ライブラ秘書嬢の異世界渡航   作:一星

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※スコッチさんの本名バレあります。ご注意を。


陽溜まる幽霊

 

 重苦しい曇天だったのが、廃ビルを出た時には霧雨に天気が変わっていた。此処がロンドンなら傘をさす必要すら感じないだろうほどの細かな雨の中、足早に進む彼女の背を見つめる。うっすらと霧が立ち込める灰色の街の中、黒塗りの、厳つい顔の男が乗った車がやたらとすぐそばを通り過ぎるが、そのどれもが堂々と歩道を歩く俺には目も留めず、俺たちがさっきまでいた方向に消えていく。

 

「……よくわからんが、凄い能力だな」

 

 ぽつりと呟いた俺に、胡乱げな視線が前からちらりと寄越される。少し歩く速度を落とした彼女と半歩差の距離感で並び歩く。

 俺の死亡偽装工作をするからと残ったライと別れた後、近くに車を停めているとばかり思っていた俺は、少し歩くと言った彼女に仰天した。もう数キロ圏内に迫る追っ手の目を、徒歩でどうやって掻い潜ろうというのか。危なすぎる橋にさすがに苦言を呈そうとした俺に、黙って彼女が小さな四角形の手鏡を向けた。

 

 丁度、俺が鏡の中の平凡な見た目の男(映っているはずの自分)と目を合わせるような角度で。

 

 それは何よりも雄弁な答えで、実際に窓や古びたショーウインドウにも、自分とは似ても似つかない顔の男が不安げな顔をしているのが映るのだから、もう訳がわからん。突如目の前に垂れた蜘蛛の糸に半ばヤケクソで縋ったは良いが、既に前途多難な気配をひしひしと感じる。

 

「……後できちんと説明するよ」

「良いのか? こういう特殊技能はマジックと一緒でタネを隠してなんぼのもんだろ?」

「内容を話したところで、真似できるような代物じゃないから構わない。それに、さっきの反応を見る限り貴方は“牙狩り”に関してはあまり詳しくなさそうだし」

「はは……スマン、教えてくれると助かる」

「それも後で。往来で気軽にしていい話じゃないからね。とりあえず、私を中心とした一定距離範囲内に居る人間、ありとあらゆる光学機器の類から君の姿が別の人間に見えるように歪ませて錯覚させていると思っていてくれればいいかな」

「さらりととんでもないことを言ってないか? ……ありがたいけどな」

 

 あのライが「彼女に任せれば、たとえ組織の追っ手だろうと逃げおおせるのは容易だ」と太鼓判を押した意味がようやく分かった。なんだそのフィクションみたいなチート技。

 黒の組織の図抜けた科学力でも実現できなさそうな、アリバイの存在意義に真っ向から反抗する、完全犯罪を可能にしてしまいそうな……いや、その気になれば成し遂げることも可能な能力に眩暈がする。

 俄かには信じがたいが、組織の人間らしき車が堂々と歩く俺の真横を素通りしているのと、視認出来る限りのモノに映る自分の姿を見ていると、信じるしかないというか、なんというか。さっきの「霧で誤魔化すにも限界がある」という言葉から推察するには、この季節外れの霧によっておおよそ日本とは思えない様相を呈している街も彼女の術中なのかもしれないと思うと、とんでもない人間に目を付けられたとひやりとする。今は(多分)味方でいてくれているからいいが、うん、怒らせないようにしよう。組織の追っ手より手強く、全然逃げ切れる気がしない。

 

「……ちなみに、一定範囲内ってのは?」

「800ヤード」

 

 なるほど、狙撃も不可能、と。

 

 

 

 

 その後、何の妨害もなく街を出て、辿り着いたのはこの日本の中枢・霞が関。日本警察との関係強化に向かうと言っていた彼女の言葉通り、彼女の後を追って着いた先は俺の所属でもある警視庁本部庁舎だった(実質日本警察トップの官房長とは交渉済みらしかった)。

 アポイントは勿論取っていたらしく、冴えない男に扮したままの俺も含めてあっさりと応接室に通され、ほどなくして白馬警視総監が現れた。たっぷりと蓄えた口髭と人の良さそうな顔の白馬警視総監と、かたや20半ばに届くかといった若いクリスティアナの絵面は違和感バリバリだったが、二人の話し合いは終始和やかだった。……内容は全く和やかじゃないが。

 

 

 世界の安寧を護る鍵と言ってもいい秘密結社が交渉役に選んだのがこの年若い女性だということを、俺はその場で身を以て知った。これでも組織の幹部に登り詰めるために、交渉の手管は潜入前にみっちりと仕込まれた。表でも通じるビジネスマン的な交渉術だけにとどまらず、脅し、恐喝などのあくどい方面も。

 だが彼女は若くとも一流の交渉人だった。端的に言えば、契約以上の要求を飲まされたが、それを上回るほどの利益を得る結果になった、といったところか。

 

 警視庁とライブラの基本契約はヘルサレムズ・ロット入りした日本の非合法組織に関する情報提供・共有だ。彼女はその上に「異界産の武器・薬品・生体兵器・動植物など勝手な持ち出しを条約で禁じているモノをヘルサレムズ・ロットの外に持ち出そうとする、あるいは世界崩壊に繋がる悪事の実行・企画・幇助など、世界に多大な影響を及ぼす行動を取った日本国民の捕縛・討伐」を上乗せした。

 それだけでなく、彼女の補佐役もどきとして隣で大人しく座っているだけになっていた俺の幻術を解いて、NOCとバレて現在死に物狂いで逃走中のはずの俺の一時的な引き入れの申し入れも追加だ。あの時の警視総監の驚きっぷりといったらない。

 

 こうやって並び立ててみれば、中々に無茶苦茶な要求だ。だが、俺を組織から匿い、事が終わるまでは一時的に彼女の部下(人質)になる代わりに、俺を通じて世界でも五指に入る情報網を得られるとなれば首を縦に振らざるを得ないだろう。世界のどの警察・国家諜報機関よりも先んじた情報を得られるチャンスがぶら下がっていると聞いて、断る馬鹿は居ない。加えて、俺がNOCだとバレる遠因になったという、日本警察内に潜む内部工作員と、警察庁と警視庁でもめ事を起こして、工作員に俺のことをゲロった奴の名前が載ったリストをトドメに譲渡され、交渉は無事(?)終了した。

 

 

「元々日本警察に渡すアメはあの工作員リストだったんだよ」と彼女は言う。確かに俺が自殺したり組織に殺されたりといった勧誘失敗時でも十分に効力を持つアメだ。結果的にはあの要求を飲ませるトドメになったわけだが、確かに俺という存在を抜いたとしても、交渉を成立させうるだけの価値がある。

 日本警察としては、非合法組織員であったり犯罪者であっても、立場的にも心情的にもライブラに討伐を許可したくはないところだが、野放しにすればどれほどの被害を叩き出すかを懇切丁寧に説かれれば頷かざるを得ない。ここ最近黒の組織も含めて犯罪係数が上昇しつつある日本に、これ以上厄介な火種を持ち込ませるわけにはいかないのだ。

 

 この若さで、確実に相手に要求を呑ませる材料を揃え、巧みな話術で誘導する手腕には恐れ入った。流石は境界都市の調停者だ。恨みを買わず、お互いに実利のあるものにすることで、相手に裏切るという選択肢を最初から失くさせる交渉術。

 彼女の思い通りに事は進んでしまったが、かといって彼女を排せば組織全体に大きな取り返しのつかない損失を被るとなれば、戦う前に戦意を喪失させるようなものだ。強硬に見せかけて、政治家ばりの交渉手腕。

 

 警視庁の後はもうひとつのゼロ、公安警察のひとつである法務省直下の公安調査庁(通称公調)などの機関にも出向き、関係締結が全て終わる頃には、すっかり日が暮れていた。

 東都のとある高級老舗ホテルのハイクラスの一室に到着した瞬間、精神的な緊張が解けてどっと疲労が押し寄せてきた。生きるか死ぬかという状況から、NOCという常に気を張っていなきゃならない状況下から脱せたからかもしれない。それでも長年の習慣で室内に盗聴器や隠しカメラが無いか確認していると、スーツのジャケットを脱いでハンガーに掛けていたクリスが苦笑した。

 

 

「ここは牙狩りの息の掛かったホテルだからね、防犯性は保証するよ」

「そうなのか……というか、牙狩りって組織はそんなに顔が広いのか」

「歴史が長いからね」

 

 そう前置きして、クリスは牙狩りについて語ってくれた。曰く、吸血鬼は空想の怪物ではなく、現代にも潜む現象だと。驚異的な再生能力を持つ不死者であり、その姿は光学機器では捉えられない。人間の生き血を糧とし、血を吸われた人間は屍喰らい(グール)となる。それを狩るための血を持つ人間が集まったのが牙狩りというヴァンパイアハンターの組織で、ライブラはその下部組織に当たるらしい。何で本職から離れたことをわざわざしているのかといえば、それはかの境界都市に空いている異界と繋がる穴の向こうには吸血鬼が住まい、その穴を通じてこちらに侵攻してくる可能性が高いから、ということだった。

 あらゆる物理的な攻撃が効かないというトンデモ存在に対し、牙狩りが持つ攻撃手段について尋ねると、クリスは軽く靴底で床をタップした。瞬間、キィンと音を立てて真っ青な氷柱が部屋のど真ん中に出現する。

 

「な……」

「私たち牙狩りは属性を持つ血液を用いた技──血法を行使する。吸血鬼の細胞にナノレベルで侵食・破壊する血液で攻撃・防御をすることで、本来ダメージを負わない吸血鬼にやっとまともな手傷を負わせられる。私はちょっと例外で、水や氷、風といった複数属性が操作できるけれど……基本的には人間が持つ血液は一属性と決まっている」

 

 彼女が不意に左手を握りこむ仕草をした。途端、中指に嵌めた銀色の指輪から真っ赤な液体がブワッと空気中に広がる。何事かと目を瞠る俺の目の前で、赤い液体は彼女のブルーのシャツもスラックスも汚すことなく、そのとろりと赤い帯を細い手のような形に変え、少し離れたところにあるグラス二つと、備え付けの冷蔵庫からペリエの入った小さな瓶を抱えて戻ってきた。手慣れた手つきで瓶の王冠を外して、グラスに注いでくれた水を貰い、半ば茫然としながら口にする。毒の気配など無く、ただの炭酸水だった。

 

「昼間の霧や幻術も、その血法? ってやつなのか」

Exthactry(その通り)

 

 ふわふわの絨毯の上に突如生えた、水色を塗ったかのような真っ青な氷柱はあまりにミスマッチだが、幻の類ではなく、それははっきりと冷気を漂わせている。改めて今の状況に冷や汗が出てくる。俺は、武器や自分の拳を使わずとも人を簡単に殺められる力を持つ組織の虎口に飛び込んじまったのだと。

 だが──今も組織に潜入している優秀な幼馴染の事を思えば、泣き言なんていっていられない。あいつはきっと、ライや噂づてに俺が死んだと聞くだろう。ボロを出すような下手は打たないだろうが、ひどく心を痛めそうで心配だ。折角命拾いした命だ、早く情報を集めて組織を一網打尽にしなければ。

 

「ま、貴方の新しい身分証が届くまでの数日は日本で地盤作りをするけれど……HLに渡ってすぐには仕事は回さない。しばらくはあっちの雰囲気に慣れてもらうので、よろしく」

「えっ」

 

 思わず驚きの声を上げた俺に、貴方を侮っているわけじゃないけれど、と呟いたクリスは長く長く、細い溜め息をついた。ジャケットを脱いでラフな格好になったスタイルの良い美女の、愁いの籠った溜息を吐くさまは非常に絵になる。

 

「あの街はテレビが報道している内容よりずっと危険だ。慣れていないとちょっとした無知やうっかりなんていうスナック感覚で簡単に死ぬ。危険度で言えば、黒の組織のやっていることなんて児戯に見えるレベルの、簡単に世界が滅びかねない存在や陰謀が渦巻いている場所だ。

 強すぎる正義感は身を滅ぼす、気の緩みは取り返しのつかない厄ネタを引き寄せるだろう。何かと人間界からかけ離れた場所だ、HLに関する基礎知識・常識の類を頭と体に叩き込んで慣らしてからじゃなきゃ、長くは持たないよ。優秀な人材をみすみす死なせるつもりはないし、貴方だって拾った命を捨てたくはないはずだ」

「そうか……分かった、よろしく頼む」

 

「慣らす、といってもそんなに構えることはないけどね。ウチの構成員と組んで、観光案内も兼ねたレクチャーをうけつつ、普通の人間として生活してもらうだけ。それが済んで、貴方が本当に世界の為に動ける人間と信用出来たら──ライブラの生命線、数億ゼーロの価値を持つ情報網の一部を解禁しよう」

「一部?」

「貴方が望む情報を吸い上げられる部分だけで充分でしょう? ライブラの情報網はあまりに広い。あまりに広すぎて──その全貌を把握するのが難しいほどに。リーダーだけ、副官だけ、私だけが知っている、それぞれが独自に保有する情報ルートも存在する。必要以上に手を出せば、やたら時間を浪費するだけでなく──組織が壊滅した後、貴方を公安に返せなくなってしまう」

「知りすぎて、というやつか……」

「そう。私の情報網の一端に触れるだけでも、貴方の脳にも億の価値が付く。ライブラに入る事、その情報網を扱うことは、多大なリスクが付き纏うことになるのと同義だから」

 

 煌びやかすぎない照明の光を反射させて、血の色にも見える蘇芳の瞳が鋭く細められた。とはいってもそれは一瞬で、すぐさま溜息と共に閉じられた。

 

「現地に飛んでもいないのに脅すのはほどほどにしようか。緩みすぎも構えすぎも良くないし」

「ああ……」

「これから驚きすぎで身が持たないくらいの世界に飛び込むなら、せめて今ぐらいは、ちょっとした休暇だと思ってゆっくりしてほしい。あの組織でコードネーム持ちとなれば、相当な負荷が掛かっていただろうし」

 

 そうやって微笑む彼女は、裏社会に属する人間とは思えないほど、とても穏やかな顔をしていた。声音から、心から自分を労わってくれているのだと分かる。四六始終気を張らなければならなかった組織では得られなかった、人の暖かさだった。

 ───ああ、そうだ。俺はまだ、彼女に何も返せていない。

 

「──ありがとう。本当に」

 

 あの場所に現れてくれて。死ぬか行方をくらますかしかなかった俺に、選択肢を与えてくれて。

 多分彼女が現れなければ、もっと早く追っ手が到着していただろう。そうなれば、同じNOCだと知ったライに疑いが向くのを避けるために、同じ公安警察で幼馴染のバーボンにも魔の手が忍び寄らないように、唯一自分の素性を知る手掛かりになる携帯ごと撃ち抜いて自殺していただろうから。それがたとえ打算によるものだとしても。

 

「俺を助けてくれて、ありがとう」

 

 それでも、今俺はここで生きている。それを可能にしてくれたのは、他ならぬ彼女だ。

 なんだかんだで言えていなかった感謝の言葉を伝えて、しっかり下げていた頭を上げた俺の目に映ったのは、目を丸くして、ぽかんと口を半開きにした彼女だった。凛とした表情しか見たことが無かっただけに、少し間の抜けた表情は、ああ年下の女の子だもんなと当たり前のはずの事実を思い出させた。

 ぱちぱち、と長い睫毛をはためかせて瞬きを繰り返した彼女は、数秒の空白を置いて、どういたしまして、と少しだけ眉を下げて笑った。困り笑いにも似たその表情は、作り物めいた綺麗すぎる顔を人間味があると感じさせるものだった。どうしてそんな表情をしたのか聞いてみたい気持ちもあったが、声に出す前に差し出された白い手に意識が逸れた。

 

「そういえば、まともに自己紹介をしてなかったと思って。私はクリスティアナ・I・スターフェイズ。秘密結社ライブラの経理と渉外担当です。よろしく」

「ああ! 俺は諸伏景光だ。これからよろしく頼む、クリス」

 

 差し出された白い手を握り返し、互いに笑いあった。

 これが、俺が日本の安寧を守る警察官から、世界の均衡を護るライブラの構成員になる、その始まりの話だ。組織よりも危険で刺激的な毎日への、その序章に過ぎない──最初の一歩だった。

 そして俺は、遠くない日に、彼女のあの困り笑いの意味も知ることになるのだが──今の俺には、そんな事知る由もなかった。

 

 




 入りきらなかったり余談が多い後書きと補足

 23歳秘書嬢「わぁー、すごい買い被られてる~」


 赤井さんの予想は半分当たってるけど色々勘違いが混ざっている。切れ者の目には秘書嬢は怪物じみて映るそうです。最初にうっかりグールとエンカウントして共闘した時に、悪い子はまとめて氷漬けの印象が強すぎて超人越えて怪物扱いだよ、やったね秘書嬢! 

 赤井さんの「前科」とは、世界トップクラスの情報網を味方につけようと画策したFBIの指示を受けた赤井さんがハニトラを仕掛けようとしたが、血液と体質の性質上、全く酔わない秘書嬢に酒の席で見事に返り討ちされただけでなく、丁重にモーテルに送り届けられるという男の面目丸つぶれの一件のこと。モーテルのベッドに丁寧に寝かせて、その端に腰掛けながら、薄暗がりでも見える濃い隈を見ながら物憂げにクリスに「……ダメな男ね」と細く白い息を吐いてほしい。

 赤い彗星「驚くほどに何もなかった」

 この一件以降、赤井さんに気に入られ、有事に頼りになる相棒認定される。なんでさ。クリスからすると目的の為なら女を食い物にすることを躊躇わない、女の扱いもなってないダメ男(身内に似たような人物がいるのも相まって)認定なのであっさり塩対応。とりあえず一回は名前を見た瞬間に電話を切るなど彼女らしくないお茶目行動がつい出てくる。二人の間ではある意味定型文と化したやりとりなので何事もなかったかのように平然と赤井さんも掛け直してくる。スティーブンとK・Kのような、対等で容赦なくたしなめる間柄。
 クリスもダメ男とは事あるごとに口にするが、ただのDisではなく義兄(スティーブン)とどこか似ているからこその「ほっとけない人ね」という意味でもある。ちなみにFBIと面識があるのはクリスとクラウスのみのため、赤井さんとスティーブンは直接の面識がない(が、赤井さんは自分と誰かを時折重ねて見ているようなのは気付いている)。
 お互いの頭脳や技術、優秀さは認めて合っているが、あまり反りは合っていない凸凹コンビ。でも推理能力や観察眼、普段の行動を元にした分析能力などはそっくりなので脳味噌は通じ合っている。この二人が同じ作戦のブリーフィングに参加すると意味深な単語だけで分かり合って仔細まで詰めずとも息ピッタリで動ける(クリスを始めライブラ・牙狩りの面々は打ち合わせ無しの同時行動は普段から慣れているが)ので、FBIからは「あの赤井も認める相棒」という認識。このネタで事あるごとにクリスを勧誘がてらからかうので赤井さんもたちが悪い。
 だからFBIに転職する気はさらさら無いって言ってんだろビュロウの黒犬(シェパード)


『欧州の思考の怪物」『霧の女(ミストレス)』『平成のモリアーティ』
 各調査機関など表裏の世界での呼び名。切れ者揃いの大富豪・政治家・警察・諜報機関の人間を同時に相手取り、一説では情報戦におけるパワーバランスの要の一つを握るとも言われる(※この時点では元々広げ始めていた人脈を本格的に動かしはじめて半年なので、周囲による盛大な深読みしすぎからの勘違い&買い被り)。それでいて行方を全く掴ませない、尾行泣かせの女である。

 縁故社会である裏社会に巨大な人脈と情報網を張り巡らせており、高名な情報屋であればあるほど彼女についての情報はたとえ知っていたとしても絶対に売りたがらないほどの影響力を持つ(※バレたら後ろからサックリ殺しにきそうだから)。どの組織・機関からも勧誘を受け、諸手を広げて迎え入れられるほどのビッグネーム。黄金に勝る億の価値を持つ脳の持ち主。

 蜘蛛糸の如く広げ、全体像の全く見えない情報網の広さや、時折各警察機関が喉から手が出るほど欲しい重要な情報をぶらつかせ各機関を懐柔、ライブラ設立後はその職務ゆえに人間世界の法を外れた粛清の仕方を認めさせる交渉手腕を、彼女の敵が嫉妬と皮肉を込めて賞した俗称が「平成のモリアーティ」である。誰が悪のナポレオンか。
 元々優秀な頭脳の持ち主だが、人体実験で脳の未使用部分を叩き起こされるほどの拷問を受けた影響で、高速思考と収集した情報に基づく千里眼じみた未来予測を行う。これでも純粋なIQではクラウスやスティーブンには負けるが、彼女の場合は情報戦に特化した頭脳と言える。映像記憶保有者。


 赤井と出会う数年前、北米支部に出向していた折、K・Kのバイクに同乗していたら自殺しようとしていたギフテッドのヒロキ・サワダを偶然発見、血法でキャッチ。心身共に疲労困憊していた彼を保護した。もちろん二人で某ITの帝王にガチギレした。世界最高と謳われる人工頭脳「ノアズ・アーク」を味方に保有しており、有事の際はノアズアークの助けを借りている。ドン・アルルエルの所に赴く際は、彼女とノアズアークの頭脳を以てしても深く潜りすぎて探知できない情報を得るための「最終手段」である。
 ヒロキ君は同じく嬢に助けられた成実先生とのんびり島暮らししている(たまに離婚して離れ離れになった父親が会いに来る)。二人とも嬢の助けになりたいとHLに来ようとしたが、血腥い世界に来なくていいと嬢とK・K二人に説得され、有事の時のみの助っ人として日本からライブラに助力している。遊びに来た成実先生とルシアナ先生は一目で意気投合した。
 ウイスキートリオと酒を飲みながら、もしクリスが潜入したらという話になったら、コードネームは「サングリア」「ローザ」もしくは「サイレント」だろうなぁという与太話がある。
 スペイン語でsangríaは「出血」「瀉血」「流出」などの意味を持つ。ローザはワインベースにジンジャーエールを混ぜたカクテル「ローザ・ロッソ」と牙狩りから揶揄と畏怖を込めて呼ばれている「エスメラルダの氷の薔薇(フローズ)」をかけて。サイレントはブランデーの代わりにスコッチを使用したサイドカー「サイレント・サード」より。こちらは霧の女、エスメラルダが静寂を生むことから。蛇足。


 スコッチ逃亡の為に使用した技……水晶宮式血濤道「逃水」
 既に降って街に満ち満ちていた霧雨と水気を利用し、広範囲に血液を拡散させ自分の戦闘領域をあらかじめ確保していた。予想通りスコッチが逃げてきたのを確認し、ライ以外の追っ手の方向感覚を狂わせる指向性の霧の結界を廃ビル周囲に展開。追っ手を攪乱し、勧誘のための時間稼ぎを行った。
 本来「逃水」は空気の温度差を意図的に生み出し光の屈折率を変え、目の錯覚を起こし認識を阻害する技だが、感覚を惑わすという点において幻術と非常に相性が良く、幻術で投射した幻を逃水の幻惑効果で「そこに正しくあるもの」として視覚に誤認させている。逃水はクリスの血法の中でも特に精密制御を要求される技であるため、本来は800ヤードもの効果範囲は持たない。今回は事前に降っていた霧雨によって街に水気が満ちていたという好条件の中、濡れた地面に染み込ませた血を媒介に広範囲の索敵をすでに行っていたため行えた。


 スコッチの感謝の言葉に対してキョトンとしてしまった理由は、「初めて救けたことに感謝されたから」。牙狩り任務では吸血鬼の特性上(日光下にいられないため恐らく自由に動けるのはHL成立前だと地下や人里離れた森、屋内に限定されそう)一般人が居合わせても大抵グール化してて手遅ればっかり、HLに渡ってからは組織を潰したり襲い掛かってきた敵を倒したり殺したりばっかりで、仲間以外の一般人に心から感謝されたことはなさそうだなと……。
 ホームパーティ回のスティーブンのようなキョトン顔をしながら、「あ、私今回初めて誰かの命を救ったのか……」と自分の生い立ち含めじわじわ感動していた。完全に人命救助だという意識が無かった。スターフェイズ兄妹にとって何かしらの切っ掛けで知り合い、情が沸いて初めて「助けよう」という意識になっていそう。そうでもないと役職的に心がもたない。

 困り笑顔の意味をスコッチさんが知るのは、HLに慣れてPC技術やらハッキングに対する対処その他諸々を身に付け、ライブラの機密情報を少しずつ知っていく段階でのこと。捜査官としての勘の良さで、スティーブンやクリスが組織内の自浄装置としても動いているのを悟りそう……。KK同様、そうかもしれないと思いながらも直接聞いたり怒ったりはせずに、やりすぎたら諌める気持ちで傍にいてひっそり支えてくれそう。

 その他、HLに渡ってヒラ構成員と生活しながらスナイパーとしてKKと遠くからの援護で動いたり、異界のトンデモ武器を見てパトリックの武器屋で驚いたりキラキラ目を輝かせたり、組織からの監視が解けた安室さんに実は生きてましたというカミングアウト回やら色々考えていましたがとりあえずここまで。
 スコッチさんは果たして全部終わった後無事に公安に帰れるのか。


 ちなみにコナンはアニメしか観ていないクチです……映画は古い方は結構見てますが最近のはぼちぼちです。純黒と執行人は観ました。最近のコナンも見れてないので色々間違っていたらすまない……。

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