インフィニット・デモン・ストラトス (I・D・S) 作:フラッシュファントム
織斑一夏……コールサイン、イーグルと呼ばれた彼の学園生活に関する評価をここに記そう。
教員の視点で見た学園生活の評価は5段階が表すなら4が最適だ。授業態度は問題なくテストの成績も良好、礼儀正しく模範的な生徒といえる。無愛想な所を差し引けば教員の評価は好印象である。
ISでの模擬戦においても堅実な戦術、武器の特性を熟知した戦い方の評価は極めて高い。中距離は突撃銃、近距離はマシンガン、遠距離はスナイパーライフルといった銃器の扱いを理解している。
機動も滑らかで人が直感で動かしているような挙動でカタログスペックを越える動きを見せている。極めつけは性能を変動させる特性を状況に合わせて適切に活用している。
攻める時は火力強化、素早く動く時はスピード強化、敵の攻撃回避が困難な時はバリアを展開するといった特性を自由自在に扱えている。
一方、生徒からの評判は今一だ。彼女等はポッと出の彼が自分達よりも遥かに優秀な成績を修めている事と実技で初心者とは思えない動きを見せたこと等、嫉妬する要素の塊といえる。加えて学内唯一の男子というにも関わらず教師から優遇されていることが気に入らない生徒も多数いるようだ。
陰湿な嫌がらせを画策したとしても彼に通用するとは考えにくいと思われる。現にスパイ活動をしたシャルロットは学園の上層部と共同で容赦なく追放した彼の行いを知った生徒達は表沙汰にならず実害が生じない方法に切り替えた。
彼女達がやったことは一夏の近くでわざと彼に聞こえるように悪口を言うことだ。しかし彼はそんな下らない挑発や悪口に動揺する事は無い。
何故なら一夏はこの世界に来る前からアウター差別を受けて慣れており相手にしてもキリが無いと分かっているからだ。シャルロットの件も彼女のスパイ活動が露見したから報告したのであって捏造や言い掛かりは一切していない。
そんな彼の態度を気に入らない生徒達だったが報復を恐れているのか彼に手出しをしない。一夏に因縁や冤罪を吹っ掛けた所で矛盾を看過されるだけでなく自滅に繋がると理解している。
彼が学年対抗戦でラウラを殺した時は1年生の半数が自主退学、他校の編入をした。殺人犯の汚名を被った一夏だが激しく動揺はしていない。
彼が戦っていた世界で人や傭兵が死ぬことは日常茶飯事だ。過去の戦いで一夏も何人かオーダーを裏切って敵対した傭兵を殺した事があるからだ。しかし彼は未成年の少女を殺したから少なからず動揺はしていた。
ラウラの件に関する評価は教師と生徒の立場から見ると大きな隔たりがある。教師陣はドイツが人道に反した実験を秘密裏にしていた事を知っていてかつ抵抗しなければ一夏が殺されていたのは明白だ。彼も時間稼ぎのために奮戦していたことを考慮した結果、処罰が無いことに納得している。
それに対して生徒達は事件の裏側を知らされておらずラウラを殺害した事だけが独り歩きして殺人犯と罵りを受けるようになってしまった。
学内では影で殺人犯、人殺しがのうのうと学園を歩いているといった風評被害が横行したが彼は特に何もしなかった。この手の輩の挑発にのって良いことは無いことを知っている。
林間学校においては殆どを室内で過ごし、食事は別室で摂った。これは自身が海水に浸かるとフェムト汚染の発生を伏せてカナヅチで泳げないことを伝える。
別室で食事をした件についてはラウラを殺した件で怯える生徒を考慮した事を教師に伝えると問題なく許可がでた。
翌日、林間学校の実習途中に発生した事件の極秘任務の遂行中に所属不明機と一夏の反応が消えて教師や自衛隊が捜索するも痕跡が何もなかった。
彼は戦死したと判断された。彼の死に関して半数以上の生徒は内心で喜んでいた。ポッと出の一夏が林間学校で亡くなった事がとても都合が良いことだったからだ。
一部の生徒は千冬にその陰口を聞かれて厳しい説教を受けたらしい。
実際の所、一夏は死んでおらず元の世界に帰還しており今は最近発見された地下施設の調査を進めているようだ。
彼はISの世界で死んだことになっていることも知らずに今日もまだ見ぬお宝を求めて地下施設の調査を続ける。
IS学園は女子校に近い所だと私は考えています。