雪は溶けない   作:箱葉

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tgt.19 夏祭りの金庫番

 

 

「引ったくり、まだ捕まってないの?」

 

 祭りらしい和風の音楽とざわめきに囲まれたテントの下で、家継は面倒くさそうに頬杖をついた。

 目の前に立っている草壁も、うんざりしているようで顔をしかめている。

 

「はい。どうも単独ではなく複数人による犯行のようで、昨年も捕り逃しており……」

「そういや聞いた気がするかも。困るな~、ショバ代回収できなくなっちゃうよ」

「委員長も見回りに出ていますし、我々も総力をあげて警備を強化しています。今年こそは捕まえますよ」

「うん、頑張って。おれはここから応援してるね」

 

 頬杖をついたまま眉根を下げて笑う。

 昨日から始まった、並盛神社で開催されている夏祭り。

 そこでも並中風紀委員会は大活躍だった。運営自体は町内会や商店街の方々に任せ、風紀委員は場所を貸しているという名目でショバ代を各屋台から回収している。

 

 昨年は家継もショバ代集金班に加わっていたのだが、あまりにも見た目で舐められすぎて、何を言っても冗談だと思われてしまった。

 無駄に手間が掛かるということで、今年は金庫番に配置換えされたのである。

 

 仲間が持ってくるお金を金庫に入れて、ひたすら記帳するだけのお仕事。人混みに揉まれる必要も、店主たちを恐喝する必要もないので楽ではあるが、とにかく暇だ。

 どうせなら引ったくりシバき班とかを作って加わらせてほしかった。

 

「オレも外に出ますが……食べたいものがあれば買ってきましょうか?」

「いいの?」

 

 草壁の提案に目を輝かせる。ちょうどお腹が空いてきたところだ。

 

「じゃあ肉! 肉巻きおにぎりとか、がっつりしたやつでお願い」

「分かりました。では金庫のほう、お願いします」

「はーい、任せて~」

 

 今日もどこから調達しているのか分からない葉っぱをくわえ、テントから出ていく草壁に手を振る。

 そしてゆっくりと息を吐きながら、パイプ椅子に深くもたれ掛かった。

 

 風紀委員会専用のテントは左右と後ろにも布があるタイプで、周囲から隔離されている。おかげですこしはマシだが、それでも人の気配が多すぎて落ち着かない。

 隣に設置されている実行委員会のテントから酔っぱらいの笑い声がして、苛立たしげに指で机を叩いた。

 

 いっそ眠ってしまえば、この騒がしさも気にならなくなるかもしれない。しかし、襲撃されたら困る。

 不良ならまだしも、ただの引ったくり程度では目を覚ませないかもしれない。ここの金庫まで取られたら委員長殿からボコボコにされること間違いなしだ。

 ということで、家継は大人しく座っているしかなかった。

 

 帳簿や屋台のリストを眺めてしばらく経ったとき、風紀委員の武藤がテントをくぐってきた。なぜか片手に棒付きのわたあめを持っている。

 

「お疲れさまです、ツグさん。回収した分と、差し入れのわたあめです」

「うん? ありがとう……?」

 

 わたあめは家継のものだったらしい。

 先に札束を受け取って素早く数える。「ちょうどだね、おっけー」と言いながら金庫に仕舞い、お菓子も受け取った。

 夏祭りくらいでしかお目にかかれる機会はないので嬉しいが、なぜ差し入れなんて持ってきたのだろうか。不思議に思いつつ口に含むと、香ばしい飴が舌の上で溶ける。

 

「わたあめ、久々に食べたかも。おいしい」

「よかったです。では失礼します」

 

 武藤は表情を明るくしたあと、すぐキリッとした顔に戻り、直角に頭を下げてから出ていった。

 不可解なことはそれだけで終わらなかった。なぜか、ショバ代を回収してきた風紀委員たちが高確率で差し入れを持ってくるのである。

 

 しかもりんご飴にベビーカステラ、チュロスにたい焼きと見事に甘いものばかりだ。

 応接室でよくお菓子を食べているので甘党だと認識されているのかもしれないが、一般的な範囲で好きなのであって、さすがに限度というものがある。口の中が甘ったるい。

 

(飲み物がほしい……誰かに電話で頼もうかな……)

 

 隣のテントに行けば町内会の方々からお茶くらいは貰えると思うが、大人たちの中に入りたくない。

 ちょっと難しい顔をしながらりんご飴を齧っていたとき、ふいに視線を感じた。

 

 風紀委員のものではない。

 探るような気配が筒抜けだ。おそらく引ったくりだろう。屋台だけでは飽き足らず、こちらまで狙っているらしい。

 こちらとしては願ったり叶ったりだ。向こうから来てくれたら、さっさと捕まえて解決できる。

 

(ああでも、穏便に対処しなくちゃ)

 

 襲われた場合も、できるだけ傷つけず無力化しなくてはいけない。

 花見の日に失敗してから出来るかぎり気をつけてはいるが、染みついた習慣のせいですぐ暴力を振るって解決しそうになる。

 

 飴を噛み砕きながら反省していると、やがて男がふたりテントへ入ってきた。先ほどから感じていた視線の主だ。不穏な気配を漂わせている。

 

「こんばんは、何か用かな――あ!?」

 

 そう言いながら男たちの顔を見て、家継は驚きの声を上げた。

 

「ライフセーバーの先輩!?」

「よう、また会ったな。まさかお嬢ちゃんが風紀委員に入ってるとは思わなかったぜ」

「あいつらも頭わりーねー! こーんなちっちゃい子ひとりに金庫を任せてるなんてよ」

 

 以前、海で家継が昏倒させた先輩ふたりだ。

 未だに家継を女と勘違いしているうえ、家継に昏倒させられたことも覚えていないらしい。

 

(いや、後ろを向かせたから、そもそもおれがやったって気づいてないのか)

 

 ひとりは鉄パイプで肩を叩き、ひとりはナイフをちらつかせて遊んでいる。

 

「こんなところで再会するとは思わなかったよ」

「こないだ遊んでくれるって言ってただろ? オレらと一緒に夏祭り楽しもーぜ!」

「ついでにそこの金庫の中身も渡してくれると嬉しーんだけど」

「絶対ごめんだね」

「……ああ?」

 

 うっすらと笑みを浮かべたまま断ると、家継の鼻先に鉄パイプが突きつけられた。

 

「これが見えねーの? きみなんて一瞬で痛い思いしちゃうぜ?」

 

 片手で構えられた鉄パイプの後端は、ちょうど先輩の鳩尾の前にある。

 家継は鼻で笑い、食べ終えたりんご飴の棒をゴミ箱にぽいと放り投げた。

 

「その持ち方、危ないからやめたほうがいいよ」

「お、風紀指導ってワケ?」

「いや、きみの心配してる」

 

 予備動作もなく、鉄パイプを押し込んだ。

 持ち手側が的確に先輩の鳩尾へ入る。「ぐッ!?」と息を詰まらせた彼の手から、するりと鉄パイプを奪う。「な、なにを――」と戸惑うもう片方の顎を鉄パイプで強打すると、ゴンッと小気味良い音がした。

 

 ナイフを使う暇もなく失神した片割れを、鳩尾を押さえてうずくまる先輩が驚愕の表情で見つめる。

 家継は机を回り込みながら声を掛けた。

 

「さっき、風紀委員が頭悪いとか言ってたけど……訂正してくれる?」

 

 髪を掴んで上を向かせる。

 

「おれがひとりでここに居るのはね、強いからだよ。ひとりで充分だから、ひとりでいるの。分かった?」

「な……おま……」

「引ったくりやってるのは君たちだけ? な訳ないよね、先輩たちもっといたもんね」

 

 獄寺と山本が積み上げていた仲間はかなりの量だった。引ったくりもあの規模だと考えれば、捕らえるのが難しかったことにも納得がいく。

 呼吸困難に陥っている先輩に、家継はあくまで穏やかに話し続けた。

 

「仲間はどこか教えてくれるかな」

「い、言う訳、ねーだろ……ゴホッ」

 

 そのとき「ワオ、彼らが引ったくり?」と恭弥が入ってきた。なぜか片手にチョコバナナを持っている。

 

「……まさか恭弥も差し入れとか言わないよね?」

「……弟が作ったものだからツグにって、獄寺隼人が押しつけてきた」

「獄寺くんは神様かな!? やった~!」

 

 家継は先輩を放り出し、両手を合わせて満面の笑みを浮かべた。不満そうに突き出されたチョコバナナを受け取り、うやうやしく掲げる。

 獄寺と山本がチョコバナナの屋台を出すことは知っていたが、綱吉も参加しているとは思わなかった。

 

「どうしよう、もったいなさすぎて食べれないよ~!」

「不衛生。それで、コレは?」

 

 顎で指された先輩ふたりに「ああ、そうだった」と我に返る。

 

「引ったくり、の一部だよ。先週こいつらと遭遇したことあるんだけど、お仲間と大量に群れてたから今日も一緒に来てると思う。居場所を聞き出そうとしてたとこなんだ、きみにあげるよ」

「へえ、それは楽しめそうだね。じゃ、もらっていくよ」

「どうぞ~。チョコバナナありがとね。一生大切にする……」

「だから、不衛生」

 

 恭弥は呆れたように溜息をつき、先輩ふたりの首根っこを掴んで引きずっていった。

 

 家継は小躍りしながらパイプ椅子に座り直し、まじまじとチョコバナナを見つめる。そして、意を決してひとくち食べた。

 

(宇宙一美味しい……!!)

 

 今日この時のために、つまらない金庫番をやっていたと言っても過言ではない。

 チョコレートのなめらかさとチョコスプレーの童心をくすぐる味、バナナのほどよい甘みが混ざり合って最高だ。これを弟が作ったなんて天才すぎる。

 白い炎を使って凍らせ、永久保存したい気持ちだったが流石に怪しまれるだろう。家継は泣く泣く、齧っては眺め、齧っては眺め、長い時間をかけて食べきった。

 

「ただいま戻りました――ツグさん、なぜ棒を眺めて……?」

「あ、おかえり草壁くん」

 

 なくなってしまったという喪失感でずっと串を睨んでいたのだが、気が済んだのでゴミ箱へ捨てる。

 草壁は不思議そうな表情をしながら、机にペットボトルのお茶と、肉巻きおにぎりが入った容器を置いた。

 

「どうぞ、頼まれていた品です。遅くなってすみません」

「あ! おにぎりにお茶まで、ありがとう! ずっと甘いものばっかり食べてたから助かるよ~」

「甘いもの?」

 

 首を傾げた彼が、机に置かれたベビーカステラの袋に目を留める。

 口の中の水分が取られるので後回しにしていたものだ。

 

「みんながショバ代持ってくるついでに差し入れ持ってきてくれたんだけど、見事に甘いものばっかりでさ。カステラ、ちょっと食べる?」

「ツグさんのものでしょう、オレは大丈夫ですよ」

「多くて食べきれないんだよ。いまのおれはおにぎりの舌だからね」

 

 カステラも後で食べるつもりではあるが、さすがに全部は入らない。

 割り箸を持ちながら肩をすくめると、草壁は小さく笑った。

 

「みな、あなたのことも慕っていますから」

「……そうなの? みんなと普段あんまり話さないんだけど」

「我々は元々、委員長の強さに惹かれて集まった者ばかりです。その委員長と同等の強さを持っているあなたにも憧れるのは当然のことでしょう」

「ふーん……」

 

 肉巻きおにぎりを咀嚼しながら、家継は納得がいかないような、微妙な気持ちで返事をした。

 確かに強い人イコールかっこいい、という理屈は理解できるのだが、自分もそう思われる対象であるということにいまいち実感が湧かない。

 家継のほうこそ、草壁たちのような恵まれた体格に憧れているのだが、悔しいので言えなかった。

 

「……そうだ、ショバ代回収できた? あとは草壁くんと恭弥だけだから、金庫と帳簿も確認しといてくれるかな」

「わかりました。作業を終えたらまた引ったくり犯を探しに行きます」

「あ、それなら見つかったよ」

「本当ですか!?」

 

 驚いた様子の彼に、先ほど起きた事件をかいつまんで話す。今ごろ恭弥が嬉々として潰しに行っているであろうことを伝えると、草壁はほっとしたように息を吐いた。

 

「よかった。なら、あとは委員長がお帰りになるのを待つだけですね」

「後始末に駆り出されるかもだけどね~」

「はは、ありそうだ」

 

 破顔した草壁が「失礼します」と隣に座り、確認作業を始める。

 おにぎりを食べ終えて暇になった家継は、目の前で行き交う人々を観察した。先ほどの草壁の言葉を思い返しながら、ふと考える。

 

(……そりゃ一般人よりは喧嘩が強いと思うけど、でも、最強って訳じゃない)

 

 恭弥とは五分五分だし、ディーノには負けたし、コロネロやリボーンに至っては今のところ勝てる気が一切しない。

 自分が今まで殺した人間の数が130人ほどらしい、とマフィアランドで初めて知ったが、それだっておしゃぶりの力を借りているだけだ。

 最強……アルコバレーノは最強の赤ん坊が集められているという話だった。

 

 なら、最強ではない家継は何なのか。

 

 マフィアランドに行ってからというもの、悩みごとが増えて仕方がない。

 アルコバレーノという存在と、白いおしゃぶりの持ち主がどういう扱いになっているのかは知ることができた。だからこそ、新たに増えた謎もある。

 

 ひとつ目は、少なくとも家継が会ったリボーン、コロネロ、スカルの3人は知り合いだったという点だ。もし家継だけが例外なのだとしたら、家継の正体は彼らに知られていいものなのだろうか。

 

 そしてふたつ目。

 

(幻の8人目を誰も見たことがないって話だけど、じゃあどうして、白いおしゃぶりを持ってるって知られてるんだろう。それに、ネーヴェって名前も広まってる……)

 

 一番ありそうなのは、誰も見たことがないという噂、そのものが事実ではない可能性だ。

 家継は誰にも見られないよう細心の注意を払っていたつもりである。

 しかし、()()()()()()()が誰かと会っていたら?

 

 おしゃぶりを渡してきた男は確かこう言っていた。

 

『――おはよう、3代目ネーヴェ。これは君を、君として生かすものだ。……時がくるまで好きに使うといい』

 

 3代目……つまり、先代のネーヴェがいるということ。このおしゃぶりが代々継承されるようなものなら、どこかの時代でネーヴェと接触した人間がいるという可能性がある。

 

(多分、きっとそうだ)

 

 ネーヴェとはどういう存在なのか。先代は何をしていたのか。

 アルコバレーノたちに会ったことで、当たり前のように使っていた力と、自分の正体が気になり始めていた。

 

 ポケットに手を入れて、ひんやりとした箱を撫でる。

 

 祭りを楽しむ人たちの誰も、ここに大量殺人犯がいることを知らない。誰も、慕ってくれているという風紀委員たちも、家族でさえも。

 

「ちゃおっス。暇そうなツラしてんな、ツグ」

「あれっ、せんせー!?」

 

 突然、頭を悩ませていた存在のひとりが現れた。驚いた家継は目を見開く。

 ひょっとこのお面を頭に付け、甚平を着たリボーンがぴょんと机の上に飛び乗る。

 

「む、なんだこの赤ん坊は。お知り合いですか?」

「ウチの家庭教師なんだけども……」

「か、家庭教師?」

「いまからツナたちと花火を見るんだ。だから誘いに来たんだぞ」

「花火!? ああでも、仕事があるからなあ」

 

 夏祭りが終わるまで、金庫を守り切らなくてはならない。「悪いけど――」と言いかけた家継に、草壁が言葉を被せた。

 

「いいですよ、ここはオレが見てますから行ってきてください」

「えっいいの? でも……」

「花火のあいだくらい、委員長もとやかく言わないでしょう。もし注意されたら、オレが副委員長として独断で許可したと伝えておきます」

「や、そのときは普通に、アイツ弟と花火見たすぎてサボったって言って」

 

 苦笑しながら立ち上がる。

 なんていい人なのだろうか。いや、草壁がいい人なのは昔から知っているが。

 彼の言葉に甘えて、遠慮なく花火を見に行くことにする。

 

 リボーンは「ツナたちは境内にいるぞ」とだけ言い残し、京子たちを呼びに行った。

 言われた通りそちらへ向かうと、そこにいたのはボロボロになった綱吉と獄寺、山本の3人だった。

 

「えっ、なんでそんなボロボロなの!?」

「兄さん! なんでここに!?」

「せんせーに呼ばれてきたんだよ」

 

 山本が笑いながら「引ったくり集団を追いかけて戦ったあと、共闘してたはずのヒバリに売上金取られそうになって戦ったんすよ」と言う。

 どうやら、彼らは同じく引ったくりを追いかけていた恭弥とかち合ってしまったらしい。あの幼馴染ならその場にある金すべてを奪っていきそうだ。

 

 綱吉はボロボロだが、それでも元気そうだった。恭弥に巻き込まれてその程度で済むなんて。

 成長したなと感心する一方で、怪我を負わせたのが幼馴染だと思うと、家継は困ったように笑うしかなかった。

 

「さ、災難だったね……。そのヒバリくんから、あの、チョコバナナを受け取ったんだけども」

「マジでヒバリさん持って行ってくれたんだ!?」

「うん、宇宙一美味しかったよ! ありがとうツッくん!」

「宇宙一はないって……」

 

 呆れた様子の綱吉に「いーや、宇宙一だったね!」と頬を膨らませたあと、獄寺と山本にも声を掛ける。

 

「獄寺くん、恭弥に渡してくれたのほんとーにありがとね! 山本くんも屋台を出してくれてほんとーにありがと! 君がいなかったらおれはツッくんの手作りを食べられてなかったよ……」

「アハハ、沢田先輩ってほんとーにツナのこと好きっすね」

「もちろん、おれはお兄ちゃんだからね」

「お礼なんて言わないでください! 10代目を称える会の仲間として当然のことをしたまでっス!」

 

 勝手に10代目を称える会とやらの一員にされていたが、良い響きなのでまったく構わない。

 獄寺と視線が合う。ふたりは無言のまま、がっしりと握手を交わした。

 

 それから浴衣姿の京子とハルが来て、ランボとイーピンが合流したところで花火が打ち上がり始めた。

 

 草むらにみんなで座り、夜空を見上げる。ほかに人はおらず、花火も綺麗に見える穴場スポットだ。

 家継は綱吉たちの一番後ろに座り、ぼんやりとその光景を眺めていた。

 森によって切り取られた夜空と響きわたる重低音で、周囲とは隔絶された空間にいるような気にさせられる。

 

 ――だからこそ、余計に疎外感が強くなる。

 ひとりで考える時間が生まれ、ふと我に返るたび……みんなが笑い合う空間に、自分が存在してはいけないような気がするのだ。

 

(後悔はしてない。でも、)

 

 ひときわ大きな花火が夜空を彩る。

 歓声を上げた弟たちを、家継は静かに見つめていた。

 

 





次回から黒曜編に入ります。よろしくお願いします!
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