『七海玲奈』
アライメント/中立・善
イメージカラー/サルビアブルー
イメージ曲/シャルル
主人公七海玲一の亡き姉にして、物語のキーキャラクターでもある少女。
それが、七海玲奈という少女の当初明かされていたパーソナリティです。
最初の方から七海の回想なんかでチラ見せはされていましたが、作中の時間軸では既に故人となっている為本格的に彼女のシーンが描写されたのは当然ながら迅さんの過去回想編です。
当初は彼女の描写はあくまでもさらりとキャラの回想で終わらせる予定でしたが、「やっぱ全部書きたい」と思い立ち、大幅に加筆修正を加えたのがあの「迅悠一回顧録編」です。
それまでの断片的な描写から聖女の如き慈愛に溢れた少女のようなイメージを齎していましたが、これらの描写は迅さんや七海のフィルターがかかっていました。
本当の彼女は、何処にでもいる家族思いの少女に過ぎません。
ただ、持って生まれた力故に極端な利他主義に傾いて無理をしていただけで。
相手の感情が表情として浮かび上がる、彼女の生まれ持った力。
これは、カゲさんの能力とは似て非なるものです。
カゲさんの感情受信体質は、感情を向けられるだけで自動発動する触覚型ですが、彼女の能力は視界を介する迅さんと同じ視認型です。
ですが、生きている以上他者を視界に入れないというのは不可能である為、自動発動とそう変わりありません。
迅さんのものと同じく、能力のオンオフは出来ないので。
自動的に「相手の顔色を伺ってしまう」能力なので、否応なく空気を読めてしまう。
相手の感情が分かるから、向こうの望む言葉を言えてしまう。
それが、玲奈のサイドエフェクトの
正直、カゲさんとは別ベクトルで苦しい能力です。
能力で相手の感情をリアルタイムで把握出来てしまう為に、反射的に相手に気を遣い過ぎてしまうので、常日頃から心労が半端ありません。
なので、常にダウナーな感情を垂れ流していた昔の迅さんとの触れ合いは、同族の匂いを感じてある意味安心出来たのでしょう。
迅さんと同じく、彼女も人生に疲れていた人種ですので。
基本的に周囲の面々の人間が出来ていた事も、彼女が生き難いと感じていた原因でしょう。
自分勝手な人間相手であればある程度あしらう事も出来たでしょうが、玲奈の周囲にいるのは人間的にかなり出来た面々が集まっていました。
なので、自分を気遣ってくれているのを自動で感知してしまい、それが申し訳なくなって笑顔が曇り、それを察した周囲の大人の感情を察知して再び塞ぎ込む、という負の悪循環が発生していました。
城戸さんなどはそれを察していたからこそ、玲奈の弟である七海を今でも気にかけていたのです。
そんな中、ある意味自分の都合ばかりに寄った感情を垂れ流す迅さんとの交流は彼女にとって安らげる時間でした。
自分の都合と言っても迅さんの場合持って生まれた力故のどうしようもないもので、尚且つ彼自身の根は善良です。
なので、玲奈にとっては接していてストレスの少ない相手であったと言えるでしょう。
親交が深いように見えたのも、そういった事情があります。
サイドエフェクトの意味は、
私は、サイドエフェクトを描く時はこの言葉に留意して筆を執っています。
どんなに便利に見える能力だろうと、本人からしてみれば厄介な
副作用持ちの面々を見ていれば、それが良く分かります。
つくづく、葦原先生のセンスには脱帽です。
ちなみに戦闘では役に立たない能力かといえば、そんな事はありません。
相手の感情がリアルタイムで見えるので、向こうに何か策があるのか、それとも本当に追い込まれているのかが一目瞭然なので、彼女相手にブラフは通用しません。
例外は、感情を消して引き金を引ける東さんくらいでしょうか。
カゲさん相手だと相手の感情がお互いリアルタイムで感知出来る同士の戦いなので、単純な技術と心理のぶつかり合いになります。
ただ、もし彼女が本編時間軸まで生き残っていた場合カゲさんとは経験値が段違いなので、玲奈有利になると思われます。
当時忍田さんとバチバチやり合ってた程の腕なので、生半可な相手ではまともな戦闘にすらなりませんので。
戦争経験、というものはそれ程に大きいのです。
こういった玲奈のパーソナリティは、実は書く時にほぼアドリブで決めました。
彼女は当初七海の過去を決定づける悲劇の舞台装置として、「主人公の姉」というパーソナリティを与えた設定だけのキャラに過ぎませんでした。
しかし、いざ過去編で描写すると筆が滑りまくり、此処までのアイデンティティを獲得するに至りました。
本当に、あの過去編はしっかり描いて良かったと今でもしみじみ思います。
玲奈の容姿については、ぶっちゃけ美少女です。
黒髪セミロングの儚げな雰囲気の少女で、ジャンルとしては那須さんのイメージに近いです。
スラリとした長身で、着やせ気味のCカップ。
肌は那須さん程ではないですが白く、和風美人の系譜です。
美形なのでナンパに合う事も多かったですが、相手の下心は普通に見えるので適当にあしらうのも慣れたものでした。
なお、近くにいた旧ボーダーの男性陣が撃退する事の方が多かった模様。
旧ボーダーでは周囲の人間関係を取り持つ事が多く、仲間からは申し訳なく思われつつも感謝されていました。
なので人望も厚く、今でも旧ボーダー出身者は彼女に頭が上がりません。
七海にあそこまで上層部の旧ボーダー組が親身になっていたのも、そのあたりが起因しています。
玲奈の人望が巡り巡って、城戸さん達と迅さんの繋がりを今も尚取り持っている形です。
上層部との関係が原作と同じようであれば、あそこまで万全の準備は出来なかったと思われます。
彼女の存在なくして、あの大規模侵攻を最高の形で乗り越える事は出来なかったでしょう。
そういう意味で、主人公たる七海と双璧を成すこの世界線の特異点と言っても過言ではないどころかそれそのものだと言えます。
兄でも妹でもなく姉なのは、主人公に大きな影響を与え尚且つ悲劇性と英雄性を併せ持つイメージを与え易いのが、姉だからです。
主人公の人生に多大な影響を齎すのであれば、目上である事は必須。
しかし母や父となると、それこそ人生の目標そのものにもしかねないパターンになるので、姉という近くて敬う対象となり易い相手にしたワケです。
まあ、姉にした方が私が色々書き易かった、というのもありますが。
主人公の人生に大きな影響を与えたキーキャラクターである以上、書き易いタイプのキャラにするのは必須ですので。
描写しないワケにはいかないキャラは、自分が書き易いと思う属性を付与すればやり易いです。
そういう好みは、筆の滑り具合にモロに影響しますから。
玲奈のアライメントは、中立・善。
周囲からは秩序属性に見えていたでしょうが、中身は普通の女の子なのでアライメントは中立です。
自分のルールはしっかり守るのは、言わずもがな。
普段は中々ふんぎりが付かないけれど、いざという時は躊躇わないタイプでもあります。
そうでなければ、自分の命を投げ出して弟を救う、なんて事は出来なかったでしょうから。
イメージカラーは、サルビアブルー。
灰系統の、青紫です。
儚げなイメージからグレー、清廉な性格から青、情深い性質から紫。
それぞれの色の特色を備えつつ。色合い的にも彼女のイメージにマッチしたカラーです。
イメージ曲は、「シャルル」。
曲全体の雰囲気もそうですが、歌詞がかなり彼女にピッタリなのです。
たとえば「こうやって理想の縁に心を置き去っていく もういいか」「空っぽでいよう それでいつか」「深い青で満たしたのならどうだろう」は、持って生まれた力に苦しみながら生きていく彼女の葛藤が現れています。
「愛を謳って雲の上 濁りきっては見えないや 嫌 遠く描いていた日々を」の歌詞は、黒トリガーとなって死亡し、黒い棺の中で微睡んでいる彼女の状態を。
「譲り合って何もないな 否」「痛みだって教えて」は、お互いの事を想いながらもすれ違っていた、彼女の迅さんの関係性及び今作のキーワードである「痛み」に関しての言及を。
「許し合って意味もないな 否」「哂い合ってさよなら」は、お互いの真意を理解し、本当の意味で彼女を見送る事が出来た迅さんと玲奈を象徴しています。
紆余屈折ありましたが、書いていて後悔のない、良いキャラクターに仕上がったと思っております。
『影浦雅人』
アライメント/混沌・善
イメージカラー/ビリジアン
イメージ曲/SNOBBISM
今作では主人公の師匠にして兄貴分を務めたキャラ、影浦雅人。
原作とは色々と差異があるようで、実のところ根本は何も変わっていないキャラです。
カゲさんは原作でも言動は粗野ながらも仲間思いで、尚且つ情に熱い面を見せています。
ユズルの気持ちを汲み取って全力で応援してあげたり、遊真への世話の焼き方を見ればそれは明らかです。
そんな彼が、果たして大した理由もなく根付さんを殴ったりするでしょうか。
私は、そうは思いません。
そして、二宮隊の降格と影浦隊の降格が恐らく似通った時期であろう事も鑑みれば、鳩原の件が関係している可能性が高いのではないかと考えました。
なので、今作の影浦さんは鳩原の件に絡む形でアッパー事件を起こした事にしました。
多分、ユズルくんは鳩原の除隊に関して上層部に抗議に行ったと思うんですよね。
ユズルくんの性格なら、それくらいはやるでしょう。
そこでもし、対応したのが根付さんであれば、余計な一言を言ってユズルくんを逆上させてもなんら不思議ではありません。
根付さんは優秀ですしボーダーになくてはならない人材ですが、それはそれとして少々デリカシーに欠ける面がありますから。
そこでユズルに汚点を作るワケにはいかないと思ったカゲさんが代わりに殴った、というのも違和感はないと思います。
まあ、原作では違うかもしれませんが、この世界線ではこういう経緯です。
そこから何もなければ原作と同じく減点にも構わずC級への制裁とかやってたかもしれませんが、そこで七海の弟子入りイベントが発生します。
カゲさんは自分と同じく
その結果として「七海の顔に泥を塗る分けにはいかない」という心理が発生し、色々と自制するようになったのです。
ただでさえ目立ち易い七海に、自分に起因した面倒ごとを押し付けるワケにはいかないと思ったのでしょう。
起動出来ない黒トリガーを所持しているという情報も知る人は知っているので、色々と一杯一杯だった彼に余計な心労をかけるワケにはいかないと考えたワケです。
更に無痛症で普通の料理の味が分からないという事を知り、奮起して七海専用のお好み焼きを作るエピソードは「カゲさんならやるだろう」と即決で決まりました。
自分の出来る事で尚且つ相手が喜ぶ事が分かっているのであれば、やらない理由はありません。
元々世話焼きで飲食店の息子なので、ある意味プライドもあったかもしれません。
美味しいお好み焼き、というものを中々食べた事がないので美味しそうな描写が出来たかは少々自信がありませんが、そこは色々調べながら頑張りました。
なんだかんだでカゲさんのお好み焼き屋は自然にボーダー隊員が集まる場所として便利なので、何度も利用する結果となったのでカゲさんを七海に絡ませたのは英断だったと思います。
最終決戦で七海の背を蹴飛ばす役目も、彼だからこそ出来た事です。
七海の周囲には寄り添い支える人はいても、背中を押すタイプのキャラには乏しいので、その役目を代わりに担った形です。
あそこでカゲさんを出すのは、最初から決めていました。
実は七海と共闘してエネドラを倒すルートも考えていたのですが、そちらは旧太刀川隊に任せようと思い直してあの形になりました。
七海をヴィザ翁にぶつける事は決定事項でしたので、そこで師弟共闘を描く事が決まったのです。
また、VS迅さん編でも七海の本心を引き出し、勝利の為の的確なアドバイスをするなど、要所要所で重要な役目を担いました。
周囲が押しの弱いタイプで固まりがちな七海にとって、カゲさんの存在は貴重なのです。
ROUND3でユズルに那須を狙わせたのも、カゲさんが今はそれが必要と考えたからです。
あそこで隊の歪みを出さなければ、もう後には続かない。
それを実感したからこそ、心を鬼にしてユズルに撃たせたワケです。
楽しみにしていた師弟の戦いを台無しにされた怒りもありましたが、可愛い弟子の為に厳しく対応した、というのがあのシーンの本質です。
その後七海に会いに行くかどうか迷っていましたが、茜ちゃんの活躍を見て「任せていいな」と思い至り七海の立ち直りには関与しない事を決めたのです。
あそこで立ち直る前に会いに行っていれば事態が拗れたので、茜ちゃんは本当にファインプレーでした。
色々と書きましたが、カゲさんの人情味溢れる兄貴分としての姿がきちんと描写出来ていたならば何よりです。
そんなカゲさんのアライメントは、混沌・善。
社会のルールは知ったこっちゃないけど、自分のルールは絶対曲げないタイプです。
見た目や言動は不良系でも世話焼きなタイプのキャラって、結構好きなんですよね。
イメージカラーは、ビリジアン。
鮮やかな緑系の色で、野性味と春の森のような大らかさを併せ持つ、カゲさんらしい色合いだと思います。
カーキ色も考えましたが、今作のカゲさんはこちら側かなと。
イメージ曲は、「SNOBBISM」。
「あれこれ吐いてばら撒かないと寝られやしない」「やり切れない血反吐をたんとぶちまけないと釈然としない」の歌詞は、
サビの「さあ、喧嘩しようぜ 喧嘩しようぜ」「インプレッション次第でミサイルをぶっ放して」「さあ、喧嘩しようぜ 喧嘩しようぜ」「正当性なんて後でテープでくっ付けろ」は、カゲさんの前向きな思い切りの良さと、正当性なんてものは後から付いて来る、みたいな割り切りが現れています。
「一体どうして 未来図ってマニュアル本には 最重要な術の導線設計がなされてないんだよ」「だから人は野蛮な凶器を振るうし それは至極当然の道理」もまた、サイドエフェクトの不条理によって苦しむカゲさんの心の痛みが伝わって来るようです。
「さあ、喧嘩しようぜ 喧嘩しようぜ」「一切合切をかなぐり捨てて行こうぜ」は、最終決戦に臨む時のカゲさんの覚悟のようでいて、とても似合っています。
歌詞も雰囲気もカゲさんに合っていて、ピタリとハマる曲と言えます。
取り敢えず、これである程度語りたいキャラは語りましたかね。
香取は次回作のメイン級になるので、今回は語らない事にしようかと思います。
気分次第で追加するかもしれませんが、次はAfterの方を追加しようかなと思います。
小南に瑠花にカゲさんにと、まだ書いてないキャラは結構いるので。
カゲさんは次回作では今作ほど出番は多くないと思いますが、それでも今作のノウハウを活かして描いていきたいと思います。
それでは、また。