痛みを識るもの   作:デスイーター

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各章解説・及び裏話/昇格試験編3

 

 第十一章『合同戦闘訓練/STAGE3』

 

 昇格試験、第三試合。

 

 今回は嵐山隊と組み、弓場・風間隊と戦いました。

 

 初っ端にある読み合いシーンは、前回の王子と小夜子のそれを意識しています。

 

 神田と王子は元チームメイトですし、どちらも隊のブレインという共通点もあります。

 

 また、その思考傾向と戦略性の違いをなるだけ描写したかった、というもあります。

 

 神田の出番はこの試合が正真正銘最後なので、気合いを入れて書きました。

 

 実況解説を羽矢さん、村上、諏訪さんにしたのは羽矢さんは勿論小夜子繋がり及び前回戦った王子の繋がりでもあります。

 

 村上は七海が風間さんと戦う以上その場に居合わさせたかったですし、諏訪さんは良いリアクションと冷静な解説を欲したのもあります。

 

 最近は原作で出番が来る度株が上がりっぱなしな諏訪さんなので、割と間違ってなかった選択だと思います。

 

 MAPを市街地Dにしたのは、当然エスクードを最大限に活用する為のものです。

 

 原作でヒュースがやったように、エスクードはああいった屋内戦闘でこそ最大の威力を発揮します。

 

 今回最大の目玉であるエスクード戦闘を描く上で、市街地Dほど都合の良い地形はありませんしね。

 

 流石に渓谷地帯Aのような場所だと、エスクードの意味は殆どありませんから。

 

 また、この地形は閉所での戦闘が得意な弓場隊にとってもメリットがあります。

 

 弓場さんは開けた場所よりも複雑な地形で戦った方が活きる駒ですし、閉所での戦闘は銃手の強みが出ます。

 

 銃手は射手のような応用性がない分、即応性が非常に高いです。

 

 射手はキューブの調節→展開→分割→射出という工程がある以上、近距離でいきなり攻撃手や弓場さんに出会えば成す術がありません。

 

 ですが、銃手は引き金を引くだけで弾を撃てるので咄嗟の即応性が射手とは比べ物になりません。

 

 原作で里見が言及しているように、射手にはないメリットが銃手にもきちんとあるワケです。

 

 今作のROUND5で来馬さんの両攻撃(フルアタック)が活きたのも、地下という閉所だったからというのもありますからね。

 

 そして当然、そのメリットは七海も把握しているので速攻でのメテオラ焼き出しとなるワケです。

 

 ログを見ていた七海は閉所での弓場隊の厄介さを理解している為、爆撃をしない理由がありません。

 

 居場所を知られるリスクも七海ならば幾らでもカバー出来ますし、何より高所に転送されたという幸運を得た以上それを活かさないワケにもいきません。

 

 慎重なやり方はリスクが少ないですが、今回の場合は手をこまねいていればいるだけ状況が悪化しますから。

 

 複雑な地形での戦闘は、風間隊もまた得意とするところでもあります。

 

 その事を弟子として理解している為、此処で手を緩める選択肢は七海にはありません。

 

 七海としてはこの爆撃で弓場さんを釣り出すつもりだったのですが、出て来たのは神田でした。

 

 彼が出て来た事は七海にとっては予想外でしたが、那須隊はすぐさま対応します。

 

 丁度近くに転送されていた熊谷を動かし、神田に奇襲をかけます。

 

 弓場さんが来ていれば追尾弾(ハウンド)で牽制しつつ二人がかりで固めて削り殺すつもりでしたが、神田が相手なので熊谷が近接戦闘を仕掛けました。

 

 確かに銃手は即応性が高いとはいえ、懐に潜り込んでしまえば攻撃手の方が有利なのは当然の事です。

 

 加えて、今回熊谷はビッグトリオンが適用されていました。

 

 神田の対応次第では距離を維持しつつ、二宮式戦闘法で圧殺する予定でした。

 

 しかしそこで予想外の一手、エスクードが炸裂します。

 

 エスクードで身を隠され不意打ちのエスクードトラップによって空中に撃ち出された結果、熊谷は窮地に陥ります。

 

 待ち構えていた弓場さんの攻撃から熊谷を守ったのは、フォローの名手時枝でした。

 

 時枝は原作での争奪戦の描写を見る限り、味方のフォロー能力が抜群に高いです。

 

 テレポーターを活かした立ち回りで弓場さんの攻撃をいなしつつ、熊谷を救助します。

 

 必殺のつもりで使った不意打ちが通用しなかったのは、弓場隊にとってかなりの痛手でした。

 

 空中に撃ち出された状態というのは、グラスホッパーを持たない隊員にとっては死地です。

 

 回避が出来ない上に突然宙に浮かされた以上、否応なく隙を晒す事になるからです。

 

 熊谷に当然空中戦の適正はなく、時枝がフォローしなければ落ちていたでしょう。

 

 時枝のフォロー能力をきちんと描写したかったので、その意味での満足です。

 

 一見すれば那須隊に情報を与えただけに見えるこのシーンですが、実は「神田をビッグトリオンと誤認させる」という目的は果たしていたので弓場隊にとってもメリットがなかったワケではありません。

 

 熊谷を落とせれば最上でしたが、最低限の目的は果たした結果ですね。

 

 そして奇襲を凌いだ以上、那須隊の反撃が来ます。

 

 七海が爆撃を続行し、帯島がそれを止めるだけに炙り出されます。

 

 作中で言及があった通り、此処で切れる手札が彼女しかなかった為です。

 

 ハウンドの両攻撃(フルアタック)という隠し札を以て七海に挑んだ帯島ですが、そういった可能性も考慮していた七海には凌がれます。

 

 ですが自分の役割を徹底する事で、七海相手の時間稼ぎが成功します。

 

 帯島ちゃんはそこまで突出した力は持たないものの、判断力や機転は悪くないものを持っています。

 

 粗削りな部分が目立ちはしますが、こうして自分の仕事に徹する事が出来るのです。

 

 だからこそ、弓場さんとの合流まで保ったワケですね。

 

 弓場さんと帯島ちゃんが揃うと、中々に厄介です。

 

 必殺の十二連撃を持つ弓場さんと、フォローに長けた帯島ちゃんは痒い所に手が届く名コンビと言えます。

 

 エスクードによる支援もあるので、七海相手でもこの地形であれば優位に戦えます。

 

 そこで駄目押しの風間さんの投入で、那須隊側は木虎の投入を余儀なくされます。

 

 当然ながら、風間さんの相手は生半可な事では務まりません。

 

 最低限木虎レベルでなければ、いなされて終わりです。

 

 ですが、風間は師として当然七海の思考傾向を把握しています。

 

 伏兵もなしで単騎で暴れるような愚を彼が冒すワケがないと、熟知していたのです。

 

 結果として木虎の奇襲は読み切られ、難なく対応されます。

 

 この冷静な判断力とブレない思考力こそ、風間さんの最大の脅威と言えます。

 

 大抵の脅威に即応し、最適な選択を実行する。

 

 そういった淡々とした隙のない手堅い動きこそ、風間さんの得意とするところです。

 

 戦闘は熊谷や時枝も参戦し、乱戦の様相を呈して来ます。

 

 乱戦は本来七海としては望むところではありますが、エスクードの存在と弓場・風間の両隊長の脅威は無視出来ません。

 

 エスクードでいきなり分断や罠にかけられる可能性がありますし、閉所で隙を見せれば弓場さんや風間さんに急襲されて落とされかねません。

 

 ですので躊躇なく爆撃を敢行し地形破壊で不意を撃とうとした七海ですが、弓場さんのグラスホッパーで意表を突かれます。

 

 グラスホッパーは茜の例を見る通り、誰にでも使えるトリガーではありません。

 

 使いこなすにはセンスが必要で、適性があっても相応の修練が必要です。

 

 だからこそ、此処で弓場さんがグラスホッパーを持ち込んで来たのは意外だったのです。

 

 意表を突かれた上、今度は風間さんが隠密戦闘を開始し攪乱します。

 

 カメレオンの切り替えの技術がハイエンドに達している風間さんの奇襲は、これ以上ない脅威です。

 

 七海に不意打ちは効きませんが、それならそれで他の隊員を狙えば良いだけの話なのです。

 

 一転して攻められる側になった那須隊ですが、当然ただ黙ってやられるワケにはいきません。

 

 時枝は即座にエスクードの展開されている足場を爆撃し、破壊を目論みます。

 

 エスクードはこの地形では最大限に活かされますが、同時にエスクードを直接狙わずともそれが展開されている通路を破壊する、という手が使える場所でもあります。

 

 足場が破壊されれば、当然エスクードはそれと共に落ちるしかありません。

 

 旋空やスラスター斬りでもなければ破壊困難なエスクードですが、こういった対処法はあるのです。

 

 ですがそれを読んでいた帯島がシールドで防御し、その隙を佐鳥が突きます。

 

 イーグレット二丁による狙撃という変態技術を持つ佐鳥のツイン狙撃は、使われればかなり厄介な代物である事は言うまでもありません。

 

 何せ、集中シールドでもなければ防げない威力のイーグレットが二発同時に飛んで来るのですから防御はかなり困難です。

 

 バッグワームを脱がなければならないという致命的な欠点こそあるものの、それは立ち回り次第で幾らでもカバー出来ます。

 

 加えて急所を狙わずトリオン漏出狙いの攻撃をする事で、集中シールドの読みすら外します。

 

 佐鳥は飄々とした立ち回りが多いですが、狙撃手としては東さん同様かなりクレバーです。

 

 というか東さんと同時期に狙撃手になった黎明期の狙撃手でもあるので、そういった底知れなさは普通に持っていると思います。

 

 そういった佐鳥のクレバーな立ち回りも、この試合で描写したかった事柄の一つでした。

 

 帯島に痛打を与えた那須隊は、此処で嵐山を投入。

 

 彼女へ奇襲をかけ、菊地原が近くで潜んでいる事を確認します。

 

 菊地原の強化聴覚は精度は高いですが、適用される感知圏はそこまで大きくはありません。

 

 ですので、この奇襲が防がれた以上近くに菊地原が潜んでいる可能性が高い事を確認出来たワケです。

 

 そしてそれが確認出来た以上、爆撃をしない理由はありません。

 

 そこを神田が旋空で奇襲し、ジャンプで七海・熊谷は回避。

 

 グラスホッパーを囮にしてスパイダーで跳躍した二人ですが、その先に風間が待ち構えている事は予測していました。

 

 ですが、カメレオンを用いて潜んでいるとばかり考えていた為に、菊地原の奇襲を見抜けませんでした。

 

 バッグワームとカメレオンを駆使した、風間隊らしい不意打ちと言えます。

 

 ですが、咄嗟の動きで即死を回避した熊谷は空中からの旋空で風間達を狙うと見せかけ、そこを狙って出て来た歌川をテレポーターによる奇襲で仕留めます。

 

 風間隊であればこの局面で()()の一手を用意しているだろうと信頼し、最後の仕事を果たしたワケです。

 

 また、この挙動の本当の狙いはビッグトリオン継承のルールを那須に適用する為でした。

 

 最初から試合の途中で熊谷から那須へビッグトリオンを継承させる計画だったので、その狙いを隠す為に歌川を狙ったのです。

 

 ちなみに、このビッグトリオン継承のルールは黒トリガーの受け渡しがモチーフとなっています。

 

 黒トリガー、その中でも適合者の多い風刃を仲間に託し、使わせる。

 

 そういう意図を以て、このルールは設定されていました。

 

 このビッグトリオンルールの本当の狙いが黒トリガーの扱いを学ぶ事にあるので、当然とも言えますが。

 

 その後は主戦場から離脱した帯島を木虎が追い、一騎打ちとなります。

 

 戦闘自体は経験の厚みで木虎が勝ちますが、帯島もまた最後のアシストを行い本当のビッグトリオン持ちだった外岡の奇襲を成功させます。

 

 外岡にビッグトリオンを持たせたのは、ROUND7では良いところのなかった彼を活躍させるという意図もありましたが、ビッグトリオン誤認の作戦をやりたかった為でもあります。

 

 神田が目の前で燃費最悪なエスクードを展開すれば、当然彼がビッグトリオンだと考えます。

 

 しかし神田はその心理を利用し、敢えてエスクードを目の前で使う事で自身をビッグトリオンと誤認させる作戦を決行しました。

 

 那須隊側のビッグトリオンである熊谷が落とされたところで、真のビッグトリオンである外岡を投入し優位に立つ。

 

 弓場隊の作戦は、それが肝でした。

 

 ですが、そこで投入されたのがビッグトリオンを継承しトリオン14になった那須さんです。

 

 この一手が、盤面全体の趨勢を一気に傾かせる事になります。

 

 トリオン14になった那須さんは、機動力を得た二宮さんです。

 

 砲台が常に移動しながら、トリオン14の射撃が降り注ぐ。

 

 有り体に言って、相手からすれば悪夢です。

 

 この那須さん大暴れも、この試合で描きたかった展開でした。

 

 生き生きと飛び回りながら弾幕を撃ちまくる姿こそ、那須さんのあるべき姿ですから。

 

 しかし当然、当初から那須さんがビッグトリオンを得ていれば弓場隊は全力で彼女に狙いを集中し、中盤で落とすところまでいった筈です。

 

 ですが、熊谷というビッグトリオンを落とす為にリソースを注いでいた弓場隊に、今になって出て来た万全の那須さんは荷が重過ぎました。

 

 完全に、那須隊の作戦が嵌まった形ですね。

 

 熊谷を派手に使って相手を消耗させ、その上でトリオン14になった那須さんを投入する。

 

 犠牲を前提とする策ですが、精神的な弱点を克服した今の那須隊に躊躇する理由はありません。

 

 那須さんも熊谷から力を受け継ぐというシチュエーションに密かに燃えていたので、テンションもMAXです。

 

 そんなワケで一転して窮地に立たされた弓場隊ですが、風間はこの状況でもブレはしません。

 

 それどころか七海に舌戦を仕掛け、情報を引き出しすらします。

 

 作中で言及された通り口下手な七海はこういった舌戦に慣れておらず、沈黙するしかありません。

 

 このあたりは、純粋に適正と経験の差と言えるでしょう。

 

 そこを指摘するあたり、風間さんはしっかり師匠をしていると言えます。

 

 下で暴れる那須さん相手に戦っていた弓場隊ですが、見ている側も明らかに劣勢である彼等を二宮さんが持ち上げるシーンもさり気なく挟んでいます。

 

 原作で弓場さんを一騎打ちで倒そうとしたのはきっと二宮さんが彼を評価していたが故でしょうし、そうでなければ「惜しかったが一手足りなかった」とまでは言わなかった筈です。

 

 弓場隊は前衛を弓場・神田に任せ外岡が後衛になる事で、外岡を疑似的な銃手のように運用する事に決めました。

 

 この状況下では隠れての狙撃を狙おうものならメテオラで焼き出されますし、単騎になればそこを突かれかねません。

 

 そういう意味でこうするしかなかったワケではありますが、

 

 ですが、だからこそ瓦礫を囮とした東式変わり身の術で那須さんの足を削る事に成功します。

 

 そこですかさず佐鳥が弓場を狙い、神田がこれを庇う形で脱落。

 

 反撃で弓場が放った攻撃から那須を守る形で、時枝も脱落。

 

 これで那須さんは足を削られた状態で、弓場・外岡と対峙する事になりました。

 

 上での戦闘では、カメレオン状態でエスクードを使用するというコンボで、菊地原が佐鳥を狙いました。

 

 佐鳥と同じ16歳組として親交のある菊地原は、彼の厄介さを良く知っていました。

 

 だからこそさっさと落としておくべきだと考えていたのですが、佐鳥もまたそれは承知していました。

 

 故に、エスクードとテレポーターという隠し札を用いてまで相打ちに持ち込んだワケですね。

 

 次の話では外岡がエスクードを最大限に活用して那須さんと嵐山さんの同士討ちを狙いましたが、それを読んでいた那須さんによって失敗。

 

 転移先を読み切られた事で、外岡は落とされます。

 

 那須さんは茜ちゃんと連携をして来た実績があるので、テレポーターの転移先の()()については熟知しています。

 

 対して、外岡のテレポーターはあくまでも付け焼刃。

 

 その差が、如実に出た形ですね。

 

 テレポーターは使いこなせれば強力ですが同時に癖の強いトリガーでもあります。

 

 今回の試合では最大限に活用していましたが、習熟度はこういった面に如実に表れます。

 

 外岡は、そこを見事に突かれたワケですね。

 

 上では風間相手に、七海がメテオラ殺法を解禁。

 

 ですが風間は一切動じず、冷静に七海を捌きます。

 

 そこで七海は渾身の一手として、足場破壊を敢行。

 

 風間を、空中戦に持ち込みます。

 

 乱反射(ピンボール)を駆使して風間に仕掛ける七海ですが、近接戦闘の練度は風間が上です。

 

 四肢を失い敗北する七海ですが、そこで茜に自分ごと撃たせるという乾坤一擲の勝負をかけます。

 

 ですが、風間さんはこれすら読み切りシールドを展開。

 

 東さんレイドを見ていた風間さんは、こういった手も取って来るだろうと予測していたからです。

 

 しかし、それは七海とて承知していました。

 

 だからこそ、那須さんに援護を頼んでおきシールドを破壊。

 

 茜ちゃんの弾丸は、見事風間さんを撃ち抜きました。

 

 こうして、七海は相打ちの形で風間さんを撃破します。

 

 此処までしなければ倒せなかったのが、風間さんの怖さでもありますね。

 

 そして、この那須さんの支援射撃は弓場さんを仕留める為の目晦ましという意味も持っていました。

 

 風間さんを狙ったバイパーの一つを、予め戻って来るように軌道を設定し弓場さんを撃ち抜きました。

 

 原作で那須さんがやった、来馬さんを倒した弾の一部で修を落とした技です。

 

 敢えて弾数を絞る事で、弓場さんの眼を掻い潜った形ですね。

 

 これで試合は終了、第三試験も終わりを迎えます。

 

 そして。

 

 試合の終了後。

 

 此処で満を持して、最終試験の内容が明かされます。

 

 風刃を持った迅さんとの、対決。

 

 これは、最初からこの試験の本命として計画していました。

 

 黒トリガーを相手にするには、黒トリガーとの戦闘経験が必要不可欠。

 

 そう考えていましたので、この展開は前々から考えていました。

 

 風刃持ちの迅さんと戦うワートリ二次主人公というのは、中々ないと思います。

 

 基本的に風刃持ちの迅さんが戦闘する機会は黒トリガー争奪戦だけなので、普通はそこでオリ主は迅さん側に付くので迅さんと戦う機会というのはありません。

 

 この展開は割と反響を呼んでいたので、描いて良かったと思います。

 

 「迅と────────────────いや、黒トリガーと。戦って貰う」という城戸さんの台詞も、出す時を淡々と伺っていたワケです。

 

 そしてエキシビジョンマッチによって、迅さんと風刃の組み合わせの凶悪さをまず描写しました。

 

 原作で迅さんが言っている通り、未来視を持つ迅さんと超高速遠隔斬撃の風刃の組み合わせは、かなりの脅威です。

 

 遠隔斬撃の弾速も、副作用(サイドエフェクト)で攻撃を察知出来る菊地原が反応出来なかった時点でその速度は相当なものです。

 

 ちなみにあの場面で菊地原を真っ先に落としたのは、彼の強化聴覚をそれだけ警戒していたからでしょう。

 

 あれがあるだけで、風間隊の脅威度が段違いに跳ね上がりますから当然の判断と言えます。

 

 ともあれ、このままではまず勝てないと悟った七海達は、迅さんとの戦闘経験の多い太刀川を頼ります。

 

 そこで太刀川からアドバイスを受け、今度は影浦を鍛錬相手に選びます。

 

 影浦は迅さんとはサイドエフェクトの方向性は違いますが、どちらも攻撃を察知可能な能力である事は違いないので予行演習としては最適な相手です。

 

 此処で影浦が七海の本音を引き出すシーンも、カゲさんならこう言うだろうと考えたからです。

 

 影浦は、七海が我慢をする事を好みません。

 

 これまで色々あった七海だからこそ、やりたいようにやらせたいと思っています。

 

 だからこそ、敢えて下手な芝居を演じてまで七海の本音を引き出したワケですね。

 

 そして次の話では、村上を最終試験の観戦に誘う事を七海が思いつきます。

 

 これは迅の想定通りの動きであり、迅が七海ならこうするだろうと考えて差配した結果です。

 

 この時点で風刃の使い手を誰にするかは決めていたので、その伏線でもあったワケです。

 

 そして章の最後での小南とのやり取りは、あの迅が風刃を持ち出す以上小南が黙っていないと思ったからです。

 

 この世界線では迅さんは玲奈の死により、原作よりも酷い曇り具合で色々と迷走もしていました。

 

 それを知っている小南が、この状況で何もしないワケがありません。

 

 此処で玲奈にスポットライトを当てて、次の過去回想編へ繋がるのです。

 

 過去の大規模侵攻を、悲劇を描いた迅さん視点の回想です。

 

 次回はそちらの解説を行いますので、よろしくお願いします。

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