ライブラ秘書嬢の異世界渡航   作:一星

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クリスとクリス側のサーヴァントのマテリアルもどき。

※FGO第一章及び、亜種特異点・イベント、各サーヴァントの台詞・絆ボイス・FGOマテリアル3・4の内容を大いに含みます。

お読みになる際は人理修復後マスターを推奨します。




Material

マスター

 

 其は世界を渡るもの。停滞の対極を為す者。

 (アン)()、神に造られた人でありながら、森羅万象を操る者。

 果てなき旅路を往くは、星と結晶を名に冠する者なり。

 

 真名:クリスティアナ・I(イグナシオ)・スターフェイズ(MHA世界など一部世界では星合千晶(ほしあい ちあき)

 

 堕落王の気まぐれで異世界であるFGO世界に突き落とされ、気づけば爆破テロ前のカルデアに藤丸立香とともに床でレムレムしていた人。

 属性は藤丸立香同様中立・中庸だが、広義には「守りたいもののためには手段の善悪を厭わない」である。どこかの世界では10年分退行してその間の経験を全部引っこ抜かれていたが、FGO世界で立ち向かう相手の規模のためか、世界を跨いだ際の帳尻合わせという名の補正は「魔術のような効果を生み出す血を全身に流す血管」に「魔術回路」、「特殊な血液」に「魔力」を、「血を作る造血細胞と心臓」に「魔力炉」の概念(テクスチャー)を貼り付けるに留めていた。そして「異世界を渡ってきた」事実は「異なる時代・世界に飛んでも意味消失しない適正」としてアラヤが認識し、「レイシフト適正」にすり替わった。レイシフト適正は立香・デミサーヴァント化する前のマシュに次いで95%。

 

 実はとある人物が常に彼女を観てその存在を確たるものにしているため、カルデアからの観測による意味消失を防ぐための存在立証は必要ないのだが、これはカルデア側の誰もあずかり知らないこと。ギルガメッシュ、マーリン、アーラシュの千里眼組も「クリスを常に観ているものがいる」まではわかるが、千里眼の範囲外にいる次元の違う場所にいる術者までは分からないので沈黙を貫いている。多分クリスティアナがそれを知ったら大体予想のつく人物ではあるのだが。

 

 本来は魔封街結社ライブラのナンバースリーにして渉外と経理を一手に担う秘書。クラウス・スティーブンと並ぶ頭脳の明晰さと交渉術により、BBB世界(派生の『銀の弾丸』DC世界)では「思考の怪物」「現代のモリアーティ」と呼ばれるほどの世界中に張り巡らせた人脈、情報網を持つ。世界でも有数の情報戦において多大な影響力を有する一人であり、一度情報が漏れれば億の値がつくライブラにあって、積み上がる黄金より価値ある頭脳と皮肉と欲望を込めて無法者たちの口上に上るほど。ライブラの機密情報を蓄積・保管するコンソールには彼女が作った、BBほどではなくとも世界的に技術で2世代は置いてけぼりにする高性能弩級AIの電脳魔「ムネーモシュネー」が棲んでいる。

 また、幻術を巧みに使い足取りを読ませず追手を撒き続けることから「霧の女(ミストレス)」とも。その世界中の政財界の重鎮、富豪、情報屋とのコネや情報網を狙う人間は個人・組織を問わず後を絶たない。兄弟子であるスティーブンと共にライブラに忍び寄るスパイ、裏切り者を処断する施設部隊を率いる処刑人という立場から(クリスはもっぱら構成員の中からグレーゾーンを選別する役割ではあるが)人類の善性を愚直なまでに信じるクラウスに対して、ライブラの暗部を象徴する。悪をもって善を護る。たとえその手段が残酷で非道であったとしても、善だけでは悪意に無力ならば、己の手を汚して心を殺してでも、善なるものの為に悪をもって悪を支配するのがスターフェイズ兄妹である。故に、とある悪のアラフィフを呼び寄せるは道理であり、村人の為に卑怯な手を使ってでも単身で領主に歯向かった、とある貌無しの青年と気が合うのは当然ともいえる。

 

 通常一人の人間に宿る血液属性は一種だが、BBB世界において二人しか居ない複数属性の使い手。しかも、もうひとりは風と火の血液をそれぞれ混ざり合わないよう操作して生きている(この事実だけで同じ牙刈りにドン引きされるレベルの超絶技巧)のに対し、クリスティアナの血液は様々な属性に変化できる「無属性」の血液(属性が無いのではなく特定の属性に固定しない流動的な性質のため、誤解を招きやすいがこういったネーミングになった)。

 最初は氷属性の血液と判定されたためエスメラルダ流に預けられたが、修行の過程でこの特殊性が明らかになった後、牙狩り本部のタカ派が吸血鬼に対する新たな反撃の芽として実験施設に拉致し、数年間、クラウスとスティーブンに助け出されるまで、実験動物じみた扱いを受け、拷問まがいの研究を受けることとなる。

 その際に誘拐と実験を指示した上層部はラインヘルツ家とエスメラルダ流によって牙刈りを追われているが、今もクリスティアナをクラウスと並ぶ人類救済と吸血鬼打倒の御旗と見なし、奇跡の具現として無属性の水から様々な属性の血法を操ることから「泡沫の聖女」と狂信あるいは利用価値ある人類の礎として狙っている者が少なからず存在する。

 

 この拉致事件の前後でクリスの性格は多少変わっており、研究の代償にもともと優秀だったIQが化物クラスに覚醒、毒耐性を身につけている。並列情報処理能力はライブラトップで、もともとの資質であるカメラ・アイ(映像記憶)と合わせて、上記のような思考の怪物と呼ばれるに相応しい頭脳を有する。

 

 今を生きる人間でありながら、1ナノ秒(100億分の一秒)の間に半身の邪神の太刀筋を徐々に見切り、切り結ぶなど、英霊たちから見ても「英雄に片足を突っ込んでいる」ほどの身体能力・戦闘力を有し、在り方は英雄そのもの。ただしこれは褒め言葉では全くない。何故なら英雄は、運命に定められた敵を倒したのなら、守った人々に異物と見なされ滅ぼされる運命にあるのだから。

 だからこそ英霊たちはどうか英雄になってくれるなと願いながら見守っている。……マスターの気性からして、叶わない祈りだと薄々気づいていても。

 

 

 ▼所持スキル(マスター礼装ではなくクリスティアナ本人が所持する能力)

 

 ・耐毒スキル

 藤丸立香がマシュをメインサーヴァントとし、彼女に力を貸している英霊の能力から耐毒スキル(?)を得ているが、クリスのそれは、希少な血液を生産する彼女を(せめてその血液を途絶えさせない方法が見つかるまでは)死んでもらうわけにはいかないと逸った牙狩りタカ派が研究員に指示して毒耐性をつけるために死なない程度のありとあらゆる毒を食事や水に仕込んだ果てに獲得したもの。毒によっては耐性が弱いものもあるが、HLで異界産の動物・植物・化合物による毒を扱ったことも多々あるため、人間としてはかなりの耐性を持つ。

 ロンドンの肺を侵す魔霧はシナトベの風で薄めたりサーヴァントにスキルを使ってもらい、ちょっと気分が悪くなる程度で済んだ。

 

 

 ・太陽神の加護

 強化前『太陽神の加護:B』⇒強化後『太陽神の寵愛:B』

 スキルの恩恵を受けるサーヴァント:カルナ、オジマンディアス、玉藻の前、ケツァルコアトル、ギルガメッシュ、ガヴェイン、クー・フーリン

 

 太陽神の寵愛を受ける者が授かるスキル。

 施しの英雄カルナ、神王オジマンディアス、水天日光玉藻の前、炎鳥ケツァルコアトルの四騎の太陽神の化身を召喚し、分霊とはいえ英霊として格の高い彼らがその旅路を見守らんと『瑠璃の金環(ラピス・アニーロ)』に刻まれることを良しとした、その本来ならありえないはずの寵愛を受けて『太陽神の加護』が変化した。クリス本人は知らぬ事実だが、一度カルデアから異世界へ帰還する際にサーヴァントを全員座に返したにもかかわらず、加護が継続していたことからも溺愛ぶりはお察しである。

 スキル効果は神性C以下(落陽のピアス着用時、もしくはスフィンクス・アウラードを伴う場合はB以下)の炎に関連する攻撃を一切無効化し、吸収して魔力に変換する。……というものだが、契約し直しの際にどこをどう弄ったのか、実は魔力変換効率がカルデア時代より格段に上がっている。更に〔日差し〕のある状態では効率が更にアップし、炎を受けずとも日光を魔力変換して少しずつ魔力リチャージ、常時太陽関係・もしくは太陽神の血を引くサーヴァントの攻撃力をアップ(固定バフなので敵のデバフで解除されない)する壊れ性能。その場にいる太陽関係のサーヴァントに影響するため、立香側にいる術とプロトのクー・フーリンにも適用される。

(厳密にはギルガメッシュやクー・フーリンも太陽神の血を引くが、今作では一般的に太陽系サーヴァントと聞いて名が挙がるサーヴァント、便宜的に太陽の力・加護をメインに振るうもの、もしくは太陽神の分け御霊を「太陽系」サーヴァントと括っています)

 

 指輪を作っている間の期間に、もし異世界に付いていくならば血法と召喚の酷使で身体の老化を速めさせないためにも、魔力の継続回復は必須と太陽系で話し合ったらしい。特に日光による魔力リチャージは血液の酷使で身体の老化が早まり、寿命が縮むことを知ったオジマンディアスが付けるべきだろうと発案した。太陽神ラーの化身であり至上のファラオである彼も唯一完璧でない肉体の脆弱さを憂えたこそなのだろうか。

 最早加護よりも祝福に近い。高位英霊、レア度の高い英霊を何騎も率いる際に重宝するスキル。

 

 

 ▼所持アイテム

瑠璃の金環(ラピス・アニーロ)

 キャスターのギルガメッシュが所有する聖杯(ウルクの大杯ではない)を元に、レオナルド・ダ・ヴィンチが企画・設計、カルデアのキャスター他知識人+αの智慧を結集して作り出した黄金の指輪。神代の黄金(というか聖杯の一部)を錬成した指輪に、神代では最高の聖石だったラピスラズリをあしらった指輪。

 人理修復後、二部序で語られる「もしものための備え」と同時並行で一年かけて作り上げた疑似的な「座」であり「魔力タンク」であり「簡易召喚陣」であり神代から現代にいたるまでのあらゆる魔術・加護・概念礼装・マスタースキルの詰まった超級の「魔術礼装」である。一種の宝具に近い。

 

 お察しの通り、魔術世界に存在しようものなら魔術協会やアトラス院、聖堂教会などありとあらゆる魔術世界の組織・個人がこれを狙って血で血を洗う大惨事(誤字ではない)世界大戦になりかねないヤバい代物。そのため、残念ながら護身術にクリスより乏しい藤丸立香には間違っても持たせられない。というか本人も「恐ろしすぎて持ちたくない」と全力で拒否した。

 

 作りはしたものの、一度は別れ、異世界に還るクリスの意志を尊重し、クリスが英霊を望む、あるいは大小問わず身の危険が迫った時でなければ初回起動しないよう設定されていた。危険が生じた時に召喚されるサーヴァントは完全にランダム設定だったのだが、フリーフォール時にほぼ肌身離さず着用していたカルナのピアスという最強の触媒があったため、カルナが真っ先に駆けつける結果となった。相棒だからね、当然だね。

 でもラピスラズリの腕飾りやベイヤードのブレスレットなども時と場合に応じて(後者は特に呪い関係で滅茶苦茶活躍していた)身に付けていたので、キャスギルやゲオルギウスも結構出現頻度は高かった。

 一応念のため悪用防止に、初回起動後はクリスティアナの魔術回路・生体パターンがなければ起動せず、ただの指輪でしかないというアフターケア付き。

 

 異世界でもクリスティアナがカルデアで召喚したサーヴァントに限り、召喚可能とする限定的・疑似的な『座』の機能を持つため、指輪に刻まれた霊基情報を元にサーヴァントが召喚できる。一度に召喚できる数が最大6騎なのは相変わらずだが、魔力消費削減のため、6騎を編成しても実際に実体化するのはスターティングメンバ―の3騎。これは臨戦状態においての話なので、武装解除して省エネモード(世界に溶け込むために私服姿になったり)中だったり、キャスター陣によって工房(マイルーム)化されたクリスティアナのセーフハウスやライブラ事務所においては魔力消費を限りなく抑えられるため、6騎の限りではない。

 とはいえ一度に6騎編成して召喚すると、一度全員召喚を解く&再編成して再召喚しないとメンバー変更が一切出来ず、その間かなり無防備になるため、基本的にはその場で必要に応じて単体召喚することが多い。

 

 本来なら疑似的な『座』など生み出せるはずもないが、どこぞのチートなラスボス系後輩の『黄金の杯(アウレア・ボークラ)』と『百獣母胎(ポトニア・テローン)』による「根源」接続によって、召喚可能サーヴァントをクリスと契約した分霊の最終状態のみを保存する、と機能を限定することで改造可能となった。チート改竄ここに極まれりである。なんでそこまでしたかって? これからも可愛そうなマスターさんを虐めるためです♡ なお情報の圧縮にはその手のプロであるパッションリップ(立香側)が担当。(ちなみにBBは立香を「センパイ」、クリスを「マスターさん」呼び)

 

 普段はどこにでも肌身離さず身につけていられる指輪の形をとっているが、展開すると天秤を模したクリスティアナの令呪と十字架がレリーフとして彫り込まれた、背の低いワイングラスのような形状をした、内側が宇宙のような瑠璃色、外側が金色の杯となる。この姿から瑠璃の杯、あるいは瑠璃の小聖杯と呼ばれる。ギルガメッシュが持っていた聖杯で次元跳躍の願いを叶えた後の残り滓なので溜め込める魔力はかなり減っているが、十二分な魔力リソースとして運用できる。

 前述の通り、召喚システム以外にあらゆる魔術、加護、概念礼装、マスタースキルが詰まっており、展開時に色々組み合わせを作って待機させておき、戦闘中にすぐにシングルアクションで発動、というのも可能。

 

 

 

 

 

太陽系サーヴァント

 

 

カルナ

 

 ──オレはマスターの一番槍にして最大戦力。いかに古今東西の名だたる英雄が名を連ねようと、これだけは譲ることはできん。

 ──オレを喚んだか、クリスティアナ。

 

 レベル100、スキルマ・フォウマ済み、絆10

 言わずと知れた一番槍、クリスの最初の英霊にしてメインサーヴァント。

 魔力消費が激しく、負担を抑えるため基本的に家にいるか霊体化してクリスのそばにいる。

 たまにクリスの帰りが遅いときはバイクで迎えに行ったりする。ほぼ全ての特異点で苦楽をともにしてきたが、初めてスターティングメンバーから外された新宿でアルトリアオルタに二人乗りを先に越され、ちょっとだけ嫉妬を覚えたが、クリスに指摘されてようやく気づいた。その後も二人乗りが気に入ったのか何度か迎えに行ったり出かけ先に送ったりと外出頻度が増えた。ついでにエミヤや自宅待機組のおつかいをこなしていく。さすが某マスターのパシリをしていた男。旅先の乗馬体験で馬の乗り方のレクチャー後、二人で遠駆けして心のしこりは完全に払拭された。

 マスターに対し、無自覚に独占欲を示しつつある。一度目(人理修復直後)のバレンタインでは父より賜った宝具の鎧を砕いて作ったピアスを贈り、二回目(バレンタイン2018)はカカオ不足を解消すべくマスターや他の鯖と奮戦し、満を持してきちんとあらかじめ贈り物を用意してきた三度目(BBB,あるいはMHA世界)はさらに色んな意味でやばい代物を贈るとはまだ誰も知らないのであった……。

 

 移動の際はエジソン製の黒いボディに赤・金のラインが入った大型バイク『レッドウィング・シュバルツ』を駆る。騎乗Aなので運転は上手い。霊体化すれば済むので電車など公共交通機関に乗る機会は少ないが、恐らく改札でオロオロするタイプ。

 着るものにこだわりはなく、家ではだいたい長袖か七分丈の黒いシャツにスウェットの下かズボンを履いたラフな格好だが、外に出るときはマスターに恥をかかせまいとお洒落してくる。身なりに頓着しないがセンスは悪くない人。服選びに困ったら不思議と波長の合う(公式マテリアルより)玉藻にアドバイスを貰っている。本人の容姿と似合う色・服装のせいで大概V系のバンドマンかなにかと勘違いされる。

 

 あの黒タイツは服ではなく、恐らく母親がカルナを産んだ経緯が「リシから授かった神の子を得られるマントラが本物なのか試してみよう」という不純な動機ゆえに生まれた濁りだと思われるが、生前は正午に父であるスーリヤに沐浴しながら祈る際には濁りが消えたという伝承がある。サーヴァントの今は霊基の一部であり、カルナの意思で晴らすことができるという捏造設定。そのため省エネモード時の彼の身体は白い。腕や足が露出しても問題ない。

 武装時と同様、黒・赤・金、彩度の低いピンク系を好む。差し色は目と同じターコイズブルー。たまにベージュ。顔がいいのでシンプル・シックな服装も似合うが、パンク系でも似合ってしまう。革や金属系のアクセサリーが似合う。スタッズとかファスナーとかじゃらじゃらしていても違和感がない。フォーマルよりカジュアル。かっちり系よりも首周りがゆったりしている方が好き。細身なので玉藻や鈴鹿は細さをカバーする服選びをしている。ライダーの金時と並ぶと服装的に絵面がかなりいかついことになる。

 冬は黒のロングコート・オフホワイトに赤のノルディック柄の入ったマフラー(クリス手製)、赤のハイネック縦セーター、ベージュのスキニー、黒いごつめのブーツなど。モスグリーンの大きめのモッズコートも良い。家ではベージュのざっくり編まれた厚手のセーターでもこもこになっていてほしい。

 

 

 

 玉藻の前

 

 ────みこーん! これはイケ魂の予感……!! 

 

 レベル90、スキルマ、フォウマ済み、絆8

 ロンドン・監獄島後に召喚された。ロンドンで一目惚れし縁を繋いでカルデアに押しかけた良妻狐。苦悩は多くても大事なところはブレないイケ魂の予感を感じたらしい。出会いがもう少し早ければ私も絆10に……! と思ったかは定かではないが、アーツパを支え、キャスター筆頭に躍り出る活躍を見せた。

 ご主人様大好きを公言するだけあって外出機会が多い。というか秘書の仕事をしているときはクリスがせっかくの若い身空を仕事で尽く潰し、まったく買い物などを一緒に楽しめなかったため、学生の身分にある今は全力で人生を楽しんでもらいたいと休日になにかとショッピングや映画、スイーツめぐりなどを企画してクリスとともに全力で現世を謳歌している。鈴鹿とは狐耳で献身的でギャル系とみせかけて実は才女など、色々要素が被りまくってライバル的な関係だが、嬢のコーディネートや遊ぶプランを立てるときは結託している。

 流行に敏感でコーディネート上手。外出するサーヴァントの服装チェックをすることも多い。散財しそうとみせかけて、意外とお金の使い所を考える締まり屋。良妻ですもの、節約節約。でも貧相にみえないよう、ちょっと高くても質の良い使い勝手のいいものを選ぶ。流行のアイテムを取り入れるのが上手。獣系なので化学繊維でない本物の動物の毛のファーとかは苦手。自宅では露出が多いが、外出時は変な輩に絡まれる時間が惜しいので少し控えめのお姉さん系コーデ。オフショルダーとか似合いそう。

 

 

 ガヴェイン

 

 ──マスター・クリス。本日はどちらへ? お供いたします。

 ──いえ、マスターが炎にて傷つかないというのはとても喜ばしいのですが、こう、霊基に刻まれた記録からか少々悪寒がするというか。妙な心地になるのです。

 

 レベル80、フォウマ済み、絆6

 キャメロット後に召喚された。白亜の城門前で渾身のガラティーンを全部クリスに吸収され回復、不夜何するものぞとばかりに男性特攻のエウリュアレとオリオン、そしてロビンフッドにバウられまくったトラウマが衝撃的すぎて、消滅し本霊に還ったにも関わらずうっすら覚えたままカルデアに召喚された。そのためか絆の伸びがかなり悪い。太陽系の中では一番絆が低い。一応今はその事は和解しているのだが、たまに炎を吸収しているところを見るとトラウマが蘇って複雑な面持ちになる太陽の騎士。不仲に思われそうだが、アーサー伝説に語られる通り非の打ち所のない騎士らしい忠義を捧げている。『太陽神の寵愛』で『聖者の数字』がより強化され、ことさら輝きを増すアーツ顔のバスターゴリラ。日中ならだいたいガラティーンすれば敵は死ぬ。唯一太陽系の中で神性を持たない。

 

 スキルマではないのは召喚時期が遅かったことと、ランスロットと大騎士勲章を取り合ったため。もっと勲章よこせと据わった目で立香とキャメロット王城のシャドウサーヴァントのガヴェインを倒しまくったことはカルデアスタッフ全員の秘密である。要求量に対してドロップ率が塩すぎる。

 

 顔が正統派王子なので外に出ると必ず道行く女性に二度見される。王やクリスの供をしているならばいざ知らず、円卓だけで出かけると逆ナンにホイホイ付いていってしまうので要注意。大抵は指輪の中で待機しているが、たまにジャガイモが豊富にあるときは大量のマッシュポテトを生産する。

 青・白系の少しカジュアル寄りの服をかちっと着こなす。ポロシャツとか似合いそう。スポーティ系も似合う。蒼銀の騎士であるアーサーと血縁とあってギフトがなければただただ爽やかなのである。……性癖はまぁ生前のトラウマのせいでアレだが。

 

 

 オジマンディアス

 

 ──嗚呼、貴様は本当に。こうも危なっかしくては、うかうかと眠りにも着けぬわ。この王の中の王たる余が導いてやらねばならぬ愚か者よ……。

 ──征くぞ、支度を疾くせよ。どこへ行くかだと? 決まっておろう、貴様が生まれた世界のあらゆる名建築、このオジマンディアスの目に叶うか見てやろうというのだ! 

 

 レベル90、スキルマ、フォウマ、絆8

 キャメロット後に真っ先にやってきた、セリフが途中で切れるが首は落ちない系ファラオ。

 クリスがサーヴァントの中でも人一倍敬意を持って接し、敬称、敬語を使うサーヴァントの一人。クリスはオジマンディアス王、太陽王、我が君などと呼んでいる。(ちなみにもう一人の敬意をもって接している賢王のほうはギルガメッシュ王、キャスギル、我が王と呼んでいる)

 勇者の素質があり、自らの矮小さを知り、身分を弁えながらも真っ直ぐに物申す女。実際世界を救い続けたクリスを彼はひと目で気に入ったものの、キャメロットではストーリー通り偉大な太陽王として振る舞い君臨した。ダイナミックピラミッド落としを敢行後、上機嫌で召喚に応じた。太陽の灼熱を固めたようなクリスの赤い瞳を気に入っている。

 

 が、血法そのものが細胞劣化を早め魂を削り続ける戦い方であり、更に魔術回路を血管に、魔力炉が心臓と造血細胞に設定されているため、無茶な魔力の使い方をすれば更に寿命をすり減らすスピードを早めると知った瞬間、本気で激昂しクリスを怒鳴りつけた。思わず彼女のすれすれに神罰の光が降り注いだほどの怒りである。けれどある意味当然のこと。完全な肉体と地上のあらゆるものを手に入れた絶対者であっても避けられない死を嘆き悲しんだ彼ゆえに、死に突き進む召喚者の愚行は許せなかった。

 

 それでもなお歩みを止めないと宣言する己のマスターを彼は処断できなかった。落陽が地平線の彼方に沈み消え行く瞬間のように儚くも力強く、炯々と輝く赤は、あまりにまっすぐ過ぎた。

 ゆえに、彼は聡明でありながら不器用で愚直なマスターを導く太陽であると今回の現界を定義する。間違いを犯さぬように導き、見守れば良いのだと、本来の彼ならありえないほどの恩寵を授けながら。

 異世界に帰るから契約を解除する? ……フハハ、それも良かろう。しかし──貴様が仰ぐべき太陽は再び昇るであろう。そう満足げに玉座に君臨しながら笑った太陽王の言葉通り、異世界で太陽神は再び降臨する。

 

 上記の経緯から、大抵クリスのそばで霊体化しているか自宅で寛いでいる。たまに学校まで押しかける。旅行の際は異世界の建築を見てやろう! と世界遺産や文化財指定の名建築などを見て回るツアーになる。クリスを立香やマシュを含め自分の娘息子のように想っている太陽系のフリーダムパパ。

 省エネモード時は黒をメインに白・金のシンプルな服が多い。差し色はピーコックブルーやプルシャンブルーなど彩度があまり高くない深みのある青系。自宅では黒いシャツを羽織っただけの前を完全にオープンにしたどこぞの世界での服装のことが多いが、外ではホワイトデー礼装のような白いジャケットにピーコックブルーの巻き物をゆるく巻いて黒縁メガネをかけたインテリなアパレル社長風の格好などかなり目に良心的な格好。

 

 

 ケツァルコアトル

 

 ──ムーチョムーチョ! 私、貴女のこととっても気に入りました! これからどうぞよろしくね、素敵なマスターさん? 

 

 レベル90、フォウマ、絆7

 バビロニア後に召喚された南米の女神。翼ある蛇。太陽神であり金星の女神であり、文化、風の神とも言われる。

 太陽、風という親和性の強い縁と、古い宇宙からの客人でありアステカの最高神の一柱と、彼女が去った後のアステカを滅ぼしたラテンの血脈の遥か子孫という因縁による結びつきが強い。とはいえ態度はだいたいFGOのバビロニア~マイルームボイスの彼女である。興奮したときのエセ外国人じみた片言とおおらかで流暢な口調とやたら静かなマジギレモードを使い分ける人。

 自らが悪神との戦いに敗れ、アステカを追われる原因となった酒はもう嫌と思っていたが、たとえ異界産の喉が焼ける度数であろうと自前の毒分解の体質からアルコールで全く酔わないクリスと静かに盃を掲げ合うのが好き。クリスも無茶に飲ませないので、本音が出るレベルで前後不覚まで陥ることが少ない。

 思考基準が神のそれであり、人間と同じ尺度でものをとらえないため、残忍な判断を取ることもある。マスターであるクリスのことをバビロニアの一件から気に入っているが、クリス個人そのものを、というよりは「このマスターを形作った人間という種族の成長」を愛している。オジマンディアスや玉藻のような神の化身ではなく神霊そのものであるため、クリスを気に入っている視点もかなり大局的で人の親愛に拠るものではない。でも他人の目からはデレデレにクリスを甘やかしたがるスキンシップの激しい南米系お姉さんにしか映らない。よく雄英校門前まで迎えにくる過保護勢の一人扱い。

 目立つし大きいのでヘッドギアは外しているが、顎下の宝玉や特徴的な髪型はそのまま。シンプルな格好が好き。181cmと高身長でスタイル抜群のため、パンツスタイルが多い。エスメラルダの修行の影響で脚長に成長した175cmのクリスとは目線が近いので嬉しいらしい。

 

 

 

その他クリス側サーヴァント

 

 

 エミヤ

 

 ──ああ、なんたることだ。折角食育が進んできていたところだというのに……しかしマスター、成長期の姿でそのやせ細りぶりは見るに耐えない。とりあえず当分の拠点は確保できた、ならば次は食を満たすべきだ。いいかね、情報収集が先ではない。食が 先だ。早急にその身に栄養をつけさせねば。……ナーサリー、ヘンゼルとグレーテルの魔女ではないぞ、私は。

 

 レベル90、スキルマ、フォウマ済み、絆10

 冬木クリア後に召喚された初期メンバー。嬢の信頼も厚いみんなのオカン。嬢からは普通にエミヤと呼ばれている。

 アーチャー二枚看板の一人。転移後に縮んでしまった嬢を一番心配した人。人理修復後、嬢がFGO世界に残るのを得策とは考えず、抑止の守護者としての経験から、同じクリス側のサーヴァントで守護者である殺エミヤと共に、彼女が抑止に殺される危険性も鑑みて、出来る限り早く異世界に帰ることを願い、本人にもその危険性を打診していた。人理焼却中から5つの亜種特異点をめぐるまでの旅はアラヤが機能していない、あるいは人理継続のために利用価値があると様子見されていたとしても、完全に異なる血の系譜と力を持つ彼女という異物を、アラヤは見逃さないと確信して。

 

 BBB/MHA世界転移後はもっぱら自宅待機し、家事に一手に引き受け日夜勤しむ主夫。圧倒的世話焼き。本人は口ではなんやかや言いつつも楽しそうにしている。弁当や食事の準備をする関係上、クリスの動向を一番良く知っている。多分クリスのラインのトーク履歴で上から5番目の中には彼との個人トークが必ず入っている。

 せっかくカルデア時代から嬢の貧血回避&魂の消耗(造血スピードより消費スピードが勝って収支が合わない無理をすると自動的に寿命が削れる)阻止のためにも食事量の少なさをコツコツ改善させていたのに、体が縮んで15歳時の一番まともに食事を取れず栄養失調気味で、胃の容量も小さい時点に強制的に巻き戻されて涙を飲んだ。でも食べる楽しみは覚えたままなので、幸せそうな笑顔で自分の料理を食べてくれる嬢を見るのが何よりの楽しみで癒やし。休みの日は一緒にキッチンに立って料理をしている。エミヤがバレンタインのお返しに贈った料理道具セットは大事に使われており、時々手伝おうとするナーサリーやジャックが使うことも。

 省エネモードの服装はカルナに似て黒・赤系のシンプルな服装に、黒もしくは赤のエプロンを着けている。着回し上手。

 

 

 ロビンフッド

 

 ──え、お嬢さん、アンタその綺麗なツラして毒とか罠とか偏見ない感じ? ウソでしょ!? 

 ──オレは危険物係じゃないんですけどねぇ!? 斥候がいざというとき耳使えなくなったらどうしてくれんだよ……

 

 レベル90、スキルマ、フォウマ済み、絆10

 エミヤより少し遅いがオルレアン前に召喚。ガラじゃないんですけどねぇと言いながら、エミヤと共にあくの強いアーチャーズを率いてきた弓リーダーポジ。イー・バウで道中の高HP・高防御のエネミーをぶっ倒し続け、キャメロットではエウリュアレ、オリオンと共にガヴェイン絶対殺すマンした緑の賢者。

 毒や罠を多用してたとえ卑怯と言われようが正面切って戦わずに勝ちたいタイプだが、マスターが嫌悪を示すどころか全力で賛成してきたときには思わず面食らった。顔に似合わねえ。でも夢などでクリスの人生を垣間見て、本意でなくとも闇討ち暗殺騙し騙されの世界に生きた己のマスターに生前の自分を重ねてからは、全力でサポートしようと決意。そこから絆がガン上がりした。自分のような英霊に聖杯使うなんざ趣味が悪いと言いながら、高レアを召喚しても頼りにされるのが嬉しいツンデレ。

 

 生前の経験から野営の知識が豊富で、オルレアン時など野営に慣れていない立香やマシュのサポート(クリスは吸血鬼退治の一環で経験は多少ある)や狩猟、野営料理に長けていた。カルデアでも時々料理をしていた。

 基本自宅待機か用事がなければ指輪に引っ込んでいるが、敵連合が出てきてからは単独行動スキルのあるアーチャーらしく、霊体化して情報収集や罠の仕込みなど有事にいつでも出撃できるよう準備に余念がない。隠れマスターガチ勢。面倒見がいいので子ども鯖の面倒をみたり、エリちゃん・ネロブライドの手綱を引いたり(不本意)、レジスタンス組でのんべんだらりしたりしていることも。

 俺はいいですわ、と周囲に見える形で供をするのは他の目立ちたがりに任せ、現世に干渉せず、あくまでサーヴァントとして他人に己の存在をさとられず暗躍することでクリスに貢献することを望む(この方針は同じ初期勢であるハサン先生・小太郎などアサシン勢も)。人前に出ない(出ても誰かのコンビニに付き合ったり程度)のでシャツやパーカーにジーンズ姿がほとんど。パ○ラコラボロビンいいよね。

 

 

 クー・フーリン(槍)

 

 ──オウマスター、シュミレーターか? 種火か? まぁなんにせよ付き合うぜ、なにしろ身体が動きたがって仕方ねえのよ。

 

 レベル80 宝具5 スキル6/6/6 フォウマ 絆10

 クリス側。槍の全体宝具ならばカルナが筆頭だが、クー・フーリンは単体宝具とケルト神話の大英雄の逸話に名高い継戦能力から重宝されている。初期槍にしてカルナと並ぶ双槍。

 本領発揮のランサークラス、しかも今回は気風の良い、自害令呪を気にしなくていいマスターなのでかなりご機嫌。わしゃわしゃ頭を撫でくり回すのが好き。立香からは兄貴、槍ニキと呼ばれている。クリスは最初クー・フーリンと呼んでいたがカルデアで勃発した愛称呼びブームとオルタニキ召喚に際して(槍の)クーさんと呼んでいる。

 

 太陽神ルーの息子たる光の御子なので太陽神の寵愛スキルの恩恵に与れる。常時攻撃アップが付いている(固定バフ扱いで敵スキルで解除不能)ので強くて倒れない。矢避けとガッツと礼装でゾンビ並のしぶとさを見せるため、高難度クエストではしんがりを務めることも多い。初期槍はカルナと冬木後召喚のヘクトール、オルレアン後に召喚したウラド三世(槍)で乗り切っていたので仲が良い(?)

 BBB・MHA世界ではほぼ現界している。どこぞの世界のように魚屋でバイトしてたり釣りしてたり、自宅で酒盛りしたりと現代を謳歌している。ウワバミ通り越してワクのマスターが作ったつまみを片手に酒盛りするのが何よりの楽しみ。服装は大体公式で出てるのを想像してほしい。レザージャケット着たらスタイルの良さがバリバリに引き立ちそう。

 たまに学校前までバイクで迎えに行ったりする気のいいあんちゃん。個人的に爆豪・切島あたりと波長が合いそう。

 

 

 クー・フーリン(狂)

 

 ──……お前の敵はどれだ。

 

 レベル90、フォウマ、絆6

 北米神話大戦後に召喚。このあたりからクリス側にオルタ系鯖が集中するのは暗黙の認識だったが、メイヴの欲望で生まれた反転したクー・フーリンが 霊基登録されるとは思っていなかったのでカルデアスタッフ一同仰天した。

 基本的に嬢は脳筋戦法を取らないので(無駄な火力・被害を好まない)何でもかんでも戦闘に駆り出されることはないが、再臨で矢避け解放後はここぞという時の火力役として投入される事が多い。

 ほとんどしゃべらないが絆が深まるごとにマイルームに居座っている時間が増えていく。担ぎ方は後ろ向きに俵担ぎか小脇に抱えられる。嬢からはオルタのクーさん、もしくは他にオルタ鯖が近くにいないときはオルタと呼ばれている。立香からはタニキ。

 他の自分たちよりも「(武器)」であり「サーヴァント」である意識が強い。

 お前はただ敵を指し示すのみで良い、全て俺が鏖殺してみせよう。

 北米神話大戦での彼より気だるげ感は薄れ、戦いに楽しみを見出す享楽な性質は他の自分よりも低く、ただ召喚者の前に立ちはだかる邪魔者を排除することを一義とする。

 

 BBB・MHA世界は世界観的に尻尾を隠さなくても奇異の目を向けられることは無いが、BBBでもHL以外の場所での外出時は絶対に現界しない。その他獣耳、獣顔、超巨体など現代社会からやや逸脱した身体特徴を持つサーヴァントも同様に厄介事の火種にならないよう現界を避ける。

 彼の場合、秘書嬢に乞われでもしない限りは、滅多に指輪の座から出てくることはない。セーフハウスの嬢の自室に嬢が居るときだけ、短時間に出てくることはある。サーヴァント時にフードを被っているため、稀な省エネモード中は黒いパーカーを着てフードを深々と被っている。下は黒のスウェット。人前に出ることなどほぼ無いため、服はその組み合わせのみで事足りている。必要なら英霊正装のスーツや礼装のアウトレイジの衣装を霊基を弄って編めばいい、という考え。

 

 

 

 ジークフリート

 

 ──マスター。少し休憩を挟んだらどうだろうか。少々根を詰めすぎだと思うのだが。

 

 レベル90、宝具5、フォウマレベルマ、絆10

 オルレアン中に召喚した初セイバー。ハサン先生や小太郎と共に竜を狩りまくったカルデアのドラゴンスレイヤー。どこかの時空で宿敵として戦った記録もあって、カルナと並んでフランスを駆け抜ける姿はどこか嬉しそうだったらしい。もちろんオルレアン修復後、シュミレーターでめちゃくちゃ勝負した。

 オルレアン中に召喚したのでボロボロになるのは避けられたが、召喚陣を回さなければ抑止に呼ばれていたのは薄々感じていた。すまないと謝るたびにすまなくないとノータイム(途中から容赦なく言葉を被せつつ)で切り返す秘書嬢に根負けして、以降すまないの数は激減した。嬢は言葉より行動で示せ派だから仕方ない。

 ただチェイテピラミッドで本編にかすりもしていないのにマスターへの謝罪のためだけに空にぼんやり影送りならぬ影法師のかたちでスタート地点に戻ってもらうとやり直しを告げるすまない発言にはクリスもせやな、と色々疲れていたため肯定した。

 

 FGO序盤あるあるなセイバー難民でもあったので、沖田やランスロット、ガヴェインなどが召喚されるまでの初期はカエサル共々非常に頼りにされた。ウルクのムシュフシュは槍で竜特攻が効くので毒針狩りが捗った。

 とても紳士。抱えるときはお姫様抱っこしそうだが流石に戦闘中はカルナと同じように腕に座らせるような感じで担ぎそう。無茶苦茶する嬢を初期から見ているので若干心配性。オルレアン後にカーミラが召喚されたときは即座に背後に嬢を庇った(バーサク・アサシンとランサーの吸血鬼組がオルレアンでかなり危ない発言をしていたため)。すまないのくだりやらなんやら色々乗り越えたので絆も固い。戦友。無茶振りしすぎなければ冗談も乗ってくれる。

 

 ジークと一回気紛れで呼んでみたらアポ鯖が盛大に反応(立香のジャンヌとジークフリートは動揺、アストルフォとカルナは懐かしそうな表情、天草がニコニコしながら雰囲気はドロドロしたのを垂れ流してそれはダメですマスターと却下してくる)したのでシェイクスピアが嗅ぎつけて悪ふざけをする前に封印。以降、本人の許可をとって北欧神話のウォルスンガ・サガで同一人物とされるシグルドからとってシグ、と呼んでいる。

 BBB・MHA世界では主に指輪の中で待機していることが多い。ハイネックのグレーの縦セーターとかとても似合いそう。カルナと並んで立つとあまりの顔面偏差値に周囲がざわざわする。ただ弱点の背中は服で隠せないのでMHA世界の個性の関連で身体特徴に合わせてオーダーをできる店で背中が空いた服とか買ってもらってそう。第三再臨の竜っぽい見た目は迫害されることはないだろうが、やたら目立つので自主的に第二再臨姿など翼や角をキャストオフした状態で過ごしている事が多い。

 

 

 

 ランスロット(剣)

 

 ──はい。必ずや、貴女の願いを叶えると誓いましょう。

 

 レベル80 フォウマ、スキル6/6/8 絆6

 ロンドン後召喚。少し前に召喚された沖田と共にセイバー難民だったクリス側のセイバー戦力増強に貢献。なおフルフェイスのバーサーカーの方は、冬木の後立香が召喚している。

 スターでバリバリクリティカルを叩き出し、Aチェインでアロンダイト大回転する、華やかな円卓にあって最強、理想の騎士と呼ばれた男。マシュという突然の娘が出来ておろおろした、とぅわが鳴き声のお父さん。

 

 正義を愛し、女性を敬い、邪悪を憎む。正道を好み、卑怯な振る舞いを許さず、誇り高くあろうとする騎士道の体現者。しかし、常に一線引いた態度のため、親愛的な付き合いが濃い沖田やジークフリートに比べ、非常に淡々とした主従だった。

 マテリアルが更新されるたび、キャメロットで再び主に歯向かってでも正しさに殉じたランスロットの光の側面しか無い高潔さに目を潰される思いで、何で私の方に来ちゃったかなとクリスが苦笑するレベル。クリスからしてみれば、魔術師ほどではないが、十二分に正道から外れた己の人生の所業は、ランスロットが忌み嫌う悪そのもの。円卓の騎士との相性はただでさえ悪そうなのに、その中でも性格的に相容れなさそうなのが来た、キャメロットまで時折思っていた。キャメロットでもギフトを受けていないランスロットの状態を知り、なおかつギフトを得てもその一点はブレない在り方に、むしろその思いは強くなった。立香やサーヴァントの負担を減らすため、罠や邪道も躊躇わないクリスを見て、ぽつりと「困ったお方だ。私のマスターであるならば、正々堂々となさってほしい。……いえ、失言でした」とランスロットがぼやいたのも、彼女の心にヒビを入れる一因だったのかもしれない。

 

 だからだろう、立香のアルトリアを遠くから眺めて、合わせる顔がないからと近寄ろうとしないランスロットが「……ただ、王に私という罪人を裁いてほしい。聖杯にかける願いと言えば、それだけです」と呟いたのに「救われたいんだ」と冷たく意地の悪い言葉を投げかけてしまったのは。

 忠義を捧げた王に不貞を働いて、円卓の崩壊を招いておきながら逃げた彼が、聖杯という奇跡に求める願いが贖罪とは。

 世界のために友人であろうと殺すのもやむ無しとし、裏切りに悲しみながらも己の所業の罪深さを受け止め、許されたいなど逃げ出すことを許さないクリスには、その願いは酷く傲慢に聞こえたのだ。罪をつまびらかにして裁かれたいとは、裁かれていない自分が抱く引け目から救われたいのだという叫びにしか聞こえなかった。しかも彼は、今なら聖杯など求めずともその願いを叶えられるというのに。二度と謝ることも言い訳も出来ない自分と違って。

 高潔な騎士が手違いだろうが自分の召喚に応えて、今もなお従えているという違和感も、己と似て非なる立場にありながら、もだもだと悩み続けるランスロットに同族嫌悪の感情を抱いたことも、無垢なる湖の聖剣を捧げられるにはあまりに相応しくない、曇りすぎた己という卑屈さとランスロットへの引け目も含んだつぶやきだった。

 

 レイシフトでカルデア以外の場所へ行くことも可能とはいえ、季節感のない閉鎖空間。グランドオーダーの規模に対してマスターは二人だけ、カルデアが48人のマスター候補を揃えて、チームで当たろうとしているところからもたった二人で対応できる規模ではないのは明らかで、その重圧は同じ世界を救うという目的でも比較にならなかったのか。気丈に振る舞い続け、溜め込みに溜め込んだ鬱憤が噴出したようなものだった。言葉のトゲを剣としてランスロットに向けたクリスの表情は、ごっそりと色が削げ落ちていた。

 急に態度が氷点下に落ちた主に困惑するランスロットを放置して、賢者タイムではないが自己分析から自己嫌悪に陥ってクリスはマイルームに籠もる。心配したカルナやロビンらの励ましをもってしても閉じこもったままのクリスを見かねたセイバーオルタ(アルトリア顔のオルタ系は全員クリス側)がランスロットを遠慮なくどついてクリスの不調の理由を聞き出して、「ではお望み通り裁いてやろう」とシミュレーターで遠慮なくボコボコにした。シミュレーターが壊れる勢いで暴れる二人に何事かと駆けつけた立香とアルトリアが理由を聞き、渋面に。とはいえ立香のサーヴァントではないので令呪で止めることもできないため、ロマンにクリスの部屋にシミュレーターの映像を中継を頼み、モルガーンをブッパしまくるオルタを見て驚かせ、思わず常識人で責任感の強いクリスにやめさせるよう仕向けた。

 

 困惑する一同に「貴様の不義はこれを持って以降、不問とする」と暴君オーラ全開でランスロットに言い放ち、クリスにカメラ越しに「マスター、この通り、貴様が思うほどこの男は清廉潔白でもないぞ。なにしろ王の妻を掻っ攫って行くような男だ。方法はともあれ、正義と信じる道のために蛮行をやむ無しとする貴様と、然程変わりはしないだろうよ」とランスロットの痛いところをオルタらしく容赦なく抉って立ち去り、その後マイルームで互いの過去と黒歴史暴露大会からの和解を経て、ようやく絆3以降が解放された(それまでどれだけ出撃しても上がらなかった)カルデアでは(笑い話にするためにあえて)ヒトヅマンスロット事件と呼ばれている。絶対に越えようとしなかった主従の一線が消えた日でもあった。

 

 

 その後、クリスはランスロットに一つの願いと意思を託す。

 

 ──私の行いは報われるものではない。人界の存続、人類が人類らしく歩んでいく未来を護るために行う蛮行は決して良き功績として認められはしまい。それでいい。そもそも、私たちの代で、吸血鬼を完全密封し、その脅威を退けるなど遠い幻想だろう。いかに人類の枠から踏み出したものであれ、私たちに待つのは後進が先に進むための道を切り拓き、さらなる一歩を踏みしめるための血と屍の礎となることだ。

 

 だから。

 

 もし私の行いが、世界と人類を守るという免罪の義理すらかけ離れた虚実の悪となったその時は、遠慮なく私を斬るがいい。

 騎士に騎士の中の王と謳われたアーサー王から理想の騎士と呼ばれたひとよ。湖の騎士(Lanslot du lac)よ。

 聖地にて一度は忠義を誓った獅子王の行いを正すため、二度の反旗を翻した正義の騎士たる貴方に斬り伏せられるなら、悪となった私の末期には、さぞふさわしかろう────

 

 

 その後、キャメロット後に召喚されたガヴェインとは傍に仕える騎士としてどちらが相応しいか、騎士勲章を賭けてバチバチにライバルしたりしている。ランスロットは勲章を食うわりにはスキルが自己完結していてなおかつスキルマにしなくても効果が高いので勲章に余裕が出なければスキルマの道のりは遠い。

 なお、ランスロットの趣味であるチェスでの勝敗は五分五分。

 

 Fate以外の世界では省エネモードでクリスの身辺警護に当たることが多い。宝具による手にした武具の宝具化、変装とステータス偽装は恩恵が大きい。ただし筋金入りのフランス人というか、恋が燃え上がるとすさまじい行動力を発揮したりする逸話もあり、美女に目がないのでそういった場所では逆ナンされたりナンパしにいったりとわりとポンコツなお父さん。困ったお方はお前の方だよとクリスあるいは誰かが突っ込むのはお約束。

 

 

 

 エルキドゥ

 

 ──マスター。僕だけ何故か少々先んじて来てしまったようだから、北の魔獣の一団を壊滅させてきたのだけど、魔力に支障はないかな? テンションが高い? そうかな。そうかもしれない。

 

 レベル90 フォウマ、スキル8/6/8 絆7

 バビロニア攻略前に召喚。英雄王の唯一の友、人と神を繋ぎ止めるために神々に生み出された変幻自在の泥人形。意思持つ神造兵装、自然と調和・一体化する大地の分身。天の楔。

 大地の魔力さえ在れば崩れること無くあらゆる形に復元可能、ステータスすら弄くれる彼は、カルナとは別の意味でクリスと相性がいい。なにしろ、クリスの魔力はその器に流れる血液。その血液は水、氷、植物、雷など、自然と密接な関わりを持つため、魔力も魔力パスもそちら寄りに変質している。もし起源を持っていたら「森羅」となるほど。

 加えて複数の神々から太陽の恩恵を受けるクリスは、エルキドゥにとって心地よさを感じるマスター。逆もまたしかり。もともとどこかの世界線で「人でないマスターを初めて持ったサーヴァント」なのだから、マスターの多少の異質さは彼にとってさしたる問題ではないのだろう。

 

 兵器として人間への振る舞いを突き通すエルキドゥに倣い、クリスのエルキドゥへの扱いも人を扱うそれではない。だがそれは尊重していないということではなく、また迫害や差別とは無縁。神の兵器を扱う人間として驕らず、謙遜せず、機械としてのエルキドゥの本来の存在目的、理由に沿った運用だけを心がける。むしろ無用な配慮や過剰な心配はかえって、完璧である神が作った、完成されている神造兵器たる彼を困惑させるだけだと感じ取っているからである。これには親友も何も口出しせず満足げ。

 もともとBBBの異界由来の謎技術で高性能AIを作って、意思を持っているような挙動をするAIに最重要機密を守らせているような人間なので人のかたちをした泥人形だろうと、良くも悪くもヒト扱いしない(エルキドゥの身が危ないとかいう遠慮がない)(そもそも人類史最強クラスのギルガメッシュと、ヒトの姿にスケールダウンしてようやく同等レベルまで落とし込める神様お手製のアクティブモンスターに、復元できない魂以外で心配無用な上、むしろ相手の心配をしないといけないレベル)

 

 上記の理由から、人生や性格において共通点が多く縁召喚となったカルナとは違い、性能的な意味で非常に相性がいいエルキドゥだが、彼にとって好ましい性格(博愛精神に満ち、全体主義であり、それでいて自分を第一として考えるもの)のうち、社会的立場や役職などのしがらみとしての価値はあれど(これを認めているから死ぬわけには行かないと思っているわけだが)、ひとつの命としての自分を価値なきものとして扱い、自己評価が極めて低い点においてはその眉根をわずかに寄せる。

 

 耐久系のサーヴァントのため、槍のクー・フーリンと共に高HPエネミーを相手取る事が多い。

 スキルマじゃないのはLv6以降の愚者の鎖の要求量がエグすぎるため。

 Fate世界以外ではマスターからの起動呼び出しを指輪の中で待っていることが多い。MHA世界では神性持ちが居ないので宝具の神性にスタン効果が有効活用出来ないが、星の数が増えるほど好戦的というかここぞという時に言うことを聞いてくれないアクの強さがあるサーヴァントの中で、星5ながら鎖で殺さず捕らえる戦法ができ、邪神やら神性存在やらヤバイ存在もぽこぽこ出てくるHLにおいては身長体重可変で、ステータスを弄って耐久アップなどができることもあり、なにげに活躍の場が多い。

 マスターを担ぐ際は大体巨鳥など飛ぶものに変化したりして最適な形に変容する。

 省エネモード時はわざわざ人型を取らず、鳩や無機物などに変化してクリスにひっついて行動する。人の姿で護衛が難しそうな有事の際、アサシンとは別の意味で優秀な護衛と言える。

 

 なお、絶対魔獣戦線にも同行し、初っ端からエルキドゥVSキングゥという傍から見ているとどっちがどっちなのか混乱しそうなバトルが起こり、イシュタル登場時には不意打ちで討とうとするなどアクティブモンスターっぷりをみせつけた。

 

 

 

 ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕

 

 ──さぁ、精々しぶとく生き汚く足掻きましょう? どうせ死後も共に煉獄に落ちる身ですもの、貴女の魂の最後の一片が燃え尽きてなくなるまで、ええ、どんな地獄にも付き合うとしましょう。

 ──この旗は我が魂の咆哮、勝利のために振るう呪いの旗。私の半身、殺意と憎悪を煮詰めたこんな女を選んでくれた、私のただ一人のマスターの道を()き拓く一撃を喰らいなさい。

 

 レベル90 スキルマ、フォウマ、絆9

 贋作英霊後に召喚。復讐の念に染まった黒い竜の魔女。殺意と憎悪を羊水として産み落とされた、反英雄のアヴェンジャー。巌窟王と並び、黒き怨念を以てマスターのために呪旗を振るう復讐者。

 

 オルレアンにて敵対時、相対した二人のマスターを見て、虫唾が走るもうひとりの自分と心の綺麗なマスターちゃん(立香)を見て嫌悪感を見せるものの、クリスに対してはその矛先は不思議と鋭くなかった。オルレアンの道中で見た惨状から憤る彼らに対し、クリスの目に宿るのは怒りではなく、憐れみでもなく、ただ淡々とした敵意だけだった。そこにルーラーとして召喚された彼女は底知れない闇を感じ、「ふぅん。アンタはそこの二人に比べてちょっとはマシな目をしてるじゃない」と呟く。本人は否定するだろうが、間違いなくそれは共感であり親愛の情だった。

 

 オルレアンの時点で、交わした言葉は少なくとも、互いにシンパシーを感じていたのか、憎めないものとして見ていた節があった。そんな中、贋作英霊イベントにてボスとして登場した際、「だって……私に愛される要素なんてない! 魅力なんてない! どうしようもなく捻くれた小娘よ! あるのは吐き気がするほど強い力だけ! でも、しょうがないでしょ!? 私にはそれしかない! 復讐に駆り立てられる私には、それしかない!」と彼女が本心を吐露した時、クリスは自覚する。ああ、鏡を見ているようだと。

 

 

 それは痛切な悲鳴だった。

 愛されることも、求められることもなかった自己への卑屈。

 それに付いて回る、他者に対するどうしようもない劣等感。

 唯一手にしていたのは、欲しくもなかっただ強いだけの力。

 それでも誰かに求められたいという渇望。

 それでも消えない、不信感と憎悪。

 

 あまりに見覚えのある感情だった。

 あまりに突き刺さる慟哭だった。

 

 どれほど功を成し、どれほど命を救おうと。決して報われることのない己の面影を見た。

 

 

 イベント後、すぐに召喚を果たした彼女にクリスは根気強くつきまとった。

 傷を舐め合う馴れ合いではなく、哀れみからくる同情心でもなく、ただ傍にいたかったとクリスは語る。

 そんな彼女にジャンヌ・オルタも最初は拒否をするものの、口先だけの安い慰めが最大の侮辱と心得ており、立香と違いまっさらな光ではないクリスの、闇の中光る星のような淡い輝きは落ち着くものだった。拒否もどんどん形だけ、口だけのものになり、絆4になる頃には傍にいるのが当たり前になるほど。

 そして、絆5手前でクリスの恵まれない幼少期や研究動物扱いで監禁された時期を夢で垣間見て、ジャンヌ・オルタもクリスに感じていた同族感を理解する。自然を操り、宗教的観点から神の敵たる吸血鬼を滅ぼす泡沫の聖女として祀り上げられたマスターに、自分の原型となった世界で一番嫌いなもうひとりの善良な自分を同一視しながら。

 

 復讐者として生きても不思議ではない過去ながら、自己愛を捨てて人類のために貢献する、もうひとりの自分にも似た部分を憎らしく思いながらも、それでも、ある意味人間らしい葛藤を捨てはしない己のマスターを手放すことは一度も考えなかった。

 共に炎で焼かれるのが嫌なら離れなさいという忠告に、ひとりじゃないなら怖くないわと強がりでなく本心として言い切った、得難い者だと知っていたからだ。炎を引き出すために、研究者たちに赤く燃える焼きごてで背中を幾度も灼かれた彼女らしい一言だった。

 我が蛮行は必ずや地獄に落ちるに相応しい。けれど、竜の魔女が一緒なら、煉獄も怖くはないと綺麗に笑い飛ばしてくれた稀有な主だと。

 

 ジャンヌ・オルタは決意する。

 罪を贖うために存在するのではない。救われたいから存在するのではない。

 このどうしようもない物好きなマスターに勝利を与えるために、今回の現界を定義する。

 もし敗北して、何も報われないうたかたの夢と成り果てようとも、恐れはしない。

 傍らには、うたかたの聖女というレッテルを押しつけられた、ただの小娘であるマスターがいるのだから。

 

 

 ただまあそれはそれとして、彼女はコツコツと努力を欠かさない。

 元にしたあの女がポンコツ脳筋なんだから、地頭が残念なのはしょうがない。頭脳労働はもうひとりのいけ好かないスカした態度のアヴェンジャーに任せるとして、最低限文字は綺麗な字で書けないと。マスターが最高の頭脳を持つなら、それぐらいの教養がないと恥ずかしいでしょう。

 新宿では社交界での経験値が高い男装したクリスに完璧にエスコートされながら踊れて恥ずかしいやらうれしいやら。スパダリパワーここに極まれりで、農民出身のジャンヌ・オルタはくらくらしっぱなしだった。文字の次はダンスとマナーね、ええ、ものにしてみせますとも。

 

 Fate以外の世界では気ままに過ごしている。指輪の座で休んでいることもあれば、セーフハウスや外に出て省エネモードでクリスに連れ添ったり、霊体化して見守っていたり。新宿で披露したハイブランドで固めたワンピースとジャケット姿はお気に入りらしい。新宿でキュイラッシェ・オルタを駆ってマスターと二人超高速ドライブをしたセイバーオルタに対抗して、「竜の魔女」スキルが竜種にも騎乗できる最高ランクの騎乗スキルなのも相まってバイク運転も検討している。「あいつがスピード狂なら、そうね、こっちはマスターが乗りたくなるような運転を目指してやろうじゃないの」

 とどのつまり、ヒロイン力の高いツンデレ。

 

 

 

 

 立香側サーヴァント

 

 

 クー・フーリン(術)

 立香側。冬木ではぐれサーヴァントとして立香とクリスに出会った時、初見で所長の状態を見抜き、片方は戦闘ド素人丸出しで魔術師らしくもない一般人と盾の少女、片方は何気なく突っ立ってるように見えて、かなり距離が離れてる時点で自分に気づいてて、いつでも反撃可能なように自然体の構えで警戒中の女と、槍の時に死合いたいレベルのサーヴァントというちぐはぐな一行と見極めていた。マスターとして指揮能力、戦闘力など諸々のスペックとしてはクリスが上だが、戦力バランスとドルイド姿での現界ともあって、導くものとして立香の一時的なサーヴァントになることを申し出る。

 いい尻だったのでマシュ同様触ろうとしたが、避けられて手首を捻り上げる手前の寸止めで無言の笑顔で威嚇された。

 

 冬木で諸々の立ち回りを見ていい女認定しており、消滅間際に「今度はランサーで呼んでもらいたいもんだ、ああ、次はお前さんのサーヴァントになるのも良いかもな。俺は結構色んな聖杯戦争に呼ばれてきたが、良いマスター、良い女。良い戦い。この3つが揃って、なおかつ俺が最後まで悔いなく戦えるってのは中々無かったんでな。そういう点では、アンタとでも上手くやれそうだ──」と言い残す。……それがフラグとも知らず。

 果たして、キャスタークラスの彼はカルデアに戻った直後の立香に召喚され(プレボ鯖だから仕方ない)、その後立て続けにクリスがランサークラスを引き当てるというどこぞの王様が見たら大爆笑必死の愉悦案件が起きた。これはひどい。「あの時のキャスニキの表情の抜け落ちっぷりはしばらく夢に見るレベルだった」と立香がぼやいたほど。

 とはいえマスター自慢といざこざが起きるのはクー・フーリン同士の間だけで、彼とクリスの間柄は至って平穏。ランサークラスの時より年嵩の年齢での召喚ともあって落ち着きと思慮深さがあるが、たまに底知れない目を向けられているのを察知する。そういった場合は槍と狂のクー・フーリンが威嚇しているので今のところ問題は無い……はず。

 魔術師として未熟な立香と、異世界人ながらも、もともと幻術を扱えるほど魔術素質があり、世界からの概念付与で回路を持っているクリスに北欧の秘術たるルーン魔術やガンドなどを教えたのはこの人。

 

 クー・フーリン(プロト)

 立香側。槍と術に比べて召喚されたのはちょっと遅かったが、召喚後の第一声でクリスにめちゃくちゃ驚いた顔をされたのが印象的だった。なんということはない、元の世界のクズのロイヤルストレートをキメた銀髪褐色猿ことザップと声帯がそっくりだっただけ。「……あいつの声ってつくづく良かったんだな」という意味深な一言から驚いた理由をクリスから聞き、女好きぶりにちょっとフェルグス叔父貴を思い出すのであった。多分女癖の悪さはどっこい。恨まれなく後腐れなく、といった点ではフェルグスに軍配があがるが。

 

 クリスと直接話すことはあまりなく、槍と術の会話で直接話さないのにやたら彼女のことを知っている状態。自分のマスターである立香とは友人のような気さくな関係を築いている。術の暴走のあおりを食らって止めに走らされるのは大抵プロト。

 

 

 ベディヴィエール

 立香側サーヴァント。キャメロットでの功績を認められ、今回のみ英霊として存在を許された。

 誠実にして清廉、アーサー王の執事役として他の円卓から誰も異議を唱えるものが居なかったほどの忠義ある人格者。キャメロット後、カルデアに召喚された瞬間ボロ泣きした立香とマシュを受け止めおろおろしながら、こっそり涙を拭ったクリスと笑いあった。

 生真面目で朴訥な紳士であり、誰かを支える執事役だったこともあり、本職が秘書役であるクリスとは波長が合う。主のために難事を切り開き、煩わせぬよう雑事をこなし、環境を整える。人の輪の中心に居るよりも、そこで輝く主の姿を、片隅に佇んで落ち着いた笑みを浮かべて見守る──そんな気質を備える二人。

 主従ではないが、ベディ、レディ・クリスと呼び親しみ、バレンタインデーには親愛の贈り物を交わした仲。そんな仲睦まじい二人の様子を遠目から眺める職員には、銀と黒、翠と赤という正反対の色彩の長身美形が並ぶ図として目の保養にされていたとか。

 

 2年の旅路を経て、クリスが英霊たちを座に返した後、聖杯を用いて異世界へ帰る彼女を、一抹の寂しさを胸に抱えながらも、友の幸福を願い、立香と共に見送った。

 

 

 アルジュナ

 マスター・立香が召喚した弓兵。ロンドン修復後に召喚された。が、初見でもう一人のマスターであるクリスティアナを見て動揺するなど所々気になる点も散見された。北米大戦ではレベル的な問題とレイシフトに編成時点で弾かれ(敵側サーヴァントのため)カルデアに残留。ちなみに北米大戦のアルジュナはクリスに対して特に大きな反応を見せなかった。

 時空神殿での魔神柱狩り競争、人理修復後、両マスターの計らいでクルクシェートラや北米大戦で果たせなかった令呪ガン積みで極限まで生前に近づけた状態で全力での一騎打ちの他、シュミレーターでの手合わせなどを経て一応互いの確執・執着は落ち着きを見せている。が、クリスティアナへの接触は極力回避している様子。様々なサーヴァントが理由を尋ねるが、彼の口からその理由が語られたことは未だ無い。

 

 

 

 ▼剪定異聞特異点「光輝救済聖典クルクシェートラ」クリア、及び幕間「得られざるサラスヴァティ」クリア後解放マテリアル

 

 ──ああ、今は遠き私の友よ。唯一、この私が授かることの出来なかった、掌から零れ落ちるように消え失せたひと。

 ──あなたがあの人の生き写しのようであることが、ただ、嬉しくて。どうしようもなく、憎たらしいのです──。

 

 カルデアに召喚されたのは実は「光輝救済聖典」を経由したルートのアルジュナ。「在らざる者」であるクリスティアナがカルナとのパスを利用されマハーバーラタ世界に夢を経由してレイシフト(下総国と同じ原理)した世界線を辿っている。彼にとってクリスは生前にカルナとはまた違った意味で執着した人物。それが今度は女性として生を受け、マスターとしてカルナをメインサーヴァントに数々の英霊を率いていたためめちゃくちゃ動揺した。同時にバーラタの記憶が無いにもかかわらず一番槍として傍にあるカルナへの嫉妬と困惑が強かったのもこのため。

 また、生前の己の所業への引け目と、自分を覚えておらず見てくれもしない友の面影がつらく、カルナと信頼を築き睦まじく過ごすクリスを見たくないという思いからクリスを避け続けていたため、光輝救済聖典後までクリスはアルジュナに避けられ続けている理由を聞けないままだった。

 

 クリスからしてみれば最初のサーヴァントであるカルナの肩を持つのはごく自然なことで、裏切りを嫌う彼女が、マハーバーラタにおいて「カルナを殺す」宿命にあるアルジュナに靡かないのは当然のことなのだが、あらゆる祝福を神から与えられていた授かりの英雄たる彼にとって、王子でも完璧なアルジュナとしてでもなく、ただのひとりの人間として善も悪も認め受け入れてくれた(と思っている)クリスはたとえ敵側だったとしても、取り返してでも傍に置きたいかけがえのない友人であり、護るべき心の拠り所だった。

 

 カルナをクルクシェートラで謀殺し、ドゥルヨーダナがアルジュナの兄のビーマによって倒され、カウラヴァ側の敗北で決戦が終局した後、アルジュナは捕虜という名目で男装していた(本名は呼びにくいのでティアと名乗っていた)彼女を手元に置こうとする。

 しかし宮殿への護送中、厳重な警備と捕縛の中、アルジュナの目の前で美しくも哀しい微笑みを浮かべて天を仰いだ彼女の身体は、最初からまぼろしだったかのように消え失せた。彼女にとって夢の終わりに過ぎない終末だったとしても、アルジュナに与えた衝撃は計り知れず、唯一の理解者を失った彼の心に深い傷を残すこととなる。

 

 人理修復が為されれば剪定事象として人理には残らず、消え行くさだめの記録と記憶。奇譚のあった剪定世界の授かりの英雄がどんなに心の底から望み、手を伸ばしても得られなかったただ一人、唯一である。

 

 サラスヴァティとはメルトリリスの霊基に含まれる一柱であり、インド神話に語られる水や風などの自然、音などの「流れるもの」を操る河の女神である。ブラフマーの配偶神でもある。また、ペルシア神話におけるアナーヒターと同一視される。このアナーヒターは金星神で、バビロニアではイシュタルと習合、他地域ではアルテミスなどとも同一視されている。

 光輝救済聖典バーラタにおいては、ドゥルヨーダナやカルナの友、軍師としてカウラヴァ側についた彼女の戦い、指揮を観て敵味方が女神の名になぞらえ賞賛した呼び名である。

 

 

 

その他サーヴァント

 

 葛飾北斎

 

 ──イヤサ、こいつは驚いた! 南蛮人でこれほどまぶしい面の美人を拝んだのは初めてだよ! ちょっと待っとくれ、ぜひその艶姿(あですがた)、おれに描かせておくんな!! 

 

 カルデア未召喚サーヴァント。リアル過ぎる初夢の狭間で出会った、べらんめえ口調な江戸っ子フォーリナー。

 出会って真っ先に謎のタコにひっきりなしに付きとまとわれ、元気に会話する立香と応為に反してクリスは道中ずっとテンションガタ落ちだった。地味にSAN値減少(小)をターン毎に受けていた。正体的に仕方ないが。それでも一時的狂気に陥らないだけ流石は鋼の精神力である。ととさまに悪気は皆目ないが、描きたいという欲を優先して自重もしないあたり強心臓。クリスのサーヴァントである鈴鹿に追い払われてもめげない。鈴鹿の語彙力がどんどん無くなってこのタコ! とひねりもない罵倒を引き出すレベルでしつこかった。

 ととさまがクリスに目をつけたのは、後世に名を轟かすほどの名画を紙へ描き上げ、どっかの邪神と融合したことでアップした観察力と勘で、クリスが只者でないどころかフォーリナーで召喚されても可笑しくない存在と察知して、描きたくて描きたくてしょうがなくなったから。

 

 ただし、もし彼の画力でクリスを描こうものなら、それはクリスを「永続的狂気」に叩き落として「彼女」じゃなくさせるほどの、人物画とは思えない、本人すら気づかなかった真実を写し取った恐ろしいものが出来上がる。

 深淵の邪神と混然となった境地で描かれる非ユークリッド幾何学的画風のせいではなく、そこに映し出されたものに、クリスティアナという人格は粉々に打ち砕かれる。

 彼女が彼女として在るために、決して見てはならなかったものを、気づいてはならないものを、「自分」を守るために無意識に目をそらし続けていたものを──彼は人の心腑のまま、描いてしまったのだから。

 この場合、ありとあらゆる人やサーヴァントの手による処置を施そうとも打つ手なし、回復の見込みはない。人一人狂っただけでは終わらない。強制バッドエンド。

 

 なお、第一第二再臨時の応為本人が描いた場合は、北斎が自分より美人図に優れていたと言わしめるだけに普通に素晴らしい美人画を描き上げる。

 ……なお、クリスはその職務上、生まれのわりに目・舌が肥えていて、クラウスやドグ・ハマーなどの感性鋭い仲間が傍に居たことからも審美眼も光るものを持つ。生粋の西洋人である彼女があの時代の人物画の自分に美を感じ取るかはさておき、画が発する素晴らしいものという波動は感じ取れるだろうが。

 

 融合した邪神が海に眠るものであり、北斎のスケッチの中には人魚や水虎などが描かれていたこともあり、初夢との縁もあって召喚には十分なものが揃っている。

 初夢の狭間が終わる頃、北斎からはクリスを描けなかったことを大層惜しまれる。クリスに召喚されるのを嬉々として座で待っていたサーヴァントは他にも(玉藻・オジマンディアスなど)いたが、クリスティアナは諸事情から「フォーリナーを召喚できない」制約があるため、絶対に北斎はお呼びがかからない。立香ならワンチャンあったが、そこは座からの誘いも邪神の侵食も「画を描き続けたい」という一念にて跳ね除けた偏執狂、クリスにこそ執着する北斎は果たして、カルデアにはたどり着かなかった。

 

 もし万が一の可能性を掴んで召喚されていたとしたら、北斎からの圧倒的矢印(ただのモデルになってほしい好奇心)と応為からのアプローチに辟易としながらも、エミヤと共に生活力ゼロの葛飾親子の世話をなんだかんだ焼いていると思われる。なにしろ、生活力ゼロで目を離したらすぐにゴミ屋敷に周囲を変えてしまうタイプの人間は、どこかの不可視の人狼を思い起こさせて、クリスにとって懐かしさすら呼び起こすのだから。

 

 


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