平凡な能力しかない傭兵のおはなし   作:神代リナ

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新たなネタを思いついたので投稿しました。不定期更新です。


今日も朝から仕事だ

俺は今、幸せな夢を見ている。

崩壊液による汚染もなく、第三次世界大戦もなく、鉄血の反乱もなく、人類人権団体なんかもいない…人間と人形が互いに協力出来るそんな世界で俺はごく普通の幸せな人生を送っている。

「ジーク、起きてください」

だが夢はすぐに終わる。さて、現実に戻るとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は小さな家の布団で目を覚ました。

「…おはよ、サンダー」

俺はこんなクソみたいな世紀末な世界で傭兵をしている者だ。コードネームはジークだ。

今は…午前3時。そろそろ仕事の時間か。

「今日はスミスさんからの依頼があります。今日の午前4時にこの街のK地点に現れるこの男を暗殺して欲しいとのことです」

そう言うと俺の相棒である戦術人形であるサンダーはターゲットの写真を俺に渡す。顔からして恐らく西欧人、髪は茶髪…職業は元正規軍の掃除屋で今は人類人権団体過激派の戦闘員か。ちなみに依頼主のスミスは俺の友人で闇市で人形を売り捌いている。

俺は、89式自動小銃の入っているライフルバックを背負い、SIG P226をホルスターに収め、バタフライナイフをポケットに入れた。

「サンダー、準備は出来たか?」

「はい、いつでも行けます」

「じゃ、K地点に行くか」

俺たちは家を出てK地点に向かう。K地点の辺りは確か多くの店があるから人が多い。どうにかしてターゲットを路地裏に誘い込まないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そろそろ4時だ。ターゲットはどこかな。

「ジーク、あそこにターゲットがいます」

サンダーの目線の先を見るとターゲットがいた。やっぱ索敵は人形の方が早いな。

「サンダー、お前はここに待機しててくれ」

「了解しました」

さて、サクッとターゲットを殺すとしようか。

「すいませーん」

俺はライフルバックをサンダーに預けて一般人を装ってターゲットに話しかける。

「どうしましたか?」

よし、ターゲットが会話に応じた。

「ちょっと、道を聞きたくて…この路地裏の店に行きたいんですけど良かったら案内してくれませんか」

俺は方向音痴のフリをする。ターゲットは割とこの街について知ってるらしいからうまくやれば人の少ない路地裏に誘導出来る…はず。

「あぁ、構いませんよ。ついて来てください」

はい、完全勝利UC。俺はターゲットと共に路地裏に入る。

「ここがその店です」

ちなみに案内して欲しいと頼んだ店はもう潰れているから人はいない。そして周りにも人はいない。

「いやーありがとうございます。お礼に…」

俺はP226を取り出す。

「鉛をくれてやる」

3発ほどターゲットに撃ち込む。

「き…さま…」

死亡を確認。よし、死体は近くの川に放り込んでっと…はい、任務完了。

「こちらジーク、ターゲットの処理を完了」

無線でサンダーに報告する。

「こちらサンダー了解。では私はスミスさんの店で待ってます」

「分かった。急いで行くよ」

俺は無線を切ると走ってスミスの店へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ、サンダー。あと、おはようスミス」

「おう、おはよジーク。いやー、アイツを始末してくれてありがとう。報酬はこんなもんでいいかな」

俺はスミスからそこそこの額の金を貰う。

「十分だ。また何かあったら依頼してくれ。報酬をきちんと払うならいつでも請け負うぞ」

「あぁ、頼りにしてるよ」

「じゃ、行くぞサンダー」

「分かりました」

俺たちはスミスの家から出て行った。

「あのーすみません〜」

スミスの家から出るとすぐにとある男に話しかけられた。その男の横には黒髪の少女がいた。多分、この男は人身売買をしているのだろう。

「今ならこの娘をお安く売ってるんですけど〜どうですか?傭兵さん。日々の欲求不満の解消用にでも…」

はぁ、早く追っ払うかな…ふと、その少女と目が合った。その目はこの世に絶望したような目だった。まるで昔の自分のような…

「ジーク、ちょっと聞いても良いですか?」

「おう、どうした?」

「この子も…私と同じ道を辿るのでしょうか?」

そっか、サンダーは元セクサロイドだから…

「可能性は高い」

「…なら私は…彼女を救いたいです」

はー、本当なら人身売買をしている奴とは関わりたくないんだがな。仕方ないな…

「分かった。その少女を買おう。いくらだ」

「ありがとうございます!こんなもんですな」

ほんとに安いな。この世の中で嘘をつかないなんて案外このおっさんも時代が時代だったら…いや、止めよう。

「はいよ、これで良いな」

「はい、お値段ちょうどです〜ありがとうございました」

少女が俺たちの元にやって来た。

「これからよろしくな」


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