インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S)   作:フラッシュファントム

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これは物語の解説です。

ネタバレ要素全開なので閲覧するさいは本編を全て読んでください。
































解説と余談
解説その1


  『一夏が異世界に飛ばされた時に何故若返った』

 

 彼が異世界に飛ばされた時に1歳前後まで若返りさせた理由は3つある。

 1つ、記憶の完全なリセット。2つ、意外性を狙った。3つ、昨今で流行っている神様転生で前世の記憶関連の引き継ぎに対する疑問。

 1つ目に関しては記憶喪失で十分だと思われるがこれだと何らかの拍子に思い出す可能性がある。記憶は一夏やその関係者にとっては重要なものだ。記憶が消える事は存在が消えることを意味する。若返りで記憶を完全にリセットした上でゼロから積み上げて彼の新たな始まりとした。メタ的な部分を語るなら作者にとって都合が良い『オリ斑一夏』を創造するためである。

 2つ目の意外性は近年の作品で若返りが乏しいと感じたからである。異空間を通過した作用で細胞の時間が逆行すると思った。

 3つ目は単純な疑問で神様転生で生まれ変わったのなら記憶はリセットされると思った。しかしその後の展開を見ると殆どの転生者は前世の記憶を何処かの段階で取り戻している。

 前世の記憶を最初の内だけ持っていて後から消えていくことは理解できるが完全に取り戻す事に違和感がある。この小説でも前世の記憶等を出すことも可能だったが1つ目の理由に反するのでしなかった。

 一夏の若返りの解説はこれで終わりとする。

 

 

 

  『一夏は何故、IS学園で人間関係が上手く構築できなかったのか』

 彼の年齢が20歳と育った環境がクラスメイト達と全く異なっているからだ。

 20歳で高校生と名乗る事に違和感を持つ人がいるだろう。しかし現代の法律を適応するなら20歳で高校生も有り得る事だが日本でその事例は極めて珍しいと言える。

 その大半は定時制で通っているケースが多い。中学を卒業すると同時に高校に進学する場合が殆どで違和感があってもおかしくはない。

 彼のクラスメイトのほぼ全員が学歴は違うと言えど同世代でかつ女子高出身生徒が半数を占めているので会話し辛い事も要因と言える。更に彼の育った環境は裕福とは言えないがそれなりの暮らしをしている。しかしIS学園の生徒達は早ければ幼少期からIS学園の入学に向けた勉強をしている。故に環境が余りにも違いすぎるのだ。

 加えて一夏は18~20歳まで傭兵として学園に入学するまでは命を懸けた戦いをしていた。彼女達とは価値観がかけ離れており話しかけにくい雰囲気を形成していると考えられる。彼はクラスの雰囲気に馴染めない事は既に分かっており異世界から来た自分は無闇に問題事の干渉を避ける為にセシリアの侮辱発言等に一切、反応しなかった。

 メタ的な部分を語るなら原作のツッコミ所を排除したかっただけでセシリアと鈴音、ラウラの喧嘩騒動を無くしたこと、シャルロットの退学処分もその一環に過ぎない。

 

 

 

 

 

 

  『偽りの暮桜でラウラは何故死んだのか』

 原作で一夏は零落白夜でVTの外装を切ってそこから彼女を引き摺り出して助けた。これに関してはシャルロットの支援があり、ラウラの意志を知った彼だからできたと思う。DXMの一夏はレーザーブレードしか装備していないがラウラの救助はできていた可能性はあった。

 しかしこの世界の彼はラウラと話す機会は対抗戦前の模擬戦しか無く、その短時間で彼女の全てを把握する事は不可能に近い。

 更に対抗戦は一夏が単身で出場しており協力者はその場にいなかった。ミラージュ機能で分身を生成してダメージを与えつつ鎮圧部隊の到着迄に時間を稼いだ。その間、分身はラウラへ積極的な攻撃をしておりダメージが蓄積して装甲の再生速度が低下。アーセナルの損傷が酷くなってミラージュ展開の限界時間到達と同時に鎮圧部隊が到着、一夏は撤退した。しかしVTシステムは模擬戦で一夏に敗北していた事を根に持っていたので鎮圧部隊を包囲網を強行突破して逃げる彼を追った。

 この時、ラウラの肉体は今までのダメージと包囲網の強行突破で限界を迎えており虫の息に近い状態だった。VTシステムは操縦者の健康状態を無視した動きをして大きな負荷をかけるので長時間の使用は危険だと言える。

 一夏のアーセナルは左腕が使用不可でそれ以外の部分も耐久値が半分以下で機体のVPもあと一撃受けたら完全に尽きる状態だった。武装もレーザーブレードしか残っておらずスタミナ切れを起こしていた。

 アーセナルはスタミナ切れを起こすと完全に回復するまで上昇やブーストが一切不可能になる。この時、一夏は鎮圧部隊に後を任せて離脱しており跳躍地点までスタミナの消費を考えずにブーストしていたので無理もない。熟練のアーセナル乗りでもスタミナ切れを起こすこともあるからだ。

 VTシステムが一夏に接近した時、彼は咄嗟にレーザーブレードを突き出すとブレードは運悪く彼女の心臓近くで絶対防御を貫いて皮膚に到達していた。この時、粒子兵装を使って離脱すれば良いと思った人もいるだろう。しかしミラージュを限界まで使うとフェムトの量がゼロになり、蓄積量が最低でも1/3に達しないと粒子兵装が使えないのだ。

 フェムト残量の管理が出来ていないと指摘する人もいるが余裕が無い状態かつ限界まで使う事を強いられた状況で細かな管理が出来る人は少ないと思う。レーザーブレードはフェムトが少なくても攻撃できるが普段よりも範囲が狭くなる。運悪く、一夏はこの武器にフェムトの消費を抑えるアタッチメントを装備していたので蓄積していたフェムトでも通常の範囲で攻撃ができてしまった事も要因と言える。

 メタ的な事を語るなら原作の一夏がラウラを救出した展開をこの一夏は出来ないと思ったからだ。故に彼を極限の状態にまで追い込んで彼女を殺すしかない状況にした。

 

 

 

 

 

  『一夏は何故時間稼ぎの作戦を立案する傾向にあるのか』

 彼の作戦は時間稼ぎが多い理由は増援戦力が来るからである。最初に戦ったソロモンと暮桜、福音戦においては後から増援が来ることを分かっていた。大きなリスクを負って倒さずに持久戦に持ち込んで敵を消耗させる。

 それから増援部隊と合流して安全に倒す方が生き残る可能性は高いと彼は考えた。

 戦場において重要な事は生き残る事で命を落とせば計り知れない損失が生じる。また周囲にも大きな被害が発生することも有り得るからこそ彼はリスクを減らす作戦を立てるのだ。

 それだけでなく敵の情報を時間稼ぎと並行して取得、増援部隊に敵の情報を送って共有できる利点もある。これにより増援部隊から有効な戦法をその場で取得できる事もあり囮役の損失を避ける可能性が高まる。

 仮に増援が無いとすれば彼は別の作戦を立案するかもしれないがそれはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

  『EXオーダー2で一夏が何故自滅したのか』

 私事ですがアーセナルの初期装備と白式の性能を出来る限りの範囲で再現した組み合わせを操作した。

 実際に動かした結果、性能差は明らかで白式再現の組み合わせは速くて慣れるのに時間がかかった。試験場で操作したとはいえこの性能かつ初陣であれだけの動きができる彼が如何に凄い才能を有していたかと思った。

 千冬は『私の弟だから使いこなせる』と一夏に言っていたがこれはその台詞に対する皮肉を示すための試合結果だ。

 彼女は自分の弟だからこそ同じ戦法ができると思い込んでいた。外見と遺伝子が同じだけで実際の一夏は彼女が知っている彼の人物像からはかけ離れている。

 例え血縁者であっても戦い方は異なる場合も多くある。DXMに登場する双子の兄弟で結成された解放旅団『鋼鉄の騎士』のデヴァとゾアは双子だが両者の戦い方は違う。

 兄のデヴァは近接格闘、弟のゾアは射撃戦主体であり機体のパーツは同じだが武器の構成も大きく異なっている。

 千冬の理屈が正しければ両者の装備は全く同じ構成だがそうではない。寧ろ装備が異なるおかげで互いの弱点を補える上に役割分担が容易になる。

 同じ武器の構成も悪くは無いが苦手な敵と戦った時に負ける可能性が極めて高くなる。故に血縁者だと一方的に武器や装備構成を決めつけてはならない。

 単一仕様能力が発現したら殆どの人は効果の確認として発動する。名前で能力の内容はある程度は推測できる可能性はあるが『零落白夜』と聞いて効果の意味は分からないと多い思う。

だからこそ彼は能力を発動、自分のエネルギーが急速に減ることを知るも解除する前にエネルギーが尽きて自滅した。

 更に当時の一夏は千冬に関する情報を殆ど集めておらずオルサで戦う事を前提としてイメージトレーニングをしていた。前述した通り、性能と武装が異なり彼のイメトレが無意味になった。

 これは彼が信用できる機体を使えないことによる精神的な動揺と機体の性能や特性を理解する時間が極めて短い上に手探りで動かしていた事も要因だと考えられる。

 試合後に一夏が起こした行動だが白式の型式を調べたら開発、製造元の特定は容易にできると思う。機械部品等は大小に関わらず型式があるからだ。

 この情報から更に機体を製造した企業を調べて凍結した機体がある事を突き止める事は可能だと思う。教師の独断で無茶苦茶な機体を使わされるだけでなく、第三者のIS開発を意図せず凍結させた事を知れば誰もが憤りを感じるだろう。

 故に彼はその報復としてIS学園の上層部と日本政府に一連の経緯を報告した。補足だが一夏はこの事実を報告しただけで最終的な措置は法に委ねている。

 現代社会は法治国家なので私刑は認められていない。だからこそ彼はそれを知った上で報告をして政府に後を任せた事を記載しておく。

 メタ的な事を語るなら原作の一夏が初陣かつ初期設定であれだけの動きができた凄さを示す為である。




こんな形で物語の裏話などを書いていきます。

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