インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S) 作:フラッシュファントム
林間学校2日目の朝、俺と3人の専用機持ち(オルコット、鳳、簪)は一般生徒と別の場所に呼ばれて浜辺から離れた所に集合したが何故か一般生徒の篠ノ之もいた。
本来であれば一般生徒達は浜辺で実習訓練をする事になっており専用機持ちは所属している国からのパッケージ運用で其々の集合場所は異なる。俺は彼女がここにいる理由を織斑先生に尋ねようとした。
「ちーちゃーーん!!」
その時、織斑先生の後ろから女性の大声が聞こえてきた。そこから兔耳のカチューシャを付けた女性が織斑先生に突進してきたが彼女は片手でそれを受け止めた。何かの茶番だと俺は黙って一部始終を見届けた。
ここに来た女性『篠ノ之束』はISを開発した張本人で事実上、この世界を創り上げた科学者と言っても過言ではない。
彼女の様子を見た所、人づきあいは極端で織斑先生と篠ノ之からの話は応じているがオルコットが話しかけても全く反応が無かった。この分だと俺に話しかける可能性は低いと思ったが彼女はこちらに声をかけてきた。
「いっくんだ! 久しぶりだね!」
「恐れ入りますが私は貴女が認識している織斑一夏ではございません。それと機体の調査とこちらからの情報開示に関しては部外者の貴女に対してできません。お引き取りをお願い申し上げます」
丁寧ながらも奴を牽制する口調でそう述べたが彼女はそれに反応は見せなかった。アーセナルの情報は部外者に渡す事は出来ないからな。
俺は先程から上空にある物が気になっていたがどうやら妹の為に専用機を準備していたようだ。周囲からは身内だから狡いという声が聞こえたが束は人類は平等ではないと反論して彼女達を黙らせた。
一般生徒の言い分は理解できるがそれ以上に今の篠ノ之が開発者自ら制作した専用機を持つ事に危険を感じ取った。実力に合わない大きすぎる力は本人だけでなく無関係な者達を破滅させる可能性があるからだ。
篠ノ之に受理された専用機『紅椿』で第4世代という最新鋭のISだ。各国では第3世代の開発研究をしているにも関わらず超高性能な機体を身内の妹という理由だけで与えた事に呆れた。
彼女は紅椿の試運転をしているが新しい力に浮かれている事を感じ取った。こんな時に面倒な事が起きなければ良いと俺は思っていたがその思いは呆気なく崩れ去った。
「織斑先生! 大変です!!」
山田先生がこちらにかなり慌てた様子で走ってきて織斑先生に何かを報告した。織斑先生は全生徒に実習を中止と旅館内で待機、専用機持ちは指定された部屋に集合する指示がでた。
事態の内容はハワイ沖で試験運用中だったアメリカとイスラエルが共同開発した第3世代軍用IS『
福音は一切の制御を受け付けずに日本に急速接近中との事だ。これに対しIS委員会の上層部はIS学園に対処を要請、日本政府及び学園上層部がこれを承諾したという内容だった。
(幾ら代表候補生がいるからと言って、現場の状況を無視してよくこんな無茶を受け入れたな)
上層部がこの無茶苦茶な状況を引き起こした事に対する尻拭いを押し付けられたと思いながら心の中で愚痴を零して福音のデータを確認する。
こいつは広域殲滅を目的とした高機動の特殊射撃型かつ範囲攻撃が可能な機体だ。しかも速く動くから始末に負えないなこいつは……。
状況を整理すると偵察は不可能でアプローチは1回しかできない。急を要する事態だがこの状況を打破する作戦を俺は頭をフル回転させて思案する。
「織斑先生、確認したいことがあります。日本の自衛隊がこの作戦領域に赴くと仮定して到着までに要する時間は分かりますか?」
「今すぐ出撃しても到着までには最低でも1時間はかかるぞ」
「分かりました。ありがとうございます」
それを確認して作戦を考える。
AUXのヘルメスを使って通過地点に移動して待機、福音に奇襲攻撃を仕掛ける。そこからは持久戦で俺が最前線で現場指揮をこなしつつ専用機持ち達は福音の足止めに徹して自衛隊の到着まで粘る。長期戦闘を考慮すると耐久を回復できる装備が必須だな。
「織斑先生、自衛隊が到着するまでに福音の足止めができる作戦があります。宜しいですか」
俺は織斑先生に確認を取って作戦立案の了承を取った。
立案した作戦は俺のアーセナルに装備したAUXの追加ブースター『ヘルメス』を使って作戦地点まで専用機持ち3人を輸送する。ヘルメスのスピードならここから約10分で作戦領域に到着可能だ。
次に福音と戦闘に入った後、2人1組で足止めをしながら福音を作戦領域に留めさせる。この時、反撃は最小限に抑えて回避と防御に専念してエネルギーの消費を最小限にする事も伝える。最後に自衛隊の到着を確認次第、専用機持ちは作戦領域から離脱するという内容だ。
「これが私の作戦です。質問等がございましたら挙手をお願いします」
「はい! 自衛隊到着後の離脱ですが何故、専用機持ちだけですか?」
作戦内容を説明した後、質問があるかどうかを確認するとオルコットが挙手して質問した。
「専用機持ちの理由だが私は貴女方の安全を確保する義務があります。故に貴女達が安全領域に到着を確認してから離脱します」
彼女の質問に俺はそう答えた。傭兵は兎も角、代表候補生達は将来を担う貴重な存在で彼女達に何かあっては困ると思ったからだ。
「一夏!! その作戦に私が含まれていないのは何故だ!?」
「貴女を作戦に加えなかった理由は3つあるのではっきりと申し上げます。
1つ、貴女は専用機を持って間もない上に訓練機の使用歴を確認したがこちらの信頼に足る実績が全く無い。
2つ、貴女は紅椿の力を過信している判断した。
3つ、貴女はこの中で一番、浮かれているからだ!!」
俺は篠ノ之の質問に対して厳しくかつ威圧的な口調ではっきりと答えたがこの場にいた人たちは震える。
俺が今まで経験してきた戦場は常に死と隣り合わせで信頼ができる相手と組まないと自分だけでなく相手の命を奪うことになりかねないからだ。それ故にこの場で取り除けるリスクは全て除去するのが最善だと思った。
「ぐっ、だが……」
図星を突かれた篠ノ之は歯軋りをするが反論できなかった。しかし束が作戦会議中にも関わらずこの部屋に天井から入って来る。嫌な予感がするけど話だけは聞いておこう。
彼女の案によると展開装甲というシステムを調整すれば高速飛行が可能になるので最適だと言った。しかし幾ら性能が高くても扱う人間が駄目だと機体の性能を発揮する前に破壊される可能性が極めて高いと思った。
束は駄々を捏ねて篠ノ之の作戦参加を要求するがこちらの知った事ではない。
「私は篠ノ之の作戦参加を拒否します!
万が一、織斑先生が彼女の出撃を指示する場合、私は篠ノ之の身柄と命に関する保障等は一切無い事に同意、彼女にその条件を受け入れた署名の記入を要求します!
篠ノ之が作戦に参加して怪我等をしても私は責任はとりませんが宜しいですか」
篠ノ之が出撃する可能性を考慮した上での提案を敢えて出した。もしも篠ノ之が何らかの形で出撃してもこちらは彼女を助ける意思は一切無い事をここで明確にした方が良いと思ったからだ。出撃しないなら良いけどするなら……これ以上は考えないにしよう。
「織斑先生、私はその条件に同意して出撃します!!」
「……危険だと思ったら直ぐに逃げろ。
今回は織斑が立案した作戦を10分後に実行する。各自、作戦の準備を始めろ!」
篠ノ之はこちらが提示した条件を受け入れた上で織斑先生に出撃要請を出した。
織斑先生はそれに反対することなく同意するも彼女に釘を刺した。この緊急事態を起こした人間が誰なのかがはっきりしたが作戦に支障が出ると考え、敢えて言わなかった。奴は紅椿の性能を過信していることがこれで証明された。
10分後、準備を終えた俺は黒鷲を展開するとそれに続いて専用機持ちも各々のISを展開した。
中央は俺で左隣に鳳とオルコット、右隣は簪と篠ノ之で其々の手を繋ぐ。俺はヘルメスで彼女達を作戦領域までの輸送をする。篠ノ之はあの条件に同意の上で作戦に参加するから選別代わりに連れて行くことにした。
「準備完了だ。イーグル、これよりオーダーを開始する!」
そう告げると黒鷲は一定の高度まで上昇、そこからヘルメスを使って作戦領域まで高速で移動させた。何となく嫌な予感がすると思いながらも目的地まで飛行した。
私の独自設定ですがISのシールドエネルギーはスプレンダーで回復可能です。
黒鷲のデータ
パーツ
ヘッド:グラディウス
ボディ:ヘカントケイル
プロセッサー:メモリアップⅢ
アーム:グラディウス
レッグ:ヘカントケイル
武装
RW:グリムリーパー(突撃銃)
LW:アグニフレイム(レーザー)
SW:スプレンダー(耐久値回復)
AUX:ヘルメス(追加ブースター)
RP:ダインスレイブ(近接ブレード)
LP:シルバーレイヴン(マシンガン)