Fate/Subsequent   作:マッポーゲニア

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どうも、マッポーゲニアです。
前回の閲覧してくださった方々、誠にありがとうございます。
今回は2話、主人公の楓花のエピソードとなります。
どうぞご覧下さい



第2話 誰がために幕は開く

ばっちりと目が覚めた。今日は多分、というかすごくいい日なのだろう。ガバッと布団を裏返して起きた。

花の女子高生、覡 楓花の朝は最強に速いので颯爽と洗面所へと行った。顔を洗い、髪をとかし...毎日やり慣れている朝の支度を、鏡とお見合いしながらやる。

支度を済ますと、食卓にはもうほかほかの朝ごはんがあった。

 

「作っておいたよ。さっさと食べて学校へ行きな」

「ありがとう!じいちゃん」

「おうさ...よいしょっと」

じいちゃんはそういうと、家の外へ出ていった。じいちゃんの日課である神社の掃除をしに行くのだろう。

 

覡家は祖父、父、母、そしてこの私の4人構成なのだが、お父さんとお母さんは遠いところで仕事をしており、実質じいちゃんと私の2人構成だ。

私のじいちゃん、覡 賀嵐は海谷神社の神主。

 

2年前に、この海谷市に神社を建立するという話がじいちゃんに回ってきたらしく、ちょうど神主を探していた、というのでここに移り住んだ。親2人は何故か自分だけをじいちゃんと一緒に住まわせたのだ。

理由は今になってもわからない。

 

「...ごちそうさまー!」

両手をパチン、と合わせ軽い足取りで食器をキッチンの方へ持っていく。今日もじいちゃんのご飯は美味しかった。

 

カバンを下げ玄関へ向かう。そして戸を引き私は空を見た。思っている通りだ。最強の快晴。

だけど、何か違う風が吹いている。

「...?」

私は、そんなことを気にせず学校へ向かった。

 

~~~~~

 

教室に入ると、そこは机と椅子が碁盤のように並んでる暗室だった。時刻は7時前。どうやら自分がイチバンだったようだ。

こういう時間はふと声に出してしまうほど静かなのである

「なんか寂しーなぁ。」

私は踵を返し、いつもの部室へと向かった。

 

ガチャ、とドアを開け、テーブルの上にカバンを乗っけた。

椅子に座るのはなんだか落ち着かないため、壁に持たれて体育座りをした。

 

そういえば、今日は随分変な夢をみた。

変な、怖い大人の人に追っかけられて、怖かったからずーっと逃げてた。

逃げて、逃げて、逃げて、逃げて、それで追いつかれそうになった時に……

 

誰かが守ってくれた、って言うよりそれは「隠した」、とか「遮った」って言うのがあたりかもしれない。

実際、それで怖い人はこっちに来なくなったけれど、その向こうには大切な人がいた...ような気がした。

それで多分、急に私は大きい声を出したんだと思う。

 

「ぷはァーッ!振り切ったぜ...!」

そう、この澪尾ちゃんのように。

必死な女の子はキョロキョロ辺りを見回すと、やっとこっちの存在に気づいたらしい。

 

息を切らしていたのか、顔が非常に赤かった。

「...見ちゃった?」

自分は首を縦に振った。

 

宍戸 澪尾。 自分と同級生で入学当初からの親友であり私が取り仕切っている登山部の部員。

ほんのちょっぴりオレンジがかかった茶色のセミロングをしていて、キリッとした顔立ち。身長は自分よりちょっぴり大きい。

 

そしてストラップの動物がヒジョーにダサい。

「...まぁいいや。ってか楓花、もしかして毎朝そこにいるの?」

また首を縦に振りながら、今日の朝のハイライトをば。

 

「だって、朝早く来たら誰もいないんだもん、机が行儀よく並んでるだけでさ、殺風景だよ」

「...じゃあもっと遅く来ればいいだろ?」

その時、この楓花さんに電流が走った。何とあなたはそれほどに天才なのだろうか。

 

「そうだよ!それすごく最強!そしたらもっと寝れるし一石二鳥だそれ!」

逆転の発想というやつだ。盲点だった。

「なら明日から快適な眠りを...」

「あーでも私やっぱり人が喋ってるのあんまり好きじゃないし、遅く来ても結局部室かなー」

そう。私は最強故にあまりパンピーと交わらないのである。

 

「それに...明日はホラ私達登山部作ってからの初めての活動!眠れるわけないじゃん!」

実は、我々登山部は入部からこれっぽっちも登山部らしい活動をしていないのである。

 

そこで!部長であるこの私が立案した『ドキッ! 丸ごと登山 JKだけの外出大会(ホテルもあるヨ!)』を今週末に遂行する。予算も学校が出すらしいのでオールオッケー。

「だからアレは結局、海側のホテルに泊まる仲良し会レベルのもんでしょ?部費使ったら生徒会やらにぶち殺されるよ?」

「まぁまぁ、TGIFでござるよ澪尾殿ぉ...今日を乗り越えられれば明日は休日!これ以上最強なことってないよね!」

なんて、わんやわんや話してたら予鈴が鳴った。

 

「...おっ、そろそろだな。じゃあうちは行くよ」

そう言って澪尾が退室する前に、自分は妙なものを見た。

澪、なんで夏なのにセーター着てるんだろう。

 

「うん」

学校では週末のことで頭がいっぱいで楽しかったことは1つもなかった。しかし今日の夕陽はとてもキレイで最強だった。

 

 

~~~~~

 

 

翌日。

今日の空は少し曇っていた。なんだか危ない模様をしている。

私は早く朝食を済ませ、一応山のピクニックの装備は整えてから待ち合わせ場所に向かった。

澪尾は大丈夫だろうか、昨日電話をかけたのだが一切出てこなかった。 まあ今日の朝連絡が来なかったし休みということはないだろう。

「ふあぁぁ...おはよ。楓花」

後ろから声がした。振り返ると、いつもの澪尾が。

 

否、いつもの、では無い。右腕に骨折した時につけるやつを着けてる。あれなんて言うんだろうな?

……ではなくて、一大事だ。

 

「えぇ!?澪尾......それどーしたの」

「あぁ……うちペット飼ってんだけど、そいつが暴れて右腕を噛んじゃってさ。んで夜救急で応急処置してもらった。...ごめんね?あの時ホンットに痛くて、電話も出られなかったんだ」

怪我人は首を下げて、すまない。というふうに左手を立たせた。

 

ふむ...。これはすごく最強じゃない。

「そっか...」

「あぁ...しばらくそれで休むからさ...なるべく楓花には......」

「じゃあ今日はホテルだけだね」

すると、澪尾はきょとんとした。

 

「.........え?」

「なんで?山は天気悪そうだし怪我したら危ないけど、ホテルは安全だし休めるじゃん。行こーよ」

「え...でも怪我が...」

「ダイジョーブダイジョーブ!最強の楓花さんがいればこんな包帯、日が暮れたら包帯の方から逃げ出すって!」

それにせっかく待ち合わせまでしたのだから、ここでホテルに行かないというわけにはいかないのだ。

 

「ほら!」

「...あっ!!」

すかさず澪尾の左手を掴んで私は目的地へひた走った

 

~~~~~

 

「......んで、わざわざ手ぇ引っ張ってまで連れてきたこのホテル......」

いやぁ...まさかね

自分も、今気づいた。そんなシステムがあろうとは……。

 

「......予約してないだって?」

澪尾がすごく怖い。怖い。

「どうするの?ここアブロードビレッジだよ?週末だし観光客で絶対空いてないって...!」

私たちが住んでいるこの『海谷市』という場所は、住宅街である『高瀬』と、観光用の『谷城』という2つのエリアに大きく別れている。

 

その谷城は、アブロードビレッジという外国人向けの小さな街、というかショッピングモールとか色々な店がずらぁっと並んでるスゴいところを有しているのだ。

んでそのアブロードビレッジの、最高級のホテル、『ロワール・リゾート』に泊まろう!、って言うのがこの覡楓花の魂胆であったのだが...。

 

「だ、大丈夫だよ...今から受付をすれば間に合うかもだし...?」

「まぁこれでチェックイン出来なかったら帰るよ?腕本当に痛いし。」

澪尾、マジで怒ってる。もしかして本当に悪いことしちゃったのかな……。

 

「とりあえず...澪尾はここで待ってて。私チェックインしてくる...!」

私はホテルに入り、ロビーへ全力でダッシュした。

そして...

 

 

「申し訳ございませんが...ただいま空き部屋がございません。またの機会をお待ちしております。」

と、受付のお姉さんに愛想笑いで拒絶された。魂が抜ける感覚を今まさに体感する。

私は意気消沈しながら、下を向いたまま澪尾に敗北宣言をしに行く。

と、その時であった。

 

ドッ、と何かにぶつかった。急なことだったで私は思わずよろけ、そして転んでしまった。

「あっ...すみません大丈夫で...」

上を見上げると何やら眼鏡をかけた男の人がこっちを見下ろしている。髪の色は紫だが先っぽは金髪のようにも見える。どちらが地かは分からない。

「あぁ...大丈夫ですか。」

「えぇ。こっちは大丈...イッ......!」

何か右手に痛みを感じた。ぶつかった時に打ってしまったのだろうか。

 

「...?」

男はこちらを振り向いた。

すると目を見開いたが早いか驚いた様子で、手のひらを返すように態度を変えた。

 

「こっ...この度は誠に申し訳ございません!女性に傷をつけてしまうなんて...ああなんてことを...!!その...お詫びといえばなんですが、私このホテルのオーナーでございまして...もしよろしければ、ここでしばし休まれてはいかがでしょうか?部屋は無論、こちらで手配致します!」

男は矢継ぎ早に話す。展開がはやすぎる。

 

「あぁ...いや、でも二人...」

「2名様でいらっしゃったのですか?構いませんよ!お客様の怪我を治すためでございましたら、私十人であろうが百人であろうが部屋を手配致しますとも!ささっ、どうぞこちらへ」

えーと...これ、泊まれるってことでいいんだよね。 だとしたら澪尾を呼ばなくちゃ。

 

「あ...ありがとうございます!...とりあえずもう一人を呼んできますね」

そう言って立ち上がり、すれ違う瞬間。

「『()()()』はお早めに、我々が全てご用意致します故。」

男はわけのわからないことを言った。

はてな、チェックインはこっちでやれ。ということなのだろうか。

「は......」

振り向くと、もうあの人たちはロビーにはいなかった。

そのあとはすぐ澪尾を呼んで受付に行った。だけどどうやらチェックインはすんでるらしかった。

 

 

~~~~~

 

 

部屋は2人で泊まるにはとても広く、なんでもVIP待遇で、ふつーの部屋3つ分の大きさのヤツを手配してくれたらしい。いやはや、僥倖僥倖。

テレビは2つ、ベッドもダブルサイズのが2つ。

これだけでもすごいのだが一般の家庭のリビングにありそうなテーブルが、室内の中央にどんと置かれてある。きっとスペースを埋めるためのものだろう。

窓は10mくらい長く、ここから海谷市の武器である青いビーチと観光街の夜景を欲張りして眺められる。

 

「ねー!みてー!すごいキレー!夜景だよ夜景」

「......」

澪尾はまだ不貞腐れている。

「ね、ねぇ...さっきはごめんね? 私、予約知らなかったし...でも!ほら、なんやかんやあってこんなスゴい部屋に入れたんだしさ!」

澪尾は、下を向いたままスっと立ち上がると、如何にも「話しかけないでください」と背中で語るように部屋へ出ていった。

......あーあ、澪尾を本当に怒らせてしまったみたいだ。

 

今日は本当に最悪の日だ。全っ然最強じゃない。

本当は今の時間は澪尾と一緒に豪華なビュッフェなるものでも食べに行こうとしていたのだ。

天気はすぐれないし澪尾は体調不良だし計画は頓挫しかけたし...。

それに、あの男の人とぶつかった時にできた痣、なのだろうか?

 

あの男の人とぶつかった時にできた痣、なのだろうか、

痣といえば線状にできているし、かと言って蚯蚓脹れといえば言うほど腫れていない。

 

「なんなんだろこれ...」

右手の甲を天井にかざし、それをまじまじと見つめる。

よく見たら何か模様っぽいし、触っても叩いても痛くない。

...お腹がすいた。 そういえば今日てんてこ舞いでこれといったご飯を食べていなかったんだった。

 

なんとあのホテルの人、お食事券までつけているのだから本当にありがたい。

「一人で行くか...」

私は食事券を握って、部屋の玄関へと足を向ける。

その時、つけてあった髪留めが落ちた。

 

「あ」

ただ髪留めが落ちただけだ。私はそれに手を伸ばそうとした。

すると、信じられないことが起こった。

ほわぁん、と床に「模様」が浮かんだ。

それは丸く、なんやらおとぎ話に出てきそうないわば「魔法陣」っぽいもの。

そしてそれが白く光る。

 

「ッ......!」

その「模様」から風が少しづつ、強くなって吹いている。私がここから部屋を抜け出そうと思った時にはもう手遅れになるほど、その風は強くなっていった。

「ちょっと待って.....何これ......!」

私は立つのがやっとだった。何が起きているのかわかんない。でも、私でもわかることがある。

この後に何かがくる、と……。

「――っ!」

 

魔法陣は急に爆弾のように、眩しいほどに光って、衝撃波が同時に来た。

 

 

そして、10秒ほど

 

 

―そこには大男が一人、目を瞑ったまま正面に胡座をかいていた。

私は立ち尽くしたままだった。物理的で、精神的な衝撃のそれは晴天の霹靂、というものだろう。

男は目をカッと開き、私の方を見ると、腰につけてある剣を抜き、ヒュッ、と私を指してこういった。

「......おめえが俺の『マスター』ってやつか?随分、飄々としてるじゃねえか」

 

同時に、ドアの方からガチャリ、と開いた先には先程部屋を出た澪尾が……。

 

...やはり今日は何かツイてない気がする。

先程の風でカーテンが開いていたのか、窓からの光は、自分と澪尾の方を照らしていた。




如何でしたでしょうか。
投稿は不定期ですが、次話を投稿する予定が出来ましたら追記で告知しようと思います。
お次は3話。さて、一体どうなることやら。
乞うご期待でございます。

ご感想いただけましたら幸いです
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