痛みを識るもの   作:デスイーター

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キャラ語り/茜・迅

 

 『日浦茜』

 

 アライメント/秩序・善

 イメージカラー/サンシャインイエロー

 イメージ曲/BON VOYAGE!

 

 那須隊の転移系狙撃手、茜ちゃん。

 

 彼女を那須隊の一員として成長させる為、何が必要かをまず考えました。

 

 原作ではあまり狙撃技術等がフォーカスされている描写は無く、アイビスも「この距離なら外さない」と言って撃っている通り、反動が大きいアイビスの命中精度は自信がないようでした。

 

 なので、いっその事ライトニングに特化させて隊内での役割を明確化させて、徐々に他の狙撃銃を解禁していけば良いと考えたのです。

 

 ライトニングは威力が低く射程も短いという性質から、「最初の一発」が重要視される狙撃手の扱う武器としては正直不適格です。

 

 一度居場所がバレれば脅威度が激減する狙撃手の装備でありながら、広げたシールドにすら防がれるという威力のなさは致命的です。

 

 その為狙撃手の中でもライトニングを抜いている者は多く、むしろ狙撃手はイーグレットのみを装備している事が多いというのが現状です。

 

 実際、集中シールドでもなければ防御出来ず射程も長く弾速も充分というイーグレットは一番バランスが取れた粗の無い狙撃銃であり、これ一本あれば大丈夫というのも理解出来ます。

 

 故に、ライトニング単体だけでは役割を果たすのは難しいでしょう。

 

 だからこそ、テレポーターという「瞬時に居場所を切り替えられる武器」を彼女に持たせたのです。

 

 これがあればライトニングの難点である「威力のなさ」は必殺の射程に転移で飛び込む事によって解決出来、これによってある程度は狙撃後の逃走もまた可能となります。

 

 更に置きメテオラの起爆という役割は威力に関係ない為弾速に優れるライトニングが最も適しており、晴れて転移と高速精密射撃を操る少女狙撃手が爆誕したワケです。

 

 此処で茜ちゃんにテレポーターを持たせた事は、私なりの英断だったと思っています。

 

 これのお陰で那須隊の戦術の幅がとんでもない広がりを見せ、霧のように姿を見え隠れさせる変幻自在のスナイパーが生まれたのですから。

 

 そんな茜ちゃんは、他の精神的にメンドイ面々と比べて陽の気力が全開であり、一番真っ直ぐ成長していったメンバーだと思います。

 

 想いで雁字搦めになっていた七海と那須、それに気付いて悶々としていた熊谷と比べて、彼女は隊の精神的な問題に気付いていませんでした。

 

 しかし七海の悲惨な過去は知っており、「彼等の力になりたい」という想いは人一倍持っていた為努力を怠らなかったのです。

 

 いざ隊の膿が表出した時は自分に出来る事は結果を出す事だけと割り切り、あのラウンド3のラストの見事な戦果を持ち帰る事に成功したのです。

 

 そこからは自分の役割は戻って来た仲間を暖かく迎える事と開き直り、問題が解決した七海達を笑顔で迎え入れたワケです。

 

 これは彼女が何も知らない無垢でありながら仲間を想う気持ちは一切ブレなかった為に出来た事であり、完全に陽の気全開の茜ちゃんでなければ出来なかったでしょう。

 

 そういう意味で、二重の意味で彼女はMVPなのです。

 

 もっとも、これは当初は予定されていた事ではありませんでした。

 

 以前も語った通り、ROUND3は完全な負け試合として終わる筈だったのです。

 

 茜ちゃんも最初は自力で緊急脱出(ベイルアウト)して終わりの予定だったのですが、そこから「待てよ」と思い直しユズルくんを討ち取るという明確な「戦果」を持ち帰らせました。

 

 これは茜ちゃんの心情を考えた時、隊の為に出来る事は何かという思考をあそこで止める筈がないとシミュレートの結果思い至り、実行に移した結果です。

 

 これによって七海達は自分達がしでかした事をより一層直視する事になり、裏では影浦の早期来訪を阻止して問題解決を早めるというファインプレーをかましています。

 

 迅さんのあの場面での驚きは、私と同じだったと言っても過言ではないでしょう。

 

 思っていた以上に真っ直ぐ成長した狙撃手、それが茜ちゃんというワケですね。

 

 彼女の戦闘を描くのは、本当に楽しかったです。

 

 ぶっちゃけるとああいうトリッキーな戦闘こそ私の好むものであり、正面からの斬り合いよりも実は楽しく書けていたりします。

 

 特に最終ROUNDでのユズルくんとのゲリラ戦は、かなりのベストバウトであったと自負しています。

 

 狙撃手同士のタイマンのゲリラ戦なんてものは、普通早々発生しませんからね。

 

 最後のゼロ距離狙撃は、シミュレートの結果自然に出来たものです。

 

 きっとあのシーン、絵にしたら映えるだろうなあと後からしみじみ思いました。

 

 また、茜ちゃんについては彼女の除隊阻止もストーリーの目標の一つでした。

 

 茜ちゃんが転校してしまっては、完全無欠なハッピーエンドとは言えませんからね。

 

 その為に大規模侵攻の被害軽減に尽力し、様々な仕込みを経て難易度ルナティックと化した戦争を被害ゼロで終わらせたワケです。

 

 茜ちゃんは戦闘面は満足に描き切ったという自負がありますが、くまちゃん共々日常描写をあんまし描けなかったな、という心残りはあります。

 

 私は元々何の伏線もない日常描写というものが苦手で、どうしてもそちら側に属するキャラの登場回数も減りがちです。

 

 基本的に私がキャラの独白なんかをするとしっとりした雰囲気になりがちなので、穏やかで何の変哲もない日常、というのが中々書けないのです。

 

 伏線を仕込むとか関係性を描写するとか目的があればどうとでもなるのですが、ここらへんは私の物書きとしての今後の課題ですね。

 

 茜ちゃんのアライメントは那須隊で唯一の秩序・善。

 

 要するにごく普通の良い子です。

 

 他の面々が何かしら面倒な精神を抱えているのと比べると、ただ押しが弱いくまちゃんすら上回る完全無欠の陽のキャラです。

 

 七海や那須が色々と内に溜め込みがちなのと比べ、茜ちゃんはその場で泣いてスッキリして後には引きません。

 

 これは彼女が那須隊最年少であるからこそ出来る事でもあるのですが、元から持った素質の違いでもあるでしょう。

 

 そんな茜ちゃんのイメージカラーは、サンシャインイエロー。

 

 太陽のように明るい黄色です。

 

 名は体を表す通り、那須隊の太陽である彼女のイメージに最も合致する色でしょう。

 

 イメージ曲は、「BON VOYAGE!」。

 

 「最初はみんなバラバラに描いていた地平線 今なら一つの望遠鏡で覗ける」という歌詞は、最初は本当の意味で同じ方向を向いていなかった那須隊がようやく同じ方向を向けた事を喜ぶ茜ちゃんの心情を現しています。

 

 「シガラミも過去も捨てて僕らならそれでも笑えてるはず」「夢をかなえるための涙ならば惜しくはない」という歌詞も、彼女の決意を象徴していますね。

 

 最後の「未来へのシッポちょっと見えたよ」というのも、彼女の行動が切っ掛けとなって未来が変わった事の暗示になっていて、中々に合っている曲だと思っています。

 

 次回作ではまた別ベクトルの狙撃手を描く事になるので、茜ちゃんを書く上で培ったノウハウは全力で活かしていく所存です。

 

 

 

 

 『迅悠一』

 

 アライメント/混沌・善

 イメージカラー/スチールグレイ

 イメージ曲/命に嫌われている/DAYBREAK FRONTLINE

 

 私は原作の迅さんを見る度、その奥に秘める心の軋みを感じていました。

 

 未来視という呪い(ちから)を持って生まれて、常時トロッコ問題に突き当たっている上に実際に仲間を幾人も亡くしている。

 

 これで、心に闇がない筈がないんです。

 

 つい先日の情報解禁で未来視の仕様が「オフは出来ず、モニター形式」というきっついものである事も明らかになった時、想像通りのものだった事に納得しかありませんでした。

 

 迅さん編で散々やった未来視の考察でも、無数のモニターを見ているようなイメージで描いていましたしね。

 

 「いくつかのあり得る未来を()()()視ている」という文言から、私はモニターを見ているような感じだと思っていたので、想定通りの結果と言えます。

 

 VS迅さん編、過去回想編ではそういった迅さんの心の軋み、葛藤を存分に描ききりました。

 

 他のワートリ二次創作を見ても、迅さんの過去────────────────即ち旧ボーダー関連に切り込んだ描写というのは、中々ありません。

 

 これは当然で、今尚以て旧ボーダー関連はブラックボックスが多く、迂闊に描写出来ない範囲だからです。

 

 ですが、私の場合は七海玲奈という旧ボーダーに食い込むキャラクターを既に組み込んであったので、「原作(あっち)は原作、こっちはこっち」と開き直って描写する事が可能となったワケです。

 

 勿論、玲奈の存在とその死によって原作よりも迅さんの曇り具合は酷いものになっています。

 

 迅さん編が来るまではその嘆きと葛藤は表面上でしか描写しませんでしたが、過去回想に入った瞬間その全てを解禁しました。

 

 あそこらへんは過去最高クラスで筆が滑っていたと自負しており、もう無意識に指が動いていたレベルでした。

 

 最初から迅さんの葛藤と救済は必ず描くと息巻いていたので、ノリノリで書いていた事を覚えています。

 

 最終章以外でどの章が一番書いてて楽しかったかと言われれば、迅さん編であると間違いなく言えます。

 

 ああいう話を書くのは大好きですし、迅さんの内情を明かしてからの那須隊との決戦は本当に王道塗れで盛り上げたつもりです。

 

 「俺と───────最上さんが、相手だ」のモノローグのあたりで、もうテンション最高潮でした。

 

 過去回想含めて得意のきのこ構文を全力で使えたのも、満足出来た一因ですね。

 

 あそこらへんは本当に、好き放題に書きまくった記憶があります。

 

 地の文もスラスラ出てきましたし、台詞も自然と生まれて来るしで絶好調でしたね。

 

 特に玲奈死亡後の小南との問答は、特にお気に入りです。

 

 ああいうやり取り、本当に描くの好きなんですよね。

 

 割と殺伐した描写や容赦のない描写を描くのは実は好きな私なので、そのあたりを遠慮なく描ける旧ボーダー組を書くのは楽しかったです。

 

 此処まで色々と艱難辛苦を迅さんに与えて来たワケですが、これは当然後の救いに繋げる為です。

 

 私は救われるべきキャラには、全力で試練を与える事にしています。

 

 そうでなければ救われた時のカタルシスが減るからであり、またそれまで届かなかった救いを手にするにはこの程度は当然乗り越えるべきであるという持論もあるからです。

 

 カタルシス、というのは困難が大きければ大きい程上がるものです。

 

 誰かがあっさり解決した、という程度の試練ではありがたみがありません。

 

 それに、容易く解決出来るものを試練と呼びたくはありません。

 

 なので、与える試練に関しては一切容赦しないのが私流です。

 

 困難な試練を経てハッピーエンドを手にしたなら、その幸福に文句を言う者は誰もいないからです。

 

 だから、私は物語が終わった後は一切の試練を与えないようにしています。

 

 ハッピーエンドを掴んだのなら、そのまま幸せにならなきゃ嘘ですからね。

 

 ですので、自作のキャラに試練を与えるのは私の愛故なのです。

 

 愛ったら愛なのです。

 

 歪んではいません。

 

 これは創作者として至極真っ当な愛であると、きっと同胞の方々なら同意して下さるでしょう。

 

 まあ、艱難辛苦を課した上に何の救いも与えないようでは駄目ですが。

 

 ビターエンドもメリーバッドエンドも嫌いじゃないけど、自分が書くならハッピーエンド一択。

 

 私のスタイルはこれなのです。

 

 なので、今後の作品も安心して見て下さい。

 

 私が救うと決めたキャラは、必ずハッピーエンドに到達させますので。

 

 迅さんのアライメントは、混沌・善。

 

 社会のルールよりも自分のルールを優先する、迅さんの在り方を現した属性ですね。

 

 那須さんと同じく「七海玲一⑤」までは混沌・悪に寄っていましたが、七海のお陰でようやく止まっていた時計の針が動いたワケです。

 

 イメージカラーは、スチールグレイ。

 

 暗い赤紫系統のグレーで、迅さんの曇りっぱなしだった心と常時トロッコ問題で軋み続ける心を象徴しています。

 

 迅さんは表面上は緑系統のイメージですが、内面はきっと灰系統だろうなあというのが私の考えですので。

 

 イメージ曲は、「命に嫌われている」

 

 これ、歌詞が何もかも迅さんにぴったりなんですよね。

 

 「実際自分は死んでもよくて 周りが死んだら悲しくて」っていう歌詞は周囲の人間が死んで自分だけ生き残っている迅さんの罪悪感、サバイバーズギルドを現していて、「僕らは命に嫌われている。 軽々しく死にたいだとか」「軽々しく命を見てる僕らは 命に嫌われている」というフレーズも迅さんの自嘲みたいですよね。

 

 「生きる意味なんて見出せず、無駄を自覚して息をする」「寂しいなんて言葉で この傷が表せていいものか」「そんな意地ばかり抱え今日も一人ベッドに眠る」という歌詞も、玲奈が死んで生きている意味を見出せなくなった迅さんの嘆きが込められているようでなりません。

 

 「自分が死んでもどうでもよくて それでも周りに生きて欲しくて」っていうのは迅さんの覚悟そのものですし、「幸福の意味すらわからず、産まれた環境ばかり憎んで 簡単に過去ばかり呪う」というのも持って生まれた未来視に苛まれる迅さんそのものです。

 

 「夢も明日も何もいらない。 君が生きていたならそれでいい」という歌詞も、玲奈さえ生きてくれていたら何も要らなかったのに、という迅さんの葛藤がダイレクトに表現されています。

 

 最後の「それでも僕らは必死に生きて 命を必死に抱えて生きて」「殺してあがいて笑って抱えて」「生きて、生きて、生きて、生きて、生きろ」というのも悲劇を経ても止まれない、迅さんの哀しい決意を象徴しています。

 

 そんな迅さんが、七海によって変わって以降のイメージ曲が、「DAYBREAK FRONTLINE」です。

 

 それまで自縄自縛状態にあった迅さんが、七海のお陰でようやく未来(まえ)を向けるようになり、本当の意味でハッピーエンドを掴む為に動き出す。

 

 「笑えない日々を抜け出そうぜ 君を連れ飛び出した」という歌詞は、そんな迅さんの心情を現しています。

 

 また、この曲はこの「痛みを識るもの」全体のイメージ曲と言っても良く、「夜に腐っていたって僕たちは間違いなく明日に向かっていく」という歌詞は想いで雁字搦めになっていた七海、那須、迅さんが前に向いた事を象徴するような歌詞ですし、「無駄なものは何もないさ 前を向け その方がきっと笑えるさって」というのも苦難を超えて未来へ進む迅さん達の心情をこれでもかと現しています。

 

 最後の「前を向け 終わらないさ 一生僕らは生きて征け」というのも、最終話で描かれた「未来に進む七海達」を表現していて本当にぴったりだと思っています。

 

 大好きなキャラなので長くなりましたが、今回はこのへんで。

 

 次は小南と瑠花ちゃんいこうかな。

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