家に帰る途中には公園がある。いつもイッセーたちと遊んでいる公園だ。今日はイッセーたちがいないので普通ならそのまま通り過ぎるのだが。
「やっと会えました」
「うん?」
お正月なのに公園に誰かいた。その子は俺に声を掛けてきた。
「あなたが沢田零二様ですか?」
「はい、そうですが・・・」
その子はかなりの美少女だった。綺麗な銀髪をツインテールにしていて、小柄な身体は真っ白なドレスに包まれている。こんな人知り合いにはいないはずだが。
「私は最高神様にいわれ、こちらにやってきた神です」
「・・・」
全く意味が分からなかった。しかし、しばらく考えていたらそういえばと思い出す。
「もしかして、君が僕に神の力を使わせてくれる神様?」
「はい」
あ~なるほど。ということは最高神様って言うのは俺を転生させてくれた神様のことか。
「では、早速契約をしたいと思います」
「契約?」
「はい、契約しないと我々の力、神力は使えません」
「契約って何をするんだ?」
危険なことはしたくないんだが。
「簡単です。契約する神に名前をつければいいのです」
「・・・それだけ?」
「はい」
なんか思っていたより簡単だな。まあ、危険がないからいいか。
「名前ね~・・・・・よし、君の名前は『ヴァイス』だ」
名前を決めた途端身体が少し重たくなったような気がした。多分契約が成功したのだろう。
「ヴァイスですか。いい名前ありがとうございます」
喜んでくれているようだ。顔が少し赤くなっているが気のせいかな。
「神力は神と契約すればするほど増えますし、主が成長すればするほど増えます。後、使用回数に制限がありません」
「契約って何回もできるの?」
てっきり、一回しかできないものかと思っていた。
「契約する人の才能によっては可能です。実際、零二様は後何回か契約できます」
「へ〜」
つまり、契約すればするほど俺は強くなるということか。
「実は、零二様と契約したいという神がまだいます」
「はっ?!」
俺が驚いていると空から何かが降ってきた。
「!!っ」
俺はあまりの出来事に尻餅をついてしまう。
「遅いですよ」
「ごめんごめん、道に迷っちゃってね」
空から降りてきたのはヴァイスの知り合いのようだ。
「は~、大丈夫ですか零二様」
ヴァイスは尻餅をついている俺に手を貸してくれた。
「ありがとう」
俺はその手をつかんで立ち上がる。俺は顔を上げてヴァイスの知り合いを見る。
その人は綺麗な人だった。腰まである黒色の髪、綺麗な蒼い瞳、出るところは出ていて、引っ込んでいるところは引っ込んでいる長身の身体、そして整っている顔立ち。
「そんなに見られると照れるよ」
「あっ!!すいません!!」
かなり見惚れていたようでその人は顔を赤くしている。俺はすぐに目を逸らす。
「じ~~~」
ヴァイスが俺をジト目で見ている。非常に気まずい雰囲気なので俺は話題を振る。
「ヴァイス、こちらの人は?」
「彼女はさっき言っていた零二様と契約したいと言っていた神の一人です」
「よろしくね零二くん」
この人が俺のもう一人の契約神か。んっ?
「一人です?」
「はい、彼女の他にも契約したいと言っていた神がいます。忙しくて彼女たちが来るのはもうしばらく先だと思いますが」
「へ~」
神様って大変なのかな?まあ、それよりも
「なんで僕と契約を?」
そうそれが一番聞きたかった。彼女たちに会ったのは今日が初めてだ。何か特別なことしたわけではない
「・・・それは」
うん?何か黒髪美人の様子がおかしい。ていうか顔が真っ赤だ。もしかして・・・
『お主がいう女落の体質は神をもメロメロにしてしまう凄い力なのだ』
最高神様はこう言っていた。つまり
「僕に惚れちゃった?」
「「!!っ」」
黒髪美人だけではなくてヴァイスも顔を赤くしてしまった。可愛い反応だなと思いながら俺は改めて自分の凄さを知ってしまった。
(この体質だけで世界征服できるかも・・・)
本気でそう思ってしまう。まあそんなことしないけど。
「でも、いつから?」
「零二様が転生する時、別の空間であなたのことを見ていたのです。その時一目惚れしてしまいました」
「私も同じ」
なるほど、あの時の最高神様との会話は生中継されていたわけか。メガネしていなかったから『女落の体質』の対象になってしまったわけか。
「まあ、仕方ない」
仕方ないよな~。はあ~
「え~と君たちの気持ちが嬉しいけど・・・」
「い、いえ!!私たちは零二様と恋仲になるつもりはありません!!」
「へっ?」
「私たちが零二くん、人間に恋をしてはいけないの」
黒髪美人が暗い表情になりながら言う。ヴァイスも表情が暗くなる。無理もないよな。好きな人と恋人になれないなんて相当つらいよな。ここは俺がなんとかしないとな。
「これからずっと一緒にいればいいさ」
「「え?」」
「確かに恋愛は出来ないかもしれない。でも、一緒にいればそんなこと気にしなくなると思うんだ。だから・・・」
本当は頭を撫でたほうがいいかもしれないが背が足りないので、二人の手を持つ。
「一緒にいよう。僕にはヴァイスたちが必要なんだし」
「「・・・・」」
ヤベー超恥ずかしい。俺なんてことを言っちゃったんだろう。
((カッコいい~))
ヴァイスたちが再び顔を赤くしているが零二は恥ずかしさのあまり下を向いているので、気づいてない。
しばらく下を向いていたが埒があかないのでそろそろ契約してしまおう。
「え~と、お姉さん。契約していいかな?」
「うん、喜んで」
さて、名前をどうしようか。俺は綺麗な黒髪を見て一つの名前が思い浮かんだ。
「よし、君の名前は・・・『シバ』だ」
名前を決めると再び身体が重たくなったような感覚がした。どうやら契約が成立したようだ。本当はシュバルツにしようと思ったが、長いので略してシバにした。
「いい名前ありがとう、零二くん」
「どう致しまして」
さてと、契約したし、家に帰ようかな。・・・・あっ!!
「母さんたちになんて説明すればいいんだろう・・・」
あんなこと言ったが、家には母さんたちがいたんだった。どうしよう・・・
「大丈夫です・・・ほら」
ヴァイスがいきなり光りだした。いきなりのことで驚くが光が止むと更に驚いた。
「猫?」
そう、ヴァイスがいたところに招き猫のような姿をしている猫がいたのだ。(夏目友〇帳のニャンコ先生みたいな猫)
「こうすれば問題ありません」
予想はしていたがこの猫はヴァイスらしい。
「確かに猫なら問題ないかもね」
母さんたちも笑顔で承諾してくれるだろう。
「じゃあ私は」
今度はシバが光りだした。光が止むとそこには
「犬?」
綺麗な闇色の毛をもつ子犬がいた。猫も可愛かったが、こちらの犬も可愛い。
「まあ、大丈夫だろう」
俺の家族に動物が嫌いな人はいないはずだ。
「よし、二人ともこれからよろしく」
「「にゃ~(ワン)」」
返事をしたら俺の片方の肩に猫が、もう片方の肩に子犬が乗る。乗るというよりぶら下がっていると言った方がいいだろう。その姿がなんとも可愛らしい。重さはあまりない。
俺は癒されながら家に帰った。
母さんたちにお願いしたら即答で許可が出た。拒否するかもと心の片隅で思っていたが初めてわがままを言ってくれたと、喜ばれた。
この日から、毎日していた魔力の制御と戦闘訓練にヴァイスたちが加わった。