なんじゃこりゃ
しかし、そんなアミクにも友達がいました。
友達と言っても人間ではありません。ネコです。しかも喋ります。
「マーチ!!」
「今日も、相変わらず扱き使われてる、の」
マーチという名のネコは、以前アミクが外に出た時に死にかけていた所を助けて家でこっそり飼っているのです。
「これくらいどうってことないよ。要は楽しめばいいの!」
「前向きなところは尊敬する、の」
アミクはごそごそとスカートのポケットを漁ると、僅かな食糧を取り出しました。
「ごめんね…これだけしか持ってこれなかった…」
「十分、なの」
こっそり飼う以上、餌を与えなければならないのですがそれが大変なのです。
意外にもマーチは人間が食べるものも食べれるらしく、ネコ用の餌を探す手間は省けるのですが、食事を手に入れるのが簡単ではありません。
この家には食糧庫があるのですが、その食糧庫には鍵がかかっており、その鍵はカレンが管理しているのです。
だから、アミクが食べる分を分け与えなくてはなりません。しかし、アミクの分の食事の量が日に日に少なくなっているのです。間違いなくカレン達のいやがらせでしょう。
なので、その僅かな量をマーチに与えることもしばしばです。
「アミク、また痩せた、の?」
「そ、そうなの!最近ダイエットしてて―――」
薄々、マーチもそのことに気付いていました。
マーチはこのままではアミクが衰弱死してしまう、と心配し今度からは自分で食事を調達しようと考えました。
「アミク、もう自分でエサ探すから無理しなくていい、の」
「え、でも…」
とはいえ、外はネコにとっては危険です。天敵も多くマーチではやられてしまう事もあるでしょう。
「心配ない、の。あーしは『ジャングルの女帝』とも呼ばれるほどのネコ、なの」
「なんでジャングル!!?」
そんなわけで、マーチは夜な夜な一人で外に出ては食べ物を持ってくる、という生活を始めました。
アミクもある程度食事をとれるようになりましたが…カレン達の嫌がらせは留まる事を知りません。
「アミク、今日私は出掛けてくるから、お前のへそくり全部寄こせなんだゾ」
「え、なんでその事を…」
「お前は私達の管理下にあるんだゾ。お前の持ってるお金くらい把握しているゾ」
「そんな…」
「いいからさっさと寄こせ!お前の物は私の物だ!!」
エンジェルにコツコツ貯めていたへそくりを奪われ。
「あらあら、アミクさん。醜い顔してますわねぇ」
「痛い!痛い!!やめて!!」
「大分マシになりましたわ。まぁ、どうせ貴方なんて誰も愛さないんでしょうけど」
シェリーには顔を刃物で切り付けられ。
「いつまで掃除やってんの、このクズ!!」
「ああぁ!!」
「お前みたいな性悪女はこの家には必要ない!!出ていきなさい!!」
「お母様、ごめんなさい…」
カレンには痣ができるほどぶたれて、寒い日に一晩中外に閉め出されたりされました。
そんな環境にいても、アミクの傍にはマーチがいました。
彼女が、アミクの心の支えとなっておりました。
だから、苦しくても毎日頑張っているのです。
「無理しないで、なの…」
「ありがとう、マーチ」
アミクが辛い目に遭ってるときには、マーチが抜け穴を使って食糧庫から食べ物を取って来たり、毛布を取って来たりしてアミクを慰めていました。
二人は良き親友となったのです。
もちろん、ナツ達も出ます。
何の役にしようか…。