セラーナさんがダンジョンに絆を求めるのは間違っているだろうか   作:スキマ時間

23 / 26
トロール退治?

三人は10階層で兎を乱獲したあと、11階層に向かった。リリが、この階層からシルバーバックという大猿やインファントドラゴン、ハードアーマードなどが出るという話をした。

 

セラーナさんが『トロール退治』の本を取り出した。

 

「大猿というのは、こんな感じでしょうか?」

 

『トロール退治』には挿絵入りでトロールが描かれており、回復力が高く、力強い腕と爪で獲物を叩き潰すなどの特徴が書かれている。

回復力が高いため、戦いが長引くと不利であること、炎で炙ると再生能力が働かないので、その間にたおすこと。などが書かれていた。

 

「目が三つあるという特徴は一致しないので、似ているけど別の魔物ではないでしょうか?」

 

「トロールの脂肪が手に入れば、よい錬金材料になると思ったのですが。まあ、たおしてから調べましょう。」

 

「あと、錬金材料は食べると特徴を覚えられるので、一度は食べるとよいですわ。」

 

「え?毒とかもありますよね?」

 

「ちょっとぐらい平気ですわ。たまに錯乱したり、体力減退するかもしれませんが、錬金術士への近道ですわよ。」

「まあ、ダンジョン内でやるのはあまりおすすめしませんわね」

 

「え?わ、わたし食べなきゃいけないんでしょうか?」

 

「そうなりますわね。リリさん」

 

「ヒイ」

 

「さ、力の強そうな敵が出ることですし、盾を備えていきますわよ。」

「防御力が高い敵にはゴーストブレイドが向いてますわ。なにせ防御をすり抜けてしまいますから。」

 

「わりと、とんでもない武器ですね。」

 

「あ、ありえないです。な、なんですか、その常識を無視した武器は。セラーナ様のいたとこって、ぜったいおかしいですよ!」

 

「いえ、一般的には、こんな片手剣より両手剣や両手斧で相手を叩き潰すほうが好まれてましたから、この剣とかはそれほど強くないってことで、余り物扱いでしたわね。それで、私が持っているというわけなんですが。」

 

「え?もっとやばい武器が普通なんですか?」

 

「両手の槌とかだと、盾の上からでも叩き潰されますわよ。そういう敵に四方を囲まれたりすると厄介ですわね。そういう時のためのエセリウムの盾ということです。囲まれたら殴って魂にして、敵を減らしてから各個撃破ですわね。」

 

「あぁ。常識が息してない!」

 

「『いい戦いは好きよ』なんて人もいましたが、戦いは勝てばよいのです。さあ、行きましょう。」

 

「そ、そうですね。」

 

11階層、セラーナさんは錬金材料を求めて、広く探索することにした。

 

しばらく探索していると、ハードアーマード5匹とシルバーバックが現れた。

 

「よい感じですわね。リリさん、シルバーバックを激昂させましょう。ベルさん、まずはハードアーマードを片付けましょう。」

 

「はい」

 

リリの激昂の魔法がシルバーバックをとらえた。シルバーバックは錯乱し、怒りをむき出しにして、胸を叩いて咆哮をあげた。

前にいたハードアーマードがシルバーバックに殴られ、吹き飛ばされる。

 

ハードアーマードは硬い殻で覆われているが、シルバーバックの怪力で殴られ、罅が入っている。

 

ベルは、弱ったハードアーマードにゴーストブレイドで斬りかかり、とどめを刺した。

 

セラーナは血の吸収を使いつつ、アイススパイクでハードアーマードの動きを鈍らせた。

 

動きの鈍ったハードアーマードがシルバーバックに殴られて一撃で斃された。

 

リリが氷の精霊の杖で、精霊を召喚した。精霊はシルバーバックと殴り合いを始めた。

 

「ベル、今のうちにハードアーマードをかたづけますわよ」

 

セラーナは、両手でアイスストームの呪文を唱え、敵全体にダメージをあたえた。

氷の精霊も巻き込まれたが、ダメージはないようだ。精霊に殴られたシルバーバックは、少し凍って動きが鈍っている。

 

ベルが切り込んで、弱ったハードアーマードを切り裂き、次々と屠っていく。

 

リリが幽鬼支配の杖を使おうとしたところで、セラーナが叫んだ。

 

「リリ、いけない。召喚魔法は同時に二体呼び出せないわ。」

 

ハードアーマードが復活したが、シルバーバックの相手をしていた精霊は消え去ってしまった。

 

怒り狂ったシルバーバックの攻撃が、ハードアーマードにとどめを刺していたベルを捉えた。

 

「あああ、ベル様!」

 

ベルが吹き飛ばされる。セラーナがリリの使役するハードアーマードとともにシルバーバックに立ち向かう。

 

「リリ、私がひきつけて隙を作るので、エセリウムの盾を構えて、シルバーバックを殴るのです。」

 

セラーナが素早く移動しながら、両手で血の吸収を放ち続け、赤い光がシルバーバックを惹きつける。

 

「うわああああああああああ」

 

横合いから、リリが盾を構え、やけくそになって叫びながら吶喊した。

 

シルバーバックが殴りつけるが、盾に当たって魂だけとなって透明化した。

 

セラーナは体力回復ポーション(大)とスタミナ回復(大)を取り出しベルに飲ませる。

 

「さあ、続きですわ。ベル、やり返しなさい!」

 

シルバーバックが魂から元の姿に戻った。

 

セラーナが立て続けにアイススパイクを放ち、次々とシルバーバックに刺さっていく。

アイススパイクで動きが鈍ったシルバーバックにベルが飛びかかった。

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。」

 

シルバーバックも腕を振り回して殴り飛ばそうとするが、ベルの素早さが上回り、当たらない。

空振りした腕を避けて、ベルがシルバーバックの目を斬りつけた。

 

リリが氷の壁の杖をふるい、シルバーバックに氷の壁が命中し、動きが鈍る。

 

「リリ、今です。魂縛をとなえなさい。」

 

リリの魂縛がシルバーバックを捉え、ベルが胸の魔石を狙って飛び込んだ。キルムーブが発生する。

 

ゴーストブレイドが魔石に刺さり、砕け散った。シルバーバックの魂がリリの持つ魔石に吸収されていく。

 

「ハァハァハァ。やりました。」

「ベル様、すみません。」

 

「いいえ、よくやりましたわ。」

「今日の探索はここまでにして、戻りましょう。よい連携でしたわ。」

 

『はい!』

 

「さて、今夜はどんな本を読もうかしら?」

 

「ヒエエエエエ!」

 

つづく

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。