此処は惑星O-50に存在する戦士の頂。資質あるものが辿り着けば力を得られると伝えられている其処へ1人の少年が辿り着いた。
その姿は控え目に言ってボロボロであり、服は所々破け、身体の方も傷の無い箇所など存在していなかった。全身から流れる血と痛みに歪んだその表情が、彼がこの場所に来るまでに味わった苦難を感じさせる。
立つのもやっとの状態だが、それでも少年は目の前にある光の環――オーブの光に手を伸ばす。
伸ばした手が光に触れ、そして――。
――6年後。
その惑星――ベルーラは今未曾有の危機に陥っていた。かつて人々を苦しめ、そして光の巨人によって封印された石化魔獣ガーゴルゴンが復活したのだ。
その目から放つ光線であらゆる物を石化させる事が出来るガーゴルゴンに対し、ベルーラに生きる生命は成す術なくその命を石化させていく。ベルーラには戦う手段が確かにあったが、それはガーゴルゴンを害しうる物ではなく、どれだけの戦力を注ぎ込もうとガーゴルゴンにとっては煩わしい羽虫が飛んでいるようなものでしか無かったのだ。
つまり、ベルーラにはガーゴルゴンを倒すだけの力も身を守る為の設備も無く、只蹂躙されるだけの弱者でしか無い。ほんの数十分前まで穏やかな命で満ちていたベルーラは生きた墓標が並び立つ地獄と化した。
生き残った人々は近くの建造物の残骸等に身を隠し、この地獄が早く去ってくれるようにと只ひたすらに祈るしか無かった。
奇跡的に生き残った人々はしかし、その奇跡は一瞬の物であると思い知らされる事となる。
ガーゴルゴンが一瞬震えたかと思うと、その背中から無数の触手を生み出し、生き残った人々へ向けて凄まじい速さで伸ばしたのだ。
触手はどのような手段か生存者達を容易く発見し、直ぐ様石化させていく。⋯⋯逃げ場など、存在しない。
これ迄どうにか生き残ろうと足掻いていたベルーラの民はその光景を完全に心が折れてしまっていた。どう足掻こうとこの災厄からは逃げられない。自分達は此処で殺されるしかないのだと受け入れるしか無かったのだ。
そんな彼らにガーゴルゴンが顔を向ける。その目から石化光線が放たれ――。
天から降り立った巨大な光に打ち消された。
この世の全ての闇を照らさんとばかりに輝く光は間髪入れずにガーゴルゴンへ光弾を放つ。
放たれた光弾はガーゴルゴンの見開かれた第三の目に命中し、目を潰されたガーゴルゴンは怒りに燃えて目の前の敵を睨む。
目の前に居たのは銀色の巨人であった。銀色をベースに赤と黒のラインが走り、胸の部分には球体のような青き命の光――カラータイマーが輝いている。
巨人はガーゴルゴンを見据えると、両腕を交差させ光エネルギーをスパークさせる。そして腕を翼のように広げた後十字にクロスさせた。
その右手の手刀部分から放たれた青と赤に輝く光線は、危険を感じて動こうとしていたガーゴルゴンに命中し、一瞬の後に爆散させた。
ガーゴルゴンの目が潰された事で石化が解かれていたベルーラの民達もガーゴルゴンが倒された事と、それを為したのが巨人である事を理解したのか、安堵したように喝采を挙げ、自らの家族と合流すべく歩きだした。
巨人はそれを見届けるとに両腕を広げ、宇宙へと旅立って行った。
ウルトラマンになった件について。
自分のこれまでの出来事に名前を付けるとしたら、このタイトルになるだろうか。
自分は21世紀の日本に住み、当たり前に高校に通い、当たり前に日常を過ごしていた日本人だった。
しかし、ある日自宅の扉を開けようとしたところ、全く見覚えの無い場所に立っていたのだ。
周囲に人影は無く、餓えや疲れから瀕死の状態になっていたところで現地の住民の方々に助けて貰い、彼らの村でどうにか生活させて貰っていたのだ。
しかし、彼らの星にグラマーガと呼ばれる怪獣が現れた事でその日々は終わりを告げた。
成す術無く蹂躙されていく人々に何か出来る事は無いかと考えていた自分は惑星o-50にある戦士の頂に資質のある者が辿り着けば力を得ることが出来るという話を聞き、一目散にその話に飛び付いた。
失敗すれば命は無いだろうとの言葉も聞いたが逆に好都合だと感じた。
自分が光に選ばれればグラマーガをどうにかする事も出来るかもしれないし、仮に自分が死んでもそれは食い扶持が1人減るという事であり、困窮している彼らの助けにもなるだろうと考えたのだ。
そして戦士の頂へ向かい、数々の妨害を潜り抜け遂に頂上へと辿り着いた。
⋯⋯自分は光に選ばれた。想像したことも無いような圧倒的な力と身体中を漲る命の鼓動を感じる間もなく、直ぐ様自分は彼らの星へ向かった。
そして自分は遅すぎた事を理解した。
踏み潰された難民キャンプ。所々に散らばる肉の塊が此処で何があったのかを何よりも鮮明に物語っていた。
そしてそんな地獄の中で1人嘲笑うように吼えるグラマーガ。
怒りに身を焦がされながらもグラマーガと戦い、最終的には怪獣を撃破した。
力は得た。だが全て遅すぎた。
失意に暮れる間もなく、オーブの光からのミッションをこなし、その中で色々な物を見た。結局学んだのは宇宙人だろうが地球人だろうが大して変わらないという事。
優しさによって大切な者を失った者もいれば、憎しみによって他者を救った者もいた。
取り零した命は無数にあり、戦う毎に力を増していくその度に自分が敵を倒す事しか出来ない存在である事を痛感させられた。
(⋯⋯どうすれば良かったんだろうな)
ガーゴルゴンを倒した帰路。宇宙を飛んでいく中でそんな事を考えていると、突如として上方から光線が雨のように降ってきた。
光線の雨を時に防ぎ、時に避ける事でやり過ごすと光線が飛んできた方向から無数の宇宙船とロボットが飛来してきた。
「光の戦士、ウルトラマンアーヴ! 今日こそ貴様の命日だ!」
この声は⋯⋯あいつかぁ。
「またお前か。トリトル。⋯⋯お前これで何回目だよ」
こいつはペダン星人トリトル。何というか面倒くさいが悪人ではない奴というのがしっくり来る奴だ。命日なんて事を言っているが、攻撃自体は殺傷性の低い物を使ってきたり、自分以外にその兵器を向けなかったりと何をしたいのかわからない奴だ。
「黙れ! 今日こそ積年の恨みを晴らしてやる!」
「お前と会ったの2ヶ月くらい前だろ」
そんな事を言っている間にもロボット――キングジョートリトルカスタムというらしい――の攻撃を避け、間接を重点的に狙い破壊していく。
「ふふふ、やるじゃないか。だが今日は一筋縄ではいかんぞ!」
トリトルがそう言うと、間接を破壊した事でバラバラになっていたキングジョーが粒子状に分解され、五体満足へと再構成された。
「何だそれ。前とは結構違うじゃないか」
冷静に振る舞おうとはしているものの正直驚いていた。キングジョーの弱点は合体している事によって生まれる間接部分の弱さにあるのだが、これではその弱点も有って無いような物だ。
「私の天才的頭脳によって生み出された高速粒子化機構だ! これでは流石の貴様も手も足も出まい!」
殴りかかってくるキングジョーに正面からぶつかってみる。以前は互角だったのだが、今回はパワー負けして吹き飛ばされた。
「確かにこれは厄介だな。けどな!」
再び殴りかかってくるキングジョー。対するこっちは、
「アーヴィウムバリア!」
キングジョーを覆うように球体状のバリアを発生させる。そして、
「エックスの力、借りるぞ!」
ウルトラマンエックスの力を発動させた事により、バリアの中へ強烈な電撃を発生させ、キングジョーの結合を解こうと試みる。
狙いは的中したようで粒子状になったキングジョーをバリアを更に縮小させる事で、小さく纏める事に成功した。
そして小さなボールのようになったキングジョーへ、
「アーヴィウム光線」
自身の必殺の光線を放つ。放たれた青と赤の閃光はキングジョーをバリア諸共に消し去った。
「ぐぅぅぅぅ! また負けたぁ!」
悔しがるようなトリトル。余程悔しかったのだろうか、地団駄を踏んでいるような声まで聞こえてくる。
「けどまぁ、今回は本当に危なかったよ。エックスの力が無ければ不味かった」
柄でも無いが慰めるように声を掛ける。⋯⋯いや自分を殺しに来たと言っている相手に可笑しな態度かも知れないが。何だかんだ素直なトリトルの事を嫌いになれないのも事実だ。
「⋯⋯次は勝つ!」
そう言って何処かへテレポートする円盤の群れ。また己の根城に帰り、自分を倒す為の研究を始めるのだろう。
「言ってろ。負けてなんかやらないさ」
この言葉が届いたのかどうか知らないが、また会う事になるだろう。
トリトルの挑戦を受けてから二日後。オーブの光からのミッションをこなし、現在は此方の宇宙に飛来したギャラクトロンを追って宇宙を飛行していた。
「このっ! 待て」
ギャラクトロンはシビルジャッジメンターとも呼ばれており、知的生命体の存在を否定する人工知能、ギルバリスによって生み出されたロボットである。当然放っておくとろくな事にならない為、最優先で追っていた。
しかし、このギャラクトロンは何処か重大な故障でもあるのか、何処でもない場所へのテレポートを繰り返し、特に何かする事もなく只何かを探すように飛行していた。自分はそれを追い掛けていたのだが⋯⋯。
⋯⋯にしても速いな。
巨体に見合わず凄まじい速さで飛行しており、今の状態では追い掛けるのがやっとだった。
(あまり刺激したくは無かったんだが、仕方ないか)
テレポートを発動。ギャラクトロンの進行方向へ先回りし、その巨体へしがみついた。ギャラクトロンはそれでも特に気にする事なく飛行を続ける。そのまま進んでいくと、やがて巨大なワームホールのような物が見えてきた。 どうやらギャラクトロンはあれを探していたらしく、更に速度を上げて一直線にワームホールに向かっていく。
ワームホールの中に入ると、凄まじい衝撃が身体を襲い、そのまま意識を失った。
「嘘だろ⋯⋯」
目を覚ませば其処は、何処かのビルの屋上だった。
「地球⋯⋯か?」
どうやら地球に来てしまったらしい。
ちょっとした設定
ウルトラマンアーヴ
身長:51m
体重:42000t
飛行速度:マッハ9
走行速度:マッハ4
腕力:80000t
握力:65000t
オーブの光によって力を得たウルトラマン。他のウルトラマンの力をそれぞれ属性を宿した必殺技として使用したり、彼らの属性に対応した形態にタイプチェンジする事が出来る。色々あってトラウマ複数持ちの上、過去に倒した敵が粘着ストーカーになることに定評がある。