブ。

 

 ライオトルーパー。

 

 量産型仮面ライダーラルク。

 

 量産型仮面ライダーランス。

 

 量産型仮面ライダーグレイブ。

 

 量産型仮面ライダーバース。

 

 仮面ライダーメイジ。

 

 仮面ライダー黒影トルーパー。

 

 量産型仮面ライダーマッハ。

 

 仮面ライダーネクロム。

 

 ライドプレイヤー。

 

 実に沢山の量産型仮面ライダーら疑似ライダーのラインナップだが、勿論ながら幾つかは単純に量産してみた物で劇中に於いて量産されてはいないのも存在している。

 

 量産型仮面ライダーマッハは劇中で登場を果たした()()()()()()()の事なんかでは当然無くて、普通に簡易版の仮面ライダーマッハという感じに仕上がった物だ。

 

 尚、量産型グレイブやラルクやランスは見たまんま仮面ライダーグレイブ、ラルク、ランスの姿で数だけ揃えた物。

 

 カードも【CHANGE】と【MIGHTY】のみだし、ラウザーにしてもランスラウザーとラルクラウザーは設定通り、グレイブラウザーはカード収納の機能が無い正しく簡易版。

 

 一応はレンゲルバックルの機能を着けてるし、単純な能力はオリジナルと変わらない。

 

「選ぶなら全員が同じのにしたい」

 

「ふむ、確かに画一的でないと。てんでんバラバラでは困るからな」

 

 長老衆――アルフレリック、ジン、グゼ、マオ、ルア、ゼルの六人がああでもないこうでもないと話し合っていた。

 

「そういえば各種族の中でも闘いに肯定的なのを集めてフェアベルゲン騎士団を創設する手筈だった訳だけど、使うのはその騎士団の連中なんだから意見を聞かなくて良いのか?」

 

「そこら辺は長老衆に任せると言われてるわね、だから私達で選んで問題無いわよ」

 

 翼人族の長老マオが答える。

 

 どうやら騎士団の装備品に関しても長老衆が任されていたらしい、旧態然とした感じではあるが少数な彼らはそれで回っていた。

 

 騎士団は一応だが各種族毎に集まってみたが、やはり騎士団参加が少ない種族も居て纏まり切らなかったらしく、それぞれの騎士団での役割も踏まえてちゃんぽんにした様だ。

 

 猫人族、狼人族、土人族、森人族、翼人族、虎人族、狐人族、狸人族、兎人族、熊人族、猿人族など亜人とされる種族は様々に暮らしている。

 

 唯一、ハイリヒ王国に庇護を受けてた海人族だけはフェアベルゲンに居ないけど。

 

 そして彼らはその種族種族で固有に特技みたいなモノを持つ、翼で飛べる翼人族、隠密性の高い兎人族、力が強い熊人族といった具合に。

 

 だからこそ最初は同じ種族で役割を決めて分かれる算段だったのだが、騎士団に全員参加が強制されていないからハウリアなら未だしも、普通のホモサピ……ではなく兎人族の参戦は矢張り少なかったのである。

 

 他にも温厚なタイプは不参加だった。

 

 例えば熊人族だからと全員の血の気が多い訳では決して無く、女性の中には温厚なヒトも居たし男でも矢張り温厚なのは居る。

 

「武器に関しては矢張り我々で使い慣れたものが良かろうな」

 

「そうだな、そうすると素手の方か?」

 

 アルフレリックの科白にライドプレイヤー用のクロニクルガシャットを見つめながらゼルが呟く。

 

「けど初めから専用の武器が有るのは有り難いと思うんだけどな」

 

 ルアは腕力的には兎人族と其処まで変わらない狐人族であるからか、腕力至上主義的な熊人族や虎人族みたいな素手というのは許容が出来ない。

 

「そうね、私としても武器は有った方が良いわ。翼人族も腕力は高くないもの」

 

 翼人族の長としてマオが頷く。

 

 妖精型の亜人として腕力があるのは土人族で、森人族や翼人族は()()()()()()()よりはマシ程度でしかなかった。

 

 ユートが鍛え上げたハウリアにはどうしたって負けるのだけど。

 

「妖精型と獣人型では変えた方が良いのかね? 画一的な方が軍隊っぽいんだけどな」

 

 土人族以外は腕力が高くないし、戦闘力だって兎人族よりマシ程度だから武器は欲しいらしい。

 

「妖精型にはライオトルーパー、獣人型にライドプレイヤーにしておくか?」

 

「それで良いのかね?」

 

「話し合いの趣旨は武器を使いたいか使いたくないかの違い、ならもうこの二つで決めてしまった方が良いだろうからな。獣人型でも素手の戦闘力が高くないのはライオトルーパーでいけば良い」

 

「助かる」

 

 アルフレリックは頭を下げる。

 

 ユートはヘルシャー帝国にケジメを付けさせる心算な為、フェアベルゲン領国軍を確りと整えてやらなければならなかったから問題は無い。

 

 別に一種類しか渡さない事に拘りがあったのではなく、単純に装備品の画一化を考えていたのに過ぎなかったのだから。

 

 力の強い肉体派にはライドプレイヤーを渡し、力が大して強くない者がライオトルーパーという感じに纏まったので、実際にスマートバックルやクロニクルガシャットの人数分をアルフレリックへと渡しておく。

 

「ほう、これが……」

 

 コンテナ内からスマートバックルを取り出したアルフレリック、ジンもクロニクルガシャットを取り出して繁々と見つめていた。

 

「長老衆も万が一備えに持っておくと良いだろ、戦闘力が無いと人質とかにされかねないし」

 

「そうだな……」

 

 実際の闘いは若い衆に任せてしまうにしても、闘う為の手段を持たない理由にはならない。

 

 ジン・バントンも力自慢で鳴らしてはいるが、年齢的にはそろそろ長老の座は未だしも族長の座に関しては次代に譲りたいと考え、族長に据えたいと考えているのがバントン一族の中でもジンを除けば最強であろうレギン・バントンだった。

 

 こうしてフェアベルゲン武装化計画が成って、アシュリアーナ真皇国・フェアベルゲン領国としての真なる再生を果たす。

 

 その日は宴を開いた。

 

 折角だからとオルクス大迷宮に居た月奈達にも参加を促して騒ぐが、シアとしてはハウリア一族が未だに帝国と事を構えていてカムも参加している事で気が気でない様子。

 

 そんなシアの懐いた不安を吹き飛ばすかの様にユートは閨に引き込み、そうして何も考える事が出来ないくらいに熱く激しく滾らせて抱いた。

 

 それは強引グでマイウェイなくらいなもので、宛らレ○プにも似てカムや家族たるハウリアを想って嫌がるシアの唇を奪い、無理矢理に脱がせて肢体を貪るかの如くシアの快楽を引き出す。

 

 仕舞いにはシア自身が快楽に溺れてしまうといった有り様で、何故かティオが羨ましそうな表情を浮かべながら自分を慰めていた。

 

 それもあって結局はティオも抱く事に。

 

 まぁ、顔もスタイルもティオはシアに負けじ劣らずなのが自慰に耽っているのだし、これで反り勃たないならユートは男として認めないだろう。

 

 勃っても自分以外はヤらせないけどな!

 

 事も済んでティオは気を利かせてか? 一人で部屋を辞して今はシアと二人切り。

 

「少しはスッとしたか?」

 

「スッとしたというかすっ飛ばされましたよ? 頭の中が何度も真っ白になりましたから」

 

「だろうな、ティオを抱いてる間はアへ顔で股座をおっ広げながら白いモノを垂れ流してたし」

 

「は、恥ずかしいですぅ……」

 

 ヤっている間は兎も角として、終わって思い出してみれば黒歴史化したいくらいに恥ずかしい。

 

「ユートさん」

 

「どうした?」

 

「ミナさん、ラナさん、ネアちゃんが覚えた念っていうのを私も使えませんか?」

 

 真剣な顔でユートの御腹辺りに跨がり、両手を顔の横に付けながら覗き込む様に言うシア。

 

「どうしてそう考えた?」

 

「……私は魔力こそ有りますが魔法の才能は皆無と言えます」

 

「そうだな」

 

 神代魔法も覚えこそしたが、重力魔法であるのなら自分の体重を多少ながら増減させる程度でしかなく、空間魔法もちょっと財布の中を拡げれたくらいでしかない。

 

 再生魔法も擦り傷なら一分くらいで治る程度、昇華魔法も力が一%くらいなら上がったかな? という誤差の範囲内。

 

 自分の才能の無さに絶望したくなる。

 

(シアも身体強化に関しては可成り凄まじいんだけどな。念……ねぇ、覚えたとしたら強化系待ったなしで大して今と違わない結果になると思うんだけどな~)

 

 六相図で六つの系統が在る念能力。

 

 強化系、変化系、放出系、具現化系、操作系、特質系の基本的にそのどれか一つに属していて、両隣のどちらか寄りになるくらいだ。

 

 例えばゴン・フリークスは放出系寄りの強化系と判断されており、どちらかと云えば変化系より放出系の方が得意な強化系である。

 

 ユートの場合は大元は具現化系に属しており、特殊な生い立ちなどから後天的な特質系に変遷をしたものと思われ、全ての系統が一〇〇%の修得率を持った特質系として表れていた。

 

 【緋の眼】を開眼したクラピカとは似て非なるもので、ユートの方が上位互換になると考えられているけど理由としては態々、特殊な状態に成る必要が無くてオーラ消費も変わらないのと、修得をした念能力なら一〇〇%の精度で扱えるというクラピカと、修得率から全ての系統が一〇〇%なユートというのは矢張り別物。

 

 クラピカの修得率は具現化が一〇〇%の天辺、両隣――とはいえ片方は特質系だから実質もう一方のみ――の系統が八〇%、更にその隣が六〇%で、一番の対極に在る放出系が四〇%の精度の修得率となっている。

 

 尚、ゴンの場合は強化系の対極が特質系であり通常は誰でも〇%だから考慮する必要は無い。

 

 ユートの攻撃型念能力――【勇者王誕生(ガオガイガー)】なんてのは相互協力型でないと普通は成立しない筈なのだけど、ユートの場合は一人で莫大なるオーラ量と広大なる容量と全精度が一〇〇%の修得率によるごり押しで創られていた。

 

 因みにだが、どうやら具現化系は一二〇%ではないか……という意見を貰っている。

 

 抑々、ユートはハルケギニア式魔法【錬金】から始まってそれが【錬成】に進化、様々な鉱物やアイテム――鎧などを造っていたが故に具現化系が一番になるのは当然の帰結。

 

 一二〇%なのも不思議な話ではない。

 

 ユートは独創性こそ少し欠くが、創り手としては単純に闘うより高い適性を持っていたらしく、それが剣士――刀舞士として妹の緒方白亜に勝てなかった理由であろう。

 

 例えるなら遠い将来の転生後に異世界転移にて出逢う――【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか】の世界のヘファイストス・ファミリア団長の椿・コルブランド、鍛冶師としては団長なだけあり一級品の腕前で自らが鍛え上げた武器の試し切りにダンジョンへ行って、遂にはLV.5の第一級冒険者となった。

 

 とはいえ飽く迄も鍛冶師である為にだろうか、純粋な剣士の【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインに同じLV.5の頃にも勝てなかったろう。

 

 得意分野の違いというやつである。

 

「結論から言うと不可能ではないが難しいと言わざるを得ない」

 

「な、何故ですか? あの三人に有って私に無いものがあるんですか!?」

 

「逆だ」

 

「逆……ですぅ?」

 

()()()()()()()()()()()()()()()が邪魔をしているんだよ」

 

 小首を傾げるシア。

 

「念は生命エネルギーたるオーラ、氣と呼ばれるモノと同じでシアの中に在る魔力とは衝突(コンフリクト)をしてしまうんだ」

 

「ま、魔力ですかぁ……」

 

 今まで悩まされたと同時に恩恵でもあったのが亜人族には本来だと無い筈の魔力、まさか念能力を修得するのに邪魔をされるとは思わなかった。

 

「【HUNTER×HUNTER】の世界では念は誰にでも修得可能と謳っているが、あの世界に魔力の持ち主は居なかったからこその謳い文句」

 

「不可能ではないとは?」

 

魔力(オド)氣力(オーラ)を使い分けられれば念能力を覚えられなくもないからね」

 

「でしたら!」

 

「それにどれだけ時間が掛かると?」

 

「うっ!」

 

「先ずは使い分け、それから念能力を扱う氣力を鍛え上げていかなければならない。あの三人であれば魔力を持たないんで初めからオーラを扱うのに時間を割ける。だけどシアは先ずを以て使い分けからである以上は余計な時間が掛かる」

 

「そうですか……」

 

 しょんぼりムードなシア、新たなる力の覚醒はちょっと無理だと理解をするしかないからだが、咸卦法を使えたら不可能ではなかったという訳で黙っておく。

 

 確かに念能力は可成り強力なものにも仕上がる可能性があるし、シアの目の付け所も悪くは無かったのだが氣力と魔力の衝突なんて現象はどうにもならなかった。

 

「あの、念能力にはどんなものが在りますか? ミナさんやラナさんやネアちゃんはどうなりますかね?」

 

「彼女達がどんな念能力を得るかは系統次第だ。どんな念能力……ねぇ」

 

 ユートはちょっと首を傾げた。

 

「そうだな、僕の知り合いの念能力者なんだが、能力名は【嘗ての栄光の象徴(カルティックディルドー)】という」

 

「どんな念能力ですか?」

 

「女の子の身で股間に男の象徴を生やす具現化系の能力、本人は操作系だから余り相性とかは良くなかったんだけどな」

 

「男の象徴?」

 

 シアが思わずユートの下半身に目を遣ったら、ユートのソレがまた反り勃っていて真っ赤になってしまう。

 

「戦闘には……」

 

「使える訳が無いだろうに」

 

「ですよねぇ?」

 

 要するに可愛らしい女の子が股間にティンティンを生やす為の意味不明な念能力。

 

 とはいえど()()には特殊な能力が付いていて、()()()()()()()()僅かながらオーラを奪って自分にプラス、最大オーラ量を微々たるものではあるが増やす事が出来た。

 

(男の娘だったのが女の子に転生して、あの能力を得てからだろうけど女誑しになったよな)

 

 女の子に成りながら女誑しにもなってしまったとか笑い話にもならないが、御零れに与れたりするから怒るのも違う。

 

 正しく嘗ての栄光――男の象徴を念能力で一時的に甦らせたという訳で、美少女を口説いて閨まで引き込み自身の美少女然とした顔も相俟って百合にしか見えないのだが、それなりのモノを具現化――前世でのモノを完全再現――させて反り勃たせているのだから絵面が凄い事に。

 

「僕の念能力ならそうだな……【破壊神の右拳(ブロークンマグナム)】、ジェネシックガオガイガーのブロークンマグナムを放出系の念能力として使う技だ」

 

「よく判らないですよ?」

 

「記憶映像だ」

 

 ユートは再生魔法で【破壊神の右拳】を使った際の映像を再生、其処にはグルグルと凄まじいまでの回転をするピンクの拳を打ち出すユートの姿があり、放たれた拳型のオーラが回転を弥増しながらも敵の腹に打ち込まれ――

 

「うわ~!」

 

 生きた人間の腹を貫いた。

 

 ジェネシックガオガイガーのブロークンマグナムは腕部ではなく、拳のみが回転して飛ばされる仕組みとなっていて貫通力も高い。

 

 因みに、【破壊神の左掌(プロテクトシェード)】という攻撃の反射も出来るバリアを展開する変化系能力も在る。

 

「確かバラバラ……じゃない、バラとかいう放火魔……じゃなく爆弾魔の一人だったか?」

 

 それなりには動ける男だったけど腹を突き破られては堪らず、ゲンスルーやサブが叫んでいる中で血反吐を撒き散らせながら吹き飛んでいた。

 

 ユートが使う攻撃型の念能力はガオガイガーに関係するものばかり、矢張り次元放浪をする前にハルケギニアで記憶を喪った卯津木 命やパルス・アベルと関係を持ったからだろうか?

 

 序でに云うと【スーパーロボット大戦α】と称される世界、通称――【α世界】での関わりに於いて時期的に【第二次スーパーロボット大戦α】や【第三次スーパーロボット大戦α】でガオガイガーやGGGと関わって詳しい情報が頭に入っていたのも、ユートがこんな念能力を創れてしまった要因となっている。

 

「さ、明日からヘルシャー帝国入りして忙しくなるから寝てしまえ」

 

「……はい、ですぅ」

 

 疲れもあってか割とすぐに寝息を立てるシア、そんな彼女の頬に口付けするとユートもゆっくり目を閉じて意識を落とすのだった。

 

 

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 【HUNTER×HUNTER】のっぽい噺を書いていたら一ヶ月くらいが経過していました。

 尚、作中の名前の出てない念能力者というのはカルト君の事です。剃出伊宮狩斗とか意味不明な名前も頭に浮かんだけど現在では殺し屋ではないカルト・ゾルディック、普通の一家なゾルディック家長女ですがユートの識る世界の前世の記憶を何故か持った侭で生まれ変わりました。

 マチみたいな来世契約はしてません。


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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