インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S)   作:フラッシュファントム

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時系列はオーダー15直前です。

福音とソロモンがどんな戦いをしていたのか明かします。


EXオーダー3:福音VS亡霊

  ハワイ沖で軍事用に開発されたIS『福音』が試験運用が開始されようとしていた。アメリカ国籍の空母に福音が甲板にある。白銀に輝く全身装甲と大天使を彷彿させる大きな翼型のブースターが特徴だ。

 

「こちらナターシャ、福音の試験運用を開始します」

 

『了解。これより、データ収集を始める』

 

 福音のテストパイロットを担当するナターシャ・ファイルスは管制室に報告、福音を起動する。福音はアメリカとイスラエルが共同で開発した第3世代軍用ISだ。

 武装は36門同時展開可能な主砲『銀の鐘(シルバー・ベル)』である。これは高機動の射撃特化型で高速で移動しながら広い範囲を攻撃する為に開発されたISだと考えられる。

 福音は甲板から飛翔、大空を自由自在に駆ける。操縦者のナターシャは福音の機動性は良好、操作性は問題ないと判断して飛行を続ける。直線飛行や旋回、体を回転させる等のアクロバティックな飛行をした。

 ナターシャは予定通り福音を動かした後に一度、空母の甲板に着艦しようとした時、ISに異常が発生した。

 

「こちらナターシャ。管制室、福音に異常が発生! 制御不能!!」

 

『管制室より緊急報告。こちらからも福音の制御が不可能! ISのコアネットワークに外部からの侵入を確認!』

 

 ナターシャは福音の異常を訴えると同時に管制室も外部ネットワークからの侵入を報告。侵入者からのハッキングに抵抗するも福音の制御を戻せなかった。

 福音は制御下から外れて暴走、そのまま試験空域を離脱して日本に向かって一直線に進んだ。

 

(この子は一体どうなってしまうの……)

 

 ナターシャは暴走する福音を装着したまま自分の意志を無視して空を飛び続ける。その時、後方から強烈な衝撃が背中に襲い掛かってきた。

 

「うぅぅぅぅ!! 何なの一体!?」

 

 福音は振り向くとボロ布と継接ぎの黒い装甲を纏った禍々しい姿のロボットだ。両手に2本の小ぶりの刀とパイロンに大振りの刀が2本、合計4本の刀を持っており半壊しているようだ。前と違う点はボロ布の一部が継接ぎの装甲に置き換えられており、背中にミサイルポッドらしきボックス型の武装が追加されていた。この機体はソロモン……亡霊という異名を有している不気味な存在だ。

 

「何こいつ……」

 

 ナターシャの背中に冷や汗が流れている。ソロモンは福音の背中に急降下蹴りを不意打ちで喰らわせたのだ。敵と認識した福音の攻撃システムが起動、彼女の意志に背いて反撃する。

 

『天を穢す醜い翼……堕ちろ!』

 

 ソロモンは瞬間移動で突進する福音の背後に移動、RWの太刀(アメノハバキリ)を横一閃で振り、左翼に傷を入れた。斬撃を受けた福音は急上昇して太陽を背にする。これにより敵の視界を奪おうと試みたが無意味だった。

 

『甘い!』

 

瞬間移動で福音の背後を取ったソロモンは左踵落としを福音に叩き込んだ。福音は落下するも途中で態勢を立て直して主砲を展開、ソロモンに狙いを定めて発射した。

 

『その程度!!』

 

 亡霊は迫りくるレーザーを両手に持つ二振りの太刀で斬りおとしながら瞬間移動で砲撃を全て防いだ。そこからソロモンは福音に急接近。LWの太刀(アメノムラクモ)を縦一閃で振り下ろし、福音の胴体に切り傷を負わせる。ソロモンは更にクロス斬りを叩き込んで福音に大ダメージを与えた。

 福音は亡霊の攻撃を止めるべく全砲門を展開、体を回転させながら主砲からレーザーを発射した。ソロモンはブーストで後退しながらレーザーの嵐を刀で防ぎながら瞬間移動で回避した。

 

「何なのこいつ!? さっきから福音の攻撃が全く効いていないなんて……」

 

 ナターシャはソロモンの圧倒的な力を前に脅威と僅かな希望を抱いた。福音は軍用に開発されており出力も並みのISを凌駕しているが全く効果が無い。彼女は制御不能になった機体を亡霊が止めてくれるという微かな望みを持つようになった。

 

『天に唾を吐く愚者よ……その身をもって人柱となれ!』

 

 ソロモンは背中のミサイルポッドからミサイルを全弾、福音に向けて発射した。多数のミサイルが福音に迫るが銀の鐘により全て破壊された。破壊されたミサイルにより黒い煙が発生、視界が遮られた。

 

「センサーに異常!?」

 

 福音は煙に覆われた瞬間、ハイパーセンサーから異常が発せられた。亡霊の放ったミサイルは爆発と同時にレーダーとセンサーを妨害する粒子が含まれていた。ハイパーセンサーも例外ではなく機能に異常が発生しており敵の補足が不可能になった。

 

「くっ……!!」

 

 彼女の下腹部に強烈な衝撃がはしる。左翼と右脚、背中に亡霊の斬撃を喰らった。レーダーと視界が効かない状況での攻撃は凄まじい恐怖をナターシャは感じている。

 福音は煙から脱出してそこに主砲を展開してレーザーを放った。ソロモンはレーザーを受けたにも関わらずに無傷で突破、クロス斬りで福音に反撃して深い傷を負わせた。亡霊は容赦なく福音に攻撃を仕掛けようとブーストで接近する。

 福音は亡霊から逃げる為に海面近くまで高度を下げて後退しながら全砲門を展開、主砲からレーザーを乱射。ソロモンは高度を福音と同じにして追跡をするが目の前にレーザーの嵐が迫る。

 亡霊は前に来た船の側面の背後に瞬間移動した。その船をレーザーの嵐を避ける盾代わりにして攻撃を全て防いだ。

 ソロモンの盾になった船は密漁船でレーダージャマーを搭載して機影が映らないよう細工を施した。しかしソロモンと福音の接近に気付けず、近くを通過する要因となった。密漁船はレーザーの直撃により穴だらけとなり船体が大炎上、沈没をしていく。

 

『近くにいたお前が悪い』

 

 ソロモンはそう言い残して上昇、福音を探すも姿を見失った。福音の行方を追うために自身に取り込んだISのコアを介してコアネットワークに接続、福音の位置を特定した。

 

『見つけた。天を穢す愚者の翼……逃がさんぞ!』

 

 亡霊は福音の座標に向けてブーストで前進した。

 同時刻、ナターシャはソロモンから逃げた事に安堵するも機体の状況を確認する。福音は深刻なダメージを受けており出力が徐々に低下している。特に左翼の損傷は致命的で通常の出力から90%近く低下を示していた。このままでは墜落するのも時間の問題だ。

 

(このままだとこの子は堕ちる……。どうすれば)

 

 彼女がそう考えていた時、背後から迫る物体をハイパーセンサーが補足した。迫る物体はソロモンだ。

 

『逃げられると思うな!!』

 

 ソロモンは深手を負った福音に止めを刺す為にブーストで接近する。このままでは追い付かれてしまう。

  福音の運命は如何に!?




密漁船を盾代わりにしたネタは某仮面戦士のオマージュです(笑)

この戦いがオーダー15に繋がります。

ソロモンのミサイルは独自設定の使い捨て兵器です。このミサイルはレーダーとセンサー妨害が目的です。

総弾数は15発、威力は低めですがレーダーが使えなくなるので奇襲攻撃を仕掛ける布石として使えます。
弾切れになったら自動で装備が破棄されます。

レーダー妨害は相手だけが受けます。使用者に効果があったら意味が無いので(笑)

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