インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S)   作:フラッシュファントム

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これで完結です。


オーダー16:帰還

  一夏は意識を取り戻して周りを確認すると見慣れた光景が映っていた。ここはソレムニティ国立公園跡地で瓦礫等がフィールドに散乱している。

 

「ここは……元の世界に戻れたのか?」

 

 彼はそう呟きながら立ち上がると近くに黒鷲が横たわっていた。それに乗り込んでシステムを起動、確認したら正常だったので通信機を立ち上げてオービタルに回線を繋いだ。

 

「こちらイーグル。応答願う」

 

『こちら准将、貴殿の通信を確認した。

 その声はイーグル!? 生きていたのか……!』

 

 一夏の通信に応えたのは准将だった。彼はバレットワークスの団長で熟練のアーセナル乗りである。准将は行方不明だった一夏の声を聴いて一安心した。

 

「准将! ご心配をおかけしました。私は無事ですので今から本部に帰還します」

 

『分かった。念の為、近くに装甲の冠を迎えに行かせるからそれまで現在地に待機してくれないか。また何かあったら困る物でな……』

 

「分かりました。装甲の冠と合流して本部に帰還します」

 

 准将は一夏の現在地近くでオーダーを遂行していた装甲の冠に彼の迎えと護衛をする伝達をした。一夏は装甲の冠が到着するまでその場で待機をする。

 

「懐かしいなぁ~……。あの時とはあまり変わっていないな。ここを離れてからそこまで時間が経っていないのか?」

 

 彼は懐かしい光景に思いを馳せながらも時の経過がそこまで進んでいない事を感じていた。

 それから数分後、准将のオーダーで一夏の護衛を受けた装甲の冠のアーセナル3機が彼のいる場所に到着した。

 

「イーグル! 無事でよかった……」

 

 彼にいち早く声をかけたエンプレスは一夏の無事を確認、一安心する。彼女は装甲の冠のリーダーで姉御肌の一面がある。

 

「一夏! まったく、心配かけさせやがって……!」

 

 エンプレスの後にクイーンは叫んだ。彼女はアーセナル乗りだがその前は会計士をしていた。噂では彼女をオーダーで僚機申請すると報酬が増加するらしい。

 

「無事で良かった……」

 

 プリンセスは一夏の無事を知ってホッとした。彼女は記憶喪失で彷徨っていた所をエンプレスとクイーンに保護されたらしい。プリンセスの狙撃は極めて正確で可愛くて性格も良い。

 

「ご心配をおかけしました。詳しい話は本部でしますので護衛をお願いします」

 

 一夏は装甲の冠の面々に頭を下げながらお礼を述べて本部に帰還した。彼が生存、帰還したとの報告を受けた解放旅団は大喜びで帰還パーティーを開催しようという話が出た程である。

 本部に帰還した一夏は准将に行方不明だった日数、その期間で何をしていたのかという内容を報告した。幸いな事にIS学園で記録していたアーセナルの稼働データにより報告書の作成が予想よりも早く終わり、准将に提出した。

 

「そうか……報告書の作成、ご苦労だった。君が飛ばされた世界でフェムトの毒性が消えていたのか。このデータを元にして無毒化技術が進みそうだ」

 

 准将は一夏が提出した報告書を読んで呟いた。本来であればオーヴァルリンク外でアーセナルとフェムトを使うと処罰が発生するが今回は不可抗力でお咎めなしで済んだ。

 彼がこの世界に戻れたのはソロモンが取り込んでいた2つのコアが共鳴して物理法則を超えた現象で生じたと一夏は推測した。

 余談だがソロモンは彼が行方不明になっている間は一切、目撃されなかった。

 

「この報告書に君の出自に関する情報があるのは何故かな。理由が知りたい」

 

 准将は報告書の内容で一夏の出自に関する事が目に入り、その説明を求められた。

 

「私が飛ばされた世界に関する調査をしていた時にドイツで開催されたイベントで誘拐された人物が行方不明になったという記事を見つけたので調べた所、その人物は私と同姓同名で興味が湧きました。

 彼に関する身元を調査しましたが中学までの記録がありました。しかしそれ以降は見つかりませんでした」

 

 一夏は自分と同じ名前の人物が誘拐されて行方不明になっていた事とその人物を調べた情報を話した。准将はそれを聞いて少し考え事をする仕草を見せた。

 

「世の中には似たような人物がいるから興味が湧く気持ちも分かる。一夏君、後はゆっくり休んでくれ」

 

「分かりました。失礼します」

 

 准将に報告を終えた彼は部屋から出て行った。

 

(まさかとは思うが……彼が例の行方不明になった人物なのか? だとしても彼は彼に変わりない)

 

 一夏が部屋から出た後、准将はそう推測するがこれ以上の事は考えなかった。彼が無事戻ってきたことは事実なのだ。

 

 

「俺が行方不明になってから数週間しか経っていなかったのか。まぁそんなもんだよな。

 この世界に青空を取り戻すまで俺は頑張るぞ!!」

 

 一夏は行方不明になっていた間の事をジョニー上等兵から聞いた。この星が青空を取り戻す、その日まで解放旅団と傭兵達は戦い続ける。それを聞いた彼は自分にはこの世界でまだ使命がある事を実感して戦うことを決意した。

 

 

 それから数年後、一夏が持ち帰った異世界の稼働データからフェムト粒子が有する毒素を無力化する技術が開発と実用化、量産化された事により解放旅団が予想していた年数よりも早く青空を取り戻した。人々は彼を救世主と崇めたらしい。

 

「思ったよりも早く取り戻せてよかった。これで俺の役割は終わったな」

 

 一夏はあの世界で見た物と同じ青空を見ながら呟くと准将から依頼が届いた。

 

「オーダーを確認。まだやる事は残っていそうだが悪くないな。

 イーグル、これより出撃する」

 

 一夏(イーグル)はオーダーを受領した。今日も黒鷲で青く染まった空を駆け回り人々に襲い掛かるイモータルに戦いを挑む。

 

 

 

  一夏が行方不明になってからこの世界で数年が経過した。

 箒は一夏とソロモンが消えた後、自衛隊により救助されたが背中から海面に叩き落とされた事が原因で脊髄が損傷、これにより腰から下が全く動かなくなり車椅子生活を送っている。

 彼女はソロモンと一夏が戦死した事がトラウマになったのか魂が抜けた状態となっており今も入院生活を送っている。

 セシリアはクラス代表の一夏が戦死した事で副代表から代表に昇格、彼の一件で力不足を痛感した彼女は学園の成績トップを収め続けてイギリス代表に昇格、モンドグロッソで優秀な成績(ヴァルキリー)を獲得した。

 鈴音は一夏が戦死した事にショックを受けるもそれを糧にして勉学とISの操縦技術向上に励んだ末に中国代表に選ばれた。

 簪は姉と仲違いをしたまま学園を卒業、日本代表に選ばれなかったが優れたプログラム技術を見込まれた大企業にスカウトを受けた彼女は大学を卒業した後、そこで働いている。

 千冬は一夏が戦死した事でショックを受けて引きこもりになった。その後、彼女はIS学園の教師を退職したがその後の行方は誰も分からない。

 山田先生は千冬が引きこもった事で副担任から担任に昇格、彼女の優れた教えもあり彼女の元で学んだ生徒は優秀な成績を収めた者が大勢現れた。現在でもIS学園で教鞭を振るっている。

 束は自身が開発した無人機と紅椿が亡霊に一方的に二度も破壊された事で千冬と箒の連絡を絶ってソロモンの行方を追い続けている。しかしソロモンは一夏が消えてから一度も姿を見せていない。

 彼女は永遠に見つからない亡霊を未だに求め、彷徨い続けている。




 一夏の出自に関する補足とまとめ

①彼は織斑計画で誕生、ドイツ大会の誘拐事件まではこの世界で育ちました。

②誘拐事件が起きた直後に何らかの要因でワームホールが発生、DXMの世界に飛ばされた。ワームホールに飲み込まれた影響で肉体と記憶、精神が1歳まで若返った。

③DXMの世界に飛ばされた直後に准将とグリーフが彼を発見、保護した。

④グリーフは一夏の遺伝子を解析、彼が意図的に生み出された存在だと推測して自身の計画に一夏を組み込んだ。(彼をルーキーとして利用した)

 この小説の一夏の設定は私が独自に生み出したものです。

 一夏が若返った事に関しては某ネコ型ロボが主役の犬猫が主題となった映画の捻れゾーンの設定を使いました。
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