第十章『合同戦闘訓練/STAGE2』
昇格試験編、その2。
今回は風間隊と組んで、王子・太刀川隊と戦いました。
この試合の目玉はなんといっても、七海の師匠の一人である太刀川・出水との対決がある事です。
A級一位、太刀川隊。
これは影浦隊同様七海が超えるべき壁の一つであり、今回は風間隊の力を借りて挑む事になります。
今回MAPを市街地Cとしたのは、戦う面子を考えると展開を組み立て易かったという理由があります。
市街地Cは段々畑のようなMAPで、高低差が目に見えてハッキリした地形です。
原作で言及されている通り、狙撃手や射手が上を取れればかなり優位になれるMAPでもあります。
普通のMAPと比べても高所を取った隊員の取れる情報量が多いので、視野の広い狙撃手や射手が上を取れれば情報面でかなりのアドバンテージが取れます。
そんなMAPで高所を真っ先に陣取れたのは、サポートの名手出水です。
これは王子・太刀川隊にとって理想的で、那須・風間隊にとってかなり最悪な展開です。
出水はサポーターオブサポーターと言える程サポーターとしての射手の基本にして究極系と言える隊員であり、二宮さんとは別ベクトルの射手の頂点です。
その本領は広い視野と優れた判断力によるゲームメイクであり、頼れる前衛と組む事で真価を発揮します。
それは弟子である七海と色々と絡む機会の多い風間は承知しており、姿を見せたら真っ先に叩かれるであろう駒でもありました。
しかし出水はそれを理解した上で、堂々と高所に陣取ります。
自分が狙われるリスクよりも、高所から盤面を制圧出来るメリットを取った形ですね。
出水はこの試合では重要な駒であり、彼の生存の有無で試合展開はかなり変わってきます。
ですが、だからといって落とされる事を恐れて隠れていては試合そのものが劣勢になり本末転倒です。
だからこそ、狙われるリスクを承知の上で出て来たワケですね。
ただし、今回の場合はこの展開で最も警戒しなければならない狙撃手による不意打ちはある程度対策出来ています。
何せ、高所を取っているのが出水なので下から狙撃が来ても直撃前に察知出来ます。
原作の香取隊・那須隊・諏訪隊の行った最終ROUNDを見て分かる通り、このMAPでは下から狙撃をされれば高所からはそれが見えているので完全な不意打ちとは成り得ません。
それを原作の茜ちゃんは敢えて存在をアピールする事でチームに貢献していましたが、つまりそういう事が可能なくらいには下方からの狙撃はこのMAPでは察知し易いという事です。
そうやってある程度リスクヘッジを行った上で、太刀川隊は更に詰めていきます。
国近による、熊谷の位置特定と王子による奇襲です。
原作ROUND6で国近は実況の際に「転送位置の間隔から大体の場所は分かる」と豪語しています。
ああいった事が言えるという事は、実際のA級ランク戦でも同じように相手の場所に「当たり」を付けているのではないかと考えました。
国近は勉強は出来ないけどオペレーターとしての能力はかなり高いようですので、このくらいは出来て当たり前なのかもしれません。
そういった「オペレーターとしての国近の優秀さ」を描写しつつ、旗持ちである王子に奇襲を行わせたワケです。
旗持ちである王子は落とされた瞬間試合が終わってしまうので、まだ一点も取れていないこんな最序盤で落とすワケにはいきません。
王子はその心理を逆手にとって、「落とされる心配の少ない遊撃手」として動いたワケですね。
高い機動力とハウンド、そして優秀な指揮能力を持った王子は相手からすればさっさと落としておきたい駒です。
特に太刀川という大駒がいるこの試合では、王子のようなタイプは一刻も早く片付けておきたいというのが本音です。
だからこそ王子は自ら旗持ちを引き受け、序盤での遊撃に活用したワケですね。
この場合、王子の役割は旗持ちである事を盾に一人でも多く相手の駒を釣り出す事です。
相手の大駒である七海・那須・風間が連れれば最良で、そうでなくとも射程持ちである熊谷や歌川が連れれば良し、そして位置が分からなければ最も厄介な部類である菊地原・茜が釣り出せれば言う事なしです。
躊躇なく熊谷に奇襲をかけたのは、そういった厄介な駒を盤上に引きずり出す狙いもあったワケですね。
熊谷はそれを承知していたのですぐさま撤退したワケですが、そういった動きも王子の側は織り込み済みです。
彼女を確実に落とす為、太刀川を送り込んでいたのです。
熊谷は他の隊員ほど目立ってはいないものの、生き残れば的確なサポートで味方を支援する厄介なサポーターです。
それをROUND7で存分に思い知った王子は厄介な駒を一黒衣も早く片付けるべく、最大の大駒である太刀川を送り込んだワケですね。
太刀川であれば、熊谷を確実に落とせるであろうと考えて。
王子は自分の部隊に突出したエースがいない事もあり、相手のエースに対する評価をある程度上方修正している部分があります。
だからこそ、太刀川を「熊谷に確実に勝てる手札」として扱い投入したワケですが、熊谷がまさかあそこまで彼に食い下がるとは思っていなかったのです。
ボーダーにおいて、太刀川は「最強」の代名詞のような存在です。
単位を犠牲に得た四万というポイントは、彼の逸脱した実力あってのものです。
彼が個人ランク戦で勝利を重ねている事は、攻撃手であれば知らない者はいません。
人目を憚るタイプではありませんし、むしろ「どんどん来い」と対戦相手募集の為に敢えて目立つ事すらしていたでしょう。
A級一位という看板の持つ意味は大きい為、挑戦者にも事欠かなかった筈です。
王子にとって太刀川は、自身の隊にはない「絶対的な戦力」として映っていたでしょう。
だからこそ、熊谷を確実に落とせる「安易なジョーカー」として扱ったのでしょうが、彼女の成長は王子の想像を超えていました。
数々の激戦の経験に加え村上に直接指導され防御能力に磨きをかけた熊谷は、あの太刀川相手に時間稼ぎが出来る程に成長していたのです。
出水と二人がかりという苦境を強いられながらも太刀川と至近で戦う事で射撃を牽制し、しっかりと時間稼ぎを成し遂げました。
此処で熊谷が太刀川という最大の大駒を結果的に抑える事に成功した事が、この試合の最大の転換点と言えるでしょう。
実質、王子隊側は太刀川という大駒を動かせない状態での戦いを強いられたのですから彼女が稼いだ時間の価値は計り知れません。
そんな熊谷を少しでも長く生き延びさせる為には、出水の好きにさせるワケにはいきません。
だからこそ那須さんが弾速調整をしたアステロイドで自身を茜と誤認させつつに奇襲し、出水と対峙したワケです。
この二人の天才射手対決も、この試合でやりたかった展開の一つです。
二人は双方共に
那須さんは原作で散々その脅威が描写されましたが、出水は彼女と比べるとサポートがメインである分その技術の変態ぶりはそこまで目立っていませんでした。
なので、此処で二人を直接対決させる事で弾バカ同士の頭
弾幕を弾幕で撃ち落とす、なんて真似はこの二人くらいしか無し得ない変態技術です。
原作では東さんがライトニングで爆撃を撃ち落とす、なんて真似をしていますがあれを広範囲でやってるのがこの二人です。
しかも今回の場合、どちらも使用しているのは変幻自在の軌道を描く
その難易度がどれ程かは言うまでもなく、その有り様に三輪が呆れるのも無理はなかったでしょう。
とはいえ、このまま撃ち合いを続ければトリオンの差で那須さんが負けます。
技巧は同等とはいえ、那須さんのトリオンは7で出水のトリオン12にはかなりの差があります。
それを分かっていたからこそ那須隊側はアクションを起こさざるを得なかったのですが、その前に王子隊が動きました。
蔵内に爆撃を指示し、樫尾に奇襲させる形で。
王子は那須隊であればこの状況で手をこまねくワケがないと、何らかの支援があると確信していました。
そして駒の性質上、その一手は菊地原が担うと睨んでいました。
那須隊はオペレーターの小夜子が男性恐怖症であり、それ故に他部隊との密な連携が難しいという穴がありました。
それを承知していた王子は那須隊は菊地原の持つ脅威を活かし切れないと踏んで、大胆な一手に踏み切ったワケです。
実際にその想定は当たっており、小夜子は菊地原という生きるソナーの有用性を活かし切れていませんでした。
菊地原のサーチ能力の精度はランク戦ではこの上ない脅威であり、彼がいるだけで奇襲が成立しなくなるという相手からすれば真っ先に落としておきたい駒です。
だからこそ王子は樫尾にメテオラという爆弾を持たせた状態で、那須さんに突っ込ませたワケです。
出て来るであろう菊地原を罠にかけ、その身を犠牲に仕留める為に。
菊地原の生存の有無で、王子隊側のゲームメイクは大分変わってきます。
彼が生存している限り使えなかった不意打ちという手札が、ようやく機能する事になるからです。
菊地原が健在である限り、近付けば位置がバレるので奇襲が奇襲として機能しません。
だからこそ王子は樫尾を犠牲にしてでも、菊地原を排除する事に拘ったのです。
ですがその方針を理解した那須隊側は、負傷した菊地原を陽動に使い蔵内を仕留めます。
王子は作中で二宮さんが言及した通り、那須隊に時間を与えたくありませんでした。
ですので既に致命打を受けトリオン漏出による
これは那須隊の脅威度を知るが故に王子がやらかしてしまった、明確なミスです。
厄介な駒は確実に排除しなければならない、という意識が強過ぎた形です。
小夜子の想定では、那須を仕留める為に王子隊は三人がかりでやって来ると思っていました。
ですが結果として王子は菊地原に狙いを絞っていた為に樫尾に爆弾を持たせての特攻という選択肢を選び、菊地原の脅威度を甘く見積もっていた小夜子側が思惑を外した形となります。
ですが王子隊の狙いを正しく理解した小夜子はその状況を利用し、射手である蔵内の排除の為に駒を動かす事を踏み切ったのです。
その後はようやく熊谷が太刀川さんに落とされますが、そこを狙って風間さんが動きました。
ですが、ミスから立ち直った王子はそんな風間さんの動きを読んでいた為、介入しました。
風間さんを狙い、それを庇った歌川に痛打を与えるという形で。
王子は二度の敗北を経て、成長の必要性を感じていました。
エースがいない分、少しでも相手の裏をかく為の手札が欲しい。
そこで頼ったのが同じ頭脳派である水上であり、彼に口頭で発言したものと違う種類の弾を撃つ通称「偽弾」の技術を師事し習得しました。
王子隊が全員ハウンドをセットしているのは周知の事実なので、アステロイドを使うだけである程度不意打ちにはなります。
ですがそこに一工夫加えたかった王子は、偽弾の技術を習得したのです。
もっとも、これは水上と違い王子が二種類の射撃トリガーしか持っていなかった為でもあります。
複数の種類の弾を口頭とは違ったもので撃ち分ける、といった真似は水上にしか出来ません。
王子は二種類に限定したからこそ、ある程度簡略化した技術でどうにかなったワケです。
しでかしたミスを取り戻す為に王子は菊地原の存在と蔵内が落とされた位置と現状から那須隊の戦力配置を予測し、しっかりと対策を立てた上で動きました。
そうして歌川は太刀川との連携で倒し、菊地原もトリオン漏出で時間切れとなり脱落。
チームメイト二人を落とされた分を、なんとか補填した形となります。
この作戦が巧くいったのは、彼の予想した通り小夜子と風間隊の連携が巧くいっていなかった為です。
重度の男性恐怖症を患っている小夜子は、男性と通信越しに話す事ですら多大なストレスを感じてしまいます。
だからこそ風間隊と通信を行う際には間にチームメイトを挟んでワンクッション置いていたのですが、それが情報共有にタイムラグを生み出しました。
仕方のなかった事とはいえ、この情報共有のタイムロスはかなり痛いです。
コンマ一秒で一気に戦況が変わり得る戦場では、こういった情報共有の遅れは致命的です。
小夜子とてそれは理解してはいましたが、疾患レベルの恐怖症は自分ではどうしようもないものです。
それは友人二人も理解していたので、この試合で改めてその問題の大きさを実感した二人はかねてから計画していた小夜子の他部隊との連携問題を解決すべく動いたワケですね。
此処で彼女達がオペレーターを務めている王子隊・太刀川隊と戦った事には、そういった意味でも意味があったワケです。
王子は此処で更に詰めるべく、太刀川を狙った弾丸の主────────────────茜を、仕留めに向かいます。
ですが、待ち構えていたのは茜ではなく七海でした。
彼もまた、那須と同じように弾速調整したアステロイドを用いて茜の存在を誤認させ、王子を釣り出したのです。
そして、七海が茜の皮を被って囮となっている間に、茜は出水を仕留めました。
テレポーターを用いた屋内への転移からの、壁抜き狙撃。
その彼女ならではの奇襲で、天才射手は落ちる事になりました。
出水は茜の存在は、試合開始直後からずっと警戒していました。
何せ、テレポーターで一瞬で距離を詰めて狙撃して来るという狙撃手のセオリーが通じない相手です。
この市街地Cでもテレポーターとバッグワームを駆使すれば高所から見つからないまま移動出来てしまうので、何処から撃ってくるか分かったものではありません。
ですが、太刀川相手に茜と思われる狙撃があった事でその位置を脳内で「確定」させてしまい、警戒が緩んだところを撃ち落とされたワケです。
しかし、ただでは落とされません。
出水は茜を狙ったように見せかけてそれを庇った那須を落とす、という形で意表を突きました。
那須は出水を落としたこの状況では、少しでも戦力を多く保った状態で七海の支援に向かいたい筈です。
だからこそもう落ちるのを待つばかりの出水に貴重な狙撃手である茜を落とされるワケにはいかないと考え、カバーに入ったワケです。
その思考を読み切っていた出水はそれを利用して、那須を落としたのです。
技巧では出水に匹敵するものを持っている那須ですが、こういった駆け引きでは全く及びません。
A級として遠征を含んだ経験値さえ得ている出水と那須とでは、そもそもの戦闘経験の質が全く違います。
また、チームのブレインでもある出水と那須とでは思考傾向が異なっている為、裏をかかれたのも仕方ないと言えます。
そして、試合は太刀川を如何に倒すか、という最終局面に入ります。
NO1の看板は伊達ではなく、太刀川は七海と風間相手にも一歩も退かず、拮抗します。
そこで七海が
乱反射は旋空を持つ太刀川相手に使うにはリスクの大きい技であり、だからこそ太刀川は旋空を用いて来ると予想出来ました。
そこを利用して旋空を誘発させた七海ですが、太刀川はそんな彼の思惑を打ち破ります。
自身を囮として風間がカメレオンで消える隙を用意するという策を見破り、七海を狙うと見せかけて風間を狙ったのです。
第一の策を破られた那須隊は、伏せていた策である茜の狙撃という手札を切ります。
七海のアステロイドを陽動とした上での、アイビスでの狙撃。
しかしアイビスも集中シールドで防ぎ切られ、七海のアステロイドはある程度の被弾を覚悟した上で体捌きのみで凌ぎました。
ですが、「太刀川ならここまでやる」と理解していた七海は最後の切り札であるカメレオンを切り、最後の一撃を叩き込む事に成功します。
影浦の時とは違い本当の意味での一騎打ちではありませんでしたが、こうして七海は師の一人を打ち破ったのです。
此処で風間と組んで太刀川と戦ったのは、彼の実力をアピールしつつ次の対戦相手となる風間の戦力的お披露目の意味と、単純に師弟が組んで戦うという展開が描きたかった為でもあります。
なんだかんだ、これまでそういう展開はなかったので良い機会だと思ったワケですね。
王子もトリオン漏出で
今回の試合の心残りは少々王子隊の描写が巧くいかなかったな、といったところですね。
展開的に仕方なかったとはいえ、しっかりと成長の成果を見せた香取隊と異なり色々と粗が目立つ結果となったのは王子隊の魅力を活かし切れなかったと反省するところです。
しかし師弟の共闘と師との対決を描けた事は、割と満足でした。
そして、今回で他部隊との共闘における致命的な問題に改めて直面した小夜子は無理をしてでも貢献すると七海に宣言しますが、親友のそんな動きを察知していた国近・羽矢のゲーマー組が此処で動きました。
二人は先述した通り、小夜子のこの問題をどうにかしようとかねてから考えていました。
そこで今回戦った側として改めてその問題に小夜子が直面した事に気付いた二人は、良い機会だと踏み切り作戦を実行に移したのです。
鬼怒田さんを巻き込んで、機械音声の変換によるタイムラグの解消という手段を用いて。
元より七海に思い入れのあった鬼怒田さんは人情派なので、こういった問題の解決には積極的です。
良い意味で鬼怒田さんは頼れる大人なので、国近達の要請を快諾したワケですね。
こうして小夜子の抱えていた共闘の上での問題が解決出来た事は、かなり大きいです。
今後他部隊との共闘に一切の瑕疵がなくなったのですから、その価値は計り知れません。
小夜子の紡いだ縁も、未来へ進む為の確かな一助となったワケです。
その後で小夜子と何かあった事を察した那須さんが暴走しかけますが、失敗の補填が出来てこれ以上なく最上のメンタルとなった小夜子がすかさず察知し、フォローを入れます。
この世界線の那須さんは基本的にはかなりの悲観主義なので、あの間章を経て視野狭窄はある程度軽減されましたが放っておくとあらぬ方向に暴走します。
それを十二分に理解していた小夜子は彼女の変調を察し、フォローに入ったワケです。
というか、自分が七海に寄りかかった事を那須さんが察知しないワケがないので、寄りかかった責任を果たす為に動いた形です。
七海への恋慕を捨てる気は一切ないとはいえ、小夜子自身は二人の関係を壊すつもりも微塵もありません。
だからこそ恋敵にして親友として、こういったフォローは欠かさないのです。
小夜子の問題が解決したところで、次話の「ビッグトリオンルール」で次の試合の特別仕様が紹介されました。
一人だけトリオンを二宮仕様にする、というこのルールは後に明らかになる通り黒トリガーとの対決の予行演習と黒トリガーを「扱う」事に対する準備という意味がありました。
迅はこの時点で自分が風刃を手放す未来を予期しており、大規模侵攻で自らの剣を託す相手に十全の準備をさせる為に大容量のトリオンを扱う予行演習をさせたワケです。
大きなトリオンを扱った事のない隊員は、いきなり大容量のトリオンを与えられても戸惑い巧く扱えない可能性があります。
しかしこのルールを用いる事で、誰がビッグトリオンに適当かを選ぶ為に一先ず全員で二宮さん感覚を体感してみよう、という流れになる事を見越して仕込みをしたワケですね。
尚、此処で作中描写では初めてエンカウントする那須さんと木虎ですが、同じ学校なので面識自体はありました。
しかし当時の那須さんは七海以外文字通り目に入っていなかったので、木虎に対しかなり失礼な対応をしてしまっていました。
その一件で木虎の那須さんに対する評価は最悪に近くなっており、当然そのしこりは残っていましたが彼女は良い意味で公私がハッキリしています。
共闘者として、何より試験官として公平でなければならないと考えた木虎はそういったわだかまりを押し込んで那須さんと向き合いました。
広報部隊としての意識の差が、こうして出たワケです。
次の話では弓場隊の、特に神田の描写となりますが、あのパーティの後の七海達との会話で吹っ切れた彼は、今回の試合の勝利の為に全力を尽くすつもりでした。
最後に一花咲かせてやろうと、フルスロットルでやるという気合いを見せていますね。
私もこれが神田を描写する最後の機会だったので、可能な限り頑張って描いたつもりです。
次の話では、嵐山にスポットライトが当たります。
嵐山は原作でも迅を信頼し、忍田本部長の指示があったとはいえ
その後のやり取りでも二人の信頼関係は見えたので、そのあたりの関係性にもスポットライトを当てたいと思いこうした話を挿入した次第です。
嵐山は弓場ちゃんとも19歳組で親交があるみたいなので、そちらも描写しました。
私はかねてから19歳組の関係性を描きたいと思っていたので、そのあたりの方針がこの時期から明確に表に出た形です。
迅さんを明確に「救われる側」として定義していたので、このあたりの仕込みはしっかりしないと、と念頭に置いていたのもありますが。
章の最後では神田が弓場さんに自身の決意を改めて表明して幕となります。
弓場さんの頼れる兄貴分としての描写も可能な限りやっておきたかったので、これで事前に描く事は描き切ったと言えるでしょう。
帯島ちゃんや外岡はどうしても描写が薄くなってしまいましたが、役柄上仕方ない部分があるので仕方ないと目を瞑りました。
どちらかというと帯島ちゃんは遊真と出会ってからが本番な部分があると思うので、私の描く範疇ではなかった事もありますが。
今作のメインに中学生の攻撃手がいればまた話は違ったのでしょうがね。
彼女に必要なのは、歳が近く人当たりの良い上級者でしょうから。
多少長くなりましたがこれで第二試験の解説を終わります。
次は第三試験解説となるので、お楽しみに。