ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 自サイトでHUNTER×HUNTERを書いていたらすっかり御無沙汰に……





第96話:ありふれた宴

 

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 話は通っていたからであろうが大慌てな門番の一人が偉い人を呼んで来る。

 

 先触れでリリアーナの来訪が告げられており、それを門番に報せない筈もないのだから。

 

「これはリリアーナ姫様」

 

 大仰な手振りで出迎えたのはリリィの顔を知る帝国の宰相、ニコニコと笑顔を浮かべて来訪を喜んでいる様にも見えるが面倒と思っていそうだ。

 

 取り敢えずリリィとその他――ユート達――を城へと案内をする形になる。

 

 リリィの傍にはあからさまに忍ですと云わんばかりなのに、何処か派手な装いをした女の子が侍っていて警戒しながら共に歩いていた。

 

「ねぇ、優斗」

 

「どうした?」

 

「あの娘は誰な訳?」

 

「ツバメか? 君らと同じく【閃姫】だ」

 

「それは判っているわよ。閨に誘われて嬉しそうに付いていく以上、優斗とそういう仲なのは理解しているわ。だけどツバメって何処の誰なの? 私は彼女が出る漫画やアニメを識らないわ」

 

 雫の科白に香織や鈴達が頷く。

 

「トワ教官も私達は識らないかな」

 

 香織が思い出すのは教官として城内の騎士達を纏めていた褐色の肌を持つ長い黒髪の女性騎士、喋る機械っぽい獣みたいなのを肩に乗っけていて無表情だが寡黙という程でもなく会話が出来た。

 

「実は僕も識らない」

 

「「は?」」

 

「誤解の無い様に言うが、シリーズ的には識っているんだ。だけど彼女らが登場する作品その物は僕も既知じゃなくてね」

 

「どういう意味?」

 

「う~ん、例えばだがドラクエⅡは識っているけどドラクエⅧは識らないみたいな?」

 

「つまり未来で存在してる?」

 

「彼女らと出逢ったのは【ラングリッサー】という世界だ」

 

「ああ、随分と昔に出たゲームよね」

 

 一九九一年の四月に発売されたのが最初の噺、一九九六年生まれの雫達は産まれてさえいないし【ラングリッサーⅢ】が発売された年だったから当然ながらこれもよく識らない。

 

 一年毎に発売されて一九九九年に絵師や作風を変えた【ラングリッサーミレニアム】発売以降、ラングリッサーシリーズの新作が発売される事は無くなり、ユートの最初の世界ではユートの死後の翌年に【ラングリッサー リインカーネーション ー転生ー】がニンテンドー3DSで発売された。

 

 更に四年後のニ〇一九年に【ラングリッサーモバイル】が日本で稼働、その世界観のフォーマットは【ラングリッサーⅤ】から一五〇年経過後のエルサリア大陸の動乱となる。

 

 尚、ユーキは死んだ時期から【ラングリッサー リインカーネーションー転生ー】はプレイ済み。

 

「最初は可成り未来の世界だった。カオスも消えていたし、ルシリスも力を随分と喪失して最早消え掛けていたからな。人間も魔族も滅亡しつつあった上に何故かクリムゾニアまで居た」

 

「混沌と争乱の神カオスと法と秩序の神ルシリスが消える? 人間と魔族までって……」

 

 生まれる前に発売されたゲームなだけに情報がまるで足りない香織は、何とかある程度の情報を頭から引き出している様子。

 

「【ラングリッサーⅠ】で消滅しないみたいな事を言っていたが、世界の滅亡は神の滅びをも促したのかも知れないな。僕はあの世界へカオスにより招喚され、ルシリスの頼みで過去に――千年以上は前の【ラングリッサーⅢ】の時代にミニジェシカと共に跳んだ。僕はラーカス王国の浮遊城へ跳ばされて、ミニジェシカは過去の自分自身と融合をして離れ離れになったな」

 

 ジェシカは転生して間が無かったのか一二歳か其処らの年齢で、女神ルシリスも人間と変わらないサイズでしかなかった。

 

 とはいえ合法な少女、報酬代わりに抱かせて貰ったら何故かルシリスも身悶えていたり。

 

 どうやら感覚――但し性感のみ――が繋がっていて感じたらしい。

 

 融合したジェシカは未来を思い出すというよく解らない現象に戸惑うも、少しずつでも記憶が晴れていく中でユートに出逢って完全に融合した。

 

 数百年――【ラングリッサーⅢ】の時点ですらもそれだけ生きてきて、然しながらルシリスの分身で化身で代弁者たるジェシカの自覚からか恋愛は疎か、自身の女としての性を満足させる事もしなかったが故にニ千年を越えて初めてのセ○クスをしたからか、肉体的には処女でありながら経験をした記憶だけが鮮明に甦って遂々、頬を赤らめながらユートに抱き着いてしまったものである。

 

 見た目がニ〇代半ばで美女なだけに周りが騒いだのは当然の流れであろう。

 

 この刻からユートとジェシカの千と数百年にも及ぶ旅が始まった。

 

 【ラングリッサーⅢ】でパウルがボーゼル化しており、最初は確かにパウルの意識で動いていたのかも知れないがユートやディハルト達に一度は敗れ、数百年後の【ラングリッサーⅠ】で復活をした時には既にパウルの意識は喪われてボーゼルとしてのみの意識で動く。

 

 この時代はジークハルト王やルインの子孫であるレディンがラングリッサーを手に闘ったけど、ユートに鍛えられた彼は史実とは違ってギリギリまで頑張って踏ん張った為、クリスとの出逢いを逃してしまった。

 

 レディンの退路を確保に動いたユートがクリスと出逢い救ったので御察しである。

 

 ニ〇〇年後にはバルディア王国も喪われてしまって、レディンとクリスの同僚のシスターの子孫たる放浪の戦士エルウィンは旅をしていた。

 

 大人しくリアナ辺りと結ばれてりゃ良いものを何を血迷ったか、覇王ルートに突き進んで最後にはリアナとラーナの双子を擁したユートに討たれてしまう。

 

 生かしているからその後は子孫を残したのか、或いはリアナと離れてしまって独り身を貫いたのかはユートも知らない。

 

 カルザス帝国を出奔してイェレス大陸に向かったユートは、ランディウスの住まう村で暫く平和に暮らしていたが矢張り起きた洪水。

 

 詳しい時期が判らない以上はどうしようもなかった為、ランディウスが流された村の村長の家に『賢者の水晶』を守るべく居候してランディウスとレイチェルとリッキーの兄貴分に。

 

 闘いの最中に目覚めたラムダを保護して失踪をしていたウェルナー、シグマと共に動きつつ敵の首魁だったギザロフをランディウス達と討つ。

 

 何故かシリーズのヒロインの大半を納めてしまったユートは、今回も今回とてラムダというよりはマリアンデールを喰っちゃった訳で。

 

 ユートがやらかしたのは至極単純な事であり、要はヒロイン達と主人公より先に出逢いを済ませた上で必要な事をして助けるだけ、語るは易しだが行動をするには難い困難だと云える。

 

 ラムダを例に挙げれば自己覚醒前に彼女を覚醒させて、ギザロフの洗脳だか教育だかを解除してマリアンデールの記憶を僅かにだが思い出させた事を切っ掛けに懐かれた。

 

「じゃあ、優斗の隣に侍るのは?」

 

「嘗ての帝国の魔女ルクレチア」

 

「何処の帝国よ!?」

 

「何処だっけ?」

 

 雫からの質問にルクレチアへと訊ねる。

 

「グレスデン帝国ですわ陛下」

 

「そうそう、グレスデン帝国の国教クロニク教の教皇代理だったっけな」

 

 ユート自身はグレスデン帝国なんて行った事も無いが、ルクレチアやその他の者から聞いていたから判っているに過ぎない。

 

「教皇代理って……」

 

「気になさる事でもありませんわ。所詮は光輝の末裔に敗れた帝国の元御偉いさんでしかありませんもの」

 

 事も無げに言うルクレチアだったが、彼女により不幸になった人間も居るからには余り笑い所とは言えなかった。

 

「因みに可~成~り、猫を被っている」

 

「でしょうね」

 

「まぁ、酷いですわ陛下ったら」

 

 可愛い子ぶりっ子を演じるルクレチアに違和感を感じた雫は然もありなんてと頷いたものだが、今現在は同行していない恵里'に通じるナニかを感じ取れたのかも知れない。

 

「元々、ルクレチアが僕の方に接触をしてきたのは僕が持つ聖剣と魔剣の気配を敏感に感じ取ったからなんだよな」

 

「聖剣と魔剣?」

 

「聖剣ラングリッサーと魔剣アルハザードだよ。最初に出た【ラングリッサーⅤ】から約一五〇年が過ぎ去った時代、その時代に於ける光輝の末裔が失敗をしたのか世界は滅茶苦茶になっていた。その世界線に放置されていた聖剣と魔剣を回収していたからな」

 

 大元となったラングリッサーとアルハザードは青き星ペイリアを起動するキーとしてクリムゾの民が製造した〖真・破邪の剣〗、それに対抗するべく被支配下層のクリムゾランダーが真似て製造した〖破邪の剣〗がそれぞれカオスとルシリスの名の許に変化させた物。

 

 真・破邪の剣は魔剣アルハザードに。

 

 破邪の剣は聖剣ラングリッサーに。

 

 聖魔剣戦争終結時にどちらも砕け散ってしまっていたが、どうやら光輝の末裔もボーゼルも各々が再製作をしていたらしくてレイモンド子爵一一ジークハルト王の魂は存在しなかった。

 

 ラングリッサーにはユリアという少女の魂が、アルハザードにはゼルダという少女の魂封入をされており、二人の魂に接触をして何があったのかを詳しく聞いておく。

 

「ルクレチアの目的はグレスデン帝国の頃と変わらずラングリッサーとアルハザードを手に入れ、世界を破滅させて人造人間だけの世界を創るという事だったんだよな」

 

「人造人間? どういう事よそれ」

 

「ルクレチアはクロニク教の教皇が娘ルナタの血を用いて製造した人造人間だったんだ」

 

「なっ!?」

 

 故にルクレチアの姿はルナタと瓜二つであり、その気になればルナタの代わりを務める事すらも可能であったが、残念ながら皇帝オウトクラトにはお見通しであったらしく看板されている。

 

「あらあら、恥ずかしいので見つめないで下さいまし」

 

「あ、御免なさい」

 

 だけど雫達の目にはルクレチアが人造人間には見えず、どうしてもジーッと凝視をしてしまってそれをルクレチア本人に咎められる。

 

「他にもルクレチアと同じ場所から来た何人かと【閃姫】契約をしてある」

 

「ルクレチアさんが人造人間なら契約は出来ないんじゃないの?」

 

「そんな事は無い、ラズリだって契約は出来た。まぁ、ルクレチアの場合は生身の肉体を与えたんだけどな」

 

「ラズリ? って言うか生身の肉体を与えたってどういう意味?」

 

「さっきも言ったがルクレチアはルナタを基型とした人造人間、血液を使っているとはいえ矢張り人間とは異なる存在だ。しかもルシリス教からしたら禁忌の技術らしくてジェシカの目が厳しいのなんのって。仕方がないから僕がルクレチアの姿をした肉体を【創成】で創ってやってから意識を移したんだよ」

 

 ユートの【創成】、昔は有機物を創れないと考えていたけど放浪期に出逢ったレンという少女の力を視て、実は可能なんじゃないか? と考えられる様になったからか上手くやれた。

 

 実際、思い込みから出来なかっただけだと知ったユートはモノは試しに、本来なら虚無の担い手でないと使えない虚無魔法を使用してみたなら、普通に【世界扉(ワールド・ドア)】を開けてしまったものだから思わず唖然としたものである。

 

 ユートはあらゆる()()に高い親和性を持たされている、それこそが日乃森なのはから与えられた転生特典(ギフト)であったという

 

「肉体を創る……それって若しかしなくっても、クラスメイトを生き返せたりしない?」

 

「やろうと思えばね。やらんけど」

 

 ユートがその気になれば死んだクラスメイトを甦らせるのも確かに容易いのだけど、抑々にして『死者蘇生まっすぃーん』になる心算は全く以て無いのだからやる訳が無い。

 

「ま、一〇億円――一応はクラスメイト価格って事で一億円で請け負ってやらなくもないか」

 

「たっか!」

 

「別に一〇円程度でも構わんが、それってつまりは人間の命の価値が安値だって事になるな」

 

「そ、それは……」

 

「この世界の命はちり紙より軽くて脆い訳だが、それを肯定する行為が命の値段の値引きだろう」

 

「うっ!」

 

「そんな安い命なら態々生き返らせる意味なんて無いと思うけどね」

 

 余りにド正論で閉口をしてしまう雫。

 

「どうしましたか?」

 

「何でも無いよ、リリィ」

 

 歩きながら器用に話し合う二人にリリィが気付いて話し掛けて来たが、特に話す程の内容でもなかったからかユートは手をプラプラと振りながら何でも無いアピールをした。

 

「そうですか? そろそろ着きます、皆様も着替えて来て下さいね」

 

「あ、判ったわ」

 

「ドレスに着替えて来ます」

 

 雫と香織だけではない、勿論だが鈴やティオやユエにシアにミレディといった美少女【閃姫】達やオマケな辻 綾子と吉野真央もドレスアップし、ヘルシャー帝国が主催するパーティに出席をする事が決まっていた。

 

 当たり前だけど違う国に国家元首なり何なりが訪れれば表向きはどうあれ歓迎され、それなりに歓待されて宴の一つも開かれるもの。

 

 そしてこれも当たり前だが高い立場にあるであろう人物が、こうして訪れるならば先方へ先触れを出しておくものである。

 

 故にこそ、ヘルシャー帝国もこうして歓迎の宴の準備が出来たという訳だ。

 

 とはいえ、リリィ――リリアーナ・S・B・ハイリヒが国家元首に準ずる地位だったのはほんの少し前までの話であり、今の彼女はユートの寵愛を受ける事を至上とする只の女に過ぎない。

 

「ユエにせよ君らにせよ、白は止めようか」

 

「……ん? どうして?」

 

 皆が着てきたドレスは純白。

 

「侍女から説明を受けなかったか?」

 

「ああ、ちょっとした言い争いを香織とユエさんでやらかしちゃってね」

 

「聞いていなかったと?」

 

「そうなるわ」

 

 雫も余り聞いていなかったから皆と同じ純白のドレスで合わせたらしい。

 

「まぁ、ティオやシアに帝国のあれこれが判る筈もないし……ミレディに至っては一万年のレベルで外と交流が無かったからな。鈴は言わずもがなだろうから仕方がないか」

 

 頭を振りながら呆れているユートに全員が首を傾げてしまうが……

 

「白はヘルシャー帝国では子供服みたいなもんなんだよ。純白を無垢の象徴みたいに視るのは変わらんが、大人が純真無垢な筈が無いから子供だという証かな?」

 

 ユートの説明にガーン! と鈍器でぶん殴られたみたいな衝撃を受けた。

 

「……き、着替えて来る」

 

 全員がやらかしたという顔だけど、ユエなんてもう涙目になっている。

 

 一二歳頃に再生のスキルを得て成長が止まったユエは、三〇〇年が経とうと決して成長をした姿になれないトラウマがあったのだろうに、自分で子供服を選んだのが余程に堪えたらしい。

 

 言い争ったという香織でさえユエを気遣う程に意気消沈をしていた。

 

 因みに言い争いの理由自体は些細なものだったらしく教えてくれない侭である。

 

 パーティー会場に向かうリリィのエスコートの為に、彼女が宛てがわれた部屋に向かってみたら室内に口から泡を吹きながら涙を流しつつ己れの分身が有る筈の場所を押さえる男が倒れており、リリィの隣に立つツバメがフンス! と気合いを入れ両手にクナイを持って男を睨んでいた。

 

「ツバメ、どうした?」

 

「主、この汚い不埒者が行き成り室内に押し入りまして姫に触ろうとしたので切り落としました」

 

「そうか、でかした」

 

「ハッ!」

 

 誉められたからか嬉しそうなツバメ。

 

「いや、でかしたじゃないわよね!? リリィ、その人は誰なの?」

 

「ヘルシャー帝国の皇太子バイアス・D・ヘルシャー殿下ですわ」

 

「ぶふーっ! 超が付く御偉いさん!?」

 

 名前を聴いて雫が噴き出す。

 

 取り敢えず香織と鈴は常識人だったらしく驚きに目を見開くが、元女王だったり長の娘だったり現在進行形でお姫様だったり元貴族の娘だったりなトータス組は勿論、従うべき主でもないからとツバメや元教皇なルクレチアもスンとした表情、というより目つきは塵芥でも視るかの如く冷ややかで視線だけで殺せそうだった。

 

 まぁ、直にその現場を見ていたツバメからすれば切り落としたのは英断だと思っているのだし、すぐにもリリィのドレスの胸元が引き裂かれているのにルクレチアも気付いていたから、塵芥というか正しくGを視る乙女くらいには嫌悪感に満ちていたりする。

 

「ふん、浅ましい男ですね。自分のモノでもない女性に狼藉とは。コレが皇太子とはヘルシャー帝国とやらも長くはないかも知れません」

 

「ルクレチアは相変わらずの毒舌だな」

 

 とはいえ、知らなかったで済まされる問題ではない事をバイアス・D・ヘルシャーはやった。

 

 そんなレ○プ紛いというかそのものをやらかしたのだ、ツバメがバイアス・D・ヘルシャーのJr.を切り落としたのだとしても、況してや自分の女を狙った莫迦のJr.ならばユートは罪に問わない、寧ろヤったツバメの事を最大限の賛辞を以て賞賛すらしてしまう。

 

 ツバメも『フローレ様』と()()()()()好意を寄せるユートに誉められて御満悦。

 

「取り敢えずは行くかね」

 

「あ、あの!」

 

「どうした?」

 

 堪らず声を掛けてきた侍女A。

 

「バイアス殿下の事を如何したら宜しいのでしょうか? こんなの私では判断に困ります!」

 

 股間から血を流す男を指差して嘆く。

 

「優しく手当てしてやれば? 存外と気に入られて愛人くらいには成れるかもよ。尤も、大事なJr.が消えて無くなってるから皇太子の地位も流石に危ないかも知れんがね」

 

「絶対に嫌で御座います!」

 

 手当て=バイアス・D・ヘルシャーの股間へと手を伸ばす行為であるだけにか、侍女Aも侍女Bも侍女Cも侍女Dも嫌そうな表情となる。

 

「四人共が嫌な訳?」

 

「「「「嫌で御座います!」」」」

 

 綺麗にハモる程に嫌らしく涙目だ。

 

「皇太子妃や側妃は無理でも愛人だぞ?」

 

 それなりにだが贅沢な暮らしくらい出来そう、というかユートなら愛人処かそれこそ行きずりに一発ヤっただけの女でもそれなりの額を支払う。

 

 況んや、愛人や側妃なら贅沢三昧をさせてやるくらいはしている筈だし。

 

 事実として所謂、【ラングリッサー】勢にしてもユートが王や貴族に成らないにせよその時代に添った贅沢をさせていた。

 

 ある意味でユートは主人公達――ディハルト、レディン、エルウィン、ランディウス、シグマ、マシュー、アレス――からヒロイン達を略奪した形になるだけにエルウィンを除く主人公達に対するケアまでも確りと行っている。

 

 主に嫁さん捜しな方面で。

 

 エルウィンの場合は何を思ったか血迷ったか、覇王√をまっしぐらに突き進み始めたからリアナを奪ったのではなく、彼女とラーナは光輝の巫女としての使命の侭に闘う事を選択した時に請われてリアナ&ラーナに寄って立ったに過ぎないし、覇王討伐の報償に近い形で二人は自らを差し出して来ただけ。

 

 愛は無くて、二人は本来なら愛する筈だった男を喪って――エルウィンはリアナに頼まれて命を奪ってはいないが――しまい、哀を以てユートに侍るという選択をしたに過ぎない。

 

 エルウィンに付いていったヘインも居なくなってしまい、同じくエルウィン側に付いたロウガとソニアに関しては兄ではなく男として愛していたロウガの助命を、その美麗なる肢体を開いてまで請うたソニアが侍る事となった。

 

 また、小説版にしか登場していないシャロンとラミィも最終的にはユートの許に集う事となっているし、千数百年以上も前から常に傍に寄り添うジェシカ――何故かリーンカーネーション版――も当然の如く居た訳で……

 

 そしてナームとその母親や祖母などがそうであった様に、自らに流れる血脈に惹かれたのか? シェリーも矢張り同じく惹かれたらしい。

 

 恐らく滅亡した未来に続くA世界線では普通に進んだ――ジェシカの話ではエルウィンが覇王√なのは変わらなかったとか――のだろうけれど、果たして進むべき未来が滅亡してしまっているのとヒロイン達がユートに侍るB世界線、どちらが主人公達にとってマシな世界なのだろうか?

 

(そういえば、今となっては光輝(ひかり)の末裔ってのはまるで勇者(笑)の末裔っぽくて嫌な響きだな)

 

 漢字で書くとまるで彼らが天之河光輝の末裔みたいだ。

 

 どうでも良い事はもう考えるのも億劫だから、取り敢えずはバイアス・D・ヘルシャーの世話をやらせる者について考えるが、自分の【閃姫】には絶対にやらせたくはないからどうしたものかと思案をする。

 

 仕方がないなと兵士を呼び付け――『皇太子がリリアーナ姫に対して乱暴をしようとしたから、護衛が防衛? 行動に出たから連れ出してくれ』と割かし真実だけど自分でも信じられない話を伝えてやったら大慌てだった。

 

 リリィのドレスが引き裂かれて胸元がはだけていたから信じるしかないし、何よりも彼女が特に否定をするでもなく頷いているのが大きい。

 

 儚くも美しいお姫様がはだけて露わとなっている胸を羞恥心に塗れながら腕で隠しているのだ、流石に内緒だけど姫君とはいえ一四歳の小娘とは思えない程の艶を帯びたリリィに対して、兵士君は下半身のJr.がおっきしているのを自覚する。

 

 腰当ての前垂れが無ければ無様に勃起をして、小山の如く盛り上がる股間を晒し彼が大恥を掻いたのは間違い無い。

 

 それを思えばバイアス皇太子など怨みの対象にしかならないが、取り敢えずだが今夜のオカズにリリアーナ姫のあられもない姿を脳内に確かりと記憶して使う予定だ。

 

 不敬ではあるけど直に手を出す訳ではないから決して……

 

「バレないと思ったかな?」

 

「ヒィッ!」

 

 【閃姫】に対して横島――じゃなく邪な感情を懐きユートにバレない筈も無かった。

 

「さて、その記憶を消去されるのと()()()()()()()()()()()()()()姿()を一生涯、エロ方面に思考が寄っただけで脳裏に浮かぶ様にされるのとどちらを選ぶ? 選択をさせてやろう。因みに毎晩の夢にも出てくるぞ」

 

「消去で御願い致します……はい」

 

 若しも消去を拒めば女を抱く時にすらバイアス皇太子のあられもない姿とやらが浮かぶという、単に地獄と呼ぶのも生温い煉獄にでも放り込まれた気分になるであろう。

 

 記憶消去――【魔法先生ネギま!】では寧ろ、痴呆魔法とも言うべき魔法がそれに当たる。

 

 原典でもネギが言い切っていた。

 

『ちょっとパーになりますけど』

 

 恐らく本来は決しておバカさんでは無かった筈の明日菜が、バカレッドなる『麻帆良戦隊バカレンジャー』のバカリーダーに成り果てていたのも記憶消去魔法が原因だと思われる。

 

 故にユートはあれを痴呆魔法と呼んでいた訳だ。

 

 原理としては選択的な消去が難しいから近時からの記憶消去が主だが、明日菜というかアスナ姫の場合は百年にも及ぶ幽閉期間も含む消去となったから殆んどの記憶が喪われた筈。

 

 アスナ姫が神楽坂明日菜として麻帆良学園都市に来た際には、本人の中学生としての記憶から鑑みて哀れな捨て子か何かで高畑先生に拾われたかどうかした子供みたいなノリだったのだろう。

 

 正確にはアスナとしての人格も消滅していた訳では無かったものの、どうやら百年を越える人柱な状態の明日菜を保護していたからかその後は消えてしまった模様。

 

 或いは融合したのかも知れないが、ユートが居る世界線では抑々が人柱にも成っていないから、もう窺い知れないifの話でしかないのだが……

 

 尚、ユートが居た再誕世界の世界線はユートが一切関わらぬ【聖闘士星矢LC】で何の干渉もされていなかったA世界線を基型として、時間概念の神化した時空神のクロノスによる干渉が起きて滅亡した二〇世紀から牡羊座のアヴニールを送り込んだB世界線、その後もユートの関わりが無い侭に突き進み【聖闘士星矢LC】のEDから未来の二一世紀へと更に進んで更に百年後の三〇世紀

で超 鈴音の未来世界となる。

 

 それは更に明日菜を人柱とした世界たる謂わば【UQ HOLDER!】の世界線を生む超 鈴音が干渉をした世界に分岐させ、B-1世界線とB-2世界線が生じる結果となってしまうけどこれにユートが干渉を始めたC世界線の誕生で変わった。

 

 先ずは極々普通? に【魔法先生ネギま!】や【聖闘士星矢】に干渉して生きていたユートが、超 鈴音により誤って遥かな過去へと跳ばされたのは矢張り時空神クロノスの干渉によるもの。

 

 ユートは【聖闘士星矢LC】に何故かぶち込まれてしまい、その世界に干渉をして取り敢えずは魚座の黄金聖闘士アルバフィカの死に直面して、彼の遺体と黄金聖衣を聖域に運んだ後にアテナたるサーシャから仮の魚座に任命された。

 

 そして双子座の黄金聖闘士の二人による戦闘、ユートは二人が融合してから更に消滅をした後に双子座の黄金聖衣をアテナや本人達からは無断で借り受け、双子座の黄金聖闘士として最終局面での活動を開始している。

 

 アテナ――サーシャと天馬星座のテンマと冥王の器だったアローンの闘いに干渉、ハーデス封印に際して彼の神氣を喰らい総じて二柱目になったハーデスの神氣を得た。

 

 その後はユートのみが残されてしまったので、牡羊座のシオンと天秤座の童虎が生き残った聖域へと戻り、他にも未だに修業が終わらず見習いで聖闘士と認められていなかった牡牛座のアルデバランの弟子が合流して彼がアルデバランとなる。

 

 正式に聖闘士として生き残ったのは確かに二人――牡羊座のシオンと天秤座の童虎のみだけど、聖闘士見習いやユートみたいな正規の聖闘士では無い場合、一角獣星座の耶人みたいに聖域に戻らなかった者などがカウントされなかったらしい。

 

 その後に時刻神カイロスだった杳馬による襲撃までに、ユートの修業を受けたアルバフィカに救われた花売りの少女――アガシャが青銅聖闘士として百合星座をユートから授かった。

 

 本来は聖闘士に成らない筈の少女であるけど、最終的には魚座の黄金聖闘士と認められる。

 

 原典通りにカイロスが襲撃後、神聖衣にまでも進化した天馬星座の青銅聖衣は元となるテンマの魂を喪い、星矢が纏った最初の青銅聖衣に退化をして聖域に戻ってきた。

 

 これにより牡羊座の黄金聖闘士のアヴニールが存在しない世界線として、ユートが干渉を始めたC世界線の雛型が完成をする事になる。

 

 その雛型こそがユートの世界線に足を踏み入れた超 鈴音の未来に繋がった世界線、そしてユートが跳び越えた本来のC世界線に繋がっている筈の【聖闘士星矢ND】に干渉、漸くこれで星矢達に追い付いてやるべき事を終わらせたのだ。

 

 この際の闘いで都合、三度目になるハーデスの神氣喰らいを行っているからかユートが神殺しの魔王に成った時に権能は三種類を得ていた。

 

 完成したC世界線は最早【UQ HOLDER!】に繋がる事は無くなる、何故ならば始まりの魔法使いとも呼ばれた『ライフメイカー』はユートにより滅ぼされてしまったから。

 

 火星はユートが【閃姫】となったアーデルハイトと共にテラフォーミング、裏火星が消失する事も無くなったから超 鈴音の未来も喪われた。

 

 裏金星たる魔族の住まう世界たる魔界とも争いになったし、貴族と呼ばれる存在とも闘う羽目に陥ったけど木星の裏とも云える亜空間に存在する星帝ユニクロンを差し向けたら魔界は白旗を上げて降参の意を示し、その証明にと二人のザジを差し出してきた。

 

 この二人はパクティオーカード上の名前表記がどちらも『ZAZIE』とあり、原典でポヨ・レイニーディとされた姉の方もザジが本名らしい。

 

 因みにどちらもザジでは呼び難いから原典通りに姉は語尾の『ポヨ』から、ポヨ・レイニーディに改名をさせる事で呼び名を安定させた。

 

 

 

 閑話休題

 

 

 

 兵士君のリリィに関する記憶を消去した後に、ユートはリリィのエスコートをして会場入り。

 

 本来の一四歳な小娘より艶やかで美しいリリィなだけに、周囲のお偉い貴族が若者から初老に至るまで呆然と彼女を見つめており、ガハルド・D・ヘルシャーですら見惚れるくらいだった。

 

「これはこれは、最後に会った勇者の御披露目以来の事だが随分と美しくなったものだな」

 

「ガハルド皇帝陛下、本日は宴にお招き戴き有り難う御座います」

 

「今宵はリリアーナ姫達を歓迎する宴なのだから存分に愉しまれるが良い」

 

 通り一遍の挨拶をしてるリリィは隣にツバメを侍らせ、ユートはルクレチアだけでなく先に会場入りしていた【ラングリッサー】勢や雫達やユエ達を傍にワインを嗜んでいる。

 

 見た目は相当な美少女ばかりで雫達は少しだけ見知っている顔ぶれ。

 

 クリス、リアナ、ティアリス、レイチェル、ラムダといったヒロイン達、加えてフロレンティアが理知的表情で御偉いさんの相手をしていたし、ジェシカも【ラングリッサーⅢ】モードとなって笑顔で貴族に応えている。

 

「随分と綺麗処を揃えてるじゃねーかよ」

 

 そんな美女美少女の見本市を侍らすユートに対してガハルド皇帝が、自分の隣に吊り目がちながらも金髪縦ロールな美少女を連れて、にこやかに笑顔を振り撒きながら可成り馴れ馴れしい態度で話し掛けて来るのであった。

 

 

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 ラングリッサーは飽く迄も想定した噺ですね、ランモバとリーンカーネーションを足した感じに滅亡した一巡目から過去に行き、其処からは謂わばオリ主ムーブで干渉をしていく感じです。

 最終的にランモバに落ち着きます。

 以前に書いた自サイトのラングリッサーで確かエルウィン関係を載せた筈……

勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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