セラーナさんがダンジョンに絆を求めるのは間違っているだろうか 作:スキマ時間
リリルカは、ノクターナルの衣を盗む夢を見た。
リリルカが、朝、目が覚めると、手に頭巾を持っていた。なにか文字が書いてある。
セラーナが目覚めるのを待って、昨夜の夢の話しをした。
「それなら、その頭巾は『ノクターナルの灰色頭巾』と呼ばれている魔道具ですわね。」
「『Shadow hide ou』と書かれているようですわ。」
編注:ouの前のyの文字は元より失われている。
セラーナは頭巾の伝承から秘められた力をリリルカに教えた。
ノクターナルの灰色頭巾:隠密強化・生命探知・軽量化
かぶっている間、あなたはグレイ・フォックスという別人として認識される
ふと、リリルカは体がいつもより重いような気がした。それに背中がスースーする。
気になって、セラーナに背中を見てもらうと、恩恵が消えていた。
「いやああああああああ」
「待ちなさい。落ち着くのです。これはノクターナルがあなたを憐れんで与えた幸運かもしれませんわね。」
「どういうことですか?恩恵を失うことがどうして幸運なんですか?」
「考えてもみなさい。今のままソーマ・ファミリアの眷属でいるかぎり、ならず者どもにあなたは付きまとわれ、眷属に興味すらもたない神のもとでは、レベルを上げることもままならない。」
「ですが、頭巾をかぶってグレイ・フォックスになり、たとえばヘスティア・ファミリアの眷属になれば、ほら、なんにも問題がない。」
「ええ!神を欺けるのですか?」
「え?わたしのいた世界だと九大神ですら、欺かれてグレイ・フォックスだと認識していたのだから、何も問題ないですわよ」
「そ、そんな非常識な!」
リリルカの目がだんだんグルグルしてきた。
「鉄は熱いうちに打て、ですわね。ヘスティアに会いに行きましょう。もちろん頭巾をかぶってですわよ。」
「でも、ヘスティアには本当のことを話しましょう。彼女はあなたを受け入れると思いますわ。」
「あ、ありがとう。セラーナ」
「さあ、行きましょう」
リリルカは泣いていた。
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二人はヘスティア・ファミリアのホーム、廃れた教会にやってきた。
教会では、昨日、ギルドから飛び出したベルとヘスティアが待っていた。
「セラーナくん、昨日は帰ってこないから心配したよ。それと、そちらの見かけない子はだれだい。」
「この子はグレイ・フォックスですわ。ちょっと事情があるんですのよ。」
「さ、頭巾を脱いでいいですわよ」
グレイ・フォックスは頭巾を脱いだ。
「あれ、さっきまで誰かいたような気がするんだけど。そういえば、君は誰だい。」
「リリルカさん、昨日ぶりです。神様、昨日話した女の子ですよ。」
「ああ、ベル君が言っていたのは君のことだったのかい。本当に無事でよかったね。セラーナくん、頑張ってくれてありがとう!僕は誇らしいよ。」
「ヘスティア様、実は折り入ってお願いがあって参りました。」
「昨日、セラーナさんと従者の契約を交わしたあと、宿でセラーナさんに本を読んでもらったところ、摩訶不思議な事が起きたのです。」
セラーナさんはリリルカさんの辛い過去、そして昨日の夢の話、そしてこれからの事を話した。
「えええええええええ!僕のライフはもうゼロだよ!セラーナくん。」
「だけど、僕も竈の女神、こんな可愛そうな子をぜったいに見捨てたりしないよ。」
「リリルカくん、安心しな。バレなきゃいいのさ!表向きはグレイ・フォックスくんということにしておくけど、家族でいるときは今まで通りリリルカくんでいいんだよ。無理に自分を偽るのは辛いことだからね。」
「か、神様!あ、ありがとうございます。」
そのとき、教会にある女神像でドサッと音がした。
「なにか大きな音がしなかったかい?」
「神様、僕が見てきます。」
「うわ!またチミっ子な神様っぽい人が増えてる~」
「私の衣を貸し与えた幼子はどこであるか?無事であるか?様子を見に来たのであるぞ。」
デイドラ界のドジっ子女神、ノクターナルが顕現した。
つづく