インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S)   作:フラッシュファントム

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今回は一夏がDMXで体験した事を振り返ります。

※DMX本編のネタバレがあります。
 ネタバレしたくない方はこの話を読まないでください。
 この話を読まなくてもこの先を物語に支障は無いです。





























オーダー12:戦闘記録

  暮桜(偽)を倒した数日後、俺はIS学園でアーセナルの稼働データを黙々とまとめていた。

「よし、こんなものかな」

 まとめたデータを見て呟いた。パーツ解禁が順調に進み、俺が嘗て愛用していた機体構成が可能になった事に満足している。

 あの戦いで殆どのパーツデータが解放されたのは複雑だが存分に活用する。後は細かな調整だがそれは試し撃ちや模擬戦をして今の俺に合わせた戦い方ができるようにしていく。

 これまでの戦闘記録を振り返るとあの頃の訓練が活かされている事を実感、アーセナルに乗り立てだった頃を思い出しながらあの世界での戦って来たことを思い起こす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  俺は物心ついた時から『あの世界(デモンエクスマキナ)』に住んでいた。後に出自を尋ねたらオーヴァルリンク内で准将とグリーフさんがオーダー中に発見、保護したとの事だ。保護された時の推定年齢は1歳で名札と思わしき物品を発見、それに織斑一夏と記されていたそうだ。

 保護された俺は孤児施設に入所、そこで15年間過ごした。高校生になった俺は施設を出て安いシェアハウスに入居してバイトと学業を両立させながら暮らしていた。

 シェアハウスに同居していた人は幸いにも良い人だったので暮らしでの問題は特になかった。学業に関しては平凡な成績で今後の事を考慮すると大学進学よりも就職した方が良いと俺は判断した。

 高校卒業後はバイトを続けながら就活を進めるが人材を募集する企業に応募するが不採用続きだった。それでも安定した生活を得る為にバイトと就活をしていた。

 ある日、共同体の1つであるスカイユニオン主催のイベント会場に赴くことにした。このイベントは一般、就活者対象で就活中の俺にとってはチャンスだった。今思えばこれも仕組まれていた事とは知る由も無いが……。

 人材を必要としている企業説明会に足を運び事業内容や将来性等を吟味して入りたい企業を見ていく。俺は幾つか気になる企業を見つけて面接の日時とシフトを確認して計画を練っていく。

 

(今の所はシフト関係で問題は無さそうだ……)

 

 そんな事を考えながら試作機のアーセナルに不注意で当たったらそれが起動した。それを運悪く運営スタッフに見られてしまったのでアウター疑惑がかかりスカイユニオンに軟禁された。軟禁後はアウターとアーセナルの適性検査を受けて合格、傭兵になった。

 正直な所、戦いとは無縁の生活だったがアーセナルに乗って操縦した時は何処か懐かしくずっと前から動かしていた様な気がしていた。そんな感覚のおかげで実戦でも他の傭兵達とは一線を越える成果を上げていた。

 オービタルや3つ共同体『スカイユニオン』、『嶄』、『ホライゾン』から発注されるオーダーをこなしながら生活費を稼ぐ。その中で解放旅団の最強チームと称されるバレットワークスと共同でオーダーを遂行した。

 俺はバレットワークスのメンバーにはお世話になっており、特に俺が傭兵になる少し前にバレットワークスに所属したジョニー・G上等兵とは気が合った。

 オーダーの僚機申請を彼によくしていた。上等兵は俺が絡むと大型イモータルと遭遇する可能性が高くなると愚痴っていたが何だかんだで協力してくれる良い人だった。

 受けたオーダーは主にイモータルの殲滅だが時々ではあるが施設の破壊または調査任務もした。その中には新型アーセナルを生身で奪取するオーダーも受けたがあれは本当に命懸けだった。

 解放旅団とオーダー中に対立して戦う事もあったがその時に組んだ傭兵と共にその危機を退けたりもした。

 印象に残っている任務は存在しないオーダーで俺を誘き出して2人がかりで俺が排除されかけた時、何処からともなくセイヴィアーが駆けつけた。俺は彼と共闘してこの窮地を乗り切った。

 セイヴィアーと2度戦った事がある。2度目の戦いは彼の機体に不調が生じたのでそれを見逃したがその借りを返すために来たと思った。

 こうして様々なオーダーを遂行する中で2年で熟練パイロットに匹敵する実力を得たが精神面はまだまだ未熟だ。しかし短期間でここまでの力を持ったことに周囲から疑問を持たれたが俺は気にしなかったが准将は注目していたようだ。

 20歳になった俺は准将から緊急出撃要請を受け、その招集に応じた。その内容はグリーフの捕獲だったがこの戦いで少佐がグリーフ側に寝返り少尉を殺害しようとするも軍曹が庇った。少尉は無事だったが軍曹はそれが致命傷となり戦死した。

 少佐は少尉にとって超えるべき目標だが俺にとっても目指すべき人の一人だったので彼の裏切りは衝撃的だった。

 それからバレットワークス指揮の元、ブラックロータス破壊作戦に参加することになった。これは4つ存在しておりそれと同期しているアーセナルを倒さないとブラックロータスは破壊できない。

 リジットさんとクロンダイクさん、ネメシスさんと少佐がブラックロータスと同期していたので彼等と戦った。彼等は個々の事情でグリーフに寝返った者たちだったから俺は各旅団の支援に徹し、決着は各旅団のリーダーが付けた。彼等の死を見届けるしかなかった。

 ブラックロータスを全て破壊したが、グリーフの野望はまだ終わっていない。ムーンフォール地点で彼がいる事を突き止めた俺達は准将の指示で全旅団による全方位から侵攻を開始する。

 俺は入った通路の下に床があったので敵から逃げるように床へ移動して進み、弾薬の消費を抑えた。そこにグルーミーとリグレットが立ちふさがってきた。俺の所に上等兵と少尉が合流した。

 奴らにある程度ダメージを与えた所で上等兵と少尉がグルーミーとリグレットを抑えて俺を先に進ませてくれた。俺は彼等の意思に応える為にグリーフの元に向かった。

 奴がいる最深部に到着した。グリーフの機体は性能が桁違いに強化されており禍々しい姿に変貌している。

 グリーフはどうやら計画の一環として自身のコピー、即ち俺を使ってそれを進めていたようだ。奴の掌の上で踊らされていた事をここで痛感した。俺はそれに憤りを感じるも顕わにしなかった。

 共に戦った仲間がいて、彼等の意思と共にここへ来たのだと言い聞かせて冷静さを保った。どちらが選ばれし者かを決するべく戦いが始まった。

 死闘の末に俺はグリーフに止めを刺せる状態まで追い詰めた。しかし奴は諦めておらず全ての元凶と言える存在と融合した。

 それと融合した奴に戦いを挑んだ。こいつは自身をコマの様に回転しての体当たりや大レーザー、周囲に浮遊しているブリッツは厄介だったがそれ以上に面倒なのは強烈な重力子だった。

 その重力子は範囲内にいると敵の武器を強引に吸収、破壊してしまうのだ。武装を破壊されないように奴の弾幕と体当たりを避けて太刀の連続攻撃とバズーカの砲撃、突撃銃による銃撃とミサイル攻撃を行った。

 激しい戦いの末に奴をあと一撃で倒せる状態にした。互いに満身創痍で武器が太刀しか残っていない俺は止めを刺すために奴に斬りかかって一太刀浴びせた。

 しかし奴は同時に重力子を展開しておりそれに巻き込まれた俺は平行世界に飛ばされてしまい、今に至る。

 

 

 

「こうして思い起こすと色々あったが……この先も面倒事が起きそうだな」

 

 そう考えながらノートPCを閉じてベッドに入ると同時に深い眠りについた。




次は林間学校です。
補足ですが一夏が保護された時期はグリーフが自身のコピーを生み出す前です。
グリーフは保護した一夏を自身のコピー代わりに計画に組み込みました。

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