インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S)   作:フラッシュファントム

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今回はDXMの一夏が白式を使ったらという話です。

※時系列はクラス代表決定戦直前です。


EXオーダー2:もしもクラス代表決定戦で一夏が白式を使ったら

  一夏はこれから行われるクラス代表決定戦に備えてアーセナル(黒鷲)の最終調整をしている。黒鷲の装備は騎士を模したオルサという初期装備で性能は低い。それでも彼はこの装備と共に戦って来たことは確かなので信頼はあった。

 

「最終調整と点検、完了。これで何時でも戦える!」

 

 一夏が黒鷲の点検と調整を終わらせた瞬間、千冬が突然ピットに入ってきた。

 

「織斑、いきなりだがお前が使うISをピットに置いた。早く来い!」

 

 彼女は入室して早々、とんでもない事を発言した。千冬は弟が愛用している黒鷲ではなく彼女が独断で用意させたISを使えと言ったのだ。これに一夏は異議を唱える。

 

「恐れ入りますが私は貴女が用意したISを使うことはできません。未調整かつ試運転を一切していない物を使う事は大変危険だと思います。

 稼働データが目的でしたら今回は黒鷲を使います。貴女が用意したISの稼働データ収集は決定戦の後でも出来ます。

 織斑先生……それでも不服ですか?」

 

「私に反論するな! とにかく着いて来い!」

 

 一夏が述べた意見に千冬は怯んだが強引に彼をピットへ引っ張り込んだ。彼女はピットに自身が用意したIS(白式)を一夏に装着するよう促した。

 

「織斑、白式を使え。これは命令だ!」

 

 千冬は彼に白式を使うように指示を出したので一夏は渋々とそれに従って白式を装着する。

 

「体を動かせ、すぐに装着しろ。時間がないから初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)は実戦でやれ。分かったな!」

 

「……分かりました」

 

 彼は不満ながらも返事をして出撃した。アリーナの上空に到着すると蒼い雫(ブルー・ティアーズ)を纏ったセシリアが待っていた。

 本来なら初期化と最適化は実戦でするべきではない作業だが白式の搬入が遅くなったのでやむを得ない。尤も、白式で彼が全力で戦えるのかは疑問だが……。

 

「逃げずに良く来ましたわね」

 

 セシリアは一夏を挑発するが彼は全く反応しない。彼にとって使い慣れた黒鷲ではなくいきなり用意された白式を使う羽目になったので試合が始まる僅かな時間で機体スペックの確認に集中している。

 

(データ確認。武装は……太刀がたったの1本だと!? これは正気の沙汰じゃない!

 数値上では高い機動性とスピードはある。冗談じゃないぞ! これならオルサを使った方が良いに決まっている!!)

 

 一夏は白式のカタログスペックを見て内心で激しく憤慨する。機動性とスピードは高いものの武装が刀1本という素人が扱うには余りにも酷な代物だったからだ。

 オルサで戦うことを前提としていた彼にとっては堪ったものではない。

 

「無視とは無礼ですわね!

 私が一方的な勝利を得るのは当たり前のこと。ですから、惨めな姿をここで晒したくなければ、今ここで謝るというなら許してあげないこともなくってよ」

 

 セシリアは反応しない一夏に対して更に挑発しながらレーザーライフルを構えるが反応しなかった。

 

(それにしても織斑先生は素人にこんなピーキーな物を実戦でいきなり使えとはよく言えたものだな……。

 この試合が終わったら徹底的に抗議してやる!!)

 

 一夏は目の前にいる対戦相手よりも白式を実戦でいきなり使えと言った千冬に怒っているようだ。

 しかし彼がそんな事を考えていた事をセシリアは知らなかった。

 試合開始を告げるブザーが響くと同時に彼女はライフルのトリガーを引くと銃口から青い一直線の光が一夏に向けて放たれた。

 

「くっ!?」

 

 一夏はレーザーを左に動いて辛うじて回避した。黒鷲を使っている彼ならここで突撃銃で反撃をするが白式に射撃武器が搭載されていないので不可能だ。

 

「スピードはある。如何せん武器が刀一本とは厳しいぞ!」

 

 一夏は白式のスピードを活かして回避しながら接近する隙を伺うもセシリアはそれを許すほど甘い相手ではない。彼は銃火器が戦いにおいて必須な物だと痛感。

 それと同時に刀だけで戦っていたソロモンが極めて強力な相手だった事を改めて実感した。

 

「私の事を舐めていますの!? 私のブルーティアーズで円舞曲を御覧なさい!」

 

 セシリアは一夏が攻撃しない態度に苛ついて4つのビットを射出、彼の死角にビットを配置すると同時に攻撃を開始した。白式の性能に慣れていない彼はビットの砲撃を回避できずに全ての攻撃を受けてしまった。

 

「くっ!? これではまともに近づくことすらもできん!」

 

 一夏はビットの攻撃と機体の性能に翻弄されて思うように戦うことができない。黒鷲を使えれば少なくとも無様な醜態を晒さず善戦していただろう。

 ブーストしてレーザーを回避するがこのままでは負けるのは時間の問題だ。ビットの攻撃が終わった瞬間、セシリアは狙撃をして彼に接近する隙を与えなかった。

 一夏はセシリアの攻撃をひたすら躱し続けるがこのままでは嬲り殺しされると悟った。

 

(ここは勝負を捨てて自爆特攻を仕掛ける!!)

 

 彼は自棄になって白式のブーストの出力を最大にしてセシリアに突撃を敢行した。無謀だが試合を早期で終わらせるという点においては理に適っていると言える。これはあくまでも試合なので負けても死ぬ訳ではないと彼は思ったのだ。

 

「ブルーティアーズは6つありましてよ!」

 

 セシリアが告げると同時に2つのミサイルがスカートアーマーから射出された。ミサイルは一夏に向けて迫ってきた。彼は不意を突かれたような大きな叫び声を上げた。

 

「なんだと!? うわぁぁぁぁぁっ!!」

 

 ミサイルは一夏に直撃、爆風と煙が巻き起こった。この一撃が決定打となるかと思われたが煙の中から光が放たれた。

 

「なんですの! まさか……貴方は初期設定で戦っていましたの!?」

 

 セシリアは一夏が使っている白式が最適化した事に驚愕をみせた。彼は今まで初期設定で戦ってここまで逃げていたのだ。自身の慢心があったとはいえ彼に秘められた才能は計り知れないと悟った。

 

「エネルギーは辛うじて残っている。ワンオフ・アビリティー(単一仕様能力)の零落白夜が使えるのか。

 武装が雪片弐型に変化しているが射撃武器は無しか……」

 

 一夏は最適化した白式のデータを一通り確認して溜息を吐いた。最適化して射撃武器が追加されると思ったが期待外れだった。彼は単一仕様能力の効果を確かめる為に零落白夜を発動した。

 

「なっ!? 白式のエネルギーが減っているだと!!」

 

 零落白夜を発動、雪片弐型にレーザー刃が生成されると同時に自身のエネルギーが減少する。彼は慌てて解除しようとしたがその前に白式のエネルギーが尽きた。

 

『試合終了! 勝者、セシリア・オルコット!!』

 

 クラス代表決定戦はセシリアの勝利だ。彼女は相手の自滅に近い勝利を得たことに唖然としていた。

 零落白夜はISのシールドバリアーを斬り裂くことで相手のシールドエネルギーに直接ダメージを与えられる白式最大の攻撃能力である。しかし自身のシールドエネルギーを消費して稼動するため、使用するほど自身も危機に陥ってしまう諸刃の剣でもある。

 今回の場合はエネルギーが殆ど残っていない状態で発動したのでエネルギーがあっという間に尽きたのだ。

 

「ありがとうございました」

 

 一夏はセシリアに一礼した後にピットに戻った。彼女は呆然としていたが直ぐに正気を取り戻してピットに戻った。

 

「織斑先生、貴女に訊きたいことが3つあります!

 1つ目は初心者の私に何故、白式というピーキーな機体を与えたのか。

 2つ目は自爆武器同然の刀しか装備が無いのか。

 3つ目は白式は何処の企業で開発されたのか。

 私が提示した3つの質問に今すぐ答えてください。答えが無い、または回答の内容次第では白式を一切使用はしません!!」

 

 一夏は口調は冷静ながらも怒りに満ちた表情で織斑先生に質問を投げつける。

 彼女は彼の質問に答えようとするが一夏の剣幕に圧倒されてすぐに答えられなかった。

 

「沈黙ですか……分かりました。今後、私は白式を一切使いません。

 それと白式の開発元についてはこちらで調べます」

 

 一夏はそう言い残してピットから去った。

 その後、彼は白式が千冬と何者が裏で倉持技研と繋がりがあったことを突きとめた。更に白式の開発を優先した為に日本の代表候補生の機体開発を打ち切っていた事も判明した。

 

「こんなこと……絶対許させねぇ!!

 この落とし前、必ずつけてやる!」

 

 一夏はこの事実に憤慨した。自分の意志を蔑ろするだけでなく関係ない第三者にまで被害が及んでいたのだ。

 彼はこの件を山田先生とIS学園の上層部に直接報告をした。ここに織斑先生が介入したら揉み消されると思ったからだ。

 その結果、千冬は独断行動により減給と担任降格、山田先生は千冬に代わって1組の担任に昇格した。

 白式は倉持技研に返却、ISの開発権限も剥奪されてしまったらしい。開発が打ち切られた専用機は後日、別の企業で開発が再開される事が決まったようだ。

 

 

  これは一夏に起きうる可能性の1つだと言えるかもしれない。




結末としてはこんな感じにしました。

千冬は独断で白式を一夏に無理矢理乗せる可能性があったと思ってこの話を書きました。
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