痛みを識るもの   作:デスイーター

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那須隊②

「では、最後に那須隊の合否判定に移ろうか」

 

 ボーダー本部、会議室。

 

 そこに集まっていたのは城戸司令、忍田本部長、そして根付室長の三名。

 

 議題は無論、今回のA級昇格試験について。

 

 既に二宮隊までの六部隊の評価は終えており、残るは最後に試験を行った那須隊のみ。

 

 三人は手元の資料────────それぞれ那須隊と共闘した、三つのA級部隊の隊長の評価レポートに目を向けた。

 

 報告者:三輪秀次

 

 

評価項目評価
戦闘 A 
機密保持 A 
コミュニケーション C 
遠征適正 B 

 

隊員名評価内容遠征適正
那須玲 射手としての技量が高く、広い視野と自身を駒として見る冷静な判断力がある。精神面も現在は不安は見られない。身体的な問題により遠征は難しい。 
七海玲一 総じて能力が高く、攻撃手でありながら俯瞰的な物の見方に長けており、隊長としての適性も見られる。精神面も安定している。斥候としての能力が高く、遠征部隊員として高い適性を持つ。 
熊谷友子 基礎能力が高く安定している。自分の能力で出来る事の限界を見極めており、判断が堅実で隙が少ない。人格面も安定している。誰とでも組める適性があり、連携能力が非常に高い。即席部隊でも良い動きをすると思われる為、遠征適正は高い。 
日浦茜 思考が柔軟であり、確実に仕事をやり遂げる遂行能力がある。機転が鋭く、単騎でも相応の戦果を持ち帰る事が可能と思われる。精神面も問題はない。能力的には問題ないが、精神的な適性は未知数である。 
志岐小夜子 オペレート能力は非常に優秀。高度なオペレートも難なくやってのける。男性恐怖症の為、他部隊との連携に難あり。男性恐怖症の為、遠征は難しい。 
総評 部隊としての地力が高く、A級の仕事も充分任せる事が出来る。人格面も信用を置いて問題ないと判断する。隊長の那須が遠征行きが難しい為、部隊としての遠征参加は不可能。個々人としての選出であれば可能  

 

「概ね高評価だな。三輪隊長が此処まで褒めるとは珍しい」

「それだけ、評価出来る能力を持った部隊だという事だろう。試合結果も、相応のものを叩き出している」

「ですが、オペレーターの連携能力に問題ありというのはよろしくないのではないんですかねえ? 他部隊の連携が出来ないA級部隊というのは、拙いのではないですか?」

 

 忍田と城戸は好感触ではあるが、反対に根付は難色を示した。

 

 メディア対策室室長である彼からしてみれば、他部隊との連携に難がある、というのは見逃せないのだろう。

 

 他部隊との連携に失敗し、市民に被害が出ては()()()が大変になるからだ。

 

 A級は、会社でいうところの正社員────────その役職持ち、もしくは幹部級にあたる。

 

 扱いで言えば平社員にあたるB級隊員よりも、ボーダーの()的側面が強い。

 

 当然素行に問題があればパッシングの対象になり易いし、A級隊員が何らかの失態を演じれば生じる責任はB級の時より重くなる。

 

 固定給を支払う以上、相応の責任が生じるのは当然という話だ。

 

 会社側、ボーダーはA級隊員に対しては「支払う価値がある」と判断したからこそ、固定給を支払っているのだ。

 

 その見極めこそがA級昇格試験であり、A級として相応しくない実力・振る舞いの部隊は此処で落とされる。

 

 影浦隊がB級に降格したのも、まさにそれだ。

 

 確かに根付の態度には問題があったが、彼は何かしらの規則に抵触したワケではない。

 

 対して、影浦はボーダーの運営の一部を任されている根付に手を出してしまった。

 

 模範的な対応を求められるA級隊員が、組織の上層部の人間に暴力行為を働いた。

 

 もしも外に漏れれば、間違いなくスキャンダルになる。

 

 だからこそ、上層部は影浦の事情を斟酌しつつも彼を処罰せざるを得なかった。

 

 組織というのは、そういうものである。

 

 根付は、組織人としての意識が非常に強い。

 

 実は例の一件の後忍田から影浦やユズルに対しての態度に関して苦言を呈され、彼自身自分の態度が悪かった件については反省している。

 

 しかし、公的に謝罪する、という事は出来ない。

 

 それは自分の非を認めるようなものであり、規則は何一つ冒していない根付が隊務規定違反を犯した影浦に謝罪するという事は、彼の面目を丸潰れさせる事を意味している。

 

 面目、というのは組織において馬鹿に出来ない。

 

 上に立つ者には相応の威厳が求められる、というのはあながち間違ってはいないのだ。

 

 基本的に、マスコミがやり玉に挙げるのは上層部である。

 

 彼等はセンセーショナルな飯のタネ(わだい)を常に求めており、その為ならば悪質なやり方の報道をする事さえある。

 

 全てのマスコミがそうだとは言わないが、ボーダーという格好のターゲットがあるこの三門市ではそういった類の記者が少なくない。

 

 大きな組織の失態、というものは格好のスクープになるからだ。

 

 そしてそれが実質民間軍事組織であるボーダーであれば、尚の事。

 

 故に、根付が面目を潰れさせるような真似をすれば、好き放題に報道したい彼等にとって目の上のたん瘤である彼を叩く絶好の機会となってしまう。

 

 アンチボーダーがそこまで多くなっていないのは、根付の働きあっての事だ。

 

 その彼の影響力が衰えるような事態になれば、過激なパッシングが起こるのは想像に難くない。

 

 故に、彼は決して意地悪で言っているワケではないのだ。

 

 言うなれば、必要悪。

 

 敢えて泥を被る事も、彼にとっては必要経費というワケである。

 

「それについては、他の報告書を見てからでも判断は遅くないだろう。次は、風間隊の報告書か」

 

 報告者:風間蒼也

 

評価項目評価
戦闘 A 
機密保持 A 
コミュニケーション B 
遠征適正 D 

 

隊員名評価内容遠征適正
那須玲 個人としての戦力が高く、サポート能力もかなりのレベルに達している。以前見られた精神面の問題は見られない。身体的な問題がある為、遠征は難しい。 
七海玲一 機転が利き、地力も高い。斥候として優秀な能力の持ち主。隠密戦闘にも適性あり。精神面も安定しており、問題は見られない。特注のトリオン体のメンテナンスが必要な為、遠征は難しい。 
熊谷友子 継戦能力が非常に高く、格上相手でも粘るだけの防御能力がある。人格的な問題も一切見られない。遠征でも問題なくポテンシャルを発揮出来るタイプの隊員である。 
日浦茜 任された仕事を確実にこなす能力がある。自身を駒として扱う能力に長ける。精神面も問題は無い。遠征は本人の適性は高いが、年齢的な問題がある。 
志岐小夜子 オペレート能力は非常に優秀である。男性恐怖症の為、他部隊との連携に難あり。但し、改善案は出た様子がある。男性恐怖症がある為遠征は難しい。 
総評 A級部隊として遜色ないポテンシャルを持っていると判断する。幅広い任務に適性があり、人格的な問題も見られない。部隊としての遠征参加は難しい。熊谷のみ個人としての選出が可能。 

 

「改善案は出た、ですか。しかし、具体的な事は分かっていないようですねぇ」

 

 それに、と根付は続ける。

 

「遠征適正が低い、というのも気になりますね。確実に行けると思われるのが熊谷隊員のみというのは、どうなんでしょう」

「いや、A級隊員になったからと言って遠征に行く義務は無い。彼女達は遠征を希望していないようだし、その点は問題は無いと考えている」

 

 ですよね、と忍田は城戸に確認を取る。

 

「その通りだ。元よりこの遠征適正は評価のついでの調査、といった面が大きい。遠征を希望しない者を無理に連れて行く事はなく、また遠征に行かなかったからといって評価を下げる理由にはならん」

「ふむ、城戸司令がそう仰るのであれば私は構いませんが」

 

 根付はそう言って、素直に引き下がった。

 

 元より、彼は遠征に関してはそこまで重要視していない。

 

 ただ、城戸が遠征を重視して来た経緯があった為、確認として聞いただけだ。

 

 現在遠征は部外秘で進められており、外の人間は遠征については全く知らない。

 

 今後何かの拍子で公開遠征などという事態にならない限りは、自分が気を揉む必要は無いだろうと考えていた。

 

「それに、オペレーターの件に関しては問題はなさそうだ。次の資料を見て欲しい」

 

 報告者:嵐山準

 

 

評価項目評価
戦闘 A 
機密保持 A 
コミュニケーション B 
遠征適正 D 

 

隊員名評価内容遠征適正
那須玲 個人としての戦力も申し分なく、射手としての援護能力も高い。感情的になる様子は見られず、精神面は問題ないと判断する。遠征は体調面を考慮すると難しい。長期の閉鎖環境に不安要素が多い。 
七海玲一 単騎としての能力も高いが、それ以上にチームのエースとしての運用が適している。集団戦で真価を発揮するタイプであり、生存能力が高い点も評価が高い。精神面は安定しているが、多少自己犠牲的面が見られる。緊急脱出のない状態で戦わせるべきではない。遠征部隊員としては非常に優秀であるが、本人の閉鎖環境適性は未知数である。 
熊谷友子 連携能力が非常に高く、射程持ちの攻撃手としては理想的な動きが出来る。自己評価は低いが、特に問題になるレベルではない。即席部隊でもポテンシャルを発揮出来る適性があり、遠征部隊員として問題は見られない。 
日浦茜 非常に優秀な狙撃手である。機転も利き、柔軟な思考を持っている。精神面も特に問題は見られない。保護者が本人のボーダー活動に否定的であると聞いている為、遠征は厳しいと思われる。配慮の余地あり。 
志岐小夜子 非常に優秀なオペレーターである。戦術考案能力も高い。男性恐怖症の件は配慮する必要があるが、特に人格的な問題は見られない。他部隊との連携も問題なく可能となっていた。詳細は添付資料参照。但し、長期間の閉鎖環境が強いられる遠征は難しい。 
総評 A級としても相応しい実力の部隊である。他部隊との連携も問題は無いと判断する。部隊としての遠征参加は厳しいが、個々での選出であれば可能。  

 

「成る程、機械音声で。これなら問題はなさそうですねぇ」

 

 根付は添付された資料を見ながら、得心したように頷いた。

 

 それには、小夜子の男性恐怖症の詳細────────彼女がパニックを起こす条件やその対策が、こと細かに記されていた。

 

 恐らく、これは那須隊側から提出されたデータだろう。

 

 第一試験と第二試験で小夜子の連携能力が問題視されていた為、本当にそれが改善出来たのか確認する必要があった為だ。

 

 ちなみに、この資料を作ったのは羽矢と国近の二人である。

 

 小夜子と特に親しい二人は彼女の男性恐怖症の症状に関しても詳しく、そもそも解決策を考案した張本人である。

 

 口頭で「解決しました」ではお話にならないので、きちんと資料を用意するのは当然と言える。

 

 そのあたり、ぬかりなどある筈もない。

 

「変わらず遠征参加は無理なようだが、部隊としての運用に問題が無いのであれば構わないでしょう」

「そうだな。私としても異論は無い」

「では、この件については問題なしという事ですねえ」

 

 三人全員が、小夜子の問題に関しては解決済であると認識を共有した。

 

 機械音声という特殊な手段を用いているが、部隊同士の連携の範疇であれば問題は起こらないだろう。

 

 遠征適正は相変わらずだが、それについての話は済んでいる。

 

 故に、この議題はこれで終わりだ。

 

「最後に、迅の報告書か」

 

 城戸はそう呟き、最後の報告書────────迅が書いた、最終試験の資料に目を向けた。

 

 報告者:迅悠一

 

 

評価項目評価
戦闘 A 
機密保持 A 
コミュニケーション A 
遠征適正 E 

 

隊員名評価内容遠征適正
那須玲 エースの一人として高い能力を持ち、機転も利く。生存能力も非常に高い。精神面も問題なし。遠征は身体の件がある為不可能。 
七海玲一 発想力が高く窮地を乗り越える能力に長ける。格上殺しも適性がある。精神面も問題なし。遠征は不可能。特注のトリオン体の調整がある為。 
熊谷友子 粘り強く、格上相手にも競り勝てるだけの素養がある。チームの一員としての思考をしっかり保持しており、仕事をやり遂げるだけの胆力もある。精神面も問題なし。遠征行き自体は可能。どんな相手とでも組む事が出来る。 
日浦茜 どんな状況からでも逆転を狙えるポテンシャルがある。ボーダーでも屈指の能力を持つ狙撃手に成長している。精神面も問題なし。保護者が反対する為遠征は不可能。 
志岐小夜子 優秀なオペレーターであり、今は連携問題も解消している。精神面も問題なし彼女の男性恐怖症は完全に疾患レベルの為遠征は不可能。 
総評 自分を倒せるだけの地力と機転を持つ部隊である。A級になっても問題は起きない。熊谷のみ個人選出が可能。  

 

「…………迅らしいな」

「そうですね」

「これ以上ない太鼓判、という事ですか。いやはや、彼にしか出来ない芸当ですねえ」

 

 迅の報告書は、随所に未来視を用いた記述が見られる。

 

 断定系が多いように思われるのは、恐らく彼が視た未来の情報を報告書の内容に盛り込んでいるからだ。

 

 普通であれば通らない類の報告書ではあるが、こと迅に関しては例外的に見ざるを得ない。

 

 彼の未来視の情報の信頼性は、既にボーダーにとっては既知である。

 

 少なくとも、旧ボーダー時代からの付き合いである城戸と忍田はその重要性を理解している。

 

 故に、異論など出よう筈もなかった。

 

「判断材料はこれで充分でしょう。城戸さん、どうですか?」

 

 忍田の問いに、城戸が頷く。

 

「ああ、充分だな。では、那須隊は────────」

 

 そして。

 

 城戸は、その結論を口にした。

 

 

 

 

「時間だ。試験結果を発表する」

 

 12月2日、月曜日。

 

 時刻、AM10:00。

 

 試験の合否判定を告げる為、忍田は会議室に試験参加者達を集めていた。

 

 各々が緊張しながら席に座る中、忍田はすぐさま発表に移った。

 

 勿体ぶる意味など、無いとばかりに。

 

「A級昇格を認める部隊は────────那須隊、君達だ」

 

 一瞬、空気がざわついた。

 

 それは、驚愕のそれではない。

 

 むしろ、納得しかない。

 

 昇格するならば、彼等だろうという事を。

 

 此処にいる誰もが、承知していたのだから。

 

「詳しい手続きはこの後に行う。オペレーターの事情を考慮し、志岐隊員は通信での参加で構わない。連絡を頼む」

「分かりました。ありがとうございます」

 

 那須は嬉しさを隠しきれない表情で、忍田の要請を承諾した。

 

 きっと、言いたい事がたくさんあるのだろう。

 

 すぐにでも、はしゃぎたいに違いない。

 

 そんな気持ちが、透けて見える空気であった。

 

「七海。よくやった」

「ありがとうございます、カゲさん。皆のお陰です」

 

 自分が昇格を逃した事すら些事だとばかりに、影浦は七海を称賛する。

 

 確かに、ユズルの為にも昇格を逃したのは惜しい。

 

 だが、機会は今回だけではないのだ。

 

 それならそれで、弟子を祝うのに理由は要らない。

 

 こんな時でも、人情最優先な影浦であった。

 

 尚、他の面々は空気を読んで黙っている。

 

 流石に、師弟の間に割り込むような者は此処にはいないのである。

 

 生駒は何故かどや顔をしているし、香取は悔しそうにしてはいたがそれはそれである。

 

「それから、追加で通達がある。二宮隊、影浦隊の両部隊はこれまで降格時のペナルティでA級昇格が不可能になっていたが────────そのペナルティを、正式に解除する。そして、有事の際はA級部隊と同等の扱いをすると約束しよう」

「ありがとうございます」

「…………ありがとう、ございます」

 

 忍田の通達に二宮は当然のように、影浦は少々当惑しながら慣れない謝意を口にした。

 

 合格しなかったのだから、ペナルティは元通り────────それくらいは覚悟していただけに、影浦としては困惑が先に来る。

 

 そんな影浦の内心を、表情から読み取ったのだろう。

 

 忍田は苦笑しながら、補足を行った。

 

「確かに合格は逃したが、二宮隊・影浦隊共にA級として問題ない実力は備えている事が再確認出来た。加えて、これまで目立った問題は起こしていない事から人格面でも問題なしと判断させて貰った」

 

 更に、と忍田は告げた。

 

「今後大規模な戦いが控えている以上、A級相当の実力を持つ二部隊をB級と同じ運用をしていては不適当であるとも判断した。無論その場合はA級相当の額を特別手当として支給する事をここに約束しよう」

 

 負担をかけてしまうけどね、と忍田は苦笑した。

 

 要は、近々起きる事が予知されている大規模侵攻でのA級相当の行動権の確約だ。

 

 言うまでもなくB級とA級では実力に差があり、有事の際は扱いが異なるのは当然だ。

 

 だが、A級と同等の強さを持つ部隊をB級と同じ扱いで運用するのは、無駄もいいところである。

 

 だからこその、この特別措置だろう。

 

 迅の思惑も見え隠れしているが、二宮も影浦もそれに否はなかった。

 

 元より、手を抜く理由はない。

 

 来る脅威は、打ち払うだけなのだから。

 

「以上だ。那須隊は手続きがある為残ってくれ。今後も各々、より一層の精進を期待する」

 

 

 

 

「出来ましたよ。隊章」

「え、ホント?」

「ええ、既に原案は作っていましたので」

 

 数日後、小夜子は那須隊の面々を隊室に集めていた。

 

 既に手続きは終えており、晴れて那須隊はA級部隊となった。

 

 今回は、そのお披露目の一環。

 

 A級に昇格した為、那須隊は隊章を付ける事が許されたのだ。

 

 通常は原案を纏めて技術部に持って行くのだが、どうやら小夜子の伝手で羽矢に頼み、デザインを作り上げてしまったらしい。

 

 元より那須達は隊章については小夜子に一任していたので、今はその完成報告を受けていたワケだ。

 

「もう隊服に付けてますよ。換装してみて下さい」

「了解」

 

 那須達は一斉にトリガーを構え、その一言を告げる。

 

 新たな一歩を踏み出す、鍵となる言葉(キーワード)を。

 

「「「「トリガー起動(オン)」」」」

 

 四人が、一斉に換装する。

 

 現れるのは、見慣れたSFちっくな隊服。

 

 しかし、その胸には。

 

 新たな、那須隊だけの隊章(シンボル)が刻まれていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「これが……」

「私たちの、隊章」

 

 七海達は、自分達の新たな隊章を見て息を呑む。

 

 尾を食む蛇と、その中心に描かれた短剣と刀、そして銃弾。

 

 そして、A09の文字。

 

 それが、七海達那須隊の新たなシンボルだった。

 

 蛇は、恐らくバイパー使いである那須を現したものだろう。

 

 短剣がスコーピオン使いの七海で、刀が熊谷。

 

 そして、銃弾が茜だ。

 

 那須隊という部隊を良く現した、良い隊章と言えるだろう。

 

「いいわね」

「ああ、素晴らしいデザインだ」

「ええ、これなら満足ね」

「かっこいいです」

 

 那須達は各々の言葉で、出来上がった隊章を称賛した。

 

 これが、新たな一歩。

 

 A級部隊としての那須隊の一歩の証明としては、最高のものだろう。

 

「喜んで頂けて何よりです。羽矢さんにもお礼を言っておきますね」

「ああ、頼んだ。これからも、よろしく頼む」

「ええ、勿論です」

「そうね。これからだものね」

 

 最大の試練は、これで終わった。

 

 しかし、まだ物語は終わっていない。

 

 否、これから始まるのだ。

 

 A級9位、那須隊。

 

 彼女達はこれから、本当の鉄火場(クライマックス)に挑む事になる。

 

 最善の未来、最後の欠片(ピース)

 

 それがもうじき、来訪するのだから。

 

 

To Be Continued




 挿絵はHITSUJIさんから頂きました。

 私のアイディアを形にしてくれて感謝感激です。

 これにて、A級昇格試験編、終了です。

 次回から、新章開始となります。

 ようやく我らがメガネにスポットが当たるぜ。
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