『小南桐絵』
アライメント/混沌・善
イメージカラー/スカーレット
イメージ曲/アスノヨゾラ哨戒班
ご存じチョロ可愛い先輩、小南。
彼女が本当の意味でこの「痛みを識るもの」でスポットライトが当たったのは、矢張り迅さんの過去回想編からとなります。
それまでも七海のコネクションの一人としてちょくちょく登場していましたが、本格的に存在感を増したのはそこからです。
基本的に小南といえば明るく元気なムードメーカー、的なイメージを抱く方が多いでしょう。
ですが、彼女は旧ボーダーの一員。
即ち、迅さんと同じ「戦争経験者」なのです。
何故あんな幼い頃から彼女が戦場に立つ事になったかについては明かされてはいませんが、戦争に参加した事自体は確実でしょう。
四年前の大規模侵攻でああして姿を晒して「戦力」としてカウントされていた以上、あれが初陣というのは少々考え難いです。
少なくとも小南は自分で「迅よりボーダー歴が長い」と言っているので、この「ボーダー歴」というのが戦闘員としての経歴であると私は判断しています。
加えて小南は何かしらにつけ「実力主義」を強調し、言葉だけでは意味が無いという事を実感として知っているように思います。
なので、基本的にこの世界線では小南は「迅より先にボーダーに在籍し多くの戦場を渡り歩いた」ものとして扱っています。
この世界線は玲奈の存在を始めとして色々差異があるので、もし原作で新たな追加情報が出たとしてもこれは変わりません。
玲奈の存在を起点としてこの世界線は原作とは既に別の世界なので、あっちはあっち、こっちはこっちです。
前にも言ったかもしれませんが、私は二次創作で描く作品の世界とは「原作の世界線に近く、されど決定的な差異のある並行世界」だと考えています。
パラレルワールドというものは些細な切っ掛け、微細な選択の差異によって異なる道筋を歩んだ世界です。
なので、たとえ原作を元とした世界だとしても、この世界線では「七海玲奈と七海玲一」という特異点が存在する為に「全く同じ世界」には成り得ません。
影浦が副作用に起因した突発的な粗暴行為を控えて弟子の指導を行う事も、上層部が迅と最初から通じ合っている事も、原作では有り得ない事です。
どちらも七海玲奈と七海玲一の二名がこの世界に存在しなければ有り得る筈のなかった事象であり、この世界と原作世界が別の世界線である事の証左です。
少なくとも、私はそう断言します。
それが、二次創作というものでしょうから。
さて、という事でこの作品の小南は「戦争経験者」と「旧ボーダー」出身というポイントに着目し、迅に対する複雑な想いについてもフォーカスしました。
たとえば、原作で迅さんが風刃を手放した件について。
あの事について玉狛第一組は特に話題に挙げてはいませんが、内心で色々思う所があったのは事実でしょう。
特に、最上さんを亡くした直後の迅さんを知っているとなれば猶更です。
なので、過去編では迅さんに対する悲しみと怒り、そして思い通りにならない鬱憤と葛藤を存分に描写したつもりです。
玲奈が亡くなった直後の問答で、ある程度小南の立場は明確化したつもりです。
小南は、基本的に迅さんの絶対的な味方です。
これは他の者達のように迅さんの意思を尊重するよりも、迅さん個人の幸せを求めるという意味でです。
玲奈の一件以降、迅さんの時計の針は止まり外側を取り繕って無理やり身体を動かしている状態でした。
それを間近で見ていた小南はそのままではいけないと思いつつも、問答の時に言い返せなかった事が翳りになり一歩を踏み出せませんでした。
三輪に関してもそうですが、小南は迅さんと境遇が近過ぎるので、中々思い切った事を言えなかったのです。
なまじ相手の気持ちが想像出来てしまう分、踏み込むのに躊躇してしまったワケですね。
ですが、そんな小南の堪忍袋の緒も迅さんの七海に対する仕打ちを見て切れました。
七海を応援するどころか必要な事であったとしても突き落とす気満々の迅さんを見てブチキレた小南は、想いの丈を吐露します。
結果として迅さんの痛々しい懺悔を聞いて言葉が詰まってしまい、そこで終わってしまうのですが、実はこの時の小南の糾弾はきちんと彼に届いていました。
迅さん側に受け入れる準備が出来ていなかっただけで、心にはきちんと彼女の言葉が刻まれていたのです。
だからこそ、七海に心の氷を溶かされた後、小南の言葉を受け入れる事が出来たのですから。
実を言うと、小南の過去編及びVS迅さん編の動きについてはほぼアドリブです。
というよりも、あの過去編自体ほぼアドリブに近いです。
最初は過去編についてはある程度省略して出すつもりでしたが、私の中の性癖が「行け」と全力で後押ししたので大幅に加筆した結果があの一章丸々使った過去編です。
思い付きで実行したパート、と言っても過言ではありません。
ですが、結果としてこれで良かったと今なら自信を持って言えます。
この過去編をがっつりやった事で迅さんを始めとした旧ボーダー組のキャラに深みが出ましたし、何より書いてて楽しかったので。
大好きなきのこ構文てんこ盛りの愁嘆場を描くのは、大変筆が乗りました。
小南の動きも、指先の動くまま好きにやらせた結果です。
その過程で迅こな風味に描写が傾きましたが、元々そっち派なのであしからず。
実質幼馴染の戦友という関係性も大好きですし、二人の境遇や性格もとても良い嚙み合わせだと思っています。
また、某王女との絡みも書いてて非常に楽しかったので、やっぱりああいう関係性を描くのが好きなんだなあとしみじみ思いました。
ちなみに、小南の戦闘についてですが「実戦では絶対に
これは何故かというと、小南は原作では緊急脱出どころか被弾シーンも一度たりとも描かれていないからです。
小南の危機回避能力の高さは原作の大規模侵攻でヴィザ翁の星の杖を無意識に警戒していた事からも、かなりのレベルであると分かります。
なので、小南に被弾させるのであれば最低限ヴィザ翁レベルが相手で尚且つ何らかのアクシデントや予想外があった場合、に限りました。
基本的に小南というキャラは、安易に落とさせてはいけないと思っています。
それだけ、「原作で被弾描写がない」という事実は大きいのです。
たとえヴィザ翁が相手だとしても、どうしても逃げられない状況にでもない限りは、小南を落とす描写を差し込むのは違和感を拭えないので相当に巧くやる必要があります。
なので、大規模侵攻で小南を動かす時は「緊急脱出させない」事を念頭に置いて描くのがベターだと思います。
原作で明らかに実力の桁が違うキャラを落とす時は、細心の注意を払う必要があるからです。
私が東さんレイドを描写した時、東春秋という例外枠を落とすという展開の説得力として「那須隊全員と相打ち」というアイディアを採用したように、強キャラというものは撃破の際に格を落とさないように留意するのが必須です。
これをしなければ展開に違和感が出てしまいますし、最悪それだけで面白さが消えてしまいます。
故に、原作の強キャラを撃破させる際には充分以上に気を遣う必要があるのです。
だからこそ、VS迅さん編は那須隊とぶつかる前に散々無双させて、その戦いからヒントを得ていく形で決戦に辿り着かせたのですから。
これは戦闘を含む作品を描く時には必ず気を付ける必要があり、これを怠れば読者が離れても不思議ではありません。
特にワ民は目が肥えている方が多いので、下手な落とし方をすると容赦なく切られる事でしょう。
小南というキャラクターはそれだけの格を持っているのは間違いないので、ワートリ二次創作をやりたいという方は覚えて置いた方が良いです。
そんな小南のアライメントは、混沌・善。
これは迅と同じく戦争を経験したが故に、清濁併せ呑むという事を知っているからです。
彼女はそれを迅さん程徹底してはいませんが、それでも価値観そのものはシビアなのでこの形に。
イメージカラーは、スカーレット。
単純な赤ではなく、くすんだ赤であるあたり明るさの中にシビアな価値観を持つ彼女らしい色であると言えるでしょう。
イメージ曲は、「アスノヨゾラ哨戒班」。
勢いのある曲調は、彼女の外面の明るさを。
歌詞の「そのくせ未来が怖くて 明日を嫌って過去に願って」「もう如何しようも無くなって叫ぶんだ」「明日よ!明日よ!もう来ないでよ!」って」のあたりは、戦争で辛い経験をして塞ぎ込んでいた頃の小南を思い起こさせます。
しかし、そのすぐ後の歌詞で「けどその夜は違ったんだ 君は僕の手を
空へ舞う 世界の彼方 闇を照らす魁星 君と僕もさ、また明日へ向かっていこう」のあたりは、すぐにふんぎりを付けて前を向こうとする彼女のポジティブさを表しています。
「あれから世界は変わったって 本気で思ったって 期待したって変えようとしたって 未来は残酷で それでもいつだって君と見ていた 世界は本当に綺麗だった」の所は、迅さんを変えようとしても変える為の一歩が踏み出せない、彼女の葛藤を。
最後の「未来を少しでも君といたいから叫ぼう 今日の日をいつか思い出せ未来の僕ら」は七海のお陰で時計の針が進んだ迅を見て、手を引いて一緒に歩いて行こうとする彼女の決意を物語っています。
明るさの中に切なさが隠れている、彼女らしい曲と言えるでしょう。
色々語りましたが、最後に一言。
迅こなは良いぞ。
『忍田瑠花』
アライメント/混沌・善
イメージカラー/ヘリオトロープ
イメージ曲/「君の知らない物語」
ジト目系毒舌巨乳プリンセス、忍田瑠花。
彼女は最初、プロットには影も形もありませんでした。
それもその筈で、瑠花が登場したのは連載を行っている真っただ中。
ランク戦を書いているあたりだったと記憶しているので、連載前に組み上げたプロットにいる筈がありません。
ですが、お姫様キャラというファンタジー系世界でなければ扱えないキャラの描写に飢えていた私は、即断で出演を決定しました。
しかしそれでも、過去編にチョイ役として出す程度の予定でした。
だが、彼女は弾けた。
一度出してみると予想以上に書いていて楽しいキャラである事が発覚したので、あれよあれよと出番が増えていき遂には本編の時間軸にまで殴り込んで来る始末です。
お姫様キャラのパワーというものを、正直侮っていました。
しかも彼女の場合亡国のお姫様なので、お姫様キャラにありがちな権威に基づいた己を顧みない傲慢さがなくなっており、傍から見れば偉そうな言動を繰り返しつつも、きちんと人を気遣える優しいプリンセスが生まれたワケです。
原作ではほんの少ししか登場していない分、瑠花に関してはかなり好き勝手書けました。
これもまた、玲奈というキャラを旧ボーダーに組み込んでいたからです。
玲奈の存在により、旧ボーダー内及びその同盟国であるアリステラの人間との関係性は必然的に原作とはある程度異なるものとなります。
なので、原作で追加情報が出ても「この世界は玲奈がいた世界線だから」と言い訳が立つのです。
二次創作世界並行世界理論によって、理論武装は完璧なワケです。
私にとっては完璧なので、それで問題ありません。
さて、肝心の瑠花のキャラですが、基本的に強気の口調でありながら身内の陽太郎は溺愛している情深いキャラなので、過去編では玲奈の死によって痛々しい仮面を身に着けた迅さんを気遣う台詞に終始しています。
彼女は崩壊するアリステラから近界へと亡命したワケですが、これは当然迅さんの予知がなければ成功しなかった事でしょう。
多くの旧ボーダーメンバーが亡くなったアリステラ防衛戦は、恐らく迅さんの予知によって派兵されたのでしょうから。
最終的に相手国を押し返した上で瑠花と陽太郎を脱出させているので、事前に現地入りしていなければ不可能だった筈です。
そして、事前に動く為には迅さんの予知が必須です。
なので、瑠花にとって迅は自分を救ってくれた大恩人に当たるワケです。
それだけで好意的に見ていた筈ですし、迅さんの痛々しい姿を何年も見て来ているので、想いの強さは相応になっている筈だと推測した結果があれです。
まあ、今作では玲奈がいた影響でノーセクハラになった迅さんにセクハラを強制する暴挙を働いたのは筆が乗った結果ですが。
脳内シミュレーションで瑠花ちゃんに「此処どうする?」って聞いたら「胸揉ませると脅します」って返って来たので、即断でゴーサインを出した次第です。
尚、あの時は迅さんの返答次第で本気で実行するつもりだったので紙一重だった模様。
私、毒舌キャラを書くのが大好きというか毒のないヒロインは物足りなく感じるタイプなので、あそこまで筆が乗ったのかもしれません。
ヒロインはちょっとサディスティックな方が魅力的に思える定期。
そんな彼女のアライメントは、混沌・善。
まあ、色んな意味で言わずもがなです。
彼女も色々と辛い経験をして来ているので、現実を知って尚前に進むと決めたが故の属性です。
イメージカラーは、ヘリオトロープ。
灰系統の紫ですね。
現実の残酷さを知るが故のグレー系統と、想いの強さの象徴である紫を合わせた色になります。
灰は迅さんの象徴色でもあるので、そこも意識してあります。
イメージ曲は、「君の知らない物語」。
星をモチーフにした曲は、近界国家の出身らしい彼女に合っています。
加えて、歌詞の「いつからだろう 君の事を追いかける私がいた」「どうかお願い驚かないで聞いてよ私のこの想いを」のあたりは、彼女の秘めたる想いが現れています。
「本当はずっと君の事をどこかでわかっていた」「見つかったって届きはしない」「だめだよ 泣かないで そう言い聞かせた」の歌詞は、時計の針が凍ったままの痛々しい迅さんを見て、具体的な解決策が浮かばずに悶々としていた頃の彼女の心情のようです。
また、「強がる私は臆病で興味がないようなふりをしてた」「だけど胸を刺す痛みは増してく」「ああそうか 好きになるってこういう事なんだね」も、葛藤を抱えながら想いを強める彼女のいじらしさを表しています。
最後の「君の知らない私だけの秘密」「夜を越えて遠い思い出の君が
指をさす 無邪気な声で」は、色々吹っ切れた迅さんを見て色んな意味で決意を固めた瑠花の心情みたいで、彼女にぴったりの曲だと思いました。
改めて、瑠花ちゃんは書いていて本当に楽しいキャラでした。
Afterも描くつもりなので、どうぞお楽しみに。