セラーナさんがダンジョンに絆を求めるのは間違っているだろうか 作:スキマ時間
ヘスティアの案内で地下室に下りた。ソファに誰か眠っているようだ。
「ベル君、ちょっといいかな。起きておくれ」
「ハイなんでしょう、神様。もう朝ですか?」
色白でボサボサの白い髪に、赤い瞳、
「はわぁ・・・もしかしてあなた吸血鬼ですの?
それにしても可愛い男の子ですわね。」
ベルは、赤い瞳、雪のように肌が白い女性を視てドキドキが止まらなくなった。ほっぺはりんごのように真っ赤かも。
ちょっとセラーナさんの吸血鬼の誘惑がナチュラルに極まってしまっているかもしれない。
「君、ベル君はれっきとした人間で、ボクの大事な家族なんだから、盗っちゃだめなんだからね」
「そうですの。それはそれで、お腹が空いたときには都合がよいかもしれませんわね。」
「だからベル君を食べないで、お腹が空いたらボクがあげてもいいから」
「神様?ボクが食べられるってどういうことですか?いつものちょっとした冗談ですよね?」
「大丈夫、この子はセラーナ、ときどき心臓を抉るようなことを口走るけど、悪い子じゃないよ。新しい家族として迎えようと思うんだ。」
「そうなんですか!やりましたね神様!」
「ベルさん、申し遅れましたが、セラーナと申します。よしなに」
「ぼ、僕はベル・クラネルです。家族になってくださるんですね。ありがとうございます。」
「ベル君、起きたばかりで悪いけど、詳しいことは神の恩恵を刻んだあとで話すから、ちょっと席を外してくれるかい。」
「え、ああ、わかりました。また後で、セラーナさん」
「ええ、ベルさん」
「じゃあ、そこのベッドに横になってくれるかい。」
「神の恩恵を刻むのですわね。廃れた女神だけに、目を背けるような儀式だったり・・・しないですわね。」
「廃れてないからね。じゃあ、背中を見せておくれ、はじめるよ。」
彼女の話だと、純潔の吸血鬼はモラグ・バルの強大な力で蘇った死者ということだったけど、すべては試してみないとわからない。
「セラーナ、君はボクと絆を結ぶことで、この世界でも一人じゃなくなるんだ。この胸にかけて、大船に乗った気持ちでまかせてくれたまえ。」
「スカイリムではそういった大きな船はいたるところで沈んでいますの。不吉ですわ。」
ぐはっ。
「でもあなたのことは、どこか信用しても良いかなと思いましたの。やってしまってください。」
モラグ・バルとの儀式は遠い昔のことでしたが、そのときとは違って、なにか温かい力を感じますわね。
ヘスティアはなにか強大な力に立ち向かって少しだけ神威を奮い立たせてながら、ファルナを刻んだ。
セラーナの背中から、地下室に強い光が溢れる。
『我は支配と陵辱を司るデイドラ、モラグ・バル。我に従え定命の者よ・・・むむ、我の知らぬ神が何をしておる』
『でかいワニ?ヒー、聞いてないよ。ボクは処女神なんだからね。君はお呼びじゃないの。オブリビオンだっけか?そこに還れよ!』
『どうやらお前は力を封じられておるようだな。そのようなざまで我に勝てると思っておるのか。従え未熟者め・・・ぐおぉぉぉぉ』
『うわぁああああ、侵されるぅ。いやだベル君やセラーナ君と別れたくない。君が誰かは知らないけど、還れよ馬鹿ぁ』
ヘスティアは天界に送還されない程度に精一杯神威を振るう。
『ここはニルンから遠すぎる。どうなっておるのだ・・・我はあきらめたわけではないぞ。いつの日かその娘を取り戻そうぞ』
シューーン。『あれ、あっさり還っていった。何だったんだろう。』
「ふぅー、終わったよ。なんだかよくわからない力に抵抗された気がするけど、うまくいったよ」
ひとつ間違うと、ボクが支配されてたかも。陵辱とかトンデモナイ。でもこの子が支配から解放されたみたいでよかった。
ヘスティアはセラーナを、愛おしく抱きしめた。もう大丈夫。
「なにかしら、決して癒やされなかった喉の乾きが、今は感じませんわ。しかも息をすれば空気が美味しいなんて。ありがとう、ヘスティア」
ヘスティアは疲れからそのまま眠ってしまった。セラーナはそんな神を優しく抱きしめた。
そのころベル君は、待っていた時間が長かったのと、疲れて寝てるところを起こされたこともあって、床で寝てしまっていた。
続く