あと自殺関連の件から公安に対して不信感が強いので公安抜けたいと思ってる系スコッチさんなので注意。
合わないと思ったら黙ってブラウザバックで自衛よろしくお願い致します。
※スコッチさんの本名バレがあります。
偽名は
自殺阻止された後、主人公(秘密結社ナンバースリー、経理と渉外担当)と一緒に交渉についていったりスナイプするお仕事をしながら、対価に主人公の情報網を使って組織の情報を集めることを条件に公安から一時的に秘密結社に異動している設定。
──死なれては困るわ
もう逃げ場が天国にしかないと覚悟してリボルバーを握ったあの日、引き金に掛けた指を解かせたのは、唐突に割り込んだ声だった。薄暗い廃ビルの中、ネオンのささやかな光の中で浮かび上がる白磁の横顔はあまりに美しすぎて、いっそこわいほどで。血の色をした目でじっと見つめられた瞬間に、ライの目を盗んで引き金を引かなければと焦っていた俺の頭は真っ白になった。それを確認した後、自分に付いてくるかどうか、選択肢を与えてくるのだから抜け目がなかった。
──組織と公安が貴方を捨てるなら、その心臓は私が貰い受けましょう。貴方は死ぬには惜しい。
人智を超えた技術で組織の目と追っ手を躱し、警視総監とクリスが話をつけている最中もどこか現実感が無くて、ホテルで盗聴器も隠しカメラもない安全地帯だと意識した瞬間、張り詰めていた糸がプツンと切れた。彼女もそれを察してくれたのか、ソファーで今後の事をゆっくり話してくれた。
組織が壊滅して身の危険がなくなるまでの間、身の安全とライブラでの情報収集を対価に公安から出向という形で、裏社会に密かに噂される秘密結社・ライブラに所属が決まって、助けてもらった礼を言って握手を交わして。色々会話をしながらルームサービスで腹を満たしたら、それまでの緊張感の反動か、いつの間にか寝入っていたらしい。次に目を覚ますと翌日の朝で、しかも自分がマスターベッドルームで一人寝かされていることに気付いた時、茫然とした。
流石老舗ホテルのスイートルーム、ベッドの寝心地は最高で、久々にぐっすり眠れて身体はすこぶる快調だった。スナイパーで、ライフルを持ち運ぶのに、フェイクのために本当のギターも入れたギターケースを背負って移動となるとかなりの重さになる。ただでさえライフルと予備のマガジンや手入れ用の工具だけでも合わせたら5キロは軽く超える。そしてギターケース自体とフェイクのギターも合わせればかなりの重さになる。だから慢性的にあった肩こりさえ嘘のように消えていたのには驚きを隠せなかった(後で知ることになるが、俺の血液に干渉して血流の流れを良くして疲労回復促進をしていたらしい)。そしてなにより、本来このベッドを使うはずだった人間を差し置いて寝ている事態に慌てない訳がなかった。
慌てて寝室を出れば、リビングのソファーでパソコンと向き合いながら書類仕事をこなしている恩人がいて。昨日は掛けていなかったPCメガネをかけ、パソコンの傍らに処理済みらしい書類の山と、俺の今後に必要な手続きに必要な書類を終わらせていて。それを見て、俺がぐっすり休めるよう、万が一組織の追っ手が届かないか警戒して徹夜してくれていたのだと気づいたら、かすかに残っていた疑念や警戒心は消えた。
それからライブラの仕事を通してクリスティアナという一人の人間を見ていく中で、仲間にさえ畏れられる切れ者ぶり、冷徹さに身震いした。
でもそれ以上に、彼女はさみしいほどに独りぼっちで、俺よりも4つも年下の女の子が懸命に生き足掻いているのだと知った。頭のキレも冷徹さも仲間を守るために必要なライブラの負の側面で、それを繊細なクラウスの代わりに、スターフェイズ兄妹が背負っているだけのことだと、彼らもクラウスと同じくらい優しくて、ただただ感情を隠すのが器用で得意なだけなのだと悟った。
そんな姿が幼馴染と重なった。責任感が強くて周りへの気配りが上手で、仕事も料理もそつなくこなすハイスペックで、だからこそ一人で抱え込んで、弱いところを隠して。どうして放っておけるだろう。
最初は、ただ命を救ってくれた恩返しがしたかっただけだった。でも段々と彼女が背負っている重荷を減らせればという一心で、クリスの書類仕事を俺に出来る範囲で手伝ったり、仕事の前の必要な武器や物資の調達やらの準備、スティーブンからの「おつかい」を自主的にこなすようになった。そのうちにいつしか「クリスの補佐」という認識が構成員の中で広まっていて、クリスの仕事には殆ど俺がバックアップに就くことになったりと、セット扱いされるようになった。
たとえこの思いが吊り橋効果だとしても、一時的なものだと揶揄されても。恩と尊敬が恋愛感情にすり替わったものだと指差されても。俺はいつしか、クリスティアナの事が好きになっていた。
**
「な~クリス、心遣いは嬉しいんだけどさ」
「この生地はしっくりこないな……肩幅が日本人にしては大きいから、あまり厚地だと膨らんで、余計ずんぐりして見えるのかしら。ミスタ、次はあそこの棚のミッドナイトブルーの生地を」
「畏まりました」
「話を聞いてくれクリス、檜山の顔に似合うのを作るのは分かる、でも素顔の俺の分までオーダーメイドで作ることないぞ!? ホントに!」
「い、や、だ」
「クリス~~~」
ドイツはベルリンのとあるテーラー。ドイツで公爵家の爵位勲を持つラインヘルツ御用達のその場所で、仁王立ちするクリスは真剣にとっかえひっかえスーツ生地を肩口に宛がわれてすっかり困り顔のスコッチを睨むような鋭さで見つめた。
「檜山用は仕事用。でも折角男前なんだから、良いスーツのひとつ持っていて損は無いと思うの」
「お、男前……」
顔を褒められて照れたような表情をしたスコッチだが、すぐにへにょりと太めの眉が垂れた。
「檜山のは
「ちっとも不相応じゃない。むしろ貴方はもっと着飾ることに頓着して。勿体ないったらないわ、顔もスタイルも素敵なんだから。日頃何かとお世話になってるお礼。受け取ってくれないなら仕立てても無駄になってしまうことになるけど」
「~~~~~っ、ああもう、分かった……」
天然褒め殺しか、これだからラテンは怖いとスコッチは頭を抱えた。
スコッチ、諸伏景光がクリスティアナの補佐として動くことに決まった時点で、スーツのオーダーは必然的だった。クリスティアナが担うのはライブラの人脈と経理。世界有数の富豪や政財界の大物と会う回数は多い。その時、傍に控える以上はクリスの顔を立てるためにも、相応の服装が暗黙のドレスコードとして求められる。それは理解していたが、まさか誰かに着飾っているのを見せる必要のない諸伏景光の素顔に似合うものまで仕立てようとするのは予想外だった。
「……というわけなんだ、スティーブン」
『なんだ、良かったじゃないか』
「どこが……いや嬉しいけどな、“檜山”より俺のスーツのほうが真剣に選んでもらえてるってのも光栄だけど……身に余るっていうか」
『ヒロ、連れてかれたテーラーは?』
「え? ○○ってとこだが」
『ならなおさらだ、そのテーラーはラインヘルツ家筆頭に牙狩りや高級官僚を相手に商売してる、オーダーメイドは
「……っ!」
『スーツも既製品じゃ物足りないから、わざわざ手間暇かけて絶対似合うのを作ろうとしてると思ったら、可愛いだろう?』
「おう……」
背筋の伸びた初老のテーラーと話し込んでいたクリスが視線に気づいて振り返る。ほわりと小さく笑んだクリスに、景光は火照りを感じる片頬を押さえながら、小さく手を振り返した。
**
年月は経ち、組織ももう間もなく壊滅作戦に取り掛かろうというところまで情報を集め、追い詰めに掛かった頃のこと。俺はいつものように事務処理に追われているだろうクリスを手伝うためにオフィスに足をむけていた。
だが、その足はオフィスに繋がる中華風の扉の前で止まることになる。
「馬鹿だよ……言えるわけない、今更公安に返したくない、だなんて」
ほんの少しだけ空いたドアの隙間。俺のかみさまが頭を抱え、項垂れた頭の先を膝近くまで寄せて、死んでしまいそうな声音で呟いた。静かなライブラの事務所の高い天井に跳ね返って、融け消える。オフィスに繋がるドアに掛けた手がじわり、手汗を滲ませて滑りそうだ。
ヒロとレイに顔向けできない。
そうやって呻くのを、盗み聞きしてしまった。
みぢり、という音が、自分の掌の中から聞こえた。知らず力を込めていた手は深く爪痕が残っていた。
──もうすぐ戻れるね、ヒロ
組織が壊滅したら、俺は、諸伏景光は姿を隠す必要がなくなる。名前を偽って行動することも。勿論、各国の諜報組織が協力し合い、隙の無い布陣を敷く予定の掃討作戦でも、莫大な規模を誇り世界各地に飛んでいる組織の人間を一網打尽にしきれない部分はあるだろう。残党がいる限り命の危険は付き纏うが──絶対に表で素顔を晒せない、というレベルからは脱する。
そうなったら、この契約は終わりになる。クリスと公安が取り決めた、組織が壊滅するまで諸伏景光をHLに構成員として迎え入れ匿い、その代わりに情報を提供する、という契約。ライブラ結成当時の、人員が本当に仕事量に見合っていない少数精鋭ぶりとは打って変わって、今は情報収集担当や狙撃部隊もできた。クリスやスティーブンなど核構成員のマルチぶりは変わらないけれど、末端はそれぞれ役割を専業化できるまで、その人数を増やすことが出来たのだ。俺がいなくとも狙撃手は他にもいるし、まぁクリスの補佐が居なくなるが、彼女なら一人でこれからも大量の仕事をこなしてしまうんだろうという予感があった。つまり、俺が必ずライブラに残らなきゃならない理由は、とても薄い。
ついこの前の掃討作戦のための作戦会議が終わった後も、そうやって、さびしいなぁと何でもないような調子で社交辞令みたいに言うから。残りたいなんて言えないと、泣きたくなるのを、潜入中から慣れっこになっちまった、仮面の笑顔を浮かべてこらえたってのに。
なのに。
気付けば、握ったままのドアを勢いよく開け放っていた。乱暴な開け方に中華風の扉が悲鳴を上げて、音にか、俺の気配にか。顔を素早く上げたクリスの顔が驚愕と悲愴に塗りつぶされていく。
「ヒロ、きいて──」
夕焼けを切り取って煮詰めたような赤い瞳がはっきりと揺れる。血の気が引いた面に、普段なら血流操作で表れることの無い隈がくっきりと浮かんで、憔悴した表情をさらに悲痛に染めた。その表情にぎりっと奥歯を噛み締めた。
「ごめ、なさ」
叱られるのを怖がる子どものように、ぎゅっと頭を抱え込むように身体を縮こめた彼女に、俺は手を伸ばして。
「ごめんな」
ただ一言を呟いて、幼い怖がり方で怯えるクリスを抱きしめた。
「え?」
「馬鹿だなぁ、俺も、お前も。お互いの為だと思って取り繕って、無理して」
お互いを思うがあまりに「これが最善なんだ」と心を殺そうとして、苦しんで。
気付けなかったことに心が痛む。怒っていると怯えさせたことに申し訳なく思う。
けれどそれ以上に、残って欲しいと思ってもらえたことが嬉しかった。
仕事とプライベートを、公と私情を完全に切り離して、時には非情なまでに振る舞えるクリスティアナが、公私混同した我儘を、4つ下の少女らしいことを少しでも考えてくれたことが、なによりも俺には嬉しかった。
強張ったままの腕の中の身体を、怖がらなくていいよという想いを込めて、ぽんぽんと優しく叩く。
鍛えていて、外人女性としても高身長の部類に入ると言っても、その肢体は狙撃手の自分のそれより華奢だ。人外めいた身体能力を秘める、しなやかで重い筋肉が詰まっていたとしても、まだ25歳なのだ。この背中が背負うものは潰れそうなくらい重たくて、しかも誰にも荷物を預けられないくらいに複雑で。少しでもその背中が潰れてしまわないようにと出来る限りで支えたかったのだ。今までも、そしてこれからも。
だから、世界のあらゆる悪意の矢面に立つ彼女に、もう少し傍にいてと頼られたのが何よりもうれしかった。
ああ、俺のかみさま。いとしいいとしい、俺だけのかみさま。
「クリス」
返事はない。じっと抱き込まれたまま身じろぎしない彼女に構わず、言葉を続ける。
「俺がもう少しクリスの傍で支えたいって言ったら、失望するか?」
クリスの肩口に額を預けながら呟いたら、俯いていたクリスががばりと顔を起こした。な、とかは、とか、言葉どころか単語未満の呟きが落ちてくる。
ああでも、降谷や風見は怒るかな。日本を守る公安失格だって叱るだろうか。むしろボコボコにされるかもしれない。……それでも、良いと思っている自分がいる。
公安は自分の身分が潜入先にバレたら、国の為、家族の為、情報の秘匿のため、自決することが求められる。公安警察官はそれを覚悟して任務に望む。あの時の俺もそうだった。あの時の行動に後悔はない。
ただ……あのまま死ねば、降谷が俺を追い詰めたと、ずっと思いつめることになっただろう。ライ、赤井も口は悪いが案外いいヤツだから、もしかしたら降谷を気遣って、俺を殺しただなんて言ったかもしれない。ただでさえ相性の悪いあいつらの仲を拗らせるような未来もあったかもしれない。
だから──クリスに命を拾われたことを、俺は心の底から感謝している。感謝と今向けている恋慕は別物だが、公安の「俺」はあのとき死んだとも思っている。
なにしろ、俺のNOCバレの原因は実働を担う“作業班”トップである警視庁公安部の内部からの密告だ。公安は国を守るためならその手口がいかに非道だろうと、躊躇わない。それは理解している。それでも、俺がNOCだと密告したあれは、国の為でもなんでもなかった。たかが私怨や組織間の因縁の為に殺されかけた身としては、公安部へ以前までの忠誠心は無い。俺が日本警察に情報を流すのは、今も孤立無援の状態で潜入中の親友を助けるためと、クリスの契約があったからこそだ。戻りたいかと言われれば──本音を言わせてもらえるなら、間違いなくNOを出すほどに、今の俺は「ライブラ」だった。
「なんで……」
「大事なものが増えたんだよ」
ギルベルトさんが淹れてくれる紅茶。
人界異界を問わない武器が所狭しと壁や棚に並ぶパトリックの
K・Kのとこのチビたちはヤンチャでかわいいし、出来上がったK・Kの愚痴と家族自慢を差っ引いても、同じスナイパー談義をしながら酒を飲み交わす時間も良い。
クラウスと温室の植物の水遣りするのも気分が落ち着く。
弟みたいなレオやザップと通い詰めたダイナー。
ブローディ&ハマーと特別恩赦の日に名画を鑑賞した貸し切りの美術館。
大道芸で稼いだツェッドと散歩した旧セントラル・パーク。
ふと気づけば希釈して俺の肩にいつの間にか留まっているチェインの、小鳥のような重みだとか、時折肩に登ってくるソニックにクッキーを餌付けしたり遊ぶ和やかな時間だとか、スティーブンと遅めのブランチのために、グローサリーであれこれサンドイッチやコーヒー豆を試行錯誤したりする時間だとか。
そして俺のためだけに似合いの一着を作ろうと柳眉を悩ましげに寄せて、俺の視線に気づいて笑うクリスが。
この理不尽で犯罪渦巻く霧の街での何気ない日常と狂騒が、いつの間にか大事になってしまった。
「公安の俺はあの日死んだ。今の俺は、日本もひっくるめて世界の為に命を張るライブラだ」
まだ、何にも恩返しできてないしな、と付け加えながら。
いつか俺は
その心遣いが、もどかしくも嬉しかった。
俺が日本で警察官に戻れるように心を尽くしてくれた彼らと共に、歩いていきたいのだ。
「貴方は表に戻れる人なんだよ……」
「俺も国の為、任務のためとはいえ人殺しだぞ? しかも何の罪もない人間すら殺した。警察官として戻ったとしても、この一件が終わった後の処分は難しいし、サッチョーで上の方の地位にいる降谷ですらどうなるか」
「それでも……」
「俺を返したくないなら、建前を喋るのはやめてくれ、クリス」
ぐ、とクリスの眉根と口元が歪む。秘書としてライブラとして、俺の行く末を慮ってくれるのは良いが、それよりも彼女個人の気持ちを聞きたかった。
どれだけ沈黙がその場を占めたのか。オフィスの壁一面を覆う窓から降り注ぐ光と、霧の海を泳ぐ異界生物のみょうちきりんな遊泳飛行を眺めて待っていると、観念したらしいクリスが細い溜め息をついた。
「さみしい」
ああ、さみしいとも……だってそうだろう、君は私がこの街で裏切られ続けるのに疲れて、誰か信用のできる人材はいないかって、氷室に探してもらって見つけたんだ。そして君は、自分の欲望に飲み込まれることもなく、境界線を見誤って地雷を踏むことも無く、それどころか私の仕事を手伝ってくれて、疲れた時には気分転換に連れ出してくれて、労わってくれて。普通の仕事仲間で、友人でいてくれた。それが、どんなにうれしくて、得難いことだったか。君がいない時にうっかり君がいる前提で独り言を言って、クラウスやスティーブンに微笑ましそうに見られたのが何回あったと思う? クラウスにトドメとばかりに「ヒロが来てから君は活き活きしている」とかいわれたらさ、すっかり君に依存しているのを自覚しない訳にはいかないでしょう? ……馬鹿で、愚かでしょう。最初から手放すと決めていたのに、やっと出来た友人を笑って見送ることも出来なさそうだなんて、心底どうかしている。
こどものようなぽつりとした呟きから、ぽろぽろと小雨が降るように、クリスは嫌に饒舌に、心の内を語ってくれた。よしよしと、撫で心地のいい黒髪を撫でながら、口元は緩みっぱなしだ。
「俺は嬉しいけどなあ。クリスが俺のこと大事に思ってくれてたんだなって知れて。もっと依存っつーか、頼ってくれていいんだぞ?」
「これ以上頼ったらダメになりそうだから遠慮する……」
「クリスはちょっと駄目になるぐらいで丁度良いと思うぞ……お前らスターフェイズは一歩間違えたら過労死しそうで怖い……」
「ええー……」
「と、いうわけで、組織壊滅して諸々掃除が終わった後にどうやって公安に報告するか考えないとなあ」
「え」
ぽかんと口を半開きにする俺のかみさまに、にんまりと笑ってみせた。
「組織壊滅まで手伝ってもらったんだ、俺が返す恩は大きいぞ? 長丁場になるなぁ」
まぁ恩返しどうこうを抜きにしても、俺がただ傍に居たいだけなんだけど。
「話は聞かせてもらった!!!!」
「!?!?!?!?」
「ぅえっちょっ、スティーブンにクラウス、チェインまでいたのか!?」
「すまないクリス、ヒロ、盗み聞きするつもりは無かったのだが……」
「やっ」
「えーっと、俺もいます……」
「レオまで……」
「ちなみにライブラとしても僕個人としてもヒロの契約更新、いやライブラ残存は大いに結構。むしろ全力で協力するよ」
「スティーブン!?」
「おっ、ホントか?」
「狙撃班が昔に比べて余裕が出たとはいえ、ヒロレベルの長距離スナイプはそういないし、まして殺さず確実に無力化できる腕前となると貴重だ。加えて無茶しがちなクリスのストッパー兼友人なわけだし、協力しない訳がないさ。こちらもどうやってヒロをこっちに引き込もうか考えていたんでね、渡りに船と言ったところだ」
「うむ、ヒロがこちらに残ってくれるのならば、これほど頼もしいことはない」
「二人とも……ありがとうな」
「でもヒロの幼馴染のミスタ・フルヤが一番の難敵でしょう……まずは外堀を埋めるとか」
「外堀って、この場合ヒロさんとフルヤさんの上司さんとかっすか?」
「そうだな、ああいうタイプは本人の説得の前にある程度選択肢を潰してからの方が効果的だろう」
「じゃあこういうのはどうです、日本のツバメ所属の人狼に協力要請して、公安が探る予定の組織の情報を握っておくとか!」
「そして公安内に恩を売っておき、牙狩り及びライブラとの繋がりは向こうにとってとても有益なものと強く認識させる……うん、それでいこう」
「いやそれでいこうじゃなくて」
「いいじゃないかクリス、黒の組織が壊滅したらヒロが居なくなるって頭抱えて胃に穴開けかねないくらい悩んでセーフハウスの中行ったり来たりしなくていいんだから」
「ん″ん″っ」
「あっヒロさんが悶えた」
「兄さんの裏切り者……!!!」
【スティーブンはスコッチを応援しているのか?】
「うん? ああ、まあね。だっていい奴だろう、彼。少年やクラウスに近い光属性っていうか……。まぁ、それでも人殺しの経験とか裏社会の組織に潜入してただけあって、あの二人みたいな目が潰れそうなまぶしさじゃないが。逆に僕らみたいなのにはその方が落ち着くんだよなぁ……。僕らの汚くてどうしようもない部分をうっすら知ってても、態度変えずに笑って接してくれるのには、クラウスとはまた違って意味で救われてるよ。そうじゃなきゃ僕らのセーフハウスに招いて一緒にディナーしたりしないし。まぁ、彼が結構自活能力ないのも原因だけど」
「スターフェイズさんがガチ気に入りしてる……」
【チェインとスコッチ】
「結構な頻度でいつの間にか肩に乗っかってることが多くてビビる」
「ヒロは肩幅広いから乗りやすい(グッ)」
「そこか!? まぁ、俺に乗る時は凄い軽くしてくれてるからいいんだけどな、落ちないかが心配で……」
「落ちる前に下りるよ」
マイペース同士波長が合いそう(レオも)
(蛇足)
この話に至る前に、実は降谷さんがバーボンとしてHLの調査とパイプを作る仕事を任されて、組織には内緒でライブラと連携して外に出しても実害の薄そうなモノだけ出して組織が得る異界技術とかをコントロールする話があるんですが(時間軸的にMHA世界にクリスが転移する前でBBBだと10巻より前)、その関係で一応ライブラも降谷さんの素性と性格はある程度知っている(ニコニコしてるけど食えない人)。チェインさんが外堀埋めるのに全力なのはクリスもスコッチも気に入っているので幸せになってほしいから。ブンさんが乗り気なのは、応援する気もあるけど色々知り過ぎちゃったスコッチを完全な身内に引っ張り込んで手元に置きたいからという理由も。
多分この後全力で外堀を埋めにかかるライブラ&日本の