痛みを識るもの   作:デスイーター

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各章解説・及び裏話/修編・遊真編

 

 第十三章『THE SECOND PIECE/三雲修』

 

 この章はタイトルの通り、原作主人公三雲修が物語に正式に参戦する章です。

 

 これまでも迅さんの回想に付随する形でちょくちょく顔を出してはいましたが、本人が「痛みを識るもの」というストーリーに本格的に関わって来るのは此処からとなります。

 

 さて、本編主人公にして人気キャラである修を本格登場させるにあたって、色々と気を付けた事があります。

 

 まず、修を空気にしない事、そして私のクリエイトしたキャラである七海との関りを持たせ、良い方向へ向かわせる事です。

 

 この「痛みを識るもの」の主人公は七海玲一ですが、原作主人公というのは決して蔑ろにしてはいけない立場のキャラクターです。

 

 二次創作者として原作を「扱わせて貰っている」側として、原作へのリスペクトは決して忘れてはいけません。

 

 原作のメイン舞台とは離れた場所でやるよ、原作キャラとも関わらないよ、というスタンスならばともかく。

 

 原作沿いで物語を進行させる以上、主人公というなくてはならない中核のキャラクターを自身のキャラを持ちあげたい為に貶めるなど以ての外です。

 

 この分別だけは常に忘れないよう心掛けていますし、それが守られていない作品は基本見ない事にしています。

 

 ただ好き勝手にネットで文章を書き連ねている以上趣味の範疇なのでしょうが、だからこそそういった線引きはきっちりしていかなければ創作者とはとても名乗れないと私は考えています。

 

 あくまで私の個人的な意見ではありますので、他者の作品を貶める意図はありませんのでご留意を。

 

 さて、話は戻りまして修をどう扱うかについては、色々悩みました。

 

 まず、知っての通り修は弱いです。最弱の部類です。

 

 1対1ではあの唯我にすら負け、B級中位以上の相手に単独でカチ合った時点で大体落ちます。

 

 故に修の主人公らしさは知恵と知略を駆使した横紙破り、奇策による騙し討ち不意打ちの類になります。

 

 凡そ正統派主人公からかけ離れた特技ですが、こういったキャラ性だからこそワールドトリガーという世界観で主人公を務めていられるのだと思います。

 

 そんな修を空気にせず、どう活躍させるか。

 

 答えは、「成長の先取り」でした。

 

 原作ではランク戦で何度か用いた置き弾戦術や、東さんによる壁抜きショットによる敗北を経てようやく辿り着いたワイヤー戦術を、テコ入れで原作開始直前の段階で仕込み始める事にしました。

 

 理由としては、この二つは習得にさして時間がかからないであろう事、そして習得した場合の効果が目に見えて分かり易い事があります。

 

 まず、置き弾は作中で実践した通りC級に対して絶大な威力を持ちます。

 

 C級隊員はこれまでの原作描写を見る限り、ある程度ポイントがあるにも関わらずB級に上がる気配がない者が大半であり、C級三馬鹿が彼等の中ではなんとか来期のB級昇格が狙えるという時点でお察しです。

 

 そして、使用可能なトリガーが一つのみというC級の特性上、ハウンド無双なランク戦環境が予想出来ます。

 

 例の三馬鹿もハウンドを使っていますし、C級の中でもある程度以上ポイントのある隊員はハウンドを使う者が多いと見て間違いないでしょう。

 

 何せ、トリガーが一つしかない以上シールドを張る事は実質出来ず、四方から襲い掛かる弾丸を避けるのはC級では難しいからです。

 

 なのにそういった面々が中々B級に上がれないのは、稀に当たる「本物」に負けてポイントがごっそり取られたり、リスクを恐れて高いポイントの相手との戦いを避けてちまちま格下相手にポイントを搾取しているからでしょう。

 

 原作で三馬鹿がやっていたような「一定以上のポイントを超えたばかりのC級を狙って対戦を申し込む」という手段も、恐らく似たような事はこれまでにもされて来たものと思われます。

 

 三馬鹿が「一番マシなC級」である以上、他のC級の性格傾向は大体知れます。

 

 原作で出て来るC級はどのキャラも「自分の事を棚に上げて他人を馬鹿にする」「噂を鵜呑みにして陰口を叩く」等碌な事をやっていません。

 

 なので、大方のC級は「学生気分のままボーダーに来て意識がそのままの年相応の思春期ボーイ&ガールズ」と推測出来ます。

 

 ボーダーの正隊員は、原作を見て分かる通り年相応では全くなく精神年齢がかなり高く成熟している者が多いです。

 

 彼等のように「組織の一員」であるという自覚がない、「ちょっと面白いバイト先にいる」程度の感覚の学生。

 

 それが大半のC級隊員だと、私は推察しました。

 

 なので、思考力や煽り耐性は並の学生とそう変わりありません。

 

 そんな学生相手に、戦術の一環として逃げたり嫌がらせをする事に一切の抵抗を覚えない修が置き弾という決め技とそれに付随する勝利への道程を得た状態でぶつかればどうなるか。

 

 その結果が、某C級隊員と修の対戦の結果です。

 

 ちなみに修相手に出したC級隊員は名前は適当で、もう二度と登場しないモブです。

 

 一般的なC級隊員代表として、ちょっと出番を与えたに過ぎませんのであしからず。

 

 さて、修にアステロイドと置き弾を教えた七海ですが、これは彼が出水という天才射手から直接指導を受けた弟子だからこそ出来た事です。

 

 出水は知っての通り感覚派の天才ではありますが、あの二宮さん相手に戦術を仕込んだり、烏丸がにのまるをやれる程度に射手の戦い方の知識があったのは、恐らく彼の影響でしょう。

 

 直接指導を受けたワケではないであろう烏丸が、修に射手としての戦い方を仕込める程度に仕上がっているのですから、弟子として師事した七海がある程度指導法を習得していても不思議ではありません。

 

 とは言っても出水と七海では指導力に雲泥の差がありますので、基礎を仕込むのが限界ではあるでしょう。

 

 七海は後に作中で木虎が言及するように才能がある側の人間であり、持たざる側である修の感覚は分かりません。

 

 背の高い人間が背の低い人間の悩みを理解出来ないように、これは性質上どうしようもない事なのです。

 

 そこで、次の指導者として名乗りを挙げるよう仕向ける事にしたのが木虎です。

 

 原作では「規則を破った上に訓練用トリガーでトリオン兵を倒した「同い年の」無名の凄腕」という誤解があった為に、第一印象は最悪と言って良いものでした。

 

 木虎にとっては「同い年」で「凄腕」というのが重要な要素であり、同年代には「負けたくない」が対人欲求である彼女にとっては規則を破って平然としている修は「自分の実力を鼻にかけている生意気な同年代」にしか見えなかったでしょう。

 

 ですが今作の木虎はC級の研修中に修の姿を見かけ、その工夫に関心するというワンクッションがありました。

 

 更に今回の章で七海仕込みの修の戦術が炸裂した事で、木虎の眼には「弱いけどそれを理解しつつ正しい努力をして勝ち上がろうとしている見どころのある少年」として修が映ったのです。

 

 木虎は結果の出ない我武者羅な()()の努力を嫌いますが、反面正しい努力をして強くなろうとする人間には好意的です。

 

 それに、修のトリオンが少ないのは見れば分かるので、過去に同様にトリオンの少なさで苦労した経験からの共感もあったと思います。

 

 今回のケースでは原作のような初対面での大きな悪印象がなかった為に、こういった反応に落ち着いたというワケです。

 

 木虎は基本的に承認欲求の塊ですが、同時に面倒見が良い善人でもあります。

 

 ただ、自分の評価を高める方法が「自らを鍛えてより良い結果を出し続ける」だけだと勘違いしている為、仕事は出来るけど友人は少なく彼氏もいないOLみたいになっているだけです。

 

 なので、今回の修のように「見どころはあるけどこの先困る事があるかも」という状態でエンカウントすれば、「頼って貰えるチャンスがあるかも」と接触に前向きな状態となるのです。

 

 それでも口実がなければ自ら話しかけに行かないあたりは、木虎が木虎たる所以なのですが。

 

 「迅悠一⑤」については、今更語る事はそうありません。

 

 二人は一つの大きな山を乗り越え、亡き大切な人にその報告をした。

 

 これは、それだけの話なのですから。

 

 そして、章の最後の「空閑遊真①」。

 

 この回を以て、「痛みを識るもの」は正しく原作時間軸へと突入する事になります。

 

 最後のピース、遊真が揃う事で。

 

 物語を駆け抜ける為の、最後の欠片が揃ったのですから。

 

 

 

 

 第十四章『THE LAST PIECE/空閑遊真』

 

 今回の章は、原作序盤での出来事がこの「痛みを識るもの」の世界線でどう展開するかを描いています。

 

 まず、最初の差異は迅の登場タイミングです。

 

 原作では迅が修達に接触するのはイレギュラー門事件の時ですが、この世界線では遊真がバムスターをぶちのめした段階で接触します。

 

 これまでの経緯もあって原作とは異なるルートを選んでいる迅さんは、既に修にも何度も干渉している事もあり、最後のピースである遊真にも初期から介入をする予定でした。

 

 迅さんはこの時点では、まだ性格の分からない遊真はともかく明らかに自分や七海と同じく自己犠牲を躊躇しないタイプである修には未来視の事は話さない予定でした。

 

 自分たちのような人間が身の丈以上の事をやろうとすれば何をするのかを身を以て理解している為に、「大事な未来のピースに危険な真似はさせられない」と守りの思考に入っていた為です。

 

 そんな迅さんの後ろ向きな考えを強引にぶっ飛ばしたのが、ジト目プリンセスこと瑠花ちゃんです。

 

 琉花ちゃんは当初、プロットには影も形もありませんでした。

 

 まあ、プロットを構築した段階では原作に登場していなかったので当然と言えば当然なのですが、いなかった筈だったのです。

 

 ですが、迅さん編に入ったら急に出て来ました。

 

 にょっきりと。

 

 一度出した以上その存在感から次の出番は? と無言の催促が来ているようで無視も出来ず、あれよあれよと迅に絡む形で繰り返し出る事になったのです。

 

 ですが、それでもこれまでは七海達主役に絡まない、裏方での出番でした。

 

 いわゆるマスターシーン専用のキャラのような扱いで、直接物語には関わってはいなかったのです。

 

 ですが、今回彼女はそんなの関係ねぇとばかりに主軸の物語に介入します。

 

 他ならぬ迅が、この期に及んで逃げ腰な思考をしていたからです。

 

 急に出て来た瑠花ちゃんを表向きの立場で紹介しようとする迅さんですが、当然そんな事は彼女は知った事じゃないと本当の正体をぶちまけます。

 

 これには迅さん、ガチで慌てます。

 

 それはそうでしょう。

 

 琉花ちゃんの存在は、ボーダーの最上級の機密に当たるものです。

 

 彼女の正体を知る者はごく限られており、旧ボーダー以外の人間は殆ど知らないだろうと推測されます。

 

 そんな彼女がいきなり部外者に正体をばらしたのですから、本来ならば大ごとです。

 

 ですが、瑠花ちゃんからすると見当違いも甚だしいのです。

 

 七海・修・遊真は迅が「最善の未来」に必要なピースとして選んだ、希望の欠片です。

 

 ならば、「部外者」などという言葉は当て嵌まらず、むしろ「当事者」と称して然るべきでしょう。

 

 そして迅の懸念した修の無茶も「無茶をさせた上で死なないように守れば良いでしょう」という至極当然の発破で説き伏せ、話の流れを強引に持っていきました。

 

 ちなみに以前ちょろっと説明した通り、此処で瑠花が迅を説得していなければ修に未来視の話が伝わらず、遊真を引き留める口実が出来ずにバッドエンドルート一直線でした。

 

 そういう意味で、お姫様は今回MVP級の活躍としたと言えるでしょう。

 

 ちなみに「言う事聞かなきゃ胸掴ませるぞ」という脅し文句は、あの話を書いてる最中に天啓が降りてそのまま採用しました。

 

 話を面白く、テンポ良くするにはこれしかないと思い瑠花ちゃんの勅命にゴーサインを出した次第です。

 

 琉花ちゃんは書いていて非常に楽しいキャラなので、アフターでもそれなりに書く事を考えています。

 

 というかアフターで書く話のネタは割とあるので、色んなSSを書くのでお楽しみに。

 

 次の「城戸正宗②」では三輪が迅を追及する為に城戸に談判していますが、そこは城戸さんが弁論を駆使して説き伏せます。

 

 それでも三輪の行動自体は容認する方向に持っていった城戸さんですが、当然これは迅さん側も承諾済みの事でした。

 

 原作と違い上層部との隔意などない為本来であれば必要はないのですが、三輪の裏の広告塔としての立場と復讐を志して入隊して来た者達への配慮がある為にこうする他なかった為です。

 

 城戸さんは旧ボーダーと袂を別ってから、市民の中に燻る復讐心を煽る形でも人員を集め、組織の規模を拡大していきました。

 

 三門市の性質上、決して少ないない「復讐者」が隊員の中にはいる筈です。

 

 そういった者達の立場を守り、研鑽に集中させる為にも三輪という裏の広告塔は必要でした。

 

 三輪は常日頃から近界民(ネイバー)への憎悪を口にし、親近界民派である迅への嫌悪も滲み出ています。

 

 そんな彼が城戸から重用されているという事実は、復讐者達にとって「復讐は悪ではなく、私の居場所は此処にある」と思うに値する光景なのです。

 

 ですが強力な戦力である三輪を城戸以外が自由に動かせないという現状は、大規模侵攻においてどうしても枷となります。

 

 それを取り除き、尚且つ表向きはこれまでの立場を維持して貰うには三輪自身の意識改革を促す他ありません。

 

 ですが、三輪は考えが凝り固まった復讐者です。

 

 嫌悪している迅の話など聞く筈もなく、また立場上城戸から諭すワケにもいかない以上、第三者の介入とそれが出来るだけの状態へ至る事が必須でした。

 

 そこで三輪に適切なタイミングで遊真を発見させ、その黒トリガーの存在を認識させて争奪戦の絵図を描き、そこで派閥同士の代理戦争をやって収集を付けるのが目的となりました。

 

 この変更は七海と玲奈の存在が招いたノイズでもあり、福音でもあると言えるでしょう。

 

 過去が変われば、未来も変わる。

 

 当然の事ですが、これが二次創作の醍醐味と言えます。

 

 ちなみに小南と共に迅を追及した瑠花は、意に沿わない答えが返って来た場合は本気で色々やるつもりでした。

 

 彼女は脅しは口にしますが、嘘は一切口にしていません。

 

 本気の事しか言っていないので、彼女にギルティと判断されればどうなるかは自明の理です。

 

 次の「木虎藍②」ではイレギュラー門の映像が視えた迅さんが、その対処の為に嵐山と木虎に声をかけに来ています。

 

 迅としては他の対応個所は適当なB級隊員にでも任せようと思っていたのですが、嵐山が「じゃあ俺から生駒達に声をかけておこう」と言い出したので彼等19歳組とその部隊に任せる事となったのです。

 

 普段頼る事などない迅に頼られた生駒・弓場・柿崎といった面々に否などあろう筈もなく、柿崎夫人のてるてるポイントチェックも通過した為各地に現れるイレギュラー門への対処はほぼ完璧な形で成し遂げられました。

 

 さて、本命とも言える修の通う中学校に開いたイレギュラー門から出て来たモールモッドですが、原作とは違い中距離武器であるアステロイドを装備していた為に木虎が到着するまでの時間稼ぎに成功しました。

 

 これが原作通り近接武器であるレイガストのままであれば瞬殺されていたでしょうが、射手としての基本を仕込まれていた修は距離を取りながら引き撃ちし、遅滞戦闘に従事する事で自分の役目を成し遂げました。

 

 修は自分でモールモッドを倒すのは現実的ではないと即座に判断し、時間稼ぎに徹する事を選んだが故です。

 

 もしも少しでも攻めっ気を出していれば木虎が間に合う前にモールモッドに一撃を喰らい、生身を曝け出していたでしょう。

 

 そうなるとハイレイン側の作戦の前提が違う事になってしまうので、大きく未来が変わっていた事は間違いありません。

 

 故にこの回で修は最適最善の行動をやり切った、と言えます。

 

 ちなみに言うまでもないかもしれませんが、第三中学校のイレギュラー門の位置を変えられなかったのは、当然千佳がいたからです。

 

 ラッドの門はトリオンの高い者がいればそちらに開くようになっているので、千佳以上のトリオンの持ち主がいるワケがない以上この位置だけは変えられませんでした。

 

 このデータはアフトクラトル側にも伝わっており、この事からハイレインは「高い確率で金の雛鳥は玄界(ミデン)に存在する」と確信を得たワケです。

 

 原作でC級に狙いを絞っていたのは、まさか本当に「神」になれる程のトリオンの持ち主がいるとは考慮していなかったという理由も大きいでしょう。

 

 描写を見る限り「神」の候補者探しは作戦遂行時に該当データが出れば儲けもの、くらいに思っていたのでしょう。

 

 だからこそヴィザ翁すら時間稼ぎと陽動の駒として扱い、ラービットにC級を攫わせる事に注力していたのだと思われます。

 

 しかし、今作ではC級を標的にする決定打となったであろう「緊急脱出システムの有無の判明」がなされていない為、C級を狙っても正隊員のように逃げられる可能性が消えません。

 

 そんな中で「高い確率で「神」の候補者が玄界にいる」という情報が出れば、そちらを優先するのも止む無しと言えるでしょう。

 

 金の雛鳥を、「神」の候補者を捕まえられなければエリン家当主を「神」とする計画があるとはいえ、これはハイレインの側からしても出来ればやりたくない計画の筈なのです。

 

 何せ、配下の家の当主を生贄にするのですからその家の規模や影響力によっては自身とその家に無視出来ないダメージが来る可能性が高いのです。

 

 しかもヒュースという将来有望で且つヴィザ翁が気に入っている若者を自ら手放す事になるのですから、どう考えてもこれは「出来ればやりたくないが必要ならやるしかない」類の計画です。

 

 ですので、それをやらずに済む可能性があるのであればそちらに注力するのも仕方がないと言えるでしょう。

 

 これでもしC級の方へ狙いが向いていれば流石に被害なしは不可能だったと思うので、このルートで正解だったというワケです。

 

 さて、原作では大きな被害を出したイルガーの爆撃ですが、今回は那須さんの活躍により被害をほぼ0にする事が出来ました。

 

 出水の弾を落とせるのですから、爆撃を撃ち落とすくらいの芸当は彼女ならやってのけるでしょう。

 

 弾幕勝負で技術が向上したのは、何も出水だけではないのですから。

 

 その後の展開は表向き原作と同じなので、以下略。

 

 ですがラッドの件の功績を処分免除のみに留めたのは、木虎のお陰で自力での昇格の芽が出て来たという理由と、千佳を大規模侵攻までにB級にして緊急脱出(ベイルアウト)を持たせるという必要不可欠な事情がありました。

 

 千佳ちゃんはハイレインの標的である為戦場にいなければC級に標的が変わる可能性が高く、かといってC級のままでは原作のように死に物狂いで逃げ続ける必要が出て来ます。

 

 だからこそ、いざとなれば緊急脱出させて避難させられるB級に上げておく必要があったのです。

 

 後の説明がある通り、此処での功績の半分を担保に交渉する事で千佳のB級昇格は叶ったワケです。

 

 加えてとうの修本人のB級昇格も、木虎のアドバイスにより実現します。

 

 悪名が広まりハウンド使いから避けられて対戦が成立せずに停滞していたポイントですが、木虎の仕込みによって弧月使いを狙い撃ち昇格に必要なポイントが溜まりました。

 

 此処で使った「敢えて攻撃を受けて本命の一撃に繋げる」というやり方は木虎がかつてやられ、そして実践した事もある方法でしょう。

 

 木虎は見ての通り自信家で自己顕示欲が強いので、攻撃が成功して良い気になっている時に攻撃を受けてしまった未熟な時分もあったと思います。

 

 無論やられて終わる木虎ではないのでその戦術も自分のものとしたに違いはなく、巡り巡ってそれが修を助ける事になったワケですね。

 

 そしてその後は原作通り廃駅で修達が三輪隊とエンカウントし、そこに七海が介入します。

 

 原作通り、遊真だけでも凌げたでしょうが、此処で七海が介入し忍田本部長の命令書を開示して立場をハッキリさせた事で、代理戦争参加の条件が整ったワケです。

 

 迅さんとしても太刀川さんとの約束を破るつもりは毛頭なく七海本人も乗り気であった為、争奪戦参加に否は勿論ありません。

 

 こうして、修と遊真という原作での主役二人が「痛みを識るもの」の世界に本格参戦し、その影響が各所に出て次へ繋がっていくワケです。

 

 二人の与える影響については今後の解説回で語りますので、お楽しみに。

 

 次は争奪戦編の解説となります。

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