音竜と妖精劇場   作:ハーフィ

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息抜きも兼ねて久しぶりに投稿して見たいと思います


シンデレラ 5

「こんなの…こんなの酷いよっ!!」

 

アミクはボロボロになったドレスを抱えてシクシクと悲しげに泣いていました。

 

それを痛ましそうに見守るマーチ達。

 

 

話は少し前に遡ります。

 

 

 

 

 

急ピッチながらも丁寧に縫ってようやく完成したドレスが完成しました。

 

アミクは喜び勇んで継母達に見せに行きました。これで自分も舞踏会にいける────そう、期待しながら。

 

 

しかし。

 

彼女達の反応は無慈悲でした。

 

 

「あら…あらあら、こんなドレスいつの間に作っていたというの?そんな時間があったのならもっと仕事しなさいよ!」

 

「ホント、無駄な時間なんだゾ」

 

「というか糸なんてどこにありましたの?まさか…盗んだっていうんですの!?なんて浅ましい女なんでしょう!」

 

「そんな女にこんなドレスは似合わないゾ」

 

「一丁前にドレスなんか作っちゃって、生意気なのよ!!」

 

あることないことで詰られ、暴言を吐かれ、挙げ句の果てには頑張って作ったドレスを無残に引き裂いてしまったのでした。

 

ビリビリ、ビリビリ、と。

 

「ああ!!なんてことを…!!」

 

「あはははは!!アンタには舞踏会に行く資格なんてないわ!!一生そのボロ雑巾がお似合いだわ!!」

 

そうして悲しみに耽るアミクを嘲りながら、継母達は舞踏会へと向かってしまいました。

 

その場に残ったのは無残なドレスだった布切れとアミクだけでした。

 

 

 

 

 

「あのクソ(アマ)どもが!!あいつらに殴り込んで武闘会にしてやろうかなの!!」

 

「うむ、武器を用意した方がいいだろうな。このままだと勝ち目がない」

 

「戦う気満々ー!?」

 

憤るマーチ達を冷静なシャルルの声が落ち着かせます。

 

「そんなことしたってどうにもならないでしょ。ドレスはズタズタ。今から直しても舞踏会には間に合わない。

 もう…私たちにできることはないわ」

 

「…」

 

マーチ達は押し黙ってしまいました。アミクは相変わらず悲しそうに鼻を啜り上げています。

 

そう、一番悲しくて悔しいのはアミクのはずです。あんなに頑張ったのに結局悪意に踏み潰されてしまった彼女が一番辛いはずなのです。

 

しかし…。

 

「…洗濯、しなくちゃ」

 

アミクは涙を拭くと気丈に立ち上がりました。しかし、足が震えていてまだ無理していることが分かります。

 

しかし、悲しんでも仕方ないと、いつものことだと考えて心を守ろうとしたのです。

 

 

 

 

それでも、堪え切れない涙が一粒落ちた────その時です。

 

 

『話は聞かせて貰ったわよ!』

 

 

ピカーッとアミク達の近くで大きな光が現れました。

 

 

「わぁ!?な、なに――――!?」

 

 

急な超常現象にアミク達もビックリです。光を見ながら固まっていると、段々と光が収まってきました。

 

 

そしてそこに出てきたのは。

 

 

「じゃーん!貴方の願いを叶えに来たわ!」

 

 

金髪の美少女がキメ顔で現れたのです。とんがり帽子を被ってまるで魔女のような服装ですが、正直コスプレのようにしか見えません。

 

「あ、貴方は…!?」

 

「あたしはルーシィ!色んな魔法が使える魔女よ!!」

 

ルーシィと名乗った少女は大きな胸を張って自慢げにしています。

 

 

「何か変な人が来たよ」

 

「現実と妄想の区別が付いてないのね」

 

「なるほど…あれがそうなのか」

 

「なんて可哀想な人なの…」

 

しかし、それに対する外野の反応は芳しくありません。

 

「失礼なネコちゃん達ねー!?…ってネコが喋ったぁぁぁ!!?」

 

自称、魔女のルーシィがマーチ達を見てビックリしました。

 

魔女だと言う割には喋るネコは初めて見るようです。

 

 

「ネコだって喋る時くらいあるの」

 

「世界は広いからね~」

 

「そ、そういうものかしら…オホン!とにかく、あたしはその子の願いを叶えに来たのよ!」

 

気を取り直したルーシィはビシッとアミクを指差しました。

 

「私の願い…?」

 

「そう。舞踏会に行きたいんでしょ?あたしが行かせてあげる!」

 

彼女は勇ましく告げました。マーチが疑わしそうに聞きます。

 

「どうやって?」

 

「もちろん魔法でよ!あたしの魔法ならお茶の子さいさいなんだから!」

 

「まーだ痛い事言ってるの」

 

「魔法とか魔女とか非現実的なものあるわけないわ」

 

「アンタらに言われたくないわ!!」

 

※一般的に喋るネコもいません。

 

「喋るネコがいるんだから、魔法だって魔女だってあったっていいでしょ!!」

 

「むう…そうかもしれないが」

 

「もう!論より証拠!!実際に見せてあげる!」

 

 

ルーシィは胸の谷間から杖を取り出して振り始めます。

 

すると、杖の先にキラキラと光りが集まっていきました。

 

「おお…?おおお!?」

 

「いくわよー、ビビデバビデ────」

 

「はいダメー!はいダメ―――!!」

 

その呪文は色んな危険です。

 

「まぁ、本当は呪文なんていらないんだけどね」

 

「いらないんかーい!」

 

アミクは思わず脱力しました。この魔女、ボケもツッコミも中々キレがあるようです。

 

 

「はいはい今度こそいくわよ、えい!」

 

「わっ」

 

ルーシィが杖を振ると、キラキラとした光がアミクに向かって彼女を包み込みました。

 

 

直後、アミクの姿はいつものみすぼらしいものではなく、綺麗なドレス姿へと大変身していました。

 

装飾は控えめながらも一つ一つが強烈な輝きを伴い、アミク自身の魅力を全力で引き立てるドレスです。

 

「すごい…」

 

「マジの魔法だった!」

 

「信じられん…」

 

マーチ達はまさかの出来事に口をあんぐり開け、アミクは感動と驚きでいっぱいでした。

 

これでルーシィの魔法が本物だと証明されました。

 

 

「ふふん、こんなのまだ序の口よ!」

 

 

調子に乗ったルーシィは更に杖を振り上げました。次はどんな魔法を見せてくれるのでしょうか。

 




シンデレラだけで長いな…白雪姫とかもやりたいっす

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