インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S)   作:フラッシュファントム

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福音との戦いです。


オーダー15:亡霊の再来

  予定より早く作戦領域に着いた俺達は福音が通過する予測地点で奇襲攻撃を仕掛ける準備を開始する。

狙撃が得意なオルコットは福音が通過する真下からの狙撃、鳳は射撃武器による足止めで更識は2人の支援攻撃をする作戦を指示した。

 篠ノ之に関しては最新のハイパーセンサーで福音の監視をさせた。この作戦に参加する以上は最低限の役割を果たす必要があると思ったからだ。

 

「こちらイーグル、全員配置に付いた」

 

 司令部に配置完了の報告をして福音の通過を待っていたが司令部から緊急通信が入った。

 

『織斑君! 福音が突如出現した所属不明機と交戦しています!

約10分後に作戦領域に入ります!!』

 

 福音が所属不明機と交戦……まさか奴なのか!?

 

「全機に報告! 福音は現在、所属不明機と交戦しているとの連絡があった!! 警戒せよ!!」

 

 全員にそう報告して厳重警戒を呼び掛けた。暫くすると福音がハイパーセンサーで確認可能な距離に入ったので状況を改めて確認する。

 福音はソロモンから逃げているものの奴は瞬間移動の様に先回りをすると同時に斬りつけた。ソロモンは逃げようとする福音を追い回していて反撃を受けているが全く効いていない。

 

「最悪だ……」

 

 俺は福音の状況を把握して唖然とする。機体は大破寸前で左翼が無くなっており墜落するのは時間の問題であると悟った。

 ハイパーセンサーで得た情報によると作戦領域近くを航行していた謎の船が破壊されていた事も判明した。

 

「ソロモンと福音の戦闘に巻き込まれたか……。

 こちらイーグル、福音を確認。機体は大破および左翼を失っています」

 

 俺がそう呟いた時、福音の右翼が太刀で斬り落とされた。ソロモンはクロス斬りで止めを刺して福音を破壊、そのまま海中に落下していった。落下する福音から一番近くにいたオルコットに指示を飛ばす。

 

「オルコット、福音を回収して離脱せよ!!」

 

 指示すると同時にオルコットは墜落する福音を受け止めて状態の確認をした。

 

「織斑さん、福音を保護しましたわ。機体は停止していますが操縦者の命に別状はありません。私は指示通りに離脱します」

 

「了解した。全機、作戦領域から離脱せよ! オーダー完了だ!!」

 

 全員に作戦終了を告げると同時にソロモンの元に向かった。奴がこちらに攻撃を仕掛ける可能性が高いので囮役をやることにした。福音を確保したオルコットの離脱と同時に専用機持ち達は作戦領域から全速力で離れた。

 

『テンヲ……ケガス……オロカモノ……ニガサン!!』

 

 ソロモンは機能が停止した福音に追撃を仕掛けようとするがそこに割り込んだ。

 

「そうはいかないぜ、亡霊殿」

 

 俺はそう宣言すると同時に突撃銃を3発、発砲するもあっという間に斬りおとされた。

 

『ジャマヲ……スルナ……!!』

 

 ソロモンは怒りを顕わにして俺に突進してきた。俺はLWのアグニフレイムをLPに格納しているシルバーレイヴンに持ち変えて後方にブーストしつつ反撃する。マシンガンは近距離で撃った方が当たりやすくて威力も上がるからだ。

 

「こちらイーグル、現在ソロモンと交戦中。福音を確保した専用機持ち達の安全領域到着を確認、自衛隊の到着までソロモンの足止めをします」

 

「織斑まて……」

 

 司令室に報告をして通信を一方的に閉じた。

 ここからのオーダーは俺の領域……相打ち覚悟で奴を倒す。RWの突撃銃をRPに格納したダインスレイブに持ち変えて覚悟を決めた。

 

「イーグル、これより亡霊(ソロモン)を破壊する!!」

 

 俺の宣言と同時にソロモンは接近して斬りかかるがダインスレイブで奴の太刀を受け止めて鍔競り合いに持ち込む。

 

「あの時とは違うぜ!」

 

 俺は鍔競り合いに勝って奴を突き飛ばすと同時に袈裟斬りを叩きこんだ。クラス対抗戦時は性能が低かったが今は性能が段違いに向上している。更にマシンガンで追撃をしてソロモンに弾丸の雨を浴びせた。

 

『ツヨクナッテ……イルガ……マダタリン……!!』

 

 ソロモンがそう呼びかけると同時に瞬間移動で近づいて斬りかかる。俺は鍔競り合いを仕掛けずに上昇して回避、奴の上からマシンガンを連射してダメージを与えた。ソロモンがまた攻撃しようとした時、奴の背後からレーザーが飛んできた。

 

「はぁぁぁぁっ!!」

 

 奴の後ろを確認すると篠ノ之が紅椿でソロモンを攻撃、接近して斬りかかろうとしていた。

 

「篠ノ之! 今すぐ攻撃を中止してここから離脱しろ!!」

 

 篠ノ之に離脱命令を出したが奴はそれに応じることなくソロモンに近接戦闘を仕掛ける。ソロモンは瞬間移動で篠ノ之の攻撃を回避して背後を取った。

 このまま攻撃したら彼女に被弾するので迂闊に攻撃できない。

 

『テンヲ……ケガス……アカイツバサ……オチロ』

 

 ソロモンは篠ノ之にそう告げると同時に太刀を振り下ろした。篠ノ之は紅椿の主兵装である刀の雨月と空烈を交差させて受け止めるもたった一撃で折れてしまった。

 

「そ……そんな!?」

 

 彼女は武器が一撃で破壊された事に動揺するがソロモンは紅椿のウイングユニットに太刀を突き刺した。俺は奴が篠ノ之を攻撃する隙をついて斜め上からマシンガンを連射するが瞬間移動で回避された。

 

『オチロ……!!』

 

 ソロモンは紅椿のウイングユニットを縦一閃で真っ二つに切断、シールドエネルギーが尽きた紅椿は強制解除されてしまった。篠ノ之を排除したソロモンは即座に標的を切り替えて俺に接近する。

 

「くそっ!?」

 

 鍔競り合いに持ち込むが負けて横一閃の一太刀を浴びてしまった。奴に突き飛ばされた俺は態勢を立て直そうとした。

 ソロモンはこちらを突き飛ばした直後に落下する篠ノ之の所に瞬間移動で近づいた。奴は篠ノ之から何かを奪い、彼女を海面に向けて蹴り落とした。

 奴が取った物は金と銀の鈴が一対になってついている赤い紐で紅椿の待機形態だと推測する。

 

「捕食するつもりか!?」

 

 俺はソロモンの捕食を止めようとブーストで接近をするが手遅れだった。奴は待機状態になった紅椿を自身の体に取り込んだ。

 すると奴の全身が真紅と漆黒が混じった禍々しいオーラに包まれた。

 

「遅かったか……」

 

 背中に冷や汗が流れている事を感じた瞬間、奴は今までとは比べ物にならないスピードで接近して斬りかかった。俺は奴の攻撃をまともに受けると共に機体の耐久値が30%以下に減った事に気付いて戦慄する。

 

「こいつは確か……無人機のコアを捕食していたな。奴はさっき紅椿のコアも捕食して強くなったのか!?」

 

 ソロモンがコアを2つ取り込んで強化されている事に気付くと同時に奴に勝てない事を悟った。

 

「やるしかないな……!!」

 

 腹を括ってミラージュを発動して分身を作った。分身は俺の意思を読み取ったのかソロモンに接近して動きを止めようとするが奴は分身の攻撃を回避しつつ攻撃を仕掛ける。

 

「動きは既に分かっている!!」

 

 俺は鍔競り合いに持ち込んで動きを止めて分身を背後にいかせて引き分けに持ち込んだ。奴が後退した瞬間、分身がソロモンを羽交い締めにして動きを止める。

 

「これで道連れだぁぁぁぁっっ!!」

 

 奴の胴体にダインスレイブを突き刺すと同時に密着、機体の自爆システムを起動した。奴は逃げようとするが2人で抑えているので簡単に脱出できない。

 ソロモンを相討ちで倒そうとした。機体が爆発する直前に奴が取り込んでいた2つのコアが共鳴と思わしき反応が起きると同時に強烈な光が放たれた。

 

「なんだと……!?」

 

 目映い閃光に包まれた光景を最後に意識を失いかける。

(これでオーダーは達成した……。生きて帰れないがやむを得ないな……。

 少尉、私は少佐の所へ一足先に行きます)

 俺は満足してあの世に旅立った戦友達の事を想いながら意識を手放した。

 その直後、黒鷲と亡霊の反応がレーダーから消えた。




次が最後の話です。

箒さんは今の所は海に落ちただけなので生きています。

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