インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S) 作:フラッシュファントム
織斑一夏が戦死してから数日後、IS世界は彼が死んだことを隠している。極秘任務で彼が死んだことが世界中に伝われば大混乱が起きるからだ。
林間学校を終えて学園に戻った生徒達の顔つきは一部を除き憑き物が取れたような爽やかな表情をしていた。その事に千冬は複雑な心境をするが生徒達はその心中を知らない。
人の死を喜ぶ者達を批判する人達もいるかもしれないが得体の知れない存在に恐怖するのは人の本能であり誰もが必ずもっている。
同時刻、意識を取り戻した箒が目を覚ました。彼女は足を少し動かそうとしたが全く動かない事に気付き内心で酷く動揺する。
「これは……一体どういうことだ!?」
箒は更に動揺して懸命に足を動かそうとするも手応えが無かった。まるで足に神経が通っていない様で不気味に思ったのだ。そこに医師と看護師が入ってきた。
「気がつきましたか」
「先生! 私は一体……?」
医師はそう問いかけると彼女は何かを思い出したか自分の身に起きたことを尋ねた。すると医者は神妙な顔付きとなった。
「今から貴女に重要な話をする。心して聞いて欲しい」
医師によると落下した衝撃で脊髄が損傷。下半身の神経が完全に切れて動かす事が出来なくなったと告げる。それを聞いた箒は発狂。それに追い討ちをかけるように幼馴染みが行方不明になった事も伝えた。
「そんな……私のせいで一夏が……。あああぁっっーー!!」
彼女は病室にも関わらず大声で叫びをあげるがスタッフが入ってきて直ぐに取り押さえられた。その後、千冬が入ると同時に医師と看護師、取り押さえたスタッフが退室する。
「本来なら懲罰を下したい所だがその体では無理なようだ……。復帰したら覚悟しておけ」
千冬は冷たくそう告げて病室を去った。因みに箒のいる病室は特別病棟の個室で防音施設は万全なので騒いでも問題は無い。
彼女はここで自分がやった行動を酷く後悔するも手遅れだ。箒は己の力を過信して無謀な特攻を仕掛けるも武装の破壊、最新のISすらも失ってしまった。更に幼馴染みの一夏が
それから数ヶ月間は入院、リハビリを続けるも箒は無表情だった。医師から精神的な病があると判断されて入院期間が無期限で延長、IS学園からの自主退学をした。
箒の家族は見舞いに来なかった。束は行方不明かつソロモンの行方を追うことに夢中でそれ処では無く、両親に入院の件が一切伝わって来なかったからだ。
孤独感や幼馴染みを殺してしまった罪悪感に耐えきれ無くなった彼女は監視の目が緩んだ隙をついて首を吊って自殺した。
死体になった彼女は誰にも知ることなく密かに火葬された……。
こうして彼女の一生は終わりを告げた。
一方、一夏はISの世界にいた事をすっかり忘れているのか今日も地下施設でお宝を探す探査オーダーをしている。彼はオーダーを終えて帰還、持ち帰った資材の報告をした。
「今回のお宝は良好だ。この調子で新武器の調達を続けよう」
今回の持ち帰った武器で一番のレア物は直剣の近接武器『アルファングレイガー』である。この武器は消費メモリが他の武器よりも多いが太刀の様に軽く振れる上に直ぐに次の敵に攻撃可能で威力は極めて高い。
地下に眠る武器はほんの一部に過ぎないが極めて強力な武器である。この施設にはまだ解明されていない部分が多くある。
一夏は休憩をした後、また地下施設に潜る。自分がIS世界で死んだことになっていると考えていないようだ。
因みにグリーフが死んだ後、残されたグルーミーとリグレットは捕まりテラーズは解散。犯罪者の集まりである西の七人に吸収された事で探査オーダーを中心に活動をしている。
本来なら極刑もあり得たが熟練の技術と西の七人による交渉によって合併したのだ。合併条件は彼等の監視と引き換えに刑期の短縮。
この条件をオービタルが受け入れたのだ。こうして彼等は生き残って活動を続けている。そこに1つの通信が入ると一夏の顔付きが変わった。彼が通信を終えると同時に出撃準備を始めた。
「ゼルクロア……」
一夏は小声で呟き、アーセナルで出撃した。今日も彼はイモータルと戦う。